田中 達也さんの
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大学卒業後、カンボジアに移住。NGOスタッフとして現地の子どもたちに日本語を教える。帰国後、2年にわたりグループホームの職員として認知症介護に従事した後に独立。現在はフリーライターとして、介護業界や海外観光などに関わる記事を執筆している。保有資格:介護職員初任者研修修了、日本語教師養成講座修了。
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90歳以上の高齢ドライバーが10万人超え!?免許保有者も高齢化

さまざまな分野の研究や調査をおこなっているニッセイ基礎研究所は、高齢ドライバーの現状に関するレポートを発表。調査の結果、運転免許証保持者の平均年齢が年々上がってきていることがわかりました。 ドライバーの高齢化にどう対応するか ニッセイ基礎研究所によると、2022年12月時点での運転免許証保持者の平均年齢は50.5歳とのこと。ここ数年は毎年0.2歳ずつ平均年齢が上昇していることから、今後もドライバーの高齢化傾向は続くという考えを示しました。 また、2022年12月には、90歳以上の運転免許証保持者も調査して以来初めて10万人を超えたことが明らかになっています。 増え続ける高齢ドライバーが、今後も安全運転を続けていくためにはどんな施策が必要なのでしょうか? ニッセイ基礎研究所の研究員は「免許更新時の検査を適切におこなうことが大切。それから、衝突しそうなときに自動でブレーキが作動するような安全運転サポート技術の向上と、そういった機能が搭載された安全運転運転サポート車への買い替えを進めていく必要がある」と指摘しました。 サポートカーの買い替えの検討を 政府は、高齢ドライバーによる事故を未然に防ぐために安全運転機能が搭載された「安全運転サポート車(サポートカー)」の買い替えの検討を呼びかけています。 ところで、サポートカーとは具体的にどのような乗用車なのでしょうか? サポートカーは、主に以下のような機能がついた乗用車です。 前方の車両や歩行者をレーダーで察知し、衝突の可能性が高い場合に自動でブレーキが作動する機能 発進時や低速で走行しているとき、ブレーキと間違えてアクセルを踏み込んだ場合に加速を抑制する機能 搭載されたカメラで道路上の車線を検知し、車線がはみ出しそうになったら運転者に警告する装置 対向車を感知して、ヘッドライトが照らす範囲を自動で切り替える装置 車の買い替えとなると、どうしても大きな金額が必要になるので二の足を踏んでしまう人も少なくないと考えられますが、人の命には代えられません。遠隔地などに住んでいてどうしても生活するのに運転が必要な高齢者は、一度サポートカーへの買い替えを検討してみると良さそうです。
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高齢者の疑問をAIになんでも相談!「脳にいいアプリ」で高性能AIが回答

健康維持アプリの開発・運営などをおこなっている株式会社べスプラは、高性能AI「ChatGPT」を活用した情報サービス「なんでも相談」を、2023年7月からリリースすることを明らかにしました。 「なんでも相談」は、べスプラが運営しているスマートフォンアプリ「脳にいいアプリ」の中で使用可能になる機能。これを使えば、高齢者の疑問をいつでもAIに相談できるようになると言います。 デジタルを使える人と使えない人で大きな情報格差 べスプラがこのアプリを開発した背景には、現代の情報格差があると言います。 高齢者の中には、スマートフォンやパソコンなどのデジタルテクノロジーの扱いが難しいと感じている人も少なくありません。しかし、そういったデジタルテクノロジーをうまく扱えないと、手に入る情報の量が限られてしまうのです。 また、デジタルテクノロジーを使えたとしても、情報の選別も適切にできなければ詐欺などに遭うリスクもあります。 そこで、べスプラはすでに自社がリリースしている健康アプリ「脳にいいアプリ」に「なんでも相談」機能を搭載。高齢者がいつでも疑問をAIに相談できる環境をつくることで、情報格差をなくしていく狙いがあります。 「脳にいいアプリ」とは そもそも、「脳にいいアプリ」とはどんなものなのでしょうか? 「脳にいいアプリ」とは、運動や食事、脳のトレーニングといった活動を管理できるスマートフォンアプリのこと。運動や食事などの生活習慣の改善と脳のトレーニングを組み合わせることで、認知機能の維持と向上が期待できると言います。 「なんでも相談」の特徴 今回、リリースが決定した「なんでも相談」機能は「脳にいいアプリ」の中に搭載。さまざまな質問に対して高度な回答ができる高性能AI「ChatGPT」を活用し、高齢者の疑問や困りごとを解決するとしています。 また、高齢者からの相談や回答は、運営者が機械的な監視を実施。これにより、個人情報の秘匿性を担保しつつ情報提供が可能になったと言います。 「なんでも相談」機能を使えば、質問を打ち込むだけでAIが回答してくれるので、情報をこちらで選別する必要がありません。そのため、詐欺などに遭うリスクを背負うことなく、必要な情報を手に入れられるようになりそうですね。
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高齢ドライバーの運転技能検査が地域によって合格率に大きな差が

