Q&A
先月、母が老人ホームに入居しました。その請求書がつい先日届いたのですが、想定していたよりも5万円以上高くて困っています。 老人ホームで見学をしたときには、施設の人から月28万円程度と言われていました。なのに、実際には33万円以上かかっていて…。どうしてこんなに高くなってしまったんでしょうか? (若林さん・会社員・57歳) 明細を見てみないと正確なことはわかりませんが、考えられるのは食費やオプションサービス、消耗品費などを見積もっていなかった可能性です。施設によっては、ケアプランに含まれていない介護サービスが追加で発生することや、ベッドや寝具などのレンタル費用が追加されることもあります。想定外の費用が発生するのを避けるには、契約前に重要事項説明書をよく読んでおくこと。重要事項説明書には専門的で複雑な書き方をしている部分もあるので、わからない場合は施設担当者に聞いておきましょう。 老人ホームで想定外の費用がかかる理由は? 先月、母親が老人ホームに入居したので、先日初めての請求書が届きました。その金額を見てみたら、説明を受けていたよりも5万円以上高かったんです!施設を見学したときに聞いていたのは月28万円程度。それくらいなら払えるかと思っていたのですが、請求書では33万円以上の金額がかかれていました。なぜこんなにも金額が高くなってしまったんでしょうか? 明細を見ていないので正確なことはわかりませんが、考えられるのは基本料以外の費用を始めに見積もっていなかった可能性です。老人ホームの基本料とは、家賃、管理費・共益費、食費といったもの。ネット上の情報やパンフレットの多くではこの基本料のみが記載されています。ですが、実際には以下のような費用も発生することがあります。 介護サービス費 日用品・消耗品費 水光熱費 オプションサービス費 介護サービス費 介護サービス費とは、入浴介助や排泄介助、居室清掃といった介護サービスが発生するときにかかる費用です。ちなみに、お母様が入居したのはどんな種別の老人ホームですか?介護付き有料老人ホームでしょうか? いえ、住宅型有料老人ホームです。 なるほど。となると、介護を受けるには、別途、訪問介護などの介護サービスの契約をする必要があります。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった、介護サービスを施設が直接提供していない施設では、介護サービスは別の事業所が提供することになるため、介護サービス費が費用に含まれないことがあるんです。 そうなんですか!知らなかったです…。 それに、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、介護サービス費が利用した分だけの従量制。ご入居者一人ひとり料金が異なるため、事前に金額を提示できないので基本料と一緒に記載できないという面もあります。 なるほど…。 加えて、意外と見落としてしまいがちなのが、ケアプランに含まれていない介護サービスの費用。失禁した際に排泄介助や更衣介助などが必要になり、施設職員が対応した場合、介護保険が適用されないサービスなので全額自己負担になってしまうことがあります。介護保険が適用されるサービスであれば1割負担で済むものが、全額負担になってしまうと費用がかなりかさむことになりますよね。 あ、そういえば母が施設に慣れていないせいか、場所がわからなくてトイレに間に合わず失禁してしまったと何度か連絡が来ていました。その対応で金額が増えていたのかも…。 日用品・消耗品費 施設によっては、歯ブラシやトイレットペーパーなど日用品にも費用がかかることも。また、オムツを使用している場合はその購入費やオムツの破棄費用が発生することもあります。もし、持ち込みが可能であれば、日用品やオムツをご家族が購入して使った方が費用が抑えられると思いますよ。 水光熱費 水光熱費は、施設によっては管理費や共益費に含まれている場合もあれば、別途実費で発生することもあります。また、寒冷地では冬期は暖房費として追加費用が発生することもありますよ。水光熱費の扱いは施設によってまったく異なるので、施設に確認しておきましょう。 オプションサービス費 オプションサービスとはどんなサービスですか? 基本のサービスに含まれないサービスのことです。例えば、以下のようなものにオプションサービス費が発生することがあります。 有料レクリエーション 訪問理美容 家具レンタル リネン交換 移動販売 洗濯 買い物代行 外出の付き添い 通院同行 想定外の費用がかからないための対策は? どうして想定外に費用がかかってしまったのか、よくわかりました。もうこれ以上、お金がかからないようにするためにはどうしたら良いんでしょうか? 想定外に費用がかからないようにする対策としては、「重要事項説明書をよく読む」「介護付き有料老人ホームに入居する」ことが挙げられます。それぞれお話ししていきますね。 重要事項説明書をよく読む 重要事項説明書とは、サービスや職員体制などについて記載される書類です。どの老人ホームにも作成が義務付けられているもので、見学時や契約時に施設側から説明を受けるものです。 そういえば、契約のときに書類を受け取った記憶があります。でも、細かくいろんなことが書いてあるのと、ややこしいのでよく確認していないんですよね。 重要事項説明書はとても大切です。費用についても記載されているので、トラブルを避けるためによく読み込んでおいてください。ただ、若林さんがおっしゃる通り、わかりにくいのも事実です。わからないところは施設に説明を求めましょう。誠実な対応をしてくれる施設であれば、契約前でも入居後でも丁寧に説明してくれると思いますよ。 そうなんですね。改めて確認しておかないと…。 また、老人ホームの料金はややこしいことが多いので、契約の説明時に全体の金額の概算しか言われないこともあります。そのため、細かい内訳やお金の用途なども確認しておくと想定外の出費が抑えられるでしょう。 介護付き有料老人ホームに入居する 予定になかった介護サービス費がかさんでいる場合、介護付き有料老人ホームに入居するのもひとつの方法です。介護付き有料老人ホームは、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅とは異なり、介護サービス費が定額制。要介護度ごとに介護サービス費が設定されており、何度、介護を受けても追加料金が発生することはありません。パンフレットなどの料金を比較すると、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の方が安い傾向があるのですが、実際のトータルの金額では介護付き有料老人ホームの方が安くなる可能性もあるんです。 そんなことがあるんですね!今、母が入っている老人ホームも金額が安いので選んだんですが…。介護付き有料老人ホームの方が良かったのかな…。 うーん、お母様の状態がわからないので何とも言えないところですが…。介護の頻度が高いのであれば、介護付き有料老人ホームをおすすめします。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、訪問介護やデイサービスなどによる決まった時間でないと介護を受けられません。対して、介護付き有料老人ホームでは時間の定めはなく、柔軟に介護を受けられます。少し様子を見て、介助の頻度が多いようであれば介護付き有料老人ホームを検討してみても良いかもしれませんね。 オプションサービスを考慮していないと、想定外のお金がかかることも オプションサービスには、訪問理美容代、おむつ代、ケアプラン外の対応などがある 想定外の出費を避けるには、重要事項説明書をよく確認したり、介護付き有料老人ホームに入居すること pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
2024/07/31
父が一人暮らしを続けるのが心配になってきたので、老人ホームを検討しています。ネット上で老人ホームの情報を調べていたら、「オプションサービス」という記載を見つけました。買い物に代わりに行ってくれるなどいろんなサービスがあるようですが、ほかにはどんなサービスがあるのでしょうか? (大沢さん・自営業・62歳) おっしゃる通り、オプションサービスにはいろんなものがあります。例えば、通院同行や行政手続き代行、訪問理美容や家具のレンタルなどのサービスが提供されています。ただ、これらのサービスは、人手が足りないことを理由に利用を断られることや、想定以上の料金がかさむといったことが起こりえます。トラブルになりやすいことでもありますので、あらかじめよく確認しておくことが必要です。 老人ホームのオプションサービスとは? 父の老人ホーム探しをしています。ネット上で老人ホームの情報を見ていたら、「オプションサービス」という記載を見つけました。スタッフさんが代わりに買い物をしてくれるといったサービスがいろいろとあるようですが、ほかにはどんなサービスがあるのでしょうか? おっしゃる通り、オプションサービスにはたくさんの種類があります。サービスの内容は施設によって異なり、以下のようなものがあります。 通院同行 病院への送迎、診察の付き添いなど 30分約1,500円~2,000円、交通費※提携病院の通院同行は無料の場合もある 行政手続き代行 介護保険の更新など 60分約1,000円~1,500円 買い物代行 60分約1,000円~2,000円、購入費 食事に関するサービス 食事の配膳・下膳 追加料金のかかる特別メニューなど 美容・健康に関するサービス 訪問理美容 福祉ネイル レクリエーション、イベント 有料レク(外部の講師費用、材料費) 入浴 介護保険の基準(週2回)よりも多い回数の場合 金銭・貯金管理 家具のレンタル 寝具、タンス、収納家具など 介護サービスがオプションサービスになることも 施設が介護サービスを直接提供していない「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」では、介護サービスをオプションサービスとして設定していることがあります。 どういうことですか?そもそも、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、介護サービスを提供していないんですか? そうなんです。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅で介護サービスを利用する場合は、別途、契約が必要です。つまり、事前に介護サービス利用の契約をしていない方は介護サービスを受けられません。でも、急な体調不良などで介護サービスが必要になることもありますよね。そうしたときに、一時的に介護を受けられるようにオプションサービスとして介護サービスを用意しているんです。 なるほど…。