特集
医療ソフトウェアの開発や販売を手がける株式会社ERISAは、今回新たにAIが認知症リスクを予測するプログラム「SupportBrain」のインターネットによるサービス申し込みを開始しました。 高齢者の5人に1人が発症すると言われている認知症のリスクを知ってもらう機会をつくることで、認知症予防に取り組むきっかけをつくっていくとしています。 首都圏40ヵ所のクリニックで認知症リスクを検査可能に ERISAは、MRIやCTを使った画像診断をおこなう医療グループと提携し、AIが認知症の発症リスクを予測するプログラム「SupportBrain」のインターネット申し込みをスタート。2023年9月8日から、首都圏にある40ヵ所のクリニックでアルツハイマー型認知症の発症リスクを調べる検査サービスを受けられるようになったといいます。 ところで、SupportBrainとはどのようなものなのでしょうか? SupportBrainとは、島根大学医学部と滋賀医科大学、ERISAが共同で開発した脳画像解析技術のこと。MRIなどから得られた画像データをもとに、対象者の脳の萎縮状態をAIが測定し、将来の認知症発症リスクを予測するのだそうです。 この技術自体はすでに2021年に発売されていて、現在に至るまで全国60ヵ所以上の医療機関で用いられてきたといいます。 認知症リスク予測プログラム「SupportBrain」の特徴 SupportBrainを用いると、まず対象者と同年代の脳画像データとAIが比較。現在の脳の萎縮状態が加齢による正常なパターンか認知機能低下の際に認められるパターンかを判定します。それから、現在の脳の萎縮状態から3年後における認知機能の低下予測をAIが判定するのだそうです。 判定後、AIが解析した結果レポートを対象者に返却。認知機能の低下を防ぐために必要な、生活習慣の改善策も提示されるといいます。 認知症のリスクがあらかじめわかっていれば、意識的に運動に取り組んだり食事の栄養バランスに気を付けたりといった策を講じられます。物忘れなど気になる症状がある方は、一度SupportBrainによる判定を受けてみても良いかもしれませんね。
2023/10/18
有料老人ホームを全国7ヵ所で展開している一般社団法人日本老人福祉財団は、AIを活用した介護予防・将来予測システム「SOIN-R(そわん-エール)」を試験的に自社の施設で導入したことを明らかにしました。 AIで入居者の今後の自立度(どれだけ介助の手を使わず、自分自身で日常生活を営めるかを測った指標)を予測し、早めに対応することで、入居者が要介護状態になるのを防ぐねらいがあるといいます。 介護予防システム「SOIN-R」について 日本老人福祉財団と、介護システムの開発などを手がける株式会社シーディーアイは、共同で介護予防・将来予測システム「SOIN-R」を開発しました。 財団が運営する有料老人ホーム「ゆうゆうの里」で、入居者に対して毎年おこなっている「日常生活に関する調査(全48設問)」のデータをAIに学習させ、入居者の今後の自立度を予測可能にしたそうです。 具体的には、以下の7カテゴリの状態を総合的に分析して、今後の自立度の推移を予測。早期にリハビリなどの介入をおこなうことで、要介護状態になるのを防ぐねらいがあるといいます。 掃除や衣服の着脱などの生活機能の状態 安定して歩行できるかなどの運動機能の状態 かむ力や飲み込む力などの口腔機能の状態 時間や場所を適切に把握するなどの認知機能の状態 栄養を十分に取れているかどうか 自分の殻に閉じこもらず、他者と関わる意思があるかどうか うつ傾向にあるかどうか 検証段階で上々の評価を得る 日本老人福祉財団によると、すでに2022年4月から一部施設でSOIN-Rを試験的に導入し、検証をおこなってきたとのこと。AIが導き出した予測結果を入居者に共有したところ、入居者からも「AIの客観的なアドバイスに納得した。外出も再開してみようと思う」といったポジティブな反応が多くみられたといいます。 SOIN-Rのシステム検証をおこなった担当者は「AIの活用は、入居者にとってのメリットや業務の効率化など、多方面に良い結果をもたらすだろう」と話しています。 今後、より多くの施設でこのようなシステムが導入されれば、より早く、適切なケアにつなげられるようになりそうですね。
