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長時間労働や人手不足などの問題が深刻化している介護業界。団塊の世代が後期高齢期を迎える2025年には介護職員が全国で34万人不足すると推計されており、今後ますます介護人材の確保が難しくなることが予測されます。 そんななか、注目を集めているのが介護施設の「週休3日・10時間勤務制」。介護職員の新しい働き方として、業務負担の軽減や人手不足を解消するために導入する介護施設が増えているそうです。 例えば、新潟県内で10ヵ所の特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人愛宕福祉会では、今月から同法人が運営する4ヵ所の特別養護老人ホームで介護職の「週休3日・10時間勤務制」の新しい働き方を導入しました。 働き方を「自分で選択」できる仕組みに 新潟県内で10ヵ所の特別養護老人ホームを運営する、社会福祉法人愛宕福祉会では、今月から運営する4ヵ所の特別養護老人ホームで、介護職の「週休3日・10時間勤務制」という新しい働き方を開始しました。2022年2月からのトライアル導入を経て、今月16日より完全導入したそうです。 これによって、介護職員の月の休日が約半月の14日間になったことに加えて、必要な時間帯の人員配置が可能となり、時間外勤務を大幅に削減できたという効果がありました。 ただし、同法人では、子育て世代など10時間の勤務が難しい職員もいるため、法人内全ての特養を10時間勤務とせず、8時間勤務の特養も残したそうです。 さらに、10時間勤務が難しい職員には希望を確認し、8時間勤務の特養や他の施設で勤務できるように配属先を調整。働き方を「自分で選択」できる仕組みにしたそうです。 働く人がメリットを感じる「働き方改革」に 「週休3日・10時間勤務制」の働き方では、休みが増えるというメリットがある一方で、就業日の自由時間の確保が難しくなってしまいます。 例えば、子育てや介護をしている職員は、朝晩は家族と過ごす時間が必要でしょうし、できれば子どもや親が幼稚園や学校、デイサービスなどに通っている日中の時間帯に働きたいと思いますよね。 今回の愛宕福祉会の取り組みのように、自分のライフスタイルに合わせて、勤務体制を自由に選択できれば、職場への満足度が向上し、結果的に同じ職場で長く働きたいと思う人が増えそうです。 働く人がメリットを感じられる「働き方改革」が進んでいくことに期待したいですね。
2022/07/22
介護業界で、LIFE(科学的介護情報システム)の運用が始まって1年が経過しました。 LIFEとは、国が管轄する集中管理システムのこと。介護事業者がLIFEに利用者の心身の状態に関する情報(介護データ)を登録すると、国が蓄積されたデータを分析して、ケアに関する提案をしてくれます。このシステムは、介護サービスの品質を向上させることを目的に、2021年4月から運用が始まりました。 さらに、国はLIFEの利用率増加と科学的介護を推進する目的として、LIFEへ情報提供をした事業所に対して「科学的介護推進体制加算(LIFE加算)」をはじめとした各種加算を創設しました。 それによってLIFEを導入する介護事業所は急速に増加していますが、難易度が高く手作業によるデータの入力作業が現場での介護職員の業務を圧迫するなど、運用の負荷が課題となっています。 そこで株式会社ルネサンスは、今年10月より通所介護施設向けに自社で開発した加算取得支援サポート「R-Smart」の提供を開始すると発表しました。 「R-Smart」とは、通所介護施設における個別機能訓練加算と口腔機能向上加算の算定に必要な帳票作成やLIFEとの連携を実現するシステムのこと。加えて、利用者の評価や運動プログラムの導入も支援できるサービスだということです。 加算算定における利用者への説明にも活用できる 株式会社ルネサンスは、通所介護施設でのLIFE運用に伴う加算算定を効率的に行なうサービス「R-Smart」の提供を開始すると発表しました。 このサービスを活用することで帳票作成の業務負担の軽減や、利用者に効果的な運動プログラムの提供ができます。