もしかしたら、空腹やストレスから食べ物以外のものを食べてしまうようになったのかもしれません。なので、軽食を食べてもらったり、ストレスの原因を取り除くなどの対策をしてみましょう。
もし、食べ物ではないものを飲み込んでしまったときは、できる範囲で飲み込んだ量を把握したうえで病院を受診してくださいね。
認知症の母が、ちょっと目を離した隙に食べ物以外のものを口にするようになってしまいました。特に多いのがビニールやティッシュです。しかも、この間は服から取れたボタンを食べようとしていたんです。
いつ、何を食べてしまうかわからないので母を家に一人にできないですし、常に目を離せないので私は疲れてしまいました。
どうしたら食べ物以外のものを食べるのを防げるのでしょうか?
食べ物以外のものを口にしてしまうのは、とても危険ですよね。ちなみに、食べ物以外のものを食べてしまうことを「異食」と言い、認知症の周辺症状のひとつです。
認知症の人が食べ物以外のものを口にするのを防ぐ方法には以下のようなものがあるので、参考にしてみてください。
お母様は、お腹が空いていて食べ物ではないものを口にしている可能性があります。なので、その対策としては、軽食を食べてもらうこと。せんべいやクッキーなどのおやつを食べて、次の食事までの間の空腹を紛らわしてもらうんです。
えっ、でも、そんなに食べてしまったら、食事が摂れなくなってしまうんじゃないですか?
もちろん、量の調整は大切です。食事に影響が出ないくらいの量に抑えたり、おやつを食べた分は食事を減らしたり、といった調節はしてくださいね。
認知症の方が異食をしてしまうことが多いもののなかでも、乾電池や洗剤などは飲み込んでしまうと大変危険です。なので、手の届かないところや棚の中にしまいましょう。
確かに。口にしないように、食べ物以外のものはすべてしまっておかないと。
ただ、飾り物をすべてしまって、あまりにも殺風景になってしまうのも刺激がなくて脳に良くありません。手が届かないところに飾るなど、うまく調整してくださいね。
「食べ物ではないことをわかりやすくする」ってどういうことですか?
ストレートに「これは食べ物ではありません」と書くのはどうでしょうか?認知症の方でも文字が読める方であれば、効果があるでしょう。
食べてしまうものにもよりますが、洗剤や薬品類などのパッケージに大きく書いておくと効果があるかもしれません。
お母様がティッシュやビニールを手に持っていたりして、「食べてしまうかも」と思ったときには、食べられるものと交換してみるのも良いでしょう。
今までは、急いで母の手から取り上げていたのですが、それではいけないんですか?
お母様としては、手に持っているものは「食べても良いもの」と理解しているので、それを急に取り上げられると驚きますし、混乱しますよね。そうしたことが繰り返されると、混乱からストレスを感じてさらに異食をする頻度が上がってしまう可能性があります。
そうなんですか!?食べたら危険だと思って、急いで取り上げていたのは良くないことだったんですね…。
なので、食べ物を手渡してさりげなく食べてはいけないものと交換しましょう。
「こっちの方がおいしいよ」と食べ物を手渡してみると、意外とすんなり交換してくれるかもしれません。
認知症の方に言ってはいけない言葉については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
もし、母が食べ物以外のものを飲み込んでしまったらどうしたら良いんでしょうか?
もし、食べ物以外のものを飲み込んでしまった場合、無理に吐き出させようとせずに、口の中を確認しましょう。口にしたものの大きさによっては、口の中に物が残っていることがありますから、それを取り除きましょう。
ただ、ティッシュやビニールといったものは気管をふさいで窒息する危険性があります。電池や洗剤なども中毒のおそれがあるので、危険なものを飲み込んでしまった場合はすぐに病院を受診してください。
ティッシュやビニールで窒息する可能性があるんですね!それには気が付きませんでした。本当に危険ですね…。
ティッシュやビニールなどの、家の中に当たり前にあるものでも食べたら危険なものがあるんですね…。他に、食べると危険なものにはどんなものがあるんですか?
食べると危険なものには、以下のようなものがあります。
上記のものは、口にしてしまうととても危険なので、認知症の方が手が届かない場所に保管しておきましょう。
便を食べてしまう場合については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
母は「まだ飲み込んでいないから大丈夫」と思っていましたが、異食がとても危険なことだとよくわかりました。
そもそも、どうして母は食べ物以外のものを食べるようになってしまったんでしょうか?
認知症の影響だと考えられます。具体的には、以下のような理由で食べ物以外のものを食べてしまっているのかもしれません。
認知症の影響で、目の前のものがどういった役割のものなのかを理解できなくなることがあります。この症状を「失認」と言い、認知症の症状のひとつです。
具体的には、「ティッシュが何かわからない。わからないから手に取ってみる。それでもわからないから口に入れてみる」といった具合です。
また、洋服のボタンやビー玉などを飴玉と勘違いしているケースもあります。食べ物と勘違いしているのであれば、自然と口に入れてしまいますよね。
うちの母も、ティッシュやビニールを食べ物と勘違いしていたのかもしれませんね。
また、認知症になると現在の日時、季節といった時間に関する感覚があいまいになることがあります。これは「見当識障害」と言って、認知症の症状の代表的なものです。
見当識障害の影響で時間感覚があいまいになり、食事の時間と勘違いして近くにあったものを食べてしまった、ということもありえます。
母は食欲旺盛で、3食しっかり食べています。それでもお腹が空いているんですか?
実は、認知症の影響で満腹感を感じにくくなっている可能性があります。認知症によって脳の満腹を感じる部位が損傷を受けることで、満腹になりにくいんです。
そのうえ、認知症によって食べ物以外のものを食べ物と思い込んでしまっていれば、自然と食べようと思ってしまいますよね。そうした理由が合わさって、食べ物ではないものを食べてしまっているのかもしれません。
認知症ではない私たちも。「やけ食い」などでストレス発散することがありますよね。それと同じように、認知症の方も食べることで不安やストレスを解消しようとしているのかもしれません。
また、誰でも何がなんだかわからない状況に置かれるのはストレスですよね。認知症の方は、それ以上に認知機能の衰えによって物事が理解できず、不安やストレスを感じやすい状態にあります。なので、ストレスを発散させようと異食をしてしまっている可能性があります。
母が食べ物以外のものを食べるのを止めさせることばかり考えていましたが、いろんな理由があって異食をしていたんですね…。母の異食の原因を減らせるように、対策をしていきたいと思います。
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