さまざまな分野の研究や調査をおこなっているニッセイ基礎研究所は、高齢ドライバーが安全に運転し続けられるように義務付けられている、運転技能検査の実施状況を分析。その結果、合格率に大きな地域差があることが明らかになったのです。 運転技能検査の実施状況について 高齢ドライバーによる事故を防ぐために、身体機能の低下を自覚している高齢者は、運転免許証の返納が推奨されています。しかし、遠隔地などに住んでいて生活に車が必要不可欠な人も少なくありません。 そこで、高齢ドライバーが事故を起こすことなく運転し続けられるように、2009年から「認知機能検査」を導入。また、2022年5月からは、過去3年以内に一定の違反行為をした75歳以上の高齢ドライバーに対して「運転技能検査」を義務付けました。 運転技能検査では、一時停止や右折・左折など基本的な運転技能を確認します。免許の有効期間であれば繰り返し受検できますが、有効期間までに合格しなければ免許を更新できません。 2022年5~12月までに、計7万7083人が受検し6万9041人が合格。合格率は約90%でした。 しかし、この運転技能検査では公平性が課題に。最も合格率が高かった山梨県では合格率が98.5%だったのに対し、最も低かった島根県の合格率は72.1%と、26ポイントもの差があることが明らかになったのです。 ニッセイ基礎研究所は、「今後は、運転技能検査の受検対象範囲が適切か、またこの検査で重大事故を防げているかの検証が必要になるだろう」と述べています。 サポートカー限定免許を取得している人はごくわずか また、運転技能検査と同じく2022年5月からは、自動ブレーキ機能などの安全運転機能がある、「安全運転サポート車」に限って運転可能な「サポートカー限定免許」をスタート。しかし、2022年5~12月の間にこの免許を取得したのは、わずか14人でした。 これについて、ニッセイ基礎研究所は「サポートカー限定免許で使用できる車種が少なく、多くの人が車を買い替える必要があることや、対象車両以外の運転は認められないことなど免許を切り替えるメリットを感じにくいからではないか」と分析しています。 今後、燃費が抑えられるなどより魅力的なサポートカーが登場すれば、今よりサポートカー限定免許を取得する人が増えていくかもしれませんね。 参考:「サポートカー限定免許について」(警察庁)
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AIロボット「だいちゃん」が認知症介護をサポート!症状緩和にも貢献

