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新たな研究で、糖尿病の人が歯を失うと認知機能の低下速度が早まる可能性が示されました。 この研究はアメリカのニューヨーク大学によっておこなわれ、その研究結果は「Journal of Dental Research」という学術誌に掲載されています。 約1万人に上る高齢者の医療データを分析 研究グループは、ニューヨーク大学がおこなっている「就労や定年退職と健康に関する研究(HRS)」で蓄積された医療データを分析。対象となったのは、2006~2018年にHRSに登録された65歳以上の高齢者9948人です。 また研究グループは、研究開始時とそれから2年ごとに対象者の認知機能を評価。糖尿病の有無と歯の有無によって対象者をグループ分けして、認知機能の変化を追いました。 歯を失った糖尿病患者は認知機能の低下速度が早まる 研究の結果、糖尿病を患い歯も失った65~84歳の高齢者は、健康な同じ年齢層の高齢者に比べて、認知機能がより低下していたことが判明。また、糖尿病を患っていて歯が健康な高齢者と、糖尿病は患っていないが歯を失った高齢者についても、認知機能の急速な低下が見られたことが明らかになりました。 一方、85歳以上の高齢者は、糖尿病や歯を失った状態と認知機能の相関性は見られませんでした。この理由について研究グループは、糖尿病と歯を失った状態が併存している人はすでに死亡していたり、認知機能が大きく低下していたりする人が多いからではないかと推測しました。 なぜ、歯を失った状態にある人は認知機能がより低下しやすくなるのでしょうか? 研究グループによると、歯周病を起こす一部の細菌が認知機能に影響を及ぼす可能性があるとのこと。また、歯を失って十分な量の食事が取れなくなり、栄養状態が悪くなりやすいことも認知機能の低下を招く原因だと考えられるそうです。 今回の研究を主導したニューヨーク大学看護学部に所属するベイ・ウー氏は「米国糖尿病学会も糖尿病患者の歯科治療を推奨しているように、高齢者、特に糖尿病患者の歯科治療は非常に重要だ」と述べました。 もし、すでに多くの歯を失っている高齢者でも、入れ歯や口腔内を常に清潔に保つことで認知機能の低下を防げる可能性があります。入れ歯を洗ったりうがいを小まめにしたりして、健康な毎日を送りましょう。
2023/03/30
セコム株式会社は、ロボットを使った高齢者向けのコミュニケーションサービス「あのね」をDeNA、ユカイ工学株式会社と共同開発。2023年4月3日に販売開始することを明らかにしました。 「あのね」は雪だるまのような形をしたコミュニケーションロボット。高齢者の孤立感を緩和し、認知機能などの維持と向上を図るとしています。 「あのね」を開発した背景 セコム株式会社などの開発チームが、「あのね」を開発した背景には高齢化があると言います。 内閣府が2017年に実施した「高齢者の健康に関する調査」によると、一人暮らしの高齢者の約半数は2~3日に1回くらいしか会話をしていないそうです。このような孤立状態が続くと、認知機能や身体機能が大きく衰えてしまうリスクがあります。 そこで、こういった状況を打破するために「あのね」を開発することにしたのだそうです。 「あのね」の特徴 コミュニケーションロボット「あのね」には以下のような特徴があります。 24時間365日リアルな会話が楽しめる ユーザーの生活パターンに合わせた声かけを実施 高齢者でも使いやすい設計 「あのね」は、ユーザーの生活パターンに合わせて、1日10回程度、定期的なメッセージを配信。配信メッセージの内容は、服薬の声かけ、朝・昼・夜の時刻のあいさつ、雑学情報など多岐に渡ります。 また、配信は24時間コミュニケーターがシステムを活用しながら作成し、返信するため自然なおしゃべりが可能だそうです。 さらに、初期設定は不要。電源を入れるだけで使用できるので、高齢者でも使いやすいものとなっています。 年を重ねるにつれて家族との死別など喪失体験が増えるため、気分がふさぎがちになる高齢者は少なくありません。こういったとき、「あのね」のようなコミュニケーションロボットがいれば、少し前向きになれるかもしれませんね。
2023/03/28
