light icon

Q&A

介護疲れ

在宅介護 介護疲れ

母親の介護が始まってからきょうだい喧嘩が絶えません。介護を手伝わない弟はどうしたら良いでしょうか?

認知症の母を3年以上介護しています。私は隣県に住む弟がいるのですが、まったく母の介護を手伝おうとしません。何度も電話で介護を手伝ってほしいと頼むのですが、「介護は同居している姉さんの仕事でしょ」と言うので、毎回、口論に…。 ただでさえ介護で疲れているのに、弟と口論するのも疲れます。今の状況を良くする方法はないでしょうか? (奥田さん・パート・63歳) 奥田さんに負担が集中している状態なんですね。解決策としては、介護サービスを利用する、行政サービスを利用する、老人ホーム入居を検討する、という方法が挙げられます。ちなみに、親御さんの介護に関する考え方や経済状況を事前に確認して御きょうだいで役割分担を決めておくと、こうしたトラブルは避けられることがありますよ。 親の介護で兄弟喧嘩…。解決方法は? 3年ほど前に母が認知症と診断されてから、介護をしています。母と同居している私が介護をすること自体には文句はないのですが、隣県に住む弟がまったく介護を手伝わないんです!たまにしか顔を出さないので電話で介護を手伝ってほしいと言うものの、「介護は同居している姉さんの仕事でしょ」と聞く耳を持ちません。そんな言い草なので、私も頭に来て毎回、喧嘩になってしまって。喧嘩するのも疲れちゃって…何か良い方法はないでしょうか? 親御さんの介護がきっかけできょうだいで喧嘩になったり、関係性が悪くなる話はよく伺います。現状は奥田さんに介護の負担が集中してしまっているので、以下のような方法で負担を軽くするのはどうでしょうか? 在宅介護サービスを利用する 介護保険外サービスを利用する 行政サービスを利用する 相談窓口に相談する 老人ホームへの入居を検討する 在宅介護サービスを利用する 在宅介護サービスを利用するのはどうでしょうか。今、お母様は介護サービスを利用していますか? はい。デイサービスを週3回利用しています。 それは良いですね!デイサービスも含めて、主な在宅介護サービスは以下の通りです。合わせて活用すると奥田さんの負担が減らせるでしょう。 訪問介護 訪問看護 デイサービス ショートステイ 例えば、訪問介護を追加して「デイサービスのない日に見守りや服薬確認をしてもらう」、週末にショートステイを追加して「たまっていた家事をする時間やリフレッシュの時間を作る」といった使い方もできますよ。 へぇー。そんな方法もあるんですね!ケアマネジャーさんに相談してみようかな。 介護保険外サービスを利用する 「介護保険外サービス」って何ですか? 先ほどリストアップした、訪問介護やデイサービスといった介護サービスのことを正式には「介護保険サービス」と言います。介護保険を使って、一部の自己負担で利用できるサービスです。介護保険サービスに対して、介護保険外サービスはその名の通り介護保険が適用されないサービス。そのため、費用は全額自己負担なので高額になることが多いです。 うーん。高額なのはちょっと…。 介護保険外サービスは介護保険の制度に縛られない分、サービス内容は自由。例えば、介護保険が適用される訪問介護は、介護を受けるご本人の分しか掃除や洗濯、掃除などはしてもらえません。しかし、介護保険外サービスであればそうしたルールは関係ないので、家族の分の家事も頼めますよ。 費用減免制度を利用する 介護の悩みのひとつに経済的な負担がありますよね。以下のような、介護や医療の費用を軽減できる制度があるんです。 特定入所者介護サービス費 高額介護サービス費 医療費控除 高額医療・高額介護合算療養費制度 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度 これらの制度は、減免される金額や条件などが世帯の所得によって異なることが多いです。役所の窓口や地域包括支援センターで詳細を問い合わせてみてくださいね。 相談窓口や専門家に相談する 介護の相談窓口や専門家に相談してみることも大切です。御きょうだい間の介護のトラブルは意外と多いので、さまざまな観点でアドバイスをもらえると思いますよ。 役所の福祉課 地域包括支援センター ケアマネジャー かかりつけ医 ケアマネジャーさんに、弟のことを相談しても良かったんですね。誰にも相談できなかったので、話を聞いてもらおうかな…。 兄弟で介護の役割分担を決めて負担を減らそう なかなか難しいかもしれませんが、御きょうだい間で介護の役割分担をしましょう。 と言われても、どうしたら良いのか…。「介護のことはすべて姉さんに任せる」と言うような弟ですから。 具体的に、弟さんにどんなことをしてほしいのかをはっきり伝えると良いかもしれません。もしかしたら、弟さんはお母様の今の状況をよく把握していないのではないでしょうか。お母様の現状がよくわからなければ、介護がどんなものかわからないし、どんな手伝いをすれば良いのかもわからないですよね。弟さんは、「どうしたら良いかわからないから、姉さんに任せよう」と考えている可能性もあります。なので、具体的にどんなことを手伝ってほしいのか、はっきりと伝えましょう。 うーん。そう言われると弟に何をしてほしいのか、はっきり言えないですね…。 例えば、以下のようなことをお願いしてみるのはどうですか? 週末に1日だけでも手伝ってもらう 費用の援助をしてもらう 通院時の連れ出しをしてもらう なるほど…。こんな風に弟に相談してみれば良かったんですね! メインで介護をしている人がいる場合、その人に負担が偏ってしまうことが多いです。介護は大変なことなので、他の御きょうだいが分担することを嫌がるかもしれませんが、負担してほしいことを明確にして頼りましょう。もちろん、介護サービスや費用減免制度を活用して、心身と経済的な負担を軽減していきましょうね。 介護サービス、保険外サービスなどを活用して負担を減らそう 負担が1人に集中しがちなので、兄弟で介護の役割分担を決めよう pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/10/31

施設入居 在宅介護 介護疲れ

二人暮らしの母親の介護が上手くいきません。仕事を辞めて介護に集中しないのは親不孝な息子でしょうか?

