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最新テクノロジー 認知症予防

認知症リスクをAIが発見!?リスクを予測して認知症予防しよう!

医療ソフトウェアの開発や販売を手がける株式会社ERISAは、今回新たにAIが認知症リスクを予測するプログラム「SupportBrain」のインターネットによるサービス申し込みを開始しました。 高齢者の5人に1人が発症すると言われている認知症のリスクを知ってもらう機会をつくることで、認知症予防に取り組むきっかけをつくっていくとしています。 首都圏40ヵ所のクリニックで認知症リスクを検査可能に ERISAは、MRIやCTを使った画像診断をおこなう医療グループと提携し、AIが認知症の発症リスクを予測するプログラム「SupportBrain」のインターネット申し込みをスタート。2023年9月8日から、首都圏にある40ヵ所のクリニックでアルツハイマー型認知症の発症リスクを調べる検査サービスを受けられるようになったといいます。 ところで、SupportBrainとはどのようなものなのでしょうか? SupportBrainとは、島根大学医学部と滋賀医科大学、ERISAが共同で開発した脳画像解析技術のこと。MRIなどから得られた画像データをもとに、対象者の脳の萎縮状態をAIが測定し、将来の認知症発症リスクを予測するのだそうです。 この技術自体はすでに2021年に発売されていて、現在に至るまで全国60ヵ所以上の医療機関で用いられてきたといいます。 認知症リスク予測プログラム「SupportBrain」の特徴 SupportBrainを用いると、まず対象者と同年代の脳画像データとAIが比較。現在の脳の萎縮状態が加齢による正常なパターンか認知機能低下の際に認められるパターンかを判定します。それから、現在の脳の萎縮状態から3年後における認知機能の低下予測をAIが判定するのだそうです。 判定後、AIが解析した結果レポートを対象者に返却。認知機能の低下を防ぐために必要な、生活習慣の改善策も提示されるといいます。 認知症のリスクがあらかじめわかっていれば、意識的に運動に取り組んだり食事の栄養バランスに気を付けたりといった策を講じられます。物忘れなど気になる症状がある方は、一度SupportBrainによる判定を受けてみても良いかもしれませんね。

2023/10/18

フレイル予防 最新テクノロジー

AIが今後の自立度を予想!?必要な介護を予測し予防をしよう!

有料老人ホームを全国7ヵ所で展開している一般社団法人日本老人福祉財団は、AIを活用した介護予防・将来予測システム「SOIN-R(そわん-エール)」を試験的に自社の施設で導入したことを明らかにしました。 AIで入居者の今後の自立度(どれだけ介助の手を使わず、自分自身で日常生活を営めるかを測った指標)を予測し、早めに対応することで、入居者が要介護状態になるのを防ぐねらいがあるといいます。 介護予防システム「SOIN-R」について 日本老人福祉財団と、介護システムの開発などを手がける株式会社シーディーアイは、共同で介護予防・将来予測システム「SOIN-R」を開発しました。 財団が運営する有料老人ホーム「ゆうゆうの里」で、入居者に対して毎年おこなっている「日常生活に関する調査(全48設問)」のデータをAIに学習させ、入居者の今後の自立度を予測可能にしたそうです。 具体的には、以下の7カテゴリの状態を総合的に分析して、今後の自立度の推移を予測。早期にリハビリなどの介入をおこなうことで、要介護状態になるのを防ぐねらいがあるといいます。 掃除や衣服の着脱などの生活機能の状態 安定して歩行できるかなどの運動機能の状態 かむ力や飲み込む力などの口腔機能の状態 時間や場所を適切に把握するなどの認知機能の状態 栄養を十分に取れているかどうか 自分の殻に閉じこもらず、他者と関わる意思があるかどうか うつ傾向にあるかどうか 検証段階で上々の評価を得る 日本老人福祉財団によると、すでに2022年4月から一部施設でSOIN-Rを試験的に導入し、検証をおこなってきたとのこと。AIが導き出した予測結果を入居者に共有したところ、入居者からも「AIの客観的なアドバイスに納得した。外出も再開してみようと思う」といったポジティブな反応が多くみられたといいます。 SOIN-Rのシステム検証をおこなった担当者は「AIの活用は、入居者にとってのメリットや業務の効率化など、多方面に良い結果をもたらすだろう」と話しています。 今後、より多くの施設でこのようなシステムが導入されれば、より早く、適切なケアにつなげられるようになりそうですね。

