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地域の取り組み

医療現場の改革 地域の取り組み 社会問題

過疎地の高齢者に「モバイルファーマシー」。移動する薬局とは?

岐阜薬科大学が、薬の調剤ができる車両「モバイルファーマシー(移動薬局)」の実証実験を10月からスタート。災害時にはすでに存在していましたが、平時の実証実験は全国初です。 モバイルファーマシー(移動薬局)とは? モバイルファーマシーが初めて登場したのは、東日本大震災のときでした。 通常、薬剤師が薬局以外で調剤することは禁止されています。モバイルファーマシーも薬局扱いにはならないので認められてきませんでした。 しかし、多くの薬局が被災した災害時は特例として認められたのです。被災しても普段飲んでいる薬を入手できるようにと宮城県薬剤師会が開発し、被災地に多くの薬を届けました。 また、岐阜薬科大学も林秀樹教授が中心となって、2017年にキャンピングカーを改造したモバイルファーマシーを開発。当初は災害時の備えとしてつくられました。 実際に、モバイルファーマシーは2018年の岐阜県内が豪雨に見舞われたときに活躍しています。 この車内には約200品目にわたる薬が用意され、医師の処方箋に基づいて処方されます。また、調剤時に薬の重さを測る電子天秤や、錠剤などを一回分ずつ分けて袋に入れる分包機といった薬局ならではの設備も完備。安定して電気を供給できるようにソーラーパネルや発電機も備え付けられています。 モバイルファーマシー(移動薬局)の展望 林教授は、薬局の数が極端に少ない過疎地などでのモバイルファーマシーの活用を目指し、平時でも利用できるように国に要請。すると、モバイルファーマシーも岐阜薬科大学の薬局の一部として、平時でも使用することが特別に認められたのです。 今までは、薬局が近くにないため、診療所の医師が患者に薬を届けていた過疎地でも、薬剤師が薬を届けられる可能性が出てきました。 この研究をリードしている林教授は、「医師は診療に専念できるし、患者も薬剤師から、より丁寧な説明を受けられる」と研究に胸を張っています。

2022/11/18

地域の取り組み 最新テクノロジー 糖尿病予防

AIが糖尿病を高精度で予測!大阪府の健康アプリ「アスマイル」に搭載

大阪大学が機械学習を用いて、糖尿病の発症確率を高い精度で予測できるAIを開発し、大阪府が提供している健康管理アプリ「アスマイル」に搭載しました。 このAIを活用して、病気の発症前に自分がどれくらい発症するリスクを抱えているのかを知ることで、生活習慣の改善を促すねらいです。 生活習慣病の発症予測にも日々の健康管理にも使える「アスマイル」 「アスマイル」は、大阪府民が自分で健康管理することを目的に大阪府が提供しているアプリ。会員であれば、過去の健康診断の結果をもとに糖尿病・脂質異常症・高血圧といった生活習慣病の発症確率を予測する「健康予測AI」を利用できます。 なお、発症確率の予測は、直近の健診受信日から3年以内のデータが対象。健康予測だけでなく、血圧や体重、歩数などといった基本的な健康データも記録でき、毎日の健康管理にも有用なものとなっています。 高精度な健康予測AIを作るまで 高い精度で健康予測ができるAIを搭載するまでも平坦な道のりではなかったそうです。 病気の発症予測を高精度なものにするためには、多くの人の健康診断結果を入手し、AIに学習させ、健康予測の精度を検証する必要があります。しかし、これまで個人情報の取り扱いの難しさから、十分なデータが集まらないでいました。 そこで今回、研究グループは大阪府の協力で個人が特定できないよう加工された約28万人分のデータを入手。それによって高精度な健康予測AIを作り出すことに成功しました。 ちなみに、厚生労働省の発表によると、糖尿病が疑われる成人の数が2016年に初の1000万人を突破したそう。しかし、一度糖尿病にかかってしまうと、コントロールすることはできても、完治は難しいのが現状です。 そこで、今回のアプリのように高精度で糖尿病を予測できるツールを活用して、発症してしまう前に手を打っていきたいですね。

