認知症になっても一人暮らしはできる?親の様子がおかしく、認知症かもしれません

認知症になっても一人暮らしはできる?親の様子がおかしく、認知症かもしれません

更新日 2024/03/18
母が実家で一人暮らしをしています。数日前、久しぶりに帰省したら母の様子がおかしくて心配です。きれい好きなのに家の中が散らかり、スーパーで買った惣菜が放置されて腐っていました。

会話が噛み合わないこともあったし…もしかしたら、認知症になってしまったのかも…。もし、認知症だとしたらこのまま一人暮らしは続けられるものなんでしょうか?

私が母を引き取って介護するのはとてもじゃないけどできません。どうしたら良いのでしょうか?

(岡村さん・会社員・58歳)

お母様の状況にもよりますが、認知症になっても一人暮らしを続けることは可能だと思います。ただ、そのためには在宅介護サービスや配食サービスなど、生活を支援するサービスを利用することが大切です。

一方で認知症の方が一人暮らしするのは、火の不始末による火事や薬の管理ができなくなるなどのリスクがあります。

そのため、各サービスを活用しても一人暮らしが難しいと感じた場合は、老人ホームへの入居を検討してみてください。

認知症になっても一人暮らしは続けられる?

実家で一人暮らししている母が認知症になってしまったかもしれません。というのも、先日、久しぶりに帰省したら家の中が散らかり放題。スーパーの惣菜がシンクの中に放置してあり、腐っていました。きれい好きな人だったのに…。

もし、認知症になってしまったのだとしたら、今後、母は一人暮らしを続けられるでしょうか?母を自宅に引き取って介護する状況ではなくて…。

お母様の状況にもよりますが、一人暮らしは続けられると思います。そのためには、在宅介護サービスなど、生活を支援するサービスを活用する必要があります。

ただ、何にせよ、まずは認知症かどうかをはっきりさせましょう。

認知症かどうかをはっきりさせるって、どうしたら良いんですか?

病院を受診して、認知症検査を受けましょう。

受診ですか…。認知症という確信が持てないのに、病院に行って良いものか…。

もちろん問題ありません!むしろ、早めに認知症検査をすることをおすすめします。

もし、認知症かどうかある程度の確信を持ってから検査したいのであれば、東京都福祉局のホームページで公開している「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」を使ってみてください。

簡易的なチェックですが、病院で検査を受ける後押しをしてくれると思いますよ。

ネット上で簡単にできるものがあるんですね!早速、やってみます。

認知症の親の一人暮らしを支援する方法

もし、母が認知症だった場合、私はどうしたら良いんでしょう?先日の実家の様子を考えると、これまでと同じようには生活できないと思うのですが…。

だからと言って、私が遠方に住んでいるので頻繁に手伝いに行けるわけでもありません。

そうですね…。まずは、ご家族の中のメインの介護者を決めましょう。メインの介護者は直接介護する人というわけではなく、介護スタッフとの連携や手続きを中心となっておこなう人のことです。

介護はご家族や介護スタッフなど、チームでおこなうものです。チームのリーダーとして進めていく人を1人決めておくと、連携も取りやすくなりますからおすすめです。

リーダーですか。となると、私になるのかな。弟がいますが海外で暮らしているので。

私がメインの介護者として動くとして、どんなことをしていけば良いのでしょうか?

遠距離介護の場合、頻繁に通って介護をするのは難しいので、できるだけ直接介護をしなくても問題ない体制を作るのが重要です。

そのため、以下のような方法でお母様の生活を支援していきましょう。

  • 在宅介護サービスを使う
  • 配食サービスを使う
  • 自治体の支援サービスを使う
  • 近所の人とつながる

在宅介護サービスを使う

まずは、在宅介護サービスを利用できる体制を整えましょう。

在宅介護サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。要介護認定の結果、「要支援1・2」「要介護1~5」という介護の必要な度合いを示す「要介護度」の判定が下り、要介護度に応じた在宅介護サービスを受けられます。

はじめに要介護認定を受けるんですね。どうやって受ければ良いんでしょう?

