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特集

Q&A

老人ホームに入居する、なんていう経験は人生でもそうあるものではありません。当然、わからないこと、不安なこと、疑問などなど、頭の中が「?」マークでいっぱいになっていることでしょう。そんなアナタに、自称“日本一、老人ホームの入居相談を受けてきた男”こと「いい介護」入居相談室の室長・北野が、みなさんの疑問・質問にお答えします!
#認知症 #施設入居 #在宅介護

母親が入院中に認知症に!退院後、自宅で介護をするのは無理な状態です。どうしたら良いですか?

先日、一人暮らしをしている母が自宅で転倒してしまい、脚を骨折して入院しました。脚の治療は順調なのですが、意味のわからないことを言ったり、亡くなった父が病室にやって来た、などと言うように…。様子がおかしいので検査してもらったところ、認知症であることがわかりました。 骨折の治療が終わったら退院しないといけません。ですが、今の状態の母では一人暮らしはできないだろうし、仕事と子育てで私が介護するのも無理です!どうしたら良いでしょうか? (上村さん・会社員・58歳) 主な退院後の選択肢としては、「在宅介護サービスを使って自宅で介護をする」「老人ホームに入居する」「別の病院に転院する」の3つがあります。いずれにしても、退院までの短い時間でお母様の今後の生活を決めないといけません。まずは今後の方針を入院中の病院のケースワーカーさんに相談しましょう。方針が決まったら、それに合わせて、今後の生活の基盤を整えていきます。老人ホームに入居する場合、一般的に入居までに1ヵ月ほどかかります。また、希望の施設が満室ですぐに入れないことも。その場合、一時的に介護老人保健施設(老健)に入所したり、ショートステイを利用するなどの方法がありますよ。 親が入院中に認知症に。どうすれば良い? 先日、一人暮らしの母が自宅で転倒して骨折のため入院しました。しかし、入院中に亡くなった父が病室にやって来たと言うようになったり、話の辻褄が合わなくなったりと様子がおかしくなり、検査をしました。そうしたら、アルツハイマー型認知症ということがわかりました。その後、リハビリ病院に転院したのですが、症状は悪化していくばかり。私のことはわかるのですが、私の妻や娘のことはわからなくなってしまいました。こんな状態なのに、「認知症の対応はできない」と言われて、残り1ヵ月ほどのリハビリ期間が終わったら退院しないといけません。一人暮らしに戻るのは無理だし、私が仕事と子育てで忙しく家で引き取って介護するのも難しいです。どうしたら良いでしょうか? 入院をきっかけに認知症を発症してしまったんですね…。つまり、退院までの期間でお母様の今後の生活について判断しないといけない状況というわけですね。退院後の選択肢としては、以下の3つが挙げられます。 在宅介護サービスを使って自宅で介護をする 老人ホームに入居する 別の病院に入院する 在宅介護サービスを使って自宅で介護をする 自宅での介護はかなり厳しいと思います。私も妻も働いていますし…。それに我が家に引き取っても、昼間、母は1人になってしまいます。1人ではほとんど何もできない状態なので、母を1人にしてはおけません。 そうですね…。例えばですが、以下のような在宅介護サービスを活用しても在宅介護は難しいでしょうか? 訪問介護 デイサービス ショートステイ 特に日中は家を空けるのであれば、デイサービスを利用するのはどうでしょう。デイサービスとは、昼間に介護施設に通う形のサービス。食事や入浴、排泄などの介助を受けられます。ご家族が家を留守にする平日はデイサービスに通い、お仕事が休みの日は自宅で過ごす、という生活をしている人もいます。 そういうサービスがあるんですね。介護のことを考えたことなんてまったくなかったので、すべて自分たちでやらないといけないと思っていたので…。日中、母を介護施設に面倒見てもらえるのなら、うちに引き取るのもありかも。 また、ショートステイというサービスも人気です。これは1日から介護施設に宿泊できるもので、宿泊中は食事、入浴、排泄、レクリエーションなどのサービスを受けられます。宿泊中は介護をすべて施設にお任せできるので、ご家族の「介護休み」として利用されることも多いんです。 老人ホームに入居する 老人ホームに入居するのもひとつの手です。在宅介護よりも費用がかかる傾向がありますが、何より介護のプロからケアを受けられるので安心して生活できます。 でも、母は認知症です。認知症でも入れる老人ホームってあるんですか? もちろんありますよ!積極的に認知症の人を受け入れている施設はたくさんあります。例えば、以下の種類の老人ホームは、認知症の人を受け入れていることが多いです。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 この中でも特に人気なのは、特別養護老人ホームです。認知症の人を受け入れているうえに終身利用が可能。そして、費用も安いので常に入居の順番待ちがいるほど人気です。 確かに、安くて終身利用が可能ってかなり魅力的ですね。でも、すぐに入れないのか…。 そうなんです。なので、急いで入居したい場合は特別養護老人ホームだけではなく、他の種類の施設も検討しておくことが大切。いくつか見比べて、すぐに入れる施設を選ぶ人も多いですよ。 別の病院に入院する 今の病院で「認知症の対応ができない」と言われて退院するのに、母を受け入れてくれる病院があるんですか? 精神科や脳神経科のある病院であれば、認知症の人も受け入れてくれることがあります。 そうなんですか!てっきり、認知症だと入院はできないものかと…。 認知症の対応は特殊ですから、一般の病院では入院できないことが多いんです。ですが、精神科や脳神経科は認知症の治療ができる診療科ですから、認知症ケアに対応できるんですよ。もし、入院してしっかりと認知症治療をしたい場合は、入院も検討してみてください。認知症の人が入院できる病院については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 退院までに時間がないときはどうする? 母の退院後、いくつか選択肢があることはわかりました。ただ、退院まで1ヵ月しかないのに、どうやって対処していけば良いのやら…。 まずは、お母様が入院している病院のケースワーカーさんに相談しましょう。ケースワーカーさんは、退院後の患者さんの生活を支援するのも仕事のひとつです。在宅介護にするのか、老人ホームに入居するのか、転院するのか、退院後のお母様の暮らしの方針を決めるうえで、ケースワーカーさんへの相談はかかせません。それに、ケースワーカーさんは地域の老人ホームの情報を持っていることもあり、スムーズに入居先が決まることもあります。とにかく、まずはケースワーカーさんに相談です。 まずは、ケースワーカーさんに相談、ですね。 お母様の状況や今後の生活方針によっては、以下のような相談先もあります。 ケアマネジャー 役所・地域包括支援センター 老人ホーム紹介センター もし、お母様に既に担当ケアマネジャーさんがいるのでしたら、介護のことはケアマネジャーさんに相談してみましょう。在宅介護をするにしても、老人ホームに入居するにしても、ケアマネジャーさんに相談するとスムーズに話が進むでしょう。 うちの母はこれまで介護サービスを利用していなかったので、担当ケアマネジャーさんがいないんですよね。 でしたら、お母様がお住まいの地域の役所や地域包括支援センターに相談しましょう。役所や地域包括支援センターに行けば、介護のことを一からサポートしてもらえますよ。 介護のことをまったくわかっていないので、相談しに行こうかな…。 もし、老人ホームに入居すると決めたのであれば、老人ホームの紹介センターを利用するのもおすすめ。紹介センターではいろんな施設を紹介しているため、複数の施設を見比べるときに便利です。「いい介護 入居相談室」では、老人ホームに精通した入居相談員が一から老人ホーム探しをサポートします。施設探しをする場合は、ぜひご相談くださいね。 入院中に認知症になってしまったら、在宅介護、施設入居、転院の選択肢がある 認知症の症状などによっては、介護施設や転院を考える必要があることも 退院までに時間がない場合は、まずは入院先のケースワーカーに相談しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/11/10

