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新たな研究で、豆乳を飲んでいる人は、豆乳・牛乳などのミルクを飲まない人に比べて、認知症の発症リスクが低くなる可能性が示されました。 この研究は中国の中山大学によっておこなわれ、その研究結果は「Clinical Nutrition」という栄養学の専門誌に掲載されています。 30万人以上の医療データを解析 今回、研究グループは、イギリスの大規模データベース「英国バイオバンク」に登録されている、30万7231人(平均56.3歳)を対象に調査を実施。調査前に「ミルクを飲む習慣があるかどうか」や「牛乳や豆乳など、どのような種類のミルクを飲むか」といった質問をおこない、その後追跡して調べました。 追跡期間は中央値で12.3年。その間に認知症を発症した人は3789人でした。 豆乳を飲むと認知症リスクが下がる 研究グループが統計的に解析をおこなった結果、豆乳を飲む人は豆乳や牛乳を含むミルクを飲まない人に比べて、認知症の発症リスクが31%低下したことが判明。また、豆乳ではなく、牛乳を飲む人と比べても、認知症リスクが24%下がったことが明らかになりました。 研究グループは、「豆乳の摂取量や摂取頻度によって、認知症リスクがどのように変わるかについては、さらなる調査が必要である」としています。 日本豆乳協会によると、豆乳の原料である大豆には、がんや骨粗鬆症を予防するとされるイソフラボン、動脈硬化を抑制するとされる大豆たんぱく、肥満予防に効果的だとされるサポニンなどさまざまな栄養が含まれているそうです。 豆乳は単に飲むだけでなく、豆乳鍋やパンケーキなど幅広い料理に使えるのが特徴。日々の食事に豆乳を活用してみてはいかがでしょうか。 参考:「各種ミルクの中でも豆乳の摂取が認知症リスク低下と関連」(CareNet) 参考:「豆乳の栄養成分」(日本豆乳協会)
2023/10/19
ビタミンDには、骨や筋肉の増強を促す効果があると言われています。 今回、新たな研究で、ビタミンDを十分に摂取している人はそうでない人に比べて、糖尿病を発症するリスクが低下する可能性が示されたのです。 この研究は、アメリカのタフツ大学医療センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は米国内科学会にて発表されました。 ビタミンDの効能とは そもそも、ビタミンDにはどのような効能があるのでしょうか? ビタミンDは体内のカルシウム吸収を促して骨を強くしたり、体内のたんぱく質の働きを良くして、筋肉の増強を促す効能があることで知られています。 また、日光の紫外線を浴びることで体内で生成できる唯一のビタミンでもあり、1日15~30分程度の適度な日光浴が奨励されています。 ビタミンDが豊富に含まれるとされる食品は以下のとおりです。 サバ、アジ、イワシなどの魚介類 シイタケ、エリンギなどのキノコ類 チーズ 卵 ビタミンDを摂取している人は糖尿病になりにくい 今回、研究グループは、ビタミンDが糖尿病の発症リスクに及ぼす影響を比較した、3件の臨床試験を分析。その結果、ビタミンDを十分に摂取していると、糖尿病リスクが約15%低下することが明らかになったのです。 タフツ大学医療センターの糖尿病・内分泌代謝部に所属するアナスタシオス・ピタス氏は以上の結果について、「今回の研究結果を世界中の糖尿病を患っている成人に当てはめると、ビタミンDを補給することで、1000万人以上の糖尿病の発症や進行を遅らせることにつながる」と話しています。 ビタミンDは健康で過ごすためになくてはならない栄養素のひとつですが、体内で蓄積されるため摂取しすぎると害が及ぶ可能性もあります。極力サプリメントなどではなく、食事や日光から摂取するようにすると良いかもしれませんね。
2023/09/27