オプションサービスで利用できる介護サービスはどんなものですか? 訪問介護などで受けられる介護サービスとほぼ同じような内容です。具体的には以下のようなものがあります。 食事介助 排泄介助・おむつ交換 入浴介助・清拭 居室清掃 リネン交換 洗濯 オプションサービスのトラブルに要注意 いろいろなサービスを柔軟に利用できるので便利なオプションサービスですが、トラブルが起こることもあるので注意が必要です。 え、どんなトラブルが起こるんですか? よくあるトラブルとしては、以下のようなものがあります。 人手不足でオプションサービスが受けられなくなる 想定以上に費用がかさむ 人手不足でオプションサービスが受けられなくなる 老人ホームの人手不足によって、オプションサービスの利用を断られることがあります。オプションサービスはあくまで”オプション”なので、通常のサービスを提供するのが優先です。そのため、スタッフさんの退職や欠勤によって人員が足りなくなった場合は、オプションサービスの利用を断られる場合もあります。そのため、オプションサービスを定期的に利用する場合は、利用できないときのことも考えておくのがおすすめ。内容によってはご家族が対応したり、外部サービスを利用することも視野に入れておきましょう。 介護業界が人手不足なのはよく聞きますが、オプションサービスが利用できなくなることもあるんですね…。 想定以上に費用がかさむ オプションサービスを利用するときのもうひとつの注意点が、想定以上に費用がかさむ可能性があることです。例えば、通院同行は1時間あたりの料金と交通費が発生します。そのため、病院が混んでいて時間がかかるとその分だけ費用が高くなっていきます。これは行政手続き代行で役所が混雑していたり、買い物代行で道路が渋滞していて時間がかかった場合も同様です。混雑具合は想定しにくいところではあるので、あらかじめ費用を多めに見積もっておきましょう。 確かにそうですね。父が通っている病院も混んでいるときと空いているときの差が大きいので、想定しにくいことではありますね。 また、見落としがちなのが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、ケアプランに含まれていない急な対応はオプションサービスとして追加料金が発生する場合もあること。「追加料金がかさんでかなり高額になって困っている」とご相談をいただいたこともあります。ご相談いただいたのは、ナースコールでスタッフさんを呼び出すのに1回500円かかる施設に親御さんが入居しているケース。一人でお部屋で過ごす不安感から親御さんが何度もナースコールを押してしまい、月25万~27万円を想定していたのに実際は月40万円近くもかかってしまったそうです。 月40万円!10万円近く上がってしまうことがあるんですね。 そうなんです。そういうこともありえるんです。また、入居時は身の回りのことを自分でできていた方も、年を重ねるにつれてそれがままならなくなることもありますよね。例えば、一人でトイレに行けなくなり失禁が増えて、その更衣介助や清掃などが急に発生すれば、それもオプションサービスとなります。オプションサービスによる介助は、介護保険が適用されないので全額自己負担。そのため、費用が高額になってしまう可能性があるんです。 父はまだ介助が必要な状況ではないですが…。でも、入居してから介助が必要になるのは十分ありえますよね。 もし、介護やそれに関連するサービスで費用がかさむ場合は介護付き有料老人ホームがおすすめです。介護付き有料老人ホームは介護サービス費が要介護度に設定されている定額制。身体介助はもちろん、ナースコールでの呼び出し、掃除などの生活支援も介護サービス費に含まれているので、追加料金が発生しません。ただ、もちろん、通院同行や買い物代行などのケアプランにないサービスは、追加料金がかかることもあります。そのため、どういうサービスが必要なのかを事前によく考えてから入居先を決めましょう。 オプションサービスには、通院同行や手続き代行、家具レンタルなどがある 人手不足を理由にオプションサービスが利用できなくなることも 費用がかさんで、想定以上の金額になってしまう可能性も pre { margin: 40px 0; background: #333; ...
2024/07/31
90歳を超えて一人暮らしをしている父を老人ホームに入れたいと思っています。ただ、父は月に数回、いくつかの病院に通っており、送迎や付き添いが必要な状態です。今は私が送迎していますが、老人ホームに入ったら施設が送迎してくれるのでしょうか? 私の仕事が忙しくなり、通院のためだけに施設から連れ出すのは難しい状態です。薬をもらうだけですし、父も認知症ではないので送迎してもらうだけでも大丈夫です。 (石塚さん・60歳) 通院の送迎に関しては、施設ごとに対応が全く異なります。例えば、提携している医療機関への通院のみ無料で送迎する場合や、通院はすべて有料で送迎する場合、通院の送迎を全く対応していない場合などがあります。ただ、もし施設の往診医で対応できる内容であれば、かかりつけ医を施設の往診医に変更するのもあり。月に1~2回程度、施設に往診に来るので、送迎の必要はありません。もし、どうしても通院が必要で施設もご家族も送迎ができない場合は、介護タクシーを利用するのもひとつの手。ただ、付き添いに制限があったり費用が高額になる場合もあるので、利用前に介護タクシーの事業者などとしっかりと調整する必要があります。 老人ホームに入居したら通院の送迎はどうなる? 父が体力が衰えて一人暮らしが難しくなってきたので、老人ホームに入れようかと考えています。ただ、父はいくつかの病院に通院していて送迎をしないといけません。施設に入居したら、送迎は施設側がやってくれるのでしょうか?通院は薬をもらうだけなので、それだけのために父を施設から連れ出すのは大変ですし、施設に入ったら薬がなくなるのがわからないので通院させるタイミングもわからなくなると、気になっています。 通院の対応に関しては、施設によって全く異なるんです。通院ついて、主に次の3パターンの対応にわけられます。 協力医療機関のみ無料で送迎可能 すべて有料で送迎可能 送迎対応していない 多くの老人ホームで、近隣の医療機関と提携しています。その提携している医療機関のことを「協力医療機関」などと呼んでいます。老人ホームの中には、協力医療機関への通院であれば無料で送迎しているところもあります。診察まで付き添ってくれるかは施設ごとに異なるので、事前に確認しましょう。ただ、協力医療機関でなければ送迎に追加料金がかかることも。設定されている1時間あたりの了解と交通費がかかります。 では、父が通っている病院が協力医療機関でなければ、お金がかかってしまうんですね。 そういうことになってしまいますね。もし、協力医療機関で対応できる内容であれば、かかりつけ医を協力医療機関の医師に変更するのもひとつの手ですよ。 入居する施設の協力医療機関も確認しておかないといけませんね。 かかりつけ医を往診医に変更するのもアリ 老人ホームの中には、協力医療機関の医師が定期的に往診していることがあります。そこで、かかりつけ医を往診医に変更すれば通院の必要がないので石塚さんの負担が軽くなるでしょう。 往診に来てくれるんですね!ちなみに、何科の先生が来てくれるんでしょうか? 医師にもよりますが、内科、精神科が主な診療科です。薬を処方してもらっているだけの場合、入居する施設の往診医で対応できるなら通院の送迎がなくなってご家族が楽になると思いますよ。また、薬の管理は基本的に施設でおこなうので、薬の残量を気にする必要もなくなるでしょう。ちなみに、かかりつけ医を往診医に変更する場合、入居時に施設から医師に情報されるので施設に任せておいて大丈夫です。 父は歯医者にも通院していますが、歯科の往診はないのでしょうか? 訪問歯科をおこなっている施設も多いですよ。義歯の作成・調整や、虫歯治療、口腔ケアのアドバイスなどもおこなっています。 そうなんですね!それなら通院をしなくて良さそうなので、とても助かります。 家族で通院の送迎ができない場合は…。 老人ホーム側で通院の送迎ができず、往診医にも依頼できない場合、やはりご家族が通院の送迎をすることになります。 これからしばらく仕事が忙しくなるので、送迎できなくなると思うんですよね…。 ご家族の送迎が難しい場合、介護タクシーを使うのもひとつの手。介護タクシーとは、基本的に介護の資格を持った運転手が送迎や乗降車の手伝いをするサービスです。介護タクシーには介護保険を適用する場合と適用しない場合があります。それぞれ、サービス内容や費用が異なるのでお伝えしていきますね。 介護保険適用あり 介護タクシーを介護保険を適用させて利用する場合、基本的に運転手の同行は病院の受付まで。ご家族の同乗も基本的にはできません。つまり、タクシーでの送迎のみで、病院内での介助などはおこなわないんです。また、介護保険適用の介護タクシーを利用する場合、あらかじめケアマネジャーさんに相談する必要があります。他の介護保険サービスを利用していれば利用限度額を超えないように調整する必要も出てくるかもしれません。 なるほど、事前の調整が必要なんですね。 介護保険適用なし 介護保険の適用がない介護タクシーは、自由度が高いのが特徴です。介護保険内の介護タクシーが通院や行政手続きといった目的でないと利用できないのに対して、介護保険外の介護タクシーは目的の定めがありません。また、介護保険内の介護タクシーは、ご利用者が車椅子など移動に介助がいる場合などでないと病院内の付き添いや介助ができませんが、介護保険外ではその定めがありません。加えて、介護保険を利用していないので、ほかの介護保険サービスとの兼ね合いを考える必要もありません。 かなり自由に利用できるんですね! そうなんです。ただ、介護保険外のサービスですので、費用は全額自己負担。介護保険を利用したときは1割負担で抑えられることを考えるとかなり高額になってしまう可能性が高いです。 うーん、高額になってしまうんですね。それは困るな…。 そうですよね。なので、介護保険外の介護タクシーを使うのはほかの方法をとれなかったときの手段として方が良いかもしれません。まずは、老人ホームの往診医で必要な薬の処方が対応できるか確認して、難しそうであれば通院の送迎を施設で対応してくれるか確認してみてください。施設で対応できないようであれば、ご家族で対応するか介護タクシーを利用するか考えてみましょう。 通院の送迎は、協力医療機関のみ無料で対応、有料で対応、対応していない、など施設ごとに異なる 施設の往診医に変更すれば、通院や薬の管理の手間がなくなる どうしても送迎ができないときは、介護タクシーを利用するのもひとつの方法 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...
