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神戸ポートピアホテルは、食べ物や飲み物が飲み込みにくい嚥下(えんげ)障がいを持っている人でもクリスマスの気分を味わえるような食事会の開催を予定しています。 ちなみに予定日は、2022年の12月10日とのことです。 食事会について 神戸ポートピアホテルは、クリスマス料理を提供する食事会「家族で楽しむクリスマス2022 ホテルのやわらかコース料理 ~のみこみにくい人のために~」を計画していることを明らかにしました。 対象は、食べ物や飲み物が飲み込みにくい嚥下障がいを持っている人とその家族です。 料理は兵庫医科大学の協力を受けてシェフが考案したもので、好みに合わせて和食か洋食かを選択することができます。 なお食事会では、ピアノやバイオリンの生演奏や嚥下に関する談話もおこなわれるそうです。 嚥下障がいについて そもそも嚥下障がいとは何でしょうか? 嚥下とは、食べ物や飲み物を飲み込むこと。つまり何らかの理由で、食べ物や飲み込むのが難しくなった状態のことを嚥下障がいと言います。 健康な人なら、食べ物や飲み物の硬さや形状を問わず飲み込むことができるし、万が一、気管に入りそうになっても咳で外に出すことができます。しかし嚥下障がいになると、咳で食べ物や飲み物を外に出せず、そのまま気管やさらにその先の肺に入ってしまうことがあるのです。 特にとろみのない飲み物や硬い食べ物は、気管に入りやすいので注意が必要です。 また、食べ物や飲み物が肺に入ってしまうと肺炎を起こす危険性があります。そのため嚥下障がいがある人に食事を提供するときは、飲み物にとろみをつけたり食べ物を柔らかくしたりして、食べやすくする工夫が必要です。 嚥下障がいを持っていると食べられる料理の硬さや形状に制限があるため、なかなか外食をする機会がない人も多いのではないでしょうか。 そこで今回紹介した食事会なら、食べ物や飲み物が飲み込みにくい人でも、家族とともにクリスマスの雰囲気を味わえそうですね。
2022/11/30
11月28日、伊藤園は飲み物に「とろみ剤」を入れて飲む人に向けて、はじめからとろみがある「とろり緑茶」を発売しました。 とろり緑茶は、東京大学大学院医学系研究科の社会連携講座「イートロス医学講座」と共同で開発されたものです。 とろみをつける理由 そもそも「とろみ」とは、あんかけ焼きそばのあんのようにとろとろとした状態のこと。高齢者などは、飲み物や液体状の食べ物をとろとろにする粉状の「とろみ剤」を入れて飲むことがあります。 なぜ高齢者は、飲み物にとろみ剤を入れるのでしょうか? その理由は、嚥下(えんげ)機能の低下にあります。嚥下とは、食べ物や飲み物を飲み込む力のことで高齢者になるとその機能が衰えてしまうのです。 つまり、嚥下機能が落ちているのにとろみのない飲み物を飲むとむせこむことがあり、場合によっては気管に入る誤嚥(ごえん)が起きてしまうことも考えられます。 健康な成人なら、食べ物や飲み物が気管に多少入ってしまっても咳をして取り除けます。しかし高齢者はその反射機能が働かず、食べ物や飲み物が気管を通過し肺に落ちる危険性があるのです。 肺に落ちると出口がないため、食べ物や飲み物は残り続けて肺炎を引き起こします。 しかしとろみ剤があれば、さらさらな飲み物や食べ物でも口の中でまとまるため飲み込みやすいのです。 誤嚥が引き金となって起こる肺炎を予防するために、嚥下機能が落ちている高齢者に対してはとろみ剤が必要なのです。 とろみ緑茶の特徴 以上のように、嚥下機能が落ちた高齢者にとってとろみ剤はなくてはならないものですが、冷たいものに入れるととろみ剤が溶けにくかったり、失敗してとろみ剤がダマになってしまったりすることがあります。 しかし今回のとろみ緑茶は、はじめからとろみがついた状態なので、コップに注ぐだけでとろみがある緑茶を飲めるのです。そのうえ、温めても冷たい状態でもとろみの状態が均一なのも大きなメリットです。 伊藤園は今後ドラッグストアなどのほか、介護施設でも展開を予定しています。このお茶を使えばとろみ剤を溶かす手間がなくなり、介護の負担が少しでも軽減できればいいですね。