認知症専門介護施設の運営などをおこなっているザ・ハーモニー株式会社は、認知症を患っている高齢者向けのコミュニケーションロボット「だいちゃん」を開発。2023年4月25日から、東京・大阪・福岡で発売したことを明らかにしました。 コミュニケーションロボット「だいちゃん」とは そもそも「だいちゃん」とは、どのようなロボットなのでしょうか? だいちゃんとは認知症の高齢者向けに開発された、ぬいぐるみ型のロボットのことです。AIを活用し、認知症に特化した対話システムを搭載。高齢者の会話のテンポを計測することで、不安や抑うつといった認知症の周辺症状を抑えるようなコミュニケーションができるそうです。 また、担当者は認知症のある高齢者が「だいちゃん」を利用することを通じて、以下のことを実現していきたいとしています。 認知症高齢者のQOLの向上 不安や抑うつ、妄想などの認知症における周辺症状の発生頻度の減少 記憶障害障がいや判断力低下などといった中核症状の進行の抑制 介護者の心身における負担の軽減 「だいちゃん」の特徴 担当者によると、「だいちゃん」は認知症のある高齢者の介護現場に最適化された商品設計になっていると言います。 まず、「だいちゃん」の大きな特徴として、「独自システムで会話相手の集中度を判断する機能があること」が挙げられます。高齢者の会話に対する集中度を測り、集中度が高いときには同じ話題を掘り下げ、集中度が低いときには話題を変えたり歌を歌ったりしてコミュニケーションの継続を図るそうです。 また、「だいちゃん」には次のような機能があります。 1人でも複数人でも会話可能な「おはなしモード」 「だいちゃん」が歌を披露する「うたモード」 ことわざと都道府県に関するクイズを出題してくれる「クイズモード」 入浴や服薬などを高齢者に頼んだりできる「セリフ機能」 セリフ機能を使うと、入浴や服薬だけでなく、実際の介護現場を想定したさまざまなセリフを出力可能に。この「だいちゃん」があれば、介助の拒否がある高齢者に対してもスムーズなケアができるようになりそうですね。
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高齢ドライバーの免許返納率が減少傾向。コロナ禍で車移動が増えて…

さまざまな分野の研究・調査をおこなっているニッセイ基礎研究所が、高齢者の免許返納率の推移に関する研究を発表。運転免許証を自主的に返納する高齢者は、2019年のピークに減少を続けていることがわかりました。 免許の自主返納者数が減少 そもそも運転免許の自主返納制度とは、運転免許が不要になった人や加齢などで運転が難しくなった人が、自主的に運転免許の取り消しを申請する制度のこと。高齢ドライバーによる事故を防ぐために、身体機能の衰えを自覚している高齢者は、免許証の返納が推奨されています。 警察庁の統計によると、2022年における運転免許証の自主返納者数は44万8476人。前年より6万8564人減少しました。また、このうち75歳以上は27万3206人で、こちらも前年より5579人減少したことがわかりました。 運転免許証の自主返納者数は、60万人にも上った2019年をピークに減少の一途をたどっています。これについて、ニッセイ基礎研究所の研究員は「新型コロナによる影響で、密になりにくい自動車を手放さなくなった可能性や、重症化しやすい高齢者が外出しづらくなった可能性が考えられます。」と指摘しました。 コロナ禍で公共交通機関の利用者数が減少 また、ニッセイ基礎研究所はウィズコロナやアフターコロナにおける人々の行動を予測することを目的に、「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」を2020年6月から定期的に実施しています。 全国に住む20~74歳の人を対象に、感染拡大前と比べた行動の変化を調査したところ、「電車やバスでの移動が(やや)減少した」と回答した人が、2023年3月時点で約5~6割程度だったことが判明。特に、65歳以上の高齢者では、およそ7割の人が「電車やバスでの移動が(やや)減少した」と回答したことが明らかになりました。 一方、自家用車で移動する機会が増えた人の割合は増加傾向。65歳以上の高齢者では、3割以上の人が「自家用車での移動が(やや)増えた」と回答していたことがわかりました。 重症化しやすい高齢者は、公共交通機関を利用するよりも自家用車の方が、新型コロナの感染リスクを抑えられるのは事実。ただ、身体機能が低下していて事故につながる可能性も否定できません。 特に、周囲を見渡すのに大切な視力は、事故を未然に防ぐために定期的に眼科で検査しておくと良いかもしれませんね。
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肉類を多く食べると要介護になりにくい!?歩行速度の速さと関連

