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日本だけではなく世界的に少子高齢化が進んでいます。 なかでもお隣の国、韓国では日本以上に高齢化の速度が早いことが韓国の統計庁の予測によってわかりました。 それによると、韓国の65歳以上の高齢者は2020年から2040年の間で倍増する見込みで、2040年には高齢者の割合が日本と同程度まで増加するそうです。 こうした急激な高齢化が進む背景には、ベビーブーム世代が高齢者になることがあります。それに伴って、生産年齢人口も急激に減少するとのことです。 20年で倍増する高齢者 韓国の統計庁が、今月14日に「2020~40年の内・外国人人口展望」を発表しました。 これは、昨年12月に統計庁が発表していた将来人口推計をより詳細に分析したもの。前回の推計では外国人と分けていなかったため、移民などの推移も含めて人口の変化を割り出しました。 それによると、韓国人の高齢者は2020年から2040年にかけて倍増。2020年は807万人(約16%)だった高齢者は、2040年には1698万人(約35%)に急激に増加する見込みです。 この増え方は、世界トップの高齢国である日本をしのぐもので、日本は2020年で3589万人(約28%)で2040年は3920万人(約35%)になる予測。2040年には韓国と日本の高齢者の割合は同程度になることがわかります。 加えて、15~65歳未満の生産年齢人口は2020年の約72%から2040年には約56%と大幅に減少。1955~1963年生まれのベビーブーム世代が高齢者になる2020年代は生産年齢人口が毎年平均36万人減り、2030年代には年平均55万人ずつ減少するそうです。 誰が高齢者を支えるのか? 少子高齢化が急激に進むとされている韓国。その理由はベビーブーム世代が高齢化するだけではなく、若者の就業率の低さや出生率の低さもあるそうです。 というのも、学歴社会であることで有名な韓国ですが、大卒者の就業率は他国と比べても低いのが実情。そのため、生活するのに精一杯なので結婚や出産する若者が減っているのです。 つまり、高齢者が増えているのにも関わらず、それを支えなければいけない若者の暮らしが苦しいのが実情です。 このような状況に、韓国政府がどのように対応していくのか。高齢者と若者という対立した立場のように見えて、問題の根本は同じなのかもしれません。
2022/04/15
認知症の行方不明者数が8年連続で過去最多となっています。 2020年の認知症もしくは認知症の疑いで行方不明の届け出があったのは、1万7565人。前年よりも86人の増加となりました。 こうしたことを受けて、東京都健康長寿医療センターは「認知症による行方不明-いのちを守るために必要なこと-」という啓発パンフレットを作成。高齢者の行方不明の現状や、その対策などを紹介しています。 行方不明を防ぐためには…。 東京都健康長寿医療センターは、「認知症による行方不明-いのちを守るために必要なこと-」というパンフレットを作成し、高齢者の行方不明の実態とその対策について紹介しています。 「認知症の人の行方不明」というと、中度から重度の認知症の人が行方不明になるイメージがありますが、認知機能の低下がない人や軽度の認知症の人も行方不明になっているそうです。 例えば、同センターが行方不明者の家族にしたアンケートによると、「認知機能の障害なし」「非常に軽度の認知機能の低下」「軽度の認知機能の低下」の状態の人はあわせて約20%。周囲から見て、認知機能の低下が軽度だったり認知症とは思えない人でも行方不明になっています。 また、行方不明者の死亡原因で最も多いのは、溺死の約40%。その次は低体温症の約35%、事故の約15%と続いています。 この結果に、同センターは「なぜおぼれて亡くなる人が最も多いのかはわからない」としつつも、重度の認知機能の低下が起きている場合は危険に対する回避能力も低下しているためと分析しています。 このようなことから、高齢者がいる家庭では事前の対策が重要。「軽度の認知症や認知症とは思えない人でも行方不明になる可能性がある」「行方不明はいつ発生するかわからないことを意識しておく必要がある」と同センターは伝えています。 具体的には、役所や地域包括支援センター、主治医などに相談すること。万が一、行方不明になった場合は、行方不明者届の提出、役所や地域包括支援センターへの連絡などできる手をすべて打つことが重要です。 思いつく限り多くの人に助けを求めて! 認知症の人の家族は、行方不明になったことを恥ずかしいと感じて自分たちだけで探そうする人もいるそう。しかし、行方不明になったら事態は一刻を争うため、警察などへの連絡をすぐにおこなってできるだけ多くの人に協力を求めるのが大切とのことです。 また、行方不明がいつ発生するかは予想できません。「認知症といっても軽いから」「うちは大丈夫」と油断せずに、対策をしておくことも重要みたいですね。
