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#最新研究 #認知症予防

腸を整えて認知症を予防!?ビフィズス菌で改善する”第2の脳”とは

人間の腸の中には、100兆〜1000兆個、約1000種類の腸内細菌が存在しているとされています。 この腸内細菌の働きで注目されているもののひとつが「脳腸相関」。この「脳腸相関」について、順天堂大学が「ビフィズス菌を摂取することで、軽度認知障害(MCI)の人の認知機能改善の効果がある」という研究結果を発表しました。 腸を改善すると認知機能が改善する!? 順天堂大学が「軽度認知障害の人がビフィズス菌を摂取することで認知機能の改善、脳萎縮の進行を抑制できる」という研究結果を公表しました。 この研究は、認知症の前段階である軽度認知障害の患者130人を対象におこなったもの。腸内環境を整えるビフィズス菌を摂取することで、認知機能にどのような影響を与えるのかという「脳腸相関」について調査しました。 「脳腸相関」とは、脳と腸がお互いに影響を及ぼしあうこと。腸は「第2の脳」とも呼ばれており、脳と腸の関係は腸内細菌が大きく関係していることがわかっています。 今回の研究では、対象者を1日1回ビフィズス菌の粉末を摂取するグループとそうでないグループに分け、24週間にわたって調査をおこないました。 その結果、ビフィズス菌を摂取したグループは認知機能検査で「見当識」の成績が良くなっていることがわかりました。 「見当識」とは、時間や季節、場所などを把握する能力のこと。この能力が低下すると「今日が何月何日か」「季節がいつなのか」などがわからなくなる見当識障害を引き起こします。これは、アルツハイマー型認知症の症状で物忘れの次に現れやすいとされています。 さらに、ビフィズス菌を摂取したグループはMRI検査で脳の萎縮の進行が抑えられていることもわかりました。 今回の結果を受けて、研究グループは「腸の環境と脳機能の関係性を、実際の医療現場の支点でも確認していきたい」としています。 腸にも脳にも良い習慣を 腸内環境を良くすることで便秘を解消できることは良く知られていますが、まさか認知機能にも影響があるとは驚きです。 つまり、腸内環境を整えることで便秘対策と認知症予防の両方が叶えられると言えますね。 そのため、積極的に腸に良いことをしていきたいもの。例えば、ビフィズス菌のような乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維など腸内環境を整える食品を意識して摂取することもひとつの方法ですよ。

2022/06/17

#最新研究 #認知症予防

肥満・高血圧・低体力だと社会的認知機能が低下?手先の器用さも関係

2025年には、高齢者の5人に1人が認知症になるという推計もある認知症。高齢化に伴って認知症の人は増えていくという予測が出ていることもあり、認知症や認知機能に関する研究が各地で進められています。 今回、神戸大学が発表したのは肥満や高血圧、低体力が「社会的認知機能」の低下と関連があるという研究結果です。 特に、肥満、持久力、手先の器用さが低いと社会的認知機能が低下している傾向があったそうです。 肥満・高血圧・低体力が認知機能に関係? 神戸大学は、肥満・高血圧・低体力が、社会的認知機能の低下と関係があることを明らかにしました。 社会的認知機能とは、人がコミュニケーションを取るうえで重要な認知機能のひとつ。相手の行動や意図、性質を理解するための対人関係の基本となる機能です。 今回の研究は、アメリカの約1000人のデータを分析したもの。肥満度を表すBMI、血圧、持久力、手先の器用さ、筋力、認知機能検査、脳の血流量の検査などのデータを解析して、肥満度や血圧、体力と社会的認知機能の関係を調査しました。 その結果、BMIと血圧が高くて体力が低い人ほど、社会的認知機能に関連する脳の部位の活動が少ないことが判明。特に、BMI、持久力、手先の器用さとの関係が大きいこともわかったそうです。 この結果について研究グループは、「BMIと血圧が高くて体力が低い場合、脳の活動の低下によって社会的認知機能が低下していることを意味している」としています。 また、体重の減少や持久力・手先の器用さを向上させることで社会的認知機能の向上に効果がある可能性があるとのことです。 社会で生活するために重要な機能 社会的認知機能は、人が社会の中で生活していくうえで重要な機能です。 この機能が低下すると、相手の気持ちを推測できなくなったり社会のルールを守れなくなることもあります。 認知症というと物忘れや日付・曜日がわからなくなるなどの症状をイメージしがち。ですが、社会性がなくなってしまうと日常生活に支障が出るので、社会的認知機能は人と関わりながら生活する人間にとっていかに大切な能力かがわかりますね。