新たな研究で、糖尿病由来の認知症に特徴的な物質が発見されました。 この研究は、東京都健康長寿医療センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Biochimica et Biophysica Acta -General Subjects-」という科学誌に掲載されています。 今回の研究に至った背景 糖尿病がある人は認知症を発症するリスクが高まることが知られています。それを防ぐためには、認知症の前段階に見られる症状、具体的には認知機能の低下を早期に発見する必要があります。 患者が、認知症の前段階の状態にあるかどうかを調べるのに役立つのが「バイオマーカー」。これは疾患の有無や病状の変化などを調べる際の目印となる物質で、主に血液から採取されていました。しかし、これまでのバイオマーカーを採取する方法では個人間のばらつきが大きいなどの課題がありました。 そこで研究グループは、個人差を減らすために新たな指標となる物質の研究を開始。東京都健康長寿医療センターと大阪大学が長期でおこなっている大規模調査「SONIC」と連携しました。 このSONICは、兵庫県と東京都の7市町村に住んでいる70歳、80歳、90歳、100歳を対象に、2010年から3年ごとの調査を実施している研究です。 今回の研究では、そのSONICの参加者から血糖値と認知機能検査のスコアをもとに研究対象者を選定しました。 糖尿病性認知症がある人に見られる物質を発見 研究対象者の血液サンプルを分析した結果、糖尿病由来の認知症を患っている人には、「シアル酸」(卵などに含まれる糖の一種)を物質構造内に含む特定の「糖ペプチド」(糖とアミノ酸が結合した物質の一種)が見られることが判明したのです。 この結果を受けて、研究グループは「この研究をさらに深めていけば、糖尿病が原因で起こる認知症を早期に発見し、糖尿病とその家族に光明をもたらせる」としました。 認知症はいかに早期に発見できるかで、認知症になった人の今後が大きく変わってきます。今回の研究がさらに発展していけば、認知症がより早期に発見でき、適切なケアにつなげていけそうですね。
2023/03/13
石川県は、2023年度からコンピューターゲームをスポーツ競技として捉えた「eスポーツ」を、高齢者の認知症予防に活用する事業をおこなうことを明らかにしました。 状況を判断しながらコントローラーを操作することなどが、認知症の予防につながる可能性があるとしています。 eスポーツを高齢者の認知症予防に役立てる事業を開始 石川県は、eスポーツを高齢者の認知症予防に活用する事業を2023年度から始める方針を示しました。 eスポーツを楽しむためには、画面上での自分や周りの状況を判断しながらコントローラーを操作する必要があります。そういった動作が脳に刺激を与え、認知症の予防につながるのだそうです。 今回の事業にあたって、まずは試験的にいくつかの自治体で開かれる高齢者の集まりなどで体験会を開いてeスポーツの楽しさを知ってもらうとしています。また、ゲーム内容は音楽に合わせて太鼓を叩くゲームやブロックをつなげるゲームをしてもらうそうです。 試験的にいくつかの市や町でeスポーツ体験会をおこなったあとは、参加者の反応を参考にしながらほかの自治体にも広げていくとしています。 この件について、県の担当者は「誰でも気軽にできるという利点を活かしながら高齢者の健康に役立てていきたい」と話しました。 eスポーツの効果とは 認知症を抑制するというeスポーツの効果は、科学的な研究でも明らかになってきています。 九州工業大学を中心とするグループがおこなった研究によると、eスポーツに1ヵ月間取り組んだ高齢者はそうでない高齢者に比べて、認知機能が改善したことが示されたのです。 研究グループは、29人の高齢者をeスポーツに取り組むグループと普段どおりの日常を過ごすグループに分類。1ヵ月間片方のグループにはeスポーツに取り組んでもらって、その前後に対象者の認知機能をテストで測りました。 その結果、eスポーツに1ヵ月間取り組んだ高齢者のグループでは、物事を実行する能力や注意力、複数のことを同時におこなう能力などが改善されたことがわかったのです。 スウェーデンでは、Silver Snipersと呼ばれる65歳以上の高齢者で構成されるeスポーツチームも出てきています。そのうち日本でも、高齢者がeスポーツの舞台に登場する日が来るかもしれませんね。 出典:「e スポーツの実施が高齢者の認知機能及び幸福感に及ぼす影響」(日本スポーツ産業学会第30回大会発表)
