認知症だけど身体は元気な母親。介護認定は下りない?

認知症だけど身体は元気な母親。介護認定は下りない?

更新日 2024/03/18
最近、母が認知症の診断を受けたのですが、それ以来、どんどん症状が進行しています。物忘れがひどくなったり、夜中に起き出して大声で叫んだりします。しかも、つい先日、1人で外出して帰れなくなって警察に保護されました。

こんな状況で、家族だけの介護はもう限界。なので、介護認定を受けて介護サービスを利用しようと思っています。ただ母は、身体は元気なんです。杖なしで歩けるし、ある程度、自分のことは自分でできます。

身体が元気だったら、介護認定は受けられないですよね?家族で介護するしかないんでしょうか?

(篠原さん・パート・63歳)

そんなことありませんよ!お身体が元気でも認知症であれば、介護認定が下りることは多いんです。

お身体が元気な方でも、認知症の状態によっては要介護3が下りることもあります。ただ、その方の心身の状態を総合的に考えて要介護度は決定されるので、お母様の要介護度がどうなるか、はっきりとしたことはお伝えできません。

もし、介護認定の結果に納得できなかった場合は、「区分変更」の申請をすることをおすすめします。その際に主治医の意見書が必要なので、主治医に認定結果に不満があることを伝えて、より実情に合った意見書を作成してもらえるようにお願いしましょう。

認知症だけど身体は元気。介護認定は下りる?

最近、検査をして母親が認知症ということがわかりました。それ以降、どんどん症状がひどくなっているような気がして…。

つい先日は、1人で外出して帰れなくなり、警察に保護されてしまいました。それに夜中には大声で騒ぐので、私も夫もまともに寝られていません。

こんな状況なので、家族だけの介護はもう難しいと感じていて…。介護サービスを使いたくても、介護認定が必要なんですよね?となると、母は身体だけはとても元気なので介護認定は下りないんじゃないかと思って…。どうなんでしょうか?

そんなことはありませんよ!お身体が元気でも、認知症の診断が下りていれば、介護認定を受けられるケースが多いです。

特に、認知症が進行していると、お身体が元気でも介助が必要な場面が出てくると思います。介助が必要な方であれば、介護認定が受けられるでしょう。

そうなんですね!母は、入浴やトイレの付き添いが必要です。身体は元気なんですけど、認知症のせいか、身体を洗ったりトイレを流すことを忘れるようになってしまって。なので、付き添って手伝ったり声をかけないといけないんです。

…ちなみに、うちの母の場合、介護度はいくつになりそうでしょうか?

うーん…。介護認定は、その方の心身の状態を総合的に見て判断されます。そのため、一概には言えませんね。

過去の例を挙げると、認知症だけで要介護3の認定を受けた方もいらっしゃいます。要介護3というと、終身利用が多い特別養護老人ホームに入居できる状態。一般的に、ご家庭での介護は難しいと言われています。

要介護度の目安は?

母に介護認定が下りそうで安心しました。

介護認定って、その人の状態に合わせて「要介護1」とか「要介護3」とかの認定が下りるんですよね?

そうです!介護認定は、「要支援1」「要支援2」と「要介護1」から「要介護5」までの合わせて7段階で判定されます。

7段階もあるんですね!

介護度ごとの身体状態のイメージがつかないのですが、介護度の目安ってありますか?

ありますよ。

介護度の目安を以下の表にまとめました。参考にしてみてください。

要介護度要介護認定の目安状態の目安となる具体例
自立支援が必要ない状態。一人で支障なく日常生活を送れる
要支援1基本的に一人で生活ができるが、家事などの支援が必要。
適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。
掃除や身の回りのことの一部において、見守りや手助けが必要。
要支援2基本的に一人で生活ができるが、要支援1と比べ、支援を必要とする範囲が広い。
適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。
身だしなみを自分だけでは整えられない、立ち上がりや歩行などでふらつく、入浴で背中が洗えないなど支援が必要な場面がある。
要介護1基本的に日常生活は自分で送れるが、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする。排泄や入浴時に見守りや介助が必要。認知機能の低下がみられる。
要介護2食事、排泄などは自分でできるが、生活全般で見守りや介助が必要。自力での立ち上がりや歩行が困難。爪切り、着替えなどにも介助が必要。
「薬を飲むのを忘れる」「食事をしたことを忘れる」などの認知症初期症状がみられる。
問題行動をとる場合もある。
要介護3日常生活にほぼ全面的な介助が必要。食事、着替え、排せつ、歯みがきなど、日常生活において基本的に介助を必要。
認知機能の低下によって問題行動をとる場合もある。
要介護4介助がなければ日常生活を送れない。排せつ、食事、入浴、着替えなどすべてにおいて介助が必要。
思考力の低下もみられ、認知症の諸症状への対応も必要になることもある。
要介護5介助なしに日常生活を送れない。コミュニケーションをとることが難しく、基本的に寝たきりの状態。日常生活全般が自分でおこなえないため、寝返りやオムツの交換、食事などのすべてで介助が必要。
会話などの意思疎通も困難。

介護認定の基準は?

