Q&A
父が入居している老人ホームから、「そろそろお看取りかもしれません」と言われました。「看取り」と言われて亡くなるまではどれくらいの期間があるものでしょうか?大まかでも良いので父の残りの時間を知って覚悟しておきたいです。 (谷さん・61歳) お看取りの期間はかなり個人差が大きいためなんとも言えないのが正直なところです。施設側で看取りケアを始めてから1ヵ月ほどで亡くなる方もいれば、数年後に亡くなる方もいます。ただ、最期のときが近づくにつれてだんだんお父様の状態が変化していくので、経過を把握しておくことで大まかな時期がわかるでしょう。特に亡くなる直前は眠っている時間が長くなって反応がなくなり、のどがゴロゴロと鳴ることがあります。 老人ホームでの看取りの期間はどれくらい? 父が入居している老人ホームから「そろそろお看取りかもしれません」と言われています。施設から「看取り」と言われて亡くなるまでの期間はどれくらいのものなのでしょうか?父は87歳と高齢なので想定はしていたことですが、いつ亡くなるのかを知って覚悟をしておきたいです。 うーん…。申し訳ないのですが、正直なところお看取りの期間は個人差が大きく、なんとも言えないのが正直なところなんです。老人ホームで看取りケアを開始してから1ヵ月以内で亡くなることもあれば、数年後に亡くなることもあります。 1ヵ月以内から数年…。確かにわからないですね。 ただ、最期のときが近づくにつれてお父様の状態は変化していきます。その変化で大まかな最期のタイミングがわかると思いますよ。 看取りのはじめ 看取りケアが始まってしばらくは以下のような状態が見られます。 体重が減少する 食欲が低下する 尿量が減少する せん妄が起こる 最期のときが近づくと、食欲が低下して食事量や体重、尿量が減っていきます。噛んだり飲み込んだりする機能が低下するため、施設ではやわらかい食事やペースト状の食事を提供。食事が摂れない場合も無理をせずに、好きなものや、アイスクリーム、高栄養ゼリーなどの食べやすいものを食べてもらうようにします。また、体力が低下して誤嚥性肺炎などの感染症にかかりやすくなっているので、老人ホームでは口腔ケアを徹底し、口の中の清潔に努めます。 父は今は食事は摂れているようなので、まだ大丈夫かな。父の好きなアイスクリームがあるので、差し入れに持っていこうと思います。その次の「せん妄」とはなんですか? せん妄とは、意識障害のことです。時間や場所がわからなくなって混乱したり、つじつまの合わないことを言ったり、急に興奮することがあります。また、逆にぼーっとしたり、ウトウトと居眠りをすることもあります。老人ホームでは、つじつまの合わない話をしていても否定せずに傾聴したり、興奮している場合は落ち着けるような声掛けをするなどの対応をします。普段と違う様子があっても、なるべくいつも通りに過ごせるように配慮しているんですね。 自宅で介護していて急に興奮し始めたら戸惑ってしまいそうですが、プロがそばにいるなら安心ですね。 亡くなる直前 亡くなる直前になると、以下のような状態になります。このような状態になると、施設側から最期が近い旨を伝えられるかもしれません。 食べ物や飲み物がほとんど取れなくなる のどがゴロゴロ鳴る 眠っている時間が長くなる 反応がなくなる 亡くなる直前は、水分を口に運んでも飲めなくなります。口の中が乾燥しているためたんをうまく出せず、のどからゴロゴロとした音がすることがあります。このようなときはぬらしたガーゼやスポンジで口内のたんを取り除き、湿らせる対応をします。