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介護現場で聞かれる悩みのひとつに腰痛があります。 いすから車いすへの移乗や離床の介助など力仕事の多い介護の現場では、多くの介護職員が腰の痛みに悩んでいる現状があります。 この問題を解決するために、身体に装着するアシストスーツが登場しています。 そのなかのひとつに、アシストスーツ「楽衛門(らくえもん)」があります。このスーツは、モーターなどの動力を使わずにゴムの力を利用して力仕事をサポートするので、軽くて長時間使用していても疲れにくいそうです。 現場で使いやすいアシストスーツ ラクエモン社が、介護職員の腰の負担を軽減させるために開発したのは、アシストスーツ「楽衛門」。オーバーオールのような見た目で、男女関わらず使用できるデザインのスーツです。 このスーツの仕組みは、腰から背中にかけての独自の「超ハイパーゴム」の復元力によって力仕事をサポートします。 復元力とは、伸びたゴムが元に戻ろうとする力のこと。腰をかがめた姿勢で伸びたゴムが、身体を起こすのに合わせて縮むので、身体を引っ張り上げてくれるのです。 また、このスーツは「軽量」「低価格」「装着が簡単」なのが特徴です。 まず、軽さについて、このスーツの重さは800グラム。長時間着用するものなので、モーターなどを使わず、ゴムが伸び縮みする力を利用することで軽量化しています。 そして、価格は41,800円(税込)。数十万円することもあるアシストスーツのなかでは比較的安い価格で購入できるのが魅力です。 さらに、装着が簡単にできる点もポイント。つなぎを着るような感覚で10秒で着ることができるほど簡単に装着できるそうです。 「利用する目的」が大切 介助を手助けしてくれるアシストスーツですが、多様な種類が販売されていて何を選べばいいかわからなくなることもありますよね。 そういったときは、「どんな場面で利用したいか」に注目してみると良いかもしれません。 例えば、「楽衛門」は重い物を持ったり移乗介助などのときに力を発揮するもの。しかし、中腰の状態の作業が長時間にわたるときの腰のサポートには不向きです。 一方で、モーターなどの動力を使っているものの中には中腰を支えてくれるタイプも。ただ、動力を使っているスーツは重かったり高額なものが多いのがネックです。 施設にアシストスーツの導入を悩んでいる場合は、利用する目的に注目してみると失敗が少なくなるかもしれません。
2022/06/15
2020年時点で、認知症を発症している人は約600万人とされており、その数は毎年増えていくと推定されています。 そこで、近年、問題となっているのが認知症高齢者を介護する家族のサポート。認知症の知識がないままに介護をすることになったために正しく対応ができず、精神的につらくなってしまう人も少なくないのです。 そこで、名古屋大学が認知症を介護する人同士が悩みなどを共有できるアプリ「私の介護」を開発。ユーザーはチャット機能を使って匿名でやり取りができるそうです。 介護の悩みを吐き出せるアプリ 名古屋大学などの研究グループが、認知症の人を介護する家族などが利用できるアプリ「私の介護」の開発。現在はアプリの効果を調査するための研究に参加できる人を募集しています。 このアプリは、チャット機能でユーザー同士やケアマネージャーなどの支援者とやり取りができます。 例えば、現在おこなわれている研究では「認知症の夫が怒りっぽくなって困っている」という投稿に「気を紛らわせられるように、本人が好きなものを用意すると良い」というアドバイスや共感の声が返されているそうです。 また、支援者としてケアマネジャーも参加しており、介護の専門家に質問することも可能。さらに認知症の知識を学べるコラムも掲載されています。 このアプリの目的は、介護する人の負担を軽減して認知症の人の状態を良くすること。というのも、認知症の人の症状は、介護する人の対応や働きかけによって変化するものですが、介護者の中には認知症や介護の知識がないままに家族の介護をしなければいけなくなった人も多いのです。 