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嚥下

嚥下 最新研究

4時間以上の離床で高齢者の嚥下機能を維持⁉離床時間の延長がリハビリに

身体の筋肉量や嚥下機能(飲み込む力)は、年を重ねるほど低下しやすくなることがわかっています。 しかし、日常的に介護が必要な高齢者の場合、積極的に運動する機会が減ることで全身の筋肉量が減りやすい状況に。さらに、ひとたび低下した嚥下機能を回復させることは難しいため、「やわらか食」「ミキサー食」といった介護食に頼らざるを得ないのです。 そこで、東京医科歯科大学は摂食嚥下リハビリテーションの調査の一環として、要介護高齢者の離床時間と筋肉量・嚥下機能の関連を研究。その結果、離床時間が4時間以上の高齢者は手足の筋肉量や嚥下機能が維持されていることがわかりました。 離床時間が長いと嚥下機能が保たれる 東京医科歯科大学が、要介護状態の高齢者の離床時間と筋肉量・嚥下機能の関係について調査。それによると、4時間以上の離床している高齢者は、筋肉量・嚥下機能を維持していることがわかりました。 この調査の対象となった高齢者は、すべて要介護状態の人。要介護3~5相当の身体状況にある人の離床時間、筋肉量、服薬、BMI(体格指数)などを調査しました。 その結果、離床時間が4時間未満の高齢者に比べて、4時間以上の高齢者は四肢の筋肉量と嚥下機能が維持されていることがわかりました。さらに、離床時間が6時間以上の高齢者は、体幹の筋肉量も多く、常食に近い形の食事をとっていたそうです。 離床時間が延びたことが食事形態に影響したのは、常食を食べるためにはしっかり覚醒して咀嚼する必要があるため。咀嚼するには体幹の筋肉が大切であり、離床時間が6時間以上になることで覚醒状態が安定し、体幹の筋肉量が保たれていた可能性があります。 効果的なリハビリのために 慢性的に人手不足である介護現場では、身体や嚥下機能のリハビリを頻繫におこなうことは難しいもの。特に嚥下機能は専門家による指導がないと、効果的なリハビリが難しい分野です。 そこで、今回の調査結果をふまえて研究グループは、離床時間を4時間以上を目指すことを推奨。現在、4~6時間は離床できている人は、6時間以上ベッドから離れて余暇の時間を過ごすことを目指すことを勧めています。 積極的なリハビリが難しい以上、離床時間を延ばすことがリハビリにつながるのであれば、ぜひ少しずつ起きている時間を増やしていきたいですね。

2022/05/10

フレイル予防 介護機器 嚥下

嚥下機能が落ちた高齢者に「スティックゼリー」。薄型で飲み込みやすく

嚥下機能(飲み込む力)の低下は、食品が気管に入って肺炎を起こす誤嚥性肺炎のリスクが上がることに加えて、食べる気力が低下して慢性的な栄養不足になることもあります。 そこで林兼産業は、少量でエネルギーやタンパク質が摂取できる「スティックゼリー」を開発。嚥下機能が落ちた高齢者でも飲み込みやすく誤嚥しにくい形状なので、誤嚥性肺炎のリスクを下げられるそうです。 ゼリーで手軽に栄養補給 ハムやソーセージなどの食品の製造をおこなっている林兼産業が「スティックゼリー」を開発。少量で栄養が補給できるため注目されています。 このゼリーの特徴は、1本で80キロカロリーを摂取できること。また、スティック状に個包装されており、スプーンで一口サイズにも切りやすい形をしています。 これまでのカップゼリーはスプーンですくうと山型になるため、嚥下機能の落ちた人ののどには通りづらく、くずれて口の中に残ることでかけらが誤嚥性肺炎の原因になりかねないことが問題でした。 そこで、このゼリーでは薄い短冊形にすることで噛まずに丸のみできるため、口の中やのどの奥にゼリーのかけらが残ったりむせこみの防止をしています。 また、嚥下機能が落ちてくると食事に時間がかかるため、それが精神的な負担となったり食事量の減少にもつながることも。さらに、それが原因で低栄養状態となって、身体状況が悪くなり介護度が上がることもあります。 そうした問題をこのゼリーでは、少量でも栄養を取れるようにすることで解決。1本約15グラムでしっかりカロリーを摂取できるタイプや、1本でタンパク質を2.5グラム含むタイプ、1本で1日必要量の30%以上のビタミンやミネラルが摂取できるタイプなど、食事量が少ない人の補助食として活用できます。 介助する人・される人の負担軽減に 嚥下機能が落ちると食事に時間がかかるようになることで、食欲が落ちたり食事量が減ることも。さらに、食事介助が必要な場合は職員の業務負担が大きくなります。 そこでこのゼリーのように、少量でもしっかりと栄養を補給できる食品があれば、介助される人の心身の負担も介助する人の業務の負担も減るのではないでしょうか。 またこのゼリーはスティック状に個包装されているので保存もしやすく、食事量が足りない日のおやつとしても使いやすいかもしれませんね。