また、眠っているような状態で話しかけてもほとんど反応がなくなります。しかし、反応がなくても最後まで耳は聞こえていると言われているので、老人ホームではこまめに声掛けをしたりご本人が好きな音楽をかけたりして、孤独を感じないような配慮をしています。 そんな状態になるんですね…。老人ホームでは、寝たきりになって話もできなくなったら寝かせきりになってしまうのかと思っていましたが、いろいろと配慮してくれると聞いて安心しました。 ターミナルケア、緩和ケアとの違い 北野 看取りケアによく似ているものに「ターミナルケア」「緩和ケア」というものがあります。混同しやすいので、看取りケアとの違いを簡単にまとめました。 ターミナルケア:「終末医療」とも呼ばれる。点滴や酸素吸入などの医療ケアを中心とした対応 緩和ケア:痛みを緩和するためのケア。がんの疼痛コントロールなど、投薬などによる治療をおこなう 看取りケア:医療的ケアをおこなわず、日常生活のケアを中心におこなう 老人ホームでの看取りケアの内容 老人ホームでの看取りケアは、以下のように大まかに3種類に分かれます。どんなケアをしてもらえるのか、事前に把握しておくと安心できるんじゃないでしょうか。 身体的なケア 精神的なケア 家族へのケア 身体的なケア 身体的なケアとは、以下のような対応をすることです。 清潔の保持(口腔ケア、入浴、ベッドのシーツ交換など) 身体的苦痛の緩和(床ずれ防止など) 栄養や水分補給 排せつ バイタルサインのチェック 老人ホームは医療機関ではないので、延命のための医療行為は基本的にできません。そのため、入浴や清潔保持、排泄、食事といったいつも通りのケアに加えて、寝たきりになった際に床ずれ防止などの苦痛の防止・緩和をおこないます。看取りケアを始めるといっても、通常のケアの延長線上にあるものなので特別なことはしません。いつも通りのケアを手厚くおこなって、できるだけ苦痛のないように配慮するのが老人ホームでの看取りケアです。 なるほど…。看取りケアだからといって特別なことはないんですね。5年以上も今の老人ホームにお世話になっていますし、顔見知りの職員さんにいつも通り接してもらうのが父にとっても良いのかもしれませんね。 精神的なケア 精神面では以下のようなケアをおこないます。 こまめに訪問する 声掛けをする スキンシップをする 室内環境の整備 先ほどお話しした通り、最期のときが近づくと会話ができなくなることがほとんどです。だからといってコミュニケーションを取らないのではなく、こまめに声掛けをしたり、手を握るなどのスキンシップをして孤独感を和らげます。 家族へのケア 家族に対してもケアがあるんですか? そうなんです。大切な人が亡くなる前後はご家族にとっても不安ですから、精神的なサポートをおこないます。具体的には以下のようなことです。 入居者の状態をわかりやすく伝える ケアの内容を丁寧に説明する 家族の希望をケアに反映する 家族が気持ちを打ち明けやすい雰囲気をつくる 家族の気持ちに寄り添う こういうことをしてもらえるんですね。安心しました。家族のサポートをしてもらえるなら、施設のスタッフさんにいろいろ相談してみようと思います。 老人ホームでの看取り期間は数ヵ月~数年と個人差が大きい 看取りのはじめは食欲低下やせん妄などが起き、亡くなる直前には眠っている時間が長くなる 老人ホームの看取りケアは、身体的なケア、精神的なケア、家族へのケアをおこなう pre { ...