2023/10/17
全国各地で高齢者施設を展開している株式会社サンガジャパンは今回、全国55ヵ所にある自社の有料老人ホーム「翔裕館」の入居者向けの旅行企画を立ち上げました。第一弾は東京観光で、国会議事堂や東京スカイツリーなどを見学するといいます。 「大人の旅行倶楽部」を立ち上げ サンガジャパンは「翔裕館」の入居者に向けて、「大人の旅行倶楽部」という外出を楽しむ企画を立ち上げたことを明らかにしました。 翔裕館では、これまでも熱海旅行などの旅行企画を実施。入居者が旅行を励みにリハビリに取り組む姿などを目の当たりにしたことで、今回新たに、入居者の家族や友人と一緒に楽しめる企画を打ち出すことにしたそうです。 また、旅行には介護職員も帯同し、必要であれば食事などの介助をおこなうとしています。 「大人の旅行倶楽部」第一弾の具体的な内容は以下のとおりです。 開催日時:2023年11月9日(木)9時30分~17時45分 対象:座った姿勢が保てる翔裕館の入居者とその家族、もしくは友人 費用:大人ひとり2.5万円 当日は、国会議事堂や東京スカイツリーを見学し、銀座で鉄板焼きを楽しむ予定だといいます。 旅行をする人は失望感が低い傾向に 最近の研究で、旅行によく行く人はそうでない人に比べて、人生の失望感を抱くことが少ない傾向にあることが示されました。 東北大学加齢医学研究所が3年間にわたって、約90人を対象に調査を実施。対象者に「自分の人生は退屈だと感じるか」「将来に不安があるか」「自分の人生は意味がないと感じているか」という「失望感」を測る質問を載せたアンケートをおこない、その結果を分析しました。 その結果、過去5年間の旅行回数が多い人ほど、人生に対する失望感が低い傾向にあることが明らかになったのです。 施設に入居してから、外出の機会が大きく減ったという人も少なくありません。今回のような取り組みが広まっていけば、入居者がより前向きな気分で毎日を過ごせるようになりそうですね。 参考:「旅行をすれば認知症を予防できる?高齢者の「主観的幸福感」を向上」(保健指導リソースガイド)
2023/10/16
特別養護老人ホーム(特養)の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は10月3日、会員が経営している高齢者施設の経営状況を調べた結果を公表。すると、2022年度は62%の特養が赤字であることがわかりました。 赤字の特養が過半数を占める 全国老人福祉施設協議会は、全国およそ1600ヵ所の高齢者施設を対象に、施設の経営状況を明らかにする調査を実施。2022年度の決算などを取りまとめ、2023年10月3日にその結果を公表しました。 すると、2022年度は2021年度の43%よりさらに多い、62%の特養が赤字であることが明らかになったのです。これは、全国老人福祉施設協議会が経営状況を調査してから最悪の数字だといいます。 理由としては、施設の消毒など新型コロナウイルスの感染対策費用に加え、急激な物価高騰でコストが大幅に増大したことが考えられます。 収支差率も過去最悪の数字に 全国老人福祉施設協議会は2022年度の特養の収支差率(売上金額に対する利益の割合。一般企業でいうところの利益率)も調べたところ、前年度から3.0ポイント低下したマイナス2.8%と、こちらも過去最悪であることがわかりました。 また、併設デイサービスの収支差率はマイナス5%とさらに低迷。新型コロナの感染拡大に伴い、利用控えが増えたことが要因なのではないかと考えられます。 10月3日に開かれた集会で、全国老人福祉施設協議会の会長を務める大山知子氏は「想像以上に厳しい数字だ。事業継続は困難と言わざるを得ない。まさに介護崩壊の危機である」と現状に対する警鐘を鳴らした上で、「来年度に控える改定で、介護報酬の大幅なプラス改定を勝ち取るために一致団結して行動していく」と決意を改めて表明しました。 特養の介護報酬額は法律で決まっているため、現状を変えるには介護報酬の大幅なプラス改定が不可欠。今後の介護報酬改定をめぐる議論に注目です。