2024/07/30
実家で一人暮らしをする母の介護をしています。母が認知症が進行して料理ができなくなったり、ゴミの日がわからなくなってゴミ捨てもできなくなったりしており、そろそろ一人暮らしが難しそうなので老人ホームを検討しています。 実家近くの老人ホームが気になって資料を取り寄せたのですが、その資料の料金表に「上乗せ介護費」という記載がありました。上乗せ介護費とは何のための費用でしょうか? (長田さん・60歳) 上乗せ介護費とは、介護保険で決められている以上のスタッフを配置しているときに発生する追加費用のことです。主に人件費に充てられており、介護保険外なので全額がご入居者の負担となります。上乗せ介護費は毎月数万円の負担が発生します。そのため、費用を抑えつつ、介護保険外のサービスを利用したい場合は、オプションサービスを利用するのが良いでしょう。オプションサービスは利用時間や回数に応じた都度払いのため、上乗せ介護費が設定されている施設よりも費用負担が抑えられると思いますよ。 老人ホームの上乗せ介護費とは? 実家で一人暮らしをしている母の介護をしています。母は認知症が悪化して、料理や掃除といった家事ができなくなってきてしまっています。そのため、私が週3回ほど通って家のことをしているのですが…。私がいない間に何か起こったらどうしよう、と不安な気持ちでいっぱいです。なので、老人ホームに入れようと思って施設探しをしています。実家の近くに気になる施設があったので資料を取り寄せたところ、料金表に「上乗せ介護費」という記載がありました。上乗せ介護費とは何のための費用なのでしょうか? 上乗せ介護費というのは、介護保険法で決められている以上の人員配置をしている場合に発生する追加料金のことです。介護保険法では、「要介護者3名に対して介護スタッフ・看護師が1名」以上の比率で人員を配置しなければならないと定められています。上乗せ介護費は、この比率以上の人員体制であるときに発生するものです。 人員配置というのは、何を見ればわかるんですか? 施設の資料などの職員体制の欄に記載があると思います。職員体制の項目に「3:1」「2.5:1」という記載がありませんか? えーっと…。そうですね。「2:1」と書いてあります。 となると、「要介護者2名に対して介護スタッフ・看護師が1名」の比率で配置されていることになりますので、かなり手厚い人員配置をしているようですね! なるほど、そういうことなんですね! 上乗せ介護費は、介護保険が適用されない費用です。そのため、全額がご入居者の負担。各施設で決められる料金なので、金額は施設ごとに大きく異なります。また、ちなみに上乗せ介護費は「特定施設入居者生活介護」に認定されている施設のみ設定できる費用です。それ以外の施設では発生しません。 「特定施設入居者生活介護(特定施設)」とは 北野 特定施設は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。特定施設ではケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。 特定施設として認定を受けている施設は以下の種類です。 介護付き有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅の一部 ケアハウスの一部 養護老人ホームの一部 サービス付き高齢者向け住宅の一部 上乗せ介護費は毎月支払う ほとんどの施設で、上乗せ介護費は家賃などと同様に毎月支払う料金体系になっています。 料金表に「介護サービス費」というものもありますが、それとは別の費用なんですね。 はい、そうなんです。介護サービス費は、介護保険が適用される介護サービスの費用のこと。つまり、「3:1」に収まる費用ですね。上乗せ介護費はそれ以上の人員を配置して、基準以上のサービスを提供するための費用ですので、介護サービス費とは別に発生します。 上乗せ介護費がかかる老人ホームの特徴 上乗せ介護費がスタッフさんの人件費ということはわかりました。ただ、上乗せ介護費として追加でお金がかかる以上、上乗せ介護費がかからない施設と違いがあるということですよね? そうですね。上乗せ介護費が発生するような手厚い人員体制の施設では、通常の人員配置だと難しい”プラスアルファ”のケアをおこなっていたり、レクリエーションやイベントが充実している傾向があります。 「”プラスアルファ”のケア」ってどんなものですか? 具体的には、週に1度、スタッフがお客様のお話を一対一で聞く時間を設けたり、リハビリの時間以外でもスタッフが付き添って歩行訓練をしたり…。そのほか、「天気が良いから」と、空いた時間で近隣のお散歩に出かけることもあります。こうした対応は、人員に余裕があるからできることだと思います。もちろん、どのようなケアをしているかは施設ごとの運営方針によって大きく異なるので、一概には言えません。あくまで、”プラスアルファ”のケアをしてもらえる傾向がある、と考えておいてくださいね。 上乗せ介護費をかけずにオプションで賄えることも 人員体制が手厚い施設は、通常の施設よりも充実したケアをしてくれる一方で、何万円もの追加費用が毎月発生します。そのため、予算的に厳しい場合は上乗せ介護費が発生する施設を選べない場合もあるでしょう。そこで、オプションサービスを活用することで、必要なケアを賄えることもあります。 オプションサービスとは何ですか? 例えば、オプションサービスには以下のようなものがあります。 買い物の代行・同行 通院の同行・送迎 食事の提供 理美容 行政手続き代行 移動販売 これらのサービスは、1時間ごとや回数ごとに料金が発生します。そのため、例えば「月2回の通院の同行だけはしてほしい」という場合には、その回数分だけ支払えば良いわけです。 つまり、何万円の上乗せ介護費を毎月支払うよりも費用を抑えられるというわけですね。 おっしゃる通りです。ただし、注意していただきたいのが、基準以上の人員配置の施設でも、上乗せ介護費に上記のオプションサービス費が含まれているとは限らないことです。つまり、上乗せ介護費がある施設でもオプションサービスとして費用が追加発生することがあります。「介護保険外のサービスはすべて上乗せ介護費に含まれている」と考えてしまうと、想定していない出費が発生することがあります。上乗せ介護費にどこまでの費用が含まれているかは施設によって異なるので、事前に確認が必要です。複数の施設の資料を取り寄せたり見学に行ってみたりして、必要なサービスが提供してもらえるか、追加費用が発生するのかを比較するのがおすすめです。 上乗せ介護費とは、基準以上の人員配置がある場合の人件費 手厚い人員配置の施設では、独自のケアやレクなどが充実している 介護付き有料老人ホームなら上乗せ介護費がなくても24時間介護を受けられる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: ...
