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デンタルサポート株式会社は、超音波(エコー)を使用した摂食嚥下のリスクを判定するプログラムおよび嚥下評価システムの特許を取得。より便利で安全に嚥下評価プログラム・嚥下評価システムの利用を実施するため、早稲田大学と共同で検査デバイスの開発を進め、実用に向けた事業展開をしていると発表しました。 嚥下評価プログラム・嚥下評価システムとは デンタルサポート株式会社が発表した「嚥下評価プログラム・嚥下評価システム」とは、超音波(エコー)を使用し、食べ物を飲み込む時の咽頭部周辺の筋肉の動きを数値化して評価するシステムです。 今回開発した嚥下評価システムでは、検査時の身体の負担が少なく、誰でも簡単に、かつ明確な摂食嚥下の状態を判断できます。また、嚥下評価システムの結果をもとに、その人に合った「摂食嚥下機能改善プログラム」を作成することも可能です。 デンタルサポート株式会社は「最後まで自分の口から食べられる社会」を目標にかかげ事業展開をしているそうです。 そもそも摂食嚥下とは そもそも摂食嚥下とは、食べ物を食べる時の動作のこと。人は口に物を入れると、食べ物が認知され、口腔、咽頭、食道を通り、食べ物が胃に届きます。食べ物や飲み物が胃に届くまでの間に、何かしらの障害が起こる人は摂食嚥下障害と判断されます。 食べ物や飲み物が胃に届くまでの間に起こる障害とは、例えば以下です。 歯を失っており、食べ物が噛めない 舌の動きが鈍い 唾液の分泌が少ない 飲み込む力が弱い 高齢になると、歯が悪くなったり、物を飲み込む力が弱くなるなど、さまざまな機能低下が起こるでしょう。高齢者の中には薬を飲んでいる方も多いので注意が必要です。 口の機能が低下すると食事を楽しめません。口の体操や唾液腺のマッサージで改善できることもあるので、日頃から意識して口腔機能を維持しましょう。
2024/02/14
声で心を整える「声ヨガ」の普及をおこなっている一般社団法人日本声ヨガ協会は、高齢者の飲み込む力を鍛える「喉トレ健康かるた」の開発に着手することを明らかにしました。 喉トレ健康かるたの開発にあたって、日本声ヨガ協会はクラウドファンディングで商品の製造資金を集めることを発表。目標金額は50万円で、期間は2023年12月31日までだとしています。 高齢者の飲み込む力を鍛える「喉トレ健康かるた」とは 今回、日本声ヨガ協会は、飲み込む力を鍛える「喉トレ健康かるた」の開発に着手することを発表。かるた札には、それぞれ「舌先を上に向け左右に動かす」などのお題があり、高齢者施設の利用者同士で楽しみながら喉や口周りの筋肉を鍛えられる仕掛けをつくっているそうです。 また、かるた札は通常のものより大きな「大判サイズ」。かるた札の文字を読むことになるであろう高齢者が札を見やすいようにこだわったといいます。 飲み込む力を鍛えるべき理由 2009年、内閣府が全国の60歳以上の男女5,000人を対象に「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査」を実施。その調査で「どんなときに生きがいを感じるか」と尋ねたところ、「友人・知人との会食」や「おいしいものを食べているとき」など、食事に関する回答が上位を占めていることがわかりました。 一方で、高齢になるにつれて食事をしにくくなったと感じる人が増えることも事実。その大きな原因のひとつが、飲み込む力に障害が起こる「嚥下障害」です。 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、加齢によって筋肉量や筋力が低下することで、本来飲み込みに必要な速度で咽頭を動かすことが難しくなり、食べ物が誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」を引き起こしやすくなるのだといいます。 