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介護職員が、高齢者施設に入所している認知症の女性から現金120万円をだまし取るという事件が発生。現金をだまし取ったと見られる介護職員の男が再逮捕されました。 この男は、2022年8月に同じ女性の現金口座から現金20万円をだまし取った疑いで、先月にも逮捕されていました。 認知症の女性から現金をだまし取る 警察の調べによると、犯人の男は宮崎県宮崎市の老人ホームで、施設の運営をおこなう管理者を務めていたそうです。そこに入所していた90代の女性は認知症の症状があり、男は現金をだまし取ることを計画したのです。 男は、2022年3月から計画を実行に移します。2022年3~7月にかけて、女性に対して「子どもに送金したい」などと言い、あわせて120万円をだまし取ったと見られています。4回にわたって女性と一緒に金融機関を訪れ、口座から現金を引き出したそうです。 その後、2022年8月、この老人ホームの経営者が「複数の入所者のが現金がなくなったという訴えがある」と警察に相談したことで事件が発覚。警察が捜査に乗り出し、男の逮捕に至りました。 今回発覚した女性以外にも、複数の入所者から「現金がなくなった」という声があったことから、警察は男の余罪についても追及しています。 なお、警察の調べに対して、男は容疑を認めているそうです。 今回のような事件を防ぐために 今回のような、介護職員による犯行はどうすれば防げるのでしょうか? まずは、職員間のコミュニケーションを円滑にしていくことが大切です。閉じた空間の中で、職員が単独で業務をこなすことが多い職場では、どうしても介護士がおこなっていることが人目につかなくなってしまいます。 コミュニケーションを相互におこない、チームで介護業務に当たることで異変に気づきやすくなるでしょう。 また、介護士がお金に困った結果、今回のような事件が起こる可能性も考えられます。介護士の待遇を改善していくことも、犯罪抑止につながるかもしれませんね。
2023/02/17
北海道旭川市にある住宅型有料老人ホームで高齢者虐待があったとして、市は有料老人ホームを運営している事業者に対して業務改善命令を出したことを明らかにしました。 旭川市の有料老人ホームで虐待発生 2021年5~9月、旭川市の有料老人ホームで、複数回にわたって、職員を呼び出すナースコールを夜間帯に鳴らない設定にしていたことがわかりました。 これを受けて、旭川市は「介護の放棄(ネグレクト)」による虐待だとして、施設の事業者に業務改善命令を出しました。 施設の職員は「何もないのにナースコールで呼ばれて困っていた」と話しているそうです。 今回の業務改善を受けて、施設の代表は「指摘を謹んで受けて、これから虐待防止に努めていきたい」と話しています。 なお、この施設では、以前にもドアの外側にテーブルをおいて、利用者が部屋から出られないようにする身体拘束をおこなっていたことが明らかになっています。 高齢者虐待の区分 一言で「高齢者の虐待」といっても、いくつか種類があります。まず真っ先に思い浮かぶのは、高齢者に対して暴力をふるって身体に痛みを与えたり身体拘束をしたりするなどの「身体的虐待」ではないでしょうか。具体的には、以下のような行為が身体的虐待に当たります。 殴ったり蹴ったりする やむを得ない場合以外に身体を拘束する 無理やり食事を口に入れる 一方、今回旭川市の施設でおこなわれた「ナースコールを鳴らない設定にする」のは、必要とされる介護を怠る「介護の放棄(ネグレクト)」という虐待に当たります。その他の具体例は以下のとおりです。 悪臭がするほど入浴させない 室内のゴミを放置する 医療が必要な状態なのに受診させない そのほか、高齢者虐待には、強い言葉で高齢者を威圧する「心理的虐待」、本人の合意なしにその人の金銭を使用する「経済的虐待」、合意なしに性的な行為に及ぶ「性的虐待」があります。 悪意を持っておこなった行為でなくても、結果的に高齢者を傷つけてしまうような行為は虐待だと見なされます。介護職員には普段から自覚を持って、介護業務に当たってほしいですね。
2023/02/10
