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2023年1月31日、厚生労働省は高齢者施設の職員向けに、コロナ禍における面会に関する動画を公開しました。 動画では、面会を長期間しないことによる影響や、感染リスクを減らしながら面会をおこなっていく方法などが話されました。 面会を長期間しないことによる影響 新型コロナの流行が長引き、施設の利用者とその家族が思うように面会できない状況が続いています。東北大学大学院の小坂健教授は、そうした状況が続けば、利用者に大きな悪影響が出ると指摘しました。 小坂教授によると、家族と面会しない期間が長引くことで、利用者の認知機能の低下が懸念されると言います。それだけでなく、気分が落ち込んでしまい、食事も喉に通らなくなって低栄養になる事例もあるそうです。 そうしたことを防ぐためにも、いかに感染リスクを減らしながら面会していくかを考える必要があります。 感染リスクを減らして面会するために では、新型コロナの感染リスクを減らしながら面会するためにはどうすれば良いのでしょうか? 小坂教授は「冬場は特に換気が見過ごされがち。面会中やその前後には、意識的に換気することが重要だ」と換気の重要性を呼びかけています。やむを得ず、窓がない部屋などで面会を実施する場合は、空気清浄機を使用するのも有効だそうです。 また、施設内にウイルスを持ち込まないために、面会に来る家族に熱や体のだるさ、のどの痛みなどの症状があったら面会を控えることも重要だとしています。 実際に親と面会できた女性は「最近は顔を見て話せる機会も少なかった。久しぶりに声が聞けて、本当に助かったし嬉しい」と話しました。 新型コロナの第5類への変更も議論されていて、制限が解除されつつあります。それでも、高齢者が発症した場合の重篤化リスクは依然として変わらないため、面会を再開する場合は万全の対策をして臨みたいですね。
2023/02/13
株式会社脳活性総合研究所は、自社開発した認知機能検査「脳検」をもとに、さらに受検時間が短縮された検査内容を研究開発したことを明らかにしました。 この研究開発は、東京都立産業技術大学院大学と共同でおこなわれ、その研究結果は「Dementia and Geriatric Cognitive Disorders」という医学誌に掲載されています。 「脳検」とは 脳活性総合研究所が開発した「脳検」とは何でしょうか? 一言で表すと「脳の認知機能を自分でチェックする検査」です。オンライン上でおこなうため、パソコンやタブレット、スマホなどから受検できます。 「脳検」では、5つの検査項目があり、その結果がスコアで表示されます。「脳検」の検査項目は以下のとおりです。 数字の記憶:並んだ数字を覚えて、それを答える問題 言葉の記憶:6つの単語を覚え、別の問題を解いたあとで、覚えた単語を答える問題 空間把握:立体が複数あり、提示された立体とは違うものを答える問題 記憶と計算:画面に出てくる数字を覚えて、次に出てくる数字と足していく問題 変化推理:ルールに従って変化している図形の規則を推理する問題 以上のように、脳のさまざまな部分を使った問題を複数解くことで、脳の認知機能を多角的に調べることが可能。また、被験者の認知機能の低下具合を平均的な老化による低下スピードと比べることもできます。 「脳検」の短縮化に成功 今回の研究は、26~82歳の男女323人を対象に実施。25分かけて認知機能の検査をおこなう既存の「脳検」と、受検時間が10分になった短縮版の「脳検」を受検してもらい、その結果を比較しました。 すると、既存の「脳検」と短縮版の結果に、ほとんど差異がなかったことが明らかになったのです。 これだけ詳細な認知機能の検査を自宅でできるのは良いですね。時間も短くなったことで、スキマ時間に気軽に受検できそうです。
2023/02/09
以前、高齢者が大学生と交流できるサービス「whicker まごとも」について紹介しました。今回はその続報です。 「whicker まごとも」を運営する株式会社whickerは、2023年2月から今まで大阪と京都がメインだったサービス提供地域を東京23区まで拡大することを明らかにしました 東京でのサービスを開始するにあたり株式会社whickerは、1ヵ月の無料体験を希望する高齢者や、大学生とイベントを開催したい高齢者施設を募集しています。 「whicker まごとも」とは 「whicker まごとも」は、「まごとも」と呼ばれる大学生のスタッフが高齢者の自宅や介護施設を訪問して、高齢者が大学生と交流できるというサービス。訪問した「まごとも」に高齢者の要望を伝えることで、それを叶えてくれます。 このサービスでは「大学生ができること」だったら、その要望に制限はありません。 これまでは以下のような要望があったそうです。 