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特集

Q&A

老人ホームに入居する、なんていう経験は人生でもそうあるものではありません。当然、わからないこと、不安なこと、疑問などなど、頭の中が「?」マークでいっぱいになっていることでしょう。そんなアナタに、自称“日本一、老人ホームの入居相談を受けてきた男”こと「いい介護」入居相談室の室長・北野が、みなさんの疑問・質問にお答えします!
施設入居 介護の制度

介護度が上がるデメリットはありますか?父親の身体状況が悪くなり、ケアマネジャーさんに区分変更を勧められています

この数ヵ月で父親の状態が悪くなっており、担当のケアマネジャーさんから区分変更を勧められています。ケアマネジャーさんによると、現在の要介護1から要介護2に上がりそう、とのことです。 ケアマネジャーさんは、「在宅介護サービスの使える量が増える」と言うのですが、要介護度が上がることでデメリットはないのでしょうか? (須藤さん・主婦・62歳) 要介護度が上がることによるデメリットは、費用負担が増える可能性があることです。デイサービスやショートステイなど、一部の在宅介護サービスでは要介護度が上がると1回あたりの金額が高くなります。また、要介護度が上がることで介護保険の利用上限額が増えますが、それに伴って自己負担額も増えます。一方で、利用できる在宅介護サービスの種類が増えるなど、メリットもあります。ともあれ、お父様の心身の状態が変わっているのであれば、今の状況に合わせた要介護度になるように区分変更をすることをおすすめします。 要介護度が上がるデメリットは? ここ最近、父親の状態が悪くなっているので担当のケアマネジャーさんから区分変更を勧められています。ちょっと前のことを忘れたり、ふらついたりするようになってしまったので…。ケアマネジャーさんによると、「要介護度が上がれば、利用できる在宅介護サービスの量が増える」とのことなんですが、要介護度が上がったらデメリットはないんでしょうか? 費用の負担が大きくなる可能性があります。一部の在宅介護サービスは利用料が要介護度ごとに設定されており、要介護度が上がると利用回数が同じでも費用が高くなってしまうんです。 そうなんですね!どんな在宅介護サービスが当てはまりますか? 要介護度によって利用料が上がる在宅介護サービスは以下のものです。 デイサービス ショートステイ 通所リハビリテーション 小規模多機能型居宅介護 デイサービスも金額が上がるんですね。今、週2回通っているから痛手だな…。他のサービスは、要介護度が上がっても料金が上がらないんですか? はい。先ほどの在宅介護サービス以外のサービスは、要介護度によって1回あたりの金額が変わることはありません。具体的には、以下の在宅介護サービスが要介護が変わっても金額の変更がないものです。 訪問介護 訪問入浴 訪問看護 訪問リハビリテーション 福祉用具貸与 要介護度が上がるメリットは? 要介護度が上がることでデメリットがあることはわかりました。反対に、メリットはあるんですか? 先ほども話に出た通り、介護サービスの利用できる量が増えることと、利用できる介護サービスの種類が増えることが挙げられます。具体的にお話ししていきますね。 介護サービスを利用できる量が増える ケアマネジャーさんも言っていましたが、「介護サービスを利用できる量が増える」ってどういうことでしょうか? 介護サービスは、要介護度によって介護保険が適用される金額が設定されています。介護保険が適用されれば、負担額が1~3割に抑えられるようになっています。この介護保険が適用される金額は、要介護度が上がると増えます。そのため、要介護度が上がることで安く介護サービスを使える量が増えるわけです。 居宅介護サービスの自己負担額 居宅サービスとは、施設ではなく住み慣れた自宅で受けられる介護サービスのことです。 居宅サービスは大きく分けて3つ。ひとつは介護者が自宅を訪問してサービスをおこなう「訪問サービス」。利用者が介護施設に通って利用する「通所サービス」。そして一ヵ月以下の短期間利用する「短期入所サービス」です。 居宅介護サービスの利用には要介護度に応じた利用限度額が設定されています。要介護度が高くなるほど、限度額もあがります。 自己負担額の詳細はこちらの表でご確認ください。 ...

2023/07/31

施設入居 認知症介護 特別養護老人ホーム

特養の入所を一度断ったら、もう入所はできなくなりますか?母親がかわいそうになって入所させるのをためらっています

母親を特別養護老人ホーム(特養)に入所させるかどうか迷っています。先日、母の介護度が要介護3に上がったので特養の見学をして、これから順番待ちの申し込みをしようと思っています。ただ、そのことを叔母に話したところ「施設に入れるなんてかわいそう!」と言われてしまって…。 叔母に言われたことで、私ももうしばらく自宅で介護を続けた方が良いのかと迷っています。幸い、私の妻も介護を手伝ってくれるので、まだ在宅介護でも大丈夫かなとも思っています。 一度入所の順番が回ってきたときに断ったら、入所はできなくなってしまうんでしょうか? (伊東さん・会社員・63歳) 自治体によって異なりますが、一度入所を断ったからといって入所ができなくなることはまずないですよ。ただ、いつ空室が出るかわからないので、次に声がかかるかもわかりません。100人以上順番待ちが出ている施設もありますから、1年後になる可能性もあります。そうなると、お母様の身体状況が変わってより介護の負担が大きくなることも。要介護3以上となると在宅介護が難しくなるタイミングですので、「まだ大丈夫」と思わずに無理をしないで済む選択をしてくださいね。 特養の入所を一度断ったら、もう入所できなくなる? 母が要介護3に上がったので、特養の入所の申し込みをしようか悩んでいます。その話を叔母にしたら、「施設に入れるなんてかわいそう!」と言われて…。私も妻も仕事をしながら母の介護をしていて大変なので申し込みをしようと考えていたのですが、そう言われると迷ってしまって…。なので、特養に入所させるのはもう少し待ってみても良いのかなと思っています。もし、順番が回ってきたときに、断ったらもう入所はできなくなってしまうのでしょうか? 自治体によって対応が異なりますが、多くの場合は一度断ったからといって二度と入所できなくなることはないですよ。「今回は見送ります」と伝えれば、次に空室ができたときに再び声をかけてもらえるはずです。 よかった!それを聞いて安心しました。 ただ、気をつけていただきたいのは、次に順番が回ってくるのがいつになるかわからない点です。すぐの場合もあれば、1年後になる可能性もあるんです。 1年後…。そこまで在宅介護を続けられるかな…。 今後、介護の負担がより大きくなることも考えられますから、断るかどうかよく考えてくださいね。 特養の入所の順番は申し込み順ではない? 見学に行った特養は、何十人も入所の順番待ちをしている人がいるそうです。もし今、申し込みをしたら、どれくらい待つことになるんでしょうか? 正直なところ、まったくわかりません。というのも、特養の入所の順番は申し込み順ではなくて緊急度をもとに決められているからです。 緊急度、ですか? 緊急度とは、「本人の状況」「介護者の状況」「個別評価」という3つの観点から判断されるもの。つまり、介護の状況が逼迫している人が優先的に入所できるようになっているんです。施設や自治体によって判断基準が少しずつ異なるので、例として北九州市の判断基準をご紹介します。 本人の状況 項目 配点 説明 要介護度 要介護1 20点 申し込み時の要介護認定が1である場合 要介護2 40点 申し込み時の要介護認定が2である場合 要介護3 60点 申し込み時の要介護認定が3である場合 要介護4 80点 申し込み時の要介護認定が4である場合 要介護5 100点 申し込み時の要介護認定が5である場合 特別な状況 排泄 10点 介護者が、オムツや尿とりパットの交換などの介助を要する場合に限る 摂食 10点 食事中に介助を要する場合に限る 徘徊 15点 当てもないのに外へ出かけてしまう、自宅や施設などでひっきりなしに歩き回ったりする行動がある場合に限る 暴力などの問題行動 15点 介護者が話しかけたり、介護をおこなう際に、手で払いのける、足で蹴る、たたくなど、介護の支障となる行動を取る場合に限る 非該当 0点 上記の特別な事情のいずれにも該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) こんなに明確に点数を付けて判断されているんだ! もちろん、この項目以外にも入所の必要度が高くなる理由がある場合は、それも加味されます。この点数をもとに、施設の「判定会議」で入所の優先順位が決定されます。判定会議には施設長や職員、生活相談員などが参加し、さまざまな観点から優先順位の判断がされていますよ。 特養入所の申し込みの流れ そういえば、特養の入所申し込みをする場合ってどうすれば良いんでしたっけ?まだ、申し込みをするか迷っているのですが、念のため確認しておきたくて。 でしたら、改めて特養の入所までの流れを確認しておきましょうか。特養に問い合わせしてから入所するまでは、以下のような流れで進めていきます。 問い合わせ・資料請求・見学 見学後に申込書を提出 審査 優先順位通知が届く 面談 入所 1.問い合わせ・資料請求・見学 まず、入所を検討している施設に電話やメールなどで問い合わせます。資料を用意している施設もあるので、資料を取り寄せても良いでしょう。もし、対応や費用の面で疑問がある場合には電話で問い合わせると具体的に回答がもらえると思います。より詳細に施設の様子が知りたい場合は、見学することをおすすめします。 2.申込書を提出 資料を見たり実際の施設を見学して気に入れば、入所の申し込みをおこないます。見学日当日に施設に申し込みしたいことを伝えれば、すぐ申込書を受け取れるでしょう。後日、申し込みをする場合は施設に問い合わせて申込書を取り寄せてください。あわせて、提出が必要な書類についても確認しておきましょう。 3.審査 地域ごとに定められた審査の指針があり、それにそって申し込みの対象者が入所できるかどうかが判断されます。 4.優先順位通知が届く ここでさっきの優先順位が決まるんですね。 はい。入所審査の後、施設の判断基準によって入所の順番が決まります。この優先順位を伝えるのが「優先順位通知」ですね。自治体にもよりますが、新宿区の場合は3ヵ月に1度のペースでこの通知を郵送しています。申し込みをしている人の状況によって順番はその都度変わるので、通知に記載されている順番はおよその目安と考えましょう。 5.面談 入所の順番が回ってくると、施設から連絡が来ます。入所の意向を伝えたら、その後には施設の担当者との面談。健康診断書の提出もおこないます。 6.入所 面談や健康診断書の情報をもとに、入所できるかどうかが決定されます。 えっ?ということは、入所できない場合もあるんですか? 問い合わせなどの段階で、大まかに身体状況を施設に伝えますから、この段階で入所ができないことはまずありません。ただ、以前よりも大きく心身の状態が悪化していたり、医療ケアが頻繁に必要だったり、施設で受け入れが難しい状態であることがこのタイミングでわかったら入所を断られることもあります。そうならないように、入所の順番待ちをしている段階でも定期的に施設と情報の共有をしておくことが大切ですね。 要介護3以上で在宅介護は難しい 特養に入所させるかどうか、まだ決断ができずにいます。やっぱり施設に入れるのはかわいそうだし…。 そう考えるのももっともです。ただ、一般的に要介護3は、在宅介護が難しい状態とされています。 そうなんですか!? というのも、要介護3とは1人で立ち上がったり歩くのが難しい状態。歩行器や車椅子を使うこともありますので、入浴や排泄にも介助が必要になるので常に誰かの手助けが要ります。ちなみに、お母様はどんな状態ですか? ちょっとふらつきはありますが、なんとか1人で歩いています。ただ、トイレに行くことを忘れてしまったり、トイレの使い方も忘れてしまうことがあります。なので、トイレに行くように声掛けしたり付き添いが必要です。身体の機能としては問題ないと思うのですが、認知症のせいでやり方や道具の使い方がわからなくなってしまって。それに、1人で外に出て帰れなくなったこともあるので、目が離せないんです。 なるほど…。となると、お母様を1人にするのは心配ですよね。 そうなんです。私は日中は仕事ですから、妻にパートの仕事を減らしてもらって、母から目を離さないようにしています。でも、夜中に大声で叫んだり、暴言を吐くこともあって。なんとかもうしばらくは在宅介護を続けられるとは思うんですが、妻も私も精神的な負担が大きくて…。 そう感じていらっしゃるなら、特養に申し込みすることをおすすめします。お話を聞くと、伊東さんご夫婦の負担が大きいように感じます。先ほどお話ししたように、入所の順番は緊急性に基づいて決まります。他の申込者に緊急性の高い人が多い場合は、申し込みしてもすぐに入所とならない場合もありますので、順番待ちをしている間に入所するかどうかを考えても良いと思いますよ。順番待ちをしている間に状態が変わって、入所の緊急度が上がる可能性もあります。そのときにすぐに入所できるように、早い段階で申し込みをしておくのがおすすめです。 特養入所を一度断っても、空室が出れば再度声がかかる 次の空室はいつになるかわからないので、辞退はよく考えて 要介護3以上で在宅介護は難しい。介護する人の負担が大きくなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2023/07/20