2023/10/17

介護 地域の取り組み 調査結果

介護施設で旅行イベント!?入居者と家族や友人のみんなで東京観光

全国各地で高齢者施設を展開している株式会社サンガジャパンは今回、全国55ヵ所にある自社の有料老人ホーム「翔裕館」の入居者向けの旅行企画を立ち上げました。第一弾は東京観光で、国会議事堂や東京スカイツリーなどを見学するといいます。 「大人の旅行倶楽部」を立ち上げ サンガジャパンは「翔裕館」の入居者に向けて、「大人の旅行倶楽部」という外出を楽しむ企画を立ち上げたことを明らかにしました。 翔裕館では、これまでも熱海旅行などの旅行企画を実施。入居者が旅行を励みにリハビリに取り組む姿などを目の当たりにしたことで、今回新たに、入居者の家族や友人と一緒に楽しめる企画を打ち出すことにしたそうです。 また、旅行には介護職員も帯同し、必要であれば食事などの介助をおこなうとしています。 「大人の旅行倶楽部」第一弾の具体的な内容は以下のとおりです。 開催日時:2023年11月9日(木)9時30分~17時45分 対象:座った姿勢が保てる翔裕館の入居者とその家族、もしくは友人 費用:大人ひとり2.5万円 当日は、国会議事堂や東京スカイツリーを見学し、銀座で鉄板焼きを楽しむ予定だといいます。 旅行をする人は失望感が低い傾向に 最近の研究で、旅行によく行く人はそうでない人に比べて、人生の失望感を抱くことが少ない傾向にあることが示されました。 東北大学加齢医学研究所が3年間にわたって、約90人を対象に調査を実施。対象者に「自分の人生は退屈だと感じるか」「将来に不安があるか」「自分の人生は意味がないと感じているか」という「失望感」を測る質問を載せたアンケートをおこない、その結果を分析しました。 その結果、過去5年間の旅行回数が多い人ほど、人生に対する失望感が低い傾向にあることが明らかになったのです。 施設に入居してから、外出の機会が大きく減ったという人も少なくありません。今回のような取り組みが広まっていけば、入居者がより前向きな気分で毎日を過ごせるようになりそうですね。 参考:「旅行をすれば認知症を予防できる?高齢者の「主観的幸福感」を向上」(保健指導リソースガイド)

2023/10/16

介護 社会問題 調査結果

特別養護老人ホームが赤字!?全国の特養60%以上が赤字と回答

特別養護老人ホーム(特養)の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は10月3日、会員が経営している高齢者施設の経営状況を調べた結果を公表。すると、2022年度は62%の特養が赤字であることがわかりました。 赤字の特養が過半数を占める 全国老人福祉施設協議会は、全国およそ1600ヵ所の高齢者施設を対象に、施設の経営状況を明らかにする調査を実施。2022年度の決算などを取りまとめ、2023年10月3日にその結果を公表しました。 すると、2022年度は2021年度の43%よりさらに多い、62%の特養が赤字であることが明らかになったのです。これは、全国老人福祉施設協議会が経営状況を調査してから最悪の数字だといいます。 理由としては、施設の消毒など新型コロナウイルスの感染対策費用に加え、急激な物価高騰でコストが大幅に増大したことが考えられます。 収支差率も過去最悪の数字に 全国老人福祉施設協議会は2022年度の特養の収支差率(売上金額に対する利益の割合。一般企業でいうところの利益率)も調べたところ、前年度から3.0ポイント低下したマイナス2.8%と、こちらも過去最悪であることがわかりました。 また、併設デイサービスの収支差率はマイナス5%とさらに低迷。新型コロナの感染拡大に伴い、利用控えが増えたことが要因なのではないかと考えられます。 10月3日に開かれた集会で、全国老人福祉施設協議会の会長を務める大山知子氏は「想像以上に厳しい数字だ。事業継続は困難と言わざるを得ない。まさに介護崩壊の危機である」と現状に対する警鐘を鳴らした上で、「来年度に控える改定で、介護報酬の大幅なプラス改定を勝ち取るために一致団結して行動していく」と決意を改めて表明しました。 特養の介護報酬額は法律で決まっているため、現状を変えるには介護報酬の大幅なプラス改定が不可欠。今後の介護報酬改定をめぐる議論に注目です。