2024/06/28
老人ホームに入居している母が入退院を繰り返していて、この半年ほどで急に状態が悪化…。母はもう89歳で年齢も年齢なので、そろそろ看取りをすることも覚悟しないと、と思っています。 入居している施設には「看取りケアができる」と言われているのですが、どんなことをするのかよくわからず、不安です。看取りケアとは具体的にどんなことをするのでしょうか? (森本さん・パート・63歳) 看取りケアとは、主に最期を迎えるまでの身の回りのケアを指します。具体的には、清拭や入浴、口腔ケアなどで身体の清潔さを維持したり、ご入居者をお一人にしないように職員さんの訪室回数を増やしたりと、穏やかに最期を迎えられるようにケアを実施します。ただ、老人ホームには医師が常駐しておらず、看護師さんが夜間帯に勤務していない施設が多いです。そのため、急変時にも治療はできず、病院のようにすぐに看護師さんが駆けつけられない可能性があることは理解しておいてくださいね。 老人ホームの看取りの内容は? この半年ほどで老人ホームに入居している母の状態が悪くなっています。もう年齢が年齢なので、「そろそろ覚悟しないと」とは思っているのですが、どうしても不安なんです。母の施設は「看取りケアが可能」と聞いて入居しました。ただ、まだ看取りのタイミングではないようで、看取りの具体的な内容までは聞いていません。看取りケアとはどんなことをするのでしょうか? 急にお母様の体調が変わってしまうと、とても心配になってしまいますよね…。それに「看取りケア」という言葉も耳慣れない言葉かもしれませんから、詳しくお話ししていきますね。まず、老人ホームで実施されている主な看取りケアは、以下のようなものがあります。 清潔の保持 身体的苦痛の緩和 精神的苦痛の緩和 清潔の保持は、入浴や口腔ケアといった身体や、ベッドのシーツ交換、居室の清掃などの環境を清潔に保つことです。当然のことのように思えますが、身体や環境を清潔に保つことは穏やかな最期を迎えるためにはとても重要。看取り期のご入居者は、寝たきりで意識がないケースが多いのですが、だからといって清潔の保持を怠らないことが看取りケアでは大切にされているんです。 身体的なケア 身体的なケアは主に以下です。 清潔の保持(口腔ケア、入浴、ベッドのシーツ交換など) 身体的苦痛の緩和(床ずれ防止など) 精神的苦痛の緩和 栄養や水分補給 排せつ バイタルサインのチェック 身体的なケアでは、入居者が穏やかで快適に過ごせるように、身体を拭いたり身だしなみを整えたりと、日常生活を整備するケアがおこなわれます。 身体的なケアは当然のことのように思えますが、体や環境を清潔に保つことは穏やかな最期を迎えるためにとても重要です。 なるほど…。看取りになる前から施設でやってもらっているとは思いますが、看取り期ではより重要視されているんですね。 また、最期を迎える際の苦痛をなるべく和らげるようなケアもおこなわれます。例えば、身体的な苦痛を和らげるために、定期的に寝ている身体の向きを変えて床ずれを予防します。また、看取り期に入ると食事ができなくなる人がほとんどです。なので、施設では食べられるだけ提供し、無理に食べさせるようなことはしません。中にはゼリーやプリンであれば食べられることもあるので、差し入れで持っていっても良いかもしれませんね。 母も少し前までは食事をすべて食べられていたんですが、最近は3分の1くらい食べられれば良い方だそうです。最期が近くなると食欲が落ちるものなんですね…。 身体的な苦痛を緩和するケアと同時に、精神的な苦痛の緩和もおこないます。終末期になるとご本人も不安が強くなることがあります。なので、できるだけお一人にしないように職員さんの訪室回数を増やします。また、他の感覚がなくなっても聴覚は最後まで残ると言われているので、反応がなくても何度も声掛けをしたり、ご家族との時間を作ってご家族からも声掛けをしてもらいます。ご本人が少しでも寂しさを感じないように配慮することも、看取りケアのひとつなんです。 精神的なケア 身体的なケアと同時に、精神的な苦痛を緩和するためのケアもおこないます。内容な主に以下です。 できるだけ一人にしないようにスタッフの訪室回数を増やす 継続的にコミュニケーションを取る スキンシップを図る 室内環境の整備(照明など) 終末期になると入居者本人も不安が強くなることがあります。看取りケアでは、入居者の不安や孤独感などの気持ちに寄り添いコミュニケーションを図っていきます。 また、プライバシーを尊重したり、今いる場所が安心だと思えるような快適な室内環境を作ることも大切にしています。 家族に対するケアがある? 看取り期は、亡くなるご本人と同時にご家族にもケアを実施するんです。 え?家族にですか? はい。やはり大切な方が亡くなるわけですから、ご家族の精神的な負担も大きいですよね。なので、ご家族の不安を和らげるためにケアの内容を丁寧に説明したり、最期を迎える際のご家族の希望をケアに反映することもあります。