2022/04/14
世界一の高齢化が進んでいる日本では、同時に認知症の患者数も増加しています。厚生労働省が発表している試算では、2030年には約740万~830万人になるとしています。 だからといって、認知症への理解が進んでいるとは言えないのが現状。社会環境の整備も進んでいません。 そこで「認知症官民協議会」は「認知症バリアフリー宣言」という制度を開始。従業員の認知症の理解を進めたり認知症の人が利用しやすいサービスづくりをしている企業の支援をしています。 認知症への理解を広める取り組み 認知症官民協議会は、先月23日に総会を開いて「認知症バリアフリー宣言」をした18の企業や団体を発表しました。 「認知症バリアフリー宣言」とは、認知症の人が暮らしやすいサービスを提供したり環境を整備している団体がおこなうもの。同協議会は「認知症バリアフリー社会実現のための手引き」を公開して、環境づくりをする団体を支援しています。 例えば、総会で取り組みを紹介した大手スーパーのイトーヨーカ堂では、従業員の「認知症サポーター」の講座受講を推進。地域包括支援センターと連携して、社内講座や地域住民向けの講座を開催しているそうです。 さらに、従業員の介護休業を取りやすくするために制度を整備。加えて役職別のセミナーを開催したり、「介護ハンドブック」を作成して従業員の介護休業への理解を進めています。 また社内向けの取り組みだけでなく、認知症の人が買い物しやすい店舗づくりも実施。認知症サポーターの育成によって従業員の接客応対の質を上げるだけでなく、「おもいやり優先レジ」を設置して認知症の人や妊婦、障がいのある人がゆっくり会計できる環境を整えているそうです。 家族や自分が認知症になることも…。 今後、高齢化によってさらに認知症の人は増えると予測されています。そのため、認知症への理解を深めることが重要になってきますが、そうは言っても身近にいなければどうすればいいのかわからないのが本音ですよね。 そこで、認知症サポーターの講座を自分の職場や身近な場所で開催してくれると、参加しやすくなるかもしれません。 また、スーパーなどの生活に密着したお店が認知症の人が買い物しやすいような環境になっていれば、認知症を抱えながら暮らしている人も安心して生活できますよね。 それに認知症への理解が広まっていけば、もしかしたら認知症の人の助けになるような商品がもっと増えていくかもしれません。 将来的に、家族や自分が認知症になることは十分ありえること。認知症の人が暮らしやすい環境を多くの企業が作ってくれると助かりますね。
2022/04/08
「おなかの調子を整える」「脂肪の吸収を穏やかにする」といった表示がされている商品を目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。 最近では認知機能に関する商品も増えてきており、「記憶力の維持」などの表示がされたものも販売されています。 しかし、これらの「機能性表示食品」のネット広告に消費者庁のメスが入りました。 具体的には、ネット広告を出していた223商品のうち131商品が食品の虚偽や誇大表示の「健康増進法違反」の疑い。そのなかでも3商品が「景品表示法違反」の疑いがあるため、表示の改善指導をおこなったそうです。 消費者庁が誇大広告に改善指示 消費者庁は、認知機能の改善効果をネット広告に記載している223の機能性表示食品のうち、131商品について健康増進法違反の疑いで指導を実施。そのなかの3商品については、より重い景品表示法違反の疑いがあるとして、口頭で直接の指導をおこなったことを明らかにしました。 機能性表示食品とは、科学的根拠を届け出れば審査を受けずに食品に含まれる成分の健康への効果を表示できる制度。健康維持・増進の効果は表示できますが、病気の治療や予防効果を記載することはできません。 しかし今回指導された131商品については、届出以上の効果を誤認させるおそれがある表現や届出とは異なる年代にも効果があると思わせるような表示がされていたそうです。 例えば、次のようなケースがあったそうです。 「認知機能の一部である視覚的な記憶力を維持する機能が報告されています」と限定されているのに、広告には「認知機能を維持する」と表示している 届出の対象は中高年なのに「受験生の考える力を鍛えるために」「学校・塾でお子様の集中力アップに」と表示している また、消費者庁は認知機能に関する機能性表示食品について「認知症の予防や治療に有効だと根拠のある特定の食品はない」と明言。消費者に注意を促しています。 認知機能への関心を逆手に…? 認知機能の低下は誰もが避けられないことだけに、多くの人が維持や機能の低下予防に関心がある事柄でしょう。 しかし、こうした注目度を逆手に取って、食品の機能を誇張したり治療薬のような効果があると勘違いさせるような広告には要注意です。 消費者庁は「認知症の予防や治療に有効だと根拠のある特定の食品はない」としているので、「認知機能改善に効果があるかも」くらいの気持ちで購入するのが良いかもしれないですね。