2023/10/13

人材不足 介護職員

介護現場の人手不足で介護が受けられない!?業界団体が処遇改善を要望

人手不足が叫ばれて久しい介護業界。2020年に発生した新型コロナウイルスや、その後の世界的な物価高騰の影響により、さらに経営状況が悪化し、2022年では過去最多の143もの事業所が倒産したとの調査もあります。 この状況を受けて、介護施設や介護に関連する12の団体が自民党の麻生太郎副総裁に要望書を提出。そのなかで、政府が検討中の新たな経済対策と今年度の補正予算案にスタッフの処遇改善や介護事業所への支援策を盛り込むように求めました。 このまま人材不足や経営状況の悪化が進むと、さらに倒産する介護事業所が増える可能性も。その結果、近隣に利用したい介護サービス事業所がなかったり、定員超過で受け入れてもらえなくなるおそれもあり、利用者への影響も懸念されています。 スタッフの処遇改善について要望書を提出 10月6日、介護施設や介護専門職などで組織する12の業界団体が自民党の麻生副総裁に要望書を提出し、介護事業所や介護スタッフへの支援を求めました。 この要望書のなかでは、近年の新型コロナウイルスの拡大や物価高騰によるコスト増によって経営状況が過去にないほど厳しい状態にある旨、その影響で事業者単位での賃上げによるスタッフの処遇改善に限界が来ている旨が訴えられています。 そのため業界団体は、今年度の経済対策と補正予算案で介護事業所への支援と介護スタッフの処遇改善を求めているのです。 介護スタッフの離職率が増加 12の業界団体は、要望書と合わせて介護現場における離職者などの調査結果も提出しました。 参考:「介護現場における賃上げ・物価高騰・離職者等の状況調査」 この調査によると、年々、離職者が増加。特に2023年は、在職年数が10年以上の介護スタッフの離職率が2021年と比べて約1.5倍に増えているそうです。 経験豊富な介護スタッフの退職が増えることで、現場への打撃が大きいことはもちろん、私たち利用者にとっても大きな影響があります。 例えば、以下のような状況に陥る可能性があります。 ノウハウのあるスタッフがいなくなり、介護サービスの質が低下する スタッフ教育が進まなくなり、サービスの質の向上が難しくなる 重度の要介護者に対応できるスタッフがいなくなり、受け入れる利用者を制限する つまり、経験豊富な介護スタッフの離職が増えると、その分、私たち利用者が受けるサービスにも影響があるわけです。 介護スタッフの処遇改善が進むも… 政府は以前から介護スタッフの処遇改善について対策をとってきました。しかし、それでも介護スタッフの離職は増加傾向にあります。 2022年10月の介護報酬改定では、「介護職員等ベースアップ等支援加算」が追加され、介護スタッフの給与を引き上げるための対策がとられました。その結果、2021年12月と比べて2022年12月の介護スタッフの給与は平均1万7490円増額していることがわかりました。 平均給与額差1万7490円2021年12月30万740円2022年12月31万8230円 参考:「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」(厚生労働省) しかし、介護スタッフの離職率は増加傾向にあるのが実情。スタッフの離職を食い止めるためには、さらなる処遇改善が必要と業界団体は考えています。 ただ、介護サービスの費用は国によって定められています。スタッフの給与増額の資本となる事業所の収入を増やすことは、事業所だけの努力では限界があるのです。 そこで、業界団体はさらなるスタッフの処遇改善をして離職を食い止めるために、政府に経済支援を求める要望を提出したのです。 コロナ禍・物価高騰に人材不足が追い打ちをかけ倒産へ 介護業界の人材不足が深刻化すると、介護の質が低下するだけでなく介護事業所の倒産にもつながります。 市場調査などをおこなう東京商工リサーチの調査によると、2022年の介護事業所の倒産は143件。これは介護保険制度が始まった2000年以来、最多の数です。また、倒産件数は2021年から77%も増加しているとのことです。 このように介護事業所の倒産件数が増加したのには、「コロナ禍」「物価高騰」「人材不足」の3つが影響していると考えられています。 コロナ禍により感染対策のための備品のコストが増加したうえ、サービスの利用控えで収入が減少。さらに、その後の世界的な物価高騰により光熱費などの支出が増えています。 このような理由で経営状況が悪化しているところに人材不足が追い打ちとなって、施設運営が継続できなくなり、倒産に追い込まれてしまっているのです。 人材不足で介護が受けられなくなる可能性も 介護事業所の倒産が続くと、私たち利用者にも影響が出てくるおそれがあります。 例えば、以下のような状況が起こると考えられるのです。 介護サービスを利用したくても近くに介護事業所がない 定員がいっぱいでサービスを利用できない 利用していた事業者が倒産する 他に選択肢がなく、不本意なサービスを受けざるを得ない 具体的には、次のようなケースが起こる可能性があります。 訪問介護サービスを利用したいのに、家の近くに事業所がなくて利用できない 近くにある唯一のデイサービスに「定員がいっぱい」と断られた 経営状態の悪化とスタッフが集まらないため、利用していたショートステイが倒産した 今のデイサービスと「合わない」と感じているが、近隣にデイサービスがないので我慢しないといけない つまり、介護業界の人材不足は、介護の質が下がるだけではなく、そもそも介護サービスを利用できなくなる可能性があるというわけです。 介護業界の人材不足は、現場で働く人だけでなく私たち利用者にも大きく影響がある問題です。今は介護サービスが利用できていても、近い将来、利用できなくなることがあるかもしれません。 介護業界の人材不足問題は、利用者としても注視していく必要のある日本の大きな課題なのです。