また、亡くなった後には「グリーフケア」を実施。大切な人を亡くした後のご家族が悲しみから立ち直って日常生活をおくれるようにする支援をおこなうんです。 家族へのケア 看取りケアでは、入居者本人へのケアだけでなく、入居者の家族へのケアもおこないます。具体的には以下です。 入居者の状態を正しく、わかりやすく伝える ケアの内容を丁寧に説明する 最期を迎える際の家族の希望をケアに反映する 家族が気持ちを打ち明けやすい雰囲気をつくる 不安や動揺している場合、気持ちに寄り添う 最期のときが近づくと、家族は大切な人が衰弱していく姿を見ることになるので、ショックを受けたり、冷静でいられなくなったりすることもあるでしょう。看取りケアでは家族の不安や辛い心情に寄り添った対応をしてくれます。 また、施設側が家族に対して入居者の状態をわかりやすく伝えることによって、「今、何が起こっているのか」だけでなく、「これからどのようなことが起こるのか」がわかり、気持ちを落ち着けることにつながります。 母が亡くなった後のことはまだ考えられませんが…そうした支援があると助かりますね。 老人ホームでの看取りの流れは? 老人ホームでの看取りケアについて、おおまかにイメージがつきました。まだ母の老人ホームからは看取りについて何も言われていないのですが、看取りが始まるのはどんなタイミングなんでしょうか? 提携医療機関の医師によって「回復の見込みがない」と診断されたときに看取りをするかどうかの判断をします。ご本人やご家族の同意があった場合、看取りケアに入るわけですね。ちなみに、看取りケアは以下のような流れでおこないます。 医師から”看取り”の診断が下りる 家族から同意を得る 「看取り介護計画書」を作成する 看取りケアを実施する 3番目の「看取り介護計画書」とは何ですか? 看取り介護計画書は、看取りに特化したケアプランのことです。これまでも、介護内容を定めてケアプランをケアマネジャーさんに作成してもらっていると思います。看取り期に入ると、それが看取りケアの内容に変更するわけです。看取り介護計画書を作成する際に、「食事ができなくなったらどうするか」などの詳細なケアについてケアマネジャーさんと相談します。看取りケアについても通常のケアと同様でご本人やご家族の意向を反映できるので、「どんな最期を迎えたいか」をこのタイミングで考えておくと良いでしょう。 「どんな最期を迎えたいか」…。まだ実感がありませんが、それを考えないといけなくなるんですよね…。 そうですね…。お辛いことかもしれませんが、お母様やご家族の希望を実現するためには必要なことなんです。もちろん、通常のケアプランと同じく、決めた内容は後から変更できます。看取りケアをおこなう中で考えが変わった場合は、施設のケアマネジャーさんに相談してくださいね。 老人ホームだからこそできる看取り 日本の8割近くの人が病院で最期を迎えています。病院であれば、医師や看護師がすぐ近くにいるので急変時にもすぐ対応できて安心ですよね。ただ、病院では点滴や酸素吸入といった医療措置を受けて苦しみが長引き、その人らしい最期を迎えられないこともあります。そうしたときに、その人らしい最期を迎えるために老人ホームを選ぶのもひとつの手です。 病院での看取りと老人ホームでの看取りは、何か違いがあるんですか? 病院では、食事ができなくなると点滴をしたりと医療ケアがおこなわれます。病院で終末期におこなわれる医療ケアを「ターミナルケア(終末期医療)」と呼びます。病院でも無理な延命治療はおこないませんが、点滴によってむくんでしまったりあざができてしまったりと、治療による苦痛が伴う可能性があります。 点滴をすれば食事をしなくても良いから良いものだと思っていましたが、良いことだけではないんですね…。 対して、老人ホームでは点滴や酸素吸入などの医療ケアはできません。が、日常的なケアを通してできるだけ苦痛を和らげて自然な形での最期を迎えられるように支援をします。ご本人の意識が薄くてコミュニケーションが取れなくなっても、好きな音楽を流したりご家族との写真を飾ったりと、ご本人やご家族の意向を反映できるのが老人ホームでの看取りの特徴です。それに、それまで関わってきた介護職員さんに見守られながら最期を迎えられるのも安心できるポイントでしょう。 本当に、母の施設の職員さんたちには良くしていただいています。そうした人たちに見守られて最期を迎えられるなら、母も穏やかな気持ちでいられると思います。看取りが始まるまでまだ時間があるようなので、母にどんな最期を迎えてほしいのか家族でよく話し合ってみますね。 特養や有料老人ホームなど、看取り対応している介護施設は多い 介護施設では身体的・精神的苦痛の緩和、身の回りのケアを中心におこなう 介護施設なら家族との時間を作ったり、本人・家族の意向を重視した看取りができる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...