2022/04/05
高齢化によって認知症の高齢者の数は増加すると見込まれています。 厚生労働省の推計によると、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるとも。そこで問題のひとつとして挙げられているのが、「認知症の人が起こした事故の賠償」です。 もし認知症の人が1人で外出して事故を起こしたり誰かに怪我をさせてしまった場合、家族が損害賠償責任を負うこともあります。 過去には約720万円の賠償を命じられたケースも。そこで、兵庫県高砂市では賠償金を支払う保険に市が代わりに加入する制度を設立しました。 この制度によって、約3億円までであれば保険によってカバーできるようになるそうです。 損害賠償は家族がおこなう? 高砂市では、今年7月から認知症の人が起こした事故の賠償金を支払う保険に家族に代わって市が加入する制度を設けることを発表しました。 この制度の対象となるのは、「自宅で暮らしている」「認知症だが歩き回る体力があると診断を受けている」「『市高齢者等見守り・SOSネットワーク事業』に登録している」の3つの条件を満たしている高齢者。これらの条件をクリアできれば、市が年間保険料1810円を負担します。 この制度ができた背景には、2007年の愛知県での鉄道事故があります。 この事故は認知症の高齢男性が線路に立ち入り、電車にはねられて亡くなったもの。男性の妻と息子に振替輸送費などの約720万円の賠償を命じられました。 このケースは最終的に賠償請求は棄却されましたが、これを機に認知症の人が起こした賠償金の支払いが注目されるようになりました。 こうしたことから、全国の自治体で認知症の人の賠償補償をする取り組みが広がりつつあります。 兵庫県内でも、神戸市や尼崎市などの6つの市で保険料を負担。認知症の人やその家族が安心して暮らせるまちを目指すとしています。 認知症の人が暮らしやすい環境へ この数年、認知症の人が行方不明になるケースが増えています。 警察庁によると、2015年の認知症の人の行方不明者数は約12200人。それが2019年には約17500人にまで増加しているのです。 つまり、認知症の人が1人で出かけて交通事故を起こしてしまう危険性も増加しているということ。「もし家族が事故に巻き込まれてしまったら…」と考えると不安になってしまいますよね。 そういうときに自治体で保険に加入してくれていると、少しは安心かもしれません。 今回の高砂市のような制度が導入されているかどうかは自治体によって異なるので、お住まいの地域で確認してみてくださいね。
2022/04/05
高齢ドライバーによる事故が社会問題になっています。 警察庁によると、2021年度の高齢ドライバーが起こした死亡事故の割合が過去最高になったとのこと。全体の交通事故件数が減っているため件数自体は減っているものの、全体に占める高齢ドライバーの割合が高くなっているのが現状です。 高齢ドライバーの事故状況については、こちらの記事でも記載しています。参考にしてみてください。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-7180/ そうした状況を受けて、自動車の出張整備などをおこなうSeibii(セイビ―)社が「後付けペダル踏み間違い急発進抑制装置」の無料配布を決定。ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故の防止に活用してほしいそうです。 ペダルの踏み間違いを防ぐ装置 全国で車の出張整備・パーツ取り付けサービスをおこなっているSeibii社が、30名限定で「後付けペダル踏み間違い急発進抑制装置」の無償キャンペーンをすることを公表しました。 この装置は、日本自動車車体補修協会が提供する後付けタイプのもの。停止状態から急にペダルを強く踏むとシステムが作動して加速を抑制します。 そのため、「減速しようとしてあわててアクセルとブレーキを踏み間違えた」「バックで駐車しようとして間違えてアクセルを踏んでしまった」という場合でも、この装置によって急加速ができなくなるので、事故を防げるそうです。 今回のキャンペーンでは、この装置を無償で提供。取り付け費用は2万2000円かかりますが、格安で後付け装置が利用できるキャンペーンになっています。 高齢ドライバーならではの事情が… 高齢ドライバーは加齢による判断機能の低下だけでなく、身体的な特徴から事故を起こしやすくなっているとされています。 例えば、後方を確認するために右に身体をひねると、脚も一緒に右にスライドしてしまいます。すると脚がアクセルペダルの方に移動するため、ブレーキを踏んだつもりでアクセルを踏んでしまうそうです。 特に高齢者は身体が固くなっているので、若い世代よりも脚がズレやすくなってしまうのです。 こういった高齢者ならではの事情があるので、運転をサポートする装置を付けていると安心。今回の装置以外にも後付け装置が登場しているので、検討してみてもいいかもしれませんね。