2023/03/10
新たな研究で、子どもの頃の教育環境が悪かった人はそうでない人に比べて、高齢期に認知症を発症するリスクが高いことが示されました。 この研究は、アメリカの大手保険会社カイザー・パーマネンテ・北カリフォルニア(KPNC)の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「JAMA Neurology」という医学誌に掲載されています。 アメリカの大規模医療データを使用 今回の研究では、以下の条件に合致した人を対象者に選定しました。 アメリカ出身でKPNCのヘルスケアシステムの会員 1964~1972年に実施された任意調査に参加 1996年1月1日時点で65歳以上で、そのときには認知症でなかった 以上の条件で対象者を選定した結果、その人数は計2万788人。この対象者の1997年1月1日~2019年12月31日の23年間に渡るデータが使用されました。 さらに、対象者が受けてきた教育の質を、学校年度の長さ・生徒と教師の比率・出席率で評価。教育の質が低い・中程度・高いの3段階でグループ分けをしました。 質の低い教育を受けている人は認知症リスクが上昇 対象者が受けた教育の質と認知症の発症リスクの関連を分析した結果、質の低い教育を受けた人は、質の高い教育を受けた人に比べて、老年期に認知症を発症するリスクが12~21%高いことが明らかになったのです。 また、質が低い教育を受けた人と質が中程度の教育を受けた人を比較しても、質の低い教育を受けた人は8~17%認知症のリスクが高いことがわかりました。 以上の結果を受けたうえで、今回の研究をリードしたイェニー・ソー氏は「医療全般へのアクセスの低さや肥満、喫煙、高血圧などの、質の低い教育を受けた人の周辺環境や悪い生活習慣による危険因子が認知症の発症を後押しした可能性がある」とも分析しました。 ただ、質の低い教育を受けた人であっても認知症のリスクを減らせる行動はあると、ハーバード大学に所属するアンドレア・ロバーツ氏は言います。「十分な量の運動、野菜や果物を含むバランスの取れた食事、十分な睡眠など、日々の生活習慣を見直すことが重要だ」。 過去に自分が受けた教育環境は変えられませんが、肥満や高血圧などは今からでも改善できます。医療のサポートなども適切に受けながら、認知症の予防に努めましょう。
2023/03/08
新たな研究で、65歳以上の女性が早歩きなどの活発な運動をおこなうと、認知症や認知症の前段階とされる軽度認知障がいを発症するリスクが減少する可能性が示されました。 この研究はアメリカのカリフォルニア大学によっておこなわれ、その研究結果は「Alzheimer's & Dementia」という医学誌に掲載されています。 高齢女性の活動量を測定 これまでにも、運動習慣と認知症発症の関係を調べる研究はおこなわれてきましたが、そのほとんどが対象者の自己申告による情報に基づいたものでした。つまり、毎日の身体活動を実際に測定して、認知機能との関係を調べた大規模調査はほとんどなかったのです。 そこで研究グループは、アメリカ国立衛生研究所によっておこなわれている大規模研究「女性の健康イニシアチブ」に参加した女性1277人のデータを解析。実際に活動量を計測する装置を装着してもらって、最大7日間の身体活動を計測し、その結果と認知機能の低下具合を照らし合わせました。 活発な運動をおこなうと認知症の発症リスクが減少 研究の結果、対象者の1日の平均歩数は3216歩だったことが判明。また、家事やウォーキングなどの軽度の身体活動にあてた時間の平均は276分、中等度から高等度の身体活動にあてた時間は45.5分だったこともわかりました。 そこから、早歩きなどの活発な運動を1日に30分程度追加すると、軽度認知障がいや認知症の発症リスクが21%減少することが判明したのです。また、毎日の歩数が1865歩増えるごとに、軽度認知障がいや認知症の発症リスクが33%低下することも明らかになりました。 この結果を受けて、カリフォルニア大学公衆衛生・人間長寿科学部の研究員であるスティーブン・グエン氏は「高齢女性の軽度認知障がいや認知症の発症リスクを抑えるためには、中等度以上の活発な運動が必要なことがわかった。今後、男性も含めた大規模で多様な集団を対象にさらなる研究を進めていきたい」としています。 中等度以上の運動は、早歩きや階段の上り下り、登山など軽く息が切れるくらいのものを指します。適度な運動を心がけて、健康に過ごしていきたいですね。