2022/06/14

#コロナ対策 #最新研究 #糖尿病予防

糖尿病だとコロナ後遺症リスクが4倍!?ワクチンで後遺症リスク50%減

新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいとされている糖尿病。今回、アメリカの大学で糖尿病の人は新型コロナ回復後の長期にわたる後遺症「ロングCOVID-19」が現れる可能性が高いことがわかりました。 この研究を発表したのは、エモリー大学の研究グループ。研究によると、糖尿病の人は新型コロナの長期の後遺症があらわれる可能性が、最大で4倍高いことが明らかになったそうです。 糖尿病だと後遺症が出やすい アメリカのエモリー大学は、糖尿病患者の長期的な新型コロナ後遺症についての研究結果を発表しました。 この研究は、糖尿病とそうでない人の感染後の状態を最低4週間にわたって調査したもの。あわせて、2020年1月~2022年1月までの感染者の状態に関するデータも調査しました。 その結果、新型コロナに感染した人の10~30%が新型コロナの症状が長引くことが判明。特に重症化した人の多くが症状が残ったそうです。 また、過去のデータの43%が糖尿病が新型コロナ後遺症の危険な要因と特定していることもわかりました。 過去の研究でも、糖尿病の人が血糖値のコントロールが上手くいっていないと新型コロナに感染したときに重症化しやすいことが報告されています。 ただ、ワクチンを接種することで入院が必要になるほどの重症になるリスクは低下。後遺症が出るリスクが50%下がるという研究も発表されています。 そのため研究グループは、「糖尿病の人は必ずワクチンを接種してください」と強調しています。 生活が一変してしまうことも 新型コロナ後遺症には、倦怠感、集中力の低下、息切れなどの症状が出ることが知られています。 なかには、外に出られないほどの倦怠感や日中に強い眠気があったり、脳にもやがかかったように思考がうまくできなくなる「ブレインフォグ」といった症状が出ることもあり、生活に支障をきたすケースも報告されています。 こうした後遺症はまだ解明されていない部分が多く、「新型コロナ後遺症」としての治療というよりは、個々の症状に対応しているのが現状。多くは数ヵ月で症状がなくなるものの、1年以上も症状が残るケースもあるそうです。 また、今回の研究によって重症化リスクの高い人が後遺症リスクも高いことが判明しています。糖尿病などの持病を持っている場合は、持病の治療が新型コロナ後遺症の予防につながりそうですね。