さらに、加算算定における利用者への説明など加算取得に向けた支援も可能となるそうです。 ちなみに「R-Smart」の提供を始めることにした理由は、同社が運営するデイサービスで、このシステムを活用してスムーズな加算取得と業務の効率化が図れたからです。 そのため、他の通所介護事業者にも提供し、業務環境の改善や利用者の満足度向上に役立てて欲しいと考え、提供を始めることにしました。 LIFE未登録施設では「データを入力する職員の負担が大きい」が63.8% 厚労省は、今年3月にLIFEの活用状況等に関する調査の結果案を公表しました。 これによると、LIFEにデータ登録を行っている事業者のうち「LIFEに利用者のデータを入力し管理することで、利用者の状態や課題を把握しやすくなった」という事業所は全体の34.8%という結果でした 一方で、LIFEが未登録で、今後もLIFEを活用したいと思わない事業者では、その1番の理由を「データを入力する職員の負担が大きい」と63.8%の事業者が回答しています。現状、誰もが使いやすいと感じるシステムとは言えない状況が伺えますね。 LIFEの活用は、介護現場の業務を効率化して質の高いサービスの提供につながると言われています。どこの介護事業所でも使いやすくメリットを感じられるシステムとして、導入が進んでいくことを期待したいですね。
2022/07/21
医師や看護師が24時間常駐していない介護施設などでは、夜間帯は施設の看護師のオンコール体制をとっている場合が多くあります。 このオンコール体制とは、看護師が緊急事態の発生時に迅速な対応ができる状態で待機する勤務形態のことです。 しかし、対応する看護師は、施設からの連絡で施設入居者に医療処置や救急搬送が必要と判断した場合には、深夜でもすぐに施設へ駆けつけなければならないため、大きな負担であり離職理由にもなっています。慢性的な人材不足が続く介護業界にとっては大きな問題です。 そういった問題に応えるため、今月から「夜間オンコール代行」から医師の夜間往診が可能となるサービスが開始されました。 サービスを提供するのは「夜間オンコール代行サービス」を提供するドクターメイト社と、「夜間・休日の往診サービス」を提供するコールドクター社。2社が業務連携したことでサービスの提供が可能となったそうです。 オンコール代行の看護師が登録医師へ連絡 今月1日から、介護施設からの夜間往診ニーズに対応する業務連携サービスが開始されました。 サービスを提供するのは、夜間オンコール代行サービスを提供するドクターメイト社と、夜間・休日の往診サービスを提供するコールドクター社。この2社の連携により、従来は電話対応のみであったドクターメイト社の夜間オンコール代行サービスから夜間往診が可能になったそうです。 例えば、介護施設で医療処置等が必要となった入居者が出た場合、ドクターメイト社の看護師が施設からのオンコールを受け、コールドクター社の夜間往診サービスへ連絡。登録医師が介護施設に駆けつけて医療処置の対応をします。 このような2社連携のサービスによって、介護施設では夜間の医療体制を確保できることに加えて、介護施設で働くスタッフの負担軽減につながると期待されています。 介護施設の業務改善につながる 看護師が夜間オンコールの待機中は、常に携帯電話をそばに置いておく必要があるため気が休まらないそうです。 さらに入居者が急変した際にはすぐに駆けつけ、場合によっては救急車に同乗しそのまま翌朝の勤務に入ることも。また、夜勤の介護職員が搬送に同行する場合には、施設に残る職員が手薄になることもあるそうです。オンコール体制での看護、介護スタッフの肉体的・精神的負担は計り知れませんね。 そういったことから、施設からの連絡を夜間オンコール代行の看護師が受付け、医師の往診まで依頼してくれるというサービスは、介護施設で働くスタッフの負担を軽減し、業務改善にもつながるサービスと言えますね。 「オンコールは施設の看護師がするもの」と考えるのではなく、新しいサービスを取り入れることも働きやすい職場にしていく取り組みのひとつなのかもしれません。
2022/07/19