2022/11/28
この数年間、コロナ禍で会食や大勢で会話を楽しむ機会が制限されてきました。 コロナ禍以前に比べて声を出したり会話をする機会が減ったことにより、高齢者の嚥下機能(飲み込む力)の低下が懸念されています。 そうしたことを受けて、「世界嚥下デー」に誤嚥予防の啓蒙を兼ねたレクリエーションをおこなうイベントが開催されます。 全国100施設と繋がる介護予防レクリエーションを無料開催 一般社団法人声ヨガ協会(所在地:東京都港区)は、12月12日の世界嚥下デーに誤嚥予防を目的とした「ヨガ×のどトレ」レクリエーションをオンラインにて開催します。 嚥下機能が低下することで飲み込みづらくなり、むせたり食べこぼしたりと食べることが嫌になることがあります。それによって食べる量が減り、栄養不足や免疫力の低下を招いてしまうこともあります。 さらに、嚥下機能の低下によって食べたり会話することの楽しみが減って気力が衰えることで、健康寿命や自己肯定感に悪い影響が出ることもあるのです。 そこで、今回のイベント「ヨガ×のどトレ」では誤嚥予防の啓蒙および、声ヨガ式嚥下体操レクリエーションを、2022年12月12日月曜日、14:00からの45分間Zoomを用いたオンラインライブ配信でおこないます。 参加費は無料。対象は自治体、病院、高齢者施設、嚥下に関心のある人などで、定員は先着100団体となっています。 世界嚥下デーとは 世界嚥下デーは、正常の嚥下および、摂食嚥下障害の原因、早期発見、合併症、管理についての知識を深めるため、医療従事者だけでなく一般の人を対象とした世界的な啓発キャンペーンをおこなうことを目的に定められた日です。 通常、誤嚥や喉頭侵入(食べ物が喉頭内や声門上に侵入すること)が起こっても、防御反応(咳やむせ)で排除できます。しかし、摂食誤嚥障害を持つ人や高齢者はこの反応が低下していることがあり、最悪の場合、誤嚥性肺炎を引き起こします。そのため、嚥下機能を維持する必要があるのです。 身近に食事中やお茶を飲むときに咳をしたりむせたりしている人はいませんか? もしかしたら、それは嚥下機能の低下が原因かも。一度嚥下の専門医をたずねてみたり、今回紹介したようなイベントに参加して嚥下機能を鍛えたりしてみると良いかもしれませんね。
2022/10/25
自分の親や施設の利用者が、食事のときにむせることが増えてきた…。そんなことはありませんか? もしかしたら、それは物を飲み込む力が低下してきたからかもしれません。そのままだと誤嚥性肺炎という病気になってしまう可能性もあります。 誤嚥性肺炎は、嚥下(えんげ=食べ物を噛み砕いて飲み込みやすくしてから消化器官へ送ること)機能の低下した高齢者などに多く発生する病気。唾液や食べ物などと一緒に細菌を吸引することにより発症します。 日本では多くの高齢者が肺炎が原因で亡くなっていますが、70歳以上の肺炎患者の7割以上は誤嚥性肺炎が占めているのが現状です。 嚥下機能の低下は、誤嚥性肺炎になって命を落とすリスクにつながるため、そうなる前の段階から早めの対策が必要なのです。 嚥下機能障害の予防への取り組みが遅れている これまで嚥下機能の改善は、口腔ケアや嚥下体操などの基礎的訓練が主流。しかし近年、海外では積極的に電気刺激療法がおこなわれるようになりました。 一方、日本においては医療行為としての電気治療はあるものの、嚥下障害予防のための電気刺激療法の取り組みは進んでいないのが現状です。 株式会社ルネサンスは、このような状況を踏まえて高齢者施設などでの電気刺激療法を推進するために、嚥下機能低下予備軍への電気刺激療法の実験をおこない、それが高齢者の嚥下機能向上に有効なのかを検証しました。 