2022/12/15
父は末期がんで余命半年と言われています。これ以上の治療ができないため退院をしなくてはいけませんが、在宅介護は難しいので老人ホームの入居を考えています。 医療用麻薬での痛みの管理が必要な状態なのですが、老人ホームで対応してもらえるでしょうか? (中田さん・自営業・57歳) 医療体制が整っている介護施設であれば、対応可能です!疼痛管理が必要な状態でしたら、訪問看護ステーションが介護施設に併設していたり、看護師が24時間常駐している施設が安心して生活できるでしょう。最近では、穏やかな最期を支援する「ホスピスケア」の対応ができる介護施設が増えています。そういった施設では最期までご本人らしく過ごせるようなサポートを受けられますよ。 末期がんでも入居できる老人ホームはある? 先日、父が末期がんで余命半年と言い渡されました。これ以上、治療のしようがないので退院しないといけません。でも、高齢の母が1人で介護をすることになってしまうので、在宅介護は難しい状況です。なので、老人ホームに入居させたいと思っているのですが、末期がんの父を受け入れてくれるところはあるでしょうか? はい。医療体制が整っている介護施設であれば、ご入居いただけるところはありますよ。ちなみに、お父様は痛み止めの使用をしていらっしゃいますか? しています。医療用麻薬と言うんでしょうか、痛み止めの注射をしています。 なるほど…。となると、夜間も看護師が常駐していたり、訪問看護サービスで24時間医療サポートが受けられるような手厚い医療体制が整っている施設が良いでしょう。 よかった、介護施設でも24時間医療サポートが受けられるところがあるんですね!緩和ケア病棟の申し込みをしていますが、空きがなくてすぐには入れそうにないので助かります。具体的には、どんな施設だと父を受け入れてもらえるんでしょうか? 施設ごとに医療体制が異なるのですべての施設が受け入れ可能ではありませんが、末期がんの人を受け入れられる介護施設には、主に以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 まず有料老人ホームは、「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」の2種類に分けられるんです。名前は似ていますが介護サービスの提供方法に違いがあるので、この2種類の違いを理解しておくと施設選びの失敗が少なくなりますよ。 サービスの提供方法ですか?何が違うんでしょう? はじめに、「介護付き」は介護サービスがすべて施設内で完結しており、介護保険の自己負担額に介護サービス費用が含まれています。この自己負担額は要介護度で決められる定額制で、サービスの量が増えても金額が変わらないのが魅力なんです。対して、「住宅型」では介護サービスの利用には、別途、外部の介護サービス事業者との契約が必要です。それが手間に感じるかもしれませんが、訪問看護や訪問介護などを好きなように組み合わせられます。さらに、介護サービス費が利用した分だけかかる形式なので、あまり介護サービスを使わない場合には、費用が抑えられるんです。 医療費なんかもかかりますから、費用が抑えられるのは助かります。 それと「サービス付き高齢者向け住宅」というのは、バリアフリー設計などご高齢者が暮らしやすいように工夫された住宅のこと。住宅型有料老人ホームと同様に、契約をすれば介護サービスを利用できます。その施設にもよりますが、有料老人ホームと比較すると要介護度が低い人が入居している傾向があります。 それぞれで特徴があるんですね。どの施設にするか迷うな…。 正直なところ、介護施設は一つひとつまったく異なります。お伝えした特徴を頭に入れておきつつ、実際の施設を見学してみてお父様に合うかどうか判断してくださいね。 老人ホームでのがん治療は? 父が入居できる介護施設がありそうでよかったです。 最近では、「ホスピスケア」ができる介護施設が増えており、ホスピスケアを提供する施設のことを「ホスピス」と呼ぶこともあります。ホスピスが増加したことで末期がんや難病の人を施設で受け入れるケースも増えているんです。 ホスピスケアとは ホスピスケアというのは、どんなケアですか? ホスピスケアは、安らかな最期を迎えてもらうためのサポートをすることです。