2023/10/13

地域の取り組み 認知症

認知症の方によるレストラン!?店長と料理長として、もう一度お店に

東京都八王子市で、認知症当事者が店長と調理長を務めるレストランがオープンしました。発生した収益は材料費やスタッフの謝礼に使われ、今後、月2回ほど店を開くといいます。 認知症当事者がレストランをオープン 認知症当事者である男性2人が店長と調理長を務めるレストランが、東京都八王子市でオープン。ポークカレーとキーマカレー、合わせて50食を訪れた一般客に提供しました。 2人は、認知症になる前は飲食店を営んだりファミリーレストランの店長をしていたりしたといいます。現在は2人とも市内にあるデイサービスに通っており、そこで「もう一度お客さんの前に立ちたい」という思いを打ち明けたそうです。 2人の思いを聞き入れたデイサービスの事業者は、市内のシェアキッチンを借り、店舗の準備をスタート。一定の準備期間を経て今回の実施にこぎつけたといいます。 店長と調理長という大役を担った男性2人は、「調理場に立つと昔のことを思い出して懐かしくなる」「また店に立てて良かった。帰るときに『おいしかった』と言ってもらえるとうれしい」と話しているそうです。 料理をすることが認知機能の改善にも 最近の研究で、料理をすることがさまざまな心身機能の改善につながる可能性が示されています。 京都教育大学の湯川夏子氏は、各地の高齢者施設などでおこなわれている「料理療法」を「料理活動を介して、心身の障害の機能回復や情緒の安定、豊かな人間関係の構築と生活の質の向上を目指すもの」と定義。料理がもたらす効果を、自身の論文で示しました。 また、アメリカの研究で、調理が認知症の症状の改善にもつながることが示唆されています。具体的には、メニューを考える、複数の作業を平行しておこなう、冷蔵庫にある食材を思い出すなどの調理にまつわる一連の行為が、認知症やその前段階である軽度認知障害において特に低下しやすい種類の認知機能を刺激するそうです。 料理をすることは、「自分にも美味しい料理が作れる」「みんなの役に立てた」という自尊心の回復にもつながります。今回紹介したような取り組みがさまざまな場所で広がっていけば、認知症になってもより豊かに生きられる社会になりそうですね。 参考:「料理療法 ─調理による認知症ケアと予防の効果─」(日本調理科学会)

