中谷 ミホさんの
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介護職員、相談員、ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級。
介護の基礎知識

義理の親の介護を理由に離婚はできる?|相続・財産分与の問題も解説

「義理の親の介護がしんどい‥離婚したい」「介護の負担を理由で離婚ってできるの?」 介護は精神的・肉体的に大きなストレスや負担がかかるもの。義理の親の介護を理由に離婚したいと考えてしまうのも無理はありません。 そこで、本記事では、介護を理由に離婚できるのかどうかを解説します。合わせて、離婚後の相続や財産分与についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 義親の介護は義務ではない そもそも、義理の親の介護は義務なのでしょうか?民法では以下のように規定されています。 第877条1項 直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。 第877条2項 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。 出典:民法第877条 このように、子の配偶者が義理の親を介護する義務は、法律的にはありません。 例えば、妻は夫の直系血族にあたらないため、妻には義理の親を介護する義務はありません。義理の親の介護は、夫とその兄弟姉妹がおこなうべきものです。 介護を理由に離婚はできる? 介護を理由に離婚はできるのでしょうか? ここでは、介護を理由に離婚できるケースと難しいケースについて見ていきましょう。 離婚できるケース 介護を理由に離婚できるのは、次のようなケースのときです。 夫婦がお互い離婚に合意している 介護以外にも法定の離婚事由がある 介護が原因で夫婦関係が破綻している(長期間の別居など) 法定事由とは、裁判で離婚する際に認められる離婚理由のことです。 夫婦いずれかが離婚に反対していても、以下のような「法定離婚事由」に該当する行為があれば、離婚が成立します。 一 配偶者に不貞な行為があったとき。二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 出典:民法第770条 離婚が難しいケース 次のようなケースでは、離婚が難しいと考えられます。 夫婦いずれかが離婚を拒否している 夫婦いずれかが不倫などをしており有責配偶者である このような場合は、離婚ができない訳ではないものの、話し合いが進まなかったり、離婚までに相当長い期間がかかってしまう可能性があります。 離婚話が進まない場合には、弁護士への相談をおすすめします。弁護士に依頼すると、仲介役として話を進めてくれたり、代理人として交渉にあたってくれたりするので、精神的な負担も大幅に軽減されるでしょう。 離婚したら、相続・財産分与・年金分割はどうなる? 次に、介護を理由に離婚した際の相続と財産分与、離婚後の年金分割について説明します。 義親の遺産は相続できる? 例えば、夫の父母が亡くなった場合、妻は法律上の相続人ではないため遺産はもらえません。また、夫が受け取る義両親の財産は、夫の特有財産となるため、妻が財産分与でもらうこともできません。 妻が義親の遺産をもらうには、「義父母と養子縁組をする」「生前贈与してもらう」「実子の配偶者に遺産を残す旨の遺言を作成してもらう」などの準備をしておく必要があります。 ただし、妻が無償で義親の介護に貢献していた場合は、特別寄与料金を相続人へ請求できる可能性があります。 離婚をしたら財産分与はどうなる? 離婚の場合、財産分与の対象となるのは「共有財産」です。これは、夫婦が協力して婚姻期間中に形成した財産のことです。対象となるのは以下のような財産です。 <共有財産の例> 不動産 保険の解約返戻金 退職金 現金や預貯金 財産分与の対象から除外されるのは「特有財産」です。具体的には、婚姻前から一方が保有していた財産や、婚姻期間中に取得した夫婦の協力に関係しない相続、贈与が原因となる財産です。 <特有財産と考えられるもの> 婚姻以前から保有する財産 親族から相続した財産 自分の特有財産で購入した、もしくはプレゼントされたバッグやアクセサリー等 離婚後に年金分割 離婚した場合、夫婦二人の婚姻期間中の厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができます。 年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。 合意分割 分割の割合を夫婦が話し合い合意によって決定する方法で、2007年4月1日以降に離婚した夫婦に適用されます。 同意を得たら、離婚後に一緒に社会保険事務所へ行き、年金分割の手続きをします。一緒に出向くことが難しい場合は、公正証書で年金分割の合意書を作成しておけば、一人でも手続き可能です。 3号分割 3号被保険者であった妻や夫から請求することで、相手方の保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる制度。2008年4月1日以後の婚姻期間が対象です。 離婚した元配偶者の合意がなくても、第3号被保険者が単独で請求できます。 介護離婚を避けるためにできること 離婚する前にできることはあるのでしょうか? ここでは、介護離婚を避けるためにできることを紹介します。 家族・親戚に介護に参加してもらう 親の介護は、夫婦だけ、あるいは夫婦のどちらか一方が担うのではなく、子どもや兄弟姉妹などの親戚にも参加してもらいましょう。 前述の通り法律では「親族であれば、三親等以内は介護の義務がある」ことがはっきりとしています。 親族が近くに住んでいるのであれば、介護を手伝ってもらうようにしましょう。遠方に住んでいる、あるいは都合がつかないなどの理由で介護に関わることが難しい場合は、経済的援助を求めても良いでしょう。 家族や親族が協力的になると、介護離婚が回避できることもあります。 在宅介護サービスを利用する 在宅介護サービスを利用することも、介護離婚を避けられるひとつの方法です。 デイサービスや訪問介護、ショートステイなどの介護サービスを利用すると、介護の負担を減らすことができます。 介護をしていると、自分の時間がなく、疲労やストレスが蓄積されます。また、認知症が進行すると、危険から守るために親の行動を監視し続けなければなりません。これが毎日続くとなると「介護から逃れるために離婚したい」と考えてしまうでしょう。 介護離婚を避けるためにも、介護サービスを利用して介護の負担軽減に努めましょう。 介護施設に入居する 介護施設への入居も検討してみましょう。施設入居が最も介護の負担を軽減できる方法。介護施設では、プロの介護を受けられるので義両親にとっても良い環境で過ごせるでしょう。 なお、介護施設にはさまざまな種類があり、施設ごとに入居条件が設定されています。例えば、特別養護老人ホームの入居条件は、原則として65歳以上、要介護3以上の高齢者です。 また、施設の種類によって、入居にかかる費用やサービス体制・内容も異なります。 介護施設の入居を検討するときは、さまざまな施設の情報を集めて、条件や希望に合う施設を選びましょう。 別居して介護から離れる 介護がつらく、離婚が頭をよぎっても、ひとまず別居することで介護から距離を置くことができます。このことも、介護離婚を避ける方法のひとつです。 介護から離れると、今後どうするか落ち着いて考えることができるので、離婚以外の解決方法が見つかるかもしれません。 また、別居して残された側の配偶者は、自分がメインで介護しなければならなくなるため、介護の大変さが理解できるでしょう。別居をきっかけに、介護に協力してもらえる場合もあります。
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介護で仕事を休んだら給付金はある?|支給金額、手続き、受け取る時期

仕事と介護を両立する中で、介護休業を検討する人もいるでしょう。 しかし「介護休業を取りたいけど、収入がなくなるのが不安」「介護休業給付金は誰でも対象になるの?」と疑問に思う方もいるのでは? そこで、本記事では、介護休業給付金の受給条件や支給金額、申請方法などについて紹介していきます。 介護休業給付金の仕組みを知りたい方や、安心して家族の介護に集中したい方は、ぜひ参考にしてください。 介護休業給付金とは 介護休業給付金とは、家族の介護で仕事を休業する場合に、原則として給料の67%を受け取ることができる制度です。 介護休業は「育児・介護休業法」で規定された労働者の権利であり、一定の要件を満たす方は雇用保険から「介護休業給付金」を受け取ることができます。 給付金の支給期間は、1人の家族につき介護休業開始日から最長93日間。給付金は最大3回まで分割して受け取ることができます。 介護休業給付金を受給できれば、休業中の経済的な負担を軽減することができるでしょう。 介護休業とは 介護休業とは、労働者が要介護状態にある家族を介護する必要がある場合に事業主に申し出ることで、休業期間を得られる制度。目安として、介護のために2週間以上休まなければならないときに取得できます。 また介護休業は、介護休業終了後に職場復帰をする人を対象としています。介護休業を取得する時点で休業後に離職することが決まっている場合は対象にならないため、注意が必要です。 介護休業の取得条件は 介護休業を取得できるのは「常時介護を必要とする対象家族を介護する男女の労働者」です。 対象となる家族の範囲は、次の通りです。 配偶者(事実婚の相手も可) 父母(養父母でも可) 子(養子でも可) 配偶者の父母(養父母でも可) 祖父母 兄弟姉妹 孫 介護休業が取得できないケース 以下の条件に該当する場合には、介護休業を取得することはできません。 日々雇い入れられる者 期間を定めて雇用される者のうち、取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヵ月を経過する日までの間に、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかな者 ※2022年4月1日より育児・介護休業法が改正されたため「同一の事業主に1年以上引き続き雇用されていること」という取得要件は撤廃されています。 次の労働者については、労使協定を締結することで介護休業の対象外となり、介護休業は取得できません。 入社1年未満の労働者 介護休業の申し出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 介護休業給付金の受給条件は 介護休業給付金の受給条件は、無期雇用と有期雇用では異なります。 無期雇用の場合 無期雇用とは、期間の定めのない労働契約を締結している労働者のこと。正社員のように雇用期間が無期限である人を指します。 無期雇用の場合は、介護休業を開始した日より前の2年間の雇用保険加入期間が12ヵ月以上あることが受給条件です。 有期雇用の場合 有期雇用とは期間に定めのある労働契約を締結している労働者のことで、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員に多い契約形態です。 有期雇用の場合は、介護休業開始予定日から93日を経過する日から6ヵ月を経過する日までに労働契約が終わると決まっていないことが受給条件です。 介護休業給付金が受給できないことがある? 受給条件を満たしていても、介護休業給付金の受給対象外になることがあります。 ここでは介護休業給付金が受給できない5つのケースについて見ていきましょう。 ...