具体的には、以下のようなケアがおこなわれます。 身体的ケア 精神ケア 社会的ケア 「身体的ケア」は、入浴、食事、排泄などといった身体的な介助のこと。加えて、痛みをコントロールするための治療も含みます。その次の「精神的ケア」は、病気による苦しみや恐怖心を和らげることです。医師や看護師だけでなく、カウンセラーなどとも連携して精神的にもサポートをおこなっています。 そうなんですね…。父も余命宣告を受けてショックを受けているので、精神的なサポートをしてもらえるのは助かります。 最後の「社会的ケア」は、財産の整理や相続対策などを代行してくれるサービスです。ホスピスを利用する人やそのご家族は、社会的な申請や手続きなどをおこなう余裕がないことが多いので、それを代行して負担を減らす配慮がされているんです。 そうか…そういう手続きも必要なんですよね。父のことで頭がいっぱいで、手続きについてまで気が回っていませんでした。代行サービスがあるなら利用したいなぁ。 ホスピスでおこなわれる3つの大切なケア 先ほどお話しした「身体的ケア」「精神ケア」「社会的ケア」とは別に、ホスピスではご入居者の苦しみや痛みの負担を軽くするために以下のような基本的なケアを提供しています。 緩和ケア ターミナルケア 看取りケア 「緩和ケア」はわかります。病院でもおこなっていましたから。がんの痛みをコントロールすることですよね? おっしゃる通り、鎮痛剤などを使って病気の痛みを軽減するケアのことです。この緩和ケアで使用される医療用麻薬は看護師でないと扱えません。そのため、痛みが出たときにすぐに対応できるように、看護師が24時間対応できる体制を持つ介護施設が末期がんの人の受け入れをしています。 それではその次の「ターミナルケア」はどんな内容ですか? ターミナルケアは、残りの人生を豊かにするためのケアです。緩和ケアも並行しておこない、ご入居者の生活の質を保つことを目的としています。最後の「看取りケア」は、死の間際の人に日常的な介護を通して苦痛を緩和するケアのこと。ターミナルケアと異なるのは、看取りケアでは鎮痛剤などを使った治療や看護はおこなわず、日々の介護を通して苦しみを和らげる点です。 病院と老人ホームのケアの違い 老人ホームの対応内容についてもよくわかりました。ただ、病院でのケアとは何が違うんでしょうか?父が病院で受けていたケアとは違うんですか? 基本的に、病院は病気を治療するのを目的としていますが、老人ホームでは異なります。痛みを緩和するための医療サポートはおこなうものの、病気の改善ではなく苦痛の緩和を目的としたものです。 あぁ、なるほど…。父も医師から「もう状態が良くなる見込みがない」と言われています。 そうだったんですね…。もうひとつ、病院と異なる点は、ご家族もケアに参加できる点です。病院では面会時間や人数に制限がかかっていることが多いです。一方で、ホスピスケアを提供している施設では、ご家族と一緒に食事ができたり宿泊もできる場合もあり、比較的融通が効きます。なので、「家族との時間を大切にしたい」という希望も老人ホームなら叶えられるでしょう。 そうなんですね!施設に入居するとなると、父がさびしい思いをしてしまうんじゃないかと心配でしたが、宿泊できるのはうれしいですね。 加えて、イベントやレクリエーションをおこなっている施設も多いです。それに、病院とは異なり、お酒やタバコを禁止していない施設もあります。最期の時間をなるべく豊かにできるように、暮らしの楽しみが多くあるんです。 へぇ!父は、がんが発見されるまでお酒を毎日飲むような人でしたから、飲酒できるのはとても喜びそうです。 ホスピスケアを提供する介護施設では、末期がんなどの病気の人が穏やかに最期を迎えられるような体制が整っています。病院とは異なって自由度も高いので、お父様らしい生活ができると思いますよ。 末期がんの人にホスピスケアを提供できる老人ホームが増えている 老人ホームでは「緩和ケア」「ターミナルケア」「看取りケア」を提供している 老人ホームでは、病気の改善ではなく最期を穏やかに過ごすためのケアがおこなわれる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...
