先日、母が自宅で転倒して足を骨折して入院しています。それで、車いすが必要な状態になってしまったので、介護施設に入ってもらおうと施設のパンフレットを見せたんです。そうしたら、「介護施設には行かない!」と強く嫌がられてしまいました…。
なぜ、こんなにも施設に入ることを拒否するんでしょうか?
入居を拒否する理由は、おひとりお一人違いますから一概には言えませんが、主なものとしては以下のリストのような内容が挙げられます。
多くのご高齢者にとって、長年過ごしてきたご自宅は離れがたいものです。特に認知症の人は、環境が変わることが苦手なため、暮らす場所が変わると落ち着かなくなることもあります。
そのため、新しい環境で暮らすということに拒否感を示す人は多いんです。ちなみに、内閣府が「自宅で介護を受けたい理由」について、以下のようなアンケートを実施しています。
へー。「住みなれた自宅で生活を続けたい」という理由が圧倒的に多いんですね。
そうなんです。このグラフは、言い換えれば「介護施設に入りたくない理由」なんです。
あとは「知らない人の世話になりたくない」のも大きな理由のひとつ。家族なら良いけど、スタッフさんにお世話してもらうのに抵抗がある人が多いようです。
…あ、このリストを見て思ったんですが、もしかしたら母は「共同生活することへの不安」も大きいのかも。今まで共同生活をしたことがない人ですから、見ず知らずの人と同じ建物で生活するのが嫌なのもありえます。
そういう人も多いですね。高齢になって、外の人とのつながりが薄くなってしまうのも関係しているのかもしれませんね。
それに、認知症の人の中には、自分が認知症である自覚がないことも。なので、「自分は介護を受ける必要がない」と考えて、介護施設に入る必要性を感じないんですね。
ああ、母もそういうところがあります。物忘れがあることを忘れているというか。
…あと、「介護施設にネガティブなイメージがある」「家族に見捨てられると感じている」というのも母に当てはまっているかもしれません。施設に入ってほしいと伝えたら、「施設なんかに入らない!」と怒鳴られましたから。
そういうことがあったんですね…。やはり、介護施設に良いイメージのない人は多くいらっしゃいます。なので、施設が”姥捨て山”のように感じられて、「介護施設に入る」イコール「家族に見捨てられる」と考えてしまうんですね。
母がどうして施設に入りたがらないのか、大まかにイメージがつきました。それでも、自宅では介護ができませんし、どうしたら母を説得できるでしょうか?
まずは、「どうして介護施設に入りたくないのか」「どんな風に感じているのか」をお母様から聞いてください。
先ほどの「入居をしたくない理由」は、あくまでも一般的な話ですから、お母様の気持ちをよく聞き取ってほしいんです。
母の気持ちですか…。
はい。そこから、どんな対応をしていけば良いのかがわかりますからね。
ちなみに、具体的な説得方法には以下のようなものがあります。お母様の状況をふまえて、効果のありそうなものから実践してみてください。
もし、介護施設や介護サービスにネガティブなイメージを持っているのだとしたら、施設入居よりも先に施設や介護サービスの良さを理解してもらいましょう!
例えば、デイサービスを利用してみたりすることも良いかもしれません。さらに、自宅以外の場所に宿泊するのが嫌なのだとしたら、ショートステイで慣れておきましょう。
うーん、母は今まで訪問ヘルパーさんしか利用していませんでした。あまり、人の多いところが好きではないので、デイサービスに行きたがらなかったんですよね…。
そうだったんですね。特にショートステイは専用の施設だけでなく、有料老人ホームや特別養護老人ホームでもサービスを提供しています。もし、入居したい施設がある場合は、その施設のショートステイを利用すると、施設の雰囲気もわかって良いかもしれません。
同様に、体験入居をおこなっている施設もあります。まずはお試しとして数日泊まってみて、良さそうだったからそのまま本入居、というケースもたくさんありますよ。
へー!体験入居なんてものがあるんですね。それなら母も入居してくれるかも。
そのときに、あわせて入居する施設に協力をお願いするとスムーズに行くかもしれません。
施設にですか?どんなことを協力してもらうんですか?
例えば、入居のときに施設のスタッフさんに迎えに来てもらうんです。スタッフさんたちは、入居を拒否していたり帰宅願望のある人の対応をたくさんしてきています。スムーズに入居できるように配慮してくれると思うので、プロに任せるのもアリですよ。
そういう方法もあるんですね。いざとなったら頼んでみようかな。
あとは、ご家族が説得してもお母様がなかなか首を縦に振ってくれないこともあると思います。そういうときは、医師やケアマネジャーといった第三者から説明してもらうのもひとつの手ですよ。
かかりつけ医や今入院している病院の医師、担当のケアマネジャーというのは、お母様の状況をよく把握しています。それに、第三者の専門家からの意見だと、意外とすんなり話を聞いてくれることがあるんです。
だったら、入院している病院の先生に母を説得してもらうようにお願いしてみます。
ただ、母は認知症が進んでいて、少し前のことでもすぐに忘れてしまうんです。病院に面会に行く度に施設に入居することを説明しても、次に面会するときにはすっかり忘れているんです。だから、先生に説明してもらっても忘れてしまうかも…。
確かに、認知症の人は新しい情報を記憶することが苦手ですから、何度、説得しても話を丸ごと忘れてしまいますよね。
なので「認知症だから仕方がない」と割り切って、何度でも話をするつもりで説得する必要があります。もしそれが難しいようでしたら、厳しい言い方ですが、お母様に入居することを納得してもらうのを諦める覚悟も必要です。
えっ、納得しないまま施設に入居させるんですか!?
お母様は認知症の影響で、事前に入居を了承していてもそのことを忘れてしまう可能性があります。となると、説得したご家族が疲れてしまうだけです。
なので、施設に入居する当日など、直前に話をするのも良いかもしれません。記憶が薄れないうちに、入居してもらうんです。だますようで心苦しいかもしれませんが、そうしないと菅原さんやご家族の負担が大きくて倒れてしまう危険性もありますよ。
えそうですよね…。とてもじゃないですが、車いすに乗っていてまったく歩けなくなった母が自宅で生活できるとは思えません。いろんな手を使って説得してみようと思います。
もし、施設探しに迷ったら「いい介護 入居相談室」にご相談ください。たくさんある有料老人ホームの中から、お母様にピッタリの施設をお選びしますよ。
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