そこで、このアプリを通じて必要な情報を手に入れたり悩みを共有することで、介護者の負担が少なくなったり認知症の症状が良くなることを目指しています。 アプリ版「認知症カフェ」に? 全国的に「認知症カフェ」が広まりつつありますが、介護に悩んでいる人がそれを知らなかったり近くで開催されていなかったりとまだまだ活用しきれていない面があります。 加えて、介護と仕事を両立している場合だと認知症カフェに参加する余裕がないこともあるでしょう。 そういったときに、アプリで気軽に悩みを吐き出せるととても助かりますよね。アプリなら仕事や介護の合間にちょっとした息抜きでも見られますし、今回のアプリは匿名制なので個人が特定されずに投稿ができます。 もしかしたら「認知症カフェで、顔をあわせていると本音を話しにくい」という人でも、気楽に利用できるアプリになるかもしれませんね。
2022/06/09
大人の代わりに家族などの介護をする子ども「ヤングケアラー」という言葉がニュース番組などで取り上げられるようになり、「ケアラー」という言葉が広まってきています。 ケアラーとは、無償で家族などの身近な人の介護や世話をする人のこと。そのなかの18歳未満がヤングケアラーです。 今年4月には、北海道で「ケアラー支援条例」が施行。それを受けて、北海道社会福祉協議会に「ケアラー支援推進センター」という専門の部署が設立されました。 対して、京都府ではケアラー支援に関する条例を作ろうと「ケアラー支援条例をつくろう!ネットワーク京都(京都ケアラーネット)」が発足。介護をする家族の会やヤングケアラーなどの団体が集いました。 ケアラー支援が進み始める 今月1日、北海道社会福祉協議会の中に「ケアラー支援推進センター」が新設されました。 ケアラー支援の専門部署が都道府県社会福祉協議会に設立されるのは、全国で初めてのこと。今年4月に北海道で「ケアラー支援条例」が施行されたことに合わせて開設され、今後は北海道や関係機関と連携して支援をおこなうそうです。 具体的には、ケアラーに関する認知拡大や啓蒙活動をしたり、人材の育成、ケアラー支援をおこなう市町村や団体へのアドバイスをおこないます。 また京都府では、ケアラーに対する支援条例を作ることを呼びかける「ケアラー支援条例をつくろう!ネットワーク京都」が発足しました。 この団体は、高齢者や障がい者を介護する家族の会や男性介護者の会、ヤングケアラーの団体などさまざまな年代・背景を持つ人の団体関係者が共同代表に名を連ねています。 この団体が目指すのは、「ケアをしても自らの人生を生きられる社会の実現」すること。そのために京都府や京都市、議会などに働きかけて支援条例の制定につなげていきます。 現在、ケアラー支援条例は9つの自治体で制定されているものの、近畿地方ではまだ制定している自治体はありません。勉強会や支援のニーズ調査などをおこなって、京都府での条例制定を目指したいとしています。 孤立するケアラーを救い出すために ヤングケアラーにかぎらず、家族などの介護している人は孤立してしまう傾向があります。 というのも、ほとんどのケアラーが介護と学業・仕事との両立で時間がなく、そのうえ精神的にも体力的にも余裕がないため。誰かに相談する気力がなかったり苦労が日常化しているので「相談することはない」と思ってしまうことが多いのです。 そのため、ケアラー支援条例が制定されることでケアラーに対する理解が深まり、周囲が助けの手を差し伸べやすい環境になるのではないでしょうか。
2022/06/07
介護現場で働いているとリスクの高い労災。これまで、介護現場の労災といえば腰痛というイメージがありましたが、新型コロナウイルスの拡大によって新型コロナの感染が労災認定で最も多いものになっています。 厚生労働省のまとめによると、2021年度の新型コロナに感染したことによる労働災害の認定件数が2万件近くにのぼり、前年度の4倍以上に急増したことがわかりました。 また、腰痛に関しても厚生省が「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会」を実施。2023年度からの労働災害防止計画に反映させる見込みです。 