2022/11/21
母の認知症が進行しており、介護施設に入居させようと考えています。母は大人数が苦手なので、グループホームを中心に探している状況です。ただ、母は今は元気ですが高齢なため看取りの対応ができる施設が良いかな、と思っています。 看取りができるグループホームはあるんでしょうか? (西川さん・65歳・自営業) 看取りができるグループホームはありますよ!グループホームは少人数のユニット体制のため、介護職員さんや他の入居者さんも見知った顔の中で最期までの時間を過ごせるのが魅力なんです。ただ、医師や看護師が常駐していない施設がほとんどなので、医療処置が必要な場合はグループホームでの看取りは難しいです。また、すべてのグループホームで看取りの対応をしているわけではないので、事前に確認しておきましょう。 グループホームで看取りはできる? 最近、母の認知症が進行してきて、自宅では介護しきれなくなってきたので介護施設に入居させようと考えています。母は大人数が苦手なので、介護施設の中でも少人数体制のグループホームが合っているんじゃないかと思って施設探しをしています。ただ、母はもう89歳。今後のことを考えると、看取りの対応をしている施設が良いです。グループホームでは看取り介護をしてもらえるのでしょうか? グループホームで看取り介護をしているかどうかは、施設ごとに異なります。看取りができるグループホームもあれば、看取りの体制が整っていないところもあるんです。 そうなんですね。じゃあ、施設に確認しなきゃいけないんですね。 おっしゃる通りです。高齢化に伴って介護を必要とするご高齢者が増えて、それに合わせて看取りができるグループホームも増加しています。とはいえ、まだまだ看取りができない施設も多いのが実情です。 グループホームでの看取り介護 看取りができるグループホームを探している、と言いつつ、看取り介護でどんなことをするのかをよくわかっていません。グループホームではどんな対応をしてくれるんでしょうか? グループホームに限らず、看取りケアは以下のような流れでおこなわれます。 協力医療機関の医師の判断 家族の同意 看取り介護の計画を作成 看取り介護の実施 医師が「回復の見込みがない」かつ「医療機関での処置の必要性が低い」と判断した人が看取りケアの対象となります。ほとんどのグループホームには医師が常駐していませんから、この判断は協力医療機関の医師がおこないます。その後、医師からご家族に看取りケアの必要性を説明し、同意を得ます。この際に、ご家族は「グループホームで看取り介護をおこなう」という選択はもちろん、「医療機関に入院する」という選択も可能です。 なるほど。医師からの説明があるなら安心できますね。 そして、グループホームで最期を迎える場合、医師や看護師などと連携してケアマネジャーが看取りケアの計画を作成します。ここで、具体的なケア内容を決めるわけですね。ご家族の要望もこの計画に盛り込むことができます。そうして決定した計画に基づいて、看取り介護が開始されます。ちなみに、看取りケアでは血圧などのバイタルチェックはおこないますが、点滴などの医療的ケアはおこなわれません。こうした医療処置をおこないたい場合は、医療体制の整っている介護施設か病院に入院する必要があるので注意してください。 点滴はグループホームではできないんですね。では、具体的にはどんなことをしてもらえるんですか? グループホームでの看取りに限らず、看取り介護では以下のようなケアを実施します。 栄養・水分補給 清拭(入浴) 口腔ケア 排泄ケア 体位変換 褥瘡ケア 身体的苦痛の緩和 定期的な居室巡回 居室の環境整備 バイタルの確認 コミュニケーション スキンシップ 看取り期の人は、口からの栄養摂取ができない状況であることが多いです。それでも、無理のない範囲でゼリーなどで水分・栄養摂取をします。合わせて、口腔ケアも重要です。口の中にゼリーなどが残っていたり唾液が溜まってしまうことで、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。穏やかな最期を迎えていただくためにも、口腔ケアは大切なんですね。 食事をしないから口腔ケアは必要なさそうですが、重要なんですね…。 また、同じように体位変換や褥瘡ケアも大切。看取り期の人はベッドの上で長時間、横になっているわけですから、褥瘡ができやすい状態です。