#施設入居

老健はずっと入所できないって本当ですか?父親の在宅介護を続けるのが厳しいので、施設入居を考えています

父が半年ほど前に転倒して以来、歩くのが難しくなって今はほとんど寝たきりになってしまいました。トイレも行けなくなり、おむつです。 昼間はデイサービスや訪問介護を利用しているので大丈夫なのですが、夜中のおむつ交換は私がしないといけないので常に寝不足…。体力的にきついので、介護施設への入居を考えています。 自宅のすぐ近くに介護老人保健施設(老健)があるので、そこに入居させたいと思っているのですが、老健はずっと入所していられないと友人に聞きました。本当ですか? (河合さん・会社員・60歳) そうなんです。老健は終身利用を目的とした施設ではないため、ずっと入所できません。老健では、3~6ヵ月ごとに心身の状態の審査がおこなわれ、問題なければ退所となります。老健を退所した後は、「自宅に戻る」「他の施設に入る」「入院」という選択肢があります。ですが、長期入居を希望しているのであれば、始めから長期入居ができる有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの施設を検討してはいかがでしょうか? 老健はずっと入所できないって本当? 父が半年ほど前に転倒して以来、脚を痛めてどんどん歩けなくなり、今はほとんど寝たきりになってしまいました。昼間はデイサービスや訪問介護を使っているので良いんですが、問題は夜間のおむつ交換なんです。夜中、私が起きておむつ交換を2回しています。私は仕事をしていますし、昼間の仕事に響いてしまって。体力的にきついんです。そのため、介護施設に入居させることを検討しています。自宅のすぐ近くに老健があるのでそこが一番良いかな、と思っているのですが…。友人から「老健はずっとは入っていられないよ」と言われて。老健は入所期間に定めがあるんでしょうか? そうなんです。老健は終身利用ではなく、在宅復帰を目的とした施設。そのため、3~6ヵ月で審査がおこなわれ、身体的に問題がないとされれば退所しなくてはなりません。 えぇ!そうなんですね。戻ってきて、在宅介護をするのは厳しいだろうな…。老健は終身利用できないってことなんですね? 老健のなかでもベッドの空きがあれば、年単位の長期的な入所を受け入れている場合もあります。ただ、これは施設の判断によるので、一概には言えないところですね…。 平均入所期間は10ヵ月程度 老健に入所していられるのは、3~6ヵ月程度ということで良いんでしょうか? 厚生労働省が2016年におこなった調査によると、老健の平均入所期間は約300日。10ヵ月程度だそうです。ただ、この退所した人がすべて自宅に戻ったかというとそうではなく、在宅復帰したのは3割ほど。退所した人の約半数は他の介護施設や医療機関に転院しています。つまり、ご自宅に戻れる状況ではなくても、退所をさせられるケースも多いということ。老健に入所する場合は、次の住まいについても考えておく必要があります。 参考:「介護給付費分科会 介護老人保健施設」(厚生労働省) 退所させられたらどうすれば良い? 父が老健に入所しても数ヵ月で戻ってこられたら困ります。また、自力でトイレに行けるくらいまで回復すれば良いんですが、父の年齢を考えると難しいでしょうし…。もし、老健を退所させられたらどうしたら良いんでしょうか? 老健を退所した後の選択肢としては、以下のようなものがあります。 自宅に戻る 他の介護施設に入る 入院 河合さんがおっしゃる通り、老健のリハビリによって再びご自宅で生活できるほど回復する場合もあります。その場合は、自宅に戻るケースが多いです。 父は転倒して脚を痛めてから歩くのを億劫がっていて…。リハビリもきちんと取り組めるかどうかわかりません。家には戻れない気がしています。 でしたら、他の介護施設に入るのがおすすめです。老健以外にも介護が必要な人向けの施設はありますから、終身利用できる施設に転居するのが良いと思いますよ。 長期入居できる施設は? 北野室長の話を聞いていて、父には老健はあまり合っていないような気がしてきました。リハビリをして自宅に戻るのも難しいでしょうし…。なので、最期まで面倒をみてもらえる介護施設を最初から探そうと思います。どんな施設であればずっと入っていられるんでしょうか? 終身利用できる主な介護施設は以下の2つです。 有料老人ホーム 特別養護老人ホーム 有料老人ホーム 有料老人ホームは、民間企業が運営している施設。「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」があり、介護の体制が充実しているのは介護付き有料老人ホームの方です。住宅型有料老人ホームでも、介護が必要な人の受け入れをしていますが、介護サービスを利用するには外部の介護サービス事業者と契約が必要。使った分だけ介護サービス費が追加されるので、介護が必要な回数が多い場合、料金が高額になる可能性があります。 じゃあ、ほとんど寝たきりの父の場合、住宅型有料老人ホームだと高額になってしまうかもしれないんですね。 おっしゃる通りです。対して、介護付き有料老人ホームは介護サービス費は要介護度に応じた定額制なので、介護サービスをたくさん使っても金額は据え置き。そのため、介護が頻繁に必要な場合は介護付き有料老人ホームの方がおすすめです。 料金が据え置きなのは助かるなあ。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、社会福祉法人などが運営する公的な介護施設です。終身利用できるうえに、費用が安いのでかなり人気の施設なんです。ただ、人気なので入居の申し込みから入居まで数年待つこともあるのがネックなんです。 えぇ!?数年待つんですか!今すぐにでも入居したい状態なのに…。 なので、特別養護老人ホームに申し込みをしておいて他の介護施設に入居するのもひとつの手。特別養護老人ホームの待ち状況にもよりますが、ご自宅近くの老健に入所しておいたり、有料老人ホームなどの比較的に入りやすい施設に入居して順番待ちするのも良いんじゃないでしょうか。 そんな方法もあるんですね!でも、特別養護老人ホームの順番待ちの間だけの入居というと、入った施設に申し訳ない気が…。 いえいえ、施設側も特別養護老人ホームが人気でなかなか入居できないことを知っています。それに、意外と有料老人ホームなどに入居して特別養護老人ホームの空室待ちをする人は多いんです。いざ、特別養護老人ホームが空いて入居できるようになったときにスムーズに転居できるように、入居の段階で「特別養護老人ホームの入居順が来るまでの入居です」と正直に伝えた方が良いでしょう。後悔しない施設選びのために、まずは落ち着いて施設探しをしてくださいね。 平均的な老健の入所期間は10ヵ月程度 老健退所後は、自宅に戻る、他の施設に入る、入院といった選択肢がある 長期入居を希望するなら、はじめから長期入居できる施設を選ぶのがおすすめ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/11/09

#認知症 #排泄 #在宅介護

認知症の母親が汚れた下着をタンスに隠してしまいます。どうしたら止めさせられますか?

認知症の母が失禁して汚れた下着やズボンを隠すのを止めさせたいんです。どうしたら良いでしょうか? タンスの奥や畳と布団の間に隠すので、他の服や畳、布団までも汚れてしまいます。洗濯物は増えるし、家中においがするし…本当に困っています。 (渋谷さん・パート・66歳) 洗濯物が増えたりにおいがするのは困りますね…。まずは失禁対策をして失禁の回数を減らすことから始めてみましょう。あわせて、汚れた下着類を入れるためのカゴなどを用意して、ご自分で汚れた衣類を片付けられるようにすると、隠すことが減るかもしれません。認知症の人が汚れた下着を隠すのは、失禁をしたことが恥ずかしくて隠したいという気持ちがあることが多いです。そうした気持ちを尊重しながら、対策をとっていけると良いですね。 認知症の親が汚れた下着を隠す!どうしたら良い? 認知症の母親が失禁して汚れた下着やズボンなどを隠すんです。すぐに洗濯できないから、汚れが落ちないし、家の中ににおいがこもってしまって困っています。それに、タンスの奥や畳と布団の間に隠すので、他の衣類に汚れが付いたり、畳や布団がシミになってしまって…。 それは大変ですね!洗濯物が増えたり掃除しないといけないから、渋谷さんの負担も増えるのではないですか? そうなんです!何度も「おもらしして汚れた服は隠さないで」と叱っているんですが、認知症のせいですぐ忘れてしまうんです。 渋谷さん。お母様が汚れた衣類を隠したときに、叱ったり責めたりするのはNGな対応なんです。 えっ、そうなんですか!?なぜですか? 認知症の人が失禁して汚れた衣類を隠すのは、「失禁したことを隠したい」という気持ちからであることが多いんです。誰しも失禁することは恥ずかしいと感じますから。そのため、叱ってしまうとお母様の自尊心を傷つけてしまう可能性があるんです。 なるほど…。では、どう対応したら良いんでしょうか? 汚れた衣類を見つけても責めずに回収しましょう。出かけていたり別の部屋にいたりと、ご本人に見られていないタイミングだと自尊心を傷つけずに衣類を回収できるでしょう。また、お母様が汚れた下着やズボンを隠すことを減らすために、以下のような方法も有効かもしれません。 失禁予防をする 洗濯物入れを設置する 失禁予防をする そもそもの失禁の回数を減らすことも大切。そうすれば、洗濯物が増えなくて済みますし、お母様がおひとりでトイレに行けるなら渋谷さんの負担も少なくなりますよね。 確かにそうですね。母は1人でトイレに行ってはいるんですが、最近になって間に合わなくて失禁してしまっているようなんです。 そうだったんですね。失禁の予防策には以下のようなものがあります。いくつか試してみたら効果があるかもしれません。 トイレに行きたい合図を見つける トイレをわかりやすくする 着脱しやすい服にする トイレの使い方を確認する 紙パンツ・パッドを活用する 失禁を予防する方法については、については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 洗濯物入れを設置する 下着やズボンが汚れたらすぐに入れられるように、「洗濯物入れ」を作るのはどうでしょうか。カゴでも箱でもかまいません。設置しておけばその中に汚れた衣類を入れてくれるかもしれません。 そんなに上手くいくかな…。 もちろん、設置してすぐに汚れた衣類を毎回入れてもらえるとは限りません。特に認知症の人は新しいことを覚えるのが苦手になっているので、何度も「汚れた服はこの中に入れて」と説明する必要があるでしょう。それと、洗濯物入れに「洗濯物はこの中に」などの貼り紙をしてわかりやすくしておくのも大切です。また、タンスや布団の下など、汚れた衣類を隠す場所が決まっているのであれば、その近くに洗濯物入れを置いておくと、よりお母様が入れやすくなるでしょう。 親が汚れた下着を隠す理由は? そもそも、母はなんで汚れた下着やズボンを隠すんでしょう?すぐに渡してくれれば、洗濯で汚れが落ちやすいのに…。 先ほどもお話ししたように、失禁したことを隠したいという気持ちがあるんでしょうね…。それも含めて、汚れた衣類を隠すのには以下のような理由があると考えられます。 失禁したことを隠したい あとで洗おうと思って忘れた 汚れた下着の処理の仕方がわからない 失禁は誰しも恥ずかしいと感じることでしょう。それは、認知症になってからも同じです。お母様は「恥ずかしい」「情けない」と感じていて、失禁したことを隠したいと考えて隠しているのかもしれません。 汚れた下着のことを聞くと、母は「おもらしなんてしていない!」と嘘をつくんです。それも失禁したことを隠したいからなんでしょうか? そうかもしれません。もしくは、認知症の影響で失禁したこと自体を忘れてしまっている可能性もあります。 確かに。最近、母の物忘れがさらにひどくなったような気がするので、失禁したのをすっかり忘れているのかも…。 それに、認知症による物忘れのせいで、「汚れた下着を洗おうとして置いておいたけど忘れてしまった」ということもあり得そうです。それに、認知症の影響で作業の手順などを忘れてしまうことがありますから、「汚れた下着を洗いたいけどどうしたら良いかわからない」という状況もあり得るでしょう。 なるほど…。汚れた下着を洗いたい気持ちはあるけど、認知症のせいでできなかった、というわけですね。 おっしゃる通りです。お母様は、汚れた衣類を隠したくて隠しているわけではありません。なので、お母様を責めず、衣類を隠さなくても良い環境を整えていきましょう。それに、今回お伝えした方法でお母様が汚れた衣類を隠すのを100%予防できるとは限りません。「汚れた衣類が隠されているのが減ったら良いな」というくらい、肩の力を抜いて対応してくださいね。 汚れた下着を隠すときは失禁の予防をしたり、汚れた衣類を入れる箱などを作って予防しよう 汚れた下着を隠すのは、失禁の恥ずかしさ、洗い方がわからないのが理由かも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...