2022/11/02

地域の取り組み 認知症対策

子どもたちに認知症を学ぶ機会を!「認知症こどもサイト」で楽しく学習

2022年3月、認知症当事者と家族で構成している「認知症の人と家族の会」が「認知症こどもサイト」を開設しました。 子どもたちに正しい知識を学んでもらい、認知症の人に対して何ができるのかを学んでもらうことが目的です。 「認知症こどもサイト」とは? 「認知症こどもサイト」のメインコンテンツは、2種類の体験ストーリー。子ども視点から認知症の人とどう接していけば良いかを考えていく内容です。 このストーリーの中では、夏なのに分厚いカーディガンを着ていたり、料理が得意だったはずなのに味がおかしくなっていたりと、認知症に見られる典型的な症状がピックアップされています。 さらに、子どもが認知症の症状がある人に出会ったらどのような対応をすれば良いのかクイズを通して学べます。 このクイズに回答すると博士が現れ、回答に対するコメントをしてくれるそう。正解したらほめてくれ、間違った答えを選んでもそれを否定することなく、対話をするように考える機会を与えてくれるのです。 また「認知症のお話Q&A」というコンテンツもあり、「体験そのものが思い出せなくなる」などの認知症に見られる特異な症状や認知症になる原因などを詳しく学べます。 認知症の人々とともに生きるために 厚生労働省の統計によると、65歳以上の認知症の人は約600万人にのぼっています。また2025年には、高齢者の5人に1人は認知症になるという試算もあるほど。このように認知症は生活習慣などに関わらず、誰にでもなりうる病気です。 そのため、認知症になった人が尊厳を持って自分らしく生きていける社会にするためにも、子どもの頃から理解を深める取り組みを進めるのは大切ですね。

2022/11/01

介護予防 地域の取り組み

特養にパチンコ!?高齢者のコミュニケーション促進や指の運動にも

東北地方を中心にパチンコホール事業を展開するニラクが、新潟市南区の特別養護老人ホーム「しなの園」にパチンコ1台、パチスロ1台を寄贈し、体験会が開かれました。 「デイサービスのアクティビティに使いたい」というしなの園のニーズに応え、今回の寄贈の実現に至りました。老人保健施設へのパチンコ台の寄贈は、新潟県初の試みです。 コミュニケーションの手がかりに なぜデイサービスのアクティビティにパチンコなのでしょうか。 これには、娯楽をつくることで利用者のコミュニケーションを円滑にするという狙いがあるのです。 それについて「しなの園」の柏崎理事長は、「利用者にパチンコで豊かな表情になってもらいたい」と述べました。 介護職員は日々が単調にならないように工夫を凝らして、日々のアクティビティを考えます。しかし毎日アクティビティを考えるとなると苦労する人も多いかもしれません。 そこで、単調な日々を送るより刺激があった方が利用者の表情も豊かになるでしょう。 また、パチンコ台を置いておけば、職員の手が空かないときでも、利用者自身で娯楽活動を楽しめます。 利用者にパチンコやパチスロで遊んでもらい、利用者同士のコミュニケーションのきっかけになったら素敵ですね。 パチンコの動作が指の運動にも パチンコは指の運動にもなります。パチンコはレバーを握ったり、ひねったりして玉を弾きますよね。 この「ものを握る」「ものをひねる」という動作は、理学療法士によるリハビリにもよく用いられている運動なのです。 高齢になるにしたがって筋力は衰えていきます。特にものをひねる運動は難しくなることが多く、ドアノブを開けたりペットボトルのふたを開けたりといった動作ができなくなることが増えます。 パチンコ導入は、コミュニケーションを円滑にさせ、筋力低下を抑えることにも繋がっているのですね。