2023/03/03
新たな研究で、強い難聴がある高齢者は、そうでない人に比べて認知症を発症するリスクが高い可能性が示されました。 この研究は、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院によっておこなわれ、その研究結果は「Journal of American Medical Association」という医学誌に掲載されています。 アメリカの大規模研究のデータを使用 研究グループは今回の研究にあたって、「国民健康栄養調査」と「国民健康加齢傾向調査」というアメリカにおける2つの大規模研究のデータを使用。高齢者2413人の医療データを収集し、解析しました。 今回の研究で対象者となった2413人のうち、半数は80歳以上でした。 難聴の人は認知症のリスクも高いことが判明 解析の結果、中度以上の難聴がある高齢者は、聴力が正常な人に比べて、認知症を患っている人の割合(有病率)が61%高いことが判明。ただ、中度以上の難聴がある人でも補聴器を使用して聴力を補っている人は、認知症の有病率が32%低下することも明らかになりました。 つまり、難聴がある人でも補聴器などを使用して聴力を補えば、認知症の予防につながる可能性が示されたのです。 以上のような結果を受けて、ジョンズ・ホプキンス大学の聴覚・公衆衛生センターに所属するアリソン・フアン氏は「難聴を適切にケアすることの重要性が示された。認知症の発症リスクを抑えるために、難聴をケアできる体制を整えるための戦略を打ち出す必要がある」と指摘しました。 耳の聞こえが悪くなると、認知症以外にも会話が難しくなることから社会的な孤立やうつ病などにつながるリスクも高まると考えられています。 心身ともに健康でいるためにも、テレビや音楽を大音量で聞かないなど「難聴対策」をすると良いかもしれませんね。
2023/03/01
新たな研究で、社会的な孤立状態にある人はそうでない人に比べて、アルツハイマー型認知症を発症するリスクが高まる可能性が示されました。 この研究は、カナダのマギル大学によっておこなわれ、その研究結果は「PLOS ONE」という学術誌に掲載されています。 カナダとイギリスのデータベースを用いて分析 研究グループは、今回の研究にあたってイギリスの大規模医療データベース「UKバイオバンク」と、カナダでおこなわれている加齢に関する大規模研究「CLSAコホート」のデータを用いることにしました。 また、「UKバイオバンク」に参加した50万2506人と、「CLSAコホート」に参加した3万97人を対象者に設定しました。 対象者に対し、「孤独だと感じる頻度はどれくらいか」、「悩みを打ち明けられる人はいるか」などの質問をおこない、社会的な孤立度を評価。それから、認知症のリスク因子と照らし合わせて結果を分析しました。 社会的孤立を感じている人は認知症のリスクが高まる 研究の結果、社会的に孤立していたり周囲からのサポートが少なかったりする人は、そうでない人に比べて喫煙・飲酒量が多く、運動量は少ない傾向にあることが判明。また、睡眠障がいや聴覚障がい、糖尿病を患っている人の割合も多い傾向にあることがわかりました。 いずれも、認知症を発症する原因のひとつだと考えられています。つまり、社会的な孤立を感じている人は、認知症を引き起こしやすい生活習慣になっている傾向にあることが明らかになったのです。 さらに、社会的に孤立している人は、心筋梗塞などの心血管疾患やうつ病の発症リスクも高まる可能性がこの研究の中で示されました。 以上の結果を受けて、研究グループは「多くの認知症のリスク因子が、社会的孤独と関連している可能性が示された。孤独を感じている人に対して社会的な介入をおこなうことで、認知症発症を抑制できるのではないか」と指摘しました。 年齢を重ねると家族との死別なども増え、孤独な状態になる高齢者も少なくありません。地域の高齢者が孤独を感じずに済むように、周りの人から声をかけてみると良いかもしれませんね。
2023/02/28