2023/10/13
人手不足が叫ばれて久しい介護業界。2020年に発生した新型コロナウイルスや、その後の世界的な物価高騰の影響により、さらに経営状況が悪化し、2022年では過去最多の143もの事業所が倒産したとの調査もあります。 この状況を受けて、介護施設や介護に関連する12の団体が自民党の麻生太郎副総裁に要望書を提出。そのなかで、政府が検討中の新たな経済対策と今年度の補正予算案にスタッフの処遇改善や介護事業所への支援策を盛り込むように求めました。 このまま人材不足や経営状況の悪化が進むと、さらに倒産する介護事業所が増える可能性も。その結果、近隣に利用したい介護サービス事業所がなかったり、定員超過で受け入れてもらえなくなるおそれもあり、利用者への影響も懸念されています。 スタッフの処遇改善について要望書を提出 10月6日、介護施設や介護専門職などで組織する12の業界団体が自民党の麻生副総裁に要望書を提出し、介護事業所や介護スタッフへの支援を求めました。 この要望書のなかでは、近年の新型コロナウイルスの拡大や物価高騰によるコスト増によって経営状況が過去にないほど厳しい状態にある旨、その影響で事業者単位での賃上げによるスタッフの処遇改善に限界が来ている旨が訴えられています。 そのため業界団体は、今年度の経済対策と補正予算案で介護事業所への支援と介護スタッフの処遇改善を求めているのです。 介護スタッフの離職率が増加 12の業界団体は、要望書と合わせて介護現場における離職者などの調査結果も提出しました。 参考:「介護現場における賃上げ・物価高騰・離職者等の状況調査」 この調査によると、年々、離職者が増加。特に2023年は、在職年数が10年以上の介護スタッフの離職率が2021年と比べて約1.5倍に増えているそうです。 経験豊富な介護スタッフの退職が増えることで、現場への打撃が大きいことはもちろん、私たち利用者にとっても大きな影響があります。 例えば、以下のような状況に陥る可能性があります。 ノウハウのあるスタッフがいなくなり、介護サービスの質が低下する スタッフ教育が進まなくなり、サービスの質の向上が難しくなる 重度の要介護者に対応できるスタッフがいなくなり、受け入れる利用者を制限する つまり、経験豊富な介護スタッフの離職が増えると、その分、私たち利用者が受けるサービスにも影響があるわけです。 介護スタッフの処遇改善が進むも… 政府は以前から介護スタッフの処遇改善について対策をとってきました。しかし、それでも介護スタッフの離職は増加傾向にあります。 2022年10月の介護報酬改定では、「介護職員等ベースアップ等支援加算」が追加され、介護スタッフの給与を引き上げるための対策がとられました。その結果、2021年12月と比べて2022年12月の介護スタッフの給与は平均1万7490円増額していることがわかりました。 平均給与額差1万7490円2021年12月30万740円2022年12月31万8230円 参考:「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」(厚生労働省) しかし、介護スタッフの離職率は増加傾向にあるのが実情。スタッフの離職を食い止めるためには、さらなる処遇改善が必要と業界団体は考えています。 ただ、介護サービスの費用は国によって定められています。スタッフの給与増額の資本となる事業所の収入を増やすことは、事業所だけの努力では限界があるのです。 そこで、業界団体はさらなるスタッフの処遇改善をして離職を食い止めるために、政府に経済支援を求める要望を提出したのです。 コロナ禍・物価高騰に人材不足が追い打ちをかけ倒産へ 介護業界の人材不足が深刻化すると、介護の質が低下するだけでなく介護事業所の倒産にもつながります。 市場調査などをおこなう東京商工リサーチの調査によると、2022年の介護事業所の倒産は143件。これは介護保険制度が始まった2000年以来、最多の数です。また、倒産件数は2021年から77%も増加しているとのことです。 このように介護事業所の倒産件数が増加したのには、「コロナ禍」「物価高騰」「人材不足」の3つが影響していると考えられています。 