2024/07/03
父が入居している老人ホームから、「そろそろお看取りかもしれません」と言われました。「看取り」と言われて亡くなるまではどれくらいの期間があるものでしょうか?大まかでも良いので父の残りの時間を知って覚悟しておきたいです。 (谷さん・61歳) お看取りの期間はかなり個人差が大きいためなんとも言えないのが正直なところです。施設側で看取りケアを始めてから1ヵ月ほどで亡くなる方もいれば、数年後に亡くなる方もいます。ただ、最期のときが近づくにつれてだんだんお父様の状態が変化していくので、経過を把握しておくことで大まかな時期がわかるでしょう。特に亡くなる直前は眠っている時間が長くなって反応がなくなり、のどがゴロゴロと鳴ることがあります。 老人ホームでの看取りの期間はどれくらい? 父が入居している老人ホームから「そろそろお看取りかもしれません」と言われています。施設から「看取り」と言われて亡くなるまでの期間はどれくらいのものなのでしょうか?父は87歳と高齢なので想定はしていたことですが、いつ亡くなるのかを知って覚悟をしておきたいです。 うーん…。申し訳ないのですが、正直なところお看取りの期間は個人差が大きく、なんとも言えないのが正直なところなんです。老人ホームで看取りケアを開始してから1ヵ月以内で亡くなることもあれば、数年後に亡くなることもあります。 1ヵ月以内から数年…。確かにわからないですね。 ただ、最期のときが近づくにつれてお父様の状態は変化していきます。その変化で大まかな最期のタイミングがわかると思いますよ。 看取りのはじめ 看取りケアが始まってしばらくは以下のような状態が見られます。 体重が減少する 食欲が低下する 尿量が減少する せん妄が起こる 最期のときが近づくと、食欲が低下して食事量や体重、尿量が減っていきます。噛んだり飲み込んだりする機能が低下するため、施設ではやわらかい食事やペースト状の食事を提供。食事が摂れない場合も無理をせずに、好きなものや、アイスクリーム、高栄養ゼリーなどの食べやすいものを食べてもらうようにします。また、体力が低下して誤嚥性肺炎などの感染症にかかりやすくなっているので、老人ホームでは口腔ケアを徹底し、口の中の清潔に努めます。 父は今は食事は摂れているようなので、まだ大丈夫かな。父の好きなアイスクリームがあるので、差し入れに持っていこうと思います。その次の「せん妄」とはなんですか? せん妄とは、意識障害のことです。時間や場所がわからなくなって混乱したり、つじつまの合わないことを言ったり、急に興奮することがあります。また、逆にぼーっとしたり、ウトウトと居眠りをすることもあります。老人ホームでは、つじつまの合わない話をしていても否定せずに傾聴したり、興奮している場合は落ち着けるような声掛けをするなどの対応をします。普段と違う様子があっても、なるべくいつも通りに過ごせるように配慮しているんですね。 自宅で介護していて急に興奮し始めたら戸惑ってしまいそうですが、プロがそばにいるなら安心ですね。 亡くなる直前 亡くなる直前になると、以下のような状態になります。このような状態になると、施設側から最期が近い旨を伝えられるかもしれません。 食べ物や飲み物がほとんど取れなくなる のどがゴロゴロ鳴る 眠っている時間が長くなる 反応がなくなる 亡くなる直前は、水分を口に運んでも飲めなくなります。口の中が乾燥しているためたんをうまく出せず、のどからゴロゴロとした音がすることがあります。このようなときはぬらしたガーゼやスポンジで口内のたんを取り除き、湿らせる対応をします。また、眠っているような状態で話しかけてもほとんど反応がなくなります。しかし、反応がなくても最後まで耳は聞こえていると言われているので、老人ホームではこまめに声掛けをしたりご本人が好きな音楽をかけたりして、孤独を感じないような配慮をしています。 そんな状態になるんですね…。老人ホームでは、寝たきりになって話もできなくなったら寝かせきりになってしまうのかと思っていましたが、いろいろと配慮してくれると聞いて安心しました。 ターミナルケア、緩和ケアとの違い 北野 看取りケアによく似ているものに「ターミナルケア」「緩和ケア」というものがあります。混同しやすいので、看取りケアとの違いを簡単にまとめました。 ターミナルケア:「終末医療」とも呼ばれる。点滴や酸素吸入などの医療ケアを中心とした対応 緩和ケア:痛みを緩和するためのケア。がんの疼痛コントロールなど、投薬などによる治療をおこなう 看取りケア:医療的ケアをおこなわず、日常生活のケアを中心におこなう 老人ホームでの看取りケアの内容 老人ホームでの看取りケアは、以下のように大まかに3種類に分かれます。どんなケアをしてもらえるのか、事前に把握しておくと安心できるんじゃないでしょうか。 身体的なケア 精神的なケア 家族へのケア 身体的なケア 身体的なケアとは、以下のような対応をすることです。 清潔の保持(口腔ケア、入浴、ベッドのシーツ交換など) 身体的苦痛の緩和(床ずれ防止など) 栄養や水分補給 排せつ バイタルサインのチェック 老人ホームは医療機関ではないので、延命のための医療行為は基本的にできません。そのため、入浴や清潔保持、排泄、食事といったいつも通りのケアに加えて、寝たきりになった際に床ずれ防止などの苦痛の防止・緩和をおこないます。看取りケアを始めるといっても、通常のケアの延長線上にあるものなので特別なことはしません。いつも通りのケアを手厚くおこなって、できるだけ苦痛のないように配慮するのが老人ホームでの看取りケアです。 なるほど…。看取りケアだからといって特別なことはないんですね。5年以上も今の老人ホームにお世話になっていますし、顔見知りの職員さんにいつも通り接してもらうのが父にとっても良いのかもしれませんね。 精神的なケア 精神面では以下のようなケアをおこないます。 こまめに訪問する 声掛けをする スキンシップをする 室内環境の整備 先ほどお話しした通り、最期のときが近づくと会話ができなくなることがほとんどです。だからといってコミュニケーションを取らないのではなく、こまめに声掛けをしたり、手を握るなどのスキンシップをして孤独感を和らげます。 家族へのケア 家族に対してもケアがあるんですか? そうなんです。大切な人が亡くなる前後はご家族にとっても不安ですから、精神的なサポートをおこないます。具体的には以下のようなことです。 入居者の状態をわかりやすく伝える ケアの内容を丁寧に説明する 家族の希望をケアに反映する 家族が気持ちを打ち明けやすい雰囲気をつくる 家族の気持ちに寄り添う こういうことをしてもらえるんですね。安心しました。家族のサポートをしてもらえるなら、施設のスタッフさんにいろいろ相談してみようと思います。 老人ホームでの看取り期間は数ヵ月~数年と個人差が大きい 看取りのはじめは食欲低下やせん妄などが起き、亡くなる直前には眠っている時間が長くなる 老人ホームの看取りケアは、身体的なケア、精神的なケア、家族へのケアをおこなう pre { ...