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介護の補助金・助成制度の7種類を徹底解説|支給金額や条件、申請方法も

介護サービス費の負担が重なってくると、「補助や助成を受けられる制度はないかな?」と疑問を持つことがあるのではないでしょうか。 介護費用を抑えられる補助金制度は複数あり、活用できれば経済的負担が軽減できます。そこで本記事では、介護費用の軽減に利用できる補助金や助成制度を7つ紹介します。 支給金額や条件、申請方法も詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 介護休業給付 介護休業給付とは、怪我や病気によって常時介護が必要な家族のために休業する際、給料の67%が支給される制度です。介護を必要とする方が同一家族の場合、93日を限度に3回までは分割して支給を受けられます。 休業期間を終えると職場への復帰が保証されている制度でもあり、仕事と介護の両立を支援する制度といえるでしょう。 支給金額 支給額=休業開始時賃金日数×支給日数×67 % 休業開始時賃金日数とは、介護休業開始前6ヵ月間の総支給額を180で割った金額を指します。 ただし、給付額には上限があり、介護休業期間中に会社から賃金が支払われると給付額が減額される場合もあるので、注意が必要です。 支給条件 具体的な支給条件は、以下の通りです。 介護休業を取得した、雇用保険の受給資格者である 介護休業開始日前の2年間に、雇用保険に12ヵ月以上加入している 家族の常時介護のため2週間以上休業が必要である 職場復帰を前提として介護休業を取得する なお、会社から休業手当が支給されている場合などは、給付が受けられない可能性もあります。休業中の給与支払いについては、あらかじめ会社の経理担当者に確認しておきましょう。 申請方法 介護休業給付の申請は、原則として勤務先を経由してハローワークでおこないます。必要書類は以下の通りです。 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 介護休業給付金支給申請書 なお、申請期限は「介護休業終了日翌日から2ヵ月後の月の末日」と定められています。期限を過ぎると書類を受理してもらえないので、速やかに申請しましょう。 家族介護慰労金 家族介護慰労金とは、介護保険サービスを利用せずに要介護4〜5の方を介護している家族に対して、自治体が支給する給付金のこと。家族による介護への労いと、経済的負担の軽減を図る目的で設けられています。 ただし、自治体によっては実施していなかったり、支給要件が細かく決まっていたりするため、確認が必要です。 支給金額 家族介護慰労金は、自治体より年額約10万円が支給されます。自治体によって金額が異なる場合があるので、申請時に確認しましょう。 ただし、介護保険料などの滞納がある場合は、支給されないケースがあります。 それでは次に家族介護慰労金の支給条件について説明します。誰でももらえるというわけではなく、各自治体により条件が異なるので、詳細はお住まいの地域の役所にお問合せください。 支給条件 介護を受けている人の条件 介護度合いが重度・最重度と認定された人(要介護4または5)過去1年間に介護保険サービスを利用しなかった人過去1年間に90日以上の入院をしなかった人 介護をしている人の条件 過去1年を通じて介護を受けている方と同居していること過去1年を通じて在宅で介護をしていること 両者の条件 過去1年と通じて、同じ自治体に住民登録されていること市町村民税非課税の世帯であること 申請方法 自治体に問い合わせ申請書入手・提出支給要件を満たした場合、自治体の職員が実態調査を実施支給決定通知書および請求書が送付される請求書に必要事項を記入のうえ自治体に送付する指定の金融機関口座に慰労金が振り込まれる 家族介護慰労金の支給を受けるには、住んでいる自治体への申請が必要です。各自治体によって申請方法や申請先が異なりますが、基本的な申請の流れは同じです。 申請のタイミング 同居家族が介護認定度4~5と認定された要介護者を1年以上介護している場合、家族介護慰労金の支給申請が可能です。 随時申請できるので、支給条件に当てはまった時に同居の家族の方が申請してください。 福祉用具購入費 介護保険を利用して福祉用具を購入した場合には、一部助成を受けられます。 具体的には、以下の「特定福祉用具」の購入が対象です。 腰掛便座 自動排泄処理装置の交換可能部品 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、入浴用介助ベルト) 簡易浴槽 移動用リフトのつり具の部分 排泄予測支援機器(令和4年4月より追加) これらの特定福祉用具を購入する際は、事前の申請で助成対象となります。 支給条件 福祉用具購入費の助成を受けられるのは、以下をすべて満たす要支援1~2、要介護1〜5の方です。 福祉用具の購入日が介護保険の認定期間内である 自宅で生活している 福祉用具の購入費用が助成されるのは、自宅で使用する場合に限ります。入院中や施設への入所中は対象外となるので、注意しましょう。 支給金額 福祉用具購入費の支給金額は、1年間(4月〜翌年3月末)で10万円まで。対象の特定福祉用具を購入する際に、いったん全額を支払い、その後自治体に申請して一部償還払いとなります。 償還払いとなる金額は、介護保険の1〜3割の負担割合によって異なります。例えば1割負担の人であれば最大9万円、2割負担の人であれば最大8万円が払い戻される仕組みです。 ただし、自治体に申請しなければ払い戻しされないので、忘れずに申請しましょう。 申請方法 福祉用具購入費の助成を受けるには、自治体の窓口へ申請が必要です。 申請から還付までの流れは、以下の通りです。 ケアマネジャーなどに相談して購入する福祉用具を決める 特定福祉用具販売事業所で購入する 申請書や領収書などの必要書類を自治体の窓口へ申請する 後日、指定口座に給付額が振り込まれる 助成の対象となるためには、特定福祉用具販売事業所で福祉用具を購入する必要があります。どこで購入したらいいかわからない場合は、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。 居宅介護住宅改修費 居宅介護住宅改修費とは、要介護者が住宅に必要な手すりをつけたり、危険箇所を取り除いたりなどの改修を一部助成する制度です。 以下の改修をおこなった場合、居宅介護住宅改修費が支給されます。 廊下や階段、浴室、トイレ、玄関まわりなどへの手すりの設置 段差解消目的のスロープ設置、浴室床のかさ上げなど 滑り防止および円滑な移動のための床材変更(畳・じゅうたん・板材など) 扉の取り替え(開き扉・引き戸・折り戸など、ドアノブ交換など) 洋式便座などへの便器の取り替え 上記の住宅改修に付帯して必要となる改修(下地補強、給排水設備工事、壁・柱・床材の変更など) なお、新築工事の場合は居宅介護住宅改修費の利用ができません。 新築工事が完了した後に、手すりやスロープなどを設置する工事をおこなえば、居宅介護住宅改修費の対象となります。 支給金額 住宅改修費の支給限度額は、要介護や要支援の認定区分に関わらず20万円が上限です。ただし、助成される費用は、介護保険の1〜3割の負担割合によって異なります。 例えば20万円の改修工事をした場合、1割負担の人であれば2万円、2割負担の人であれば4万円で住宅改修が可能です。 住宅改修費の支給は原則1回ですが、要介護認定区分が3段階上がった場合や、別の住宅に転居した場合は、再度申請できます。 支給条件 住宅改修費の支給を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。 ...