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症でも入院できる病院はありますか?母の認知症が悪化して手に負えません!

認知症でも入院はできるのでしょうか?同居している母に毎日のように暴言を吐かれ、「認知症だからしょうがない」と思っても精神的にきついです。 それに、最近は夜中に大声で「助けて」と騒いだり徘徊するようになりました。なので、夜にまともに眠れない日が続いています。 ずっとこんな日々が続くのかと思うとしんどいです。入院させたら症状は良くなるのでしょうか? (本間さん・主婦・67歳) それは大変ですね…。認知症の治療に注力している病院がありますので、そちらへの入院を検討するのが良いかもしれません。入院すると、薬物療法や作業療法、回想法などの方法で治療がおこなわれます。認知症の専門家による治療やサポートが受けられるので、ご自宅にいるよりも症状が良くなると思いますよ。 認知症の人は入院できる? 認知症でも入院はできますか?母の認知症がひどくて介護に限界を感じており、同居がしんどいです。なので、入院させて認知症の治療を受けさせたいと思っています。ここ最近、症状がどんどん悪化しているような気がして…。 認知症が進行してくると、ご家庭での介護は大変ですよね…。認知症の人を受け入れている施設はあります。認知症の専門家による治療を受ければ、きっとお母様の症状も良くなると思いますよ。認知症の人を受け入れている病院には、以下のようなものがあります。 認知症疾患医療センター 認知症治療病棟がある病院 認知症疾患医療センター 認知症疾患医療センターとは、認知症専門の医療機関です。自治体が指定する病院に設置されて、認知症の診断や治療といった医療的なケアから、もの忘れの相談や介護保険の申請に関する相談まで、幅広いサポートをしています。 認知症疾患医療センターって初めて聞きました。認知症疾患医療センターなら入院ができるんですね。 はい、入院できます。ただ注意したいのが、認知症疾患医療センターには「基幹型」「地域型」「連携型」の3タイプがあり、入院できるのは総合病院である基幹型のみ。その他は入院設備が整っていない病院なので、基幹型の認知症疾患医療センターを探しましょう。探すのは、お住まいの都道府県のサイトでできます。受診するにはかかりつけ医からの紹介状や予約が必要なことが多いので、まずはかかりつけ医に相談してみてくださいね。 認知症治療病棟がある病院 認知症治療病棟とは、認知症による精神症状や行動障害のために日常生活に支障があったり、自宅や介護施設での介護が難しい人を治療するための病棟。精神科など、認知症治療をおこなっている診療科を持つ病院に設けられていることがあります。 まさに母がそういう状態です。毎日、私に対してひどい暴言を吐いたり夜中に大声で「助けて」と騒いだり徘徊します。なかなかゆっくり眠れていないので、体力的にきつくて…。 それはしんどいですね…。認知症治療病棟は、長期入院ではなく短期入院で在宅復帰を目指す病院なので、集中的に認知症の治療をしてご自宅に戻るのもひとつの手だと思います。先ほどお話しした認知症疾患医療センターで、近隣の認知症治療病棟を紹介してもらえることがあるので、相談してみるのも良いかもしれません。 一般の病院だと入院を拒否されることがある? 認知症だと、普通の病院には入院できないんですか? すべての一般の病院で入院できないわけではありませんが、入院を拒否されることはあるでしょう。例えば、暴言・暴力の症状があると、入院を拒否されることがありますし、入院後に他の患者さんや職員さんに暴言を吐いたり暴力を振るうようなことがあれば、早期退院させられることもあります。 そうなんですか…。母は暴力はないですが、誰彼かまわず暴言を吐きます。となると、一般の病院だと受け入れてくれなさそうですね…。 また、入院するご本人が嫌がっている場合も、受け入れてくれないことがあります。無理やり入院させても治療を拒否したり、無理に入院したことで認知症の症状が進行してしまうことがあるためです。これは、認知症の人を受け入れている病院であっても同じこと。無理やり入院させようとすると余計に拒否されるおそれがあるので、認知症の専門家に相談しながらお母様に入院を勧めてくださいね。 認知症の入院治療費は? 認知症の治療のために入院した場合、公的な医療保険が適用されます。原則として1~3割の費用負担ですが、高額になる場合は「高額療養費制度」を使うとさらに費用が安くなりますよ。ちなみに、高額療養費制度を使った場合の自己負担限度額は以下の通りです。所得によって金額が異なるので、確認してみてくださいね。 69歳以下の場合 適用区分世帯ごとの1ヵ月の上限額年収約1,160万円~25万2,600円+(医療費-84万2,000)×1%年収約770万円~約1,160万円16万7,400円+(医療費-55万8,000)×1%年収約370万円~約770万円8万100円+(医療費-26万7,000)×1%~年収約370万円5万7,600円住民税非課税者3万5,400円 70歳以上の場合 適用区分世帯ごとの1ヵ月の上限額年収約1,160万円~25万2,600円+(医療費-84万2,000)×1%年収約770万円~約1,160万円16万7,400円+(医療費-558,000)×1%年収約370万円~約770万円8万100円+(医療費-26万7,000)×1%年収約156万円~約370万円5万7,600円II住民税非課税者2万4,600円I住民税非課税者(年金収入80万円以下など)1万5,000円 参考:「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(厚生労働省) 入院するとお金がかかりますもんね…。うちの場合、限度額がいくらなのか確認しておかないと。 入院したらどんな認知症治療が受けられる? 母が入院するとなると、どんな治療が受けられるのでしょうか? もちろん病院によっても異なりますが、主に以下のような治療が受けられます。 薬物療法 作業療法 運動療法 生活機能回復訓練 回想法 薬物療法とは、薬を使った治療方法です。認知症は、今のところ完治する薬は発見されていません。そのため、現在、認知症の治療に使用されている薬はあくまでも症状を抑えるもの。脳を活性化したり気持ちを落ち着けることで認知症の症状を緩和させるというわけですね。 今も、母は認知症の薬を飲んでいます。認知症の薬はいくつか種類があるとかかりつけの先生が言っていたのですが、どんな薬があるんですか? 認知症の薬として認められているのは、以下の4種類です。 アリセプト® (塩酸ドネペジル) レミニール® (ガランタミン) イクセロンとリバスタッチパッチ®(リバスチグミン) メマリー®(メマンチン) 認知症の薬は、その人によって相性があります。とある薬では効果がなかった人も、薬を変えることで症状が落ち着くこともよくあるんです。入院することで、通院しているときよりも柔軟に薬での治療ができるようになるでしょう。 生活機能回復訓練 生活機能回復訓練とは、薬を使わない「非薬物療法」のひとつ。その人の残っている身体機能や認知機能の維持・向上を目的とした治療法です。具体的には、はみがきやトイレでもズボンの上げ下げ、髭剃りといった日常生活に必要な動作のトレーニングをします。認知機能が低下すると、今まで当たり前にできていたことができなくなることがあります。日常生活の動作を回復させることで、在宅復帰を目指します。 作業療法 作業療法は、レクリエーションのような活動が中心です。例えば、トランプなどのゲームや手芸、ぬりえといった頭と指先を使うもの、音楽を聴く音楽療法などをおこないます。中には園芸療法をしたり、趣味の延長でできる活動もおこなっています。 「治療」と聞くと大変そうだけど、作業療法は楽しんでできそうですね! 運動療法 身体を動かす運動療法も認知症の治療法です。体操や関節の動きを良くするリハビリ、ストレッチや筋力トレーニングなども無理ない範囲で実施されます。病院の外の散歩も取り入れられているので、入院中の気分転換になるでしょう。 回想法 回想法は、認知症の人の「昔の記憶が残りやすい」という特徴に注目した治療法です。認知症になると、その日の朝ごはんや直前に話していたことなど、直近の出来事を忘れやすくなります。こういった直近の記憶のことを「短期記憶」と言います。対して、子どもの頃の出来事などの昔の記憶のことを「長期記憶」と呼びます。認知症の人は短期記憶を忘れやすく、長期記憶が忘れにくい傾向があり、それを生かしたのが回想法なんです。 具体的にはどんなことをするんですか? その人の背景や経歴に基づいた会話をしていきます。例えば、子どもの頃の思い出や趣味について、昔を思い出しながら語ってもらいます。昔の写真やよく食べていたお菓子、若い頃に流行っていた音楽などを活用しながら、話をすることが多いですよ。 認知症の治療というと、薬を使って落ち着かせるイメージしかなかったけど、いろんな形があるんですね。楽しみながらできそうなものもあるので、前向きな気持ちで母に入院を勧められそうです! 認知症疾患医療センターや認知症治療病棟がある病院であれば、安心して入院できる 認知症治療に特化していない一般の病院だと、症状によっては入院拒否されることも 病院では、薬物療法や作業療法、回想法などの治療方法がある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/07/11