2022/10/31

介護予防 地域の取り組み 認知症予防

認知症予防してポイントがたまる!「脳にいいアプリ」で脳もまちも元気に

埼玉県越谷市と株式会社ベスプラは協定を結び、ベスプラが開発した脳と体の健康アプリ「脳にいいアプリ」を活用した自治体向け健康ポイント連携サービス「こしがや元気‘光齢者’プロジェクト」の実証実験が2022年度より開始することになりました。 「脳にいいアプリ」とは? 「脳にいいアプリ」は、脳の健康維持にとても有効と脳科学が示す活動を楽しくおこなえるスマートフォンアプリです。 認知症の予防に効果的と言われる運動・食事・脳刺激・ストレス緩和・社会参加の5要素がアプリに組み込まれており、人工知能を使って一人ひとりにあった最適な活動を提案してくれます。 「こしがや元気‘光齢者’プロジェクト」 今回のプロジェクトでは、越谷市民の健康推進と消費活動の活性化を目的としています。具体的には、このアプリを使い、健康活動やイベントに参加すると健康ポイントを取得。越谷市内の店舗で利用することができるのです。 ベスプラはこれにアプリや健康ポイントサービスの提供という面で協力。「健康維持・ポイント・コミュニケーション」をテーマに「こしけnがや元気‘光齢者’プロジェクト」を応援したいと語っています。 今後、2023年度の本格導入に向けて、2022年度は数十名の市民の方にモニター使用を開始。課題や問題点を抽出し段階的に対応していく方針です。 「脳にいいアプリ」が目指す認知症予防 「脳にいいアプリ」は現在、東京都八王子市や渋谷区でも導入されており、自治体でこのようなサービスがあると、アプリを活用したくなりますよね。 高齢化の進行によって認知症が一般的になり、今や他人事でないと不安を抱える人も多いでしょう。しかし、適した予防策をとることで、発症・進行を遅らせることができます。 「脳にいいアプリ」もその一つの方法です。健康を維持しながらポイントで買い物を楽しむ。また一つ楽しみが増えそうですね。

2022/10/28

フレイル予防 介護予防 地域の取り組み 高齢者とデジタル

介護施設でスマホ教室?「Smable」でまずはスマホに触れる機会を

今や国民のほとんどがスマートフォンを利用するようになり、高齢者の方もスマホ利用が目立つようになりました。 キャリアショップの店舗などでは、スマホの操作やアプリの使い方を教えてくれる教室がよく開催されていますね。 しかし、自分で店舗に出向くことができない人は興味があってもなかなか足が伸びませんよね。そんな方におすすめのサービスが始まりました。 どこでもスマホの使い方が学べるサービス パソコン教室の事業などを運営する株式会社わかるとできるが提供するスマホ教室運営支援サービス「Smable(スマブル)」を、都内のデイサービスでスタートしました。 このSmableとは、動画でスマホやアプリの使い方を学べるスマホ教室運営支援サービス。よりシンプルで、簡単にスマホ教室を開催できるのが特徴です。すでに150のキャリアショップや地方自治体で採用されています。 高齢者がスマホを学ぶ重要性 わかるとできる社が介護業界へのサービスを開始したのは、通所施設や介護福祉施設でのスマホ教室の実施が介護予防や生活支援のサービスに大きく貢献できることを理由にしています。 つまり、高齢者がスマホを活用できると、さまざまな場面で日常生活の支えとなり、介護予防、自立支援、孤立防止に役立つことが期待できるのです。 その一方で、操作や知識に関する苦手意識やそれらを指導できる環境が整備されていないせいで、より高齢者の情報格差を広げてしまう恐れもあります。 こうした課題を解決するため、より多くの場所でスマホ教育を提供しつつ施設の事業者に負担をかけないサービスとして、Smableが支援していきたいと同社は説明しています。 「使えない!」ではなく、まずは触れる機会を スマホは誰でも触ったり、教えてもらいながら覚えていくもので、その点に年齢の差は関係ないかもしれません。 しかし、年齢によって新しい物に触れる機会が減っていく場合もあります。介護施設が機会を作るにも負担が大きく難しいこともあるでしょう。 今回のサービスが、このようなことを補うきっかけとして広がり、介護予防や自立支援、孤立防止に役立つと良いですね。