2022/06/14

#事件 #最新研究 #調査結果 #高齢者の一人暮らし

孤独を感じている高齢者は詐欺に遭いやすい?社会的つながりの維持を

2020年の特殊詐欺の被害件数は13550件、そのうち高齢者が被害にあったケースは11587件と全体の約85%を占めています。 アメリカでも高齢者の詐欺被害が問題となっており、詐欺被害に遭いやすい高齢者の特徴についての研究が進められています。 そこで、今回、南カリフォルニア大学は「孤独な高齢者が詐欺被害に遭いやすい」という研究結果を発表。高齢者の社会的つながりを強化するための取り組みの重要性を伝えています。 人間関係が良いと詐欺に遭いにくい? 南カリフォルニア大学が、詐欺被害に遭いやすい高齢者の特徴についての研究結果を発表しました。 この研究は、平均年齢65歳の26人を対象におこなわれたもの。心身の健康状態や認知機能、過去の詐欺被害の経験を調べ、6ヵ月にわたって追跡調査をおこないました。 加えて、調査では対象者の人間関係についても評価。「会話や議論をする頻度」「拒絶されたり孤独を感じる頻度」「人間関係が良くなることを望む頻度」などを質問して、対象者の社会的つながりが機能しているのかについても調べています。 その結果、所属している集まりなどの中で問題が増えたり孤独感が高まっていると、詐欺に遭いやすい心理状態になることがわかりました。 さらに、それと同時に対人関係がうまくいっていない高齢者も詐欺被害に遭いやすいことも明らかになりました。 こうした結果を受けて研究グループは「詐欺被害に遭いやすい状況の高齢者は予測可能で、詐欺にあわないためには対人関係を良好に保つことが重要」としています。 そして、高齢者を支援する団体は高齢者の社会的つながりを強めるための機会を提供することの重要性を主張しています。 親の交流関係に注意する 親が遠方に住んでいると、「怪しい電話が来たりしていないかしら」と心配になることもあるかもしれません。 今回の研究によると、親が地域の人とつながりがあるのかを知っておくことが詐欺対策に重要なようです。 加えて、なにかあったときに親がすぐに相談できる人がいるかどうかも大切。詐欺の電話がかかってきたときに相談できる人がいると、慌ててお金を支払ってしまうなどの被害に遭うことも少なくなるかもしれませんね。

2022/06/13

#心疾患 #最新研究 #高血圧

心臓病リスクが26%低下!高血圧を防ぐのはカップ1杯の野菜から?

健康に気を使って、普段から野菜を食事に取り入れている人もいるかもしれません。一方で、仕事や介護に忙しくて食事に気をつける余裕がない人もいるでしょう。 ちなみに、厚生労働省が推奨している野菜の摂取量は1日350グラム。しかし、2018年の調査によると、実際の野菜の摂取量の平均は男性で290グラム、女性で270グラムにとどまっているそうです。 しかし、今回、野菜をたくさん食べていればサプリメントを飲む必要はないという研究をオーストラリアの大学が発表し、改めて野菜の健康効果を強調しています。 それによると、硝酸塩を含む野菜をたくさん食べている人は、血圧が低くなっていたうえに心臓病のリスクも最大26%も低かったそうです。 野菜が血圧を下げる オーストラリアのエディス・コーワン大学は、硝酸塩を多く含む野菜の血圧への効果と心臓病リスクとの関係を調査し、その結果を発表しました。 硝酸塩とは、ほうれん草や小松菜、春菊などの葉物野菜、ごぼうやビーツなどの一部の根菜に多く含まれているもの。土の中に自然に含まれているもので、肥料として使用されることもある成分です。 今回の研究は、デンマークに住む5万人以上の23年間分のデータを解析したもの。対象者の食事内容と血圧や病気などの健康状態について調査しています。 その結果、硝酸塩を多く含む野菜を最も多く食べている人は血圧が低く、心臓病リスクが12~26%低いことがわかりました。 さらに、足の動脈の血流が悪くなり太ももなどに痛みが出る「末梢動脈疾患」のリスクも26%低下。その他にも、心臓発作、脳卒中、心不全などのリスクも下がっていたそうです。 こうした結果を受けて研究チームは、心臓病リスクを下げるためには葉物野菜を多く食べることで十分で、硝酸塩を摂るためにサプリメントを飲む必要はないとしています。 サプリメントは必要ない 血圧を下げる効果があるサプリメントや健康食品がたくさん売られていますが、今回の研究結果を見ると、野菜を食べていればそうしたものは必要ないのかもしれません。 ちなみに、研究チームによると硝酸塩を含む野菜の摂取目安量は1日カップ1杯。それ以上の量を食べても効果が高まることはなかったそうなので、血圧が気になる人はカップ1杯の野菜を食べることを目標に食事を変えることから始めてみてはどうでしょうか。