新たな研究で、オリーブオイルを摂取する習慣がある人はそうでない人に比べて、認知症による死亡リスクが低下する可能性が示されました。 今回の研究はハーバード大学公衆衛生大学院の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は米国栄養学会の「Nutrition2023」にて発表されました。 オリーブオイルを摂取した人は認知症の死亡リスクが低下 今回、研究グループは1990~2018年に収集された9万2393人の食事アンケートを分析。対象者のうち、4749人が追跡期間中に認知症で死亡したことがわかりました。 研究グループが対象者のデータを解析した結果、1日あたり大さじ半分以上のオリーブオイルを摂取した人はそうでない人に比べて、認知症による死亡リスクが28%低下したことが明らかになりました。 さらに、1日あたり小さじ1杯のマーガリンやマヨネーズを同量のオリーブオイルに置き換えると、認知症による死亡リスクが8~14%低下することが示されたのです。 オリーブオイルに含まれるポリフェノールがカギ 研究グループが今回の研究を実施するきっかけとなったのは、オリーブオイルをふんだんに使う、アクアパッツァやアヒージョなどの「地中海食」の健康効果が高い関心を集めたからでした。 しかし、今回の研究によると、オリーブオイルを積極的に摂取していた人は、食事の内容にかかわらず認知症の死亡リスクが減少したことが判明。オリーブオイルに豊富に含まれるオレオカンタールというポリフェノールをはじめ、ビタミンEや不飽和脂肪酸が好ましい結果につながったとみられています。 ハーバード大学公衆衛生大学院に所属するアンジュリー・テシエ氏は「今回の研究で、マーガリンやマヨネーズなどの(人工的な)脂肪の代わりに、天然物であるオリーブオイルを使用するほうが、致命的な認知症のリスクを下げられる可能性が示された」と述べています。 パスタなどの地中海食だけでなく、さまざまな場面で活用できるオリーブオイル。ぜひ、日々の食事に取り入れてみてくださいね。 参考:「Opting for olive oil could boost brain health」(the American Society for Nutrition)
2023/09/21
糖尿病を患っている人の中には、「果物には糖質がたくさん含まれている」と思って食べるのを控える人も少なくありません。しかし、近年の研究によって、果物を適量食べるとむしろ糖尿病リスクが低下することがわかってきました。 今回紹介する研究は、中国カドリーバイオバンクによっておこなわれたもので、その研究結果は「PLOS MEDICINE」という医学誌に掲載されています。 50万人の成人を対象にした大規模調査を実施 今回、研究グループは、30~79歳の中国全土に住む50万人を対象にした大規模調査を実施。対象者は生活習慣にまつわる詳細なアンケートに回答し、身体測定と血液検査を受けました。それから、研究グループは約7年間にわたって追跡し、対象者の生活習慣と健康状態を調査しました。 対象者のうち、1万7409人は調査開始の段階から糖尿病を患っていることが判明。また、調査開始の段階では糖尿病ではなかった残りの48万2591人の中でも、追跡調査中に、新たに9504人が糖尿病を発症したことがわかりました。 研究グループが、アンケートの中で果物の摂取量を尋ねると、対象者のうち18.8%が毎日果物を摂取していると回答。また、6.4%はほとんど摂取しないと報告しました。 果物を食べると生活習慣病リスクが低下 研究グループが対象者のデータを解析した結果、研究開始時に糖尿病に罹患していなかった人では、果物を毎日摂取すると、ほとんど摂取しなかった場合に比べて糖尿病の発症リスクが12%低下したことが明らかになりました。 また、研究開始時にすでに糖尿病になっていた人でも、週に3回以上果物を摂取すると死亡リスクが17%低下したことがわかりました。 また、果物を食べる習慣がある人は、果物をほとんど食べない人に比べて心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが下がる可能性も今回の研究で示されました。 以上の結果を受けて、研究グループは「果物は糖分が比較的多いため、糖尿病患者は摂取を控えたほうがいいと考えられることがあります。しかし今回の研究で、適量の果物を食べることはむしろ健康的であることがわかりました」と述べています。 果物には、食物繊維やビタミン、ポリフェノールなどの栄養が豊富に含まれています。食べ過ぎには注意しながら普段の食事に取り入れていきたいですね。 参考:「Fresh fruit consumption in relation to incident diabetes and diabetic vascular complications」(PLOS MEDICINE)
2023/09/01