2024/06/28
母が認知症になって5年以上が経ち、以前よりも症状が悪化しているのを感じるようになりました。今でも介護が大変なのに、今後、もっと悪化して認知症の末期になったらどうなってしまうんでしょうか? (松崎さん・自営業・68歳) 認知症のご家族を在宅介護するのは本当に大変ですよね…。認知症の末期では、歩行能力などの運動機能が低下するため、トイレや入浴、食事などさまざまな場面で介助が必要になります。寝たきりになることもあります。また、免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなることも。感染症によって入院し、さらに心身の機能が低下することもあります。 認知症の末期になったらどんな症状が出る? 母が認知症と診断されてから5年以上が経ち、はじめより物忘れがひどくなったり、テレビや電子レンジなどの家電の使い方もわからなくなってしまいました。トイレや風呂などにも介助が必要で常に目が離せません。認知症の末期になると、もっと症状が悪くなるんですよね?今でも大変なのに末期になったらどうなってしまうんでしょうか? 認知症の方の介護は本当に大変ですよね…。認知症の症状は個人差がありますが、末期になると一般的に以下のような症状が出るとされています。 身体機能が低下する 食欲が低下する 失禁が増える 感染症が増える 身体機能が低下する 認知症の末期になると、身体機能の低下が起きることがあります。トイレや入浴、食事、着替えといった日常生活全般に介助が必要になるでしょう。また、歩行や体のバランスを取ることが難しくなって転倒し、骨折してしまうリスクも高いです。また、身体機能が低下して、寝たきりになってしまうケースも珍しくありません。 寝たきり!今もふらついたりすることがあるので付き添いが必要ですが、歩けなくなってしまうことがあるんですね…。 食欲が低下する 認知症末期になると、意欲の低下や認知機能の低下によって食欲が落ちることがあります。認知症の影響により、「食べる気が起きない」「そもそも食べ物であると認識できない」「食べ方がわからない」といった理由で食事量が減少してしまうんです。また、食べ物を噛んだり飲み込んだりする力である嚥下機能が低下することも。今まで食べられていたものが食べられなくなって食欲が低下してしまうんです。食欲低下が慢性的になると、栄養不足によってさらに身体機能が衰える原因にもなります。 失禁が増える 認知症末期には、失禁が増えることも。「トイレの場所がわからない」「衣服の脱ぎ方がわからない」「歩行が遅くなったことで間に合わない」などの理由からです。 今もたまに失禁します。母はたまにトイレの場所がわからなくなっている様子がありますね…。 感染症が増える 認知症が進行したことで食欲が落ちて体力が低下。それによって免疫力が低下して感染症が増える傾向があります。また、嚥下機能が低下することで誤嚥を起こしやすくなり、誤嚥性肺炎に感染することもありえます。感染症になって入院してしまうと、それが原因でさらに認知症が進行したり体力が低下するなど、全体的な状態が悪化しやすくなるのも注意が必要なポイントです。 認知症の人の寿命は? 北野 「認知症の人と家族の会」の調査によると、認知症の方の介護年数は平均7年。つまり、認知症の方は診断を受けてから平均7年で亡くなっているということです。 ただ、回答は1~31年とかなりバラつきがあります。認知症の進行にはかなり個人差があるため、平均年数は目安として考えておいてください。 参考:「認知症の人と家族の思いと介護状況および市民の認知症に関する意識の実態調査報告書」(公益社団法人認知症の人と家族の会) 認知症末期になる前の備え 認知症が末期になることというのは、最期のときが近づいていることでもあります。そのため、「あのとき、ああしてあげれば良かった」と後悔しないように、事前の備えが大切です。 適切な対応を知る 認知症末期となると、介護する側にとっても心身の負担が大きくなることが考えられます。そのため、事前に適切な対応を知っておきましょう。正しい知識がないためにあまり良くない対応をしてしまい、さらに状態が悪くなることもありえるからです。 良くない対応とはどんなものですか? 例えば、「強要する」「ひとりにする」などの対応です。具体的には、「食欲がないのに無理やり食べさせる」「家族の会話に入れずに仲間外れにする」といったことです。先ほどお話しした通り、認知症末期には食欲低下が起こりやすいです。食べたくない様子があるのに無理やり食べ物を口に入れたりすると食べる構えができていないため誤嚥をしやすく、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。ご家族としては、食事量が少ないとさらに体力が落ちてしまわないか心配になってしまうかもしれません。ですが、認知症末期の方が食欲が低下するのは自然なこと。食べられるときに食べたいものを食べてもらうようにしましょう。嚥下機能が落ちても食べやすいアイスクリームや、高栄養食品を摂ってもらうのも良いと思いますよ。 母の食欲が落ちてきていて心配で「もっと食べて」と言っていましたが、食べられるときに食べれば良いんですね。アイスクリームは昔から好きなので、今度出してみようと思います。 また、認知症末期には反応が薄くなったり会話ができなくなることが多いです。コミュニケーションが取れないからと言って家族の会話に入れずにひとりぼっちにしたり、最低限の声掛けしかしないのはNG。さらに孤独感が募り、気力の低下が進んでしまいます。なので、以前のような反応がなかったとしても笑顔で話しかけましょう。お母様と目線を合わせて話しかければ、反応はできなくても話しかけられていることはわかります。その日の出来事を話すなど、何でも良いので話しかけることが大切です。 介護サービス利用や老人ホーム入居を検討する 認知症末期や最期のときが近づいている状態は、介護の負担が大きいですし、何より衰弱していく様子を目にするのは精神的な負担が大きいでしょう。そのため、認知症末期の方の介護はご家族だけではなく、介護サービスを使ってプロに頼ることをおすすめします。 介護サービスなら、今はデイサービスを利用しています。 そうなんですね!でしたら、ケアマネジャーさんと相談しながらデイサービスの回数を増やしたり別のサービスも併用したりと、在宅介護サービスを調整していきましょう。ただ、在宅介護サービスを利用しても介護の負担が大きいと感じたら、老人ホームに入居することも検討してください。 そうなんですよね…。今も常に目が離せなくて大変なので、そろそろ自宅で介護するのは限界なのかなと感じていました。 そうだったんですね…。今後、お母様が認知症末期になると、寝たきりになって徐々に衰弱していくことが考えられます。そうなると、ご家族がそばを離れられなくなるでしょうし、いつ状態が変わるのか気が気でない日々が続くかもしれません。気を張り詰めている時間が長くなるのは、精神的な負担が大きいですよね。老人ホームであれば施設には常にスタッフさんがいますし、プロによる適切なケアを受けられます。最期のときが近づいている場合には、お母様に変化があれば逐一連絡してくれるので安心ですよ。後悔しないためにも、プロに任せるのもひとつの方法です。 なるほど…。私は仕事でずっと母に付き添っていられるわけではないので、老人ホームに入れるのも考えた方が良いかもしれないですね。 身体機能の低下、家族の顔がわからないなどの症状が出ることがある 強要したり、ひとりにしたり、慌てたりするのはNG! 認知症の人の寿命は平均7年だが、個人差がかなり大きい pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...
2024/06/28
同居している母の老人ホームを探しています。母は体は元気なのですが、認知症の影響で介助がないと何もできません。トイレの行き方やお風呂の入り方もわからなくなってしまったので、すべて私が手助けしている状況です。 手がかかる母なので、介護スタッフさんがしっかり介護してくれるところが良いと思っています。例えば、スタッフさんの数が多いとか…。 介護スタッフさんがたくさんいる老人ホームってどうやって探せば良いんでしょうか?見分け方があれば教えてください。 (前川さん・会社員・57歳) 介護スタッフさんが多い老人ホームを探す際は、施設のホームページなどの「職員体制」を確認しましょう。介護保険法では、「要介護者3人に対して介護スタッフもしくは看護師が1人以上」と定められているので、それ以上の人員を配置していれば職員体制を手厚くしていることがわかります。職員体制欄には、ご入居者と職員さんの割合を「3:1」や「2.5:1」のように表しています。この数字の前半の数字が少ないほど職員1人に対するご入居者の割合が少ないので、手厚い人員配置にしているということがわかります。ただ、手厚い人員配置にしている老人ホームは人件費が多くかかるので「上乗せ介護費」が追加で発生する場合があります。通常の人員配置の施設よりも高額になる傾向があるので、よく確認しておきましょう。 スタッフ数が多い老人ホームの見分け方 認知症の母の老人ホームを探しています。母は体は元気ですが、認知症のせいで身の回りのことが何もできません。トイレの場所がわからなくなったり、お風呂の入り方がわからなくなって、何をするにも介助が必要な状態なんです。そんな状態でとても手間がかかるので、しっかり介護してもらえるところが良いな、と思っています。できれば、介護スタッフさんがたくさんいるところだと安心です。介護スタッフさんが多い施設と少ない施設の見分け方はありますか? ありますよ!スタッフ数が多くて手厚い職員体制の老人ホームを探す場合は、以下の2点を確認してみましょう。 職員体制 看護師の勤務時間 職員体制 まずは、老人ホームのホームページなどで職員体制を確認しましょう。特に介護付き有料老人ホームの場合、職員体制の項目に「3:1」や「2.5:1」といった記載があると思います。 そういえば、近くの老人ホームのホームページには「3:1」と書かれていました。これってどういう意味ですか? これは、介護が必要な入居者に対しての介護スタッフと看護師の比率を表しています。つまり、「要介護者3名に対して、介護スタッフ・看護師が1名」の比率で配置されているという意味です。ということは、「3:1」の要介護者側の人数が少ないほど、スタッフが多く配置されていることになります。ちなみに、介護保険法では「3:1」以上の人員配置をしないといけないと定められています。そのため、「2.5:1」「2:1」と記載されていたら、法律で定められている基準よりも多くスタッフがいるということがわかりますね。 