さらに、ほとんど栄養を摂らず皮膚が弱くなっていることも褥瘡の原因になります。そのため、定期的な体位変換で褥瘡の予防をおこないます。 「コミュニケーション」というのは何ですか?看取りの人は意識がないので、会話はできないですよね? ええ、ほとんど会話はできない状態であることが多いです。意識がはっきりしていなくても、聴覚は最期まで残っていると言われています。そのため、看取りケアでも名前を呼びかけたり声をかけてあげるんです。…と、このように、看取りケアではその人がなるべく苦痛がなく穏やかに最期を迎えられるように支援をおこなっていきます。 医師・看護師のいないグループホームでの看取り ここまで、グループホームでおこなう看取りケアについてお話をしてきました。グループホームでの看取りケアについてイメージできたでしょうか? はい。最期まで自宅で過ごせない以上、やはりグループホームで看取りケアをしてもらう方が良いかな、と考えています。 それはよかったです。ただ、グループホームでの看取りケアには注意点があります。 注意点ですか?どんなことでしょう? ほとんどのグループホームに医師・看護師が常駐していないということです。 えっ!グループホームって、ドクターや看護師さんが常駐していないんですか? そうなんです。中には看護師が日中は勤務しているグループホームもありますが、ごくわずかです。そのため、協力医療機関の医師が定期的に往診していたり、訪問看護を利用して医療処置を受けているケースが大半です。もし、「何かあったときにすぐに医師や看護師のケアが欲しい」と考えている場合は、グループホームでの看取りケアは難しいですね…。 そう聞くと不安になりますね…。どうしたら良いんでしょうか? 「やっぱり看護師がいる環境で看取り介護を受けたい」という場合は、特別養護老人ホームや有料老人ホームを選ぶのがおすすめです。グループホームのように、少人数体制でない施設が多いのですが、日中は看護師が常駐していますよ。もちろん、元気なうちはグループホームに入居して、医療的ケアが必要になったら特養や有料老人ホームに転居するのもひとつの手です。 そういった方法もあるんですね!グループホームしか考えていなかったので、その他の施設も視野に入れてみます。 もちろん、状態が安定していれば、グループホームでも看取りの受け入れは十分可能です。ただ、事前に医師や看護師が常駐していないことを理解したうえで、グループホームで看取りをするかどうかを決めてくださいね。 看取りができるグループホームの探し方は 看取りケアに対応しているかどうかは、グループホームによって違うんですよね?いくつもあるグループホームの中から、どうやって看取りケアをしている施設を探せば良いんでしょうか? グループホームが看取り対応しているかどうかは、契約内容について記載している「重要事項説明書」を見ればわかります。この重要事項説明書で「看取り介護加算」を算定しているグループホームは、看取りケアの対応が可能です。ただ、重要事項説明書はネット上で公開している施設もありますが、いちいち探すのも面倒なのが正直なところ。なので、やはり手っ取り早いのは、グループホームに直接問い合わせる方法でしょう。 それはそうですよね。施設に電話すればどんな対応ができるのかも聞けるでしょうし…。でも、どこにどんなグループホームがあるのかもよくわからないので、問い合わせのしようがないというか…。 そうなんですよね。なので、看取り対応をしているかどうかをグループホームに問い合わせたい場合は、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談ください。近隣の複数のグループホームに問い合わせがまとめてできますよ。グループホームでの看取りは、小規模体制ならではの温かみを感じられるものです。ただ、必ずしも看取りの対応ができるとは限らないので、事前にしっかり確認してくださいね。 グループホームでも看取り対応している施設と対応していないところがある 医療体制が充実しているわけではない点に要注意 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...
2022/11/01
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。