コロナ禍により感染対策のための備品のコストが増加したうえ、サービスの利用控えで収入が減少。さらに、その後の世界的な物価高騰により光熱費などの支出が増えています。 このような理由で経営状況が悪化しているところに人材不足が追い打ちとなって、施設運営が継続できなくなり、倒産に追い込まれてしまっているのです。 人材不足で介護が受けられなくなる可能性も 介護事業所の倒産が続くと、私たち利用者にも影響が出てくるおそれがあります。 例えば、以下のような状況が起こると考えられるのです。 介護サービスを利用したくても近くに介護事業所がない 定員がいっぱいでサービスを利用できない 利用していた事業者が倒産する 他に選択肢がなく、不本意なサービスを受けざるを得ない 具体的には、次のようなケースが起こる可能性があります。 訪問介護サービスを利用したいのに、家の近くに事業所がなくて利用できない 近くにある唯一のデイサービスに「定員がいっぱい」と断られた 経営状態の悪化とスタッフが集まらないため、利用していたショートステイが倒産した 今のデイサービスと「合わない」と感じているが、近隣にデイサービスがないので我慢しないといけない つまり、介護業界の人材不足は、介護の質が下がるだけではなく、そもそも介護サービスを利用できなくなる可能性があるというわけです。 介護業界の人材不足は、現場で働く人だけでなく私たち利用者にも大きく影響がある問題です。今は介護サービスが利用できていても、近い将来、利用できなくなることがあるかもしれません。 介護業界の人材不足問題は、利用者としても注視していく必要のある日本の大きな課題なのです。
2023/10/13
東京都八王子市で、認知症当事者が店長と調理長を務めるレストランがオープンしました。発生した収益は材料費やスタッフの謝礼に使われ、今後、月2回ほど店を開くといいます。 認知症当事者がレストランをオープン 認知症当事者である男性2人が店長と調理長を務めるレストランが、東京都八王子市でオープン。ポークカレーとキーマカレー、合わせて50食を訪れた一般客に提供しました。 2人は、認知症になる前は飲食店を営んだりファミリーレストランの店長をしていたりしたといいます。現在は2人とも市内にあるデイサービスに通っており、そこで「もう一度お客さんの前に立ちたい」という思いを打ち明けたそうです。 2人の思いを聞き入れたデイサービスの事業者は、市内のシェアキッチンを借り、店舗の準備をスタート。一定の準備期間を経て今回の実施にこぎつけたといいます。 店長と調理長という大役を担った男性2人は、「調理場に立つと昔のことを思い出して懐かしくなる」「また店に立てて良かった。帰るときに『おいしかった』と言ってもらえるとうれしい」と話しているそうです。 料理をすることが認知機能の改善にも 最近の研究で、料理をすることがさまざまな心身機能の改善につながる可能性が示されています。 京都教育大学の湯川夏子氏は、各地の高齢者施設などでおこなわれている「料理療法」を「料理活動を介して、心身の障害の機能回復や情緒の安定、豊かな人間関係の構築と生活の質の向上を目指すもの」と定義。料理がもたらす効果を、自身の論文で示しました。 また、アメリカの研究で、調理が認知症の症状の改善にもつながることが示唆されています。具体的には、メニューを考える、複数の作業を平行しておこなう、冷蔵庫にある食材を思い出すなどの調理にまつわる一連の行為が、認知症やその前段階である軽度認知障害において特に低下しやすい種類の認知機能を刺激するそうです。 料理をすることは、「自分にも美味しい料理が作れる」「みんなの役に立てた」という自尊心の回復にもつながります。今回紹介したような取り組みがさまざまな場所で広がっていけば、認知症になってもより豊かに生きられる社会になりそうですね。 参考:「料理療法 ─調理による認知症ケアと予防の効果─」(日本調理科学会)
2023/10/12