新型コロナウイルスの拡大で2年以上も外国人の入国ができない状況が続いたため、介護施設の外国人材の受け入れが停滞していました。 しかし、今年4月に新型コロナウイルスの水際対策が緩和されたことにより、技能実習生を受け入れを再開する事業所が増えています。 例えば、島根県美郷町では交流を続けているインドネシアのバリ島マス村からの技能実習生4人を受け入れました。 4人の実習生は、技能実習生として選ばれていましたが、新型コロナの水際対策の影響で2年間来日できず日本語の勉強などを続けていたということです。 町が事業者の選定にも関わる 今月7日、島根県美郷町はコロナ禍で2年間来日できていなかった技能実習生4人を受け入れました。4人は美郷町が交流を続けているインドネシアのバリ島マス村から来日。6月に大阪で事前研修を受けてから、今月7日に初めて美郷町へやってきました。 この日、美郷町役場の玄関には横断幕が掲げられ、バリ島の伝統のシャツを着た職員30人ほどが出迎えたそうです。 ちなみに美郷町は、4人が安心して働けるように事業者の選定にも関わっていて、今後は農業法人や介護事業所で働くということです。 働きやすい職場作りが人材確保につながる 日本の介護現場での外国人材の受け入れは増加傾向です。介護現場の人材不足解消に大きく期待されています。 そういった状況のなか日本では、インドネシアやフィリピン、ベトナムの3ヵ国からの外国人の介護福祉士候補者の累計受入れ人数が6400人を超えたそうです(令和元年8月末時点)。 ただ、外国人の介護福祉士候補生が無事に介護福祉士に合格しても、離職してしまうケースもあるようです。 離職理由は、職場での人間関係の悩みや職場の理念や運営への不満が多いのだそう。いずれの理由も外国人介護福祉士にとって働きにくい職場環境だったことが伺えます。ただこの離職理由は外国人だけでなく、日本人にもみられる離職理由とも共通しますよね。 つまり、働きやすい職場作りが人材確保につながることは、外国人でも日本人でも変わりないのかもしれません。外国人介護福祉士が長く働きたいと思ってくれるような、働きやすい職場環境を整えていくことが重要ですね。
2022/07/15
介護施設の介護業務の中でも入居者の排泄管理の負担は大きく、さまざまな課題も指摘されています。 例えば、入居者の排泄物を確認するために、入居者から排便のあった時間や便の状態、量などの聞き取りや実際の目視での確認、そして結果を手書きで記録します。さらに施設のトイレ内での転倒や排泄時の粗相に備えて頻回な巡回も必要です。 人手不足や業務の忙しさから手書きの排泄記録の記入を忘れてしまうなど、介護士にとって排泄管理の業務は大きな負担になっています。 こういった課題を受けて、株式会社LIXILは、介護施設の協力を得て「トイレからのお便り」(IoTやAIを活用した最新技術で高齢者施設の排泄管理や業務を助ける機器)の実証実験を開始しました。 IoTとは、「今までインターネットにつながっていなかったモノをインターネットに接続する」こと。例えば外出先からスマホなどを通じて、自宅にあるエアコンや照明などの家電を操作することなどがこれに当たります。またAIとは人工知能のことで、有名なものでは掃除ロボットや感情認識ロボットなどが挙げられます。 入居者への適切な介助をサポート 株式会社LIXILは、高齢者施設の業務を助ける最新技術機器「トイレからのお便り」の実証実験を開始しました。 この実験では、IoTを活用した「トイレ利用通知」とAIによる「排便管理」という2つの機能を検証。「トイレ利用通知」は、トイレ内に設置したセンサーが入室や着座などあらかじめ設定した条件に沿って排せつ行為や異常事態を判定し、スタッフのスマートフォンに一斉通知するという機能。通知条件は適宜変更できるため、入居者の特性を加味した適切な介助がサポートできるそうです。 さらに、「排便管理」は、排便のタイミングや便の形、大きさをAIで自動判定・記録する機能。その結果はサービスステーションで一括確認できるそうです。 今回は、トイレ利用通知を4セット、排便管理を2セット設置し、入居者の生活の質の向上とスタッフの業務負荷低減を検証していくそうです。 介護施設の業務改善に期待 排泄の状況を確認する排泄管理は、入居者の命が関わる重要な業務です。排泄物の色や量、形状など毎日の観察と記録が必要です。 いつもと違った様子があると、原因を突き止めて対応しなければなりませんし、対応が遅いと手遅れになることも。さらに記録の漏れが不要な薬の過剰投与へ繋がってしまう恐れもあります。このように介護の仕事が人の命を預かる責任の重い仕事ということがわかります。 今回ご紹介したIoTやAIを活用した「トイレからのお便り」の開発が、介護業務の負担を少しでも改善するものになるように期待したいですね。