母を自宅で介護しています。認知症が進行して物忘れがひどくなり、家に1人でいさせるのも心配。でも、私は仕事をしているので昼間はどうしても母1人になってしまいます。母と二人暮らしなので、母の世話を頼める人もおらず…。 仕事を辞めて介護に集中できない私は親不孝でしょうか? (大山さん・会社員・57歳) そんなことはありませんよ!介護のために仕事を辞めてしまうのはおすすめできません。というのも、仕事を辞めても介護の負担が軽くなるわけではないから。むしろ経済的・精神的負担が大きくなる可能性があります。まずは、介護サービスを活用しましょう。そうすれば、自分の時間を確保しやすくなって、体力的にも精神的にも負担が減ると思います。負担が減れば、仕事を続けながら介護もしやすくなります。まずは、介護と仕事の両立ができる体制を整えていきましょう! 介護離職しても負担が軽くなるわけではない 同居する母が認知症になってしまい、介護をしています。最近は症状が進んで、1人で家に置いておくのも心配になってきて…。でも私は日中は仕事で家を空けますから、どうしても母を1人にしてしまいます。だからといって、母と二人暮らしですし、近くに母の世話を頼める親戚もいなくて…。仕事はできるだけ続けたいと思っています。でも、母を放っておけるわけもなく…。仕事を辞めて介護に集中できない私は、親不孝なんでしょうか? そんなことありません!むしろ、お母様の介護をしながら仕事もしているのはすばらしいことだと思います。ただ、お母様の認知症が進行していくにしたがって介護に必要な時間が増えて、仕事との両立ができなくなってくるかもしれません。 そうですよね…。早めに退職して、母の介護に専念した方が良いんでしょうか。 いえ、私は介護のために離職するのはおすすめしません。というのも、介護離職しても負担が減らず、逆に増えるという調査結果があるんです。 参考:「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) 仕事を辞めて経済的負担が増えるのはわかりますが、精神的負担も増えるんですね…。 そうなんです。おそらく、離職したことで”介護に集中しすぎてしまう”からだと考えられます。 どういうことですか? 仕事を辞めると、一気に外との社会的なつながりがなくなります。それまで、会社の同僚などと関わる時間が気分転換になっていたのに、その時間がなくなりますよね。お母様と二人きりの時間が増え、気分転換するタイミングが限りなく少なくなってしまうんです。 確かに、介護が始まってから友人と会うことがほとんどなくなりましたし、退職したら母以外の人と関わる時間はなくなるでしょうね。 介護のことを考える時間ばかりだと、追い詰められてしまう可能性もあります。在宅介護はかなり大変ですから、気分転換の時間を確保するためにも仕事は続けることをおすすめします。 介護サービスはどうやって利用する? 仕事を続けたくても今のままでは無理だと思います。今はまだ大丈夫ですが、今後、母の認知症が進行したらずっとつきっきりになるかもしれませんし…。 ちなみに、お母様は介護サービスを利用していますか? いえ。介護サービスっていろんな手続きがあるんですよね?そのあたりがまったくわからず、利用したことはありません。 でしたら、まずは介護サービスを利用しましょう!今、大山さんおひとりだけで介護しているのなら、介護サービスを利用するだけでもかなり負担が減ると思いますよ。 うーん。といっても、どうやって利用したら良いのか…。 でしたら、介護サービスを利用するまでの流れをお話ししますね! 介護サービスを利用するまでの流れ 介護サービスを利用するまでには、以下のような流れがあります。 要介護認定 ケアプラン作成 介護サービス利用開始 まずは、お母様に要介護認定を受けていただく必要があります。要介護認定は、介護の必要な度合い「要介護度」を判定するもの。要介護度は、「要支援1~2」「要介護1~5」の7段階あり、数字が大きいほど介護の必要度合いが高いことを示しています。要介護度が判定されたら、次はケアマネジャーさんにケアプランという介護サービス計画書を作成してもらいます。ケアプランには要介護度やお母様の状況に応じて、適切な介護サービスの種類や利用回数が盛り込まれています。 なるほど、母に合った計画を立ててもらえるんですね。 そして、ケアプランの計画に基づいて介護サービスの利用が始まるわけです。 うーん、介護サービスを利用するにしても、いろいろと手続きが必要なんですよね?仕事と介護をしていると、手続きをする時間もないんですよね…。こういう手続きって時間も手間もかかりそうですし。 そういう手続きをする時間を確保するために、「介護休業」という制度がありますから、ぜひ利用してください!介護休業は、介護をしている人が介護と仕事を両立する体制を整えるための制度。合計93日の休みを最大3回に分けて取れます。もちろん、大山さんご自身でお母様を介護する時間に充てられますが、長く介護と仕事を両立していくために、介護認定の手続きやケアマネジャーさんとの打ち合わせの時間として活用するのをおすすめします。 「介護休業」と言うから、私が母の介護をするための休みと思ったら、どちらかというと介護の体制を整えるためのものなんですね…。会社に確認してみます。 介護サービスの種類 そもそも、介護サービスにどんなものがあるのかよくわかっていません。どんなサービスを受けられるんでしょうか? 介護サービスは大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」があり、主な介護サービスには、以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 デイサービス ショートステイ 福祉用具レンタル 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム いろんなサービスがあるんですね! そうなんです。お話を聞く限りだと、訪問介護とデイサービスを利用するのが良いかもしれませんね。訪問介護は、自宅に訪問ヘルパーさんがやって来て、お母様の介助や家事などを代行してくれるサービス。お母様が1人になってしまう時間帯に訪問介護を見守り代わりに利用するのはどうでしょうか。また、デイサービスは介護施設に通って介護サービスを受けるもの。デイサービスに行っている間の、食事、入浴、排泄介助などはすべて施設に任せられますし、レクリエーションやリハビリなどもしてもらえるので、大山さんも安心してお仕事ができるんじゃないでしょうか。 デイサービス、良いですね。入浴の手伝いも大変なので、施設で入れてくれるのは助かります。 介護疲れをためずに介護をするには? 母の介護の時間を増やすためと、時間に余裕を持つために退職しようと思っていたんです。でも、例え介護サービスを使うとしても退職しないとなると、時間的にも体力的にも余裕がなくなりそうだな…。 在宅介護って大変ですよね。介護は長期戦ですから、どうしても疲れが溜まってきてしまうと思います。そういうときに、なるべく介護疲れを溜めずに介護を続ける方法をいくつかご紹介しますね。 介護について話を聞いてもらう 少しでも自分の時間を持つ ストレス発散に運動を取り入れてみる 介護施設への入居検討をする 介護について話を聞いてもらう 介護をしていると、どうしても精神面の負担も大きくなりがちです。そういうときは、介護について誰かに話を聞いてもらいましょう。他のご家族やご親戚でも良いですし、話しにくいときは介護経験のあるご友人でも良いと思います。 うーん。他に家族も身近な親戚もいないですし、介護の話ができる友人もいないですね…。 でしたら、「家族の会」に参加するのはどうでしょうか?家族の会は、認知症の人やご高齢者を介護しているご家族が作る団体。全国各地で家族が集まり、介護の相談や勉強会をする集会を開いています。「オレンジカフェ」「認知症カフェ」という名前で、認知症ご本人やその家族の集まりも全国でおこなわれています。そちらに参加するのも良いかもしれません。どちらの集まりに参加しても、介護の愚痴を誰かに聞いてもらうだけでも気持ちが楽になると思いますので、ぜひ参加してみてくださいね。 少しでも自分の時間を持つ 介護と仕事で多忙に過ごしていると、時間に追われて自分の時間って持てないですよね。それでも、ぼーっとする時間や趣味の時間を少しでも確保することが大切です。自分の時間を定期的に持つことで気分転換になって、介護にも集中できるようになると思います。 そんなこと言っても、忙しくて自分の時間なんて持てないですよ。働きながら介護しているんですから。 そうですよね…。自分の時間を作るためにも、介護サービスをどんどん活用してください。例えば、定期的にショートステイを活用するのがおすすめ。ショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービスで、最大30日連続で利用できます。宿泊している間の食事や入浴、排泄などの介助はすべて施設に任せられます。数日まとめてショートステイを利用すれば、安心してリフレッシュできると思いますよ。 え、リフレッシュですか?そんなことのために介護サービスを利用して良いんですか? もちろんです!介護をしている大山さんが倒れてしまっては元も子もありません。息抜きを忘れないでくださいね。 介護施設への入居検討をする 介護施設への入居もぜひ検討してください。介護は必ずしもご家族でしないといけないものではありません。在宅介護は負担が大きく、仕事をしながら続けるのはかなり難しいですから、介護施設への入居も視野に入れてみてください。先ほどお話ししたように、主な介護施設には以下のようなものがあります。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 介護は、完璧にしなくても良いんです。ご家族だけでするものでもありません。介護のプロの力を積極的に活用して、「楽な介護」をしてくださいね。 介護離職で負担が大きくなることも。介護サービスを利用しながら仕事を続けよう 介護サービスを利用するために、まず要介護認定を受けよう 誰かに介護の話を聞いてもらったり、少しでも自分の時間を確保しよう pre { margin: ...