2023年1月31日、神奈川県平塚市は市内で高齢者施設を運営している社会福祉法人と職員派遣協定を結んだことを明らかにしました。 市町村が単独で協定を結んだのは県内で初めてだということです。 市と社会福祉法人が職員派遣協定を結ぶ 平塚市が社会福祉法人と結んだ協定は、感染者が高齢者施設内で集団発生して職員が不足したときに、県の派遣システムを活用したり協定を結んだ別の施設から要請したりして職員を派遣するというものです。 この協定があれば、高齢者施設内で新型コロナの集団感染が発生した際に、介護職員への負担が軽減される可能性があります。さらに、今までは法人内の職員だけでクラスター対応するケースがほとんどでしたが、職員派遣協定があることで外部に援助を求めやすくなるでしょう。 市の担当者によると、感染者や濃厚接触者が生活する「レッドゾーン」と呼ばれるエリアは施設の職員が担当し、派遣された職員はそれ以外のエリアを担当することになるそうです。 職員派遣協定を結んだ法人は5法人。法人からは「行政が職員不足になったときの対策をしてくれるのは心強い」などの歓迎の声が上がっています。 平塚市の落合克宏市長は、「介護施設と市が連携できる体制を整えるのは重要だ。災害や他の感染症の対策を含め、継続的な計画に活用できるよう、参加法人をさらに増やしていきたい」と話しました。 コロナ禍による介護への影響 コロナ禍になって、介護職員への負担は大幅に増えました。 例えば、新型コロナが流行したことで、コロナ禍以前ではしなかった「施設の消毒」が職員の新たな業務に加わりました。消毒する箇所は手すり、エレベーターのボタン、テレビのリモコン、居室など。手の触れそうな場所はすべて消毒しなければならないため、時間がかかります。場合によっては、利用者と関わるために使っていた時間を施設の消毒に充てることもあります。 また、施設内で新型コロナの集団感染が起こったら、介護職員への負担はさらに増えます。 通常より少ない人数で業務をこなさなければならないので、時間外労働を強いられるケースも少なくありません。労働基準法の制限を受けない管理者などは、施設に泊まって四六時中対応に追われることもあるのです。 今回平塚市がおこなった職員派遣協定がうまく機能すれば、こうした悲劇も減っていく可能性があるので、それに期待したいですね。
2023/02/07
2023年1月16日、厚生労働省で「社会保障審議会介護給付費分科会」が実施されました。そこでは、2024年度の介護報酬改定に向けて、今後おこなう調査研究の内容と日程が決められました。 介護施設の人員配置について 介護給付費分科会では、まず介護施設の人員配置基準の改定に関する調査について話し合われました。 認知症の人のみが入所可能なグループホームは、原則として1ユニット(利用者最大9人)につき夜勤の職員数は1人以上を確保するという決まりでした。しかし、2021年度の介護報酬改定で、同じ階なら3ユニットにつき2人以上の夜勤者がいれば問題ないと規制が緩和されたのです。 今後、その実施状況と運営への影響を調査していき、速報値を9月ごろには報告する予定だとしています。 また、少人数制で手厚い介護をすることを目指したユニット型の特別養護老人ホームも、2021年度の介護報酬改定で、1ユニットの利用者の定員を10人から最大15人まで認められるようになりました。さらに、ユニット型と大人数の介護をおこなう従来型の特養を併設する場合は、介護職員と看護職員の兼務も可能になったのです。 特養の規制緩和についても、これから効果を実証するための調査をおこない、今後の課題を検討していくとしています。 LIFEの活用状況などに関する調査も決定 1月16日におこなわれた介護給付費分科会では、ほかにも以下のような、新しい取り組みにおける調査を実施することが決定されました。 オンライン会議などICT(情報通信技術)の活用状況 介護記録などを提出してそのフィードバックを受けるLIFE(科学的介護情報システム)の活用状況 認知症介護に関する基礎研修を義務化したことによる効果の検証 LIFE(科学的介護情報システム)とは、科学的根拠に基づいた介護の実践を目指して厚生労働省が推進している取り組み。利用者の状態や日々のケアの記録などを決められた書式で提出すると、ケア改善のフィードバックが受けられるというもので、今後更なる導入の拡大が期待されています。 また、2024年度は介護報酬と診療報酬が同時に改定されることになっているため、診療報酬改定を審議する厚生労働省の諮問機関、中央保険社会医療協議会との意見交換会もおこなわれることが決定されました。 今回は施設を運営する管理者からの視点で職員の人員配置についてなどの調査が議論されました。今後、一般の介護職員など現場の声も聞いた実態調査もおこなってほしいですよね。