労災が身近な介護現場 厚生省のまとめによって、2021年度の新型コロナの感染による労働災害の認定件数が2万件近くになったことがわかりました。 月別に見てみると、新型コロナに感染したことが原因の労災は2020年の5月頃から出始め、2020年度の認定件数は4553件。2021年度で最も件数が多かったのは6月の2172件で、2021年度の累計件数は1万9404件となりました。この数字は2020年度の4.3倍です。 さらに、労災認定者の職業別では、医療従事者が全体の41.8%、社会保険や介護事業などが21.9%と多くを占めることがわかっています。 ちなみに、コロナ前までの労災認定で最多だった突然腰を痛める「災害性腰痛」は年間3000件程度でしたが、それと比べると新型コロナ感染による労災の多さがよくわかります。 また、新型コロナ感染以外で介護現場の労災で多いのが腰痛。厚生省は、その対策を考える「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会」を開きました。 腰痛は、介護現場や小売業などの第3次産業で増えており、事業者の安全対策への理解が十分でないことが課題です。 そこで、今回の会合では災害防止意識や安全教育の具体策、事業者への支援策などについて有識者と意見交換をおこないました。 介護の「3K」イメージを変える? 感染リスクの高い高齢者のすぐ近くであったり力仕事の多い介護の現場は、労災が起こりやすい環境です。 そのため、感染予防だけでなく腰痛を起こさない介助方法などの業務に関する教育も不可欠。しかし、人手不足の業界のため、無資格であったり介護技術を学んでいない職員が現場に入らざるを得ない状況であることも確かです。 こうした労災の対策をとることも、「きつい」「大変」という印象を持たれがちな介護現場のイメージ改革にもつながるのかもしれませんね。
2022/06/07
介護をする人にとって、排泄ケアは大きな悩みのひとつ。介助に費やす時間やモレてしまったときの更衣など、さまざまな負担がかかっています。 それと同時に、介護される人にとっても排泄ケアは負担になるもの。特に、夜間は不必要なオムツ交換によって睡眠を妨げられると、次の日に眠気があって元気に活動できないこともあります。 そこで、三和社はライトの色で排泄量がわかる尿とりパッドを開発。専用の尿とりパッドにセンサーをつけると排尿量によってライトの色が変化するため、適切なオムツ交換のタイミングがわかるそうです。 パッドがオムツ交換を教えてくれる ものづくりで介護や育児の問題の解決に取り組んでいる三和社が、オムツ交換のタイミングを知らせる機能がついた尿とりパッドの販売を開始しました。 この尿とりパッドは、専用のセンサーとランプを一緒に使用。尿とりパッドにクリップ式のセンサーを装着することでランプが排尿量によって色を変えてオムツ交換のタイミングを知らせます。 ランプは、排尿量に応じて「白」「緑」「黄色」「オレンジ」「赤」と色が変化。パッドの許容量に近づくとランプが赤くなりアラームを鳴らして排尿量を知らせるので、交換が必要になったときだけオムツ交換をすれば良いのが特徴です。 さらに、この尿とりパッドは一般的なパッドと変わらない使用感を実現。やわらかさや処分方法も一般的なパッドと同様です。 介護者を悩ませる排泄ケア 同社は、この尿とりパッドを開発する前に赤ちゃん用の排泄検知センサーを発売していたそう。それがテレビで取り上げられると、視聴者から「大人用も作って欲しい」という声が多く届いたことで、このパッドの開発に至りました。 こうした声がたくさん届くほど、介護をしている人にとって排泄介助は大きな負担になっているということがわかりますね。 また、一般的なパッドに比べて少し割高ですが、特別に高いというわけではないのがうれしいところ。必要なときにだけ交換すると考えれば、結果的には安くなることもあるかもしれません。
2022/06/06