2022/06/10

#最新研究 #糖尿病治療 #高血圧

野菜を多く食べるとストレス低下?高血圧、糖尿病…生活習慣病を予防

「野菜は健康に良い」と思いつつも、なかなか意識しないとたくさん食べるのは難しいですよね。 ちなみに、厚生労働省は野菜を1日350グラム摂取することを推奨。しかし、2018年の調査では野菜の平均摂取量は成人男性で約290グラム、女性で約270グラムと推奨量を満たしていないのが実情です。 ただ、今回、オーストラリアの大学が野菜を多く食べている人はストレスが低いという研究結果を発表し、改めて野菜の健康効果が明らかになりました。 その研究によると、野菜を多く食べている人は少ない人に比べてストレスが10%低いことがわかったそうです。 野菜はストレス低下にも効果的 オーストラリアのエディスコーワン大学が、25~91歳のオーストラリア人8600人を対象に野菜や果物の摂取量とストレスの関係について調査しました。 その結果、野菜や果物の摂取量が1日470グラム以上の人は、230グラム以下の人よりもストレスが10%低いことがわかりました。 ただ、野菜や果物を多く食べることでストレスが低下するメカニズムははっきりと解明されていないそう。研究グループによると、野菜や果物にはビタミン、ミネラル、フラボノイド、カロテノイドといった栄養素が含まれており、それが身体の炎症や酸化を軽減している可能性があるとのことです。 さらに、体内の炎症や酸化によるストレスは、精神的なストレスの増加や不安などにつながることがわかっています。そのため、野菜や果物を多く食べることで、ストレスが少なくなったと考えられるそうです。 ストレスから生活習慣病に… ストレスが多い状態が長引くとうつ病などを発症することがありますが、ストレスが影響するのは心の健康だけではなく、身体の健康とも関わりがあります。 なぜなら、ストレスがたまると「食事が乱れる」「飲酒量が増える」「喫煙量が増える」などの生活習慣に悪い影響が出ることがあるため。乱れた生活習慣が続くことで、高血圧や糖尿病などを引き起こしてしまうのです。 また、野菜にはストレスを低下させるだけではなく、生活習慣病を直接的に予防する効果もあります。 例えば、野菜に含まれるビタミンやミネラル、ポリフェノールは、血圧を下げたり発がん物質の発生を防ぐ効果があることがわかっています。 そのため、厚生省が推奨している1日350グラムの摂取を目指して、積極的に野菜を食べていきたいですね。

2022/06/09

#最新研究 #糖尿病予防 #糖尿病治療 #認知症予防

糖尿病が脳の老化を26%早める!?”予備軍”でも影響があるかも

糖尿病は進行すると神経障害や腎臓病、失明、脳梗塞などさまざまな病気を引き起こす怖い病気。糖尿病自体は命に関わる病気ではないものの、合併症によって最悪の場合は死に至ることもあります。 そして、今回、そうした合併症に加えて、糖尿病は脳の老化を早めることがアメリカの研究で明らかになりました。 その研究によると、糖尿病の人はそうでない人に比べて脳の老化が26%も加速するそうです。 脳の老化を糖尿病が早める!? アメリカのニューヨーク州立大学が、典型的な脳の老化と糖尿病患者の老化の比較を実施しました。 この研究は、50~80歳の約2万人の健康データを解析したもの。これまでも、糖尿病が認知機能の低下を引き起こす研究はあったものの、糖尿病による認知機能低下と通常のものを区別するのが難しかったため、今回は糖尿病患者に特有な認知機能の変化を特定することを目的としたそうです。 研究の結果、糖尿病のない同年代の人と比べて糖尿病の人は、認知能力が低いことが明らかになりました。 さらに、脳の神経の減少が健康の人よりも早い可能性もあるそう。そして、こうした影響は糖尿病の期間が長いほど深刻であり、糖尿病が脳の老化を26%加速させていることもわかりました。 また、研究チームは「糖尿病と診断されたときには、すでに脳に大きな損傷を負っている場合がある」と早い時期から脳への影響がある可能性に触れています。 ”予備軍”でも要注意! 以前から、糖尿病が認知症のリスクを高めることは知られていましたが、それが糖尿病と診断される前から脳に影響があるとは驚きですね。 今回の研究から、脳の健康を守るためにも普段から血糖値のコントロールが大切ということがわかります。 特に、「糖尿病予備群」と呼ばれる血糖値が高めな人は注意する必要がありそう。糖質や脂質の多すぎる食品を避けて健康的な食品を選んだり、ウォーキングなどの運動を生活に取り入れるなど普段の生活から脳を守る習慣を身に付けたいですね。