2022/04/14

医療現場の改革 嚥下

高齢者に多い誤嚥性肺炎は死因6位⁉京大病院が嚥下専門センター開設

2020年の死因の第6位である誤嚥性肺炎。食べ物や飲み物が口から気管に入ることで肺が炎症を起こす病気で、嚥下機能(飲み込む力)が落ちている高齢者は特に注意したいものです。 この嚥下機能を専門に取り扱う診療センターが、関西で初めて京都大学付属病院にオープン。嚥下機能の判定やリハビリテーション、食事サポートなどをおこなうそうです。 関西初の嚥下機能専門センター 京大付属病院が、今月1日に関西初の「摂食嚥下診療センター」を開設しました。 嚥下機能の診療には、耳鼻咽喉科やリハビリテーション科、歯科などのさまざまな診療科が関わります。そのため、同病院では専門のセンターを設立することで、各診療科とスムーズに連携が取れるような体制を構築したそうです。 このセンターでは、内視鏡検査や造影検査などの基本的な嚥下状態の確認する検査に加えて、嚥下圧測定検査という検査方法も可能。これは、飲み込みの際に関わる咽頭や食道など器官の収縮を測定する検査です。 こうした検査の結果に基づいて、センターのメンバーで治療方針を決定。そしてそれに応じて、嚥下機能に合わせた形態で食事を提供して食事面からもサポートします。 また、嚥下障害の専門家である言語聴覚士や看護師によってリハビリができる体制もあるそうです。 何気ないむせこみが要介護の原因に? 高齢になると、喉の筋肉の減少や唾液の量が減ることなどによって、嚥下機能が低下しやすくなります。 それによって、むせやすくなったり食べ物が気管に入ることで誤嚥性肺炎を発症することも。加えて、上手く飲み込めないため食欲の低下によって栄養状態が悪くなり、身体全体の筋力低下につながるケースもあります。 そのため、もし「むせやすい」「食べ物が上手く飲み込めない」と感じたら、嚥下機能が落ちているサインかもしれないので要注意。「もう年だからしょうがない」と何もせずにいると、それが悪化して介護が必要になったり寝たきりになる原因になりかねません。 簡単にできる「口腔体操」などもあるので、食事の前に取り入れてみると食べやすさが変わってくるかもしれないですよ。

2022/04/11

介護機器 介護職員 嚥下

介護施設のとろみづけを”サブスク”で!とろみサーバー「TRORINPA」

飲み込む力が落ちてくると、一般的なお茶やジュースなどの飲み物を飲む際に誤嚥をしてしまうことがあります。 それを防ぐために、多くの介護施設では入居者の嚥下状況に応じて「とろみ剤」を飲み物に溶かして粘度を上げています。 しかし、一つひとつ手でとろみを付けているので時間がかかり、職員の負担になっているのが問題でした。 そうした負担を軽減するために、とろみづけのサブスクリプションサービス「TRORINPA(トロリンパ)」が登場。短時間でとろみのついた飲み物を提供してくれるサービスです。 誰でも簡単にとろみづけを 「TRORINPA」はとろみづけのサブスクリプション(月額)サービス。これまで、食事やおやつの際に1杯1杯手でしていたものをドリンクサーバーが自動でとろみづけをしてくれます。 このサーバーでは、森永乳業グループのとろみ剤を使い、3段階のとろみを1杯13秒で提供。時間の短縮に加えてとろみの強さも均一になるため、作る人によってとろみの強さが異なるということもなくなります。 また、サーバー専用の飲料パウダーを7種類の中から3種類を選択可能。麦茶やほうじ茶、リンゴジュースや紅茶などのさまざまな味が楽しめます。とろみなしのドリンクも選択できるので、職員の福利厚生としても活用できるそうです。 細かな調整ができれば… これまで、1杯1杯手作業でおこなっていた「とろみづけ」が自動でおこなえるとなれば、現場にとって大きな負担軽減になるのではないでしょうか。 ただ、とろみの粘度が3段階だと調整が難しい面もあるかもしれません。 おそらく、多くの施設で入居者ごとに細かくとろみの強さを調整しているでしょう。そのため、とろみの強度をもっと細かく調整できるようにしないと、現場で使い勝手が悪いと感じられてしまう可能性もあります。 例えば、日本介護食品協議会が定めているユニバーサルデザインフードの規格では、4段階の粘度を設定しています。 これに合わせて、4段階くらいの調整ができないと現場では使いにくいかもしれません。 今回のサービスは定期的なメンテナンスも含めた内容。基本料は管理費用込みで月2万2000円となり、あとは飲料パウダーととろみ剤の費用だけです。 とろみづけが必要な人が多い施設では、活躍するサービスとなるかもしれませんね。