2023/10/30

認知症 施設入居 介護疲れ

認知症の親を介護施設に入れようとしたら「親不孝者!」と親戚が猛反対。施設に入居させるのはいけないことですか?

親を介護施設に入れるのは親不孝ですか? 父の認知症がひどくて、常に目が離せない状態です。父は週6回、デイサービスに通っていますが、デイサービスのない日曜日やデイサービス以外の時間は、家族の誰かが付き添わないといけません。 家事に介護に仕事に…もう疲れました。なので、介護施設に入れようと思ったら親族に「親不孝者!」と言われてしまい…。もうどうして良いかわかりません。 (桑原さん・パート・64歳) 親御さんを介護施設に入れるのは、まったく親不孝なことではありませんよ!在宅介護はとても大変です。しんどいと感じても、そのまま頑張りすぎてしまうと、介護離職や介護うつになりかねません。なので、認知症の方を受け入れているグループホームや有料老人ホームなどの介護施設に入居するのは、桑原さんのためでありお父様のためにもなりますよ。 認知症の親を介護施設に入れるのは親不孝? 父の認知症がひどくなって、怒鳴り散らしたり、廊下などでおしっこをしてしまったり、目を離せなくなってしまいました。週6回デイサービスに通っているものの、デイサービス以外の時間やデイサービスのない日は常に家族の誰かが付き添っていないといけない状態です。仕事も家事も介護も…となると、もう限界。でも、父を介護施設に入れようと思ったら、親族に「親の介護は子どもの役目だろう、親不孝者!」と言われてしまって…。介護施設に入れるのは親不孝なのでしょうか? そんなことはありません!!在宅介護はとても大変なことです。認知症の方の介護は、特に大変なことでしょう。介護を支えている介護保険制度は、ご家族だけでなく社会でご高齢者を支援するために生まれました。今、利用されているデイサービスと同じように、介護施設に入居することも介護サービスのひとつですから、罪悪感を持たなくて良いんですよ。 そうなんですかね…。 桑原さんは「すべて自分がやらないと」と思っているかもしれませんが、介護は誰かの助けを借りたり、介護サービスを使いながらするものです。お父様が安心して生活するためにも、積極的に介護サービスを活用していきましょう! 入居後は頻繁に面会に行こう もしお父様が介護施設に入居したら、頻繁に面会に行きましょう。面会時におしゃべりや散歩、外食など、一緒に過ごす時間を意識して作ると良いでしょう。 それはどうしてですか? 今まで同居されていた親御さんが介護施設に入ると、一緒に過ごす時間が途端に減りますよね。家事や介護や仕事で精一杯な状況だと、一緒の時間を楽しむ余裕がないですが、施設に入って余裕ができることで一緒に過ごす時間を楽しめると思いますよ。適度な距離ができて一緒の時間が少なくなったからこそ、その時間を大切に感じられるようになると思いますよ。 「介護がしんどい」をそのままにしておくと…? うーん…。デイサービスを使えば、まだ自宅で介護を続けられそうですし、もう少しがんばろうかなとも思うんですが…。 桑原さんが無理をしていないのであれば、それでも良いと思います。ただ、無理をして介護を続けるのであれば、「介護離職」や「介護うつ」になってしまわないかが心配なんです。 介護離職と介護うつ、ですか? それぞれについて、詳しくお話ししますね。 介護離職 介護離職とは、介護が理由で仕事を辞めることです。当然ながら、収入が減って経済的に苦しくなりますし、おすすめはできません。 でも、仕事を辞めたら介護に集中できますし、時間に余裕ができそうですが…。現に私はパートの時間を短くしてもらっています。 確かに、仕事をしていた時間を介護や家事に回せるので、余裕ができるように思うかもしれません。でも、以下のように、「介護離職をしても負担が減るわけではない」という調査結果が出ているんです。 出典:「分科会B:介護~仕事と介護の両立 社員や企業が地域社会とつながることの可能性~」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング) 経済面の負担だけでなくて、精神面での負担も増している人が多いんですね!なぜでしょうか。 おそらく、仕事を辞めたことで生活が”介護一色”になってしまい、精神的な負担が大きくなったんでしょう。仕事を辞めると家庭の外との交流が一気に減りますから、気持ちの切り替えができずに、追い詰められてしまう可能性もあります。 私も離職を考えていましたが…仕事は辞めない方が良いんですね。 介護離職については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 介護うつ 介護うつとは、介護が原因でうつ状態になることです。介護をする人は心身ともに疲労が溜まりやすいうえに、介護を受ける人のことを優先してしまいがちなので、うつになりやすいんです。 うつ病ですか…。確かに介護で常に疲労が溜まっていますが、どんな状態だと介護うつだと言えるのでしょうか? 例えば、以下の中に思い当たるものがあれば、介護うつになっているかもしれないので、受診をおすすめします。 食欲がない 急に体重が減った 疲れているのに眠れない 何をするにも気力が湧かない 慢性的に頭痛や肩こりがある 常に気持ちが焦っている ネガティブ思考になりがち 食欲がなかったり、慢性的な頭痛や肩こりはありますね…。たまに眠れないときもあります。 もしかしたら、介護うつの状態かもしれません。まずは桑原さんの体調を優先して、病院へ行きましょう。介護疲れに関しては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症の人が入れる施設 北野室長の話を聞いていたら、やっぱり介護施設に父を入れた方が良いような気がしてきました…。在宅介護はこれ以上続けるのは難しいかもしれません。認知症の父でも入れる施設ってどんなところなんでしょうか? 施設入居について具体的に考えていただけて良かったです!認知症の方を受け入れている介護施設は、主に以下のようなものです。 グループホーム 有料老人ホーム 特別養護老人ホーム グループホーム グループホームは、認知症の方だけが入居できる施設。認知症の方の特性を理解したケアを提供しています。例えば、ユニットと呼ばれる最大9名の少人数単位で共同生活しており、認知症の影響で新しいことを覚えるのが苦手になった方でも、顔を覚えやすいように配慮されています。 共同生活ですか。父にできるかなぁ。 掃除や食事の準備などをご入居者がおこないますが、スタッフがサポートしながらなので問題ないと思いますよ。 有料老人ホーム 有料老人ホームも、認知症の方が入居できる施設のひとつです。有料老人ホームには、「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」があります。介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐、看護師も日中常駐しています。そのため、夜間帯にトイレ介助やオムツ交換が必要な場合や、持病などで健康面で不安がある方も入居可能です。もちろん、介護が十分配置されているので、認知症の方のケア体制もしっかりしていますし、終身利用が可能です。 父は高血圧なので、看護師さんがいるのは嬉しいですね。それに、トイレの誘導をしないとトイレまで行けないので、夜中も介護が必要なんですよね…。もうひとつの住宅型有料老人ホームは、どんな施設ですか? 住宅型有料老人ホームは、利用できる介護サービスを自由に選べるのが特徴の施設。介護付き有料老人ホームが、施設に常駐しているスタッフが介護サービスを提供するのに対して、住宅型有料老人ホームでは、外部の介護事業者と契約をすることでサービスを受けられます。そのため、住宅型有料老人ホームではデイサービスや訪問介護などをご自分で選択し、自由に組み合わせて介護サービスを受けられるんですね。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、要介護3以上の方が入居できる公的な介護施設です。民間の介護施設よりも安価で終身利用ができるため、とても人気の施設です。24時間の介護スタッフ常駐、日中の看護師の常駐など、しっかりした介護体制があります。認知症の方や寝たきりの方を介護をした実績も多数あるので、安心してお父様を任せられるでしょう。 安いのは助かります。それに、やっぱり最期まで介護してくれるところが良いですね。北野室長が教えてくれた施設を中心に、探してみようと思います。 介護施設はいろんなものがあって迷うことが多いと思います。もし、施設探しでお困りのことがあったら「いい介護 入居相談室」までお気軽にご相談くださいね。 親を介護施設に入れることは親不孝なことではない! 介護疲れをそのままにしておくと、介護離職・介護うつのリスク大 認知症の人が入れる施設には、グループホーム、特別養護老人ホームなどがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/09/28