要介護認定は、役所もしくは地域包括支援センターで申請できます。申請後、以下のような流れで調査がおこなわれ、在宅介護サービスが利用できるようになりますよ。

配食サービスを使う

ご高齢者向けの配食サービスを使うのもおすすめです。認知症が進むと、食事を買いに行ったり食事の支度をしたりすることが難しくなると想定されるためです。

ご高齢者向け配食サービスでは、ご高齢者に必要な栄養がしっかり摂れるように考えられています。噛む力が衰えた場合でも食べやすいメニューも用意されていることが多いので、おすすめです。

確かに…。実家には食パンが何袋もカビた状態で置いてありましたし、買った物の管理がうまくできていないのかもしれません。

届いた弁当を温めて食べるくらいならできると思うので、配食サービスは良いかもしれないですね。

自治体の支援サービスを使う

高齢化が進んでいることを受けて、自治体のなかには一人暮らしの高齢者を支援するサービスを提供しています。内容は自治体によって大きく異なりますが、例えば、金銭管理の支援や安否確認などのサービスを提供しています。

ご実家のある地域で、支援サービスがあるか確認してみてくださいね。

近所の人とつながる

やはり、ご近所の人とのつながりも大切です。認知症の方の一人暮らしとなると、予想だにしないことが起こる可能性も。例えば、認知症が進行すると出かけたまま家に帰ってこれなくなることがあるんです。

実家のご近所さんとつながっておき、お母様の様子がおかしいときに連絡してもらえるようにしておくとより安心ですよ。

認知症の親が一人暮らしをするリスク

認知症の方が一人暮らしをする場合、さまざまなリスクがあります。事前にリスクを把握して備えておくことが大切です。

どんなリスクがあるんですか?

例えば、以下のようなことです。

  • 火の不始末
  • 外出時の事故・行方不明
  • トイレトラブル
  • 服薬管理の不備
  • 金銭の管理ができない
  • 食事の偏り
  • ご近所トラブル

火の不始末

火の不始末、本当に心配なんですよね。ガスコンロの火のつけっぱなしや、ストーブから出火して火事になるという話をよく聞きますし…。

対策としては、空焚き防止機能のあるガスコンロやIHコンロに切り替えることでしょうか。また、お母様が料理を頻繁にしないのであれば、電子レンジや電気ケトルなどで済ましてもらうという手もありますよ。

認知症の方の火の不始末については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。

外出時の事故・行方不明

認知症の影響で、外出して家に帰れなくなることがあります。

家に帰ろうとして、道がわからなくなってまったく異なる場所に行ってしまったり、交通ルールがわからなくなって道路を飛び出して交通事故に遭ってしまったり…。

認知症の人が行方不明になる話はよくニュースで見ます。もしかしたら、母もそうなってしまうかもしれないんですよね…。

最近ではGPS機能の付いたキーホルダーなども販売されています。お母様がよく持ち歩く杖やカバンなどに付けておいて、万が一のときに備えるのもひとつの方法です。

トイレトラブル

加齢や認知症の影響で、失禁などのトイレトラブルが増えることも考えられます。

また、失禁して尿で汚れた下着類を自分で洗濯できなくなる可能性も。衛生的にも良くないので、訪問介護を定期的に利用したりして、お母様の変化にすぐに気がつける状態を作っておきましょう。

認知症の方のトイレトラブルについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。

薬の管理ができない

持病などで定期的に飲まないといけない薬がある場合、認知症の影響で適切に服薬できなくなる場合があります。

薬の飲み忘れですね。母もちょこちょこ飲み忘れがあるようで、心配です。

薬の飲み忘れだけでなく、飲み過ぎの危険性もあります。薬を飲んだことを忘れてしまって、再び飲んでしまうんです。高血圧の薬を飲みすぎて意識障害を起こしてしまう危険性も…。