歳を重ねると、多くの人が食べ物を噛む能力「咀嚼(そしゃく)機能」や飲み込む能力「嚥下(えんげ)機能」が低下していきます。 そのため、食材を細かくしたり飲み物にとろみをつけた「嚥下食」に食事の形を変える必要が出てくることも。しかし、家庭で作るには一般的な料理よりも手間がかかることが多く、介護をする人の負担が大きくなっています。 そこで、嚥下機能の低下した人向けの食事を手軽に買える自動販売機が登場しています。 例えば、福岡県北九州市では自動販売機でハンバーグやポタージュなどのプロが作った嚥下食を購入可能。さらに、埼玉県蓮田市にある東北自動車道・蓮田サービスエリアには、とろみをつけられる自動販売機があり、ボタン1つでとろみ付きの飲み物が手に入ります。 嚥下食が買える自販機? 福岡県北九州市の住宅街の一角に、嚥下食を販売する自動販売機が登場しました。 この自動販売機のメニューは全8種類。「海老のチリソース(550円)」「ハンバーグ(550円)」「チキン南蛮(450円)」「白いんげん豆のポタージュ(240円)」「やさいプリン(200円)」など、主菜からデザートまで選べるようになっています。 この嚥下食を作っているのは、「嚥下食工房 七日屋」という地元企業。嚥下食をデイサービスなどに配食したりネット販売をしている嚥下食のプロです。 そうしたプロが作った安全な嚥下食をいつでも気軽に購入してほしいと、今年4月から販売を開始したそう。24時間いつでも買えるので、介護をする人の帰宅が遅くなってもすぐに食事の準備ができるのが魅力です。 また、埼玉県蓮田市の東北自動車道・蓮田サービスエリアには、飲み物にとろみをつけられる自動販売機が登場しています。 この自動販売機は、飲み物を選択するボタンの他に「とろみありボタン」があり、飲み物のボタンを押す前に「とろみありボタン」を押すことでドリンクにとろみをつけられます。 さらに、とろみの強さも「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階から選べ、飲む人の嚥下機能に合わせて調節ができるようになっています。 嚥下食が手軽に食べられるものに 食事にとろみをつけたり具材を細かく刻んだりと準備するのに手間がかかる嚥下食。忙しかったりすると、その負担が大きく感じるかもしれません。 そこで、自動販売機で手軽に嚥下食が購入できるのはありがたいですね。特に、とろみつきの飲み物を買える自動販売機は、外出先での水分補給がとても楽になりそうです。 「嚥下食」というと、特別なものに感じてしまいがちですが、自動販売機で購入できることでもっと身近なものになるかもしれないですね。
2022/06/02
「地方にいる親の様子が心配だけど、コロナ禍で帰省できない」など、新型コロナウイルスの感染拡大は、遠距離介護をする人の精神的な負担が大きくなっているかもしれません。 そこで、N.K.Cナーシングコアコーポレーションは、「わたしの看護師さん」で介護保険外サービスによってそうした人を支援。これまで、東京や大阪、名古屋などを中心にサービスをおこなっていましたが、今回、愛媛県西条市でもサービスの提供を開始することを明らかにしました。 医療資格を持っているスタッフが対応 N.K.Cナーシングコアコーポレーションが提供する「わたしの看護師さん」のサービスエリアが拡大することがわかりました。 このサービスでは、「病院・付き添いサービス」や「健康生活サポート」など、スタッフ全員が医療資格を持っているからこその内容を提供しています。 例えば、病院・付き添いサービスは「遠方に住んでいるため、親の通院の付き添いができない」「医師からの指示を正確に理解したい」などの要望に応えるもの。看護師資格を持つスタッフが診察室まで同行するので、専門用語が多くてわかりにくいことのある医師の説明をスタッフがわかりやすく解説します。 さらに、健康生活サポートは「親の様子を見に行きたいがコロナ禍で行きにくい」「親の身体のことを誰に相談したら良いかわからない」などの不安を解消できるサービス。看護・介護の資格を持ったスタッフが対応するので、体調や身体状況の変化などを見逃さずに適切な対応ができます。 また、このサービスでは専用のスマホアプリで家族の身体状況などを報告。記録の履歴も確認できるので、過去の様子についても後から見返せるそうです。 会えなくても様子がわかる安心感 感染拡大の影響で、定期的に親の様子を見に帰っていた人も帰省をためらうことがあるのではないでしょうか。 しかし、長期間会っていないと、身体状況などが変化していることも。なかには、「外出自粛をしていたら歩けなくなった」「物忘れが多くなり、様子がおかしい」など、会わない間に介護が必要な状況になってしまうケースもあるのです。 そうしたときに、介護や看護の専門資格を持つ人が様子を見てくれると家族としては安心ですね。