筑波大学は、軽度認知障がい(MCI)を発症している人の新しい検査方法を開発したと発表しました。 新たな方法には、任天堂のゲームコントローラー「バランスWiiボード」を使用。認知機能と関係があるとされるバランス能力を測定することで、対象者の認知機能を測ることに成功したとしています。 この研究は、筑波大学医学医療系に所属する矢作直也准教授などの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「BMC Geriatrics」という学術誌に掲載されています。 軽度認知障がい(MCI)とは? そもそも、軽度認知障がい(MCI)とはどのような疾患なのでしょうか? 軽度認知障がいは、健常者と認知症の中間にあたる段階のこと。記憶力や実行力、論理的に考える能力などといった認知機能の一部に問題が生じてしまうのです。ただし、程度は軽いため、日常生活は今までと同じように送れます。 また、この段階で適切なケアをおこなうことで、次の段階である認知症を予防できる可能性が高まると言われています。 筑波大学がMCIの検査法を開発 今回の研究にあたって、筑波大学は日常生活に支障のない健康なボランティアをウェブサイトなどで募集。56~75歳の被験者49人が研究に参加しました。 また、研究グループは、「バランスを取るためにどれだけ視覚に依存しているか」を測定する指標「VPS」を新しく開発。計測器の上に立てる人であれば誰でも5分程度で「VPS」を測定できるそうです。 なお、今回、計測器にはゲームコントローラーの「バランスWiiボード」を使用しました。 臨床試験の結果、注意力や記憶力などを測る認知テストの点数とバランス能力を測るVPSの値が、負の関係があることが確認されました。認知機能障がいと診断された16人はそうでない33人に比べて、視覚に頼ってバランスを取っているということがわかったのです。 要するに、認知機能障がいの人はバランス能力が低いことが明らかになったのです。 このシステムが普及すれば、軽度認知障がいを早期に発見し、認知症になる前に適切なケアがおこなえるようになります。認知症を予防するためにも、この研究がさらに進んでくれると良いですね。
2023/02/27
ハリウッドで俳優として活躍したブルース・ウィリス(67)が、前頭側頭型認知症と診断されたことを、家族が明らかにしました。 ブルースは2022年、会話が難しくなる失語症のため俳優業を引退していました。 前頭側頭型認知症とは ブルースを襲った前頭側頭型認知症とはどのような認知症なのでしょうか? 前頭側頭型認知症は、脳と前頭葉と側頭葉に萎縮が起こるタイプの認知症で、アルツハイマー型認知症などと違い、難病指定を受けています。また、40~60代と比較的若い年齢に多く見られるのも特徴です。 前頭側頭型認知症は、ほかの認知症とは違って記憶力や判断力の低下はわずかなことがほとんど。しかし、言語や社会性を司る脳の部位にダメージを受けるため、ほかの認知症にはあまり見られない特徴的な症状が現れます。 前頭側頭型認知症の人に見られる具体的な症状は、以下のとおりです。 万引きをしたり身だしなみに無頓着になったりなど、社会性が欠如する 理性が働きにくくなるため、暴力をふるったりきつい暴言を吐いたりする 同じことを繰り返すようになる 感情が鈍くなり、表情の変化が乏しくなったり、他人に共感できなくなったりする 自発的な言葉を発しにくくなるため、同じ言葉を言い続けるようになる 前頭側頭型認知症にかかると、以上のような症状が出現しゆっくり進行。発症してから平均で6~8年で寝たきりの状態になるなど、認知症の中でも特に予後が悪いと言われています。 ブルース・ウィリスの病状を家族が公表 ブルースの家族は「2022年の春にブルースの失語症を発表して以降、彼の病状はさらに進行し、現在、前頭側頭型認知症とより具体的な診断が下された」と、ブルースの認知症を公表しました。 認知症を公表した理由について、家族は「ブルースは、自分が発信することで、重要な問題に目が向けられるきっかけになれたらといつも考えていた。この病気を公表することで、多くの人に関心を持ってほしい」と話しました。 前頭側頭型認知症は、ほかの認知症とは異なる症状が多く、その症状に合わせたケアが必要不可欠です。もし周りの人に性格の変化などが見られたら、適切なケアにつなげるためにも、一度病院で診てもらうと良さそうです。
2023/02/24
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。