2023/10/12

社会保障 認知症 認知症の薬

認知症治療のための保険!?費用の負担が減り高額な薬も使いやすく

東京海上日動火災保険株式会社と製薬大手のエーザイ株式会社は、認知症の早期発見や早期治療を支援する「認知症治療支援保険」を共同で開発したことを明らかにしました。エーザイが開発した認知症治療薬「レカネマブ」とともに活用してもらうことで、認知症の早期治療につなげるねらいがあるといいます。 「認知症治療支援保険」で認知症治療をサポート 東京海上日動とエーザイは、認知症の発見や治療を支援する「認知症治療支援保険」を開発したと発表しました。 エーザイが開発した認知症治療薬「レカネマブ」を処方してもらうためには、脳内に異常な物質が蓄積しているかどうかを確認する「PET検査」などを受ける必要があります。 しかし、こうした検査には一定の自己負担を要することも事実。そこで、認知症治療支援保険にあらかじめ加入しておけば、検査で軽度認知障害や認知症であると診断された段階で検査の費用等に充てられる一時金が支給されるそうです。 また、アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症だと診断された場合は、認知症治療薬による治療費用等に充てられる一時金も支給されるといいます。 加入者に認知機能を測定するツール「のうKNOW」を提供 さらに付帯サービスとして、認知症治療支援保険の加入者に「のうKNOW」という認知機能の測定ツールを提供することも明らかにしました。 この「のうKNOW」とは、どのようなツールなのでしょうか? のうKNOWとは、エーザイが開発した、パソコンやスマートフォンなどのデバイスから脳の健康度を測定するデジタルツールのこと。トランプカードを使ったゲーム感覚でできる4つのテストを受けることで、「記憶する」「判断する」「考える」などのパフォーマンスを自分で確認できるといいます。 担当者は「認知症との共生社会実現に向けて、さまざまな企業や団体と連携し、ネットワークを拡大していくことで、社会課題の解決につながる取り組みを進めていく」としています。 新たな認知症治療薬「レカネマブ」は、薬の価格が高額なことがネックでした。今回の取り組みが広まっていけば、経済的な負担を気にせず、治療に専念できるようになるかもしれませんね。 参考:「『のうKNOW』公式サイト」

2023/10/11

介護職員 地域の取り組み

外国人を介護業界が積極採用!?利用者と異文化コミュニケーション

過疎化や高齢化などが原因で人口減少が続く福島県では、介護・福祉分野においても人手不足に悩んでいる事業所が少なくありません。そこで福島県では、外国人人材の積極的な登用を推進。その結果、10年前と比べて介護・福祉分野で働く外国人人材の数は10倍になったことがわかりました。 福島県で外国人人材の積極的登用が進む 福島県がおこなった調査によると、県内の要支援・要介護者認定者数は2022年9月末時点で11万3968人であることが判明。介護保険制度が始まった2000年の4万1622人と比べると、大幅に増加していることがわかります。 以上のように介護業界における人材の確保が急務となる中、県は老人福祉施設協議会に委託して、面接会や説明会など、外国人人材と介護施設をつなげるマッチングの場を設けているといいます。 その結果、県内の「社会保険・社会福祉・介護事業」分野で働く外国人は、286人に上りました。これは、10年前のおよそ10倍にもなる人数です。関係者は「福島県の介護現場で働く外国人は今後も増えていく」としています。 一方、外国人人材を受け入れる施設側からは「外国人向けの指導要綱が確立されていないため、育成は手探りの状態だ」「指導のノウハウを共有できる場を増やしてほしい」などの声が挙がっているそうです。 外国人人材の受け入れ窓口になっている老人福祉施設協議会の事務局長は、「(外国人受け入れに対する理解の促進や外国人同士の交流の場を設けるなど)外国人が働きやすい環境の整備に努めていく」と話しています。 「施設の世界観が広がった」好意的な声 福島県福島市にあるとある介護事業所では2021年から外国人人材を採用しており、現在はベトナム、ネパール、ミャンマー、中国から来日している計17人が働いているそうです。 利用者が聞き取りやすいように、ジェスチャーを交えながらゆっくり話しかけたり母国の文化を紹介したりして、利用者と打ち解けていく外国人スタッフの姿を目の当たりにした職員は「異文化の風によって、施設の世界観が広がった」と好意的です。 今後、日本各地の介護事業所で外国人人材の受け入れがおこなわれていくことが見込まれています。利用者と外国人人材ともに過ごしやすい環境をつくっていってほしいですね。