2023/11/08

#在宅介護 #介護疲れ

両親の介護と孫の世話で疲れた!離婚して戻ってきた娘と孫の世話が増えて体力的にきつい…

実家の両親の介護に加えて孫の世話まで増えてしまって体力的にきついです。負担を減らす何か良い方法はないでしょうか? 以前から認知症の母の介護と家事をするために週に2回ほど帰省しています。それに加えて、最近、娘が離婚して孫を連れて戻ってきました。娘はフルタイムで働いていますが、保育園に落ちたので昼間の孫の世話も私がしないといけません。 孫は3歳ということもあってやんちゃざかり。家の中を駆けまわったりいたずらしたり…もう、体力がもちません…。 (小野寺さん・主婦・65歳) ご両親の介護に加えて、お孫さんの世話まで…。本当に大変ですね。もし、まだ介護サービスを利用していないようでしたら、積極的に利用しましょう。また、介護やお孫さんの世話が重なって、そのせいで小野寺さんが体調を崩してしまう可能性もあります。そのため、まずはもう少し負担が少なくなるように娘さんに相談しましょう。また、誰かに話を聞いてもらったりストレス発散方法を見つけたり、介護疲れやお孫さんの世話疲れで小野寺さんが倒れてしまう前に手を打ちましょう! 介護の負担が減る方法を知ろう 父と認知症の母が車で30分ほどの実家で二人暮らしをしており、週に2回ほど通って母の介護と家事をしています。つい最近、娘が離婚して孫を連れて戻ってきました。娘はフルタイムで働いているものの、孫を保育園に入れられず、私が孫の面倒も見ることになったのは良いのですが…。3歳のやんちゃざかりの孫は、家の中を走り回ったり私の目の届かないところでいたずらをしたり…。私も年ですし、体力がもちません。負担を減らせる良い方法はないでしょうか? それは大変な状況ですね…。私がお話しできるのは介護についてなので、ご両親の介護が軽くなる方法をお伝えします。介護の負担を軽減するサービスには、主に「介護保険サービス」「介護保険外サービス」の2つがあります。 介護保険サービス 介護保険サービスは、要介護認定で要支援・要介護と判定された方が対象のサービス。介護保険が適用されるため、所得に応じて1~3割の費用負担で済むのが特徴です。介護保険サービスのなかでも、サービスを受ける場所によって「在宅介護サービス」「介護施設」の2つの選択肢があります。 在宅介護サービス 在宅介護サービスって、家にヘルパーさんが来てくれるサービスのことですよね?それは聞いたことがあります。 そうです。ご自宅にヘルパーさんが来てくれて介護サービスを提供してくれるのは、「訪問介護」というサービスです。訪問介護も含めて、在宅介護サービスには以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問入浴 デイサービス ショートステイ 父も母も介護保険サービスを利用していなかったので、どんなサービスがあるのか全く知りませんでした。 例えば、訪問介護を使えば、お母様の分の家事はヘルパーさんにお願いできます。ちなみに、訪問介護でお願いできるのは要介護認定を受けている人の分だけ。お父様も要介護認定を取っているのであれば、お父様の分もお願いできますよ。 母は要介護2なのですが、父は要介護認定を受けていないんですよね。でも、母の分だけでも家事をしてもらえるなら助かります。 老人ホーム 老人ホームに入居することも、介護の負担を減らすひとつの方法です。主な老人ホームには以下のようなものがあります。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 老人ホームか…。まだなんとか2人で暮らしていますし、全然考えたことがなかったです。 そうですよね。本格的に介護が必要になってから、施設入居を検討するケースが大半だと思います。ただ、費用が安くて終身利用ができるので人気のある特別養護老人ホームは、入居の申し込みをしてから入居するまで数年待つこともあります。「すぐに施設に入りたい」と思っても、すぐには入れないのが実情なんです。 えぇ!?何年も待たないといけないんですか! なので、早め早めに施設探しをするのが大切。特に介護とお孫さんの世話を並行している小野寺さんの場合、ご両親の介護が本格化してからでは忙しくて施設探しをする余裕がなくなるかもしれません。 言われてみればそうですね…。もし、母の介護が本格的に始まったら、孫の面倒を見ながら施設探しなんてできそうにないです。 なので、今すぐには入居しないとしても老人ホームの情報集めだけでも始めることをおすすめします。 介護保険外サービス 「介護保険外サービス」って何ですか?聞いたことがないです。 介護保険外サービスは、その名の通り、介護保険が適用されないサービスです。例えば、介護保険サービスの訪問介護が要介護認定を受けている人の分しか家事ができなかったのに対して、介護保険外サービスの訪問介護は、要介護認定を受けていない人の分や長時間の家事も依頼できます。つまり介護保険サービスでは、お父様とお母様の2人分の家事は依頼できませんが、介護保険外サービスなら依頼できるんです。 それは便利ですね!実家に帰るときは、母の介護というより家事を片付けるのがメインなので、家事をやってもらえるだけでも助かります。でも、長時間の家事をお願いするとなると、かなりお金がかかるんじゃないですか? おっしゃる通りです。介護保険外サービスは介護保険が適用されないため、全額自己負担。介護保険サービスの訪問介護で家事を依頼するよりも、かなり費用がかかるので要注意です。 介護疲れ・孫の世話疲れで限界になる前に 私も65歳ですし、両親の介護に加えて孫の世話も重なって、体力的にも精神的にもかなりしんどいです。北野室長に教えてもらった方法で負担が少なくなれば良いんですが…。 そうですよね。介護疲れとお孫さんの世話疲れで小野寺さんが体調を崩さないように、以下のような方法をとっておくことをおすすめします。 話を聞いてもらう ストレス発散方法を見つける 話を聞いてもらう しんどいときに誰かに話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になりますよね。なので、周囲に話せる人がいれば、話を聞いてもらいましょう。 と言われても、なかなか相談できる相手がいないんですよね…。 でしたら、以下のような相談先はどうでしょうか? 家族の会 ケアマネジャー かかりつけ医 役所、地域包括支援センター 「家族の会」とは、主に認知症のご本人やそのご家族による団体です。介護の愚痴や悩みを聞いてもらえますし、長年、介護をしている人や専門家からアドバイスをもらえることもありますよ。また、ケアマネジャーさんやかかりつけ医、役所や地域包括支援センターに相談すれば、各専門家から適切なアドバイスがもらえるでしょう。悩みの解決に具体的に動いてもらうこともできますよ。 ストレス発散方法を見つける ストレスが溜まっているときは、自分なりの発散方法を見つけることも大切。介護や家事で忙しいと時間に追われてしまいますが、自分の時間を確保して、趣味の時間を作るんです。 うーん…。忙しくて自分の時間なんて作れませんよ。 そうですよね…。そういうときは、介護サービスを積極的に活用して小野寺さんの負担を減らしましょう!小野寺さんが自分の時間を確保するために、介護サービスを利用するんです。できた時間で、趣味の活動をしたり体を動かしたり…。小野寺さんのストレス発散にも時間を使っていきましょう! 子供と話をしっかりしよう ここまで、主に介護の負担を減らす方法についてお話ししてきました。ですが、やはりお孫さんの世話の負担も大きい以上、娘さんときちんとコミュニケーションを取ることも大切です。 そうですよね…。娘が仕事から帰ってくるのが遅かったり、私がバタバタしていたりして娘と話す時間が取れていなかったです。 お子さんというのは、親御さんがいつまでも元気でいると思っているもの。若い頃と同じように頼ってくることも多いでしょう。親御さんとしても頼られるのが嬉しい反面、体力的にすべてに応えるのが難しい場面が増えてくると思います。なので、素直に今の状況を娘さんに伝えましょう。娘さんの方でもお孫さんのお世話の負担が減るように取り計らってくれるかもしれません。ご両親の介護もお孫さんのお世話も、どちらも小野寺さんが倒れてしまっては成り立ちません。まずは、小野寺さんの負担を減らせるように対策をとっていきましょう。 負担を減らすために、介護サービスなどを上手く活用しよう 友人や知人に話したり、家族の会などで話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になるかも 孫の世話について、自分の素直な気持ちを素直に話そう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: ...