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要介護3で一人暮らしはできる?|利用できる在宅介護サービスと検討したい介護施設

要介護3の認定を受けても、介護サービスを利用しながらであれば一人暮らしができる可能性があります。 そこで、本記事では、要介護3の方が利用できる介護サービスを紹介します。合わせて、一人暮らしが難しくなった場合に入居可能な介護施設もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。 要介護3でも一人暮らしは可能 要介護3とは、以下のような状態です。 食事・排泄・入浴・着替えなどの生活動作に全面的な介助を必要とする 認知症を発症している場合は、症状の程度によってかかりきりの介護を必要とする 要介護3の認定を受けたすべての方が上記のような状態ではありません。しかし、要介護3の方は、何かしらの介護が必要な状態のため、家族と同居して介護を受けたり、介護施設に入居して介護サービスを受けたりする方が多い傾向です。 そのため要介護3の方の一人暮らしは、家族のサポートに加えて、介護保険のサービスも利用して、日々の生活をサポートしてもらうことで可能となります。 要介護3で利用できる居宅介護サービスの種類 要介護3の方が自宅で利用できる居宅介護サービスには、以下のような種類があります。 サービスの種類サービス内容訪問系サービス訪問介護訪問入浴訪問看護訪問リハビリテーション居宅療養管理指導夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護通所系サービス通所介護(デイサービス)通所リハビリ(デイケア)療養通所介護認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)宿泊系サービス短期入所生活介護(ショートステイ)短期入所療養介護(医療型ショートステイ)訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けるサービス小規模多機能型居宅介護福祉用具レンタル・購入サービス福祉用具の貸与特定福祉用具購入費の助成 訪問系サービス 訪問系サービスとは、ヘルパーや看護師、理学療法士などが自宅を訪れておこなうサービスのことです。 具体的には、食事や入浴、排泄、着替えなどの身体介護や、調理、洗濯、掃除といった日常生活上の支援、医療ケア、リハビリなどのサービスが受けられます。 住み慣れた自宅で受けられるサービスのため、利用者本人にかかる負担が少ないのが特徴です。 訪問系サービスには、以下のような種類があります。 訪問介護 ホームヘルパー(訪問介護員)が利用者の自宅を訪問。入浴や排泄といった身体介護から、洗濯、掃除といた生活援助までを提供するサービス 訪問入浴 看護師1名を含めた2~3名の介護スタッフが入浴のサポートをおこなってくれる介護サービス。また、専門の浴槽が使われるため寝たきりの方でも安心して利用でき、看護師による入浴前後の健康チェックもおこなわれる 訪問看護 看護師などの医療関係者が自宅に訪問し、病気や障がいのある人に必要な処置をおこなうことを指す。看護師が、主治医の指導のもと自宅で病院と同じ医療処置をおこない、適切な療養生活が送れるように支援することが目的 訪問リハビリテーション 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問してリハビリテーションをおこなうサービス。また、自宅環境の改善提案、介護をおこなっている家族へのアドバイスもおこなわれる 居宅療養管理指導 医師や歯科衛生士といった専門職が自宅に訪問し、居宅療養を送るために助言・指導をしてくれるサービス 夜間対応型訪問介護 夜間の時間に限定した訪問介護が受けられる介護保険サービスのこと。介護スタッフが定期的に訪問する「定期巡回訪問サービス」と、利用者から通報を受けて都度訪問する「随時対応サービス」が提供される 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 夜間対応型訪問介護の「定期巡回」と「随時対応」を合体させ、さらに訪問看護も組み込まれたサービス。24時間365日体制で必要なサービスを必要なタイミングで提供される 通所系サービス 通所系サービスとは、無料の送迎で施設に通って利用するサービスのこと。施設で日中を過ごしながら、食事や入浴、排泄などの介護、リハビリなどのサービスが受けられます。 通所系サービスを利用すると人と触れ合う機会が持てるため、閉じこもりや孤立を防ぐことにも繋がります。 なお、通所系サービスは日帰りで受けるサービスのため、施設に宿泊することはできません。 以下は、通所系サービスの一覧です。 通所介護(デイサービス) 施設に入居することなく、自宅から通所しリハビリテーションや介護サービスを受けることで、高齢者のQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上を目指す施設。主に介護職員や理学療法士、看護師などの専門スタッフがサービスを提供 ...
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特別養護老人ホーム(特養)でおこなわれるリハビリ|生活リハビリの内容

「特別養護老人ホームに入りたいけど、リハビリはしてもらえるのかな」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。 そこで、本記事では特別養護老人ホーム(特養)でおこなわれるリハビリについて解説します。合わせて、リハビリが充実した特養の選び方も紹介しますので、特養への入所を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。 特別養護老人ホーム(特養)でリハビリがおこなわれる目的 特養のリハビリには「生活をするうえでのサポート」と「廃用症候群の予防」という2つの目的があります。 生活をする上でのサポート 特養では、生活するうえでのサポートをリハビリの一環と考えて、身体機能の維持につながるような支援を重視しています。このことを「生活リハビリ」と言い、以下の動作の際に少しでも入所者が自力でできるようにサポートしています。 食事 口腔ケア 排泄 入浴 着替え 移乗 移動 例えば、排泄時にズボンを上げ下げする、着替えをするなどの行為は、立ち上がりや歩行、座位保持などの基本動作が欠かせません。生活リハビリはこれらの行為を継続してできるようサポートすることをリハビリとしているのです。 特養でのリハビリは、積極的な個別訓練よりも、生活の場の中でのリハビリ(生活リハビリ)が主になります。 廃用症候群を予防 特養のリハビリには、廃用症候群を予防するという目的も。生活全般に介護を必要とする人が多く入所する特養では、廃用症候群を予防していくリハビリが必要とされています。そのリハビリを担当するのが「機能訓練指導員」です。 機能訓練指導員の役割は、入所者の廃用症候群を予防する計画を立てて、機能訓練を実施すること。他職種と連携しながら、身体機能を低下させないための生活リハビリに取り組んでいます。 生活リハビリをおこない、寝たきりの時間が増えないようにすることも廃用症候群の予防につながります。 廃用症候群とは? 廃用症候群とは、活動量の減少によって身体機能が衰えることを指します。病気や怪我などで安静にする時間が長かったり、運動量が減ったりすることをきっかけに、引き起こされる疾患です。 特に高齢者は、もともと筋力や体力が低下しているため、廃用症候群になりやすい傾向があります。例えば、安静な状態で1週間過ごすと、約10〜15%の筋力が低下すると言われており、廃用症候群の回復に長期間を要する可能性もあります。 長期的な安静状態をなるべく避け、積極的に身体を動かすことで日頃から廃用症候群の予防をすることが重要です。 特別養護老人ホーム(特養)でおこなわれる主なリハビリ内容 特養では、さまざまな生活動作を活かしてリハビリをおこないます。ここでは、具体的な生活リハビリの内容について解説します。 入所者の食事中の姿勢を整える 高齢者の中には、体幹の筋力低下によって、食事中の姿勢を保てなくなる人もいます。例えば、椅子に座っていても、おしりの位置が手前にずれ落ちていくケースなどです。 このような状態を避けるために、職員がクッションや枕を使って姿勢を保持することも生活リハビリとして実施されています。 食事中に正しい姿勢を保持できると食事が食べやすくなるため、食事量が増えて必要な栄養量の確保につながります。 また、崩れた姿勢での食事は誤嚥や窒息の原因につながります。食事中の姿勢を整えることで、誤嚥性肺炎などのリスクも軽減できるでしょう。 口腔内の清潔を保つケア 特養では口腔ケアの自立が難しい入所者も多いため、適切なサポートが必要です。なぜなら口腔内が汚れていると、食事量が減少したり、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまう可能性があるからです。 口腔ケアに対する生活リハビリは、洗面台への移動を介助するなど、可能な範囲で自分で口腔ケアができるように支援することです。 洗面台での口腔ケアができない場合は、ベッド上のテーブルに歯ブラシなどの口腔ケア用品を準備し、できる範囲で自分でおこなえるよう環境を整えます。 寝たきりの方など自分で口腔ケアが難しい場合には、介護職員が介助し、歯磨きや義歯の洗浄、口腔内の確認などをおこないます。 寝るときの体勢を整える ベッド上の姿勢を整える際に入所者自身に腰を上げてもらったり、ベッド柵で身体を支えたりするのも生活リハビリのひとつ。就寝時の姿勢調整は、褥瘡予防や睡眠の質を向上する効果があります。 