2022/10/27

地域の取り組み 認知症対策

認知症でも「BLG」なら活躍できる!要介護になってから地域とつながる

高齢化社会と言われている現代、デイサービスなどの通所サービスを利用してる人は少なくないですよね。 しかしデイサービスなどは、施設の中で決まった仲間と行動することが多いのが現状です。それだけでも高齢者にとって楽しみや希望につながっているのは確かですが、高齢者と地域の人や社会とのつながりは生まれにくいのではないでしょうか。 今回は、仲間だけでなく地域や社会とのつながりを重視して活動している「加盟型認知症共創コミュニティ」を紹介します。 加盟型認知症共創コミュニティ「BLG」とは BLGは、日本で初めて「社会参加型デイサービス」を実現した前田隆行氏がスタートした、新しい加盟型認知症共創コミュニティです。 ”できることを当たり前に、新たなチャレンジも当たり前に。認知症や要介護になってから忘れていた、当たり前のコミュニケーションを取り戻す”という目標のもと活動しています。 まず、BLGに加盟したい通所介護などの事業所が事前打ち合わせや研修プログラムを経てBLGに加盟。登録が完了したら、事業所を利用している高齢者が外部への有償ボランティアなどの活動に赴く、という流れです。 例えばBLG八王子では、HONDA販売店での洗車をしたり、木工製品の販売などをしたりと幅広い有償ボランティア活動により、口コミが広がり稼働率は95%以上をキープしています。 施設の中だけでなく、地域の企業などに貢献することによって、高齢者と社会のつながりを築け、利用者の満足度も上がるそうです。 神奈川県に新拠点が誕生 この度、BLGは神奈川県で初となる新拠点「BLG横須賀」を設立しました。 それに伴い、加盟事業所の新規募集も開始したとのこと。BLGを展開する100BLG株式会社は、2027年までに全国100ヵ所にBLGを設立し、日本をとりまく認知症と介護をめぐる常識を変えるプロジェクトに挑戦しています。 この活動は、「第9回アジア太平洋地域・高齢者ケアイノベーションアワード2021 認知症ケア部門最優秀賞」も受賞していて、世界からも注目されています。 「認知症になったから」「要介護だから」という理由で外との関わりを持つことを諦める必要はありません。 BLGのような取り組みもあるのだということを頭に置いて、高齢者の可能性を引き出す手伝いをしていける社会になっていくと良いですよね。

2022/10/25

地域の取り組み 社会問題 高齢者の交通安全

免許返納した高齢者に「山田うどん」が埼玉県75店でポテトをサービス!

近年、高齢者の自動車事故が多発しています。免許の返納も呼びかけられていますが、車移動に慣れてしまっていると公共交通機関やタクシーでの移動を面倒に感じる人も多いのではないでしょうか。 そこで、高齢者の免許返納を促す後押しになればと、地域の企業と共に運転免許返納者に対するサービスを提供している自治体があります。 「運転経歴証明書」で無料サービスが受けられる 運転免許を自主的に返納した高齢者への生活支援を目的として埼玉県警がおこなっている「シルバー・サポーター制度」があります。 この制度は、原則65歳以上を対象に、運転免許を返納した際に発行される「運転経歴証明書」を提示することで協賛店でさまざまなサービスを受けられる制度です。 運転経歴証明書は、運転免許に代わる公的な本人確認書類として利用できるもので、申請すると取得できます。 例えば、今月から協賛の決まった山田うどん(本社・所沢市)では、埼玉県内の75店舗でフライドポテトを無料サービスする予定です。 山田うどん本社でおこなわれた意見交換会では、埼玉県内の事故状況や県警の取り組みについてや、管内で起きた死亡事故などを例に所沢署長が説明。協賛に感謝する言葉が述べられました。 山田うどんでは、お客に対して、アルコールの注文の際に運転の有無を確認する、従業員に対しては220台のアルコール感知器を導入して検査するなど、飲酒運転防止に取り組んできた実績もあります。これからも引き続き飲酒運転や交通事故防止の社内意識向上に努めていくそうです。 免許所有者の運転事故率は70歳から上昇 自動二輪なども含めた運転免許所有者10万人あたりの事故件数は、免許を取得して直ぐの16~19歳で1043.6件と最も多く、年齢を重ねるごとに減少していきます。 しかし35~69歳までの事故件数が300件前後で横ばいなのに対し、70歳から徐々に件数が上昇し、85歳以上になると524.4件となり、加齢に伴い事故率が上がっていることが分かります。 「自分は大丈夫」「長年運転してきたし、今更事故はないだろう」という過信が事故の元。少しでも運転に不安を感じたら免許を自主的に返納することが、加害者も被害者も減らすことにつながります。今一度、自分の運転が安全かどうか確認してみてはいかがでしょうか。