2024年度に東京科学大学として統合される予定の東京工業大学と東京医科歯科大学が、認知症やがんなどに有効な新薬の開発を目指す、共同研究組織を設立することを明かしました。 共同研究組織の名称は「中分子創薬コンソーシアム」。既存の薬では治療が困難な病気にも優れた効果を発揮する次世代の医薬品「中分子薬」の開発をしていくといいます。 中分子薬について ところで「中分子薬」とは、どのような医薬品なのでしょうか? そもそも、医薬品は病気に有効な物質の大きさで分類され、小さなものから「低分子薬」「中分子薬」「高分子薬」と呼ばれています。その中で、低分子薬は製造コストが低く、従来の飲み薬のほとんどを占めています。 一方、遺伝子組み換え技術などで製造される高分子薬は、がんなどの疾病に高い効果が期待できるものの製造コストが極めて高く、投与手段も注射や点滴に限定され、使いにくいという難点があります。 そこで、現在世界中から注目を集めているのが、今回取り上げる中分子薬です。中分子薬は化学合成による大量生産が可能なため、製造コストも抑えられ、一部は低分子薬のように経口摂取も可能。なおかつ、低分子薬以上に高い効果が期待できるといいます。 「中分子創薬コンソーシアム」の創設が決定 今回「中分子創薬コンソーシアム」を創設し、薬の共同開発を目指すのは、東京工業大学と東京医科歯科大学。薬の合成で高い技術を持つ東京工業大学と数々の医学研究をおこなっている東京医科歯科大学、さらに複数の製薬企業が連携して、効果を最大化していくといいます。 今後、両大学の研究者100人ほどの参加を目指し、中分子薬の研究組織としては国内最大規模になる見込みだそうです。 東京医科歯科大学の副学長は「異分野の研究者が日常的に議論することで、技術革新につなげていきたい」と話しています。 医療が発達すれば、それだけ高齢者が長く健やかに生きられる社会の実現に近づきます。今後の動向に注目していきたいですね。
2023/08/31
アルツハイマー病のリスクのある高齢女性がヨガに取り組むと、記憶力に関連する脳領域の活動が活発になる可能性が示されました。研究グループは、特に多くのストレスを抱えているような女性に有効だとしています。 この研究はアメリカのカリフォルニア大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Journal of Alzheimer's disease」という学術誌に掲載されています。 ヨガに取り組んだ対象者は脳の活動がより活発的に 今回、研究グループは、アルツハイマー病のリスクが高いと判定された60歳以上の女性22人を対象に調査を実施。従来の記憶力トレーニングに取り組むグループとヨガトレーニングに取り組むグループに分け、毎日約20分間のトレーニングをおこなうように指示しました。 12週間後に、脳のさまざまな領域の活動を測定できるfMRIと呼ばれる装置を使って、記憶力に大きく関連しているとされる「海馬」の活動量を分析しました。 その結果、ヨガに取り組んだグループでは、海馬の記憶力に関連する領域の活動がより活発になっていることが明らかになったのです。 以上の結果を受けて、カリフォルニア大学ヘルスシステム神経科学研究所に所属しているヘレン・ラブレツキー氏は「ヨガは、ストレスを感じやすく、主観的な記憶障害のある女性に対して有用である可能性が示された。身体機能が低下した高齢者であっても、身体の動きや呼吸に焦点を当てた穏やかなヨガであれば、安全に取り組めるだろう」としています。 ヨガが介護ストレスをも軽減 カリフォルニア大学の同じ研究グループは、これまでに認知症の高齢者を介護している45人を対象としたヨガの研究も実施。ヨガが介護のストレスに対しても有効であることを発表しています。 その研究によると、1日に12分間の瞑想を取り入れたヨガに取り組んだ人は、そうでない人に比べてメンタルヘルスが改善し、身体の炎症反応も低下したことが明らかになったといいます。 ラブレツキー氏は「特に、高齢の介護者は生活の満足度が低下しやすく、心身の健康状態が悪化しやすいことが知られている。しかし、今回の研究で、ヨガがストレスを緩和する可能性が示されたことはとても元気づけられる発見だ」と述べています。 ヨガや瞑想は心身を落ち着けるのにとても有効だとして、世界中から注目が集まっています。場所も取らず気軽にできるため、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。 参考:「Impact of Yoga Versus Memory Enhancement Training on Hippocampal Connectivity in Older Women at Risk for Alzheimer’s Disease」(Journal of Alzheimer's disease)