就寝中は同じ姿勢で過ごすことが多くなるため、身体の一部分に圧力がかかる場合があります。強い圧力がかかると、褥瘡の発生につながるため、事前の予防が重要です。 機能訓練指導員は、入所者が心地よく過ごせるよう体勢を整えながら、自力でできる動作もなるべく引き出すよう支援します。 座る機会を増やす 座る機会を増やすことも生活リハビリです。ベッド上で過ごす時間が多い入所者には、食事や排泄、レクリエーションなど、座る機会を作ることで寝たきりの状態を予防します。 また、ベッドから車椅子、車椅子から椅子に移乗する際は、入所者ができる範囲で自力でできるように支援します。ベッド柵などをつかみ、立ち上がるときに足腰に力を入れることも生活リハビリにつながります。 座る機会を増やし、ベッドから離れる時間が取れると、ほかの入所者や職員との交流が増えるため、精神面にも良い影響を与えるでしょう。 趣味を活かした取り組み 身体を動かすだけでなく、入所者の趣味を活かした生活リハビリにも取り組みます。 例えば、将棋やカラオケ、食器の片付けや台拭きなどのお手伝いなど。機能訓練指導員が入所者の性格や趣味、入所前の生活環境などを考慮して、意欲的に活動できるようなリハビリ内容を考えます。 趣味を生かしたリハビリは、意欲の向上だけでなく、認知機能の維持・改善も期待できるでしょう。 リハビリが充実している特別養護老人ホーム(特養)の選び方 リハビリに力を入れている特養をどのように見分ければ良いのか、疑問を持つ方もいるでしょう。 ここではリハビリが充実している特養の選び方について解説します。 機能訓練指導員が多い 機能訓練指導員が多く配置されている施設ほど、入所者のリハビリに力を入れていると言えます。 特養の機能訓練指導員の配置基準は、入所者100人に対して1人と定められています。 しかし、100人の入所者を1人の職員で訓練することは難しいため、施設によっては複数名の機能訓練指導員を配置している場合があります。そのため機能訓練指導員の配置数は、施設のリハビリの充実度を見分けるポイントのひとつです。 なお、機能訓練指導員は以下の資格を持つ人を指します。 【機能訓練指導員に必要な資格一覧】 看護師または准看護師 理学療法士(PT) 作業療法士(OT) 言語聴覚士(ST) あん摩マッサージ指圧師 柔道整復師 鍼灸師(鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設にて半年以上の実務経験が必要) リハビリの充実度が高い 特養のリハビリの充実度は、機能訓練指導員の職種や人数、機能訓練室の有無などでも判断できます。 理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職が機能訓練指導員として勤務していれば、より専門的で充実したリハビリが受けられるでしょう。 しかし、機能訓練指導員は、看護師などリハビリの専門職以外の職種でも担うことができるため、特養によってはリハビリ専門職ではない場合があります。 より専門的なリハビリを受けたい人は、入所前にどのような職種が機能訓練指導員として配置されているか確認すると良いでしょう。 また、施設のリハビリ環境もリハビリの充実度を判断するポイント。機能訓練室が設置されているか、リハビリ器具が揃っているかなどを確認しましょう。 職員の人員配置が手厚い 職員の人員配置が手厚い特養は、生活リハビリをおこなう体制が整っています。 職員の配置が最低限の施設では、職員一人ひとりの業務量が多くなってしまうため、結果として、利用者の生活リハビリに関わる時間が少なくなってしまうでしょう。 人員基準を上回る職員を配置する特養であれば、職員がゆとりを持って生活リハビリにあたることができるため、充実したリハビリを受けられます。 リハビリに特化した「介護老人保健施設」もある 介護保険施設の中には、リハビリに特化した「介護老人保健施設」もあります。 介護老人保健施設は、要介護高齢者の中でも医療的ケアやリハビリを必要とする方が入所する施設。医師や看護師も配置されているため、医療的ケアが充実しています。 さらに、理学療法士や作業療法士などリハビリ専門職の配置が義務付けられているため、専門的なリハビリが受けられます。 ただし、介護老人保健施設は在宅復帰を目指す施設であるため、長期的な入所はできません。原則として入所期間は、3~6ヵ月と決められています。 よくある質問 特養ではどんなリハビリがおこなわれていますか? 特養では、生活上のサポートを中心とした生活リハビリがおこなわれます。食事介助や口腔ケアなどの中で、自分のできる動作を促すことも生活リハビリの一環です。 特養でのリハビリの時間や頻度はどれくらいですか? 特養のリハビリ頻度は施設によってさまざまです。1日に1回20分ほどの個別リハビリを週2〜3回おこなう施設や、個別リハビリはおこなわず生活リハビリのみに力を入れている施設もあります。 機能訓練指導員とはどんな人ですか? 機能訓練指導員とは、心身機能低下の予防目的で訓練をする職員です。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師などの資格を持つ人が配置されます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "特養ではどんなリハビリがおこなわれていますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
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特別養護老人ホーム(特養)の人員基準|気をつけるポイントと他施設との比較

特別養護老人ホームの人員基準について「どのようなスタッフにお世話をしてもらえるの?」「安心して家族を任せられる体制なのだろうか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか? そこで本記事では、特別養護老人ホームの人員基準と気をつけるポイント、他施設との比較について紹介します。 特別養護老人ホームへの入所を検討中の方や施設選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。 特別養護老人ホーム(特養)の人員基準 介護保険法では、介護施設などが適切な介護サービスを提供するために、職員の資格や人数、勤務体制などの人員基準を定めています。 特別養護老人ホームの人員基準は、以下の通りです。 職種人員基準施設長原則専従で常勤1名。※社会福祉主事、福祉経験2年以上などが要件介護職員または看護職員原則専従で、入居者3名に対して常勤換算1名以上医師健康管理や療養上の指導をおこなうために必要な数機能訓練指導員1名以上。当該特養のほかの職種との兼務可生活相談員入居者100名に対して常勤1名。※社会福祉主事、福祉経験2年以上などが要件介護支援専門員(ケアマネジャー)原則専従で常勤1名以上。入所者の処遇に支障がない場合、当該特養のほかの職種との兼務可栄養士1名以上 それぞれの職種について説明していきます。 全体の管理をおこなう「施設長」 施設長は特別養護老人ホームの責任者です。施設の運営や行政管理、人事、労務管理など施設全体の管理(マネジメント)業務を行っています。 施設の規模によっては、施設長が介護業務を兼務することもあります。 日常生活のお世話をおこなう「介護職員」 介護職員は、入所者の食事や排泄、着替え、入浴など日常生活で必要な介助をおこなうのが主な仕事です。 施設のケアマネジャーが作成したケアプランに沿った介護サービスを提供し、入所者がその人らしい生活を送れるよう手助けする役割を担っています。 健康状態の把握をおこなう「看護職員」 看護職員は、医師の管理・指示のもとで、入所者の健康状態の把握はもちろんのこと、褥瘡(床ずれ)の予防・処置、点滴や服薬の管理などの医療的な業務をおこないます。 本来、医療行為は医師や看護師でなければできませんが、規制緩和により一定の条件を満たせば介護職員でも、痰の吸引や経管栄養の処置などの一部の医療行為をおこなえます。 医療行為や健康管理をおこなう「医師」 特別養護老人ホームの医師は、施設の看護師に指示を出しながら、入所者の健康管理や療養上の指導をおこないます。診察や予防注射、処方箋の発行など、入所者のかかりつけ医のような役割を担っています。 身体機能の維持と向上をおこなう「機能訓練指導員」 機能訓練指導員は、入所者の健康状態を把握して、身体機能や生活機能の向上・維持を図る訓練をおこないます。施設によっては機能訓練指導員がリハビリの専門職ではない場合があります。 機能訓練指導員は、以下の資格を持つ人が業務を担います。 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 看護師 柔道整復師 あん摩マッサージ指圧師 はり師 きゅう師 介護の悩みに対してアドバイスをおこなう「生活相談員」 生活相談員は、入所者本人やご家族からの相談に応じ、さまざまな不安や困りごとに対応してくれます。入所者本人と家族からの要望を現場に伝える仲介的な役割も担っています。 さらに、ケアマネジャーや医療機関、行政などとの連携・調整や、入所契約、退所の手続きも生活相談員がおこないます。 ケアプランの作成や管理をおこなう「介護支援専門員(ケアマネジャー)」 特別養護老人ホームのケアマネジャーは「施設ケアマネジャー」と呼ばれ、入所者本人やご家族からの要望を聞いて、ケアプランの作成・管理をおこないます。 専従の施設ケアマネジャーは、直接的な介護業務は行いませんが、施設によっては介護職員などがケアマネジャーを兼務している場合があります。 栄養管理・指導をおこなう「栄養士」 特別養護老人ホームでは、栄養士が栄養バランスを考えた献立を立案し、食事の提供や栄養管理をおこなっています。 