2023/11/07

#認知症 #在宅介護

認知症の母親がいつもおもらしを…。おもらしをしなくなる方法はありませんか?

同居している認知症の母が、おもらしを頻繁にするようになってしまいました。少し前までは自分でトイレに行けていたのに…。 どうしたら母がおもらしをしないようにする方法はありますか? (関根さん・パート・60歳) おもらしを予防する方法には、お母様のトイレの合図を見つけてトイレ誘導をする、トイレに貼り紙をしてわかりやすくする、トイレの使い方をわかりやすくする、といったものがあります。ただ、こうした予防方法を実施しても、すぐには失禁はなくならないでしょう。失禁をしてしまったときに怒ったり責めるような言い方をするのはNG。ストレスや羞恥心などから、認知症の症状が進行してしまうおそれがあるからです。また、床にビニールのシートを敷いておくと失禁してしまったときにかなり掃除がしやすくなると思いますよ。 認知症の親がおもらしを…。予防法はある? 同居する認知症の母を介護しています。最近、母がトイレに間に合わず、おもらししてしまうようになりました。少し前は自分でできていたのに…。その度に床の掃除や洗濯物が増えて本当に大変で…。においがなかなか取れなくて、家中におしっこのにおいがするようになってしまいました。母がおもらしをしなくなる方法ってありますか? ご家族が失禁されるとショックも大きいですし、掃除などの後片付けが大変ですよね…。失禁が100%なくなるとは言えませんが、以下の方法を実践すれば頻度が減るかもしれません。 トイレに行きたい合図を見つける トイレをわかりやすくする 着脱しやすい服にする トイレの使い方を確認する 紙パンツ・パッドを活用する トイレに行きたい合図を見つける 認知症が進行した影響で「トイレに行きたいのに、トイレに行きたいことがわからない」という状況になっている可能性が考えられます。認知症がなければ、尿意をもよおしたら「排泄がしたいんだな」と理解してトイレに向かいますが、認知症になると尿意をもよおしても、それが”トイレに行きたい”という体からのサインであることがわからなくなってしまうんです。 つまり、「尿意があってもトイレに行かなくて、おもらししてしまう」ということですか? その通りです!ただ、ご本人が尿意を理解していなくても、そわそわしたりもじもじしたり、普段と様子が変わることがあります。そのため、いつもと違う様子があったら「トイレに行こうか」と誘導してみてください。また、トイレに行く時間がある程度決まっているようでしたら、毎日同じ時間帯にトイレに誘導するのもおもらしの予防につながるでしょう。 トイレにわかりやすい貼り紙をする 認知症の影響で、トイレがどこかわからなくなってしまった可能性も考えられます。 最近まで、自分でトイレに行けていたのにですか? はい。認知症が進行すると、それまでできていたことやわかっていたことがわからなくなってしまうことがあるんです。なので、トイレのドアに「トイレ」「便所」「お手洗い」と大きく書いた紙を貼ってみましょう。もし、トイレの場所がわからなくて迷っているうちに我慢できなくなって失禁をしてしまっているのであれば、効果があると思いますよ。 そういえば、この間は母が廊下をうろうろしているときにおもらししていました。もしかしたら、トイレの場所がわからなくて迷っていたのかも…。 トイレの使い方を確認する そうなんです。認知症の中には、今までできていた動作ができなくなる「失行」と言う症状があります。体の機能的には問題がないのに、道具の使い方や作業の一連の流れがわからなくなってしまうんです。なので、「便座のふたを上げる」「便座に座る」「排泄後にレバーで水を流す」といった、トイレの一連の流れを確認しましょう。 今まで当たり前にできていたことなのに…。急にできなくなることがあるんですね。 そうなんです。一度では思い出せないことも多いですから、トイレの使い方を練習するつもりで何度も説明して声掛けをしましょう。 着脱しやすい服にする ご高齢になると、指先が上手く動かなかったり力が弱くなることでトイレの際のズボンの上げ下ろしに時間がかかり、トイレに間に合わないことがあります。なので、ボタンとチャックのジーパンからウエストがゴムのズボンや、服の生地自体が伸縮するようなズボンなど、着脱のしやすい服に変えましょう。それだけでも、誰かの手を借りずにご自分だけでトイレに行けるようになることがありますよ。 紙パンツ・パッドを活用する 現在、お母様が普通の布のパンツを使用している場合、紙パンツや尿とりパッドを使うと失禁して下着や衣服を汚す頻度が下がるでしょう。 紙パンツっておむつみたいなものですよね?それを母が利用してくれるかどうか…。 いえいえ、おむつではなく下着感覚で使える紙パンツです。使い捨ての下着として渡すと意外とすんなりと利用してくれることがありますよ。もし、紙パンツを利用したがらない場合、尿とりパッドを今使っている布パンツの上に重ねて使うのでも効果があるでしょう。 なるほど…。確かに紙パンツや尿とりパッドを使うだけでも、おもらしして床や下着、ズボンを汚すことは減りそうですね。 おそらく、紙パンツでも尿とりパッドでも慣れないうちは、抵抗感があるでしょう。でも、トイレのわかりやすいところに置いておくなど、徐々に紙パンツや尿とりパッドに慣れるような工夫をしていくことが大切です。 認知症の親がおもらししてしまったときは ここまで、お母様の失禁を予防する方法をお伝えしました。もし、お伝えした方法を試しても、すぐに失禁がゼロにはならないと思います。新しいやり方に慣れるまでには失禁してしまうこともあるでしょう。失禁してしまったときに、「またおもらししたの!?」と怒ったりお母様を責めるような声掛けはNGです。 あぁ、言ってしまっています…。 失禁はショックが大きく、自尊心が傷つく出来事です。そのときに、怒ったりするとさらに自尊心を傷つけてしまいます。そのため、お母様が失禁してしまったときは冷静に優しく対応することを心がけてくださいね。 掃除しやすい工夫を 毎日のように母のおもらしで汚れた床の掃除が大変なんです。特に母の部屋が和室で、畳は尿で汚れるとなかなかにおいが取れないですし…。 でしたら、床や畳の上にビニールシートを敷いてみるのはどうですか?汚れをはじきますから、水拭きだけで済みますよ。 それは良いですね! フローリングのようなデザインで滑りにくい材質でできたフローリングカーペットもあります。畳は滑りやすいので転倒防止にもなると思いますよ。お母様の失禁はご家族にとってとてもショックなことですし、掃除や洗濯などの負担が増えてより大変になると思います。だからこそ、お母様が失禁してしまう理由をよく理解して失禁を予防していきましょう! トイレの場所をわかりやすくする、着脱しやすい服にするなどの予防を おもらししてしまっても、怒ったり責めるような言い方はNG おもらししても掃除をしやすい工夫で、介護を楽に pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/11/06