東京海上日動火災保険株式会社と製薬大手のエーザイ株式会社は、認知症の早期発見や早期治療を支援する「認知症治療支援保険」を共同で開発したことを明らかにしました。エーザイが開発した認知症治療薬「レカネマブ」とともに活用してもらうことで、認知症の早期治療につなげるねらいがあるといいます。 「認知症治療支援保険」で認知症治療をサポート 東京海上日動とエーザイは、認知症の発見や治療を支援する「認知症治療支援保険」を開発したと発表しました。 エーザイが開発した認知症治療薬「レカネマブ」を処方してもらうためには、脳内に異常な物質が蓄積しているかどうかを確認する「PET検査」などを受ける必要があります。 しかし、こうした検査には一定の自己負担を要することも事実。そこで、認知症治療支援保険にあらかじめ加入しておけば、検査で軽度認知障害や認知症であると診断された段階で検査の費用等に充てられる一時金が支給されるそうです。 また、アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症だと診断された場合は、認知症治療薬による治療費用等に充てられる一時金も支給されるといいます。 加入者に認知機能を測定するツール「のうKNOW」を提供 さらに付帯サービスとして、認知症治療支援保険の加入者に「のうKNOW」という認知機能の測定ツールを提供することも明らかにしました。 この「のうKNOW」とは、どのようなツールなのでしょうか? のうKNOWとは、エーザイが開発した、パソコンやスマートフォンなどのデバイスから脳の健康度を測定するデジタルツールのこと。トランプカードを使ったゲーム感覚でできる4つのテストを受けることで、「記憶する」「判断する」「考える」などのパフォーマンスを自分で確認できるといいます。 担当者は「認知症との共生社会実現に向けて、さまざまな企業や団体と連携し、ネットワークを拡大していくことで、社会課題の解決につながる取り組みを進めていく」としています。 新たな認知症治療薬「レカネマブ」は、薬の価格が高額なことがネックでした。今回の取り組みが広まっていけば、経済的な負担を気にせず、治療に専念できるようになるかもしれませんね。 参考:「『のうKNOW』公式サイト」
2023/10/11
過疎化や高齢化などが原因で人口減少が続く福島県では、介護・福祉分野においても人手不足に悩んでいる事業所が少なくありません。そこで福島県では、外国人人材の積極的な登用を推進。その結果、10年前と比べて介護・福祉分野で働く外国人人材の数は10倍になったことがわかりました。 福島県で外国人人材の積極的登用が進む 福島県がおこなった調査によると、県内の要支援・要介護者認定者数は2022年9月末時点で11万3968人であることが判明。介護保険制度が始まった2000年の4万1622人と比べると、大幅に増加していることがわかります。 以上のように介護業界における人材の確保が急務となる中、県は老人福祉施設協議会に委託して、面接会や説明会など、外国人人材と介護施設をつなげるマッチングの場を設けているといいます。 その結果、県内の「社会保険・社会福祉・介護事業」分野で働く外国人は、286人に上りました。これは、10年前のおよそ10倍にもなる人数です。関係者は「福島県の介護現場で働く外国人は今後も増えていく」としています。 一方、外国人人材を受け入れる施設側からは「外国人向けの指導要綱が確立されていないため、育成は手探りの状態だ」「指導のノウハウを共有できる場を増やしてほしい」などの声が挙がっているそうです。 外国人人材の受け入れ窓口になっている老人福祉施設協議会の事務局長は、「(外国人受け入れに対する理解の促進や外国人同士の交流の場を設けるなど)外国人が働きやすい環境の整備に努めていく」と話しています。 「施設の世界観が広がった」好意的な声 福島県福島市にあるとある介護事業所では2021年から外国人人材を採用しており、現在はベトナム、ネパール、ミャンマー、中国から来日している計17人が働いているそうです。 利用者が聞き取りやすいように、ジェスチャーを交えながらゆっくり話しかけたり母国の文化を紹介したりして、利用者と打ち解けていく外国人スタッフの姿を目の当たりにした職員は「異文化の風によって、施設の世界観が広がった」と好意的です。 今後、日本各地の介護事業所で外国人人材の受け入れがおこなわれていくことが見込まれています。利用者と外国人人材ともに過ごしやすい環境をつくっていってほしいですね。