2022/07/11
日本の介護業界の人手不足は深刻で、厚生労働省によると、団塊の世代が75歳を迎える2025年までに34万人もの介護人材が不足するといわれています。 そこで静岡県袋井市では、2022年度から在住外国人向けの介護職育成講座を始めました。この講座は、官民連携での介護人材育成事業として、安定した職を求める外国人に介護を学んでもらい、人材確保に悩む高齢者施設とマッチングを図るという狙いがあるそうです。 「介護職員初任者研修」の資格を目指す 静岡県袋井市では、2022年度から在住外国人向けの介護職育成講座を始めました。 この講座は、市と外国人の就労サポートなどをする一般社団法人「グローバル人財サポート浜松」の民間の連携事業。静岡県中東遠地域に住むブラジルやフィリピン国籍の10人が「介護職員初任者研修」の資格を得ることを目的に高齢者の移動の介助や入浴の補助などを学んでいます。 ちなみに、修了後の就職までサポートがあり施設の担当者を呼んで講座見学会も予定されているそうです。 介護現場の即戦力となる 人手不足が深刻な日本の介護業界。介護の仕事は大変そうだからと敬遠する日本人も多く、介護職員を確保しづらい現状があります。 そんな中で、「介護の仕事は楽しい」「介護の仕事をしたい」と日本の介護業界へ就職を希望する外国人は、人材不足で悩む施設にとって貴重な存在と言えます。 しかし、いきなり外国人スタッフを受け入れることになる現場の介護スタッフは、言葉の壁や文化の違いがあるため、日本人以上に仕事を教える負担が大きく、また現場の即戦力となるまで時間がかかってしまうでしょう。 そんな時に、袋井市のような外国人向けの介護職員養成講座で「介護職員初任者研修」の資格を取得した外国人を採用できれば、すぐに即戦力となって現場で活躍してもらえますよね。 外国人にとっても、養成講座を受けて仕事内容を理解してから就職するため、新しい職場への不安も少なくなるのではないでしょうか。それに、働き始めてからの定着率にも影響しそうですね。 新しく介護の仕事を始める外国人と、すでに現場で働いている日本人のお互いが働きやすくなるような取り組みが広がるといいですね。
2022/07/11
介護人材の不足が深刻な社会的課題となり、その解決策の一つとして高齢者の自立支援の促進や質の高い介護を実現するためのICTや介護ロボットなど最新技術の活用が期待されています。 そうしたなかで、TANOTECH株式会社は介護施設における体力測定業務に特化したツール「TANO CHECK」の販売を開始しました。 この商品は、センサーを用いることでこれまで介護施設のスタッフが数人で対応していた体力計測を自動化、簡素化し、スタッフが1人でも体力測定がおこなえるというもの。実際に介護施設で使用し、実証検証を繰り返して開発されたそうです。 数人がかりの業務が1人で可能に TANOTECH株式会社は、介護施設での体力測定に活用できるツール「TANO CHECK」の販売を開始しました。 このツールを開発したきっかけは、人手不足で忙しい介護施設で利用者の体力測定業務が準備、測定、記録、データ入力、管理と手順が多く、数人がかりで時間をかけて行っていることが大きな課題となっていたからです。 そこで業務の効率化を高めるために、アナログで行っていた計測を自動化、簡素化し、スタッフ1人でも手軽に体力測定が行えるような商品を開発したということです。 開発は実際の介護施設で使用して実証実験を繰り返して進められ、その結果、測定自体は約7分程度で測定可能になり、1人当たり約43%の工数を削減。さらに、測定の準備と測定後にデータの集計にかかる時間については、約70%削減と大幅な削減に成功したということです。 