#施設入居 #在宅介護 #介護のお金

親の介護のお金は子供が負担するものですか?80歳を超える高齢の母がいるので心配です

82歳になる母親が実家で一人暮らしをしています。母はまだ介護が必要な状況ではありませんが、年齢も年齢ですし、近い将来、介護が必要になるだろうな、と思っています。 お父さんが老人ホームに入っている友人から、毎月かなりお金がかかると聞きました。介護ってお金がたくさんかかりますよね?それは子供が負担しないといけないものなんでしょうか? (寺田さん・会社員・59歳) まずは、お母様のお金から介護費用を捻出できるように考えましょう。もし、足りない場合にお子さんが分担して負担する方が、継続的に介護できるでしょう。そのためには、まずはお母様の資産状況を把握しておくことが大切。貯金や年金などのお金、生命保険の契約状況などを把握して、いくらまでだったらお母様の財産から支払えるのかを見積もっておくんです。また、介護が始まる前に介護の方針やメインの介護者について考えておいてください。他に御きょうだいがいる場合、事前に話し合っておくと介護が始まったときもスムーズに進められるでしょう。 親の介護のお金は子供が負担するもの? 82歳の母が実家で一人暮らしをしています。母はまだ元気ですし、介護が必要ではありませんが、年齢を考えると介護が始まるのも時間の問題だと思っています。介護についてはいろいろと不安が多いのですが、一番気がかりなのがお金の問題。親の介護をしている友人から毎月かなり費用がかかっている、と聞きました。こういう介護のお金って子供が負担するものなんですか? いえいえ、基本的にはお母様のお金から支払うのが良いでしょう。介護の費用と言えど、お母様の生活費用だからです。ただ、お母様の貯金や年金だけでは足りない可能性があります。その場合は、お子さんが分担して支払うのが良いでしょう。 なるほど、足りない分だけ費用を出すので良いんですね! 親の介護にはどれくらい費用がかかる? 介護ってどれくらい費用がかかるんでしょうか?母のお金から出すにしても、出費の目安を知りたくて。 そうですね…。介護費用は一人ひとり大きく異なる、というのが回答になってしまいます。要介護度や利用するサービスによってもかかるお金がかなり変わるからです。とはいえ、参考になりそうな調査があります。「生命保険文化センター」が2021年におこなった調査では、介護にかかった費用の平均は8.3万円。在宅介護だと平均月4.8万円、施設入居だと平均月12.2万円と、在宅介護か施設介護かで大きく金額が異なります。 このグラフによると、月1~2万円で収まる場合もあれば、15万円以上かかる場合もあるんですね…。 介護が始まる前に準備しておくこと 介護にはいろいろと不安なこともあるでしょう。そうした不安も少しでも小さくするために、介護が本格的に始まる前に準備をしておきましょう。 準備ですか。どんなことをすれば良いんですか? 具体的には、以下のようなことです。詳しくお話ししていきますね。 親の資産を把握しておく 介護の方針を決めておく 主介護者を決めておく 親の資産を把握しておく 介護費用をどうやって捻出するのか考えるために、まずは、お母様の資産状況を把握しましょう。 母の資産ですか…。といっても、年金くらいなものでしょうか。 いえいえ、以下のようなものについて把握しておくのと良いでしょう。 年金 全ての銀行口座 不動産 株式などの有価証券 生命保険 負債 こんなに確認しておかないといけないことがあるんですね! そうなんです。事前に確認しておけば、いざというときに安心ですから。お母様にノートなどにまとめて書き出しておいてもらうと良いでしょう。 介護の方針を決めておく お母様や他のご家族と介護の方針について、事前に話し合っておいてください。 介護の方針って、具体的にはどんなことを話し合えば良いんですか? 例えば、次の内容です。 自宅で暮らし続けたいか 介護施設に入居したいか 自宅・土地の管理をどうするか 特に、自宅で暮らし続けたいかや介護施設に入居したいか、といった点は介護をするうえで大きく影響します。急に介護が必要になり、ご本人やご家族の意思がはっきりしないままに介護が始まってしまうケースも少なくありません。ご本人やご家族が後悔しない介護をするために、事前に介護の方針を話し合っておいてくださいね。 主介護者を決めておく 「主介護者」って何ですか? 介護を中心となっておこなう人のことです。他のご家族や御きょうだいがいる場合、中心となって介護をする人を1人決めておくことをおすすめします。主介護者は、かかりつけ医やケアマネジャーさんと連携を取ったり、介護サービスの利用日や通院などのスケジュールを管理する役目。この役割を別の御きょうだいと分けて担当していると、連携を取るのに手間がかかるかもしれないんです。 「中心となって介護をする」と聞くと、たくさん介護をしないといけない気がしますが、そういうわけではないんですね。 そうですね。確かに、主介護者が実際に介護する割合が多い傾向にありますが、必ずしもそうしないといけないわけではありません。どちらかというと、医療機関や介護事業所が「この家族に連絡しておけば大丈夫」という人が主介護者と言えます。もちろん、主介護者となる人は介護を受けている人の状況を把握しておく必要がありますから、お母様の近くに住むご家族がなるのが自然でしょう。 なるほど。となると、私になりますね。他のきょうだいは県外や遠方に住んでいるので、実家に通いやすい私が主介護者になった方が介護がしやすいと思います。 そういったご状況なら、寺田さんが主介護者になるのが良いでしょう。ただ、主介護者といっても介護をすべて負担する必要はありません。他の御きょうだいにも「週末は介護してもらう」「介護ができないから多く費用を負担する」といった形で、分担してもらってくださいね。 親の介護費用はできるだけ親のお金で賄おう 介護が始まる前に、親の資産の把握、介護方針と主介護者を決めておこう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/11/02