それを防ぐために、薬局で薬を1回分ごとの個包装にしてもらったり、定期的に訪問看護を利用するのが良いでしょう。

金銭の管理ができない

認知症が進んで判断能力が低下すると、お金の管理ができなくなることがあります。高額な健康食品を買ってしまったり、詐欺に遭ってしまう危険も…。

高齢者が詐欺の被害に遭うニュースはよく見ますよね。心配だな…。

基本的な対策としては、ご家族がお金の管理をすること。お母様の財産を把握しておいて、不審な出費がないか確認するんです。

また、認知症の影響で家賃や公共料金の支払いができなくなる場合もあります。そういったことも含めて、ご家族がお母様のお金の管理をすることをおすすめします。

食事の偏り

食事の偏りは感じています。料理をしなくなったようで、スーパーの惣菜やパンといった簡単に食べられるもののゴミばかりでしたから。

おっしゃる通り、認知症が進行すると料理をすることが難しくなります。なので、必然的に出来合いのものが多くなってしまうでしょう。

また、認知症になると異常に食欲が湧いてたくさん食べてしまったり、反対に食べる気力がなくなって食事を摂らなくなる可能性もあります。

そんなこともあるんですね…。

きちんと食事を摂ってもらうためには、配食サービスを利用するのがおすすめ。また、食事が摂れているのか確認のために定期的に訪問介護も利用してみると良いかもしれません。

ご近所トラブル

ご近所トラブルと言うと、どんなものがあるんでしょうか?

例えば、ゴミ出しができなくなって家がゴミ屋敷状態となってしまい、ご近所ににおいが漏れてしまったり、コミュニケーションが上手くできなくなって人間関係のトラブルにつながる可能性もあります。

こういうことが起こる前に、ご近所にお母様が認知症であることを伝えて協力してもらうことが大切。ゴミが溜まっていたり、お母様の様子がおかしいと感じたときに連絡してもらえるような関係性を作っておきましょう。

認知症の親の一人暮らしが難しいと判断するタイミングは?

もし、母が認知症だったとしても一人暮らしを続けられるようにしていこうと思っています。ただ、いつまでも一人暮らしができるものなんでしょうか?もっと母の状態が悪くなったら一人暮らしが難しくなるんじゃないかと思って…。

確かに、お母様の心身の状態が進行したら一人暮らしができなくなるでしょう。

もし、一人暮らしできない状態となったら、ご家族が同居して介護をするか介護施設に入居するかを選ばないといけなくなるでしょう。

うちには子どもが2人いますし、母を引き取って介護できる状態ではありません…。となると、介護施設に入居させることを考えないと。

どんな状況になったら介護施設に入居させることを検討したら良いでしょうか?

介護施設に入るタイミングは、その人やご家庭の状況によってさまざまです。が、以下の状況になったときは、入居を検討するタイミングの目安となると思いますよ。

  • 各サービスを使っても一人暮らしが難しいと感じたとき
  • 介護者の負担が大きいと感じたとき

各サービスを使っても一人暮らしが難しいと感じたとき

先ほどお話しした、在宅介護サービスや配食サービスなどの支援サービスを活用しても、安全に生活できないと感じた場合、介護施設に入居することをおすすめします。

例えば、外出して帰って来られなくなることが増えたり、自宅での転倒が増えたり…。支援サービスを活用しても、どうしても24時間365日、見守りの目があるわけではありませんから危険な瞬間が出てきてしまうんです。

各支援サービスを利用してもお母様の安全を守れないと感じたら、介護施設への入居を検討しましょう。

いろんなサービスを利用してもダメそうだったら、介護施設に入居させるんですね。

介護者の負担が大きいと感じたとき

また、ご家族の介護の負担が大きいと感じたときも介護施設に入居するタイミングと言えます。

認知症が進行すると、先ほどお話ししたように転倒したり行方不明になることが増える可能性があります。すると、その度に介護事業者や警察などから呼び出しを受けることもあるでしょう。

そうした呼び出しは、遠方に暮らすご家族にとって大きな負担になります。頻繁に呼び出されるために仕事を休まないといけなくなったり、睡眠時間を削って対応する必要もあるかもしれません。

確かに、頻繁に呼び出されるようになったらかなり厳しいかも…。実家まで片道3時間はかかるので…。

遠いですね…。となると、やはり頻繁に帰省しないといけない状況になったら、お母様の一人暮らしは難しいと思います。ぜひ介護施設に入居していただきたいですね。

認知症の方が介護施設に入居するタイミングについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。

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  • 「親が認知症かも」と思ったら、まずは認知症検査、メイン介護者を決めよう
  • 在宅介護サービスや配食サービスなどを使って、直接介護をしなくても良い体制を整えよう
  • 認知症の人の一人暮らしは火事や行方不明、金銭トラブルなどの問題が起こる可能性がある

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