2022/03/31
「ポリファーマシー」という言葉を知っていますか? ポリファーマシーとは複数の薬を併用することによって、健康に悪影響が出ること。薬の併用自体は問題ないのですが、服薬する薬の数が増えてくると副作用のリスクが高くなるため問題視されています。 特に高齢者は、薬物の代謝機能が低下しているうえに服薬する薬の数が多くなる傾向があり、数年前から厚生労働省は高齢者のポリファーマシー対策に取り組んでいます。 そこで、改めて厚生省がポリファーマシー対策の業務手順書について紹介。多職種の連携など具体的な対策方法や始め方を解説しています。 多数の服薬で健康に悪影響が? 厚生省は高齢者のポリファーマシーが問題になっていることを受けて、対策のための業務手順を公開しています。 ポリファーマシーとは、多数の薬を併用することで健康への悪影響や服薬忘れが起きやすくなる状態のことです。 加えて、薬の数が5種類以上になると転倒リスクが増加し、6種類以上になると副作用による健康被害が増えるという研究結果も発表されています。 なかでも高齢者は、複数の病院に通って持病の治療をしていることが多く、病院ごとに薬が処方されるため服用する薬が増える傾向があります。 そのうえ、高齢になると薬の効果を弱める肝臓の代謝機能や排泄機能が落ちることで、若い世代よりも薬の効果が強くなります。そのため薬の副作用が起きやすく、意識がぼんやりしたり幻覚を見るといった認知症に似た症状が出ることもあるそうです。 そこで、数年前から厚生省はポリファーマシー対策を実施しており、今回は医療現場での具体的な取り組みを「業務手順書」という形でまとめています。 その内容のひとつに多職種の連携があります。 例えば、医師は処方を見直す、薬剤師はお薬手帳に見直し内容を記載する、事務職員は電子カルテをポリファーマシー対策の視点を加えて様式を変更するといった具体的な対応方法が紹介されています。 かかりつけ医に減薬の相談を 年を重ねると、複数の病院に通院していることは珍しくなくなります。そのため、「どの薬をいくつ飲めばいいかわからなくなる」という人もいるのではないでしょうか。 薬の数が減ることで医療費が少なくなります。服薬の負担が減るうえに経済的な負担も減るのであれば、とても助かりますよね。 薬が減ることで持病が悪化しないか不安になることもあるでしょう。当然、自分の判断で薬を止めることは危険ですが、かかりつけ医や薬剤師に相談してみるのも良いかもしれませんね
2022/03/29
認知症などによって判断能力が低下した人の代わりに、後見人が財産の管理や介護サービスの契約などをおこなえるようにする「成年後見制度」。年々利用する人は増えていますが、認知症患者の増加率に比べると伸び悩んでいるのが現状です。 そこで政府は成年後見制度の利用を促進するために、新たに「利用促進基本計画」を策定。今月25日に閣議決定されました。 この計画によって、制度のわかりにくい点や後見人が終身契約である点など「使いにくい」とされてきた部分が見直されるそうです。 わかりにくい・使いにくい点を見直す 今月25日、政府は成年後見制度の利用促進基本計画を閣議決定しました。 これは来年度から5年間の制度利用促進に関するもの。2016年から5年間の利用促進基本計画が今年度で終了することを受けて策定されました。 成年後見制度は、認知症や精神障害などの理由で判断能力が不十分とされる人が、財産の管理や介護サービスなどの契約をするときの代わりに後見人を立てる制度。親族が後見人になることもあれば、弁護士や司法書士などの士業に依頼することもあります。 新たな基本計画では、都道府県に対してオンラインによる相談の協力を弁護士会などに呼びかけるように要請することを検討します。 これまでも、市区町村が弁護士や司法書士などと連携して住民からの相談窓口を充実させることを求めてきましたが、地方の弁護士がいない過疎地域などでは実現が難しく、整備が進んでいない実情があったためです。 また、成年後見制度の利用者の判断能力に合わせて3段階に分かれている点も変更を検討するそう。3段階に分かれていることが制度のわかりにくさにつながっているとして、一元化することも考えています。 加えて、これまで後見人が不要になったり後見人がふさわしくないために利用を停止したい場合でも、利用中断はできませんでした。そのため、更新型の有期契約に変更することで、利用者が必要とする援助に柔軟に合わせて後見人を交代できるようにすることも検討されるそうです。 制度改正で利用者の増加となるか 成年後見制度の開始から20年以上。利用者は徐々に増えてはいますが、増加率が高くならないのが現実です。 成年後見の利用者は、2021年末時点で約24万人。認知症の人が約630万人とされているので、利用率は3.8%にとどまっていることになります。 この理由として考えられているのが、制度の「わかりにくさ」と「使い勝手の悪さ」。そのため、今回の基本計画で制度が改正されることによって、利用者の増加が期待されています。 「年を重ねると判断力が落ちる」という不安は誰しもが持つもの。成年後見制度はそういったときにサポートしてくれる制度なので、もう少し利用しやすくなってほしいですよね。
