ご高齢者が同じ話を繰り返す理由は、老化によるもの、認知症によるもののどちらの可能性もあります。
そのため、認知症かどうかを確かめるときは、「慣れた道で迷う」「話のつじつまが合わない」「段取りが悪くなった」といったその他の認知症の症状がないか、チェックしてください。
もし、「認知症かも」と思ったときは、早めに精神科や脳神経科などの認知症の診断ができる病院で検査を受けましょう。
実家で一人暮らしをする母が、最近、何度も同じ話をします。同じ内容の話を繰り返し聞かされたり、数時間前にした質問をまたしてくるんです。
はじめは年齢も年齢なので、「老化のせいかな」と思っていたのですが、友人から「認知症かもしれないよ」と言われてとても心配で…。
同じ話を繰り返すのは、老化のせいなのか認知症のせいなのか、どちらなんでしょうか?
うーん。今の話では何とも言えませんね…。というのも、ご高齢者が同じ話を繰り返すのは、老化による場合と認知症による場合のどちらもあるからです。
詳しくお話ししていきますね。
老化によって同じ話を繰り返すようになった場合、主に「聴力の低下」と「記憶力の低下」の2つの理由が考えられます。
まず、聴力の低下とは、加齢によって耳が聞こえにくくなっているということ。自分の話していることが相手にきちんと伝わっているのかが不安になって、確認するために何度も同じ話をするわけですね。
加齢による物忘れと認知症の記憶障害の違いについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
なるほど。年齢とともに母は耳が遠くなっているような気がするので、当てはまるかもしれません。テレビの音が大きくなっていますし…。
また、認知症でなくても加齢によって記憶力が低下します。なので、話したかどうか記憶が曖昧になってしまって、念のために何度も話をすることも。それに、用事の日時や場所なども忘れやすいので、確認のために何度も質問しているケースも考えられます。
認知症によって同じ話を繰り返す場合、「記憶障害」と「見当識障害」が原因だと考えられます。
記憶障害の場合、話をしたことや質問したこと自体を忘れてしまっています。対して、老化による物忘れは、話したことや質問したこと自体は覚えているけど、内容は忘れてしまうのが特徴です。
なので、周囲は「同じ話を繰り返している」と思っていても、認知症のご本人はそんなつもりは一切ないんですね。
そうなんですね。母も話をしたこと自体を忘れてしまっているのかな…。
もうひとつの見当識障害というのは、時間や場所などの自分を取り巻く状況を理解できなくなる症状です。そのため、「今、何時?」「今日は何日?」「ここはどこ?」などの質問を繰り返すことがあります。
母が同じ話を繰り返すのが、老化のせいなのか認知症のせいなのか、見分ける方法はありますか?
認知症の場合、同じ話を繰り返すこと以外にも初期症状が出ていることが多いです。そのため、以下のような症状がないか確認してみてください。
具体的な症状もお話ししますね。
見当識障害があると、日時や季節の感覚がなくなったり、今いる場所を把握できなくなったりします。そのため、以下のような症状が出ることがあります。
認知症の影響で脳の機能が低下した結果、理解力が低下することがあります。以下のような症状がないかチェックしてください。
実行機能障害は、順番立てて作業することができなくなる症状。特に料理などの複数の作業を同時並行でおこなうものが上手くできなくなる傾向があります。
認知症によって脳が損傷を受けると、性格に影響を及ぼすことがあります。例えば、以前と比べて以下のような様子があったら要注意です。
母の状態が認知症の初期症状に該当するものがいくつかあって、もしかしたら認知症なのかもしれません…。どうしたら良いんでしょうか?
まずは、病院で認知症の検査を受けましょう。認知症の検査は、「精神科」「脳神経内科」「脳神経外科」「老年科」で受けられます。
もし、直接、大きな病院に行くのが不安な場合は、かかりつけ医に相談してみてください。かかりつけ医が認知症の検査が必要と判断すれば、紹介状を作成してくれるでしょう。
認知症の検査については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。
まずは、かかりつけの先生に相談ですね。
ちなみに、認知症の検査ってどんなことをするんでしょうか?
認知症の検査では、面談、身体検査、認知症検査がおこなわれます。
はじめにご本人やご家族と医師が面談し、これまでの病歴や今の状態について話をします。その後、レントゲンや血液検査などの身体検査をおこないます。
レントゲンや血液検査もするんですね!
いえ、最後に認知症検査をおこないます。CTやMRIで脳の画像を撮ったり、テスト形式で脳の機能のチェックをします。
こうした複数の検査の結果をふまえて、総合的に認知症かどうかが判断されます。
認知症は、早期の治療で進行を抑えられると言われています。そのため、ご家族が「認知症かも?」と思ったら早めに検査を受けてくださいね。
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