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高齢者の転倒やベッドからの転落は、その怪我によって要介護状態になったり、寝たきり状態になったりと身体状況の悪化につながる大きな要因のひとつです。 そこで、そうしたリスクを予測するAIシステムがFRONTEO社によって開発されました。 また、これまではシステムの解析対象を看護カルテのみにしていたため、医療機関だけで利用されていました。しかし今回、介護記録も解析可能になり介護現場での活用も期待されています。 AIで転倒・転落を予測 独自のAIシステムを開発しているFRONTEO社が、転倒転落予測AIシステム「Coroban」を開発。すでに医療機関での導入がされていましたが、新機能の開発によって介護施設でも活用可能になりました。 このAIシステムは、電子カルテの記録を解析して転倒転落リスクを予測し、リスクが高い場合にアラームで知らせるシステムです。 このシステムには、同社が独自に開発した自然言語解析AI「Concept Encoder」が利用されています。 これまでのAIの多くが数字データの解析を得意としており、介護・看護記録などの「普通の言葉による文書」の解析はできませんでした。 そこで、同社は通常の文書を解析できるAIを開発。それにより、人が自由に書き記した文章を分析して、一定の傾向やリスクなどの予測を瞬時にできるようになりました。 この転倒予測AI「Coroban」を導入すると、これまで人の手でおこなわれていたアセスメントを自動でシステム上で実施できるようになるそうです。 とある導入した病院では、入院患者の多くが高齢者のため、9割が転倒リスクが高いというアセスメント結果になっていたそう。ほとんどの患者が高リスクなため、ケアの優先順位を正しくつけられず、結果として転倒する患者が減らなかったそうです。 このシステムの導入後は、本当に転倒リスクの高い患者が絞り込まれたため、転倒発生率が低下。一方でスタッフが患者に転倒抑制のための介入した割合は下がっており、業務負担が減ったそうです。 現場の効率化と安全性の両立 今回のシステムのように、専門家でないとできないと思われていた分析作業もAIの導入によって効率化できるようになってきているようですね。 また転倒や転落は、高齢者にとっては怪我をする大きな要因のひとつです。 認知症のために上手く身体が動かせなかったり、足腰の状態が悪くなっている人は転倒リスクが上昇。しかし人手不足のために、その全員のケアがしきれないのが介護・医療現場の実情です。 そこで、今回のシステムのように分析する仕組みがあると、現場で働くスタッフもリスクが高い人に集中できますよね。 「AIの分析が正確なのか」という懸念点はありますが、こうしたシステムが導入されると現場の負担が減り、介護される人もさらに安心して生活できるようになるかもしれませんね。
2022/02/22
介護にまつわる悲しい事件が、また起こってしまいました。 今月13日、大阪府大阪市で寝たきりの妻の首を絞めて殺害した夫が逮捕。動機について夫は、「介護に疲れた」と話しているそうです。 また今月の18日には、東京都江戸川区で妹の首を絞めたとして兄が逮捕されています。 「介護に疲れた」女性が首を絞められて殺害 今月13日、大阪市鶴見区で「妻の首を絞めた」という110番通報がありました。現場である集合住宅に到着した警察官が、住宅に住む72歳の女性が倒れているのを発見。搬送先の病院で死亡が確認されました。 警察によると、夫が「タオルで首を絞めた」と認めたため、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕。動機について「寝たきりの妻の介護に疲れた」と話しているそうです。 また、東京都江戸川区でも同様の事件が発生しています。 江戸川区南小岩のアパートで、住人の70歳の女性が倒れているのを警察が発見。すぐに病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。 現場にいた女性の兄が「妹の首を絞めた」と犯行を認めているため、警察は殺人容疑で逮捕しています。 兄は居間にいた女性の首を電気コードや手で絞めたとのこと。「介護疲れや先行きへの不安が重なり、爆発した。妹を殺して自分も死のうと思った」と述べているそうです。 「介護疲れ」の予兆に目を向けて 「介護に疲れた」―これは、今回の2つの事件で家族を手にかけてしまった容疑者たちに共通している言葉です。 大阪市の事件では、容疑者である夫と介護されていた妻は2人暮らし。妻の生活のすべてを夫がサポートして、身体的にも精神的にも負担が大きかったと考えられます。 また、江戸川区の事件では他の妹と分担して被害者の介護をしていたそう。もしかしたら、兄という立場上、「自分がしっかりしなければ」と気負っていたのかもしれませんね。 介護疲れで参ってしまう人の多くが責任感の強い人が多いと言います。そのため、「まだ大丈夫」「こんなことで相談してはいけない」と抱え込んでしまい、自分の疲れに気が付かないことがあります。 介護疲れ対策のはじめのステップは、自分の疲労のサインに気が付くことです。 「急にオムツやトイレのにおいが気になるようになった」「イライラして怒鳴ってしまう」「駐車が下手になる」など、五感が敏感になったり、気持ちが不安定になったり、注意力が散漫になっていると感じたら、疲れが溜まっているサインかもしれません。 こうした予兆があったら、ショートステイを活用して数日間でも介護から離れたり、ケアマネジャーなどの専門家に相談してみましょう。 介護サービスや専門家を活用することで「愛情がない」とか「介護のやり方が悪い」といったことはまったくありません。 これらを上手く活用して、介護する人もされる人も元気な介護環境を整えられるのが理想。気軽に利用していきましょう。