気管に食べ物が入ってしまうと命にかかわる「誤嚥性肺炎」につながることも。食べ物の誤嚥を防ぎ、高齢者が健やかに過ごしていくためにも、喉や口周りの筋肉を鍛えることが重要なのです。 今回紹介した「喉トレ健康かるた」が完成し、さまざまな場所に広まっていけば、単なるリハビリより楽しく喉や口回りの筋肉を鍛えられるようになりそうですね。 参考:「喉トレ健康かるたクラウドファンディングページ」 参考:「嚥下障害 嚥下障害の症状と原因、そして対応と治療について」(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
2023/10/23
ソフトウェア開発を手がけるモアソンジャパンは、高齢者のかむ能力の評価とトレーニングをおこなうスマートフォンアプリ「おくちトレーナー」を開発。高齢になるにつれて衰えやすい「かむ力」をトレーニングすることで、口腔機能の改善を支援していくとしています。 かむ力のトレーニングが必要な理由 そもそも、なぜ、かむ力のトレーニングが必要なのでしょうか? 年を重ねるにしたがって、口周りやあごの筋肉が弱り、固かったり繊維が多かったりする食べ物をかみにくくなります。 また、食べ物をよくかまずに飲み込むと、食べ物が食道に詰まって窒息したり、気管に入って肺炎を起こしたりするリスクが高まります。以上のようなリスクを予防し、高齢者が安全に食事を楽しむためには、かむ能力の維持と向上が必要なのです。 かむ力と飲み込む力を養うアプリ「おくちトレーナー」を開発 モアソンジャパンは、鹿児島大学小児歯科監修のもと、高齢者のかむ能力の維持と向上を支援するスマートフォンアプリ「おくちトレーナー」を開発しました。 食事中の顔の動きを撮影した動画を取り込むと、AIが口角や唇、ほおの動きなどを分析し、かむ能力を判定するそうです。 また、かむ能力はかんだ回数、速度、時間、口に入れる物の大きさ、咀嚼(そしゃく)率の5項目でスコア化。各年代のデータからAIが解析し、「かむ年齢」を割り出すと言います。 また「おくちトレーナー」には、かむ能力の測定だけでなく、かむ能力を鍛える機能もあり、舌や口周りの筋肉を鍛える「あいうべ体操」などをおこなえるとしています。 今回、アプリの監修に当たった鹿児島大学病院の小児歯科に所属する佐藤秀夫氏と山本祐士氏は「『おくちトレーナー』の普及を通じて、かむ能力が健康指標として注目されることを期待している」と述べています。 食べ物や唾液が気管に入ってしまうことで発症する「誤嚥(ごえん)性肺炎」は、高齢者が死亡する大きな原因のひとつ。高齢者が健やかな毎日を過ごすためにも、「おくちトレーナー」がこれから普及していくと良いですね。 参考:「おくちトレーナー」(モアソンジャパン公式HP)
2023/07/11
2023年3月1日、オーラルケア製品の開発・製造をおこなっているヤマトエスロン株式会社は、災害時に水が無くても使えるハミガキセット「おくちといのちを守りたい、無水ハミガキ」を、防災などのアート事業を手がけるNPO法人プラス・アーツと共同開発したことを発表しました。 この無水ハミガキセットは、楽天市場で2023年3月11日に発売予定だそうです。 「無水ハミガキ」の開発に至った背景 ヤマトエスロンが開発したハミガキセットの商品タイトルには、「おくちといのちを守りたい」とあります。なぜヤマトエスロンはハミガキセットの商品タイトルに「いのちを守りたい」とつけたのでしょうか? その理由は、1995年の阪神大震災で生じた災害関連死の4分の1が肺炎で、そのほとんどが誤嚥(ごえん)性肺炎だったことが挙げられます。 誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物が気管を通って肺に入ってしまうことで生じる肺炎のこと。唾液には菌が存在し、ハミガキなどのオーラルケアを怠るとその菌は口内でどんどん増殖します。その菌が肺に入り込んでしまうと、肺に炎症が起こってしまうのです。 