2022/03/28

嚥下 地域の取り組み 社会問題 高齢者の一人暮らし

あのお店の牛丼が介護食に?具材の大きさ、とろみを工夫して食べやすく

ごはんや肉じゃが、ハンバーグなど和洋中問わず、幅広い料理が食べやすく調理されているレトルト介護食。食材を小さくきざんだりとろみをつけたりと、自宅ではなかなか手間のかかる介護食が温めるだけで準備できるのでとても便利ですよね。 そのなかでも珍しいのが、「吉野家」の牛丼の介護食。お店で食べる”あの味”はそのままに、噛む力が弱まっている人でも食べやすいように工夫されています。 また今回、この介護食の牛丼を移動スーパーで販売することになったそうです。 「買い物難民」を支えるスーパーに牛丼が 全国で1200店舗を展開している吉野家が、高齢者向けレトルト食品「やわらか牛丼の具」を移動スーパーで販売開始することを発表しました。 この牛丼は、吉野家のお店の味をそのままに、噛む力が弱まっている高齢者でも食べやすいように工夫。お店のものよりも牛肉・玉ねぎを細かくきざんだりとろみをつけたりと、介護食ならではの難しさがあったそうです。 特に難しかったのが塩分の調整。店舗の味付けよりも塩分量を少なくしつつ”吉野家の味”を再現する必要がありました。 そのため、吉野家の牛丼のたれを分析して、素材を置き換えたりして低塩とお店の味を両立させたそうです。 また、この牛丼を販売する移動スーパーは、全国で約950台もの軽トラックを稼働させている「とくし丸」。大型スーパーの出店で近くの商店街がなくなってしまったり、高齢になって買い物に遠出ができなくなった高齢者が多く利用するそうです。 「スーパーまで行くのは大変だけど、自分で見て選んで買い物をしたい」という高齢者が多く、ときには利用客のリクエストの商品を乗せることもあるそう。週に2回、同じ地域を回るため、そのような「御用聞き」の役割や「見守り」も兼ねているとのことです。 あえて”ファストフードの介護食化”が良い? 「高齢者が好きな食べ物」というと、天ぷらや寿司などの和食をイメージしがちですが、それだけではなくてハンバーガーなどのファストフードが好きな人も多くいるそうです。 吉野家が牛丼を販売してから約50年なので、当時から食べていた人が高齢になっていると考えれば自然なことなのかもしれませんね。 しかし、飲食店がある駅前まで行くのは高齢者にとっては大変だったり、介護施設に入居しているとファストフードを食べることはまずできません。さらに若者向けに作られているので、量が多すぎたり食べにくい点も問題です。 そのため吉野家のような、”ファストフードの介護食化”が高齢者に喜ばれるのかもしれません。 もうすでに「高齢者は和食が好き」という時代ではないみたいですね。

2022/03/07

フレイル予防 介護予防 嚥下

誤嚥を防ぐカギは「口を開ける力」?口を開けるトレーニングで嚥下力を保つ

最新の研究で、口を開ける機能(嚥下機能)と口を開ける力(開口力)が関係していることがわかりました。 これまで嚥下機能を把握するためには特殊な検査が必要だったため、より早い段階で嚥下機能の低下を把握できるようになるとのことです。 飲み込む力のカギは「開口力」? 東京医科歯科大学の研究グループが、開口力と嚥下機能の関連性を証明。簡易的に嚥下機能を把握できるので、早期に嚥下機能障害を発見できる可能性があるそうです。 今回、研究グループが注目したのは「舌骨上筋」という食べ物を嚥下する際に働く筋肉。この筋肉がのど仏を持ち上げて気管を持ち上げることで、食べた物が食道に送り込まれるそうです。 そのため、舌骨上筋が衰えると上手く気管をふさげず、食べ物が気管に入って誤嚥が起きるそうです。つまり、舌骨上筋の働きが食べ物の嚥下に重要というわけですね。 そしてこの筋肉は、口を開けるときにも働くそう。そのため、開口力を測ることで舌骨上筋の衰えも計測できると考え、今回の実験をおこなうに至ったとのことです。 今回の実験は、開口力の計測機を作って開口する力の値を計測。同時に、全身の栄養状態や筋肉量も嚥下状態と関連していることがわかっているので、握力やBMI(体格指数)も調査しています。 加えて、日常の嚥下状態は「EAT-10」という嚥下状態を確認するアンケートで調査。嚥下機能の状態と、開口力についても比較しました。 その結果、嚥下機能が低下している人は、開口力やBMIなどの数値が低下していることがわかったそうです。 今回の結果から、これまでおこなわれていた特殊な検査でなくても、嚥下機能の測定ができる可能性があるとのこと。簡易的に検査ができるため、嚥下機能の低下を早期に発見できるようになるそうです。 また、開口力と嚥下機能の関連性がわかったので、「口を開けるトレーニングをすることで嚥下機能が向上するかもしれない」と研究グループは述べています。 大きく口を開けて、元気に食べる力をきたえる 私たちの普段の生活で、口を思い切り開けることはほとんどありませんよね。そのため、口を開ける力が低下していることには、なかなか気が付かないのではないでしょうか。 嚥下機能が衰えると栄養不足にもなりやすいですが、何より「食べる楽しみ」が減ってしまいます。 そのため、日常的に嚥下状態には気を付けておきたいですよね。 そこで、大きな口を開けるだけのトレーニングならとても簡単に生活に取り入れられます。長く元気に楽しく食べられるように、開口力をきたえていきましょう。

2022/02/22

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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