例えば、糖尿病の既往歴がある方には、栄養バランスが整った食事を提供するとともに、日頃の食事指導もおこなわれます。また、噛む力や飲み込む力が衰えた入所者の方には、安全においしく食べられるように食べやすい形や固さに調整した食事を提供します。 また、栄養面だけでなく、入所者が食事を楽しめるように季節に即した食事イベントや献立作りもおこなっています。 ユニット型特別養護老人ホームの人員基準 10名前後の人数で生活を送る「ユニット型特別養護老人ホーム」の人員基準は、一般的な特養の人員基準に加えて以下の基準が定められています 。 1ユニットの定員は、おおむね10名以下 ユニットごとに常勤のユニットリーダーを1名配置 昼間は1ユニットごとに、常時1名以上の介護職員または看護職員を配置 夜間は2ユニットごとに、1名以上の介護職員または看護職員を配置 特別養護老人ホーム(特養)の人員基準の気をつけるポイント 次に、特別養護老人ホームの人員基準の気をつけるポイントを見ていきましょう。 職員が常勤ではない可能性がある 施設によっては、常勤換算での職員配置となっている場合があります。常勤換算とは、施設で働いている職員の平均人数のことです。特養の人員基準は「3:1」ですが、施設によっては、非常勤職員を多く採用して人員基準を満たしているケースがあります。 非常勤職員は、勤務時間や勤務日数が常勤職員よりも少ないことが多いため、入所者の状態を把握しきれていない場合があります。そのため、入所を希望する特養の常勤職員と非常勤職員の比率を確認しておくと安心です。 規定の人数が必ず24時間確保されているわけではない 「3:1」の人員基準が適用されるのは日中のみで、24時間ずっとこの基準が適用されるわけではありません。 人員基準は時間帯によって異なり、とくに夜間は3:1を下回るケア体制になる可能性があります。 その理由は夜間は多くの入所者が眠っているため、介護・看護業務が少ないと想定しているからです。しかし、実際は夜間も見守りや医療ケアが必要な方や、寝返りや排泄介助を必要とする方もいます。 24時間体制で手厚いケアを受けたい場合は、入所前に夜間の人員体制について確認することをおすすめします。 人員基準を満たしていない場合、サービスの提供が停止する可能性がある 人員基準は、介護施設が適切なサービスを提供するために厳守しなければならないルールです。 そのため、人員基準に違反した施設は「人員基準違反」となり、サービスの提供停止や、最悪の場合、介護事業者の指定を取り消される可能性があります。 入所中の施設がこのような処罰を受けると、当然、入所者の生活にも影響が出てしまいます。 指定を取り消された場合は、施設が閉鎖されるため新しい施設を探さなくてはなりません。 そのような状況にならないためにも、しっかりとリサーチをしたうえで特養を選びましょう。 特別養護老人ホーム(特養)以外の介護施設の人員基準 特別養護老人ホームと比較するために、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。 ここでは介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホームの人員基準を紹介します。 介護付き有料老人ホームの人員基準 介護付き有料老人ホームの人員体制は、要介護1〜5の入居者3名に対して1人の看護職員または介護職員を配置する「3:1」が最低基準です。 ただし、より手厚いサービスを提供するために「2.5:1」「2:1」「1.5:1」としている介護付き有料老人ホームも存在します。 このような施設では、上乗せ介護費を加算する場合があるため、事前の確認が必要です。 介護付き有料老人ホームの主な人員は以下の通りです。 施設長(常勤の管理者) 事務員 生活相談員 看護職員 機能訓練指導員 計画作成担当者 栄養士 調理員 住宅型有料老人ホームの人員基準 住宅型有料老人ホームで配置が義務付けられているのは、施設長(管理者)1名のみです。施設長以外の職種は、必要数に応じて配置されることになっています。 住宅型有料老人ホームに配置される職種は以下の通りです。 介護職員 看護職員 生活相談員 機能訓練指導員 管理栄養士 調理員 事務員 など サービス付き高齢者向け住宅の人員基準 サ高住には一般型と介護型の2種類があり、それぞれで人員基準が異なります。 一般型サ高住では、介護施設のような人員基準は定められておらず、日中のみ介護や看護に関する資格を持っている職員などが常駐します。 一方で、介護型サ高住は「特定施設」の指定を受けているため、要介護者3人に対して、介護職員・看護職員が1人(3:1)の人員基準が設けられています。 グループホームの人員基準 グループホームでは、入居者3人に対して1人以上の介護職員の配置が必要です。 しかし、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされているため、グループホームの人員基準は時間帯によって異なります。 また、グループホームには入居者のケアプランを作成する「計画作成担当者」や、施設の管理業務を担う「管理者」が配置されています。 介護老人保健施設の人員基準 医師:常勤1人 看護職員:9人 介護職員:25人 リハビリ専門職:1人(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか資格を持つもの)※入所者100人に対しての人数 上記が、介護老人保健施設の人員配置として法律で定められている基準です。このほかにも、栄養士・ケアマネジャー・ソーシャルワーカーも、入所者100人に対して最低1名を配置させる規定があります。 事務や調理スタッフも、人数に関する指定はないものの運営側は必ず配置する必要があります。 逆に言えば、これらの人員が規定を超えている場合は、手厚いケアを受けられると考えられます。施設選びの際には、職員の人数にも注意して見てみると良いかもしれませんね。 よくある質問 特養の介護職員の人員基準は手厚いですか? 特養の人員基準は、入所者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置です。また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。特養は、要介護3以上の高齢者が入所する施設であるため、手厚い人員基準が定められています。 特養には介護職員・看護職員は24時間常駐していますか? 「3:1」の人員基準が適用されるのは日中のみで、24時間ずっとこの基準が適用されるわけではありません。 人員基準は、時間帯によって異なり、とくに夜間は3:1を下回るケア体制になる可能性があります。 特養はどのような人員配置ですか? 特養には、施設長・介護職員・看護職員・医師・機能訓練指導員・生活相談員・介護支援専門員・栄養士の8種の職種が配置されています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "特養の介護職員の人員基準は手厚いですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
女性介護士が高齢男性に食事介助をしている様子
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介護保険制度はいつから始まった?創設された背景と最新の改正内容

介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設されました。 「介護保険制度ができた理由を知りたい」「どのように改正されてきたの?」と思う人も少なくないでしょう。 この記事では、介護保険制度について、創設された背景やこれまでの改正内容について説明していきます。 介護保険制度は2000年4月にスタート  介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支え合うことを目的に、2000年4月に始まりました(介護保険法の成立は1997年)。 介護保険法が制定される以前は、行政が利用者が使うサービスや介護施設を選択する「措置」がおこなわれていたため、利用者は自由にサービスや施設を選べませんでした。また、福祉サービスの基盤整備も不十分であったため、高齢者の社会的入院や医療費の膨張が問題視されていたのです。 このような問題を解決するための新しい社会保険として、介護保険は成立しました。 介護保険制度が作られた背景 介護保険制度が作られた背景には、以下の3つの要因があります。 介護を必要とする高齢者の増加 核家族化の進行 医療技術が進み、寿命が伸びた 介護による離職が増加 以下で詳しく見ていきましょう。 介護を必要とする高齢者の増加 介護保険制度が作られた背景として、高齢者人口の増加や介護期間の長期化によって、介護を必要とする高齢者が増えたことが挙げられます。 日本の総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は、1950年(4.9%)以降、上昇が続き1994年には14%になりました。団塊の世代がすべて75歳となる2025年には30%を超え、65歳以上の人口を15~64歳の2人で1人を支えることになると見込まれています。 このように少子高齢化の進展に伴う、要介護高齢者の増加や介護期間の長期化による介護ニーズの増大が介護保険制度を導入した背景のひとつとしてあります。 核家族化の進行 高齢者を支えてきた家族をめぐる状況が変化したことも要因です。 核家族化(夫婦と未婚の子どもからなる家族など)の進行によって、家族で高齢者を介護することが少なくなりました。 