誤嚥性肺炎にかかると、命に危険が及ぶこともあるため、口の中を清潔にして誤嚥性肺炎を予防することが大切。そこで、災害時でも誤嚥性肺炎を予防できるオーラルケアセットが必要だとして開発されたのが、今回の無水ハミガキセットなのです。 「無水ハミガキ」の特徴 無水ハミガキセットは、以下のもので構成されています。 ハミガキの大切さがわかる冊子 水がなくても使える歯ブラシ6本 水がないときに口の中をぬぐえるハミガキシート フロス6本 内容量は、救援物資が届くまでの3日間を想定したものになっているそうです。 特に冊子は、神戸常盤大学や大手前短期大学に所属する研究者やプラス・アーツが監修に入り、誰もがハミガキについて楽しく学べるものになったとしています。 避難生活は長期に及ぶこともあるため、食料や水だけでなくハミガキセットなども災害用バッグに入れておくと良いでしょう。万が一のために、改めて災害用バッグの中身を確認してみると良いかもしれませんね。
2023/03/08
長野県は、行政・企業・大学が連携して、高齢者の食べ物や飲み物などを飲み込む力を判定する装置を開発したと発表。食べ物や唾液などが誤って気管に入ってしまうことで発症する誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐねらいがあると言います。 この装置は、長野県工業技術総合センター、信州大学医学部、発汗計などを開発している信州大学医学部発のベンチャー企業「スキノス」、ソフトウェア開発をおこなっている「システムクラフト」の4者が共同で開発したものです。 誤嚥性肺炎について そもそも、誤嚥性肺炎はどのように引き起こされるのでしょうか? 日本呼吸器学会によると、誤嚥性肺炎は、加齢などによって食べ物や飲み物を飲み込む力が衰え、唾液や食べ物などと一緒に口の中の細菌が気道に入ってしまうことで発症すると言います。 誤嚥性肺炎では、発熱や咳などのような典型的な肺炎の症状を示さず、なんとなく元気がなかったり食欲がなかったりといった症状だけのこともよくあるそうです。 人によっては、誤嚥性肺炎を繰り返し発症してそのまま死亡することもあります。それを防ぐためには、まず食べ物や唾液などを気管へと吸い込んでしまう誤嚥を防ぐ必要があります。 飲み込む力を判定する装置について 今回の装置を開発した長野県工業技術総合センターによると、起きている間ののどの動きは正常でも、睡眠中にのどの機能が弱くなって、自分の唾液を肺に吸い込んでしまい肺炎を発症することがあるそう。そのリスクを測定できるかどうかが課題だったと言います。 今回の装置は、センサー付きのシートをのどに貼ることで、寝ている間ののどの動きを解析し、誤嚥性肺炎の発症リスクを測れるそうです。 工業技術総合センターは「飲み込む力は加齢とともに低下する。のどの機能が低下しすぎる前に誤嚥のリスクを把握して、リハビリにつなげてもらいたい」としています。 この装置は、3年後を目安に病院やリハビリ施設などでの販売を目指しているそうです。 介護施設でも、高齢者の飲み込む力を正確に測れる言語聴覚士などがいることは少なく、介護士などが主観的に判断して誤嚥性肺炎のリスクを測っているのが実情です。 今回の装置が普及していけば、客観的に高齢者の飲み込む力を判断でき、より迅速に口腔リハビリなど適切なケアにつなげられそうですね。
2023/03/07