介護認定の判定は、どういう基準でされているんでしょうか?

その方の身体や認知機能の状況に加えて、「要介護認定基準時間」というものも考慮されます。要介護認定基準時間とは、1日あたりの介護にかかる時間のこと。つまり、介護にかかる時間が長ければ長いほど、要介護度が上がっていくわけですね。

その方の心身の状況をふまえて総合的に判断するので、「要介護認定基準時間」はあくまでもひとつの目安ですが、参考になるかもしれません。

介護認定 要介護認定基準時間
自立(非該当) 25分未満
要支援1 25分以上32分未満
要支援2 32分以上50分未満
要介護1
要介護2 50分以上70分未満
要介護3 70分以上90分未満
要介護4 90分以上110分未満
要介護5 110分以上

介護認定の流れ

さっそく、母の介護認定を受けようと思います!まずはじめに何をすれば良いんですか?

まずは、お住まいの役所などで介護認定の申請をおこないましょう。

役所には「高齢者福祉課」「介護保険課」といった名前の窓口があるはずです。名称は地域によって異なりますが、高齢者の生活や介護サービスに関する窓口なので、この窓口に相談すれば介護認定の申請ができるでしょう。

まずは申請ですね。その後は?

その後は、お母様の現状を知るための調査が始まります。

申請の後の流れは以下のようになります。

いくつか段階を踏まないといけないんですね。申請から認定結果が出るまでは、どのくらいの期間がかかりますか?

だいたい1~1ヵ月半ほどかかります。もし、その期間内に介護サービスを利用したい場合は、役所の窓口で相談しておきましょう。

介護認定を受けるときの注意

介護認定を受けるときに、注意しておいていただきたいことがあります。

注意すること?何でしょうか?

それは訪問調査です。訪問調査は、ケアマネジャーなどの認定調査員がご自宅に訪問してお母様の状態を調べるもの。この調査で、お母様の心身の状態を確認して、どの程度、介護が必要なのかを判断します。

主治医の意見書も判定に影響がありますが、もっとも影響が大きいのが訪問調査。つまり、訪問調査でお母様の状況をしっかり伝えられないと、実情とは異なる介護度が出てしまう可能性も…。

えっ、そうなんですか!?

よくあるのは、認定を受けるご高齢者が認定調査で”がんばって”しまって、実際の心身状況よりも軽い介護度が出てしまうケースです。

「がんばってしまう」?どういうことですか?

訪問調査では、認定調査員から「片足立ちができるか」「外出頻度はどれくらいか」「金銭管理ができるか」といった内容を聞かれます。もちろん、実際にその動作をしてできるかどうかの確認をされることもあります。

ただ、このときになんでも「できます」と答えてしまうことも。できないと認めたくない気持ちや、初対面の認定調査員に「できない」と伝えるのが恥ずかしくて「できます」と言ってしまうんですね。

なるほど…。うちの母も見栄を張って「できます」と答えそうです。

それに、認知症の方は普段と状況が変わると意識がはっきりすることもあります。めったに会わない人や初対面の人を前にすると、ハキハキと話せることも…。

なので、認知症の方が認定調査のときには普段よりもはっきり受け答えができる、ということもよく聞くケースです。

確かに。母もたまにしか会わない知人がやってきたときは、認知症になる前のようにはっきり会話ができることが多いです。

そうなんですね…。

認定調査のときだけ元気となると、介護度が普段の状態よりも軽く判定されてしまい、利用できる介護サービスの量が減ってしまうこともあるんです。

それは困ります!どうしたら良いんでしょうか?

第一に、認定調査にご家族が同席すること。特に中心となって介護をしている方が同席するのがおすすめです。お母様の状態をよく把握していらっしゃると思うので。

となると、私ですね。どうして認定調査に同席するのが良いのでしょうか?

お母様の普段の状況を認定調査員に伝えられるからです。もしお母様が張り切ってしまったとしても、篠原さんから普段の様子や介護で困っていることを伝えられますよね。

母の受け答えだけで、介護度の判断をするわけではないんですね!

もちろんです。普段の様子を明確に認定調査員に伝えるために、事前にメモをしておくのがおすすめです。伝え漏れを防げますし、メモを認定調査員に手渡すこともできますから。

また、お母様の目の前で、介護で困っていることを伝えるとお母様の自尊心を傷つけてしまう可能性があります。なので、お母様がいないところで伝えるようにしましょう。

介護認定の結果に納得できなかったら

介護度が実際よりも低く出ることがあると知って、うまく認定を受けられるのか不安になってきました…。

もし、介護認定の結果が想定よりも低かったら、どうしたら良いんでしょう?

介護度が実際よりも低い結果になってしまっても、介護認定のやり直しができるので安心してください!