スマートフォンの使い方のレクチャー 庭の草むしり 部屋の掃除 一緒に散歩 ペットの世話 また、高齢者施設からの依頼であれば、科学実験などを用いたイベントを開催することもあるそうです。 高齢者が若者と交流する意義 高齢者が若者と交流する意義が、最近の研究で次々に明らかになってきています。 ハーバード大学に所属する精神科医であるジョージ・ヴェイラント氏の著書「Aging Well」によると、若者と交流する高齢者はそうでない高齢者に比べて幸福度が3倍上がったそうです。 さらにジョンズ・ホプキンス大学による別の研究では、学生とボランティア活動をした高齢者はそうでない人に比べて認知機能が改善されたことも判明しました。 今回、サービスの提供地域に加わった東京は、全国の中でも特に65歳以上の高齢者が多い地域とされています。そこで「whicker まごとも」のサービスが展開されれば、若者と関われて幸福度が上がる高齢者がどんどん増えていきそうですね。 参考:「まごとも公式ページ」 参考:「What Happens When Old and Young Connect」
2023/02/06
アメリカのノースウェスタン大学で、80歳以上であっても50代と同程度の記憶力を持つ「スーパーエイジャー」に関する研究が進められています。 研究チームは14年前から、優れた記憶力を持つ高齢者「スーパーエイジャー」を集めて研究をおこなってきたそうです。 研究対象に入る条件 ノースウェスタン大学のスーパーエイジャーに関する研究の対象者になるためには、80歳以上の高齢者が詳細な認知テストを受けて、50~60代の健康な成人と同じかそれ以上の認知能力を持つことを証明しなければなりません。 ノースウェスタン大学によると、知能指数(IQ)よりも、日常の出来事や過去の経験をよく覚えていることが条件だとしています。 また、厳しい認知テストを通過して実際に研究の対象者になるのは、応募者のうちわずか10%ほどだそうです。 「スーパーエイジャー」は脳萎縮のペースが緩やか 研究グループによると、大多数の人は、年齢を重ねるにつれて脳が萎縮していきますが、スーパーエイジャーは思考や記憶などを司る大脳皮質の厚みが変わらず、50~60代の人と比べても脳萎縮のペースが遅いといいます。 また、死後に提供されたスーパーエイジャーの脳を調べたところ、認知症を引き起こす原因物質のひとつとされる「タウたんぱく質」の量が一般成人の脳に蓄積された量よりも3分の1程度だったことが判明。さらに、「VEN」と呼ばれる脳内の素早い情報伝達に役立つ細胞の数も通常の人より多いことも明らかになりました。 研究グループは、スーパーエイジャーに共通する特徴として「明るくて前向きな性格で、日々新しいことを学ぶなどして脳を刺激している」と話しています。 新しいことを学ぶのは労力もかかりますが、その分好奇心に満ちた生活を送れます。そうした生活の積み重ねが、若々しい脳を保つ秘訣なのかもしれませんね。
2023/02/06
新たな研究で、ある程度以上の強度で運動をすると、認知機能が改善する可能性が示されました。 この研究はイギリスのロンドン大学が主導する研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Journal of Epidemiology & Community Health」という学術誌に掲載されました。 対象者をグループ分け 今回の研究は、イギリス在住の約4500人を対象に実施。また、ずっと座ったり眠ったりするなど活動量が少なかったグループと、中強度から高強度の運動を毎日約10分おこなったグループに対象者を分類しました。 ここでは、中強度の運動を早歩きや自転車、階段の上り下りなどを指しています。また、ジョギングや水泳、上り坂のサイクリングなど息が切れるくらいの運動を高強度の運動としています。 中強度以上の運動をすると認知機能が改善 研究グループは、対象者に活動モニターを装着してもらい、日々の活動を記録。それから、運動が記憶力や問題解決力などの認知機能にどう影響を与えたかを分析しました。 その結果、中強度から高強度の運動を毎日10分程度おこなったグループは、ずっと座ったり眠ったりしていたグループに比べて認知機能が改善したことが明らかになったのです。 特に、計画や整理などの実行機能に大きな変化が現れたと言います。 この結果を受けて、ラトガーズ大学に所属するスティーブン・マリン准教授は「短時間であっても運動する習慣を身につけることの重要性が示された」と述べました。 今回の研究をリードしたロンドン大学のジョン・ミッチェル教授は「研究参加者の元々の健康状態や睡眠の質など不明な点も多いので、さらに結果を検証していきたい」としています。 ジムに行ったりしなくても、歩くときにいつもより意識的に速く歩くだけでも効果がありそうです。お出かけのときに、試してみてはいかがでしょうか。