「2.5:1」「2:1」のように、前半の数字が少ないほどスタッフさんがたくさんいるんですね。職員体制の比率をよく確認しておかないと。 ちなみに、老人ホームのなかでも住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅には、人員配置の基準がありません。そのため、ホームページなどで確認できないことがあります。また、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅で介護を受ける場合は、外部サービスを利用する必要があります。決められたタイミングでしか介護を受けられないことも多いので、柔軟に手厚く介護を受けたい場合は、介護付き有料老人ホームを探すのがおすすめですよ。 看護師の勤務時間 もし、日常的に医療ケアが必要な場合は、看護師の勤務時間についても確認しておきましょう。民間の老人ホームのなかでも、介護付き有料老人ホームでは少なくとも日中の看護師の配置が義務付けられています。しかし、夜間も医療ケアが必要な場合は、24時間看護師が常勤している施設でないと入居ができないことがほとんどです。具体的には、朝食前や夕食後のインスリン注射や、たん吸引が必要な場合は、看護師が24時間常駐している施設を探しましょう。 スタッフ数が多い老人ホームに入るメリットと注意点 ここまで、スタッフの数が多い老人ホームの探し方についてお話ししましたので、改めてスタッフの数が多いことのメリットと注意していただきたい点をお伝えしますね。 メリット スタッフが多くて手厚い介護体制がある施設のメリットは、以下のようなものがあります。ただ、これらの対応は施設の運営方針によっても異なるので、あくまで「こういう傾向がある」と考えてくださいね。 柔軟な対応ができる オプションサービスが充実している アクティビティ、レクリエーションが充実している スタッフの数が多い施設は、人員に余裕があります。そのため、日常的な介助をするだけではなく、”プラスアルファ”の対応もしてもらえることが多いんです。 「”プラスアルファ”の対応」ってどんなものですか? 例えば、ご入居者のお話をスタッフが一対一で聞く時間を設けたり、機能回復のためにスタッフが寄り添って歩行訓練をしたり、有料で買い物代行のオプションサービスがあったり…。ホームページやパンフレットなどではわかりにくい部分なのですが、人員にゆとりがあるからこそ柔軟な対応をしています。また、アクティビティやレクリエーションなどが充実している傾向もあります。人員が少ないとどうしてもアクティビティやレクリエーションに時間を割けないのですが、人員にゆとりのある施設では毎日、1日に複数回のアクティビティやレクリエーションをおこなっていることもあります。 1日に何度もレクリエーションをしているんですね!母は参加したがると思うので、嬉しいですね。 アクティビティやレクリエーションの内容も豊富なので、老人ホームに入ってから活動する機会がほしい方は、スタッフの数が多い施設はおすすめです。 注意点 スタッフの数が多い施設は良いことだらけのように感じますが、注意しないといけない点があるんですか? はい。スタッフの人員に余裕がある施設は対応が柔軟なのが良い点なのですが、費用が高い傾向がある点に注意していただきたいです。というのも、基準より多くスタッフが常駐しているため、その人件費を「上乗せ介護費」として追加していることが多いんです。 そうなんですね。確かに、通常より多くスタッフさんがいるから、その分、人件費がかかりますもんね。 おっしゃる通りです。上乗せ介護費は、介護サービス費とは別に毎月発生します。介護サービス費は介護保険に収まるサービスの費用のこと。対して上乗せ介護費は、介護保険の基準を上回る職員に対しての費用なので、追加で発生してしまうんです。 なるほど…。上乗せ介護費の金額にもよりますが、ある程度はしょうがないかな…。 上乗せ介護費の金額は、施設の料金表などで確認できます。行き違いがあって、入居後に施設とトラブルになっては大変なので、予めよく確認しておいてくださいね。 人員配置が「3:1」より多い老人ホームを選ぼう 看護師が24時間常駐していると医療行為があっても安心 スタッフが多いと柔軟な対応ができるが、費用が高くなることがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...
2024/06/26
認知症の義父を自宅で介護しているのですが、この数ヵ月、着替えを手伝うときに私の体を触ってきたり下着を脱いで下半身を見せようとしてくるんです。毎日のようにセクハラされるので、義父の介護が嫌で嫌でたまりません。 夫に相談して夫から義父に強く言ってもらったのですが効果はありません。認知症の義父は体は元気ですが認知症がひどく、どんなことにも介助が必要。介護する間はまたセクハラされるんじゃないかと気を張っているので、とても疲れます。 「認知症だからしょうがない」と割り切りたくても割り切れません。どうしたら良いのでしょうか? (田中さん・パート・60歳) それはお辛い状況ですね…。認知症の方によるセクハラは、不安やストレスを感じていたり、記憶障害の影響で気持ちが若い頃に巻き戻っていることが原因と考えられます。いずれにしても認知症の影響で孤独感を持っていることが根本にあることが多いので、セクハラされたら「私はお義母さんではないですよ」と軽く流して、話を変えるのが良いかもしれません。お義父様の好きなテレビ番組や趣味の話をすると、そちらに興味を持って性的関心が薄れるかもしれませんよ。「止めてください」と拒否をしたり嫌がると逆効果になることもあります。認知症の方は不安感を強く持っていることがほとんどなので、言動を否定せずに流すのが大切。セクハラは受けた方の精神的なダメージが大きいですから流すのは大変かもしれませんが、「不安を感じているんだな」とお義父様の気持ちを想像してできるだけ冷静に対応をしてくださいね。 認知症の親が性的な行動をする理由 認知症の義父がセクハラをしてくるので介護が嫌でたまりません!義父はひどい認知症なので、着替えやトイレなど身の回りのことほとんどを私が介助しています。そのときに私の体を触ったり下着を脱いで下半身を見せようとしてきたりと性的な行為をしてくるのが嫌なんです。「認知症だからしょうがない」と思えれば良いのですが、どうしても割り切れずに義父への嫌悪感が募ってしまって。認知症になっても最近までは穏やかで落ち着いている人だったのに、どうしてこんな風になってしまったんでしょうか? ご家族にセクハラをされるのは、精神的にきついですよね…。認知症の方は、症状の進行によってときに社会の規範から外れた行為をすることがあります。特に性的行動は以下のような理由で症状として現れることがあります。 不安やストレスを抱えている 記憶が若いころに戻っている 不安やストレスを抱えている 認知症の方は、常に不安感を抱えていると言われています。認知症によって理解力や判断力が低下して状況を把握できなくなったり、認知症によって自分の役割がなくなって孤独を感じることで不安になっているのです。そのため、人とのつながりやスキンシップによって安心感を得ようとすることがあります。その行為のひとつが性的行動なのです。性的行動をして相手に受け入れてもらいたい、という気持ちがあるのかもしれません。行動自体は社会のルールから外れたことですが、「誰にも受け入れてもらえない」という不安感があることは理解してくださいね。 確かに、認知症になる前よりも義父との会話が減った気がします。それが原因で孤独を感じていたのかな…。 記憶が若い頃に戻っている 認知症の方は記憶障害の影響で、精神的に若い頃に戻っていることがあります。認知症になると新しい記憶から忘れてしまうので、直近数十年分の記憶がないことも珍しくありません。実年齢は80代でも記憶が40代で止まっていて「自分はまだまだ若い」と思い込んでいることもあります。40代というとまだまだ性欲が旺盛な年代。もしかしたら、身近でお世話してくれる女性である田中さんにアプローチしているのかも。また、認知症の影響で田中さんを自分の奥さんと勘違いしていることも考えられますね。 えぇっ!?お義母さんと?そんなことがあるんですね。 ちなみに、今のご高齢者は女性に対して性的な言動をするのが当たり前だった時代を生きてきた方も多いです。そのため、セクハラという意識がない可能性も念頭に入れておくと良いでしょう。 認知症の親が性的な行動をするときの対策 義父がセクハラをする理由に思い当たることがありました…。でも、だからといって気持ちを切り替えて介護できるものでもありません。 そうですよね。なので、田中さんの精神的な負担を軽くできるよう、お義父様が性的行動をしたときの対応をいくつかお伝えします。対応方法は以下のようなものがあります。 話題を変える その場を離れる 老人ホームに入居する 話題を変える 認知症の方からセクハラを受けたときは、話題を変えてみましょう。お義父様の趣味や好きなテレビ番組など、興味を持ちそうな話をするんです。そうして性的な関心をそらせるのがおすすめです。あとは、お義父様の昔の思い出や楽しかったことなどを聞いてみると、懐かしい気持ちで性的な気持ちが薄らぐこともあるでしょう。田中さんの旦那さんの子供のころの話や、お義母様の話を聞いてみるのも良いかもしれません。共通の話題なので、田中さんも聞きやすいんじゃないでしょうか。 家族の昔の話なら話題として振りやすいですね。 その場を離れる 性的行動によって田中さんの不快感が収まらないときやお義父様が性的な行為を止めないときは、その場を離れるのもひとつの手。時間を置くことで、お義父様が性的関心を忘れてしまうこともありえますし、何より田中さんの気持ちを落ち着ける時間を稼げます。ときには、旦那さんに介護を代わってもらったり介護サービスを活用したりして、介護から離れる時間を作るのも大切です。 しかる、嫌がると逆効果になることも 北野 認知症の方が性的行動をしてしまったとき、ご家族がしかったり嫌がったりすることがあると思います。気持ちは大変よくわかるのですが、これが逆効果になる可能性もあります。 なぜなら、不安感や孤独感を和らげるためにセクハラをしている場合、自分の行動が否定されるとさらに不安感や孤独感が増してしまうことがあるため。そのため、しかったり嫌がることを繰り返すと、セクハラがエスカレートするだけでなく、ほかの認知症の症状が進行する可能性も考えられます。 老人ホームに入居する 田中さんがセクハラから開放されるために、お義父様が老人ホームに入居することもひとつの方法です。 セクハラだけで老人ホームに入れるんですか?確かに介護をするのは嫌ですが、義父はまだ自分で歩いたりできていますし…。 老人ホームというと、歩けなくなったり寝たきりになったタイミングで入居するもの、というイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。ですが、それだけでなく介護をする人とされる人の関係が上手くいかなかったり、介護する人の負担が大きくて在宅介護が続けられないときに入居される方も少なくありません。ただ、お義父様がほかのご入居者や職員さんにセクハラをする場合は、入居を断られてしまうこともあります。そこはお義父様の状態と施設の受入状況の兼ね合いなので、まずは施設に相談してみましょう。 今のところ、セクハラを受けるのは私だけなのですが、入居後のことはわからないですもんね。これまで私が我慢すれば良いから、と思っていたのですが、夫にも老人ホームのことを相談してみようと思います。 認知症の親がセクハラをするのは不安感や記憶が若い頃に戻っていることが原因かも セクハラが嫌なときは、話題を変えたりその場を離れたり誰かと共有しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...