在宅介護 介護疲れ

高齢の母親が他人の悪口ばかりでうんざり。どうやって対応したら良いでしょうか?

遠方の実家に母が一人暮らしをしています。このところ、帰省する度に近所の人の悪口や私への文句が止まらないのでうんざり。「ゴミ出しがきちんとできていない人がいる」「小学生がうるさい」といった他愛のないことですが、ぐちぐちと何度も言うので参っています。 もともと、ここまで愚痴っぽい人ではなかったのですが、ここまでひどいと帰る気もなくなります。母の悪口を減らす方法はないでしょうか? (成田さん・会社員・65歳) ちょっとしたことでも、帰省する度に悪口を言われるのはしんどいですよね。ただ、ご高齢者の悪口に対して、否定してしまうのはあまり良くありません。否定してしまうと「どうしてわかってくれないんだ」と感じて、さらに悪口がエスカレートする可能性があります。もし、悪口が増えたこと以外にも、物忘れ、日付がわからない、料理の手順がわからない、といったことがあれば認知症のおそれがあります。思い当たる場合は、病院で相談してみましょう。 悪口ばかりの高齢者への対応は? 実家で一人暮らしをしている母が、悪口ばかり話すようになってうんざりしています。帰省する度に、悪口や愚痴をずっと話していて、たまに帰るのも気が重くなるほど。昔はこんなに愚痴っぽい人ではなかったのですが…。帰る度に私や近所の人への文句が止まらないですし、帰省がストレスになっています。どうにか母の愚痴に上手く対応できる方法はないでしょうか? 帰省の度に悪口を聞かされるのはしんどいですよね…。次のような対処方法があります。 否定をしない 対等に話す 感謝を伝える ときには謝る 時間決めて聞き流す 介護サービスを利用する 専門家に相談する ひとつずつ、お話ししていきますね。 否定をしない たくさんの悪口を聞いていると、「それは違うでしょ」と否定したくなることもあるかもしれません。一旦、そういった否定したい気持ちを抑えて、共感したり、理解をしている態度を示してみましょう。 共感ですか。できるかな…。 「自分のことをわかってくれない」という思いで文句を言っていることもあります。そういう場合、お母様の言葉を否定してしまうと、さらに「わかってくれない」と感じて、悪口がエスカレートしてしまう可能性もあるんです。そのため、共感まではできなくても、「話はしっかり聞いているよ」という姿勢を示すだけでもお母様が安心するかもしれません。 対等に話す 親御さんがご高齢になると、お子さんが親御さんを「叱る」「注意する」といった場面が増えるかもしれません。ですが、子どものような扱いをするのはNG。あくまで、大人同士の対等な立場で話をしましょう。例えば、親御さんがご高齢になると「自分でやった方が早い」とお子さんがすべて家事をしてしまったり、「また悪口が始まった」と話を聞き流したり…。そのせいでお母様のプライドが傷ついて、文句や愚痴を言われることもありえます。 話半分に聞いていて、「いつも私の話を聞かない!」と長々と文句を言われたことがあります…。そのときは、ただうんざりしただけですが、私の態度が良くなかったんですね。 感謝を伝える ときには、感謝の気持ちを伝えましょう。シンプルな「ありがとう」「感謝しているよ」という言葉でも、口にすることが大切です。 うーん…。悪口ばかりで感謝の言葉を伝える気もなくなってしまうんですが…。 確かに、ご実家に帰る度に悪口を聞いていると、そういう気持ちになりますよね。そういうときは、アルバムで思い出の写真を見ながら、昔の出来事への感謝を伝えるのでも良いでしょう。悪口を言うご高齢者は、不安や焦りといった感情を持っていることが多いので、感謝を伝えることが自尊心の向上につながるでしょう。 ときには謝る もし、成田さんへの文句が続くときは、演技をして謝ることでお母様の気持ちが収まることもあるかもしれません。 演技をする?どういうことですか? なかには、普段のストレスを文句や悪口で解消していることがあります。お母様の場合、一人暮らしで寂しい気持ちを紛らわしている面もあるのかもしれません。なので、成田さんが一旦、謝ったり非を認めることでお母様の気持ちが収まって、文句も収まる可能性もありますよ。 時間決めて聞き流す 悪口を聞き続けるのは、とてもストレスがかかることですよね。でも、お母様の話をまったく聞かないのは、さらに悪口がエスカレートする可能性もあります。そこで、時間を決めて話を聞き流したり、話を変えるのもひとつの手です。例えば「文句は1日10分だけ聞く」「3分聞いたら話を変える」といったふうに、時間を定めておくと成田さんの気持ちが少し楽になると思いますよ。 介護サービスを利用する もし、お母様が介護認定を受けているのであれば、介護サービスを受けるのもおすすめです。一人暮らしだと、生活に刺激が少なくて気持ちがネガティブになりがち。落ち込んだ気持ちから誰かの悪口や文句を言っているのかもしれません。なので、デイサービスなどの人との交流する機会を作ると、生活にハリが出るでしょう。お母様はデイサービスを利用していますか? 母は、介護認定を受けて「要支援1」ではあるのですが、介護サービスは使ったことがなくて。今のところ一人で生活はできていますし、必要ないんじゃないですか? 介護サービスは介護が必要になってからだけではなく、介護予防としても利用できるんです。特にデイサービスは、レクリエーションや体操などで体を動かす機会もありますし、運動不足の解消や、気分転換にもなると思います。 専門家に相談する 愚痴っぽいだけで、専門家に相談するんですか? はい。以前はそんなことがなかったのに、「悪口が増えた」「愚痴っぽくなった」というときは認知症や何かしらの病気が隠れている可能性があります。なので、前にお話しした対応方法をしても悪口が収まらない場合は、医師やケアマネジャーなどの専門家に相談することをおすすめします。 悪口ばかりなのは認知症の前触れかも 悪口ばかり話すのが、どうして認知症の前触れになるんですか? 認知症の症状の中に、「攻撃的な言動」「被害妄想」というものがあります。これらのせいで、悪口や文句が増えている可能性があるからです。「攻撃的な言動」「被害妄想」は、認知症の周辺症状(BPSD)と呼ばれるものです。記憶障害などの中核症状による不安やストレスから引き起こされる、二次的な症状を周辺症状と言います。つまり、他人への悪口や文句は、被害妄想による攻撃的な言動である可能性があるということです。 ただ愚痴っぽくなっただけ、と聞き流していましたが、認知症の可能性があるなんて…。 特に、「以前は愚痴っぽくなかった」という人は要注意。以下が認知症の初期症状なので、他の症状も現れていないか確認してください。 少し前の出来事をすぐに忘れてしまう 時間や場所がわからない 役所の手続きやATMでのお金の出し入れができなくなる 料理の手順がわからなくなったり、味付けを間違える 自分のものを盗まれたと疑う ちなみに、「怒りっぽくなった」というのも認知症の前兆の可能性があります。詳しくは以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 高齢者が悪口ばかりになる理由は? 母は、以前はそこまで愚痴っぽい人ではなかったんですが、どうしてこんなに悪口ばかり言うようになってしまったんでしょう?歳のせいだと思っていましたが、何か理由があるんでしょうか? 確かに、年齢の影響はあるかもしれません。例えば、ご高齢者が悪口ばかり言うようになることについて、以下のような理由が考えられます。 できないことが増えていらだっている プライドが高くなっている 孤独感がある 被害妄想がある できないことが増えていらだっている 元気なご高齢者でも、できないことや記憶力などの低下を感じる場面が若い頃と比べて増えていることが大半でしょう。昔と同じようにできないことのいらだちが、誰かへの悪口や文句という形になっているのかもしれません。 そういえば、母も最近、体が思うように動かなくなっていらだっている様子がありました。できないことが増えてきて、いらだっているのかな…。 プライドが高くなっている 年齢とともに経験を重ねることで、プライドが高くなっていることが誰かへの悪口につながっている可能性もあります。例えば、「若い人はわかっていない」「年上だから自分の方がえらい」といった思いから悪口を言っているのかもしれません。 孤独感がある 定年を迎えたり、体力的な面から外出の機会が減るため、ご高齢者は人との交流が減る傾向があります。一人暮らしだとなおさらですよね。一人の時間が増えると、「誰も相手をしてくれない」「かまってくれない」と孤独感が強くなってしまうでしょう。そうした不満が悪口につながっているのかもしれません。 被害妄想がある 被害妄想については、認知症の症状のひとつとしてお伝えしましたね。詳しくお話しすると、認知症などの影響で記憶力が低下することで被害妄想が始まることがあるんです。 なんで、記憶力の低下が被害妄想につながるんですか? 例えば、認知症による被害妄想の主なもののひとつに「物盗られ妄想」があります。これは、財布やお金などの大切なものを盗まれたと思い込むこと。大切なものを自分でしまったのに、しまったこと自体を忘れてしまって「盗まれた」と思い込む被害妄想です。認知症による物忘れは、直近の行動や出来事をまるごと忘れてしまうのが特徴。「どこにしまったのかを忘れる」のではなく、「しまったこと自体を忘れる」ので、自分でしまったのではなく盗まれたと考えてしまうんですね。 えぇ…、そんなことが起こるんですね。 物盗られ妄想から、「近所の◯◯さんに財布を盗まれた」のような根拠のない悪口が始まることもありえます。悪口の内容が「不自然だな」と、感じたら認知症の可能性を考えても良いかもしれません。ご高齢者が悪口ばかり言う背景には、加齢によるいらだちや孤独感、さらには認知症の可能性も隠れているかもしれません。耳を傾けるのはストレスが大きいことですが、ある程度は聞き流しつつも、その裏の本当の訴えも気にかけてみてください。 悪口ばかりでも、共感する、対等に話すといった対応を心がけて 悪口は認知症の前兆かも。他の初期症状がないかチェックしてみて できないことが増えている、孤独感などから悪口がエスカレートしていることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...