施設入居

老人ホームの2人部屋に1人で入居できますか?母親が1人部屋だと狭くて入りたくないと言います

遠方の実家に住む母が入る老人ホームを探しています。都内の私の自宅の近くで探しているのですが、ある老人ホームのパンフレットを見せたら「こんな狭い部屋なら入りたくない」と入居を拒否されてしまいました。 どうやらその老人ホームには2人部屋があり、1人部屋よりも広そうなので、母も入居に納得してくれると思うのですが、2人部屋に1人で入居できるのでしょうか? (本間さん・会社員・59歳) はい、2人部屋に1人で入居できますよ!施設にもよりますが、2人部屋は1人部屋の1.5~2倍の広さがありますから、広々と生活できると思いますよ。ただ、介護度が上がると広い部屋が使いにくくなったり、2人部屋は1人部屋よりも数がかなり少ないので、入居までに時間がかかる可能性がある点に注意が必要です。 1人で老人ホームの2人部屋に入れる?広さ、設備は? 遠方の実家に暮らしている母を私の自宅近くに呼び寄せようと、都内の老人ホームを探しています。ただ、母は地方の広い家にずっと住んでいたので狭い部屋が嫌みたいで…。近所の老人ホームのパンフレットを見せたら、「こんな狭い部屋なら入りたくない」と、施設に入ること自体を拒否されてしまいました。その施設には2人部屋があるようで、1人部屋よりも広そうです。広い部屋なら母も納得してくれると思うのですが、2人部屋に1人で入るのは可能なのでしょうか? はい。老人ホームの2人部屋はおひとりでも入居できますよ。 よかった!ちなみに、2人部屋ってどれくらいの広さですか?キッチンや風呂もついているのでしょうか? それでは、2人部屋の広さや設備について、順番にお伝えしますね。 2人部屋の広さ 老人ホームは、一室床面積18㎡以上と決められています。「一室床面積」とは、ベランダ以外の1室あたりの床面積のこと。これにはトイレやお風呂の面積も含まれています。とはいえ、「一室床面積18㎡以上」というルールは、1人部屋の話。2人部屋の場合、30~50㎡の広さにしていることが多いですね。 30~50㎡…幅が広いですね。 そうなんです。2人部屋の広さは施設によって大きく異なりますので、事前の確認が必要です。 2人部屋の設備、収納 母は、まだまだ元気なので部屋にキッチンがほしいです。2人部屋にはどんな設備があるんでしょうか? 部屋の設備については、施設によってまちまちですが…。一般的には以下の設備があります。 トイレ 洗面台 キッチン 風呂 収納家具 そうだ。母が「収納がたくさんほしい」と言っていました!やはり2人部屋になると収納の量も多くなるんでしょうか? おっしゃる通りです。2人で入居をする前提の居室なので、1人部屋よりも収納が多い傾向があります。具体的には、1人部屋にクローゼットが1つ設置されている施設は、2人部屋には2つ設置されていたり。とはいえ、ご実家の荷物をすべて持ち込むことは不可能ですので、入居の前に整理をすることをおすすめします。 そうなんですよね…。亡くなった父のものもまだ残っているので、これを機に整理しようかな…。 もし、設備や収納などに希望があるのであれば、リストアップしておきましょう。設備や収納は施設によってまったく異なるので、「キッチン付き」「クローゼット2つ以上」など希望をメモしておくと、施設探しがスムーズに進むと思いますよ。 老人ホームの種類によっては2人部屋がない場合も 老人ホームの種類によっては、以下の図のようにそもそも2人部屋がない施設もあります。その施設を避けるだけでも、効率的に施設探しができるようになるはずですよ。 老人ホームの種類 2人部屋の有無 入居条件(要介護度) 公的施設 特別養護老人ホーム × 要介護3以上 介護老人保健施設 × 要介護1以上 介護医療院 × 要介護1以上 ケアハウス(軽費老人ホーム) 〇 自立~軽度の要介護 民間施設 介護付き有料老人ホーム 〇 要支援1以上 住宅型有料老人ホーム 〇 自立~軽度の要介護 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 〇 自立~軽度の要介護 グループホーム 〇 要支援2以上 2人部屋だと料金が2倍になる? 2人部屋の料金が気になります!2人部屋だと、やはり費用も2倍になるんでしょうか? いえ、すべての費用が2倍になるわけではありません。基本的には「家賃」に関連する費用と管理費が増額されます。当然ながら2人部屋の方が家賃が高くなるので、それに関係する費用も一緒に高くなるんですね。料金形式によっても変わるので、「初期費用」と「月額費用」の2点からお金についてお話ししますね。 初期費用は 老人ホームの初期費用には、大きく分けて「敷金」タイプと「一時入居金」タイプの2種類があります。敷金は一般的な賃貸住宅と同じもの。家賃に合わせて「家賃◯ヵ月分」と設定されている場合が多いです。そのため、1ヵ月の家賃が高くなるのに合わせて、敷金が高額になります。 確かに、一般的な賃貸アパートも1ヵ月の家賃が高くなれば、敷金も高くなりますもんね。 また、「一時入居金」とは前払い家賃のことです。毎月払う家賃の一部や全額を入居時に支払うことで、毎月の負担が軽くなります。そして、一時入居金も家賃であることには変わりないので、2人部屋で家賃が高くなれば一時入居金も高くなります。 月額費用は 老人ホームの月額費用の内訳は、基本的に以下の通りです。 家賃 管理費 食費 介護サービス費 この中のうち、2人部屋の方が金額が多くなるのは、家賃と管理費です。家賃は、部屋の広さなどによって金額が異なります。つまり、2人部屋の家賃が単純に1人部屋の倍になるわけではありません。目安としては、1人部屋の1.5~2倍が2人部屋の家賃の相場です。 へぇー、必ず2倍になるわけではないんですね。そういえば、2人部屋に入居しても食費や介護サービス費は変わらないんですか? そうです。なぜなら、基本的に食費や介護サービス費は、利用した量や回数によって金額が決まるため。部屋の広さや設備に左右されるものではないからです。 2人部屋に入居するときの注意点 2人部屋についてよくわかったので、北野室長の話を参考にして施設探しをしようと思います。 ちょっと、待ってください!2人部屋に入居を決める前に、注意していただきたいことがあります。 注意すること?何ですか? 要介護度が高いと広い部屋は使いにくいことも 実は、広い居室は介護度が高い方にとって使い勝手が悪いことがあるんです。現在、お母様は介護認定を受けていらっしゃいますか? はい。要介護1です。でも、まだ自分のことは1人でできていますよ。料理も掃除も自分でやっているくらいですし。 それであれば、2人部屋に入居しても大丈夫でしょう。ただ、今後、身体機能が低下したり認知症を発症してしまった場合、2人部屋は広くて持て余してしまう可能性があります。 どういうことですか? 介護が必要な状態になると、掃除や料理、洗濯などが大変になったり、介護職員さんにお願いすることになりますよね。また、トイレにまで行くのも一苦労になるでしょう。なのに、2人部屋では部屋が広いことで家事やトイレをする負担が増加すると考えられます。また、身体状況がさらに悪化して、常に見守りが必要な状態になると、リビングなどの共有スペースで過ごす時間が長くなります。部屋で過ごす時間が短くなるので、広い部屋である必要性が低くなることもありえますよね。 確かに!今は母がまだ元気なので広い部屋でのびのび暮らしてもらいたいと考えていましたが、介護が必要になったら、そんなことも言ってられないですもんね。 それに、共有スペースの風呂や食堂を使う場合、2人部屋のように広い部屋は必要ないと感じるかもしれませんね。 1人部屋よりも数が少ない 実は、老人ホームの2人部屋を探すのは、1人部屋を探すよりもハードルが高いんです。 えっ、それはなぜですか? 2人部屋の方が圧倒的に数が少ないからです。先ほどお話ししたように、施設の種類によっては2人部屋を設けていません。そのうえ、2人部屋がある施設であっても1人部屋よりもずっと数が少ないです。そのため、空室がないことも多く、入居するまでに長い期間待つかもしれません。 そうなんですか!?知りませんでした…。 「2人部屋の方が広くて良い」と思われる方はよくいらっしゃるのですが、注意点もいくつかあるので、気をつけながら施設探しをしてくださいね。 1人でも老人ホームの2人部屋に入居できる! 老人ホームの種類によっては2人部屋がないことも 介護が必要な場合、2人部屋では使い勝手が悪いかも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/07/04