2023/08/30
そもそも、「レカネマブ」とはどのような医薬品なのでしょうか? レカネマブは、日本の大手医薬品メーカーであるエーザイとアメリカの医薬品メーカーであるバイオジェンが共同で開発した医薬品。アルツハイマー型認知症の要因とされる、「アミロイドベータ」と呼ばれる特殊なたんぱく質を除去する効果があるとされています。 アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドベータが蓄積し、健康な神経細胞が破壊されて脳萎縮が起こると言われていて、今回承認が了承されたレカネマブは、それを防ぐ効果が期待されているのです。 また、日本やアメリカでおこなわれた大規模研究によると、軽度の認知症の進行を27%程度遅らせることに成功したという報告がなされています。 ただ、すでに承認されたアメリカのレカネマブの薬価は約390万円と非常に高価。そのうえ、レビー小体型認知症や血管性の認知症などアルツハイマー型以外のタイプには使用できず、アルツハイマー型認知症であっても早期の患者にしか投与できないという制約もあります。 レカネマブの承認を了承 2023年8月21日に開かれた医薬品第一部会にて、専門家グループは国内におけるレカネマブの使用を了承。これを受けて、厚生労働省大臣が近日中に正式に承認する流れとなります。 仮に大臣が8月中に承認した場合、実際に日本の医療現場で使えるようになるのは早くても10月頃になる見込みです。 レカネマブを使用するには、脳内のアミロイドベータの蓄積具合を確認するために、脳せき髄液を採取する髄液検査や陽電子放射断層撮影(PET)といった高度な検査が必要。しかし、髄液検査は身体に負担がかかり、PETができる施設は全国に約60ヵ所ほどと多くありません。 以上のような課題があるものの、認知症の原因物質に直接作用する効果は魅力的で、今後の認知症治療を大きく変える可能性も秘めています。これからの動向にも注目ですね。 参考:「新規の抗認知症薬レカネマブについて」(可知記念病院)
2023/08/25
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といった五感のうち、視覚は特に認知機能に大きな影響を与えていると言われていて、視力が衰えると思考力や記憶力に悪影響を及ぼすことが指摘されています。 今回紹介する新たな研究でも、視力が低下した人はそうでない人に比べて、認知症の発症リスクが高まる可能性が示されました。 この研究は、アメリカのミシガン大学医学部ケロッグ眼科センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「JAMA Ophthalmology」という医学誌に掲載されています。 3000人以上の高齢者を対象に調査を実施 研究グループは、2021年におこなわれた「国民健康高齢化傾向調査」に参加した71歳以上の高齢者3817人のデータを分析することに。国民健康高齢化傾向調査とは、アメリカの高齢者向けの公的保険サービスであるメディケアを受給している人を対象とした研究で、10年以上にわたって続けられています。 今回、研究グループは3000人以上の対象者に、近くのものと遠くのものをそれぞれ見られるかどうかを測る視力検査、背景の色に対してあまり明暗がはっきりしていない文字を見られるかどうかを測る視力検査、記憶力と思考力を測る認知機能検査をおこない、その結果を解析しました。 視力が低下した人では認知症の有病率が上昇 研究グループが検査結果を分析した結果、対象者全体のおよそ12%が認知症を患っていることが判明。特に、近くを見る視力に問題があるグループでは、認知症を患っている人の割合が22%近くに達したことが明らかになったのです。 また、現段階では認知症を患っていなくてもその兆候がみられる人の割合を調べたところ、視力に問題がない人に比べて、遠くを見る視力に中程度以上の問題がある人では、72%も多くの人に認知症の兆候が見られたことがわかりました。 一方、今回の研究では、白内障の手術などで視力が回復した人は認知症の発症率が時間とともに低下する可能性も示されています。 以上の結果を受けて、研究グループは「目の健康を優先することは、視覚だけでなく全般的な健康や幸福につながる可能性が示された。視覚の最適化が認知症の発症リスクを軽減するかどうかについては、さらなる研究が必要だ」と述べています。 白内障などで視力が低下すると、日常生活そのものにも大きな影響が出てしまいます。手遅れになる前に医療介入ができるよう、定期的に眼科を受診すると良いかもしれませんね。 参考:「Objectively Measured Visual Impairment and Dementia Prevalence in Older Adults in the US」(JAMA Ophthalmology)