2019年12月、愛知県春日井市にある特別養護老人ホームで、入所していた当時81歳の女性が食べ物をのどに詰まらせて死亡した事故がありました。 遺族は施設側に過失があったとして訴訟。2023年2月28日に名古屋地裁で開かれた裁判で、事故のあった特養に対して1370万円の賠償が命じられました。 認知症の高齢女性が窒息死 判決によると、女性は認知症で要介護認定を受け、2019年2月に施設に入所したそうです。 それから同じ年の12月12日の午後、食事中に食べ物をのどに詰まらせ心肺停止状態に。その後死亡が確認されました。 裁判では、女性が以前から食べ物をかきこむクセがあり、たびたび嘔吐も見られたことから、「施設側は、女性が食べ物をのどに詰まらせる可能性を予見できた」と指摘。女性が食事をするときには常に見守りをすべきだったのに、職員が目を離したから女性は窒息死したと認定したのです。 施設を運営している社会福祉法人は、「判決の内容を確認し、今後の対応を考える」としています。 なお、今回の判決結果について、介護や医療従事者からは「人手が足りない中で、ひとりの利用者に付きっきりで対応するなんて現実的ではない」などと判決を疑問視する声が多数挙がっています。 窒息時の対応 高齢者は食べ物を飲み込む力が衰えているため、一般成人に比べて食べ物をのどに詰まらせやすい状態にあります。 高齢者が誤って食べ物をのどに詰まらせたとき、どのように対応すれば良いのでしょうか? まずは、周囲の人に救急車を呼んでもらいましょう。脳が酸欠状態になっている時間が短ければ短いほど命が助かる確率が上がります。 救急車を待っている間、のどに食べ物を詰まらせた高齢者が咳を出せる状態だったら、強く咳をしてもらいます。軽度であれば、気道をふさいでいた食べ物が吐き出される可能性があります。 咳も出せないくらい、食べ物が完全に気道をふさいでいるようだったら、強く背中を叩くのも有効です。 窒息した高齢者に反応がなくなったら、救急車が到着するまで心臓マッサージをおこないましょう。 今回起こってしまったような事故を防ぐためには、介護施設の職員がいつでも連携できる体制であることが大切です。そのような体制を整えるためにも、余裕のある人員配置をしてほしいですね。
2023/03/06
AIを活用したサービスを展開している株式会社エクサウィザーズは、身体機能を分析するAIサービス「CareWiz トルト」に、「口腔機能分析」という新機能を追加することを明らかにしました。 なお、この機能追加は2023年4月から開始するとしています。 「口腔機能分析」について 今回新たに追加する新機能「口腔機能分析」は、訪問歯科診療をサポートする事業を手がけるデンタルサポート株式会社と、介護事業を展開するDSセルリア株式会社の協力を受けて開発したそうです。 「口腔機能分析AI」を使うと、高齢者が「パ、タ、カ」を繰り返し発音している動画を撮るだけで、舌や口、唇などの口腔機能を客観的に評価できると言います。 具体的な使い方は以下のとおりです。 決められた音節「パ、タ、カ」を発音している動画を撮る 動画の音声をもとに、AIが高齢者の発音を分析 高齢者の音声を「速さ」や「発音」などの指標をもとに客観視できるように点数化 口腔機能の向上を促すトレーニングを提案 また、高齢者の音声を分析した結果、口腔機能が低下している可能性があるとAIが判断した場合は、言語聴覚士などの専門家への相談を推奨するといったサポートも予定しているそうです。 口腔機能が低下すると? そもそも、口腔機能を測る意義は何でしょうか? 真っ先に挙げられるのは、食べ物が器官に入ってしまうことで起こる「誤嚥(ごえん)性肺炎」の防止です。 食べ物を噛む力や飲み込む力などが衰えてくると、食べ物が誤って器官に入ってしまう「誤嚥」が起きるリスクが高まります。 食べ物を誤嚥してしまうと、肺に炎症が生じることがあります。これが「誤嚥性肺炎」で、介護現場で起こった死亡事故の大きな要因となっています。 食べ物を噛む力や飲み込む力を評価する専門家の数はまだまだ少ないのが現状です。しかし、今回紹介した「口腔機能分析AI」を使えば、専門知識がなくても高齢者の口腔機能を測れるようになります。そのため、「口腔機能分析AI」を搭載している「CareWiz トルト」が普及していけば、介護現場の誤嚥事故も減らせるかもしれませんね。
2023/03/01
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。