2022/03/28
またひとつ、高齢のドライバーに関する、捉え方の難しい数字が発表されました。 昨年、交通死亡事故を起こした75歳以上の高齢ドライバーで事前に認知機能検査を受けていた人のうち、検査結果として「認知症のおそれがある」「認知機能の低下のおそれがある」とされていた人の割合が4割を超えていたというのです。 その判定が出ていた時点で免許の更新をおこなわなければ、悲惨な事故につながらなかったかもしれない…と考えると、複雑な気持ちを禁じえません。 「認知症のおそれがある」高齢者の4割が免許を更新… 2021年、免許更新時に認知機能検査を受けた高齢者のうち、「認知症のおそれがある」と判定を受けた人の数は3万3998人いたそうです。 このうち、自主的に返納するなどして免許の更新をおこなわなかった人は、6割の2万1269人。これはつまり、「認知症のおそれがある」と言われているのに4割もの人が免許を更新したということになります。 そうした人が起こした交通死亡事故に対して、被害者や被害者家族はもちろん、無関係という人でも疑問を抱いて不思議ではないでしょう。 問われているのは、高齢者が生きやすい街づくり 特に都心ではなく地方に住む高齢者にとっては、車は日常の“足”ともなっていることから、運転免許は必要不可欠となっている場合もあるでしょう。 また一方で、都心では、高齢化に伴う75歳以上ドライバーの急激な増加によって、認知機能検査の予約が取りづらいという状況も発生しています。通常で1ヵ月半程度、長いと3ヵ月待ち…ということも珍しくはないようです。 高齢ドライバーの免許更新が個人のリテラシーの問題とすると、一方にある社会的なインフラ整備の課題も、いまもって改善されていないようにも感じてしまいます。 確かに個人のリテラシーは問題であることに違いはありませんが、後期高齢者が急増する今後を見据えて、高齢者が生きやすい社会の整備も急いで欲しいものですね。
2022/03/25
高齢化による人口減少によって、地方の公共交通機関の多くは赤字に陥っています。国土交通省の調べによると、全国の路線バス事業者の約7割が赤字。そのため、本数を減らしたり廃止する路線も増加しています。 しかし自動車免許を返納した高齢者にとって、公共交通機関は重要な移動手段。なくなってしまうと、生活が成り立たない場合もあります。 そこで、各地で民間事業者による交通機関ではなく、自治体が運営に関与する「コミュニティ交通」への切り替えがおこなわれています。 今月コミュニティ交通が導入されたのは、山口県光市の三島地区。ボランティア運転手がスーパーやコンビニまで利用者を送迎しています。 1回300円でスーパーへ送迎 山口県光市で、今月19日からコミュニティ交通の「三島おたすけネット」が開始されました。 コミュニティ交通とは、交通が不便な地域の交通手段として、自治体や地域が関与する交通機関のこと。利用者の減少によって民間の交通事業者が撤退してしまった地域などで導入されています。 三島おたすけネットは、市からミニバンを借り受けた住民団体が運営。自宅近くからスーパーやコンビニ、JAなどへの送迎をおこないます。 このサービスの特徴は利用費用が安いこと。往復で300円しかかからないので、高齢者の便利な移動手段になりそうです。 ちなみにサービスを利用するには、事前登録と予約が必要。毎週土曜日の午前中のみ運行しています。 また、現在は利用目的が買い物だけに限られていますが、ボランティア運転手が増えたら利用目的や送迎先も増やしていきたいそうです。 自治体運営の交通機関が増えていく? 高齢化によって、公共交通機関の需要は高まっていくと考えられていますが、人口が減少している地方の民間事業者の多くが赤字になっている現状があるそう。特に、高齢者の足となっている路線バスの赤字は深刻で、廃線している路線も多くあります。 しかし、これは高齢者に大きく影響する問題。特に駅から離れた場所に住んでいる人にとって、バスがなくなると生活が成り立たなくなる場合もあるでしょう。 そのため、そうした高齢者のために自治体がコミュニティ交通を導入。民間で運営していた路線を自治体が運営する「コミュニティバス」に切り替えていることもあるそうです。 こうしたコミュニティ交通は、高齢者の命綱と言っても過言ではありません。そのため、これからは多くの地域で公営の交通機関が増えていくかもしれませんね。
2022/03/25
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。