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の父親がトイレ以外の場所で用を足すときの対策は?トイレの仕方がわからなくなってしまったんでしょうか

認知症の父親が、廊下やゴミ箱など、トイレではないところで用を足すようになってしまって…。ただでさえ大変なのに掃除の手間も増えているので、余計に大変なんです。 最近まで自分でトイレに行っていたのに、なぜできなくなってしまったんでしょう? (宮田さん・会社員・62歳) もしかしたら、認知症の影響でトイレの場所がわからなくなってしまったり、間違った場所をトイレと思い込んでいる可能性があります。ですので、トイレのドアに「トイレ」などと貼り紙をしたり、排泄の間隔を把握してトイレに誘導することで、トイレ以外の場所で用を足すことを防げるかもしれません。 認知症の人がトイレ以外で用を足すのはなぜ? 最近、認知症の父がトイレ以外の場所で用を足すようになってしまいました。廊下やゴミ箱など、まったく違うところでおしっこをしてしまうんです。ついこの間まで、問題なく一人でトイレに行っていたのに…。なんで急にトイレ以外の場所で用を足すようになってしまったんでしょう? それは大変ですね…。認知症の症状が進行したことで、トイレで排泄ができなくなってしまったのかもしれません。具体的には、以下のようなことが理由に考えられます。 場所がわからなくなる がまんができない 違う場所をトイレと思いこんでいる 不快な場所と感じている 便器をトイレと理解できない 幻視を見ている 場所がわからなくなる 認知症による記憶障害や見当識障害の影響で、トイレの場所がわからなくなっている可能性があります。 記憶障害って物忘れってことですよね?それは以前からありました。もうひとつの見当識障害とは何ですか? 見当識障害とは、時間や場所がわからなくなる症状です。例えば、記憶が若い頃に遡ってしまって、今の時間がわからなくなる、同時に記憶が遡っているので今いる場所もどこかわからなくなるといった状態です。例えば、「昔と家の様子が変わったからトイレの場所がわからなくなる」といったこともあり得るわけです。 見当識障害とは 見当識障害とは、今、自分がいる時刻や日付、場所、周囲の環境などを総合的に判断する能力が失われる障害です。アルツハイマー型認知症になると、記憶障害に続いて見られる症状です。 見当識障害には「時間の見当識障害」「場所の見当識障害」「対人関係の見当識障害」の3つの種類があります。まず最初に症状としてあらわれるのが時間の見当識障害と場所の見当識障害です。症状が進行すると対人関係の見当識障害も目立つようになります。 時間の見当識障害 昼か夜かわからなくなる 今日が何月何日かわからなくなる ...