#在宅介護 #介護疲れ

自分自身も高齢になって両親の介護がしんどい…。毎日の介護で心も体も疲れました

90歳を超える両親の介護をしています。私も歳を取り、介護をするのがしんどくなってきました…。 父はまだほとんど介護は必要ないものの、変なこだわりが強くなって、少しでも気に食わないことがあると怒鳴り散らします。母は認知症が悪化して夜中のトイレの手伝いが必要になったので、介助のせいでよく眠れないし…。 私ももうすぐ70歳です。介護をするのがきつくて、両親が長生きすることを素直に喜べず、「早く死んでほしい」と心のどこかで思っています。もう、どうしたら良いのかわかりません。 (青山さん・主婦・69歳) ご自分も年齢を重ねてくると、ご両親の介護の負担がもっときつく感じますよね…。介護を完璧にする必要はまったくありません。もっと楽な介護をしましょう!例えば、在宅介護サービスや配食サービスなどのサービスを活用しましょう。上手く活用できれば、負担をかなり軽くできると思いますよ。また、老人ホームに入居することも検討してください。ご両親を同時に介護することは大変です。ご自分が体調を崩す前に早めに施設探しをすることをおすすめします。 介護は楽をして良い! 90歳を超える両親の介護をしています。私自身ももうすぐ70歳を迎え、体力的にも精神的にも両親の介護がきつくなってきました。特に認知症の母は、夜中のトイレ介助が必要です。そのせいでろくに眠れないのもしんどくて。父は父で、妙なこだわりが強くなって、食べ物が硬かったり少しでも気に食わないことがあると怒鳴りつけます。母の介護をしながら怒鳴り散らす父の相手もして、他の家事もしないといけなくて…。もうどうしたら良いのか…。 ご自分も年齢を重ねると、心身の負担がより大きく感じますよね…。ご両親の介護は本当に大変なことだと思います。なので、もっと在宅介護を楽しましょう! え?介護を楽するってどういうことですか? もっといろんなサービスを活用して、「楽に在宅介護をできる環境」を整えるんです。具体的にお話ししますね。 在宅介護を楽する方法 在宅介護を楽する方法のうち、以下の2つについてお話ししますね。 在宅介護サービスを利用する方法 その他の方法 在宅介護サービスを利用する方法 ご両親は在宅介護サービスを利用していますか? 父は使っていませんが、母は週に3回、デイサービスを利用しています。 それは良いですね。デイサービスの他に、主な在宅介護サービスには以下のものがあります。 訪問介護 訪問看護 通所リハビリ(デイケア) ショートステイ もし、お母様のデイサービス週3回だけでは足りないようでしたら回数を増やしたり、お父様もデイサービスを利用するのも良いかもしれません。また、定期的にショートステイを利用できれば、夜間のトイレ介助の負担が減るでしょう。ケアマネジャーさんに相談してみてくださいね。 その他の方法 在宅介護サービス以外にも、介護の負担を軽減するサービスがあります。例えば、配食サービスやレトルトの介護食を利用することです。毎回の食事の支度って、かなり負担ですよね。特にご高齢者の場合は、具材のやわらかさにも気を使わないといけなかったり、病気の関係で制限しているものもあるでしょう。そこで、配食サービスやレトルト介護食を活用すれば、料理の負担が減らせると思いますよ。 うーん。父が総入れ歯なので、硬いものを嫌がるんですよね…。「介護食」と言うくらいだから、レトルト介護食はやわらかいでしょうけど、配食サービスってやわらかい食事に対応してもらえるんですか? 最近は、ご高齢者向けの配食サービスがかなり増えています。噛む力や飲み込む力が低下したご高齢者向けにやわらかい食事を提供しているんです。介護食は、「やわらか食」「ムース食」といったやわらかさに配慮したものや、「塩分制限食」「タンパク質制限食」といった病気の影響で食事制限がある人向けの食事も提供しています。ご自宅で介護食を作るのはかなり大変ですので、配食サービスやレトルト介護食をぜひ活用してくださいね。 老人ホーム入居も検討して 介護をしている方も高齢になると、どうしても体力的に在宅介護が難しくなってくると思います。そのため、ぜひ老人ホームに入居することも検討してください。 えっ、老人ホームですか?うーん…まだ私が介護できているし、まだ早いんじゃないですかね。 もちろん、在宅介護を続けたいのであれば、無理にとは言いません。ただ、「親の介護は子どもがするもの」と思って、老人ホームに入居することを選択肢から外してほしくないんです。主な老人ホームには以下のようなものがありますから、入居が必要になったときのために頭の片隅に入れておいてください。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム へぇ、老人ホームって、こんなにいろんな種類があるんですね。 そうなんです。お元気な人がたくさん暮らしている施設もあれば、認知症だったり寝たきりだったりと、介護が必要な人が入居している施設もありますよ。 公的施設は安いが数年待つことも もし、両親を老人ホームに入れるとしても、そこまでお金を出せません。父と母、2人分なんて…。 でしたら、特別養護老人ホームなどの公的な老人ホームはどうでしょうか?要介護度や収入にもよりますが、おひとりあたり月9万~13万円程度で利用できますよ。 そうなんですね。そのくらいなら、両親の年金でどうにかなるかな…。 ただ、特別養護老人ホームの場合、要介護3以上でないと入居できないことに加えて、費用が安いためとても人気ですぐには入居できないのがネック。特別養護老人ホームの中には、数百人も入居待ちの人がいて、申し込みから数年待つケースもあるほどなんです。 数年待ちですか!? そうなんです。なので、「もう心身共に疲れて在宅介護を続けられない」というようなギリギリの状態までがんばるのではなく、まだ余裕がある段階で施設探しをすることをおすすめします。もちろん、特別養護老人ホーム以外にも老人ホームはたくさんあり、どの施設が良いのか迷われると思います。もし施設探しをすることになったら、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談くださいね。 配食や在宅介護サービスを使って、介護を楽しよう! 老人ホームへの入居することも検討しよう 安価な老人ホームは数年待つことも。早めに施設探しを pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/10/31

#在宅介護 #介護疲れ

母親の介護が始まってからきょうだい喧嘩が絶えません。介護を手伝わない弟はどうしたら良いでしょうか?

認知症の母を3年以上介護しています。私は隣県に住む弟がいるのですが、まったく母の介護を手伝おうとしません。何度も電話で介護を手伝ってほしいと頼むのですが、「介護は同居している姉さんの仕事でしょ」と言うので、毎回、口論に…。 ただでさえ介護で疲れているのに、弟と口論するのも疲れます。今の状況を良くする方法はないでしょうか? (奥田さん・パート・63歳) 奥田さんに負担が集中している状態なんですね。解決策としては、介護サービスを利用する、行政サービスを利用する、老人ホーム入居を検討する、という方法が挙げられます。ちなみに、親御さんの介護に関する考え方や経済状況を事前に確認して御きょうだいで役割分担を決めておくと、こうしたトラブルは避けられることがありますよ。 親の介護で兄弟喧嘩…。解決方法は? 3年ほど前に母が認知症と診断されてから、介護をしています。母と同居している私が介護をすること自体には文句はないのですが、隣県に住む弟がまったく介護を手伝わないんです!たまにしか顔を出さないので電話で介護を手伝ってほしいと言うものの、「介護は同居している姉さんの仕事でしょ」と聞く耳を持ちません。そんな言い草なので、私も頭に来て毎回、喧嘩になってしまって。喧嘩するのも疲れちゃって…何か良い方法はないでしょうか? 親御さんの介護がきっかけできょうだいで喧嘩になったり、関係性が悪くなる話はよく伺います。現状は奥田さんに介護の負担が集中してしまっているので、以下のような方法で負担を軽くするのはどうでしょうか? 在宅介護サービスを利用する 介護保険外サービスを利用する 行政サービスを利用する 相談窓口に相談する 老人ホームへの入居を検討する 在宅介護サービスを利用する 在宅介護サービスを利用するのはどうでしょうか。今、お母様は介護サービスを利用していますか? はい。デイサービスを週3回利用しています。 それは良いですね!デイサービスも含めて、主な在宅介護サービスは以下の通りです。合わせて活用すると奥田さんの負担が減らせるでしょう。 訪問介護 訪問看護 デイサービス ショートステイ 例えば、訪問介護を追加して「デイサービスのない日に見守りや服薬確認をしてもらう」、週末にショートステイを追加して「たまっていた家事をする時間やリフレッシュの時間を作る」といった使い方もできますよ。 へぇー。そんな方法もあるんですね!ケアマネジャーさんに相談してみようかな。 介護保険外サービスを利用する 「介護保険外サービス」って何ですか? 先ほどリストアップした、訪問介護やデイサービスといった介護サービスのことを正式には「介護保険サービス」と言います。介護保険を使って、一部の自己負担で利用できるサービスです。介護保険サービスに対して、介護保険外サービスはその名の通り介護保険が適用されないサービス。そのため、費用は全額自己負担なので高額になることが多いです。 うーん。高額なのはちょっと…。 介護保険外サービスは介護保険の制度に縛られない分、サービス内容は自由。例えば、介護保険が適用される訪問介護は、介護を受けるご本人の分しか掃除や洗濯、掃除などはしてもらえません。しかし、介護保険外サービスであればそうしたルールは関係ないので、家族の分の家事も頼めますよ。 費用減免制度を利用する 介護の悩みのひとつに経済的な負担がありますよね。以下のような、介護や医療の費用を軽減できる制度があるんです。 特定入所者介護サービス費 高額介護サービス費 医療費控除 高額医療・高額介護合算療養費制度 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度 これらの制度は、減免される金額や条件などが世帯の所得によって異なることが多いです。役所の窓口や地域包括支援センターで詳細を問い合わせてみてくださいね。 相談窓口や専門家に相談する 介護の相談窓口や専門家に相談してみることも大切です。御きょうだい間の介護のトラブルは意外と多いので、さまざまな観点でアドバイスをもらえると思いますよ。 役所の福祉課 地域包括支援センター ケアマネジャー かかりつけ医 ケアマネジャーさんに、弟のことを相談しても良かったんですね。誰にも相談できなかったので、話を聞いてもらおうかな…。 兄弟で介護の役割分担を決めて負担を減らそう なかなか難しいかもしれませんが、御きょうだい間で介護の役割分担をしましょう。 と言われても、どうしたら良いのか…。「介護のことはすべて姉さんに任せる」と言うような弟ですから。 具体的に、弟さんにどんなことをしてほしいのかをはっきり伝えると良いかもしれません。もしかしたら、弟さんはお母様の今の状況をよく把握していないのではないでしょうか。お母様の現状がよくわからなければ、介護がどんなものかわからないし、どんな手伝いをすれば良いのかもわからないですよね。弟さんは、「どうしたら良いかわからないから、姉さんに任せよう」と考えている可能性もあります。なので、具体的にどんなことを手伝ってほしいのか、はっきりと伝えましょう。 うーん。そう言われると弟に何をしてほしいのか、はっきり言えないですね…。 例えば、以下のようなことをお願いしてみるのはどうですか? 週末に1日だけでも手伝ってもらう 費用の援助をしてもらう 通院時の連れ出しをしてもらう なるほど…。こんな風に弟に相談してみれば良かったんですね! メインで介護をしている人がいる場合、その人に負担が偏ってしまうことが多いです。介護は大変なことなので、他の御きょうだいが分担することを嫌がるかもしれませんが、負担してほしいことを明確にして頼りましょう。もちろん、介護サービスや費用減免制度を活用して、心身と経済的な負担を軽減していきましょうね。 介護サービス、保険外サービスなどを活用して負担を減らそう 負担が1人に集中しがちなので、兄弟で介護の役割分担を決めよう pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/10/31

#施設入居 #在宅介護 #介護疲れ

二人暮らしの母親の介護が上手くいきません。仕事を辞めて介護に集中しないのは親不孝な息子でしょうか?