加えて、一人ひとりのIDでログインすることで、個人ごとのデータ蓄積が可能になるため、前回の測定からの変化が分かりやすくなり、データの入力間違いも防げるというメリットもあるそうです。 参加した施設スタッフからは「いつもの慌ただしい測定ではなくなり、入居者様が落ち着いて参加できている」「一人でも問題なく操作できた。慣れればもっとスムーズにできそう」「使用を継続したい」といった声が聞かれています。 働きやすい職場としてイメージを刷新 介護施設の人手不足解消には人材確保に取り組むとともに、業務の生産性を上げていくことが必要とされています。そのための手段としてICTなどの最新技術は有効といえます。 最新技術を介護業界へ導入することで、より働きやすい職場環境が整えられれば、介護業界のマイナスなイメージを刷新できるのではないでしょうか。新しい技術の導入によって介護業界で活躍したい人が増えていくことを期待します。
2022/07/07
介護業界を取り巻く「2025年問題」という言葉を耳にしたことがある人もいるかもしれません。 「2025年問題」とは、団塊の世代と呼ばれる人々が75歳以上の後期高齢者となり、日本の人口の約2割が75歳以上になるという問題。高齢者が多くなるため介護サービスを利用する人も増えると予測されています。 そのため、介護サービスを担う介護職員の人手不足が悪化。2025年には、現在より32万人も多く人手を確保しなければいけないという試算も出ているのです。 そこで、東京都は介護職員を増やすために、介護業界で働いたことのない人を対象に就業支援事業の「TOKYOかいごチャレンジインターンシップ」開始。若い世代からシニアまで利用できます。 介護現場でインターンシップ! 東京都は、介護業界で働いたことのない求職者を対象に介護施設や介護事業所でのインターンシップなどの就業支援をおこなうことを明らかにしました。 この事業を利用できるのは、介護職員として働いたことがなく東京都もしくは近隣の県に住んでいる人。学生は対象外ですが、若い世代から元気なシニアまで幅広い世代の人がチャレンジできます。 この事業に参加するには、まずは参加者向けの説明会に出席。その後、働き方などの希望を相談してから介護施設などへのインターンシップに参加できます。 インターンシップ先の施設は、求職者の希望を考慮。実際に介護施設で1~5日間働いてみて、正式に働く希望があればインターンシップ先の施設に就業が決定します。 さらに、就業後も月1回のフォローアップがあるので、仕事の不安などを相談できる体制が整っています。 また、このインターンシップで就職が決まった人には、資格取得講座をプレゼント。スキルアップをする機会も整っています。 介護サービスを受けられなくなるかも 介護現場の人手不足が悪化することで、サービスの利用者数を減らす事業所が増えることが予想されます。さらに、それによって事業所の経営が悪くなり、事業所が閉鎖してしまうこともありえるでしょう。 そのため、今は介護サービスを利用していなくても、将来的には自宅近くの介護事業所がなくなっていたり利用したいサービスを選べなくなることもあるかもしれません。 そうしたことを防ぐために、介護職員の人員を確保することが緊急の課題です。 今回の東京都の事業のように、実際の施設を体験してから就業できるのであれば、採用する側も採用される側も安心ですよね。 このような取り組みによって、未経験の人が介護に触れる機会を増やしていくと、介護職員の確保につながるのかもしれません。
2022/06/03
介護職員の人手不足が深刻です。2019年の職員数をもとにした厚生労働省の試算によると、2025年にはさらに32万人、2040年には69万人もの介護職員が必要になるとされています。 そこで、介護の仕事をより身近に感じる機会を増やしたり経済的に苦しい学生を支援するために、高校生向けに「介拓奨学生プログラム」を開始。経済的な理由で進学や将来の進路に不安を感じている高校生が、資格を取って介護現場で働きながら学校に通えるようにサポートする取り組みです。 苦学生を介護現場が救う? キャリア教育団体や介護・福祉団体からなる「介拓プロジェクト実行委員会」が、高校生のための「介拓奨学生プログラム」を開始することを明らかにしました。 このプログラムは、「進学したいけど学費の負担が難しい」「貸与型の奨学金を借りるのは不安」など、進学や就職のためにお金を貯めたい高校生を支援するために作られたものです。 プログラムに参加した学生は、夏休み期間に「介護職員養成初任者研修」を受講。その試験に合格すると、どの介護施設でも通用する「初任者研修資格」を取得できます。 この資格取得に関わる費用は無料。研修費に加えて交通費も無料です。 その後は、奨学生を支援する介護施設でアルバイトが可能。高校生としては高い時給で働きながら、奨学金を受けて高校生活を送ることができます。 高校卒業後の選択は自由。そのまま介護職員になるのはもちろん、進学したり他職業に就職するのに制限はありません。 もし介護職員を続けるのであれば、高校生のうちから現場経験を積めるので、介護福祉士などの取得に実務経験が必要な資格を同年代よりも一歩先に取得することもできるのです。 若者と介護現場がつながるきっかけに 今回のプロジェクトは、人材不足に悩む介護現場と経済的な問題を抱える高校生をつなげるもの。介護現場は若い人材を早いうちから育成できますし、学生は一般的なアルバイトよりも高い時給で働けるため、双方の問題を解決できるプロジェクトです。 もちろん、学生は卒業後に介護職員にならなければいけないわけではないので、すぐに人手不足が解消できるわけではありません。ですが、こうした取り組みによって介護職員のハードルが下がって、将来的に介護現場で働く若者が増えていくかもしれませんね。
2022/05/31
今月25日から、新型コロナウイルスのワクチン4回目の接種が開始されました。 4回目のワクチンは、これまでとは異なり接種できる対象者が限定。60歳以上の高齢者と18歳以上の基礎疾患などを持っている人しか接種ができません。 これに対して、全国老人福祉施設協議会などの介護施設の団体が共同で要望書を提出。施設で働く介護職員や事務職員も接種対象にするように訴えました。 介護職員にも4回目ワクチンを 今月19日、全国老人福祉施設協議会・全国老人保健施設協会・日本認知症グループホーム協会の3つの団体が連名で介護施設で働く職員の新型コロナワクチンの4回目接種の対象に加えるよう要望書を提出しました。 この要望書は、過去に介護施設で発生したクラスターが、介護職員によって持ち込まれたケースが多かったことをふまえたもの。高齢者は感染した際に重症化リスクが高いことから、高齢者に感染させる可能性の高い職員のワクチン接種を要望しています。 さらに感染の第6波では、職員の3回目接種が終わっていた施設でクラスターが大規模になることを抑えられたケースが多かったとのこと。そこで、少しでも感染リスクを減らすために4回目のワクチン接種を求める声が増えているそうです。 加えて、今回の要望書が提出された背景には、これまでの1~3回目のワクチンは接種条件を年齢制限のみとしていたのに対して、4回目の接種では複数の条件が設定されたことがあります。 4回目のワクチン接種の条件は、「60歳以上」「18歳以上の基礎疾患などがある」の2点。若い世代の接種はメリットが低いとして重症化リスクの高い人に接種を限定していますが、その重症化リスクの高い人のすぐ近くでケアをおこなう介護職員の接種も今回の要望書で求めているのです。 今回も混乱が起こる? 4回目のワクチン接種が始まりましたが、その運用については賛否両論があります。 今回の要望書にあるような接種対象についての他には、接種券の配布方法を疑問視する声も上がっています。 というのも、住民の基礎疾患の有無を把握できないため、多くの自治体で18歳以上の全員に接種券を送付。そのため、接種対象でない人も接種をしてしまうかもしれないのです。 各自治体で目立つように封筒に接種条件を記載したりSNSなどで告知するなどの対策はとっていますが、多少の混乱が起きても仕方ないと言えます。 私たちが各々で「自分は接種対象なのか」をしっかり確認しておくしか手はないのが現状です。
2022/05/26
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。