一人暮らしの高齢者や、高齢者が高齢の家族を介護する「老老介護」や、認知症の人が認知症の家族を介護する「認認介護」が増えています。 こうした状況に、これまでの福祉制度の枠組みでは対応できなくなったため、介護保険制度が導入されたのです。 医療技術が進み寿命が伸びた 医療技術の発展も介護保険制度が作られた背景として挙げられます。 医療技術の進歩によって、これまで治らなかった病気が治るようになり、救えなかった命が救えるようになりました。 一方で、長生きが可能となり、全体的に寿命が延びたことで、介護期間が長期化するという問題が生じました。 介護による離職が増加 家族の介護のために、仕事を辞めてしまう人が増加したことも要因です。 仕事を辞めたことで生活に困窮する人が出てきたり、生活困窮から家庭内での介護虐待につながったりするケースが増えて社会問題化しました。 介護保険制度は、こうした問題に対応するため福祉サービスの基盤を作り、介護を社会全体で支えることを目指して創設されました。 これまでの介護保険制度の改正内容 介護保険制度は、開始当初より不完全であり「走りながら考える」制度と言われています。増え続ける要介護者と介護を取り巻く環境の変化に柔軟に対応するため、介護保険制度の法改正は繰り返されています。 2005年〜2020年の改正内容は以下の通りです。 2005年改正(2006年4月施行)新たなサービス体系の確立サービスの質の確保・向上予防重視型システムへの転換施設給付の見直し負担の在り方・制度運営の見直し 2008年改正(2009年5月施行)業務管理の体制整備本部への立入検査など処分逃れ対策指定・更新の欠格事由の見直しサービス確保対策の充実 2011年改正(2012年4月施行)医療と介護の連携の強化介護人材の確保とサービスの質の向上高齢者の住まいの整備認知症対策の推進保険者による主体的な取り組みの推進保険料の上昇の緩和 2014年改正(2015年4月施行)新たな基金の創設と医療・介護の連携強化(地域介護施設整備促進法等関係)地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(医療法関係)地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係) 2017年改正(2018年4月施行)自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取り組みの推進(介護保険法)医療・介護の連携の推進等(介護保険法、医療法)地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進等(社会福祉法、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法)2割負担者のうち特に所得の高い層の負担割合を3割とする(介護保険法)介護納付金への総報酬割の導入(介護保険法) 2020年改正(2021年4月施行)地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進医療・介護のデータ基盤の整備の推進介護の人材確保及び業務効率化の取り組みの強化社会福祉連携推進法人制度の創設 以下で詳しく解説します。 2005年に1回目の改正 2005年に大きく改正されたのは、要介護認定区分です。予防重視型システムへの転換として、要介護認定区分を「要支援、要介護1〜5」の6段階から現在の「要支援1・2、要介護1〜5」の7段階に変更。それに合わせて要支援者の予防給付サービスと地域支援事業が新設されました。 また、高齢者が住み慣れた地域で最後まで住み続けられるように、地域密着型サービスと地域包括支援センターが創設されたことも2005年の改正内容です。 施設給付も見直され、居住費用と食費を保険給付の対象外に。これによって、施設入所にかかる居住費用と食費は、利用者の全額自己負担となりました。しかし、低所得者に対する補足給付が設けられたので、結果的に低所得者の費用負担は抑えられました。 2008年に2回目の改正 2008年改正では、主に介護事業者に対する法令遵守などの業務管理体制や、指定・更新時の欠格事由の見直しなど、コンプライアンス面を強化する改正がおこなわれました。 介護事業者による組織的な不正が社会問題になったことを受けて、介護事業者本部への立入検査が可能になるなど、不正を起こさせない対策も強化されています。 2011年に3回目の改正 2011年改正のポイントは、地域包括ケアシステムの取り組みがスタートしたことです。 介護が必要になっても、住み慣れた地域で、なじみの人が回りにいる環境の中、できる限り長く生活し続けるためには「医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ間なく、有機的かつ一体的に提供されることが重要である」という方向性が打ち出されたのです。 医療と介護の連携を強化して地域包括ケアシステムを推進するために、「24時間随時サービスの定期巡回・随時対応型訪問介護看護」、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせた複合型サービス「看護小規模多機能型居宅介護」の導入がおこなわれています。 そのほかに、介護予防・日常生活支援総合事業が自治体の判断で実施可能となりました。 2014年に4回目の改正 2014年は、前年に社会保障制度改革推進法が成立したことを受けて、効率的で質の高い医療提供体制の構築や、地域包括ケアシステムの構築が考えられ始めたことがポイントです。 その結果、予防給付の「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」が地域支援事業に移行することになりました。また、サービス利用者の自己負担割合が、一律の1割負担から1〜2割へ引き上げられました。さらに、特別養護老人ホームの新規入所が要介護3以上と見直されたのも2014年の改正内容です。 2017年に5回目の改正 5回目の改正となる2017年は、地域包括ケアシステムの構築に向けて、高齢者の自立支援、要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図ることが重要視されました。 市町村が高齢者の自立支援や重度化防止に向けた取り組みをおこなった場合、国から「保険者機能強化推進交付金」が与えられることになりました。 また、医療と介護の連携推進を図るため、新たな介護保険施設として、医療と介護の2つの機能を兼ね備えた「介護医療院」を創設することになりました。 地域共生社会の実現を図るため、介護保険と障害福祉制度に共生型サービスを位置付けたほか、現役並みの所得がある高齢者の自己負担割合が3割に引き上げられました。 2020年の最新の改正内容 2020年の改正では、どのような点が変わったのか詳しく見ていきましょう。 地域包括支援センターの役割強化 地域包括支援センターは、高齢者を介護・医療・保険・福祉などさまざまな側面から支える「総合相談窓口」です。 改正では地域住民の課題をさらに幅広く解決するため、高齢者だけでなく障害、子ども、貧困、参加支援の相談窓口としての役割も加えることになりました。また、このための財政支援などの規定や、関係する法律も整備されました。 認知症や介護サービスに関する施策の整備 認知症の方も地域社会の一員として参加できるよう、支援体制の強化や認知症予防の研究を進めることになりました。また、PDCAサイクルに沿って介護データベースを活用し、効果的かつ効率的な地域支援をおこないます。 さらに、人口構造の変化の調査や有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅設置状況の把握、加えて市町村間の情報連携の強化によって、高齢者1人1人が適切な介護サービスを受けられるよう介護基盤を整備します。 医療・介護データの整備・強化 地域に合った質の高いサービスを提供するためには、地域の医療や介護の状況を正しく把握するとともに、調査分析・研究が必要です。 このため、データ化した情報を活用できるよう、要介護認定や介護レセプトの情報に加え、地域支援サービス利用者の基本情報やデイサービス・訪問介護の利用情報、健康状態や介護ケアについての情報も開示請求できるようになりました。 介護の人材確保及び業務効率化の取り組みの強化 深刻な介護分野の人材不足を緩和するためには、人材確保や業務効率化のための体制強化が必要です。このため、介護福祉士養成施設卒業者の国家試験義務付けの経過措置が延長されました。 従来、介護福祉士養成施設を卒業した人は国家試験を受験せずに介護福祉士資格を取得できましたが、平成28年以降に卒業した人は国家試験の受験が必要になりました。 国家試験の必須化は令和5年までの経過措置が設けられていましたが、今回の改正により令和8年度まで延長されることになりました。 社会福祉連携推進法人制度の創設 人口バランスが変動し福祉ニーズが多様化する中で、地域共生社会を実現するために「社会福祉連携推進法人制度」が新設されました。 社会福祉連携推進法人とは、社会福祉法人やNPO法人を社員とする非営利法人で、福祉サービス事業者間の連携・協働をおこないます。 よくある質問 介護保険料はいつから徴収されますか? 介護保険に加入できるのは、40〜64歳の医療保険加入者の方(第2号被保険者)と、65歳以上の方(第1号被保険者)です。40歳になると自動的に資格取得となり、誕生月から保険料の徴収が始まります。 第2号被保険者は、加入する医療保険の保険料と一体的に徴収され、第1号被保険者は、原則として年金からの天引きとなります。 介護保険が適用されるサービスにはどんなものがありますか? 訪問介護や訪問入浴など家に来てもらう訪問系サービス、デイサービスなどの通所系サービス、ショートステイなどの宿泊系サービスがあります。福祉用具のレンタルや購入、住宅改修などにも介護保険が適用されます。 施設では、特別養護老人ホームなどの介護保険施設のほか、介護付き有料老人ホームなども介護保険の対象です。 介護保険サービスを利用するための条件はなんですか? 第1号被保険者となる65歳以上の方は、要介護認定または、要支援認定を受けたときに、原因を問わずに介護保険サービスを利用することができます。 40~64歳の第2号被保険者は、加齢に起因する特定疾病が原因で要介護(要支援)認定を受けられれば、介護保険サービスが利用可能です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護保険料はいつから徴収されますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