2023/10/10
医療者向けのAI機器の開発などを手がけている株式会社Meduranceは、今回新たな医療音声認識AIツール「RABBIT」をリリースしたことを明らかにしました。 看護師の業務の中でも特に業務量の多い看護実施記録(看護師がおこなったケアの過程を記録すること)の負担を減らし、業務改善につなげるねらいがあるといいます。 看護業務の実態を調査 東京医療保健大学は、看護業務の実態を探るため、全国の47ヵ所の病院に勤める955人の看護師を対象に、タブレットを用いて業務時間を測定するタイムスタディ調査をおこないました。 その結果、1日24時間の看護業務の中で「日々の看護実施記録」を占める時間が最も多く、その行為時間は合計で173分に上ったことが判明。それから、多い順に「排泄介助や片付けなどの患者ケア」「血圧や体温などのバイタルサインの測定」「患者からの情報収集」「看護師間の申し送り(情報共有)」といった回答が続きました。 また、残業としておこなわれた看護業務についても調査。そこでも最も時間が長かったのは「日々の看護実施記録」であることが明らかになりました。以上の調査結果から、多くの看護師は看護実施記録の作成に多大な時間と労力を費やしていることがわかります。 医療音声認識AIツール「RABBIT」をリリース 今回、株式会社Meduranceは新たな医療音声認識AIツール「RABBIT」をリリース。大規模な医療用語の音声データを学習させた最新のAIを搭載しているため、専門的な医療用語の音声もスムーズに認識できるようになったといいます。 担当者は、「RABBIT」を看護現場で使うことで記録時間を短縮できるほか、短時間で記録を終えられるため、記録忘れの防止にもつなげられるとしています。 看護師や介護士の中には、タイピングが苦手で速く文字を打てないという人も少なくありません。今回紹介した「RABBIT」がさまざまな施設で普及していけば、よりスムーズに記録ができるようになりそうですね。 参考:「効率的な看護業務の推進に向けた実態調査研究」(東京医療保健大学)
2023/10/06
介護用ベッドの最大手であるパラマウントベッド株式会社は、睡眠などの利用者の状態を、リアルタイムで把握できる見守り支援システム「眠りCONNECT」を10月2日に発売。このシステムを導入してもらうことで、介護現場の業務負担の軽減やケアの質の向上につなげていきたいとしています。 見守り支援システム「眠りCONNECT」とは 2023年10月2日、パラマウントベッドは新たな見守り支援システム「眠りCONNECT」をリリースしました。 「眠りCONNECT」では、マットレスの下に敷くことで利用者の体の動きを検知するセンサー「眠りSCAN」を使用。利用者の体の動きから、心拍数や呼吸数などの利用者の睡眠状態を算出し、遠隔でスタッフとデータの共有ができるといいます。 利用者の睡眠状態をリモートでモニター可能 見守り支援システム「眠りCONNECT」を使えば、覚醒や起き上がり、離床などの利用者の睡眠状態をリモートでモニター可能。利用者の状態が変化したときや心拍数・呼吸数が異常を示したときは即座に端末に通知されるため、スピーディーな対応ができるようになるといいます。 また、睡眠や覚醒状態に加えて、利用者がベッドにいればいつでも呼吸数や心拍数を確認可能。それぞれのデータは日誌として継続的に管理できるため、ケアの改善や効果の検証にも活用できるとしています。 さらに、それぞれのデータを管理しやすいように、利用者の睡眠状態を法人全体、施設ごと、ユニットごとから選択して表示できるようになっているとのこと。施設ごとやユニットごとに利用者の睡眠状態を分析することで、適正な人員配置につなげられるとしています。 現在の人員配置基準のまま、ケアをよりスムーズかつ安全におこなえるようにするためには、デジタルテクノロジーの導入が不可欠です。今回紹介した見守り支援システム「眠りCONNECT」が普及していけば、利用者の事故を今より減らせていけるようになりそうですね。
2023/10/05
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。