新たな研究で、肉類を多く摂取している高齢者は、そうでない人に比べて歩行速度が速いことが明らかになりました。 歩行速度の速さは、身体機能を測る尺度のひとつとされています。 今回の研究は、東京都健康長寿医療センター研究所によっておこなわれ、その研究結果は「日本サルコペニア・フレイル学会誌」に掲載する予定だそうです。 アミノ酸が豊富な肉類に着目 今後さらに、高齢化の進展が見込まれています。厚生労働省の試算によると、2040年には全体の約35%が65歳以上の高齢者になると考えられているそうです。 そこで、課題となるのが要介護状態の前段階と呼ばれる「フレイル」対策です。フレイルとは、加齢によって心身の機能が衰えた状態のこと。フレイル状態を放置すると要介護へと進んでしまいます。 しかし、適切な介入があれば、フレイルから健康な状態に戻れるため、早い段階で対策を打っていくことが大切です。 今回、研究グループは健康な体をつくるアミノ酸が豊富に含まれている「肉類」に着目。肉類の摂取量とフレイルの関連性について調べました。 肉類をよく食べる高齢者は歩行速度が速い 研究グループは、同研究所が実施している健診に参加した高齢者512人を対象に調査を実施しました。 調査では対象者の食事内容、歩行速度、握力、血液の成分を測定・調査。対象者を肉類の摂取量で3グループに分け、フレイルに関連する指標である歩行速度との検討をおこないました。 その結果、肉類の摂取量が多い人は、そうでない人に比べて最大歩行速度が最も速い(フレイル状態になりにくい)ことが明らかになったのです。 研究グループはこの研究の意義について「今回の研究で、高齢期のフレイル予防の栄養ケアとして、肉類が有効である可能性を示せた」と述べています。 フレイル予防には、肉類を含めた栄養バランスの取れた食事が大切だと言われています。噛む力が衰えて肉類をうまく噛めなくなってきた人は、長時間煮込んで柔らかくするなど工夫してみると良いかもしれません。 参考:「平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容」(厚生労働省)
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「フレイル」の高齢者は事故が多い!?なのに安全を学ぶことが少ない

新たな研究で、フレイルに該当する高齢者はそうでない人に比べて、転倒や転落などの事故を起こしやすいことが明らかになりました。 フレイルとは、加齢とともに心身の機能が衰えた状態のこと。要介護状態の前段階とも呼ばれていて、適度な運動など対策をすることで元の健康な状態に戻れると言われています。 今回の研究は、東京都健康長寿医療センター研究所の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Geriatrics and Gerontology International」という学術誌に掲載されています。 フレイルに該当する人は転倒・転落事故が多い 研究グループは、東京都内のシルバー人材センターに登録している7265人の高齢者の事故に関するデータを分析。その結果、全体の9.4%が過去1年間に事故を起こしていたことがわかりました。 フレイルに着目してみると、健康な人に比べてフレイル予備軍の高齢者は1.57倍、フレイルの高齢者は2.31倍も事故を多く経験していたことが明らかになったのです。 また、事故の種類別に分けて分析した結果、特に転倒・転落事故を経験した人が多いことが判明。転倒・転落事故を経験した人は、健康な人と比べ、フレイル予備軍の高齢者で1.92倍、フレイルの高齢者では3.1倍にも上ることが明らかになりました。 一方、物損事故など転倒・転落以外の事故については、健康な人とフレイルの人でそれほど大きな差がないこともわかりました。 フレイルに該当する人は安全就業について学ぶ機会が少ない それから研究グループは、フレイルのある高齢者はそうでない人に比べて、安全就業について学ぶ機会を得られていないことも突き止めました。 例えば、安全就業についてのチラシを読んでいないフレイルの高齢者は、健康な人に比べて1.39倍多いことが判明したのです。 また、安全就業に関する研修会についても、健康な人に比べて、フレイルの高齢者は1.14倍参加しない人が多いことが示されました。 研究グループは「フレイルの度合いに応じた就業内容の選択ができる機会を設けたり、フレイルの度合いが高い人に対して、安全就業に関する働きかけを積極的におこなったりすることが重要だ」と話しています。 フレイル状態になった人は身体機能が低下しているため、体を機敏に動かせず事故につながるリスクが高まります。フレイルの進行を予防して事故を未然に防ぐためにも、運動習慣を身につけ、栄養バランスの取れた食事を摂ることが大切ですね。
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高齢者の4人に1人は認知症に!?独居の認知症高齢者が増加する試算も