そうなんですね!よかった。

介護認定のやり直しは、どうやってするんでしょうか?

介護認定をやり直すには2つの方法があります。「審査請求(不服申し立て)」と「区分変更」です。

ただ、審査請求は申請から数ヵ月かかることも珍しくありません。その一方で区分変更であれば、1ヵ月前後で結果がわかります。そのため、大半の方は区分変更をしていますね。

それなら区分変更を選びますよね。区分変更はどうやってするんですか?

区分変更の流れは、ほとんど介護認定と同じです。1点、最初の介護認定の申請が区分変更に変わるだけ。介護認定と同じく、お住まいの役所の窓口で申請ができます。

介護認定と同じであれば、手続きの流れは問題なさそうです。

ちなみに、介護認定と同様に区分変更にも、かかりつけ医の意見書が必要です。かかりつけ医に実際よりも低い介護度が出てしまったことを伝えれば、より実情に合った結果になるような意見書を作成してくれるでしょう。

介護認定のやり直しについては、以前のご質問でもお答えしているので参考にしてみてください。

認知症の人が利用できる介護サービス

介護認定を受ければ、介護サービスが利用できるようになりますし、篠原さんご家族の負担が軽くなると思いますよ。

それは本当に助かります!今は、常に気を抜けない状況なので、気が休まらなくて…。

ちなみに、認知症であるうちの母の場合、どんな介護サービスが利用できるんでしょうか?

いろんな介護サービスを利用できますよ!介護サービスには、大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」の2種類がありますから、それぞれについてお話ししていきますね。

在宅サービス

在宅介護サービスには、以下のようなものがあります。

こんなにたくさんの種類があるんですね!どのサービスを使ったら良いんでしょうか?

先ほど、「気が休まらない」とおっしゃってましたよね。なので、デイサービスを利用するのはどうでしょうか?

デイサービスは、日中の時間帯に介護施設を利用するサービス。デイサービスで昼食や入浴、レクリエーションなどを提供してくれます。

週に数回だけでも、お母様が介護施設で過ごしてくれれば、気が休まる時間を作れるのではないでしょうか。

それは良いですね!利用したいです。

また、ショートステイも良いかもしれません。ショートステイは、介護施設に1日から宿泊できるサービス。宿泊中の食事や入浴はもちろん、レクリエーションやリハビリなどを提供しているところもあります。

ショートステイは最大30日まで利用できるので、ご家族が家を空ける場合にも安心してお母様を任せられるんです。

なるほど、そんなサービスがあるんですね。介護認定が下りたら利用してみようかな。

施設介護サービス

施設介護サービスは、以下の3種類の公的施設に入居することで受けられるサービスのことです。

この3つの施設は、介護が必要な方向けのため、要介護1もしくは要介護3以上の介護認定が下りていないと入居できません。

公的施設の特徴は、以下の表にまとめたので確認してみてください。

施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ
特別養護老人ホーム(特養)
0円
8~14万円
要介護3以上
介護老人保健施設
(老健)
0円
7~14万円
要介護1以上
介護医療院
0円
7~14万円
要介護1以上
養護老人ホーム
0円
0~14万円
自立
×
ケアハウス
0~数十万円
6~17万円
自立~要介護3程度

このなかでも、終身利用が可能な特別養護老人ホームは人気で、入居まで数年待つこともあるくらいなんです。

そんなに待つんですか!介護施設ってすぐに入りたいと思っても入れるものじゃないんですね。

いえ、公的施設ではなく民間施設であれば、比較的早めに入居できますよ。

民間施設?というと、どんな施設なんですか?

民間施設には、以下の4種類があります。

介護施設にも、いろんな種類があるんですね。

そうなんです。民間施設のなかにも入居条件が設定されていることがあるので、施設の特徴を以下の表にまとめました。

施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ
介護付き有料老人ホーム
0~数千万円
15~30万円
自立~要介護5
住宅型有料老人ホーム
0~数千万円
11~25万円
自立~要介護3程度
サービス付き高齢者向け住宅
0~数十万円
11~25万円
自立~要介護1程度
グループホーム
0~数十万円
10~15万円
要支援2以上

グループホームという施設は、認知症の受け入れが「◎」になっていますね。どういう施設なんですか?

グループホームは、認知症の方限定で介護施設のなかでも認知症ケアに特化している施設なんです。小規模でアットホームな雰囲気が合うのであれば、お母様が入居する施設の候補に挙げても良いかもしれません。認知症の方のなかでも、お身体が元気な方が多く暮らしている施設ですから。

それは良いですね!母に合いそうです。

介護サービスを利用できるのは、身体が不自由で介護が必要な人だけだと思っていました。母の要介護度がいくつになるかはわかりませんが、まずは介護認定の申請をしてきます。

  • 身体が元気でも、認知症なら介護認定は下りる!
  • 要介護度は要支援1~要介護5の7段階
  • 認定調査の前に、普段の様子をメモに残しておこう!

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