2023/02/02
デイサービスを運営している合同会社さわもとは、インターネット上で体操やレクリエーションなどができる「オンライン介護デイサービス」をスタート。平日の10時15分~15時におこなわれるそうです。 合同会社さわもとは、このサービスを通じて、新型コロナの感染拡大で外出できない高齢者の心身機能の維持に役立てたいとしています。 「オンライン介護デイサービス」の狙い 「オンライン介護デイサービス」は、オンラインミーティングなどで用いられているZOOMを使って、高齢者が自宅から介護士によるレクリエーションに参加できるというサービスです。 感染対策のために外出を減らし、「することがないから」「起きていると疲れているから」などと言って、ずっと横になっている生活を続けていると、体力低下につながる恐れがあります。 そこで、「オンライン介護デイサービス」に参加すると、家族以外の人と会うために身だしなみを整えたり、体操をするために身体を起こしたりする必要があります。そうして生活リズムを整えることで暮らしにメリハリがつき、高齢者の生きる活力につながるのです。 レクリエーションの効果 「オンライン介護デイサービス」でおこなわれているレクリエーションは以下のとおりです。 発声練習 音楽などを使った全身体操 食べ物が気管に入ってしまう誤嚥を防止するのための口の体操 高齢者に昔の暮らしなどを語ってもらう「聞き書きレク」 中でも特徴的なのは「聞き書きレク」と呼ばれるレクリエーションです。これは、高齢者が昔の暮らしや以前していた仕事、今考えていることなどを語ってもらい、職員がその内容を記録するというものです。 合同会社さわもとによると、「高齢者が若い人にものを教える機会を与えることで、誰かの役に立っていることを感じてもらい、高齢者の自己肯定感を高めている」そうです。 この「聞き書きレク」は認知症の人にも役立つのではないでしょうか。 認知症の人は新しいことは中々覚えられなくなりますが、古い記憶は保持されていることが多いです。そのため、「聞き書きレク」で昔のことを思い出して言葉にしてもらうことで、脳が活性化し、認知機能の低下を抑える効果が期待できそうです。 今回紹介した「オンライン介護デイサービス」は3月末まで無料モニターを募集しているそうなので、一度、話を聞いてみても良いかもしれませんね。
2023/02/01
新たな研究で、ソーセージやカップラーメンなどの「超加工食品」を食べ過ぎている人は、そうでない人に比べて認知症のリスクが高まることが明らかになりました。 この研究は、ブラジルのサンパウロ大学が主導する研究グループによっておこなわれ、研究結果は「JAMA Neurology」と呼ばれる医学誌に掲載されています。 超加工食品とは 今回挙げられている、「超加工食品」とはどのような食品なのでしょうか? 研究グループは、超加工食品を「自然食品をほとんど含まず、油、糖、でんぷんなど人間が加工した物質でできていて、香料や着色料などの添加物が含まれている食品」と定義しています。 ソーセージのような加工肉やコーラなどの砂糖がたくさん入ったジュース、カップラーメンといったインスタント食品などがその一例です。 超加工食品を食べ過ぎる人は認知症のリスクが高まる 研究グループは、平均年齢51歳の男女10775人を対象に10年間にわたる追跡調査を実施。さらに、調査の最後には対象者に認知テストを受けてもらい、認知能力が時間の経過とともにどう変化したかを調べました。 その結果、1日の摂取カロリーのうち28%以上を超加工食品から摂取している人は、そうでない人に比べて認知症を発症するリスクが高いことが明らかになったのです。 自然食品をベースとした生活を推奨している栄養士、ジャッキー・ニュージェント氏は「食生活の中でたまに超加工食品を食べる分には問題ない。長期間にわたって超加工食品ばかりを食べ続けるのが問題なのだ」と指摘しています。 カップラーメンなどの超加工食品は手軽に食べられておいしいものが多く、どうしても食べ過ぎてしまうこともあるでしょう。ただ、健康には良くないので、連日のように食べていると思ったら食生活を見直してみると良さそうですね。
2023/02/01