2022/02/21
訪問介護事業所などを運営元が、新型コロナウイルスの感染リスクに見合った感染症対応加算を厚生労働省に要望しました。 現在、オンラインで署名を呼びかけており、約3万9000人(2月21日時点)もの人が賛同。報酬の加算の他にも、ワクチンの追加接種の優先対象にしてほしいと要望も提出しました。 訪問診療と訪問介護の対応に格差 今月17日、訪問介護ヘルパーの新型コロナ対策に関する報酬加算や、ヘルパーを3回目のワクチン接種の優先対象にすることなどを盛り込んだ要望書が厚生省に提出されました。 これを提出したのは、訪問介護事業所を運営する「株式会社でぃぐにてぃ」、訪問介護やデイサービスなどを運営する「NPO法人暮らしネット・えん」、外出付き添いサービスなどを提供する「NPO法人グレースケア機構」の代表者です。 現在、新型コロナの感染者へのケアをおこなった場合、訪問介護には追加の報酬はありません。 一方で、同様に感染者のサポートをしている訪問診療には1回あたり2万8500円、訪問看護には1万5600円の追加支給がおこなわれています。 加えて、訪問ヘルパーはほとんどの自治体でワクチンの優先対象に含まれていません。1回目・2回目の接種や、現在行われている3回目の接種でも優先対象にはなっていないようです。 こうした現状をふまえて、訪問介護ヘルパーも医師や看護師と同じように感染リスクにさらされていることから、それに見合った追加報酬やワクチンの優先接種を要望。在宅ケアを支えている医師や看護師と同等の処遇を希望しています。 でぃぐにてぃの代表で自身も障害を持ち、訪問介護サービスを利用している吉田さんは、「『ふざけるな』という思い。理不尽で不公平」と強い言葉で語っています。 吉田さんらの要望に対して厚労省は、感染対策の経費に対する補助金などを利用してほしいとの説明。現段階で、検討する姿勢を見せていません。 新型コロナで浮き彫りになる政府の対応 現状、訪問介護を取り巻く環境が整っているとはとても言えません。 この状況を受けて、暮らしネット・えんの小島代表は「国は人の良いヘルパーをバカにしている。そんな風に扱われる職業に皆さんはなりたいでしょうか」と国の対応を指摘。「深刻な人手不足を国が自ら招いている」と業界の働き手不足にも言及しています。 新型コロナで人手不足がさらに進行している介護業界。しかし、感染拡大が起きたからこそより重要な業界であることも広く認知されてきています。 こうしたひっ迫した状況を改善していくためには、何度でも声を上げていかなければならないのかもしれません。
2022/02/21
沖縄県沖縄市で、介護と仕事を両立する人を支援するサービスが開始されました。 これは、居宅介護支援や高齢者向けの病院付き添いサービスを提供しているhareruya(ハレルヤ)社がおこなっているもの。企業内の介護相談窓口を設置したり、オンラインで視聴できる介護講座などを配信することで、介護に悩む人を支援するサービスとのことです。 9割が仕事と介護の両立に不安がある 沖縄市でケアプランの作成や、病院付き添いサービスをおこなっているhareruya社が、新たに介護離職をなくすための支援事業を開始しました。 これは、同社が昨年おこなったアンケート調査に基づくもの。調査は、沖縄県内の企業を対象におこない、104社と従業員300名の回答を得ています。 その中の4分の1の企業で、家族の介護を理由に従業員が離職したことがあるそう。また、「家族に介護が必要になったとき、今の職場で仕事を続けられると思うか」という質問には、半数が「できないと思う」と回答し、「わからない」と答えた人と合わせると全体の約9割に上ります。 その「できないと思う理由(複数回答)」については、約35%の人が「要介護者になったときの予想がつかないので、漠然とした不安がある」と回答。また「将来の⾒通しが⽴てにくい」「介護保険の仕組みがわからない」という理由も3割近くとなりました。 さらに、実際に介護を経験したことのある人に「仕事と介護の両立に役立つこと」について質問してみると、70%以上の人が「介護保険の全体について、学んだり相談できる仕組み」と回答しました。 こうしたアンケート結果を受けて、同社は企業の福利厚生サービスとして「仕事と介護の両立サポート『晴れるや』」をスタート。月1回のメールマガジン配信や、動画によるオンライン介護講座サービスを提供します。 またオプションとして社内の介護相談窓口を設置したり介護保険の勉強会を開くなど、従業員の困りごとに応える内容になっています。 介護の前に出会うケアマネジャー hareruya社の大城代表によると、自身がケアマネジャーとして仕事する中で「もう少し早く出会えていたら、仕事を辞めずに済んだかもしれない」という声を聞くことがあったそうです。 そこで、介護が始まってから出会うケアマネジャーではなく、事前の介護相談ができる「産業ケアマネジャー」として早く出会うことが、介護離職の防止につながると考えて今回のサービスを立ち上げたとのことです。 まだまだ介護をする人への支援が少ない状況で、こういったサービスが増えれば「介護のために仕事を辞める」という人が減っていくかもしれませんね。
2022/02/17
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。