2023/09/12

認知症 施設入居 介護疲れ

認知症の母親を施設に入れたい!認知症でも入れる施設はある?

認知症の母を老人ホームに入れようか迷っています。最近、汚れた尿パッドを自分で片付けられなくなり、タンスの奥にしまい込んでいるのをみつけてしまいました。そんなことが毎日なので、もううんざりです。でも、まだ一人暮らしはできているし、施設に入れるのは早いのかな、とも思っています。 そもそも、認知症の母を受け入れてくれる施設はあるのでしょうか?認知症になってしまうと、介護施設に入れませんか? (早川さん・パート・64歳) 認知症という理由だけで介護施設に入居を断られることはまずありませんよ!むしろ、ご入居者のほとんどが認知症である施設は珍しくないんです。もし、入居のタイミングを迷っているようでしたら、「自宅で暮らし続けるのが不安かどうか」をひとつの判断基準にしてみてください。お母様が「一人で外出して帰って来れなくなった」という状態になったり、介護をしている早川さんの仕事や家事に影響が出ている状況でしたら、施設に入居することをおすすめします。 認知症でも入れる介護施設はある? 認知症の母を介護施設に入居させるかどうか迷っています。最近、使用済みの尿パッドの片付け方がわからなくなったのか、タンスの引き出しの奥にしまいこむようになってしまいました。なので、いつも部屋の中がひどい匂いがして…。毎日のように私が通って介護しているのですが、匂いがひどいので行くのも気が滅入っています。でも、認知症だと老人ホームに入れたくても受け入れてくれないでしょうか? そんなことはありませんよ!認知症というだけで、入居を断る老人ホームはほとんどありません。むしろ、ご入居者のほとんどが認知症の方、という施設も珍しくないんです。 そうなんですね!それなら良かったです。でも、介護施設っていろいろありますよね?この間ネットで調べてみたら、たくさんありすぎてよくわからなくて…。 そうですよね。ひとくちに「介護施設」と言ってもたくさん種類があります。正直なところ、とてもややこしいです。なので、認知症の方の受け入れができる主な介護施設を次にまとめてみました。 特別養護老人ホーム(特養) 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム あ、「特別養護老人ホーム」は聞いたことがあります。友達のお母さんが入所していたような…。 特養は公的な介護施設ということもあり費用が安いので、比較的身近な介護施設かもしれません。ただ、入所するにはいくつか条件があって「要介護3以上」の介護認定を受けている人でないと入れません。それでも費用が安くて終身利用ができる施設のため人気が高く、多くの特養は満室。入居まで1年以上待つ、なんてこともあるんです。 特別養護老人ホームとは 特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設で、略して「特養(以下、特養)」とも呼ばれています。公的な介護施設で、次の3つの特徴があります。 老人ホームの中では比較的安価に入所できる看取りの対応が可能な施設も多く、終身で利用できる入所待機者が多く、地域によっては入所までに数年かかることもある 特養では、入浴や排泄・食事といった介護のほか、日常生活の介助・機能訓練・健康管理・療養上のお世話などが受けられます。終身での利用ができるため、「終の棲家(ついのすみか)」として選ぶ方の多い施設です。 えっ!1年以上も待つんですか!?そんなに人気なんですね…。 はい。なので、すぐに介護施設に入居したい場合は、民間企業が運営している施設をおすすめします。例えば、「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」。有料老人ホームには「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類あり、介護付きの方がより介護体制が充実しているのが特徴です。介護付きであれば介護度が重くなっても対応ができます。もし、長期的に利用することを考えているのであれば、介護付きがおすすめです。 介護付き有料老人ホームとは 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 なるほど…。もうひとつの「サービス付き高齢者向け住宅」というのはどういう施設ですか? サ高住は、基本的には介護の必要のない”自立”の人向けの施設。ただ、最近では訪問介護サービスの事業所やデイサービスを併設している施設もあり、介護が必要な人にも対応できるサ高住が増えています。ただ、介護付き有料老人ホームが介護サービス費がどれだけ利用しても変わらない定額制であるのに対して、一部の例外を除いたほとんどのサ高住では介護サービス費は利用した分だけお金がかかります。なので、介護が必要な量が増えると介護サービス費がかさむため、常に介護が必要な人にはおすすめできません。介護サービス費が定額制になっている「特定施設」のサ高住については、以前のご相談でお答えしています。こちらも参考にしてみてくださいね。 うーん…。このまま母の認知症が進んだら、介護の必要な量が増えると思うんですよね。となったら、介護付きの方が良いのかしら…。 もしくは、認知症を発症していてもお体が元気な方にぴったりな施設があります。それが、「グループホーム」です。グループホームは、認知症の方限定の施設。要支援2以上でグループホームがある市区町村に住民票がないといけない、という入居条件はありますが、認知症ケアに特化しているので安心して生活できると思いますよ。 ...