2023/02/02
2023年1月26日、全国の介護職員で構成される労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」が介護職員の給与実態に関する調査結果を報告しました。 その調査によると、60%以上の介護職員が自身の給与に不満を抱いていたことが明らかになったのです。 給与実態に関する調査の概要 今回の調査は、以下の要領で実施されました。 調査期間:2022年8月17日~9月26日 調査方法:アンケート調査 回答数:組合員3277人 60%以上の介護職員が給与に「不満」 アンケート調査の結果、介護職員の平均月収が26万1018円、年収が380万8000円であることが判明。一方、全産業平均の月収は30万7400円、年収は456万4300円なので、介護職員の給与はそれより低い水準にあることがわかります。 介護職員に対する処遇改善手当など国の施策により、以前よりは全産業平均との差は縮まっていますが、依然として賃金格差は大きな課題となっています。 調査の中で、「賃金に満足しているか」と尋ねたところ、62.4%の職員が「賃金に不満がある」と回答したことが判明。その理由を尋ねると「今の業務量に見合ってないから」「社会的な平均賃金より低いと思うから」といった回答が多数を占めました。 記者会見で、労働組合の会長を務める染川朗氏は「現在の物価上昇なども考慮した介護報酬改定を一刻も早く実施してほしい。介護職員の待遇が改善されなければ、介護業界は働く側から崩壊していくだろう」と危機感を露わにしました。 介護業界の担い手が不足する大きな原因として「介護職員の低待遇」が挙げられます。超高齢社会を突き進むなか、増えていくであろう需要に対応していくためにも、行政には介護職員の待遇を改善していってほしいですね。
2023/01/31
三菱電機ITソリューションズ株式会社は、介護AI記録分析ツール「けあらぽ」を開発。2023年1月25日から販売を開始すると発表しました。 「けあらぽ」は、AIが介護記録を分析し、利用者がどの程度自立して生活できるのかを数値に変換するという製品です。 三菱電機ITソリューションズは、「けあらぽ」で客観的な利用者のデータを提供することで、科学的根拠に基づいた介護の実践をサポートしていきたいとしています。 介護AI記録分析ツール「けあらぽ」開発の背景 厚生労働省は、介護の業務改善を目指す取り組みの一環として、施設から提供された介護記録を分析し、利用者へのケアに対するフィードバックをおこなう「科学的介護情報システム(LIFE)」の導入を推奨しています。 LIFEを使うためには、利用者がどの程度自立して生活できるのかを100点満点で表した「バーセルインデックス値(BI値)」を提出しなければなりません。 ただ、利用者の自立度をどう点数づけするかはそれぞれの介護職員の主観的判断に委ねられているため、介護職員によって点数が異なるといったことも考えられます。 しかし「けあらぽ」は日々の記録をAIがBI値に変換するため、利用者がどの程度自立しているのかを客観的に評価できるのです。 介護AI記録分析ツール「けあらぽ」の特徴 「けあらぽ」では、職員が記入した介護記録をAIが分析して、利用者がどの程度自立して生活できるのかを100点満点で点数化。その点数の推移をグラフで見られるため、一目で利用者の状態を測れます。 また、「けあらぽ」のAIが出したBI値はそのまま科学的根拠(エビデンス)として、科学的介護情報システム(LIFE)に提出することも可能。そのため、職員が一人ひとりの利用者の自立度を点数化する手間を省けるという利点もあります。 利用者のケアプランを見直すときは、職員が集まってそれぞれの利用者が現時点でどの程度自立して生活できているのかを話し合います。そのときも、「けあらぽ」が点数化した自立度の指標があれば、より客観性に優れたケアプランを作成できそうですね。
2023/01/30