2023年4月26日、2024年度に控える介護、医療、障がい福祉の同時改定に向けた意見交換会がおこなわれました。 厚生労働省は、その意見交換会でテーマのひとつとして認知症を提示。超高齢化社会で認知症の人がさらに増えていくことが見込まれる中、対応策を考えるねらいがあります。 認知症をテーマに取り上げる意義 厚生労働省の推計によると、2040年には約800~950万人が認知症の高齢者になると予測されています。これは、65歳以上の高齢者のうち4~5人に1人となる計算です。 また、高齢者の一人暮らしも今後増加を続けることが予測され、2025年には85歳以上の男性の約7%、女性の約14%が認知症を患いながら一人暮らしをする高齢者になる可能性があるとのこと。さらにこの割合は、2025~2040年の25年間に男性では約3倍、女性では約2倍に増えると試算されているそうです。 このように、今後はだれもが認知症とともに生きる可能性があるため、対策を今のうちに考えておく必要があるのです。 認知症の早期発見・早期対応が重要 意見交換会では、今後、議論すべき課題についての確認や検討もおこなわれました。 その中で、「単独の認知症高齢者が増加することが見込まれる中で、認知症の早期発見と早期対応ができる体制を構築することが求められる」という意見が挙がりました。具体的には、以下のように重層的な体制を構築する必要があるとしています。 日頃から、単独の認知症高齢者が社会参加活動をおこなえる地域づくり かかりつけ医による定期的な健康管理 医療機関や高齢者施設等で適切なサービスが提供されるための取り組み 介護の窓口となる地域包括支援センターと認知症疾患医療センターの連携 ほかには、「一人暮らしの高齢者は、情報の入手や必要なサービスにアクセスすることが困難になること、社会的に孤立するリスクが高まることなど多くの課題が残されている」という指摘などもありました。 認知機能が大きく衰えると、日常生活のちょっとした判断も難しくなります。認知症のある人が生きやすい社会にするために、お互いが協力できる地域づくりをしていきたいですね。 参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
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介護施設で入居者がストレッチャーから転落死。「タオルを取ろうと…」

2023年4月17日、鳥取県南部町の特別養護老人ホーム(特養)で、ストレッチャーに乗っていた80代の寝たきりの女性が、職員が目を離した隙に転落して死亡するという事件がありました。 女性は3日間のショートステイを利用していて、自宅に帰る前の最終日に起きた出来事だったそうです。 ショートステイの利用者が転落死 鳥取県警の調べによると、4月17日の午後1時過ぎ、女性は高さ70cmほどのストレッチャーに乗せられ、入浴準備を待っていたと言います。 職員が2人体制で入浴準備をおこなっていたところ、少し目を離した隙に女性が転落。病院に搬送されたものの、翌日に死亡が確認されました。 施設側は転落原因について、「2mくらいの距離にあったタオルを取りに行くために背を向けた、数秒間の間に転落してしまった」と話しています。 また、職員が離れるときはストレッチャーの柵を設置することになっていたものの、「移動する距離が短い」という理由から、職員が片方の柵を設置せずにタオルを取りに行ってしまったそうです。 施設側はマニュアルを再確認するなど、再発防止に努めたいと話しています。 転落を防止するためには どうすれば転落を防止できるのでしょうか? まずは、定期的に研修を実施し、介助方法を職員全員が見直す機会を設けることが重要です。職員の中には、長年働いているうちに自己流の介助になっている人も少なくありません。 もちろん、自分のやりやすい方法で介助をおこなう方が体への負担は軽減されます。一方で、自己流の介護を続けていると、基本的な安全確認を見落とすことにもつながりかねません。年に数回ほど介助に関する研修があれば、自分の介助方法が安全かどうかを確かめられるでしょう。 また、利用者が寝ていたり座っていたりする状態であっても、静止しているわけではないことを理解しておく必要もあります。一定期間寝ている状態が続けば、体に疲労感や不快感を覚えることがあります。その不快感や徒労感から逃れるために、体を動かすことも十分考えられるでしょう。 普段、どんなに注意深く介助をおこなっていたとしても、人員不足や一瞬の気のゆるみから転落・転倒事故が起こることがあります。施設には、十分な再発防止対策をおこなうとともに、職員に対するケアもしてほしいですね。

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

介護の基礎知識

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