母を自宅で介護しています。認知症が進行して物忘れがひどくなり、家に1人でいさせるのも心配。でも、私は仕事をしているので昼間はどうしても母1人になってしまいます。母と二人暮らしなので、母の世話を頼める人もおらず…。 仕事を辞めて介護に集中できない私は親不孝でしょうか? (大山さん・会社員・57歳) そんなことはありませんよ!介護のために仕事を辞めてしまうのはおすすめできません。というのも、仕事を辞めても介護の負担が軽くなるわけではないから。むしろ経済的・精神的負担が大きくなる可能性があります。まずは、介護サービスを活用しましょう。そうすれば、自分の時間を確保しやすくなって、体力的にも精神的にも負担が減ると思います。負担が減れば、仕事を続けながら介護もしやすくなります。まずは、介護と仕事の両立ができる体制を整えていきましょう! 介護離職しても負担が軽くなるわけではない 同居する母が認知症になってしまい、介護をしています。最近は症状が進んで、1人で家に置いておくのも心配になってきて…。でも私は日中は仕事で家を空けますから、どうしても母を1人にしてしまいます。だからといって、母と二人暮らしですし、近くに母の世話を頼める親戚もいなくて…。仕事はできるだけ続けたいと思っています。でも、母を放っておけるわけもなく…。仕事を辞めて介護に集中できない私は、親不孝なんでしょうか? そんなことありません!むしろ、お母様の介護をしながら仕事もしているのはすばらしいことだと思います。ただ、お母様の認知症が進行していくにしたがって介護に必要な時間が増えて、仕事との両立ができなくなってくるかもしれません。 そうですよね…。早めに退職して、母の介護に専念した方が良いんでしょうか。 いえ、私は介護のために離職するのはおすすめしません。というのも、介護離職しても負担が減らず、逆に増えるという調査結果があるんです。 参考:「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) 仕事を辞めて経済的負担が増えるのはわかりますが、精神的負担も増えるんですね…。 そうなんです。おそらく、離職したことで”介護に集中しすぎてしまう”からだと考えられます。 どういうことですか? 仕事を辞めると、一気に外との社会的なつながりがなくなります。それまで、会社の同僚などと関わる時間が気分転換になっていたのに、その時間がなくなりますよね。お母様と二人きりの時間が増え、気分転換するタイミングが限りなく少なくなってしまうんです。 確かに、介護が始まってから友人と会うことがほとんどなくなりましたし、退職したら母以外の人と関わる時間はなくなるでしょうね。 介護のことを考える時間ばかりだと、追い詰められてしまう可能性もあります。在宅介護はかなり大変ですから、気分転換の時間を確保するためにも仕事は続けることをおすすめします。 介護サービスはどうやって利用する? 仕事を続けたくても今のままでは無理だと思います。今はまだ大丈夫ですが、今後、母の認知症が進行したらずっとつきっきりになるかもしれませんし…。 ちなみに、お母様は介護サービスを利用していますか? いえ。介護サービスっていろんな手続きがあるんですよね?そのあたりがまったくわからず、利用したことはありません。 でしたら、まずは介護サービスを利用しましょう!今、大山さんおひとりだけで介護しているのなら、介護サービスを利用するだけでもかなり負担が減ると思いますよ。 うーん。といっても、どうやって利用したら良いのか…。 でしたら、介護サービスを利用するまでの流れをお話ししますね! 介護サービスを利用するまでの流れ 介護サービスを利用するまでには、以下のような流れがあります。 要介護認定 ケアプラン作成 介護サービス利用開始 まずは、お母様に要介護認定を受けていただく必要があります。要介護認定は、介護の必要な度合い「要介護度」を判定するもの。要介護度は、「要支援1~2」「要介護1~5」の7段階あり、数字が大きいほど介護の必要度合いが高いことを示しています。要介護度が判定されたら、次はケアマネジャーさんにケアプランという介護サービス計画書を作成してもらいます。ケアプランには要介護度やお母様の状況に応じて、適切な介護サービスの種類や利用回数が盛り込まれています。 なるほど、母に合った計画を立ててもらえるんですね。 そして、ケアプランの計画に基づいて介護サービスの利用が始まるわけです。 うーん、介護サービスを利用するにしても、いろいろと手続きが必要なんですよね?仕事と介護をしていると、手続きをする時間もないんですよね…。こういう手続きって時間も手間もかかりそうですし。 そういう手続きをする時間を確保するために、「介護休業」という制度がありますから、ぜひ利用してください!介護休業は、介護をしている人が介護と仕事を両立する体制を整えるための制度。合計93日の休みを最大3回に分けて取れます。もちろん、大山さんご自身でお母様を介護する時間に充てられますが、長く介護と仕事を両立していくために、介護認定の手続きやケアマネジャーさんとの打ち合わせの時間として活用するのをおすすめします。 「介護休業」と言うから、私が母の介護をするための休みと思ったら、どちらかというと介護の体制を整えるためのものなんですね…。会社に確認してみます。 介護サービスの種類 そもそも、介護サービスにどんなものがあるのかよくわかっていません。どんなサービスを受けられるんでしょうか? 介護サービスは大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」があり、主な介護サービスには、以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 デイサービス ショートステイ 福祉用具レンタル 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム いろんなサービスがあるんですね! そうなんです。お話を聞く限りだと、訪問介護とデイサービスを利用するのが良いかもしれませんね。訪問介護は、自宅に訪問ヘルパーさんがやって来て、お母様の介助や家事などを代行してくれるサービス。お母様が1人になってしまう時間帯に訪問介護を見守り代わりに利用するのはどうでしょうか。また、デイサービスは介護施設に通って介護サービスを受けるもの。デイサービスに行っている間の、食事、入浴、排泄介助などはすべて施設に任せられますし、レクリエーションやリハビリなどもしてもらえるので、大山さんも安心してお仕事ができるんじゃないでしょうか。 デイサービス、良いですね。入浴の手伝いも大変なので、施設で入れてくれるのは助かります。 介護疲れをためずに介護をするには? 母の介護の時間を増やすためと、時間に余裕を持つために退職しようと思っていたんです。でも、例え介護サービスを使うとしても退職しないとなると、時間的にも体力的にも余裕がなくなりそうだな…。 在宅介護って大変ですよね。介護は長期戦ですから、どうしても疲れが溜まってきてしまうと思います。そういうときに、なるべく介護疲れを溜めずに介護を続ける方法をいくつかご紹介しますね。 介護について話を聞いてもらう 少しでも自分の時間を持つ ストレス発散に運動を取り入れてみる 介護施設への入居検討をする 介護について話を聞いてもらう 介護をしていると、どうしても精神面の負担も大きくなりがちです。そういうときは、介護について誰かに話を聞いてもらいましょう。他のご家族やご親戚でも良いですし、話しにくいときは介護経験のあるご友人でも良いと思います。 うーん。他に家族も身近な親戚もいないですし、介護の話ができる友人もいないですね…。 でしたら、「家族の会」に参加するのはどうでしょうか?家族の会は、認知症の人やご高齢者を介護しているご家族が作る団体。全国各地で家族が集まり、介護の相談や勉強会をする集会を開いています。「オレンジカフェ」「認知症カフェ」という名前で、認知症ご本人やその家族の集まりも全国でおこなわれています。そちらに参加するのも良いかもしれません。どちらの集まりに参加しても、介護の愚痴を誰かに聞いてもらうだけでも気持ちが楽になると思いますので、ぜひ参加してみてくださいね。 少しでも自分の時間を持つ 介護と仕事で多忙に過ごしていると、時間に追われて自分の時間って持てないですよね。それでも、ぼーっとする時間や趣味の時間を少しでも確保することが大切です。自分の時間を定期的に持つことで気分転換になって、介護にも集中できるようになると思います。 そんなこと言っても、忙しくて自分の時間なんて持てないですよ。働きながら介護しているんですから。 そうですよね…。自分の時間を作るためにも、介護サービスをどんどん活用してください。例えば、定期的にショートステイを活用するのがおすすめ。ショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービスで、最大30日連続で利用できます。宿泊している間の食事や入浴、排泄などの介助はすべて施設に任せられます。数日まとめてショートステイを利用すれば、安心してリフレッシュできると思いますよ。 え、リフレッシュですか?そんなことのために介護サービスを利用して良いんですか? もちろんです!介護をしている大山さんが倒れてしまっては元も子もありません。息抜きを忘れないでくださいね。 介護施設への入居検討をする 介護施設への入居もぜひ検討してください。介護は必ずしもご家族でしないといけないものではありません。在宅介護は負担が大きく、仕事をしながら続けるのはかなり難しいですから、介護施設への入居も視野に入れてみてください。先ほどお話ししたように、主な介護施設には以下のようなものがあります。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 介護は、完璧にしなくても良いんです。ご家族だけでするものでもありません。介護のプロの力を積極的に活用して、「楽な介護」をしてくださいね。 介護離職で負担が大きくなることも。介護サービスを利用しながら仕事を続けよう 介護サービスを利用するために、まず要介護認定を受けよう 誰かに介護の話を聞いてもらったり、少しでも自分の時間を確保しよう pre { margin: ...