2023/06/27

施設入居 食事 医療体制

腹膜透析でも老人ホームに入居できますか?父親が自分で処置をできなくなってきました

腎不全で腹膜透析をしている父の老人ホームを探しています。腹膜透析は父自身でおこなっていますが、最近になって処置がうまくできていないことがあるようです。 そのため、週2回利用している訪問看護師さんやケアマネジャーさんから老人ホームへの入居を勧められています。 腹膜透析でも入れる老人ホームはあるのでしょうか? (吉野さん・会社員・63歳) 腹膜透析の人を受け入れている老人ホームはあります。ただ、かなり数が限られています。もともと腹膜透析を選択する人が少ないため、腹膜透析を受け入れていることをホームページやパンフレットなどで公開していないこともあります。そのため、まずは施設に入居可能かを相談することが必要。看護師さんが24時間常駐している施設や、訪問看護を使える施設に相談してみましょう。腹膜透析の人を受け入れている施設はかなり少ないので、ぜひ「いい介護 入居相談室」も活用してください。吉野さんの施設探しの負担がかなり減ると思いますよ! 腹膜透析で老人ホームに入居できる? 実家で一人暮らしをしている父の老人ホームを探しています。父は3年ほど前から腹膜透析をしていて。これまでは父が自分で処置ができていたのですが、最近はきちんとできていないことも増えたようです。そのため、訪問看護師さんやケアマネジャーさんから老人ホームの入居を勧められました。腹膜透析でも受け入れてくれる老人ホームってありますか? 腹膜透析の人を受け入れている施設はあることはあるのですが…かなり少ないですね。病院に通院して透析をする血液透析だったら、受け入れている施設は多いのですが…。 腹膜透析だと入れる施設は少ないんですか…。 でも、まったくないわけではありません!ちょっと探し方にコツがいるので、順番にお話ししていきますね。 腹膜透析でも入居できる老人ホームの探し方は? 腹膜透析の人を受け入れている老人ホームは数が少ないうえに、そもそも腹膜透析をしている人が少ないため、腹膜透析の対応が可能であることをホームページやパンフレットなどで公開していないこともあるんです。 えっ!そうなんですか!じゃあ、どうやって探したら良いんですか? 基本的には施設に問い合わせるのが一番です。施設の中には受け入れができるように調整してくれることもあるので、相談してみることが大切ですね。とは言っても、やみくもに施設に問い合わせるのは大変ですから、以下の特徴のある施設に相談してみると、受け入れてくれるかもしれませんよ。 医療体制が整っている 訪問看護を使える 医療体制が整っている 「医療体制が整っている」ってどういう施設でしょうか?何か特徴がありますか? 例えば、ホームページなどに「24時間看護師常駐」といった文言が記載されている施設です。昼夜問わず看護師さんが勤務しているため、常に医療ケアが必要な人が多く入居しています。看護師さんの数も多いので、多様な医療ケアに対応していることが多いです。医療ケアの頻度が多い人も受け入れていることが多いので、相談してみてください。 訪問看護を使える 「24時間看護師常駐」の施設ではなくても、訪問看護サービスを活用することで腹膜透析の人を受け入れてくれる施設があります。こうした施設は、訪問看護ステーションが併設されていたり、医療機関との協力関係がしっかりしている傾向があります。ただ、訪問看護やその他の介護サービスを利用するごとに費用がかかりますから、お金がかさんでしまう可能性があるので要注意です。 腹膜透析の注意点 吉野さんは既にご存知かもしれませんが、腹膜透析の注意点を改めて確認しておきましょう。具体的には、以下の3点です。 将来は血液透析に移行する 食事制限が要ることがある 感染症の可能性が高まる 将来は血液透析に移行する 腹膜透析は、開始から数年後には血液透析に移行しなければいけません。というのも、透析液を流す腹膜は数年経つと透析膜としての機能が低下します。さらに腹膜透析では対応できないほど、腎不全が進行した場合にも血液透析に移行する必要があります。たいていの場合は、腹膜透析を始めてから5~10年後には移行するとされています。 そういえば、父の病院の先生から説明を受けた記憶があります。 血液透析に移行することを考えて、施設探しのときには腹膜透析と血液透析のどちらも対応できる施設が良いでしょう。腹膜透析が対応できるのであれば、血液透析にも対応していることが多いので、「血液透析にも対応していますか?」と一言、確認しておくだけ大丈夫ですよ。血液透析の受け入れをしている施設については、以前のご質問でもお答えしているので、ぜひ参考にしてください! 食事制限が必要なことがある 腹膜透析に関わらず、人工透析をしている人の多くは食事制限が必要です。お父様には食事制限がありますか? はい。塩分制限とカロリー制限をしています。そういえば、食事制限って老人ホームで対応してもらえるんでしょうか? 腹膜透析の対応をできる施設には、腎不全以外にも食事制限が必要な病気を持っている人が多く入居している傾向があります。なので、食事制限ができないことはないと思いますが、念のため確認をしておきましょう。 感染症の可能性が高まる 腹膜透析の場合、透析液を注入するときに細菌が体内に入って感染症を引き起こす可能性があります。また、カテーテルが入っている部分から感染するおそれもあります。こうした危険性から、訪問看護師さんやケアマネジャーさんが施設への入居を勧めていると考えられるので、施設に入居したら腹膜透析の処置は看護師さんにお任せした方が良いでしょう。 腹膜透析の費用を抑える「高額療養費制度」 腹膜透析には、たくさんの費用がかかりますよね。特に老人ホームに入居すると、在宅介護よりも多くのお金がかかる傾向があります。そこで、「高額療養費制度」を活用してお金を費用を軽減しましょう。 「高額療養費制度」とは何ですか? 高額療養費制度は、1ヵ月の医療費が上限額を超えた場合に自己負担が軽減される制度です。しかも、慢性腎不全による腹膜透析の場合、特例で費用負担額が月1万円になるんです。 えっ!1万円になるんですか!? そうなんです!それ以上支払う必要はありません。ただ、申請が必要なので、加入している医療保険の窓口に問い合わせてくださいね。 数は少ないが、腹膜透析でも入居できる老人ホームはある! 医療体制が整っている、訪問看護で対応できる施設を探そう 将来は血液透析に移行することも念頭に施設探しをして pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/06/20

在宅介護 認知症介護

認知症の父親がタバコを止めようとしません。一人暮らしで火事が心配なのでどうにか禁煙させたいです

実家で一人暮らしをしている父を介護しています。父は認知症で、私が週に3~4回通ってなんとか暮らしている状況です。 若いころから吸っているタバコを止めるように言っているのですが、耳を貸そうとしません。最近、タバコの火がきちんと消されていなかったり、火が着いたままタンスの上に無造作に置いてあったことがありました。火事が心配なので、どうにか禁煙させたいです。 どうしたら父のタバコを止めさせられるでしょうか? (大石さん・会社員・59歳) 火の不始末は心配ですね…。禁煙を促す方法としては、まずはタバコのデメリットや危険性をしっかり伝えることが大切。ご家族だけで説得が難しいときにはかかりつけ医などの専門家から禁煙を勧めてもらうのも有効でしょう。すぐに禁煙させたいからといって、タバコを取り上げたり、お父様の気持ちを否定する言動はNG。お父様に共感して話を聞きながら禁煙を進めていきましょう。 認知症の人を禁煙させるときのNG対応 実家で一人暮らしをする認知症の父の介護をしています。最近、物忘れがひどくなって、認知症の進行を感じています。それに関係するのか、このところタバコの火をきちんと消していなかったり、火が付いたまま机の上に置きっぱなしになっていることが何度かありました。 それは怖いですね…。 そうなんです。火事が怖いので禁煙するように言っているのですが、聞く耳を持たず…。いつも最後には口論になってしまうので、疲れました。 口論になってしまうんですね…。もしかしたら、認知症の人のタバコを止めさせるのにNGな対応をしてしまっているのかもしれません。 NGな対応ですか?どんなものでしょう? 例えば、タバコを勝手に取り上げることです。認知症の方は、認知機能の低下の影響で、不安感が大きくなったり他の人への不信感が大きくなる傾向があります。なので、お父様の許可を得ずにタバコを取り上げてしまうと、お父様が自分の気持ちや嗜好を否定されたように感じてしまうんです。 この間、一度タバコを取り上げたことがありました。あまりに騒ぐので返したのですが、あんなに大騒ぎしたのは認知症の影響もあったんですね。父の安全のことを考えてしたことですが…。父の気持ちを考えていませんでした。 それに、喫煙者がタバコを止めるとイライラしやすくなります。特に認知症の方は、感情の抑制がしにくくなっているので、暴言や暴力が出やすい傾向があります。つまり、気持ちを否定せずにタバコを止められるようにするのが大切なんですね。 認知症の人に禁煙させる方法 具体的には、どうやって禁煙させれば良いんでしょう? 既にやっていらっしゃるかもしれませんが、まずは説得が大切です。タバコを吸うことのデメリットや、タバコを止めることのメリットを伝えるんです。このときに、お父様の気持ちに共感することを心がけましょう。長年の習慣を止めることは寂しさがあるかもしれませんし、喫煙がストレス解消になっているのかもしれません。説得は、感情的にならずに落ち着いて話をするのがカギ。共感しつつ伝えたいことを話しましょう。 父があまりにも頑固なので、毎回、感情的になっていました…。だから、ケンカになってしまったのかな。 また、かかりつけ医に禁煙を勧めてもらうのも良いでしょう。ご高齢者は、ご家族の言葉には耳を貸さなくても、第三者、特に専門家の言葉なら聞き入れる傾向があります。なので、タバコを吸い続ける危険性や、無理のない禁煙方法などを説明してもらえると、納得して禁煙してくれるかもしれません。 認知症の人がタバコを吸う危険性 タバコは「百害あって一利なし」と言いますよね。ここで改めて、タバコを吸うことの危険性について確認しておきましょう。 タバコが認知症を進行させる可能性あり 実は、喫煙が認知症の症状を進行させる可能性があります。 えっ!そうなんですか!? タバコに含まれているニコチンの影響で脳に酸素が届かなくなり、脳細胞が死滅してしまうと言われています。そのせいで、脳の機能が低下してしまうんです。そもそも、タバコは認知症の原因のひとつとされています。50~60歳の頃から毎日タバコを吸っていると、高齢になって認知症のリスクが倍増するとも言われています。それくらいタバコは脳に悪影響を与えるものなので、少しでも認知症の進行を抑えるためにお父様の禁煙を進めていきましょう。 火事の危険性も 私は火事も心配です。認知症が進行したせいか、火の始末がきちんとできていないことが増えてきて。はじめに話したとおり、灰皿を使わずに適当なところに火の付いたタバコを放置してしまうんです。物忘れも進んでいるので、タバコを置いたことも忘れてしまっているのかもしれません。 それに、お父様が一人暮らしであるのも心配ですよね…。認知症が進行すると、それまで普通にできていたことができなくなってしまうことがあります。もしかしたら、そのせいでタバコの火の始末の方法がわからなくなってしまったのかもしれません。寝タバコをして火事になってしまうケースもありますから、なんとか説得して禁煙を進めたいですよね。 父の健康のためにも安全のためにも、どうにかタバコを止めるように説得します。 認知症の人がタバコを吸うと、症状が進行する危険性がある タバコの危険性を説明したうえで、少しずつ本数を減らして 無理やり取り上げると、暴力・暴言につながることも… pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/06/13