2024/05/28
父の認知症が悪化して、在宅介護に限界を感じています。なので介護施設に入れようと思うのですが、父は年金が月に8万円もないうえに、貯金もほとんどありません。 父のような低所得者でも介護施設に入れるのでしょうか? (加藤さん・会社員・59歳) はい。所得が少ない人も入れる介護施設はあります。例えば、特別養護老人ホームやケアハウス、介護老人保健施設といった公的施設です。また、介護施設や介護に関わる費用を助成する制度もあるので、積極的に活用しましょう。もし、公的施設でも入居が難しい場合は、生活保護を受給するのもひとつの方法。民間施設の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では生活保護の方向けの料金プランを用意している場合があり、選択肢が広がる場合があります。 低所得者でも入れる介護施設はある? 同居している父の認知症が悪化して、もう手に負えません。夜になると「家に帰る」と言って外に出かけようとするので私はおちおち眠っていられないですし、いつの間にか一人で出かけていて警察に保護されたこともあるんです。こんなことが続いているので、在宅介護をするのはもう難しいかなと思って介護施設に入れたいと思っています。ですが、父の年金は月に8万円もありません。貯金もほとんどないですし、私もそこまで余裕があるわけではなくて…。父のような低所得者でも入れる老人ホームはあるんでしょうか? はい。所得の少ない人でも入れる老人ホームはありますよ!老人ホームには、社会福祉法人などの公的な団体が運営する公的施設と民間企業が運営する民間施設の2種類があります。なかでも公的施設は費用が安く抑えられているので、収入が少ない方でも入りやすいのが特徴なんです。具体的には、以下のような介護施設があります。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 ケアハウス 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、要介護3から入所できる施設。介護スタッフが24時間常駐しており、常に介護が必要な場合でも入所できます。また、多くの施設で看取りまで対応していますので、「終の棲家」として選ばれることが多い施設でもあります。 もし父が介護施設に入るとしたら、最期までその施設でお世話してもらおうと思っていました。特別養護老人ホームなら安心して父を任せられそうですね。 認知症の方の受け入れもしているので、安心できると思います。ただ、特別養護老人ホームは安くて看取りまで対応しているとあってかなり人気。入所待ちが100人以上発生していることもありますし、なかには申込みから入所まで1年以上かかるケースもあるんです。そのため、「今すぐ入所したい」と思っても入れないのが実情。ある程度の余裕がある段階で入所申込みをしておいて順番を待つのがベターです。 特別養護老人ホームにはすぐに入れないんですね。いつ入れるかわからないけど、入所の申込みだけでもしておこうかな…。 介護老人保健施設 介護老人保健施設は、リハビリをすることで在宅復帰を目指す施設です。自宅に戻ることが目的なので、入所期間が限定的なのが特徴。3~6ヵ月に一度、心身の状態の検査をおこない、自宅に戻っても問題ない状態と判断されれば退所を求められます。そのため、「足腰が衰えたからリハビリをして、再び自宅で生活できるようになりたい」という方にはぴったりなのですが、終身利用をしたい方には向いていない可能性があります。 父は、今のところ足腰が弱った様子がないので、特にリハビリは必要ないと思います。それに、終身利用できないのはちょっと困りますね…。 ケアハウス ケアハウスとは、身寄りがなかったり家族の支援が受けられないご高齢者のための住まいです。ケアハウスには「一般型」と「介護型」の2種類があります。一般型は食事の提供などの生活支援サービスを提供しており、介護が必要な場合は外部の介護事業所と別途、契約する必要があります。対して、介護型は介護サービスも含まれており、昼夜問わず常駐している介護スタッフによってケアを受けられます。ただ、介護型ケアハウスは数が少ないうえに人気も高いので特別養護老人ホームと同様、入所待ちが発生している可能性が高いです。 やっぱり、介護体制が整っている施設は人気なんですね。 低所得者が介護費用を軽減する方法 介護にはいろんなお金がかかりますから、低価格な施設に入る以外にも介護費用を軽減する方法をお伝えしますね。 介護費用を安くする方法があるんですか? そうなんです。例えば、以下のように介護費用を軽減する制度があるので、ぜひ活用していきましょう。 特定入所者介護サービス費 高額介護サービス費 高額介護合算療養費 社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度 特定入所者介護サービス費 「特定入所者介護サービス費」は公的施設の利用料の一部を減額する制度。世帯所得によって段階が分けられ、段階によって金額も異なります。具体的には、以下の5段階に分けられます。 特定入所者介護サービス費を利用した際の特別養護老人ホームと介護老人保健施設の金額は以下のとおりです。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 所得によってこんなに金額が変わるんですね…。うちがどの段階に当てはまるのか、家に帰ったら調べてみないと。 高額介護サービス費 「高額介護サービス費」は、1ヵ月に支払った介護サービス費が上限額を超えた場合に払い戻しを受けられる制度。これも、世帯の所得によって上限額が決められています。世帯所得と上限額は以下のとおりです。 区分負担の上限(月額)生活保護を受給している方など15,000円(個人)前年の「公的年金等収入額」と「その他の合計所得金額」の合計が年間80万円以下24,600円(世帯)15,000円(個人※1)世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方24,600円(世帯)市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満44,400円(世帯)課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満93,000円(世帯)課税所得690万円(年収約1160万円)以上140,100円(世帯) ちなみに、施設入居した際の食費や日常生活費などは対象外。介護サービスに対する費用しか適用されない点は注意してくださいね。 介護に関わる費用だからって、何の費用でも払い戻しされるわけではないんですね。 高額介護合算療養費 「高額介護合算療養費」は、1年間の医療保険と介護保険の対象となる費用が高額になった場合に自己負担を軽減する制度です。高額介護サービス費と同じように、上限額は世帯の収入によって決められています。上限額は以下のとおりです。 70歳以上70歳未満年収約1160万円以上212万円212万円年収770万~1160万円141万円141万円年収370万~770万円67万円67万円年収156万~370万円56万円60万円市町村民税世帯非課税31万円34万円市町村民税世帯非課税(所得が一定以下)19万円34万円 社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度 「社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度」とは、自治体が指定した社会福祉法人などの団体が運営する特別養護老人ホームやショートステイを利用した際に、費用が軽減される制度です。利用には、世帯の収入が基準以下、介護保険料の滞納がないといった条件が定められています。この制度を利用すると、介護サービス費の自己負担分、食費、居住費などの25%が軽減されます。 生活保護も検討しよう ここまで、低価格の公的施設や介護費用を抑える制度についてお話ししてきました。ですが、低所得の方は入居先を見つけるのが難しい可能性もあります。そういう場合は、生活保護を受給することも検討してください。 生活保護ですか!?まだそんな状態ではないとは思うんですけど…。 公的施設は費用が安いために人気があり、すぐには入所できないとお話ししましたね。そのため、比較的に入居待ちが少ない民間施設も検討していただきたいのですが、民間施設は公的施設に比べて費用が高いんです。ですが、民間施設の中には生活保護を受給している方向けの料金プランを用意しているところがあり、生活保護を受給すれば、民間施設も選択できるようになります。 つまり、生活保護を受ければ公的施設も民間施設も入れるということですね。 おっしゃるとおりです。もちろん、生活保護を受給するには条件がありますし、受給することのデメリットもありますから、一概に生活保護をおすすめしている訳ではありません。なので、経済状況が逼迫しているのであれば、まずは役所の生活保護担当部署で相談してみるのもアリだと思いますよ。 なるほど…。生活保護については考えたこともありませんでした。生活保護を受給することも含めて、施設探しをしてみようと思います。 低所得者も特養、老健、ケアハウスなどに入れる! 介護費用を軽減する制度を積極的に活用しよう どうしても介護費用を捻出できないときは生活保護も検討しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...