2023/02/20

認知症 在宅介護 介護疲れ

怒りっぽくなったのは認知症の初期症状のせい?母親がすぐ怒るのはなぜですか

最近、介護をしている母が怒りっぽくなったような気がします。母は認知症になってから物忘れが多くなり、半日前に話したことも忘れてしまいます。それを指摘すると「そんなことは話してない!」と怒鳴り出すんです。 母が認知症とわかってから段々、怒りっぽくなってきたように思うのですが、認知症になると怒りっぽくなることがあるのでしょうか? (内藤さん・会社員・60歳) はい。認知症の初期症状で怒りっぽくなることがあります。認知症になると、これまで何気なくできていたことができなくなったり、周囲の状況が理解できなくてストレスに感じることが増えていきます。そのいらだちをご家族にぶつけてしまうのかもしれません。なので、そういうときはお母様の言葉や行動を否定せず、まずはよく話を聞いて怒りに共感してみましょう。話を聞いているうちに、いらだっている原因がわかるかもしれません。ただ、あまりにも興奮して暴言を吐いたり、暴力を振るうような状態であれば、一度、距離をおいて落ち着くのを待ちましょう。 なぜ認知症で怒りっぽくなる? 同居している母がちょっとしたことで怒るので、毎日それに振り回されて疲れました。昔は快活で笑顔の絶えない人だったのに、今は少し注意しただけでものすごい勢いで怒鳴り出します。認知症の診断を受けた先月くらいから怒りっぽくなったような気がするのですが、もしかして認知症の症状だったりするんでしょうか? うーん、その可能性はありますね。というのも、認知症の初期症状のせいで性格が変わってしまったかのうように、怒りっぽくなる人は珍しくないんです。 やっぱり!でも、なんで認知症になると怒りっぽくなるんですか? まず、脳の感情をコントロールする機能が低下していくことが原因として挙げられます。通常、怒りを感じることがあっても脳の感情を制御する機能のおかげで、怒りを爆発させずに済みます。ですが、認知症になるとその他の脳の機能と同じように感情を制御する機能が低下してしまうので、ちょっとしたことでも感情を爆発させてしまうんですね。 そうなんですね。認知症になって低下するのは、記憶する力だけじゃないんだ…。 認知症の初期症状とは 認知症の初期症状は、認知症の種類によっても異なりますが、「もの忘れ」がきっかけとなり気づくことが多いようです。 また、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力・判断力の低下も、比較的初期からはじまります。これにより、これまでできていたことができなくなくなったり、精神的に混乱するなどのさまざまな兆候が現れます。 ここからは、認知症のサインとなる症状を紹介します。 もの忘れ 少し前の出来事をすぐに忘れてしまう同じことを何度も聞いたり話したりする置き忘れやしまい忘れが増え、いつも何かを探している約束をすっぽかしたり、約束をしたこと自体を忘れてしまう人やものの名前が出てこなくなり、「あれ」や「それ」で指すことが増える同じものを何度も買ってきてしまう 時間や場所がわからない 今日の日付が言えなくなったり、今の季節がわからなくなる普段から通っている道でも迷ってしまう過去の出来事がどれくらい前のことなのかわからなくなる 理解力・判断力の低下 役所の手続きやATMでのお金の出し入れができなくなるテレビドラマの筋が途中でわからなくなる運転ミスが増えたり、事故を起こす 仕事や趣味、身の回りのことができない 仕事や趣味の段取りが悪くなったり、時間がかかるようになる料理の手順がわからなくなったり、味付けを間違える季節に合わせた服装を選べなくなる家電の使い方がわからなくなる入浴の仕方や服を着る順番がわからなくなるトイレが間に合わないことが多くなる 精神的混乱や落ち込み 一人になるのを不安がったり、怖がったりする趣味などの好きなことにも興味が持てなくなり、ふさぎこんだり、何をするにもおっくうがるイライラしたり怒りっぽくなる存在しない人やものを見えると言う自分のものを盗まれたと疑う目的があって出かけても、途中で目的がわからなくなり混乱する 認知症になると、記憶障害に加えて、自分が今いる場所や時間がわからなくなる「見当識障害」などさまざまな症状が現れます。すると、これまで普通にできていたことが急にできなくなったり、できないことを誰かに指摘されることが増えていきますよね。それによって自尊心が傷つけられたり、できないことが増えていく苛立ちを感じるようになるんです。 「できないことが増えていく苛立ち」ですか…。 周囲の人も親切心から「これはできないから手伝おうか」と声をかけますよね。すると、それが引き金となってそれまで溜まっていた苛立ちが爆発してしまう…ということもあり得るんです。 あぁ!それは思い当たります。身体を洗い忘れたり髪の毛のシャンプーを流し忘れたりすることがあったのでお風呂を手伝おうと声をかけたら、「1人でできるから手を出すな!」と怒鳴られてしまいました。手伝おうとすることで母の自尊心を傷つけていたんですね…。 そうですね。もしかしたら「1人でできないと思われている」と感じてしまったのかもしれません。また、自分の体調不良をうまく表現できなくて怒っていることもあり得ます。 体調不良で怒っているんですか? 認知症が進行すると、身体の痛みや発熱、便秘などで身体に不調があってもそれを自分で理解できなくなることがあるんです。通常だと「腰が痛むから湿布を貼っておこう」「熱っぽいから早めに寝よう」と、自分の体調不良を正確に感じて、それに対応できますよね。でも、認知症の人は「腰が痛い」「熱っぽい」といった感覚を的確に把握できず、でも不快なので怒りに転換してしまうことがあるんです。 そんなこともあるんですね!知らなかった…。 つまり、認知症になると怒りっぽくなるのは、精神的・肉体的ストレスをうまくコントロールできなくて、怒りとして発散している、と言えますね。 認知症で怒りっぽくなったらどうすれば良い? 母が怒りっぽくなった理由がなんとなくわかって少し安心しました。だからって母の対応をするのが疲れるのは変わりません。何か良い方法はありませんか? まずは、お母様の話をよく聞いてあげることが大事です。 聞いてますよ!でも、何度も同じ質問をしてきたり、とんちんかんなことばかりしゃべるので聞いているこちらがイライラしてきてしまって…。 内藤さんのお気持ちはわかります。ただ、おそらくお母様は認知症の症状が進行して、とても不安な状態です。不安やストレスを軽くするには、話をよく聞いて怒りの感情に共感してあげることが大切です。介護やお仕事で疲れているとその余裕がなくなりがちですが、共感して話を聞いていく中でお母様が不安に感じている原因がわかるかもしれませんよ。ただ、お母様ご自身も怒っている原因がわかっていない可能性があるので、怒っている理由は問い詰めないようにするのも重要です。 なるほど…。先日、怒る母に「なんでそんなにすぐ怒るの」と怒鳴り返してしまったことがありましたが、良くないことだったんですね。 介護で疲れていると、冷静に対応する余裕がなくなることもありますよね…。もし、内藤さんの余裕が全くなくなってしまったり、お母様が興奮しすぎて暴言や暴力が見られるときは、一時的に距離を置くこともひとつの手です。別の部屋に移動したりして、物理的に離れるとお互いに気持ちが落ち着くと思いますよ。 確かに…。今度、イライラしたら別の部屋に離れてみようと思います。 もしかしたら、それでも疲れやストレスが溜まっていることもあるかもしれません。そういうときは、短期間の宿泊ができる介護サービスの「ショートステイ」を利用して”介護休み”を作っても良いかもしれません。どうしても、介護を受ける側の体調や生活が優先されてしまうことが多いのですが、それで介護する人が倒れてしまってはいけません。なので、たまには休みを作りながら介護を続けていってくださいね。 脳の機能が低下することで怒りっぽくなることがある 認知症になって自分を否定されることが増えて怒りにつながることも 怒りだしても否定するのはNG。まずは話をよく聞いて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/01/06