施設入居 在宅介護 認知症介護

父親の老人ホームの入居を親戚に反対されています。手伝いもしないのに口だけ出す親戚に困っています。

同居している父親を老人ホームに入居させようとしたら、叔母から反対されて困っています。 父親は認知症が進行しており、ほぼ毎回トイレを失敗。なのに、私の介助を拒否したり、怒鳴って私に手を上げることもあります。こんな状況なので、もう疲れて仕事にも支障が出ているんです。 だから施設に入居させたいのに叔母は「介護施設に入れるなんてかわいそう」と反対。たまに顔を見せるだけで介護を手伝うわけでもないのに、口だけ出されて困っています。 (高山さん・パート・63歳) それは大変な状況ですね…。そういうご相談はよくいただきます。例えば、老人ホームに入居すると身体状態が悪くなったり、認知症が進行すると考えていて、入居を反対されたり。また、介護の状況を理解していないために「老人ホームに入る必要がない」と思っていたり…。そういう場合は、老人ホームを見学してもらって実際の施設について理解してもらう、普段のお父様の状況を動画などで記録して見てもらうなどの対応ができます。在宅介護を続ける場合は、そのご親戚に介護の一部を担当してもらったり金銭的な支援をしてもらうなどの交渉をすることも検討してください。まずはお父様と介護をしている高山さんの生活が最優先。お二人が安心して暮らせる選択をしてくださいね。 親戚が老人ホーム入居に反対する5つの事例 父の在宅介護が限界なので、老人ホームに入居させようといくつかの施設を候補に考えています。そのことを叔母に話すと、「介護施設に入れるなんてかわいそう」と反対されてしまいました。父は身体は元気なものの、認知症の影響でトイレに間に合わなかったり、ちょっとしたことで怒鳴り出したりと面倒をみるのも大変。私の介助を拒否して手を上げられることもあり、自宅で介護を続けるのに限界を感じています。でも父と叔母は仲の良い兄妹なので、叔母の言葉を無視するわけにもいかなくて…。 なるほど…。私も入居相談を受ける中で、そういったご相談はよくいただきます。これまでいただいた相談から、以下の5つの事例と対応方法をご紹介しますね。 施設に入居したら状態が悪化すると思っている 施設入居の必要がないと思っている 家族や地元から引き離すのがかわいそうだと思っている 老人ホームの費用の支払いを心配している 入居する施設が気に入らない 施設に入居したら状態が悪化すると思っている まだまだ介護施設に悪いイメージを持っている人がいます。いわゆる「姥捨て山」のイメージですね。なので、介護施設に入居したら身体状態が悪化したり、認知症が進行すると思っているんです。そう言う人は、施設に入ったら「自由がなくてベッドで寝たきりにさせられる」と考えているんですね。 確かに、叔母は「施設に入れたら何もできなくなる!」と言っていました。老人ホームに良い印象を持っていないのは確かですね…。 その印象を少しでも良くしてもらうために、一緒に老人ホームの見学をするのはどうでしょうか?高山さんもご存知のとおり、一昔前とは異なり、最近の老人ホームはかなり良いものになっています。レクリエーションや体操を生活に組み入れ、「入居したらベッドの上で寝かせっぱなし」ということはまずありません。そういった実際の老人ホームの様子を叔母様に見ていただくのがおすすめですよ。 施設入居の必要がないと思っている 介護の状況を正しく理解していないために「施設に入居する必要はない」と、ご親戚が思っているケースもありました。たまにしか顔を合わせない人であれば、お父様の普段の様子はなかなか把握できないですよね…。それに、介護の経験がない人だと介護の大変さをイメージできず、「そこまで大変ではない」と思っていることもあります。 本当にそうなんですよ!「こんなに元気なのに施設に入れる必要があるのか」と言われました。父も叔母の前では、昔と同じように振る舞います。認知症の症状もなく、元気になってしまうんです。だからなのか、叔母も父の認知症がそこまでひどいとは思っていないようで…。 となると、いつものお父様の状況を動画やメモなどで記録して見せるのが良いかもしれません。認知症の人は、普段会わない人の前では頭がはっきりとして、認知症になる前と同じように振る舞えることも多いんですよ。なので、いつもの姿をはっきりと見てもらいましょう。もしくは、かかりつけ医やケアマネジャーさんからお父様の状況を説明してもらうのもひとつの手。第三者の専門家から説明を受けると納得できるケースも数多くあります。 家族や地元から引き離すのがかわいそうだと思っている ご家族や地域の愛情が強い人の介護施設の入居を検討している場合、「引き離すのがかわいそう」という理由で反対されるケースもあります。特に、長年連れ添ったご夫婦のお一人だけが入居する場合だと、「お父さん(お母さん)から引き離すのはかわいそう」という反対意見が出るといった話をよく伺います。 そういうこともあるんですね。うちはすでに母が亡くなっていますし、そういうことはないですね。ただ、父は生まれてからずっと地元から離れたことがない人なので、「地元から離すのがかわいそう」と叔母は考えているのかもしれません。 そういうときは、介護の負担が大きくて大変なことだけではなく、入居するご本人のためにもなることを伝えましょう。特に、在宅介護を続ける危険性について話すと良いかもしれません。具体的には「ガスコンロなどの火の管理ができずに火事の危険がある」「ふらつくことが増えて転倒するリスクがある」「部屋にこもりきりで、認知症の進行や身体機能の低下の可能性がある」といったことです。老人ホームに入れば、こうした危険性は回避できるでしょう。介護施設だからこそ、安全・安心な暮らしができることが伝われば、反対する気持ちも和らぐかもしれません。 老人ホームの費用の支払いを心配している 特に他のご兄弟から反対を受けるケースで多いのが、老人ホームの費用の支払いを心配しているパターンです。入居するご本人の財産から費用を出すのか、ご家族が出すのか…。「自分がお金を出さないといけないのでは」と考えて反対していることもあります。 私は一人っ子なので、兄弟から反対を受けるということはなかったですね。ちなみに今回の父の入居は、基本的に父の年金と貯金から出そうと思っています。足りなさそうであれば、私が多少出すかもしれませんが…。 もし、お金のことが心配で反対されている場合、「どこからお金を出すのか」を明確に伝えた方が良いですね。はっきり老人ホームの費用がわかっていれば、「本人のお金から◯万円」「私(子ども)のお金から◯万円」と内訳を伝えるのも良いでしょう。もし、金銭的な支援を頼む場合も、「我が家から◯万円出すから、◯万円出してくれない?」とお願いするのがわかりやすいですね。 入居する施設が気に入らない まれなケースですが、「入居予定の施設が気に入らない」という理由で反対されることも。気に入らない理由は「アクセスが悪くて行きにくい」「大手ブランドではない」「悪い噂を聞いた」「〇〇という種類の施設は対応が悪いと聞いた」などさまざまです。こうした場合も、実際の施設を一緒に見学してもらうのがおすすめです。反対している懸念を払拭し、噂話などではなく自分の目で見て納得してもらいましょう。可能であれば、施設の担当者に実際の対応内容を確認するのも良いですね。「どこまでが対応できて、どこからは対応できないのか」を理解してもらうことで、老人ホームでの暮らしをイメージしやすくなると思いますよ。 在宅介護を続けるなら、役割分担をしよう いろんな理由で、親戚に老人ホームの入居を反対される人がいるんですね。具体的な例を聞けてよかったです。ただ、もし叔母の説得ができなかったらどうしたら良いんでしょう…。叔母は頑固なので説得ができないかもしれません。 在宅介護を続けるということですよね。高山さんのお話を聞く限り、今のままで在宅介護を続けるのは難しいでしょう。高山さんが体調を崩してしまう可能性もあります。なので、在宅介護を続けるように言われたら、叔母様に介護の協力を依頼しましょう。「週◯回は介護をする」「通院の送り迎えを担当する」など、具体的にお願いすることが大切です。 叔母に介護を頼むんですか?やってくれるかな…。叔母も年ですし…。 叔母様が実際に介護ができない場合でしたら、金銭的な支援をお願いするのはどうでしょうか?在宅介護でも介護サービスをたくさん使うことで、かなり負担は減ります。もちろんそのためには今よりもお金がかかりますから、その分の費用を出してもらうんです。正直なところ、「介護もできない」「お金も出せない」と言う人の意見よりも、介護をする人・介護をされる人の安全や健康の方が優先です。何より、高山さんの生活ですからご自分の暮らしや健康を一番に優先した選択をしてくださいね。 「姥捨て山」のイメージがある、介護の実情を理解していないことで親戚から入居を反対されることも 動画やメモを使ったり、かかりつけ医やケアマネジャーから説明をしてもらって、介護の実情を理解してもらおう 在宅介護を続けるなら、介護の分担や費用の負担の相談をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/06/06

排泄 認知症 在宅介護

認知症の母親が便をいじって家中うんこまみれに…。トイレを汚すこともあるので対策を教えてください

認知症の母親が、自分の便をいじって服だけでなくふとんや壁に触って汚すようになって大変なんです。何度、注意しても治りませんし、認知症のせいで注意したことも覚えていないようです。 仕事から帰って疲れていたときに、部屋中を汚されたときは本当に参りました。最近、そんなことが増えてきたので家に帰ってきても気が抜けません。良い解決策はありませんか? (片山さん・61歳・会社員) それは、本当に大変でしたね…。便をいじることは、認知症の症状のひとつで「弄便(ろうべん)」と言います。下着やおむつの中に便があることに違和感を覚えて素手で触ってしまい、その汚れた手をいろんな場所になすりつけてしまうんです。なので、できるだけ下着やおむつの中に便が入っている時間を短くすることが大切。おむつの中にではなく、トイレで排泄できるようにすること、寝たきりの人の場合は定期的におむつ交換をすることが便いじりを減らすことにつながるでしょう。 弄便(ろうべん)とは? 認知症の母が、便をいじって汚れた手をふとんや壁になすりつけるんです。便を触っているというだけでもショックなのに、部屋中を汚されて片付けも大変だし…。この間なんて、私が仕事から帰って母の部屋に入ると部屋中が汚れていて…。とても疲れていたのに、服やふとんを洗濯して、壁も拭いて…と、本当に参りました。 それはとても大変でしたね…。お仕事も介護もお疲れ様です。お話を聞く限り、お母様は認知症の周辺症状(BPSD)のひとつである「弄便」の症状が現れているように思います。 弄便(ろうべん)とは 便器の中に手を入れたり、トイレ以外の場所で失禁してしまうのは“不潔行為”と呼ばれるBPSD。その中でも、自分の排泄物を手で触ったり、衣服や壁にすりつけてしまう弄便は、介護者への負担が大きい症状です。 弄便の多くは、排泄物をしたことによる違和感やオムツの不快感が原因と考えられています。 オムツが不快だから中の排泄物を取りのぞこうとして手に便がついてしまう、手についた便をどうしたら良いかわからなくて服や壁にすりつける。本人にその気はなくても結果として弄便になってしまうことが多いようです。 ろうべん、ですか? 弄便は便を触って自分の身体やふとん、壁などにこすりつけること。中には便を汚いものと認識できずに、自分の顔に塗りつけたり、食べてしまうケースもあります。 食べてしまう!?信じられない! おっしゃるとおり、私たちにとっては信じられないことなんですが、認知症の影響で認知機能や理解力が低下していることで便が何だかわからなくなってしまうんですね。ただ、悪意があって便をいじったり、部屋を汚しているわけではないことは理解しておいてください。 弄便の原因は? 他の認知症の周辺症状も同様ですが、弄便にも原因があります。その原因を取り除くことで、症状が軽くなったりなくなったりするんです。 その原因というのは? 例えば、以下のようなことがあります。 おむつの中が不快で気になる 失禁を隠そうとする 便を正確に認識できない おむつの中が不快で気になる 下着やおむつの中で排便すると、肌に便が触れますよね。その感覚が不快で気になって便をいじってしまうことがあります。認知症の影響で排便をしたことを忘れてしまっている場合、「知らないうちに何かが下着の中に入っていて不快だから取り除こう」と思って便を触っていることも考えられます。 なるほど。確かに排泄したことを忘れてしまっているなら、不快でしょうがないですよね。 もしくは、お尻周りの皮膚がかぶれてかゆみがあるのかもしれません。かゆみがあれば誰でも気になるもの。かゆみのある部分を触ろうとして意識せずに便にも触ってしまっている可能性もあります。 失禁を隠そうとしている 失禁を隠そうとしている場合、汚れた服や下着をタンスや物陰に隠してしまうこともあります。また、失禁をしたことの羞恥心から、誰にも知られないように自分で片付けようとしたものの、どうしたら良いのかわからず、周囲を汚してしまってパニックになるケースもあるんです。 便を正確に認識できない 「正確に認識できない」というのは、さっきの「便を食べてしまう」ケースということですか? おっしゃるとおりです。私たちは排泄物は汚いものだと社会的な慣習に基づいて覚えますよね。それが認知症の影響で忘れてしまうんです。なので、便を何かわからず手でこねたり、美容クリームと思い込んで顔に塗るといった行為をすることもあります。 便をいじったときの対応方法は? 便をいじってしまう原因について、なんとなく理解しました。では、母が便いじりしたときはどう対応したら良いんでしょうか? それでは、便いじりが起きたときの対応方法についてお話ししていきましょう。 こんな対応はNG! 最近、便いじりの頻度が上がっているような気がして。何度叱っても繰り返すし…。 実は、便いじりをしたときにお母様のことを叱るのは逆効果になることがあります。 えぇ!?そうなんですか? さっきお伝えしたように、便いじりをすることに対してご本人には悪意はありません。なので、なぜ叱られているのかわからないんです。それに、認知症の影響で叱られた内容を忘れてしまう可能性もあります。ただ、叱られたことによる「嫌な気持ち」は残ります。それで不安感が増して、便いじりの回数が増えてしまうことも考えられるんです。 じゃあ、どうしたら良いんですか? 冷静に対応することが大切です。大声を出さず、お母様を責めず、穏やかに対応することで、お母様も安心するんじゃないでしょうか。 まずは手を、それからシャワーできれいに 便いじりによって汚れてしまったら、まずはお母様の手を洗いましょう。身体も汚れている場合、「早くきれいにしないと」とあせって急いで浴室に向かいたくなるかもしれません。ですが、手をきれいにしていないと浴室に行く途中の壁や手すりが汚れてしまう可能性もあります。なので、まずは手をきれいにしてから浴室で身体を洗ってくださいね。 便いじりの予防方法はある? 便でふとんや壁まで汚されると、掃除するのが本当に大変で…。どうにか便いじりを止めさせる方法はないでしょうか? 残念ながら、すぐに便いじりがなくなる方法というのは残念ながら思いつかないです…。ただ、便いじりの頻度を減らす方法はいくつかあります。以下のようなことを続けていくと、頻度が減っていくと思いますよ。 トイレで排泄する習慣をつける 汚れをとりやすいような工夫をする 皮膚を保護する トイレで排泄する習慣をつける トイレが間に合わず、下着やおむつの中で失禁してしまっている場合、できるだけトイレで排泄できるように習慣づけをしましょう。下着やおむつの中に便がある時間を短くするのが便いじりを減らす第一歩です。認知症になると、尿意・便意があってもトイレに行くことがわからなくなることがあります。なので、もじもじしていたり、力んでいるなど、いつもと違う様子があればご家族が声掛けをしてトイレに誘導してみてください。 なるほど。母はリハビリパンツを使っているのですが、気がついたらパンツの中で排泄してしまっていることが増えました。あれは、トイレに行くことがわからなくなったからだったんだ…。 もし、トイレに行くのが大変そうな様子があったら、お母様のお部屋にポータブルトイレを設置するのも良いでしょう。肌に便が触れている時間を減らすことで、肌のかぶれも減りますから、かゆみが原因の便いじりも減ると思いますよ。 皮膚を保護する 合わせて、肌のかぶれが原因の便いじりを減らすために、肛門やお尻の周りにクリームを塗っておくのも効果があるでしょう。ワセリンなどのクリームを塗っておけば皮膚を保護してくれるので、肌のかゆみやかぶれを防げます。 汚れをとりやすいような工夫をする これは、便いじりを減らす方法ではないのですが、便いじりが起きてしまったときに汚れを取りやすくするために、便が付きやすい場所の壁にビニールの保護シートを貼るのもおすすめです。またシーツの上から敷く防水シートも売っていますので、それを使えば寝具への汚れも減らせるでしょう。加えて、畳の部屋の場合は畳の上に敷くだけのフローリングカーペットがあります。畳の目に汚れが残りやすいですから、カーペットを敷くだけでも掃除が楽になると思いますよ。 おむつや下着の中の不快感から便をいじってしまうことも 便で汚れていても怒鳴ったり叱ったりするのはNG! 予防するにはトイレで排泄する習慣をつける、おむつをこまめに交換すること pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/05/31

在宅介護 ショートステイ

父親がショートステイを嫌がります。介護をしている母が入院し、私は遠方に住んでいるので介護ができません。

父と母は、実家で二人暮らしをしています。父は認知症が進んでおり、半日前の出来事も忘れてしまうような状態。ふらついていることもあり、母が見守りをしたり介助をしている状況です。 その母が来週、検査入院をすることになりました。問題がなければ1週間ほど、何かあれば長期間の入院になるかもしれません。なので、父にはその間はショートステイを利用してもらおうと思ったのに、父は頑なに拒否。「行かない」の一点張りなんです。 私は家庭の事情で父を預かるのは難しいです。どうしたら良いでしょうか? (菅野さん・65歳・パート) まずはお父様にショートステイに行きたくない理由を聞いてみましょう。もしかしたら、知らない場所に行ったり知らない人に出会うのが不安なのかもしれません。また、家と違って自由に過ごせないことや手持ち無沙汰になってしまうのが嫌なのかもしれません。そうした理由を聞いた後、ショートステイを利用してもらわないと困る理由を率直に伝えたり、ケアマネジャーやかかりつけ医などの第三者から説得してもらってみてはどうでしょうか? どうしてショートステイを嫌がるの? 実家で父と二人暮らしをしている母が、来週、検査入院をすることになりました。父は認知症が進んで一人では生活できない状態なのでショートステイを利用してもらおうと思ったのですが、嫌がって利用をOKしてくれません。いつもデイサービスには楽しそうに通っているのに…。どうしてショートステイは嫌がるんでしょうか? そうですね…。お父様の思いを聞いてみないと何とも言えませんが、以下のような理由かもしれません。 邪魔者扱いされていると感じるため 知らない場所で生活したくないため 知らない人に介護されたくないため 自分のペースで生活できないため 邪魔者扱いされていると感じるため もしかしたらお父様は介護をされていることに対して引け目を感じていて、邪魔者扱いされていると考えてしまっているのかもしれません。 邪魔者扱い…。そういえば、「俺は家にいない方が良いんだろ」とひねくれたことを言っていました。確かに、母が入院している間、私の家に連れてくれば良いんでしょうけど、私は義理の両親と同居しているので、そういうわけにもいかなくて…。 そうだったんですね。そういう事情もご存知でしょうから、もしかしたら菅野さんのお宅に行けない寂しさも感じているのかもしれませんね。 知らない場所で生活したくないため ショートステイが嫌なのではなく、知らない所で生活するのに不安を感じている可能性もあります。ご高齢になると新しい環境に慣れること自体が大きなストレスになる傾向があります。そのため、例え短い期間でも見知らぬ場所に宿泊するのが怖くてショートステイを嫌がっているのかもしれません。ちなみに、内閣府の調査で「自宅で介護を受けたい理由」をまとめたものがあります。この結果も、「住み慣れた自宅で生活を続けたいから」という回答が圧倒的。多くの人が知らない場所で生活するのに不安を感じていることがわかりますね。 知らない人に介護されたくないため ご家族から介護を受けるのは良くても、見知らぬ介護職員さんから介護を受けるのには抵抗を感じる人もいます。 えぇ?私や母より介護のプロの手を借りた方が安心だと思うのですが…。 おっしゃるとおりだと思います。ただ、見知らぬ他人の手を借りることに「みっともない」と感じる人もいるんですね。お父様はデイサービスを利用しているとのことですから、介護職員のサポートを受けることに慣れているかもしれません。ですが、泊まりとなると不安を感じるのかもしれませんね。 自分のペースで生活できないため ショートステイでは食事や入浴などの時間がある程度、決められています。自分の好きなタイミングで生活できる自宅と違って、他の利用者さんにも気を使わないといけません。そういう点でショートステイに窮屈なイメージがあるのかもしれません。それにショートステイでは身の回りのことを職員さんがやってくれます。手持ち無沙汰になって、時間が空いてしまうのが嫌だと考えているのかもしれませんね。 ショートステイを嫌がるときの対応方法は? では、どうしたら父はショートステイを利用してくれるんでしょうか? まずは、お父様がショートステイを嫌がる理由を率直に聞いてみましょう。先ほど挙げた理由以外の理由で嫌がっているのかもしれませんから。お父様が嫌がる理由をはっきりさせて、その不安点を解消していくようにしていきましょう。 確かに。今まで「行きたくない」としか言わないので、どうして父が頑なにショートステイに行きたがらないのかわかりません。きちんと聞いてみないとですね…。 それに、すでにされているかもしれませんが、ショートステイを利用する理由を素直に伝えることも大切です。お母様の身体のことや菅野さんの家庭の事情もふまえて、「私が困るからショートステイに行ってほしい」とお願いしてみるのも良いかもしれません。 私が困るからショートステイに行ってほしい、と言うんですか? はい。実際、それは事実ですし、お父様が一人で生活するのを心配している気持ちが伝われば、ショートステイに行ってくれるかもしれません。お父様のプライドを傷つけないような言い方で伝えてくださいね。 確かに…。今まで「お父さんは一人じゃ何もできないでしょ」と言ってしまっていたのが良くなかったのかもしれません。 お父様の心情によっては、これだけでは説得が難しいかもしれません。そういうときは、以下のような方法も試してみてください。 合ったショートステイを選ぶ ショートステイに相談する ケアマネジャー、医師に相談する 合ったショートステイを選ぶ ショートステイとひとくちに言っても、実際のサービスや雰囲気は異なります。レクリエーションに力を入れている施設もあればそうでない施設もありますし、お父様に合いそうなショートステイを選びましょう。もちろん、他の利用者さんや職員さんの雰囲気も大切。できれば事前にショートステイの施設を見学しておくのがおすすめです。 ショートステイに相談する 例えば、「他の利用者と馴染めなかったらどうしよう」「やることがない」という理由でショートステイを嫌がっている場合、ショートステイ側に相談することで解決できることがあります。例えば、座席を気の合いそうな利用者の近くにしてもらったり、ショートステイの中での役割を持てるように対応してくれることも。ご高齢者がショートステイを嫌がることは珍しいことではないので、気軽に相談してみてください。 珍しいことではないんですね。父をお願いする立場なのに、父が嫌がっていて申し訳なかったんです。施設に相談してみようかな。 ケアマネジャーや医師に相談する どうしても首を縦に振ってくれない場合は、ケアマネジャーさんやかかりつけ医からショートステイを利用するように言ってもらいましょう。ご家族などの身近な人の言葉は耳を貸さなくても、専門家や第三者の言うことだったら素直に聞き入れてくれることがあります。身近な専門家である、ケアマネジャーさんや医師を頼ってみてください。 嫌がるときに無理やり説得…はNG! いろいろと対策を教えてもらいましたが、それでも父がショートステイに行ってくれるのか心配です。やっぱり、無理矢理にでも連れて行くしかないんじゃないかな…。 それはおすすめしません。というのも、ショートステイの利用はおそらく今回だけではないはず。お母様の体調のことを考えて、定期的な利用をおすすめします。となると、今回、無理矢理ショートステイに連れて行って悪い印象を与えてしまうと、今後が大変です。理想はお父様が納得したうえでショートステイを利用すること。強い口調で無理に説得することもなるべくやめてくださいね。 ショートステイを使うことに”引け目”を感じなくて良い 本当は、ショートステイを使わずに私の家で父の面倒をみるか、私が実家に帰れれば良いんですけど…。父がショートステイを嫌がる様子を見ていると、どうしても「私が介護しないといけないのかな」と思ってしまって。 もちろん、菅野さんにお父様を介護する余裕があるのであればその方が良いとは思います。ただ、お話を聞く限り、それは難しいのではないでしょうか?菅野さんが無理をして倒れてしまっては元も子もありませんよ。ショートステイは、一時的に介護ができないときに利用するだけではなく、介護をする人の「介護休み」という意味合いでも利用されるサービスです。在宅介護は負担が大きくなりがちですから、お母様や菅野さんの体調にも気をつけながら介護をしてくださいね。 知らない場所で生活したくない、自分のペースで過ごせない、など理由はさまざま。 まずはショートステイに行きたくない理由を率直に聞いてみよう 説得ができなかったら、ケアマネジャーやかかりつけ医など第三者から説得してみるのも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

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