2022/06/02
ニュースなどで「介護疲れ」「介護うつ」といった言葉を耳にすることが多くなりました。 家族の介護に疲れた気持ちをためこんでしまうと、虐待や殺人を犯してしまうことも。そのため、行政・介護サービスを利用したり息抜きをしたりすることが大切です。 そうした家族の介護に苦労する人が疲れを癒せるように、イギリスでは介護者が無料でホテルやコテージに宿泊できるプロジェクトが開始。介護者がリフレッシュしている間は、連携するボランティアが介護をされる人のケアをおこなうそうです。 ホテルで介護疲れを癒す イギリスの慈善団体「Carefree」が、家族などの介護をおこなう人が無料で宿泊施設に泊まれるプロジェクトを開始しました。 このプロジェクトを利用できるのは、18歳以上で日常的に介護をしている人。週30時間以上、報酬なしで親や兄弟などの家族を介護している人が介護をされる人から離れるために、宿泊施設を2~7泊を利用できます。 利用できる宿泊施設は、ホテルとコテージの2種類。ホテルには介護者本人と同伴者1名、コテージにはそれに加えて子ども2名まで無料で宿泊できます。 もちろん、介護されている人は同伴不可。介護者がケアのことを忘れてリフレッシュするための期間なので、世話をされている人は一緒に宿泊することはできません。ただ、宿泊期間中はプロジェクトのボランティアが介護をおこなうので、安心して休息できるような環境が整っているそうです。 この取り組みの背景には、1990年代からイギリスで家族などの介護を無給でおこなう「無給ケアワーカー」の存在が知られるようになったことがあります。現在、世界に先駆けて社会的な支援が実施されているものの、国内880万人の無給ケアワーカーが5年近くも1度も休暇を取れていないことが問題になっています。 そこで、空いているホテルやコテージを活用して無給ケアワーカーが休暇を取りやすい環境を提供。宿泊施設の空室問題も同時に解決できるとあって、提携施設数は徐々に増加しており、サービスを利用した介護者は1000人を超えたそうです。 介護者への支援が課題 世界一の長寿国である日本ですが、介護者への支援が充実しているとは言えないのが現状です。 現在、感染拡大の影響で、日本でも宿泊施設の空室が問題になっています。そこで、このイギリスのプロジェクトのように空室を利用して、介護者の休暇を促進する取り組みがあっても良いのではないでしょうか。 特に近年、「介護疲れ」「介護うつ」などによる傷害事件や殺人事件が発生しています。誰もが気軽に「介護に疲れたから休む」という選択ができるように支援の充実が求められているのかもしれません。
2022/06/01
65歳未満の人が発症する若年性認知症。厚生労働省の2020年の調査によると、若年性認知症の人は約35700人で、高齢の認知症患者よりもかなり少ないことがわかっています。 そのため、若年性認知症の当事者をケアする体制が整っていなかったり、当事者やその家族が相談しやすい環境が少ないのが現状なのです。 そこで、そうした状況を改善するために、各地で若年性認知症の当事者による集まりが開催されています。 例えば、神奈川県川崎市では「あのころ会議」を開催し、認知症リハビリとして昔の出来事を自由に語り合う場を提供。また、石川県金沢市では、月に1回「若年性認知症カフェ」がおこなわれており、当事者や家族が自分の思いを話せる場所になっています。 若年性認知症の当事者同士が語らう場 今月20日、川崎市宮前区にある宮前市民館で若年性認知症当事者の集い「あのころ会議」が開催されました。 この集まりは、毎月おこなわれている若年性認知症の当事者が自由に語り合う「これから会議」の特別版として実施。