施設入居 在宅介護 介護疲れ

わがままな父親の介護が限界!イライラしたときのストレス解消法を教えてください

同居する父の介護をしています。食事を用意しても「固い」「味が薄い」と文句を言って食べなかったり、トイレに失敗した服を片付けずにそのままにしていたりと、とにかくわがまままでイライラします。 このままだと、介護のストレスでどうにかなってしまいそうです。介護のストレスを軽減するような方法はないでしょうか? (久保田さん・パート・62歳) 介護のストレスを溜めすい人は、頑張りすぎてしまったり、1人で抱え込んでしまう傾向があります。なので、ご家族やご友人、ケアマネジャーなどに愚痴を聞いてもらったりして、ストレスを吐き出す機会を作りましょう。また、介護サービスを積極的に利用して自分の時間を作り、趣味を楽しんだり旅行に行ったりと、リフレッシュする機会も大切にしてください。 介護のストレスを軽くする方法は? 同居している父の介護をしているのですが、とてもわがままで困っています。やわらかい食事を出しているのにそれでも「固い」とか、濃い味が好きなので「味が薄くてまずい」と言って食べないんです。それに最近はトイレに間に合わないことも増えてきて、汚れた服を脱ぎ捨てておくのもストレスです。ちょっとでも指摘するとものすごい勢いで怒鳴りだすし…。こんな毎日なので、常にイライラしています。何か介護のストレスを軽くする方法はありませんか? 介護は精神的にも身体的にも負担が大きいので、ストレスが溜まりますよね…。だからこそ、ストレスを溜めにくい心構えを身につけ、介護サービスを上手く組み合わせて介護にのぞむことで介護のイライラが軽減できることがあります。介護のストレスを溜めにくい「心構え」と介護サービスの上手い使い方について、順番にお話ししていきますね。 ストレスを溜めにくい心構えとは 介護をするのに「心構え」が必要なんですか? 何も、特別なことが必要なわけではありません。ただ、この心構えを身につけるだけで精神的な負担が減ると思います。その心構えというのは、以下のようなことです。 頑張りすぎない 弱音を吐く 自分の時間を作る 介護の知識を身に付ける 「頑張りすぎない」ってどういうことですか?頑張らないと介護はできないですよ。 頑張ること自体はとても大切なことです。でも、介護をする人が自分を犠牲にしてまで頑張りすぎてしまうのはよくありません。「自分がやらないと」と1人で抱えこんでしまうと、介護する人が体調を崩してしまって「共倒れ」になりかねません。あくまでも、「自分ができる範囲で頑張る」という気持ちで介護をすることが重要です。 あー、なるほど。どうしても父と私の二人暮らしなので、「私がやらないと」と思ってしまっていました。少し離れたところに住む弟もたまに手伝ってくれますが、あまり頼っていませんでしたね…。 そうですね、誰かに頼ることは大切です。特にご家族は直接関係することですし、お父様の状況の共有もかねて弟さんに愚痴を言ったり弱音を吐くのもストレスを溜めないようにするのに良い手だと思います。その他にも、担当のケアマネジャーさんに今困っていることやストレスに感じていることを素直に伝えてください。ケアマネジャーさんも久保田さんの状況を考慮したケアプランを組み直してくれるはずですよ。 ケアマネジャーさんに、介護の愚痴を言ったことはありませんでした。そういうことも言って良いんですね。 もちろんです。ケアマネジャーさんは、お父様の状況だけでなくご家族の状況も考えながらケアプランを作成するのが仕事です。なので、久保田さんが現状のままだと苦しいのであれば、よく話を聞いたうえでケアプランを組み直してくれるでしょう。それに、介護のストレスを軽減するには、自分の時間を作ることも重要です。ケアマネジャーさんに介護サービスを活用して久保田さんの時間を確保できるように相談してみるのも良いかもしれませんよ。 自分の時間なんて、介護が始まってからまったくありませんでした。ずっと父の介護のことを考えて生活してきたので…。 介護サービスを利用して時間に余裕が出てきたら、介護について勉強してみるのはどうでしょうか?在宅介護をする人の多くが知識がまったくない状態で介護が始まります。しかし、何も知識がないままに介護をすると、手間取ったり間違った方法で介助をしたりして、非効率になってしまいますよね。そのため、勉強をして介護を効率化すると、時間的にも身体的にも余裕が生まれてストレスが軽くなりますよ。 介護のスキルを身に付けよう 日常的に介護をしていると、被介護者を抱きかかえたり、起こしたりする場面が多くあります。大人一人を抱きかかえるのは腰や膝に負担がかかり、体力的にも厳しい作業です。 「どんな態勢なら被介護者が違和感なく移動できるか」「どのように体を動かせば介護者の身体の負担を減らせるか」といった介護におけるスキルを身につけておけば、おむつ替えや着替え、排泄介助や入浴介助が楽になります。 自治体や地域によっては、家族向けの介護教室や、初めて介護する人向けのイベントなどが開催されることもあるので確認しましょう。 介護サービスを活用しよう もうひとつのストレスを軽減させる方法が、介護サービスを利用することです。お父様は、今は介護サービスを利用していますか? えーと、ベッドの横に置く手すりをレンタルしているくらいですね。 そうなんですね。でしたら、もっと他の在宅介護サービスを利用すると、介護が楽になると思いますよ! 在宅介護サービスって、よくわからないんですよね…。例えばどんなサービスがあるんですか? 主な在宅介護サービスには、以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション デイサービス デイケア ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 福祉用具レンタル こんなにたくさんあるなんて知りませんでした。どのサービスを使ったら良いんでしょう? 先ほどもお話ししたように、久保田さんのご自身の時間を作るのであれば、デイサービスやショートステイを利用すると良いかもしれません。デイサービスは、日帰りで介護施設を利用するサービス。だいだい9~17時でサービスを提供しており、昼食や入浴介助、レクリエーションをおこなっています。 デイサービスとは デイサービスとは、施設に入居することなく、自宅から通所しリハビリテーションや介護サービスを受けることで、高齢者のQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上を目指す施設です。 デイサービスを利用する場合は施設から車で自宅まで迎えにきてくれるので、歩行に自信がない方でも利用できます。 ただし、施設の送迎範囲が決まっているので、その範囲外の場合はその施設をその施設の利用はできません。基本的にデイサービスは地域住民のためのサービスという特徴があるからです。 ...