2023/10/30

#認知症 #在宅介護

父親が亡くなってから母の様子がおかしいです。認知症になってしまったのでしょうか?

3ヵ月ほど前に父が亡くなってから、母の様子がおかしいんです。認知症になってしまったのでしょうか? 父が亡くなって、実家で母は一人暮らしになりました。父が元気な頃は母がすべて家事をしていたのに、父が亡くなってからは家の中が散らかり、ゴミも捨てられていません。 それに、財布が冷蔵庫に入っていたり、同じものを何個も買って腐らせていたり、明らかに様子が変で…。友人に母の様子を話したら「認知症かも」と言われて不安です。 (北川さん・パート・63歳) その可能性はありますね…。認知症の初期症状には、「もの忘れがひどくなった」「怒りっぽくなった」などがあり、そうした症状に当てはまる場合は認知症の可能性が高いので病院で検査をしましょう。検査の結果、認知症でもそうでなくても、お母様がお一人で生活するのは難しい状態と考えられます。そのため、介護サービスを利用するなど、お母様の生活をサポートする体制を作っていきましょう。 親が認知症かも、と思ったら? 3ヵ月ほど前、父が亡くなりました。両親は実家で二人で暮らしていたのですが、父が亡くなってからは母は一人暮らしに。それ以来、母の様子がおかしくて…。きれい好きなはずなのに、家の中が散らかり放題でゴミが捨てられていないし、同じ食べ物を何個も買って腐らせていることも何度もありました。それに、冷蔵庫の中になぜか財布があって、入れたことを覚えていないようなんです。このことを友人に話したら、「認知症かも」と言われました。もしかして、母は認知症になってしまったのでしょうか? 聞いた限りでは何とも言えません。…ですが、認知症の可能性は十分にあります。心配であれば、早めに病院に行きましょう! うーん。でも、認知症ではなくて、父を亡くして気持ちが落ちているだけかもしれませんし…。病院に行って良いものか迷います。 でしたら、認知症の初期症状に当てはまるかどうか、お母様の様子を考えてみてください。当てはまるものが多ければ、認知症の可能性が高いので受診をおすすめします。認知症の初期症状は次の通りです。 もの忘れがひどくなった 理解力や判断力が衰えた 怒りっぽいなど性格が変わった 時間や場所がわからなくなった 集中力が落ちた もしくは、認知症のチェックリストを活用してみるのもひとつの手。東京都福祉局では「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」を公開しています。気軽にできるものなので、活用してみてください。 もの忘れがひどくなった 年齢を重ねることで、人の名前が思い出せなくなったり、ものをどこにしまったかわからなくなったり、物忘れが多くなりますよね。でも、認知症による物忘れは加齢によるものと少し違います。加齢による物忘れと認知症による物忘れの大きな違いは、「出来事の詳細を忘れるか、出来事そのものを忘れるか」。加齢による物忘れの場合、「数時間前の話の内容を忘れる」ですが、認知症による物忘れは「数時間前に話をしたこと自体を忘れる」という違いがあります。 母は、財布を冷蔵庫にしまったこと自体を忘れていました。少し前に話したことを忘れていることもたまにあります…。 理解力や判断力が衰えた 認知症による理解力・判断力の低下は、これまでできていた手続きができなくなったり、会話の内容が理解できなくなるなどです。役所や銀行などの手続きができない、説明が理解できていない様子があると認知症の可能性が高いと言えます。 怒りっぽいなど性格が変わった 認知症になると、怒りっぽくなることがあります。これは、認知症によって物事が理解できなくなったり、今までできていたことができなくなったもどかしさや焦りによっていらだっていることが理由と言われています。そのほかに、「今まで好きだったものに無関心になって、趣味活動をやらなくなる」「周囲の出来事に興味がなくなる」などの性格の変化もあります。 母は、もともと趣味があった人ではないので、そうした変化はわかりませんが…。部屋でぼーっとしている時間が増えたような気がします。 時間や場所がわからなくなった 時間や場所がわからなくなる、というのはどういうことですか? 例えば、現在の日付や季節などがわからなくなったり、よく行く場所への道がわからなくなる、という状態です。朝と夜の感覚が乱れることもあります。 集中力が落ちた これは少し判断しにくいかもしれませんが、認知症になると集中力が落ちます。具体的には、計算や運転のミスが増えたり、家事や手芸などの集中力が必要な作業ができなくなります。計算や運転、家事、手芸といったものは、ひとつの作業に長時間の集中力がいるうえ、作業の手順も考えなければいけません。認知症によって脳の機能が低下すると、そうした作業が苦手になります。 認知症の検査はどうやって受ける? 北野室長の話を聞いて、母に認知症の検査を受けさせた方が良い気がしてきました。認知症の検査って、病院の何科で受けられるんでしょうか? 認知症の検査は、いろんな診療科で受けられます。次の診療科を持つ病院でしたら、認知症検査を受けられるでしょう。 心療内科 精神科 脳神経内科・外科 老年科 もの忘れ外来 認知症の検査が何科で受けられるのかについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください 認知症検査の流れ 認知症検査ってどんな流れでおこなうんですか? 認知症検査は、次のような流れでおこなわれます。 面談(問診) 身体検査 認知症検査 まず、医師とご本人やご家族の面談があります。既往歴や今の状態、認知症を疑ったきっかけなどを話しておくと良いでしょう。心配事がある場合は、事前に話すことをメモにまとめておきましょう。その次に、身体検査をおこないます。レントゲンや血液検査、尿検査などですね。認知症以外の病気によって、認知症と似たような症状が出ることがあるので、体全体の検査をするんです。 なんだか、普通の人間ドックと同じような内容なんですね。 身体検査が終わると、認知症の検査をおこないます。 認知症の検査というと、どんなものなんですか? いくつか種類があるので、詳しくお話ししますね。 認知症検査の種類 認知症の検査は、「神経心理学的検査」「脳画像検査」の2種類に分けられます。神経心理学的検査は、医師などからの質問に答えていく形式が主です。質問に正確に答えられるかどうかで認知機能の状態を把握します。脳画像検査は、CTやMRIといった脳内の画像を撮って機能低下を確かめる方法です。 「認知症検査」とひとくちに言っても、いろんな種類の検査があるんですね。 そうなんです。認知症検査には次のような種類があるんです。 改定長谷川式認知症スケール(HDS-R) ミニメンタルステート検査(MMSE) 時計描写テスト(CDT) CT・MRI SPECT(脳の働きを見る検査) 介護が必要になったら? 北川さんのお話を聞いていると、お母様の認知症検査の結果、認知症であってもそうでなくても、介護サービスを使う必要がある状態だと思います。 介護サービスですか…。確かに、母はもうひとりで生活できる状態ではないかもしれません。でも、介護サービスってどうやって利用すれば良いんですか? 要介護認定を受けよう 介護サービスを利用するには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。要介護認定とは、その人の状態を調べて介護の必要な度合いを判断するもの。要介護認定を受けると、心身の状態に合わせて「要支援1~2」「要介護1~5」という「要介護度」がわかり、介護度に合わせた介護サービスを利用できるようになります。 要介護認定というのは、どうやったら受けられるんですか? まずは、要介護認定の申請をしましょう。お母様がお住まいの地域の役所や地域包括支援センターで申請手続きができます。その後は、次のような流れで進んでいきます。 なるほど…。要介護認定の結果、要介護度がわかったら介護サービスを利用できるようになるんですね。 おっしゃる通りです。もし、遠距離介護をする場合、介護サービスを利用をするのとしないのでは、北川さんの負担がかなり違います。積極的に介護サービスを活用してくださいね。遠距離介護については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 物忘れ、怒りっぽくなったなどの初期症状があったら認知症かも 認知症検査は精神科、物忘れ外来などで受けられる 認知症でなくても、介護が必要になったら介護サービスを利用しよう pre { margin: 40px 0; background: ...

2023/10/24

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

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