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特別養護老人ホーム(特養)の種類は3つ|「広域型」「地域密着型」「地域サポート型」の特徴

特別養護老人ホームには3つの種類があり、それぞれで入所対象者が異なります。 本記事では、3種類の特別養護老人ホームについて詳しく解説していきます。合わせて特養を検討している方におすすめの介護施設もご紹介します。 特養への入所を考えている方は、ぜひ参考にしてください。 特別養護老人ホーム(特養)は3種類 特別養護老人ホームは、入所者の定員数やサービス内容から「広域型特別養護老人ホーム」「地域密着型特別養護老人ホーム」「地域サポート型特別養護老人ホーム」の3つに分けられます。 広域型 地域密着型 地域サポート型 サテライト型 単独型 居住地の制限 居住地に関わらず入居可 施設がある市区町村に住んでいる方を対象 対象地域で在宅生活を送る高齢者を対象 定員 30人以上 29人以下 特になし サービス内容 食事・入浴・排泄の介助・機能訓練・口腔ケア・レクリエーションなど 24時間の見守り・定期巡回・介護者に対して介護の悩み相談など 特徴 居住地の制限がなく、ほかの種類の特養より早く入居できる可能性がある 本体施設が近くにあり、人員配置や設備基準は広域型と比べ緩和されている 本体施設はなく、少人数の受け入れをしている 在宅生活をしている高齢者に見守りを始めとしたサービスを提供している 広域型特別養護老人ホーム 広域型特別養護老人ホームは、入所定員が30名以上の特養です。日本中のどこに住んでいても申し込むことができます。 広域型特養では、ほかの特養と同様に、入浴や排泄、食事などの介護、リハビリテーション、健康管理などを受けることができます。また、特養では、直接介護に関わる介護職員のほかに、医師や看護師、介護支援専門員、機能訓練士、生活相談員が必ず配置されています。 広域型特養は、最も数が多い介護施設ですが、安い費用で入所できるため入所希望者が非常に多いのが実情です。そのため、早く特養に入所したい方は、待機数の少ない地域の広域型特養へ申し込むと比較的早く入所できる可能性があるでしょう。 入所対象者 原則、要介護3以上の方 地域密着型特別養護老人ホーム 地域密着型特別養護老人ホームは、定員が29名以下の小規模な特養で、「地域密着型介護老人福祉施設」とも呼ばれます。少人数の家庭的な雰囲気の中で、地域や家族との結びつきを重視したケアが受けられるのが特徴です 地域密着型特養は、2006年の介護保険法改正により設置された介護施設です。地域に住む高齢者がなるべく住み慣れた地域で生活をつづけられるよう、身近な市区町村が主体となってサービスを提供しています。 入所対象者 原則、要介護3以上の方 利用施設と同一の市区町村に住んでいる方 なお、地域密着型の特養は、サテライト型と単独型の2つのタイプに分けられます。 サテライト型 本体施設である既存の特別養護老人ホームと密接な連携を確保しつつ、同じ法人が別の場所で運営している特養を「サテライト型特養」と呼びます。 サテライト型特養は、地域密着型と同様に、定員数が29名以下の小規模特養です。入所対象者は、要介護3以上の方で、施設のある住所に住民票がある方のみ入所できます。 サテライト型では、本体施設の職員がサテライト型特養の業務を兼務している場合があります。 業務を兼務することが認められている職種は以下の通りです。 医師 機能訓練指導員 介護支援専門員 栄養士 単独型 単独型は、サテライト型とは違い本体施設を持たない地域密着型特養です。広域型特養と同等の設備やサービスを単独で提供しています。入居条件は、サテライト型と同様です。 単独型では、共同生活スペースを中心に個室を配置している「ユニット型」の施設が多く、少人数でアットホームな雰囲気の中で介護が受けられるのが特徴です。 ショートステイやデイサービス、小規模多機能介護を併設しているところもあります。 地域サポート型特別養護老人ホーム 在宅で介護を受けている高齢者に対して、安否確認や生活相談をおこなう特養です。 巡回訪問など通して、24時間体制のサポートが受けられたり、家族を介護する家族の悩みなどの相談にも応じてもらえたりします。 しかし、この特養を利用できる区域はまだ少なく、サービスを受けたい場合には、担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに確認が必要です。 入所対象者 要介護認定を受けていて生活に不安のある方 要介護認定を受けていないが、見守りなどのサービスを希望する65歳以上の方 続きを読む 特別養護老人ホーム(特養)の種類が増えた背景 高齢化社会が進む我が国では、高齢者が住み慣れた地域の中で可能な限り生活を継続していくことができるように、地域包括ケアシステムの構築が推進されています。 地域包括ケアシステムとは、住まいや医療、介護、介護予防、生活支援などを利用者に一体的に提供する仕組みのこと。地域の高齢者が可能な限り住み慣れた地域で生活を継続できるように総合的なサービス提供の構築が進められています。 特養は、そのような地域包括ケアシステムの中で「高齢者の住まい」としての役割を担っています。地域で暮らす中重度の要介護状態の高齢者や低所得者の方が安心して介護を受けられる「終の棲家」としての役割を果たしていく必要があるのです。 さらに、施設介護だけでなく、在宅で介護を受けている高齢者に対する地域サポート型特養が新設されるなど、地域での相談・支援拠点としての役割を担うことも期待されています。 特別養護老人ホーム(特養)を検討している方におすすめの3つの施設 次に、特別養護老人ホームを検討している方におすすめの施設を3つ紹介します。 ①介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 ②サービス付き高齢者向け住宅(介護型) サービス付き高齢者向け住宅とは、基本的に介護の必要性がない自立している高齢者のための住まいです。 サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」と「介護型」の2種類があり、このうち要介護度が高い方におすすめするのは「介護型」のサ高住です。 介護型のサ高住は、要介護度が高い人でも入居できるのが特徴です。都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているため「介護スタッフが24時間常駐」「看護師の日中常駐」という人員配置義務が適用されています。 住まいのスタッフから直接サービスを受けることができるため、日々安心して生活することができます。 ③ケアハウス(介護型) 「介護型」のケアハウスは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設。自立した暮らしに不安があり、65歳以上、要介護1以上の高齢者を対象としています。「一般型」との大きな違いは、施設職員から直接、介護サービスが受けられるという点です。 「介護型」では、食事の提供や生活支援サービスの他に、食事や排泄、入浴の介助といった特定施設入居者生活介護サービスを受けることができます。入居の際に必要な費用は、初期費用として数十〜数百万円、月額費用として約10〜17万円程度です。 介護度が上がっても入居を継続することが可能で、認知症や看取りに対応しているケアハウスもあります。 「介護型」ケアハウスは、施設数が少なく需要が多いため、入居待ちをする可能性が高い施設といえます。 よくある質問 特養に入居できるのはどんな人ですか? 基本的には、要介護3以上で65歳以上の高齢者が対象です。それ以外にも、特定疾病を持つ40〜64歳も入所対象になります。 特例として、要介護1、要介護2の人が入居できるケースもあるので、施設や市区町村に相談してみましょう。 特養の介護職員の人員基準は手厚いですか? 特養の人員基準は、入所者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置となっています。また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。 特養は、要介護3以上の高齢者が入所する施設であるため、手厚い人員基準となっています。 特養はなぜ安いのでしょう? 国からの助成金や税金面で優遇されているからです。介護保険による公的施設のため、民間よりも費用が安く設定されています。介護度が上がっても住み続けられる点は、大きなメリットです。 しかし、安価ということもあり入所希望者が非常に多く、何年も待機するケースが少なくありません。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", ...
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介護保険で利用できるリハビリ|リハビリ内容と提供している介護施設

「介護保険で利用できるリハビリには、どのような種類があるのかな?」「どこでリハビリが受けられるの?」などと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。 この記事では、介護保険で受けられるリハビリの種類や施設について解説します。 「リハビリを受けて自立的な生活を送りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。 介護保険で受けられるリハビリ 介護保険で受けられるリハビリは「通所リハビリテーション」と「訪問リハビリテーション」「入所リハビリテーション」の3種類です。 それぞれの特徴について、以下で詳しく説明します。 通所リハビリテーション(デイケア) 通所リハビリテーション(デイケア)とは、老人保健施設や病院、診療所などに通ってリハビリを受けられるサービスです。 専門スタッフによる身体機能の回復訓練や日常生活動作訓練、口腔機能訓練などがおこなわれています。 専門的なリハビリ機器を使用したり、広い空間で歩行訓練をしたりするため、効率よくリハビリが受けられます。 デイケアを利用することによって、外出したり、人と触れ合ったりする機会が持てるので、閉じこもりや孤立を防ぐことにつながります。また、定期的な外出により、生活にメリハリがつくため健康的に過ごすことができるでしょう。 訪問リハビリテーション 訪問リハビリテーションは、自宅でリハビリが受けられるサービスです。 リハビリ専門スタッフが自宅を訪問し、バイタルチェックや機能訓練、日常生活の指導をおこないます。 通所リハビリとの違いは、自宅という、実際の生活環境に沿った訓練ができることや、個別なのでリハビリをしっかり見てもらえる時間を長く確保できる点です。自宅でのリハビリのため、本人がリラックスしてできることもメリットです。 また、いつも使用している福祉用具の使い方や適切な手すりの位置など、具体的な助言や、介護する家族へのアドバイスもしてもらえます。 入所リハビリテーション 入所リハビリテーションは、施設に入所してリハビリを受けるサービスです。 介護施設に在籍しているリハビリ専門職がリハビリを担当し、居室やリハビリテーション室で機能訓練をおこないます。 入所リハビリテーションのメリットは、入所しながら集中的にリハビリができる点です。 ただし、リハビリテーションをおこなっていない施設もあるため、入所前に確認が必要です。 リハビリを提供する専門スタッフ リハビリを提供する専門スタッフは、以下の3職種です。 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 それぞれの役割について、説明します。 理学療法士(PT) 理学療法士は、病気やケガなどで身体に障害のある人に対して、リハビリをする専門職です。 基本動作能力の回復や維持を目的に、さまざまな機能訓練をおこないます。 基本動作能力とは寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩くなどの日常生活をおこなううえで基本となる動作です。 理学療法士は、この基本動作能力を改善するために「運動療法」と「物理療法」を使い分けて治療をします。 運動療法とは? 運動療法とは、運動によって障害や疾患の症状改善や予防を図ることです。具体的な運動療法の種類は、以下の通りです。 有酸素運動 無酸素運動 筋力トレーニング ストレッチ 有酸素運動とは息が弾むくらいの強度でおこなうウォーキングや体操、水泳などを指します。 一方、無酸素運動は、酸素を使わずに筋肉を動かす運動のことです。ダンベルやマシンを用いたトレーニング、スクワットや腕立て伏せなどが無酸素運動と呼ばれます。 これらの運動は、基本動作の安定性の維持と向上、障害や疾患の予防・改善につながります。 物理療法とは? 物理療法とは、物理的なエネルギーを利用して症状の軽減、回復を促すことです。具体的には、以下の手段を用います。 温熱(ホットパックなど) 光線(レーザーなど) 電気(低周波、干渉波など) マッサージ(ウォーターベッドなど) これらを利用して痛みを和らげたり、体を動かしやすくします。 作業療法士(OT) 作業療法士は「食事動作」「排泄動作」「手を洗う」などの応用動作の維持・改善や、「買い物に行く」などの社会適応動作のリハビリをおこなう専門職です。 手芸や木工、将棋など、趣味としておこなわれる細かな動作も訓練に取り入れ、手指のリハビリにも力を入れています。 前述した理学療法士は、基本動作能力の回復・維持を目的にリハビリをおこないますが、作業療法士がおこなうリハビリの目的は、日常生活動作の回復や趣味活動の再開です。 理学療法士が基本動作能力を向上させ、作業療法士が食事や排泄などの日常生活動作の訓練につなげていくイメージです。 言語聴覚士(ST) 言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションが難しい方や、食事や水分の飲み込みが難しい方に対して「話す」「聞く」「食べる」の動作改善を目的にリハビリをおこなう専門職です。 「話す」「聞く」が難しい方に対しては、発声の姿勢や呼吸方法、言葉を思い出す訓練などをおこない、機能回復を目指します。また、言葉が出にくい方には、代償的手段の方法(身振りやコミュニケーションボード)の相談にも応じてくれます。 「食べる」ことが難しい方には、安全に食事をするために必要なくちびるやあご、頬などの筋力を強化するリハビリや、実際に食べ物を用いて飲み込む訓練(嚥下訓練)などをおこないます。 リハビリがおこなわれている介護施設 リハビリは、専門職がいる介護施設でなければ受けられません。ここでは、リハビリがおこなわれる介護施設について紹介します。 特別養護老人ホーム(特養) 特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護を必要とする方で、自宅での生活が困難な方を受け入れる公的な介護施設です。 入所対象者は、以下の通りです。 65歳以上の高齢者、もしくは40歳~64歳で特定疾病を持つ方で「要介護3」以上の認定を受けている 特例で認められた要介護1~2の方 特養では、利用者の機能訓練やリハビリをおこなう機能訓練指導員の配置が義務付けられています。リハビリ内容は施設によって異なりますが、多くの場合、本格的なリハビリ機器などを使った専門的なリハビリはおこなわれていないのが実情です。 多くの特養では、日常生活をリハビリの一環と考える「生活リハビリ」が重点的におこなわれています。 介護老人保健施設(老健) 介護老人保健施設は通称「老健」と呼ばれ、在宅復帰を目指してリハビリをおこなう介護施設です。 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のリハビリ専門職が在籍しており、個人に合わせた専門的なリハビリを受けられます。 入所の対象者は、病状が安定している要介護1以上の方です。医療ケアが必要な方も入所できます。 老健には医師が在籍し、特別養護老人ホームと比べ、看護師やリハビリ専門職などの医療職の配置が手厚くなっています。 在宅復帰が目的の施設のため、終身の入所施設ではなく、3ヵ月を目安に入所期間が定められています。 介護医療院 2024年度末に廃止が決まった「介護療養型医療施設」に代わり、新たに創設された介護施設です。入所対象は、医療の必要な要介護1以上の方です。 介護医療院では、医療・看護・リハビリなどの医療サービスと介護サービスが一体的に提供されています。また、利用者の長期療養を想定した施設であり、診察や投薬などの医療処置や看取りケアにも対応しています。 リハビリでは、主に日常生活動作や身体機能の維持・回復のためのリハビリがおこなわれています。ただし、リハビリ専門職の配置が義務付けられていないため、施設によっては、積極的なリハビリが受けられない場合があります。リハビリを希望する場合は、利用前に確認が必須です。 有料老人ホーム 有料老人ホームは民間会社が運営する介護施設です。「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類に分かれています。 入居対象は、運営会社によって異なり、自立の方から要介護5の方までさまざまです。 リハビリについては、施設内で本格的なマシーンを使ったリハビリを実施している施設もあれば、リハビリは全くおこなえない施設もあるなど、施設ごとに違いがあります。 リハビリのない有料老人ホームであれば、デイケアや訪問リハビリなど介護保険の在宅サービスを利用すると、個別にリハビリが受けられる場合があります。 施設によっては、在宅サービスを利用できないこともあるため、入居前に確認が必要です。 要支援の方は“介護予防”リハビリ 要支援1・2の認定を受けている方は、介護予防通所リハビリテーションを利用できます。要介護の方が利用する通所リハビリテーションと同様に、介護老人保健施設や病院、診療所に日帰りで通い、専門的なリハビリが受けられるサービスです。 介護予防通所リハビリテーションの目的は、要支援者が要介護状態にならないように予防すること。そのため、利用者の現状の身体機能を維持・改善することを目指して、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士による機能の維持回復訓練や日常生活動作訓練が実施されています。 医療保険でのリハビリとは? リハビリには、医療保険で利用できるリハビリと、介護保険で利用できるリハビリがあります。 医療保険でのリハビリは、基本的に医療機関への入院や外来通院でおこなわれ、病気やけがによって低下した心身機能の回復を目的に、リハビリ専門職が治療や集中的な訓練を実施します。 なお、医療保険でのリハビリは、疾患によってリハビリを受けられる期間が決められています。しかし、医師が認めた場合は、期間を超えてもリハビリを継続できることがあります。 介護保険リハビリと医療保険リハビリは併用できない 基本的に、介護保険のリハビリと医療保険のリハビリは併用できません。その理由は、医療保険と介護保険では、リハビリをおこなう目的が異なるからです。 リハビリの目的が治療や症状の改善が目的である場合は、医療保険が適用されますが、身体機能の維持・向上を目的とする場合は、介護保険でのリハビリとなります。 なお、医療保険と介護保険のどちらも利用できる場合は、介護保険が優先されます。 よくある質問 介護保険で受けられるリハビリにはどんなものがありますか? 施設に通所してリハビリを受ける「通所リハビリテーション(デイケア)」と、リハビリ専門職が自宅に訪問する「訪問リハビリテーション」、介護施設に入所してリハビリを受ける「入所リハビリテーション」の3種類があります。 訪問リハビリテーションは週に何回受けられますか? 訪問リハビリテーションの利用回数は、ケアマネジャーが作成するケアプランによって決まります。ただし、1回20分・週6回以内と上限が決まっています。1回40分のリハビリを受けるのであれば、週3回までとなります。 生活リハビリとはなんですか? 生活リハビリとは、リハビリ専門職以外がおこなうリハビリのことで、主に介護スタッフが中心となっておこなわれています。トイレや着替え、入浴、食事などの日常的な生活動作をリハビリの一環として捉え、自立した生活を支援するという目的があります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護保険で受けられるリハビリにはどんなものがありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

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