2023/10/10

医療現場の改革 最新テクノロジー

専門的な医療用語も認識!?看護実施記録を楽に作れる音声認識AI

医療者向けのAI機器の開発などを手がけている株式会社Meduranceは、今回新たな医療音声認識AIツール「RABBIT」をリリースしたことを明らかにしました。 看護師の業務の中でも特に業務量の多い看護実施記録(看護師がおこなったケアの過程を記録すること)の負担を減らし、業務改善につなげるねらいがあるといいます。 看護業務の実態を調査 東京医療保健大学は、看護業務の実態を探るため、全国の47ヵ所の病院に勤める955人の看護師を対象に、タブレットを用いて業務時間を測定するタイムスタディ調査をおこないました。 その結果、1日24時間の看護業務の中で「日々の看護実施記録」を占める時間が最も多く、その行為時間は合計で173分に上ったことが判明。それから、多い順に「排泄介助や片付けなどの患者ケア」「血圧や体温などのバイタルサインの測定」「患者からの情報収集」「看護師間の申し送り(情報共有)」といった回答が続きました。 また、残業としておこなわれた看護業務についても調査。そこでも最も時間が長かったのは「日々の看護実施記録」であることが明らかになりました。以上の調査結果から、多くの看護師は看護実施記録の作成に多大な時間と労力を費やしていることがわかります。 医療音声認識AIツール「RABBIT」をリリース 今回、株式会社Meduranceは新たな医療音声認識AIツール「RABBIT」をリリース。大規模な医療用語の音声データを学習させた最新のAIを搭載しているため、専門的な医療用語の音声もスムーズに認識できるようになったといいます。 担当者は、「RABBIT」を看護現場で使うことで記録時間を短縮できるほか、短時間で記録を終えられるため、記録忘れの防止にもつなげられるとしています。 看護師や介護士の中には、タイピングが苦手で速く文字を打てないという人も少なくありません。今回紹介した「RABBIT」がさまざまな施設で普及していけば、よりスムーズに記録ができるようになりそうですね。 参考:「効率的な看護業務の推進に向けた実態調査研究」(東京医療保健大学)

2023/10/06

介護機器 最新テクノロジー 見守りシステム

ベッドに敷くと睡眠状態がわかる!?心拍数や体の動きも共有できる

介護用ベッドの最大手であるパラマウントベッド株式会社は、睡眠などの利用者の状態を、リアルタイムで把握できる見守り支援システム「眠りCONNECT」を10月2日に発売。このシステムを導入してもらうことで、介護現場の業務負担の軽減やケアの質の向上につなげていきたいとしています。 見守り支援システム「眠りCONNECT」とは 2023年10月2日、パラマウントベッドは新たな見守り支援システム「眠りCONNECT」をリリースしました。 「眠りCONNECT」では、マットレスの下に敷くことで利用者の体の動きを検知するセンサー「眠りSCAN」を使用。利用者の体の動きから、心拍数や呼吸数などの利用者の睡眠状態を算出し、遠隔でスタッフとデータの共有ができるといいます。 利用者の睡眠状態をリモートでモニター可能 見守り支援システム「眠りCONNECT」を使えば、覚醒や起き上がり、離床などの利用者の睡眠状態をリモートでモニター可能。利用者の状態が変化したときや心拍数・呼吸数が異常を示したときは即座に端末に通知されるため、スピーディーな対応ができるようになるといいます。 また、睡眠や覚醒状態に加えて、利用者がベッドにいればいつでも呼吸数や心拍数を確認可能。それぞれのデータは日誌として継続的に管理できるため、ケアの改善や効果の検証にも活用できるとしています。 さらに、それぞれのデータを管理しやすいように、利用者の睡眠状態を法人全体、施設ごと、ユニットごとから選択して表示できるようになっているとのこと。施設ごとやユニットごとに利用者の睡眠状態を分析することで、適正な人員配置につなげられるとしています。 現在の人員配置基準のまま、ケアをよりスムーズかつ安全におこなえるようにするためには、デジタルテクノロジーの導入が不可欠です。今回紹介した見守り支援システム「眠りCONNECT」が普及していけば、利用者の事故を今より減らせていけるようになりそうですね。

2023/10/05

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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