大阪府箕面市にある介護施設で働く職員16人が、介護施設を運営する医療法人に対して訴えを起こしました。 原告側は、未払いの残業手当など合わせて約6000万円の支払いを医療法人側に求めています。 介護職員らが残業手当などを求めて訴訟 訴えを起こしたのは、介護施設の職員と元職員合わせた30~60代の男女16人です。 原告側は医療法人側に対して次の3点を訴えています。 事前に上司が認めた時間以外の、必要な時間外労働にも残業手当を支払ってほしい 着替えの時間も労働時間に含めてほしい 時間外労働は1分単位で計算してほしい また、原告側によると、現在15分以下の短い時間外労働は切り捨てられて計算されているとしています。 実は、今回訴えられている医療法人は2019年に起こった団体交渉の中で、着替えの時間を労働時間として計算することを承認。また、時間外労働は1分単位で計算することも認めていました。 しかし、職員たちはその後も適切な残業手当は支払われていないとして、今回医療法人を訴えることにしたのです。 申請せず残業することが当たり前に 原告の1人である、渋谷国彦氏によると、残業した時間をすべて上司に申請しても「1時間以上の残業は残業時間として認められない」と言われるため、仕方なく申請せずに残業することが当たり前になっているそうです。 渋谷氏は「介護職員の権利を守らなければ良い介護はできない。まず適切な賃金を支払い、介護現場を変えなければならない」と訴えました。 医療法人側は「訴状を受け取っていないため、コメントは差し控える」としています。 表になっていないだけで、残業代を適切に支払われていないケースは少なくありません。入職した人に長く働いてもらうためにも、労働環境は整備してもらいたいですね。
2023/01/27
厚生労働省は介護現場の生産性向上を目指した取り組みをおこなっており、民間企業に生産性向上事業を委託しています。 株式会社NTTデータ経営研究所も生産性向上事業の委託を受けている企業のひとつ。今回、その事業の一貫として「介護現場における生産性向上推進フォーラム」を開催することを明らかにしました。 生産性向上フォーラムの概要 「介護現場における生産性向上推進フォーラム」は会場とオンラインのハイブリッド形式で開催され、費用は無料。オンラインで参加する場合は1000人を上限にしているそうなので、早めに申し込んでおくと良いでしょう。 また、今回のフォーラムは、全国フォーラムを1会場で、地域フォーラムを7会場で実施する予定。全国フォーラムの日程と開催場所は以下のとおりです。 日時:2023年3月1日水曜日 13:00~17:00 場所:第一ホテル東京 フォーラムでは、生産性向上に携わってきた人からの基調講演や自治体からの生産性向上に関わる事業の報告、介護サービス事業所からの生産性向上に関する取り組みの報告などが聴けます。 さらに会場には、生産性向上に役立つ介護ロボットなどの展示・体験スペースも設けてあるそうです。 介護分野の生産性を向上させる意義 介護の生産性を向上させる意義とは何でしょうか? 埼玉県立大学の田中滋理事長は「介護の生産性向上とは、介護の生産性を高めること。(介護に直接関わらない)間接業務を減らし、利用者と触れ合う時間をさらに作り出すために、介護の生産性を向上させる必要がある」としています。 また、田中氏は生産性を向上させるためには、介護現場における「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことが必要だと指摘しました。 ここで言う「ムリ・ムダ・ムラ」は次のようなことを指します。 ムリ:重い人を無理して運ぶなど心身への過度の負担 ムダ:血圧をノートにもパソコンにも転記するなど無駄が多い業務 ムラ:人によって業務量に大きなバラつきがある 田中氏は、これらをなくすためには、必要な業務と必要ではない業務に整理することや、経験の浅い職員に対する手厚い教育などが必要だとしました。 介護に直接関係ない業務に忙殺されている現場は少なくありません。そんな状態を脱却するためにも、介護業界全体で業務の効率化を推進して、より利用者のためにかける時間を増やせるようにしたいですね。
2023/01/26