2022/11/22

認知症 認知症対策 在宅介護 介護疲れ

認知症の母親に「財布を盗った」と泥棒扱いされて困っています。対応方法を教えてください

認知症の母親の物盗られ妄想がひどくて困っています。毎日のように「財布を盗られた」と騒ぎ、いつも犯人は私。私が「盗んでいない」と言っても理解してくれず、ケンカのようになってしまってとても疲れます。何か良い対応方法はないでしょうか? (小島さん・パート・63歳) 物盗られ妄想で、泥棒扱いされてしまうとつらいですよね。物盗られ妄想が出たときに大切なのは、「発言に対して共感する」ということです。否定も肯定もせずに「大変だったね」と言うだけでも落ち着くことがあります。また、認知症の進行で介護の負担が大きくなっている場合は、介護サービスの量を増やしたり老人ホームなどの介護施設への入居も検討してみてください。 物盗られ妄想の原因とは? 認知症の母の介護をしています。最近、母が「財布が盗まれた」と言うことが多くなっています。しかも、私が盗んだと言うんです!これまでも、自分で財布をしまいこんでどこにやったかわからなくなることはあったのですが…。何でこんなことを言うようになったのでしょうか? お母様の状態は、いわゆる「物盗られ妄想」でしょう。物盗られ妄想は、認知症によって記憶障害が起こっていることで現れるとされている症状です。 記憶障害って、記憶ができなくなるということですよね? そうです。記憶障害は認知症の中核症状のひとつで、ほとんどの認知症の人に現れる症状です。特に新しい記憶を覚えられなくなるのが特徴で、「何度も同じことを話す」「さっき聞いたことを再び質問する」といったことも、記憶障害の影響です。 記憶障害 認知症の中でも、最もわかりやすいのが記憶障害です。 記憶障害はもの忘れとよく混同されますが、記憶障害ともの忘れは根本的に異なります。もの忘れは「何かを忘れている」ことは理解できますが、記憶障害になると、忘れているという記憶すらなくなるのです。 例えば、普通のもの忘れであれば会う約束の時間をうっかり忘れてしまっても、指摘されると思い出すことができます。しかし、記憶障害になると約束したこと自体もすっぽりと記憶からなくなってしまうのです。 例)失われやすい短期記憶 数時間前に会った人の名前 何を買うために外出したか 何を話そうとして電話したか 例)保たれやすい長期記憶 子供の時の思い出 昔の楽しかった出来事 思い出の旅行 母も私によく同じ質問をします。…でも、その記憶障害が物盗られ妄想とどんな関係があるんですか? 新しいことを記憶できないということは、「自分で財布をしまった」記憶を忘れているということなんですね。なので、「どこかにしまった記憶がないので、誰かに盗まれたに違いない」と思い込んでしまうんです。 なるほど…。ちなみに、いつも私が財布を盗んだ犯人にされてしまうんです。これはどうしてなんでしょう? おそらく、認知症によっていろんなことが思い通りにできなくなっていることに不安感や怒りを感じていて、身近なご家族にやつあたりしているのかもしれません。それか、誰かのせいにすることで自分がいろんなことができなくなっていることから目をそらしていることも考えられます。 うーん、そんな理由があったんですね。大変な思いをして毎日介護をしているのに、何で私が犯人にされるのか腹が立っていたんですが、ちょっとだけ納得しました。 物盗られ妄想への対応 物盗られ妄想の理由はわかったのですが、これからどう対応したら良いのかがわかりません。いつも私が盗んだことにされるので、どうしても怒ってしまって。毎回ケンカになってしまうんです。 実際はそうではないとは言え、犯人にされるのはつらいですよね。うまく対応できる方法を知っていれば、ケンカが減るかもしれません。物盗られ妄想への対応で大切なのは、落ち着いて話を聞くことです。まずはお母様の話に耳を傾け、「それは大変だね」と共感してみてください。「私は盗んでない」と話を否定してしまうとお母様が興奮してしまう可能性もありますから。 そうなんです!さらにきつい口調で私を責めてきて、お互いにヒートアップしてしまうんです。だからといって、私が盗んだと肯定したら本当に私が犯人になってしまいますよね? いえ、肯定はしなくて良いんです。肯定はせずに「財布がないのは大変だね」と共感するだけでOKです。それから、一緒に財布を探してみてください。それで財布が見つかったら「よかったね」と前向きな声掛けをすれば、お母様の安心感も高まるでしょう。それに、もしかしたら家の中を探し回っている間に気が紛れて財布を探していたことを忘れてしまうこともあります。むしろ、あえて探しているときに、テレビや食事の話をして財布から気をそらせるという手もありますよ。 なるほど!それは良いですね!今度から一緒に家の中を探してみます。 ちなみに、普段から認知症の人は不安感を持っていることが多いです。なので、落ち着いているときに何か不安に思っていることはないか聞いてみるのも良いでしょう。そうした普段からのコミュニケーションで妄想が減ることもありますよ。 介護サービスをうまく活用しよう 物盗られ妄想があると、実際は盗んでいなくても責められている気持ちになるので精神的な負担が大きいと思います。小島さんはつらくないですか? つらいというよりは疲れました…。物盗られ妄想がほとんど毎日のことなので毎日ケンカしているような状況です。 そうなんですね…。介護の負担を1人で抱え込んでしまうと、介護している人が倒れてしまいかねません。なので、介護のプロにお願いしてみましょう。今は介護サービスを利用していますか? デイサービスに週2回通っています。 可能であればデイサービスの回数を増やしたり、ショートステイを利用するのも良いかもしれません。 デイサービスとは デイサービスとは、施設に入居することなく、自宅から通所しリハビリテーションや介護サービスを受けることで、高齢者のQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上を目指す施設です。 デイサービスを利用する場合は施設から車で自宅まで迎えにきてくれるので、歩行に自信がない方でも利用できます。 ただし、施設の送迎範囲が決まっているので、その範囲外の場合はその施設をその施設の利用はできません。基本的にデイサービスは地域住民のためのサービスという特徴があるからです。 デイサービスでは、介護職員や理学療法士、看護師などの専門スタッフがサービスを提供。決められた時間に高齢者の機能訓練や集団でのレクリエーションなどを担当します。 自宅にこもりがちになる高齢者にとっては、外部との交流が持てることも嬉しいポイントです。 ショートステイですか?聞いたことはありますが…。 ショートステイというのは、短期間、介護施設に宿泊できるサービスです。施設ではレクリエーションなどを受けられるのでご本人の気分転換にもなりますが、何より介護をするご家族のリフレッシュになるんです。ショートステイを利用して、数日間、介護から離れて自分のことをしたり、旅行に行っている人もいますよ。 へー、そういうサービスなんですね。でも、母を預けて旅行に行くのは気が引けます…。 いえいえ、介護は長期戦です。「介護がある間は旅行に行けない」と考えてしまうと、小島さんがリフレッシュする機会がなくなって、つらくなってしまいます。それをそのままにしておくと、介護の疲れから「介護うつ」になってしまいかねません。定期的にショートステイを利用して賢く休んでいる人もいます。まずは、担当のケアマネジャーさんに相談してみてください。 ...

2022/09/22

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

article-image

グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト