介護に仕事に…本当にお疲れ様です。在宅介護だと忙しくて日々のやるべきことに忙殺され、介護や将来が不安になってしまいますよね。もしかしたら、「時間」「精神面」「お金」の3つの点で不安を感じているのかもしれません。
時間の不安は介護休業制度や介護サービスを利用することで解決できるかもしれません。精神面の不安は愚痴を聞いてくれる相談先を見つけたり、介護保険外サービスを活用することで気持ちに余裕ができるかもしれません。お金の不安は介護費用の助成制度や安価な介護施設に入居することで出費を減らせるかもしれません。
自分の生活を後回しにしてしまうと、追い詰められて「介護うつ」や「虐待」、「介護離職」の可能性もあります。ご自分の生活を第一に考えてくださいね。
半年ほど前に母が脱水で倒れて入院して以来、自宅で母の介護をしています。しかし、入院が長引いたせいで筋力が低下したらしく、長時間歩いたり立ったりするのが難しくなってしまいました。
そのため、家事全般の手伝いはもちろん、トイレや入浴の介助も必要な状態に。私はフルタイムで働いており、仕事から帰ってきたら家事や介護、寝て起きたらすぐに仕事…常にやらないといけないことに追われています。
自分のために時間は使えないし、余裕がなくて母にあたってしまって毎日のように後悔しています。こんな生活、いつまで続くのでしょうか。母と私の将来が心配で、どうにかしたいけどどうすれば良いかわかりません。
急に始まった介護と仕事が重なって、本当に大変ですよね…。介護と家事と仕事に追われて、余裕がなくなってしまってしまうのがよくわかります。
やらなければいけないことがたくさんあって、不安と焦りで混乱している部分もあると思います。そういうときは、状況を整理してみましょう。介護の不安は、主に次の3点であることが多いです。
考えたくはないことですが、余裕がなくて追い詰められてしまうと、「介護うつ」や「虐待」、「介護離職」につながる可能性も。早めに手を打ちましょう!
要介護度が上がれば上がるほど、介護にかかる時間が増えるというわけですね。まだ母は要介護2ですが、今後、もっと増えていくんですね…。
また、介護期間については生命保険文化センターが調査をおこなっています。それによると、平均介護期間は5年1ヵ月。ただ、次のグラフを見てわかるとおり、「4~10年未満」「10年以上」と回答した人が約半数います。
この期間は直接介護をした期間だけではなく、病院や介護施設に入っている期間も含んでいますが、それなりの期間は介護が続くと想定した方が良いでしょう。
5年以上もこんな大変な思いをしないといけないんですか!私、やっていけるかな…。
不安にさせることばかりお伝えしてしまってすいません。介護は長期戦になることを想定して、長く介護を続けられるような対策もお話ししますね!
長期的に介護を続けるためには、上手く時間のやりくりをして自分の時間を確保することが大切です。そのために、以下のような対策をとっていきましょう!
介護休業制度とは、家族の介護をするために仕事を休める制度です。介護が必要な家族1人につき合計93日の休業を最大3回に分けて取得できます。この期間は給与の67%が介護休業給付金として支給されます。
全額でなくてもお金がもらえるのは助かりますが…休めるのが93日間だけでは介護をするには全然足りないですよね。介護は何年もしないといけないわけですし…。
実は、介護休業は直接介護をするための期間というよりは、介護体制を整えるための期間なんです。
「介護体制を整えるための期間」?どういうことですか?
そうか、自分が直接介護することばかり考えていましたが、病院や役所とのやり取りにも時間がかかりますもんね。
介護休業以外にも、企業には以下のいずれか1つ以上の制度を設けることが義務付けられています。
それ以外にも、会社によってはテレワークを認めるなどの独自の支援制度を設けている場合もあります。介護に関する支援制度がないか、会社に確認してみましょう。
会社で介護の支援制度を設けているなんて知りませんでした!すぐ確認してみます。
自分の時間を確保するためには、介護サービスを利用することがかなり有効です。
特に、以下の介護サービスは自分の時間を確保する際におすすめです。
デイサービスは、日中に介護施設に通ってサービスを受けるもの。食事や入浴、レクリエーションなどを提供しています。もちろん、デイサービス利用中のトイレなどの介助もプロにお任せできるから安心ですよ。
また、ショートステイは介護施設に1日から宿泊できるサービス。連続で最大30日の宿泊ができますから、ご家族の都合で介護ができない場合やご家族のリフレッシュなどに利用されることが多いです。
デイサービスやショートステイを利用している間は、介護から離れられますから自分の時間の確保がしやすくなるでしょう。
自分の時間を確保するために介護サービスを利用する、という考え方は今までありませんでした。私が介護できるうちは誰かのお世話になるのはいけないと思っていたので…。そんなに気軽に利用してよかったんですね。
もちろんです!
それに、物理的に介護ができない場合だけでなく、自分の時間を作るためにご家族を介護施設に入居してもらうケースもあります。介護サービスや介護施設を利用することは、もっと気軽に考えても大丈夫ですよ。
介護をしていると、次のような問題が起こって精神的に不安になることがあるでしょう。
そうなんです。仕事中も母の介護のことばかり考えて集中できないし、でも家に帰ればイライラして母にあたって後悔するし…。
気持ちを少しでも軽くする方法についてもお話ししますね。
精神的な不安を解決するためには、次のような方法がおすすめです。
どんな悩みでも、誰かに相談することで気持ちが楽になることは多いでしょう。介護についても同様です。
介護の場合、主治医やケアマネジャーなどの専門家や、友人や「介護者の会」の参加者などの介護経験者などが良い相談先と言えます。専門家なら具体的な解決策を教えてくれるでしょうし、介護経験者の話を聞いて参考になることがあるかもしれません。
また、介護を経験していなくても友人や親族などに愚痴を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることもあるでしょう。
確かに、仕事の悩みや愚痴も聞いてもらうだけで気が楽になります。それと同じように、介護のことも誰かに聞いてもらって良いんですね。
在宅介護に限界を感じたときについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
介護保険は適用されませんが、介護の助けとなるサービスに「介護保険外サービス」があります。これは、介護保険の制約を受けないためにかなり多様なサービスがあります。
例えば、以下のような介護保険外サービスを利用すると、精神面で助けになると思いますよ。
母がやわらかいものしか食べられなくなってしまったので、食事の支度に手間がかかるんです。配食サービスでは、やわらかい食事も提供してくれるんでしょうか?
はい。ご高齢者向けの配食サービスなら、「やわらか食」や「ソフト食」などの噛む力・飲み込む力が低下した方が食べやすい食事も提供しています。介護食をご自宅で作るのはかなり大変ですから、ぜひ活用してみてください。
お金の不安もかなりあります。母の介護が始まって半年、いろんなものにお金がかかってしまって…。
介護にはお金がかかると聞きます。今後、どれくらいのお金がかかるんでしょうか?
要介護度や、在宅介護か介護施設に入居しているかで大きく異なります。次の表は生命保険文化センターの調査をまとめたものです。
参考:「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター)
母は今、要介護2だから…月額6万6000円が平均なんだ。もし、要介護5になったら月に10万円以上もかかることになるんですね…。
また、在宅介護か介護施設に入居するかでも費用は大きく異なります。生命保険文化センターの同じ調査によると、在宅介護の場合は月額4万8000円、施設介護の場合は月額12万2000円が平均でかかることがわかっています。
介護施設に入ると12万円以上もかかるんですか!お金も不安だな…。
お金の不安を解決する方法についても、お伝えしますね。
介護のお金についての不安には、以下のような対策があります。
介護費用に関する助成制度がいくつかありますから、これを活用して少しでも負担を減らしましょう。
助成制度には次のようなものがあります。
なかでも、「高額介護サービス費」は介護サービス費が高額になったときにとても助かる制度です。
どんな制度なんですか?
高額介護サービス費は、1ヵ月間に支払った介護サービス費が限度額を超えた場合に払い戻しされる制度です。限度額は世帯や介護サービスを利用する本人の所得に応じて定められています。
例えば、世帯の自己負担上限額が4万4000円の世帯で、1ヵ月の介護サービス費が6万円だった場合は1万6000円が払い戻されます。
限度額や世帯所得は以下のように決められています。
区分 | 負担の上限(月額) |
---|---|
課税所得690万円(年収約1160万円以上) | 140,100円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)~ 課税所得690万円(年収約1160万円)未満 | 93,000円(世帯) |
市町村民税課税~ 課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,000円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税非課税 | 26,400円(世帯) |
前年の公的年金等収入金額+ その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
生活保護を受給している方等 | 15,000円(世帯) |
出典:厚生労働省
ご本人の身体状態やご家庭の事情で介護ができない場合、介護施設に入居することも選択肢のひとつです。しかし先ほどもお話しした通り、介護施設に入居すると在宅介護よりもお金がかかります。
そうしたときには、安価な介護施設を検討してみましょう。安価な介護施設には以下のような特徴があります。
公的な介護施設ってどんなものですか?
公的な介護施設には、以下のようなものがあります。
公的な介護施設は、条件が定められて入所のハードルが高いことが多いです。また、民間の介護施設よりも安価なことがほとんどなので入所希望者も多く、入所までに時間がかかることがあります。
各介護施設の特徴については、以下で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
入所条件があったり、入所希望者が多かったり…公的な介護施設を探すのって大変なんですね。いざ、母を介護施設に入れようと思っても、入所先を見つけられるのかな…。
公的な介護施設は入居までに数年待つこともありますから、早め早めに施設探しを始めることをおすすめします。
ただ、民間施設の中にも比較的に安価な施設はあります。公的施設よりも入居しやすい傾向があるので、安価な民間施設を探すのもひとつの手です。
佐久間さんがおっしゃる通り、施設探しは大変です。介護施設はたくさんありますし、その中からお母様に合った施設を見つけるのは至難の業と言わざるを得ません。もし施設探しに迷ったら、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談ください。知識豊富な入居相談員がお母様にぴったりの施設をご案内しますよ。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。