2023年1月26日、NTTドコモは認知機能低下の防止に役立つ「脳の健康チェックAI」と「脳の健康トレーニングAI」を搭載した試作アプリを公開しました。 これからアプリを利用したことによる効果などを評価し、2025年の3月までにはサービス化したいとしています。 「脳の健康チェックAIとは」 「脳の健康チェックAI」は、スマートフォンの利用状況などからAIが脳の健康状態をチェックするというものです。 アプリをインストールすると、スマートフォンの利用時間や毎日の歩数、位置情報などのデータからユーザーの認知能力をAIが分析し、脳の健康状態を測定します。 分析される認知能力は、情報処理能力、操作効率、遂行力、活動量、社会性、行動範囲の6つ。それぞれの認知能力はグラフ化されるため、一目でチェック可能です。 また、脳トレや専門的な認知症検査の受検案内など、認知症の早期対策に向けた情報も提供されます。 「脳の健康トレーニングAIとは」 一方、「脳の健康トレーニングAI」は、頬や舌などの口回りの運動と計算問題などの脳のトレーニングを同時におこなうというものです。 口元の動作と計算問題を連動させることで、脳に負荷をかけてトレーニングをする狙いがあると考えられます。また、高齢者にとっては、口元を動かすことで食べ物が誤って気管に入ってしまう誤嚥の予防にもなります。 「脳の健康チェックAI」と「脳の健康トレーニングAI」を搭載した試作アプリは、2023年2月2日からインターネット上で開かれる「docomo open house’23」で公開予定だとしています。 脳トレは毎日継続的におこなうことが大事です。「脳の健康トレーニングAI」なら楽しみながら続けられそうですね。
2023/01/31
2022年12月20日、株式会社CogSmart(コグスマート)は、認知症予防に役立つ脳ドック用のソフトウェア「Brain Suite(ブレーンスイート)」の受検者が受け取る結果レポートを新しくしたと発表。脳の記憶を司る「海馬」の体積変化をグラフで確認できるようになりました。 脳ドック用ソフトウェア「Brain Suite」について 「Brain Suite」は東北大学加齢医学研究所で収集された脳画像のデータを用いて、受検者の海馬の体積変化を測定するという脳ドック用のソフトウェアです。 また、受検者は会員ページから脳の健康維持や海馬の改善方法についてアドバイスを受けられます。 海馬の体積変化が一目でわかる 今回、CogSmartは「Brain Suite」の結果レポートを刷新。海馬の体積がどれくらい変化しているのかを、年数ごとにグラフで示せるようになりました。 また、脳全体の中で海馬の体積が占める割合を、同世代の平均値と比較することも可能に。CogSmartは「脳の状態をより深く理解してもらうために改良した」としています。 海馬と認知症の関係 認知症と記憶を司る「海馬」の間には深い関係があります。 アルツハイマー型認知症は、脳が萎縮することで徐々に認知機能が低下していく病気です。また、脳の中でも記憶を司る海馬から萎縮が始まると考えられています。 ただ、海馬は脳細胞の中で唯一数を増やせる細胞だと言われています。そのため、早期に海馬の萎縮に気づいて睡眠や運動などの生活習慣を改めれば、海馬の状態を改善し、認知機能の低下を防げる可能性があります。 認知機能の低下を防ぐポイントは、早期に海馬の萎縮に気づくことです。もし最近もの忘れが増えてきたと思ったら、脳ドックを受けて海馬の状態を調べてみると良いかもしれませんね。
2023/01/27
アメリカでおこなわれた研究で、加齢による難聴がある人はそうでない人に比べて認知症を発症するリスクが高い可能性が示されました。 この研究は、2011年にジョンズ・ホプキンズ大学で実施されたものです。 加齢性難聴とは 元々聴力に問題がなかった人でも、歳を重ねるにつれて聴力が低下することがあります。 要因はさまざまですが、聴力を司る脳の部位の衰えや、騒音などによる聴覚細胞の損傷などが一因として考えられています。 難聴になると認知症リスクが高い ジョンズ・ホプキンス大学の研究グループは、過去の研究で明らかになった被験者の認知テストや聴力テストの結果を解析。その結果、被験者の聴力が重度の難聴であればあるほど認知症リスクが高いことが判明しました。 なぜ難聴になると、認知症になる可能性が高まるのでしょうか? 研究グループによると、難聴の人は人の話を聞き取ることに脳のキャパシティを費やしてしまうため、記憶しようとする意識が向かなくなり、結果的に認知機能が低下した可能性があるそうです。 さらに、研究グループは「難聴になりコミュニケーションが困難になると、社会的な孤立が生まれる。孤立感は、認知症の発症リスクを高める可能性がある」と指摘しました。 軽度の難聴でも認知機能に影響 コロンビア大学とジョージ・ワシントン大学が合同で実施した別の研究では、軽度の難聴であっても認知機能が低下する可能性が示されました。 PTA値と呼ばれる、音が聞こえなくなる値が10デシベル未満の聴力に問題がない人に比べて、音が聞こえなくなる値が11~20デシベルの軽度の難聴の人は、認知機能の低下が見られたのです。 加齢によって失った聴力を元に戻すことはできませんが、補聴器などで聴力をサポートすることはできます。補聴器などを使って他者とコミュニケーションが取れれば、脳も活性化するかもしれませんね。
2023/01/26
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。