2024/05/16
実家で一人暮らしをしている母が入る施設を探しています。2ヵ月ほど前に母が自宅で転倒してしまいました。大きな怪我はなかったのですが、それ以来、家の中でも動くことを嫌がるようになってベッドで横になっていることが増えてしまいました。 そのせいなのか、立ち上がったり歩くときにふらつくようになって一人暮らしは危険だと感じています。そのため、私の家の近くのサービス付き高齢者向け住宅に入居させたいと思っているのですが、サービス付き高齢者向け住宅ではリハビリを受けられるのでしょうか?少しでも今の状態から良くなればと考えています。 (木村さん・会社員・62歳) はい。サービス付き高齢者向け住宅でリハビリを受けることは可能です。ただ、施設がリハビリを提供しているのではなく、訪問リハビリやデイケアという外部のリハビリサービスを利用する形となります。また、サービス付き高齢者向け住宅に限らず、有料老人ホームや介護老人保健施設などでもリハビリを受けられます。どの施設を選ぶかは、お母様の状態を総合的に考えて判断するのをおすすめします。 サービス付き高齢者向け住宅でリハビリを受ける方法 一人暮らしの母が2ヵ月ほど前に自宅で転倒してから歩くのを嫌がるようになり、ベッドで横になっている時間が増えています。そのせいで足腰が衰えたのか、立ち上がるときや歩くときにふらつくようになってしまいました。そのため、一人暮らしは難しいと考えて母が入る施設を探しています。私の家の近くにサービス付き高齢者向け住宅という施設があったのでそこにしようかと考えているのですが、サービス付き高齢者向け住宅ではリハビリを受けられますか?少しでも前のように歩けるようになると母も活動的になると思うので、リハビリを受けられる施設に入れたいと思っています。 はい。サービス付き高齢者向け住宅ではリハビリを受けられますよ。ただ、施設自体でリハビリを提供しているわけではなく、外部の介護サービスを利用してリハビリを受ける形です。 外部の介護サービスを利用するってどういうことですか? サービス付き高齢者向け住宅では、介護サービスを提供していません。そのため、介護サービスを利用したい場合は、訪問介護やデイサービスといった外部の介護事業者と別途契約する必要があるんです。リハビリも同じで、サービス付き高齢者向け住宅に入居してリハビリを受けたいときは「訪問リハビリ」や「デイケア」と契約することになります。それぞれについて、詳しくお話ししますね。 訪問リハビリ 訪問リハビリとは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職が訪問して一対一でリハビリを提供するサービスです。歩行や立ち上がりといった機能訓練や、着替えや食事といった生活に関わる動作の訓練をおこないます。加えて、居室や生活に合わせた福祉用具を選んだり、活用方法のアドバイスも提供しています。 へぇー。一対一でリハビリをできるのは嬉しいですね! ただ、どうしても使えるリハビリの器具やトレーニングマシンの種類が少ないので、できるリハビリ内容が限られてしまうのがネックなところです。寝たきりなどで外出が難しい場合には、利用しやすいサービスと言えます。 デイケア デイケアは専門の施設に通ってリハビリを受けるサービス。「通所リハビリ」とも呼ばれます。トレーニング用のマシンやリハビリ器具を設置してあるので、本格的なリハビリができるのが魅力です。また、集団でリハビリをする機会もあるので、ほかのご利用者と交流できるのも良い点でしょう。 なるほど。母は最近、家にこもりがちなので、交流の機会があるのは良い刺激になるかもしれません。 また、デイケアによっては入浴や食事のサービスを提供していることもあります。入浴や食事の支度に支援が必要な場合には、とても便利なサービスだと思いますよ。 それは良いですね!母はこのところまともな食事を摂っていないようですし、入浴も一人では心配です。デイケアに通うのも良いかもしれないなぁ。 サービス付き高齢者向け住宅以外でリハビリが受けられる施設 もし、サービス付き高齢者向け住宅でないといけないのではないのであれば、ほかにもリハビリを受けられる施設はあります。木村さんは、サービス付き高齢者向け住宅でないといけない理由はありますか? いえ。たまたま近くにある施設がサービス付き高齢者向け住宅だっただけです。ほかにリハビリが受けられる施設があるなら知りたいです。 でしたら、次のような施設でもリハビリを受けられますよ。 住宅型有料老人ホーム 介護付き有料老人ホーム 介護老人保健施設 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームは、介護サービスを施設では提供していません。そのため、サービス付き高齢者向け住宅と同様に外部の介護事業者と契約をして介護サービスを利用します。そのため、住宅型有料老人ホームでも訪問リハビリやデイケアの利用が可能です。もし、現在利用している訪問リハビリやデイケアがある場合も、引き続き同じ事業者を利用できることがあります。 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、その名の通り、介護サービスが付いた老人ホームです。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が介護サービス費が利用した分だけ発生するのに対し、介護付き有料老人ホームは定額制。介護サービスをどれだけ利用しても要介護度ごとに設定された金額は変わらないのが特徴です。介護付き有料老人ホームの介護サービスのなかには、リハビリも含まれています。施設によっては理学療法士や作業療法士などの専門家が常駐している場合もありますよ。 介護付き有料老人ホームなら、訪問リハビリやデイケアと契約しなくてもリハビリを受けられるんですね! 介護老人保健施設 サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームが民間事業者が運営している施設であるのに対し、社会福祉法人などの公的な機関が運営しているのが介護老人保健施設です。介護老人保健施設は、身体機能を回復して自宅に戻るのが目的の施設。そのため、リハビリが充実しているのが特徴です。ただ、自宅に戻るのが目的であるため、長期間の入所はできないことがほとんど。身体機能が回復して自宅で生活できる状態であると判断されたら、3~6ヵ月ほどで退所を求められることがあります。 入所期間はけっこう短いんですね。うーん。母の年齢を考えても長期的に入っていられる施設を探しているのですが…。 となると、介護老人保健施設は難しいかもしれませんね。リハビリを提供している施設はサービス付き高齢者向け住宅以外にもありますから、施設探しをする際は各施設の特徴やお母様の状況をふまえた上で、総合的に判断されることをおすすめします。 はい。「とりあえず家の近くの施設で良いや」と思っていましたが、それだけじゃなくて施設のサービスも確認しながら、探していこうと思います。 サ高住でリハビリを受けるには訪問リハビリやデイケアを利用する方法がある 有料老人ホームや介護老人保健施設でもリハビリを受けられる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...
2024/05/10
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。