2022/06/08

#最新研究 #糖尿病治療

糖尿病は「薬+運動療法」で血糖値改善!運動能力の低下を抑える効果も

全国に患者が1000万人いるとされている糖尿病。そのなかの約25%は、治療のために受診をしていないという推計結果も出ています。 治療を受けない人が多い理由のひとつに、糖尿病の治療をするには、薬での治療の他に食事療法や運動療法など生活習慣を変える必要があることが挙げられます。 しかし、これらの治療を組み合わせることで血糖値の改善に大きな効果があることがアメリカの研究でわかりました。 その研究によると、血糖値を下げる薬と運動療法を組み合わせることで血糖値のコントロールが改善。さらに、高血糖によって低下した運動能力が回復するそうです。 運動能力の低下を防ぐ! アメリカのジョスリン糖尿病センターが、血糖値を下げる薬と運動療法を組み合わせることによる血糖値改善効果についての研究結果を発表しました。 この研究は、糖尿病のマウスに血糖値を下げる薬(SGLT2阻害薬)を投与する薬物療法と運動用ホイールを走らせる運動療法を並行しておこなったものです。 その結果、マウスの糖尿病は大幅に改善。さらに、マウスの筋肉を調べたところ、高血糖の状態が続くことで筋肉の反応が低下する原因の分子を筋肉内で見つけました。 つまり、長期間にわたって高血糖が続くと、筋肉の運動に対する反応が分子レベルで悪くなるということ。薬物療法と運動療法を組み合わせることで、運動能力の低下を防げるそうです。 今後、研究グループはどのように薬物療法・運動療法・食事療法を組み合わせると運動能力を改善するのに最も効果が高いかをみつける研究を予定しています。 薬+運動で効果がアップ 血糖値の改善のために、運動が効果的なのは多くの人が知っていることでしょう。特に糖尿病の診断を受けている人や”糖尿病予備群”である血糖値が高めの人は「わかっているけど続かない」と感じているかもしれません。 ただ、今回の研究結果はこうした人に朗報ではないでしょうか。血糖値を下げる薬と運動を組み合わせることで血糖値の改善効果が大きくなり、より効果的な治療をおこなうことができるためです。 ちなみに、厚生労働省によると糖尿病の人に推奨される運動は、少なくとも週に3~5回のややきついくらいの中程度の有酸素運動。1回に20~60分間おこない、合わせて150分以上が目安だそうです。 この運動はウォーキングなどでも良いそうで、血中の糖の代謝を改善するためにできれば毎日おこなうと効果的。出かけるときに車や電車ではなく歩いて移動してみたり、負担の少ない形で続けていきたいですね。