2024年4月から、無資格で働くすべての介護職員に対して、認知症に関する研修の受講が義務化されます。 これは、2021年度の介護報酬改定の際に厚生労働省が決定したもので、認知症への対応力の向上を図るとしています。出典:第213回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 認知症に関する研修が義務化 2024年の4月から義務化されたのは、「認知症介護基礎研修」と呼ばれる動画研修です。動画を見ながら、認知症そのものに対する理解や認知症の人への接し方などを学んでいきます。 また、新たに入ってくる無資格の職員は、採用後1年以内に研修を受ける必要があります。 研修の義務化が決まった2021年度から今回の取り組みが始まる2024年度までは準備期間に当てられ、取り組みの進捗や研修を受講させたことによる効果を測っていくとしています。 認知症とは 厚生労働省の統計によると、2020年時点での認知症の人の数は600万人ほどと推計され、今後さらに増加することが見込まれています。これからは介護職員のみならず、多くの人が認知症の人と関わる機会があるでしょう。 そのため、認知症そのものの理解や認知症の人に対する接し方は社会を構成する人全員が学ぶ必要があります。 では、認知症とはどのような疾患なのでしょうか? 端的に言えば、脳の一部に障がいが起きることにより、日常生活に支障をきたすくらい認知機能が低下した状態を指します。 特に「今日朝ごはんでパンを食べた」「財布を棚の上に置いた」など、経験したことを記憶する「エピソード記憶」が喪失しやすいと言われています。 健常な人の「もの忘れ」であれば、「財布をどこに置いたか」は忘れるかもしれませんが「自分が財布をどこかに置いた」という経験そのものを忘れることはほとんどありません。しかし、認知症の人は「財布を自分がどこかに置いた」という経験そのものも忘れてしまうのです。 また、忘れたことにも気づけなくなり、つじつまを自分の中で合わせようとします。 それが原因で起こるのが「物盗られ妄想」です。「自分がどこかに財布を置いた」ことを忘れたことに気づかず、「誰かが財布を盗んだ」と思い込んでしまうのです。 このとき大事なのは、認知症の人に財布を見せるのではなく、一緒に財布を探して本人に財布を見つけてもらうことです。そうすれば本人も財布は盗られていなかったことを理解できるのです。 このように、認知症の症状や認知症の人に対する関わり方は特異な部分もあるため、どこかで学んでいく必要があります。今回の義務化された研修を通して、無資格の介護職員も学んでいければ良いですね。
2023/01/25
フィリピン国籍の女性が、妊娠や出産を理由に不当な取り扱いをされる「マタニティーハラスメント」を受けたとして、介護施設や技能実習生の受け入れや調整などをおこなう監理団体に対して訴訟を起こしました。 2023年1月18日、その民事裁判の第1回口頭弁論が開かれました。 フィリピン人の女性が介護施設と監理団体を訴える 今回、訴えを起こしたのは、福岡県にある特別養護老人ホームで働いていたフィリピン国籍の女性です。この女性は、2019年に途上国の人材育成を目的とした「技能実習生」として来日しました。 訴状に書かれた経緯は以下のとおりです。 2021年4月、女性の妊娠が発覚 監理団体に「一時的に帰国し、母国で出産してから日本に戻って仕事に復帰したい」と申し出る これに対し、監理団体からは「あなたのせいでフィリピン人の評価が落ちる」と脅され、中絶を迫られる 施設側からも「妊娠している実習生は働かせられない」と告げられ、帰国同意書を書かされ退職を余儀なくされた 女性は「私はこんな扱いを受けるべきではない。私の赤ちゃんも同じだ。こんなひどい扱いは許せない」と話し、慰謝料など645万円の支払いを求めています。 施設側はこの訴えを認めず、争う姿勢を見せています。 介護分野における技能実習制度について 技能実習制度に介護分野が組み込まれるようになったのは2017年11月と、比較的最近のことです。それから急激に介護分野における技能実習生の人数は増え、コロナ禍が始まる直前の2020年1月時点では1万8000人にまで上っています。 介護分野で技能実習生となるためには、職員や利用者と円滑にコミュニケーションを取るために、初級修了程度の日本語能力が条件です。 このように、技能実習生は日本で働くために外国語を学ぶなどの努力をしています。苦労をして働きに来ている技能実習生には最大限の敬意を払い、適切に扱ってほしいですよね。そして、その取り組みが日本人職員にとっても働きやすい職場につながっていくことでしょう。
2023/01/19
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。