2023/08/25
新たな研究で、インスリンなどのタンパク質を含む薬剤を経口カプセルで投与する技術が開発されました。これまで、インスリンのようなタンパク質を含む薬剤は胃の中で早く分解されるため、経口投与は難しいとされていました。 今回の研究は、オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Biomaterials Advances」という学術誌に掲載されています。 糖尿病とその治療について インスリンとは、血糖を下げるホルモンのこと。糖尿病情報センターによると、このインスリンの働きが悪くなったり分泌量が少なくなったりして血糖値が下がりにくくなった状態が、糖尿病患者の大半を占める2型糖尿病だそうです。なお、1型糖尿病では、インスリンそのものがほとんど分泌されなくなるといいます。 以上のように、体内で分泌するのが難しくなったインスリンを、注射で補うのが現在広く知られているインスリン療法です。医療技術の進歩によって以前に比べてかなり痛みは減ったとはいえ、毎回注射しなければならないため、治療を負担に感じている人も少なくありません。 特殊なコーティングでインスリンの経口摂取が可能に 今回、ロイヤルメルボルン工科大学の研究グループが開発したカプセルには特殊なコーティングが施されていて、胃の中でカプセルが溶けないように設計されています。カプセルは腸で溶けるため、インスリンが腸で吸収されるようになっているのです。 ロイヤルメルボルン工科大学の生物物理化学部に所属するシャーロット・コン氏は「インスリン治療を経口で可能にする今回の試験は、非常に有望な結果となりました。できるだけ早く臨床試験を始められるようにしていきたいです」と話しています。 今回の研究がさらに進み、インスリン治療がカプセルの経口投与でおこなえるようになれば、糖尿病を患っている高齢者の治療もより簡便にできるようになりそうですね。 参考:「糖尿病とは」(糖尿病情報センター)
2023/08/18
新たな研究で、頭を使うゲームやパズルが、高齢者の認知症リスクを低下させる可能性が示されました。この研究はオーストラリアのモナシュ大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「JAMA Network」という医学誌に掲載されています。 高齢者のライフスタイルに関するデータを分析 今回、研究グループは、パズルなどの脳を刺激するとされるさまざまな活動が、認知症の発症リスクにどのような影響を与えているのかを調べることにしました。 調査にあたって研究グループは、2010~2020年にわたって、高齢者のライフスタイルに関するデータを収集。対象となったのは、研究を始めた時点で介護施設ではなく地域社会で暮らしていて、認知機能に問題がない70代以上の高齢者で、その人数は1万人以上に上りました。 対象者は友人と会う機会があるかどうかや、レジャー活動をおこなうか、美術館などに出かけるかといったライフスタイルに関する質問に答えました。 活発に活動する人は認知症リスクが低くなる傾向に 調査の結果、脳に良い刺激を与えるとされる活動を日常的におこなっている人は、そうでない同世代の人に比べて認知症を発症するリスクが9~11%低いことが明らかになりました。 「脳に良い刺激を与えるとされる活動」の一例は、以下のとおりです。 定期的にコンピューターを使用する 何かを学ぶ暮らすを受講する 手紙や日記をよく書く ゲームやトランプ、チェス、パズルなどの活動をおこなう 一方、社会活動の頻度や友人・家族の人数などは認知症リスクとは関係がない可能性が示唆されました。ただ、研究グループは「孤独や孤立の影響を見るには参加者の人数が少なすぎた」と指摘しています。 何か新しいことを学ぶことは、前向きに生きやすくなるなどメンタル面でもポジティブな効果が認められています。何歳からでも遅すぎるということはないので、新しい趣味を始めてみるのも良いかもしれませんね。
2023/08/15
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。