2022/06/07

#最新研究 #認知症予防 #認知症対策

歩行スピード低下は認知症の前兆!?歩行状態と認知症リスクの意外な関係

高齢の親を持つ人の中には「親の様子がおかしい」「親の物忘れがひどくなった」と感じるようになった人もいるかもしれません。そうしたときに頭をよぎるのが「認知症」という言葉。でも、認知症であると確信が持てない以上、認知症テストを親に受けてもらうのも気が引けてしまうのではないでしょうか。 今回、認知症のひとつの目安になるのが歩くスピードであることがオーストラリアの研究で判明しました。 その研究では「認知機能の低下と同時に歩く速さが遅くなったら、その後に認知症を発症するリスクが高い」ということが明らかになったのです。 歩くスピードの低下が認知症の前触れ? オーストラリアで、認知機能と歩く速さの関係についての研究結果が発表されました。 この研究は、65歳以上のアメリカ人と70歳以上のオーストラリア人、合わせて1万7000人を対象におこなわれました。 この研究の対象者には、1年おきに認知機能や会話のなめらかさなどを測る検査を実施。加えて、3メートルの距離を歩くテストもおこない、7年間にわたって認知機能と歩行スピードの変化を把握しました。 その結果、認知症の発症率が最も高かったのは、歩く速さが毎年約5%ずつ遅くなっており同時に認知機能の低下が起きているグループ。どちらかだけ衰えてきたグループに比べて、どちらも衰えたグループの方が認知症リスクが高いことがわかったそうです。 たまには一緒に散歩を 歩行状態と認知症リスクの関係については、今回の研究以外にも報告があります。 例えば、東京都健康長寿医療センターが認知症リスクと歩幅についての研究を実施。歩幅の広い人と比べると狭い人は認知症リスクが高いことがわかりました。 特に、女性の場合、歩幅が広い人に比べて狭い人は認知症リスクが5.76倍も高くなったそうです。 こうした研究結果が出ているので、もし「親が認知症かもしれない」と感じたら、散歩に連れ出してみて歩く速さや歩幅をチェックしてみるのも良いかもしれませんね。 あわせて、歩くことは血流を良くするので認知機能の維持にもつながるそう。高齢になるとどうしても運動不足になりがちなので、定期的に親と一緒に散歩する時間を作ってみるのはどうでしょうか。

2022/06/06

#最新研究 #認知症対策

90歳の高齢者でも認知機能が改善!ゲーム感覚でできる「運動+脳トレ」

今後、高齢化が進んでいくのに伴って認知症を発症する人が増えていくと考えられています。 そのため、認知症の治療薬の開発が進められていますが、副作用のリスクがあることが知られており、薬に頼らない治療法が注目されています。 そこで、筑波大学では運動と脳トレを同時におこなう二重課題運動が認知機能と身体機能に与える効果に関する研究を実施。その結果、二重課題運動をした高齢者の身体機能と認知機能が向上したそうです。 90歳でも認知機能が改善 筑波大学は、二重課題運動をおこなうことによる高齢者の認知機能と身体機能への効果についての研究結果を発表しました。 二重課題運動とは、身体を動かすプログラムと脳トレを同時におこなうもの。今回の研究では、「じゃんけん」「ボール回し」と言った運動と計算や言葉を使った脳トレを同時に実施し、少しずつ難易度を上げていきました。 また、この研究で対象となったのは平均年齢89.9歳の超高齢者。高齢者(75~84歳)よりもさらに認知機能や身体機能の向上が難しいとされている超高齢者でも二重課題運動が有効なのかを検証しました。 その結果、二重課題運動プログラムを実施したグループとそうでないグループでは、運動をしたグループの方が認知機能と身体機能のテストの結果が大幅に良くなったことがわかりました。 一方で、二重課題運動をしなかったグループは、どちらのテストの結果も悪くなっており、認知機能や身体機能が時間とともに低下していることが明らかになりました。 ちなみに、プログラムがゲーム感覚で集団で楽しめるような内容だったため参加率がとても高かったとのこと。社会的な交流の機会が減っている高齢者のメンタルヘルスにも良い影響があると考えられるそうです。 副作用のない治療法 認知症には複数の治療薬が使われていますが、根本的な治療薬の発見には至っていません。 そのうえ、吐き気や便秘といった副作用で体調を崩したり、薬が身体に合わないことも。そのため、WHOは薬による治療の代わりに、運動を取り入れることを推奨しています。 そこで、今回のような運動と脳トレを組み合わせたプログラムで認知機能が改善できるのであれば、副作用などの心配もないので安心な治療法と言えそうですね。

2022/06/06

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

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