2022/10/20

フレイル予防 地域の取り組み 調査結果

約7割がフレイル検診を受けていない!ICTを活用した最新対策とは

フレイルとは、英語で「虚弱」を意味する言葉で、加齢に伴い身体の機能が低下し、それにより健康障害が起きやすくなった状態です。健康な人と介護が必要な人との間くらいの状態です。 この状態になることはあまり好ましいとは言えません。健康寿命を延ばすためにはフレイルを予防することが重要です。そのため、2020年4月から75歳以上の後期高齢者を対象に、特定健康診査の標準的な質問票の代わりにフレイルなど高齢者の特性をふまえた健康状態を把握するための健診(フレイル健診)が開始されました。 認知の進まないフレイル健診 ただ、このフレイル健診の認知はあまり進んでいません。75歳以上の方にフレイル健診を受診したかどうかを質問したところ、「受診した」は23.1%、「受診してない」は66.8%となりました。 しかし、フレイルになることが心配かどうかを質問したところ、「心配である」と答えた人は75歳以上のどの世代も過半数を超える形となり、フレイルへの心配に対して対策が進んでいないことがわかります。 さらに、親のフレイルに対するアンケートでは、親が要介護状態でない人に、フレイル予防・改善として「現在サポートしていること」を質問したところ、コミュニケーションが41.4%で最も高く、「共食」が18.3%で「栄養管理」が10.7%でした。 さらに、「とくにない」は43.1%にもなり、高い数字となりました。また、「親がフレイルになることが心配」と答えた人の32.7%は、現在サポートしていることは「とくにない」と回答していて、3人に1人は対策していないようです。 京都市のフレイル対策モデル 京都市では、保健師や管理栄養士などの専門職の連携による支援や、体力測定によるデータを活用した仕組みづくりに取り組んでいます。 2018年度から積極的な取り組みをしており、2019年度には大手企業のNECと連携して、データの面からフレイル対策を進め、2022年度からは新たなステージでの取り組みを目指しています。 その結果、高齢者の「通いの場」で専門職による支援やデータ活用を進めることで、取組前後と比べ体力の維持・向上がなされてることが確認され、実用性のある対策が進んできているようです。 現在あまり進んでいるとは言えないフレイル対策ですが、京都市のように全国でもうまく対策が進んでいくことが期待されますね。

2022/10/18

地域の取り組み 認知症対策

認知症の人が困ってるとき、何と声をかける?認知症の支援を地域で学ぶ

厚生労働省の研究調査によると、2025年には高齢者の約700万人が認知症になると推計されています。そのため、認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人を温かい目で見守ることができる地域づくりが必要とされています。 そこで広島県竹原市では、認知症の人を地域で支えようと、小学4年生の児童と地域住民が参加し「認知症の人への適切な声のかけ方を学ぶ講座」が開かれました。 徘徊する認知症の人を見つけたら どのように声をかけたら良いの? 認知症の人の徘徊の特徴は、季節にあわない服装をしていたり、スリッパや裸足で歩いていたりすることです。 ではこのような人を見つけたら、どのように声をかけたら良いのでしょうか。竹原市社会福祉協議会によると「目線を合わせて笑顔でゆっくり話しかける」のが認知症の人を見つけたときの正しい声のかけ方だそうです。 竹原市で開かれた講座では、「小学校周辺で徘徊をしている認知症の人に声をかける」という想定で練習がおこなわれました。 この講座に参加した男子児童は「認知症の人を不安にさせないよう、否定したりせずやさしく話しかけました」と話しています。このような知識を身につけることは、認知症の人を地域で支援するうえでとても大切なのではないのでしょうか。 認知症になっても安心して一人歩きを楽しめる街づくり 外出先で戸惑ったり、迷って家に戻れなくなったりと行方不明になってしまう認知症の人が年々増えています。「いつものあの場所に行きたいな」「あの人に会いたいな」など外に出かけたいと思う気持ちはいくつになっても、認知症になっても変わりません。地域に出るということは生活の大事な一部であり、行方不明はまだまだ歩けて元気な人だから起きていることなのです。 現在、地域で認知症の人が行方不明になった時に早期に対応できる仕組みとして、認知症の人を地域の皆で「探す」「声をかける」など自然と認知症の人を見守れるような仕組みが必要とされています。 そのため、地域の人が見守ることで「認知症になっても安心して一人歩きを楽しめる街」になるのではないのでしょうか。

2022/10/17

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

介護の基礎知識

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