参加者が、昔の出来事を思い出して語ることで認知症の症状が緩和することを目指しています。 当日は、日刊紙の「号外史」や「昭和言葉史60年」などを見たり当時の音楽を流したりして、当時の事件や出来事を振り返りました。 また、金沢市にある金沢21世紀美術館では、若年性認知症の当事者や家族が集う「若年性認知症カフェ」がおこなわれました。 先月上旬に開催したカフェでは、ソーシャルワーカーや理学療法士なども参加。当事者の普段の思いや趣味などについて自由に歓談しました。 このカフェは、社会から孤立することの多い当事者がやりたいことや楽しみについて語らえる場所がないことを受けて開始。現地で参加できなくても、当事者や家族が社会から孤立しないようにオンラインでも開催しているそうです。 孤立を防ぐために 若年性認知症を発症する人の多くが働き盛りの年代。しかし、認知症の影響で仕事ができなくなり退職してしまうと、社会とのつながりがなくなり孤立してしまうことが多いのが現状です。 また、若年性認知症の人の介護者が配偶者1人だけというケースも多く、負担が大きくなる傾向があります。そのため、当事者や家族に対しての精神的なケアが求められています。 そうしたときに、若年性認知症の人が集まる場があると自分の不安な気持ちが楽になるかもしれません。 しかし、まだこうした集まりは少ないので、若年性認知症の人が不安なく暮らせるようにもっと拡大することに期待したいですね。
2022/05/30
大人の代わりに家族の世話や家事をおこなっている「ヤングケアラー」。近年、この言葉が注目されるようになり、実態を把握するための調査などがおこなわれていますが、その支援はまだ十分とは言えない状況です。 そうしたことを受けて、埼玉県入間市ではヤングケアラー支援条例案が議会に提出されました。 条例では、学校でのヤングケアラーの早期発見を求めたほか、関係機関からの相談を受ける体制を整備することが盛り込まれました。 この条例が制定されれば、全国初のヤングケアラーに特化した条例となるそうです。 全国初のヤングケアラー条例 埼玉県入間市では、6月議会にヤングケアラー支援条例案を提出。7月の施行を目指していることがわかりました。 この条例案では、ヤングケアラーを「高齢、心身の障害などによって援助を必要とする家族や友人などの生活の世話をする18歳未満」と定義。当てはまる子どもたちへの支援体制を整えることが盛り込まれています。 さらに、条例では支援体制を整えるために、学校などの関係機関や地域住民の役割を明らかにしました。 学校へは、ヤングケアラーの健康状態や生活環境の確認と支援の必要性の把握、市や関係機関と連携して適切な支援に努めるよう求めました。 加えて、地域住民の役割として、ヤングケアラーへの支援の必要性を理解すること、ヤングケアラーや家族が孤立しないように配慮することなどを定めています。 そして、市に対してはヤングケアラーの支援のために関係機関や地域住民と連携し、総合的な支援を実施することを役割として義務付けました。 市によると、この条例が制定されれば全国で初めてのヤングケアラーに特化した条例となるそうです。 いかにヤングケアラーを把握するか ヤングケアラーの支援には、課題が多く残っています。 例えば、ヤングケアラーの把握が難しい問題。ヤングケアラーの子どもたちは自分がヤングケアラーである認識がないケースが多く、学校や周囲に相談ができないのです。 そうした子どもたちは、「家族の世話をするのが当たり前」という認識を持っており、遊んだり勉強することに支障が出ていてもそれに問題があると気が付いていないこともあります。 そのため、行政や学校による支援ができていないという実情があるのです。 そうしたときに、入間市のような条例ができることでヤングケアラーへの理解が広まり、子どもたちも自ら周囲に相談しやすくなるかもしれません。 こうしたヤングケアラーの支援が広まって、子どもが子どもらしく過ごせるような社会が作られていくことに期待したいですね。
2022/05/26
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。