電気刺激で嚥下機能が向上 飲食物を「ごっくん」と飲み込む際、もっとも重要な役割を担うのは舌骨と下顎の骨をつなぐ舌骨上筋という筋肉です。 今回の検証では、嚥下機能低下予備軍の高齢者16名に対して10分間を週に1回、舌骨上筋に通電。これを4週間継続して実施した後、一定時間内に唾液を飲み込んだ回数を測定するテストをおこないました。 その結果、舌骨上筋への電気刺激をおこなった全ての人で嚥下機能の向上が認められました。短時間の電気刺激によって、嚥下機能の改善が図れることが実証されたのです。 高齢者施設での電気刺激療法サービスを開始 ルネサンス社は研究を通じて、同社が運営するデイサービス「元氣ジム」の利用者へ嚥下機能向上プログラムの提供ができるようになったとしており、今後もプログラムの提供を推進していきたいとしています。 嚥下機能障害や誤嚥性肺炎が減れば、高齢者の健康寿命が延びることが期待できます。また、高齢者が食事をおいしく楽しめるようになれば、生活の質が改善するだけでなく、介護する側の負担も軽くなるはず。早くそのような環境が整うと良いですね。
2022/10/24
今回の滋賀医科大学糖尿病分泌・腎臓内科の研究グループの研究は、滋賀医科大学糖尿病分泌・腎臓内科の研究グループとサンスターが共同でおこなったもの。口腔と全身の健康状態には、さまざまな関連があることが分かりました。 肥満は万病のもと? 最近の研究で、肥満は歯周病の発症や進行のリスクを増大、歯の喪失リスクとなることが報告されています。 しかし、肥満が残存歯に及ぼす影響を年代別・歯の部位別に検討した研究はこれまでありませんでした。そこで、滋賀医科大学の研究グループが診療報酬明細書(レセプト)と定期健康診断結果から構成される大規模データベースを用いて研究を始め、肥満が歯の喪失リスクを高めることが確認されました。 また、肥満の歯の喪失に対する影響について、他に考えられるリスクとして喫煙や糖尿病の関与も考えられるとの研究結果もまとめました。 衝撃の研究結果 今回の研究では、20歳から74歳の成人23万3517人の年代ごとにBMIと歯の本数の関係を分析。以下の2つのことがわかりました。 各年代のBMI階層ごとの歯の残存数 40代以上の各年代で、BMI(体格指数)が高いほど歯の本数が少ないという結果が出ました。⼀般的に⻭の喪失が起こりはじめる50代よりも若い段階で、肥満度が⾼いほど⻭を喪失しやすい傾向にありました。 肥満の有無と⻭の部位別の保有者率 肥満者(BMI25以上)では、非肥満者(BMI25未満)と比較すると、多くの部位の歯を失っており、特に奥歯の喪失がもっとも多くみられました。 さらに肥満に喫煙が加わるとさらに増え、肥満のみとは異なる部位の歯の喪失にも影響があることが分かりました。 「これまでも、肥満が歯の喪失と関係することが知られていましたが、20万人を超えるビッグデータを用いたことで、BMI階層や部位別の分析を実施することができました」と研究者は述べています。 歯を守るには正しい歯磨きだけだと思いがちですが、減量・禁煙など全身の健康も必要なのですね。みなさんもこの機会に食生活・生活習慣を見直してみましょう。
2022/10/07
今まで、何も気にせず食べられたものでも、年齢を重ねるにつれて食べることが難しくなったり、制限がかかってしまうことがあります。体のためと分かっていても、好きだったものが食べられないというのはとてもストレスになりますよね。今回は、そんな状況の助けになるかもしれない介護食品のお話です。 振って混ぜるととろみがつく、つるりんこシュワシュワ 森永乳業グループのクリニコから発売されているつるりんこシュワシュワは、同社のとろみをつけて飲みやすくした「つるりんこシリーズ」の炭酸商品です。 飲み込む機能が低下した高齢者でもコーラなどの炭酸飲料を飲みたいという人は多くいるとみて、とろみをつけてもシュワシュワした味わいを手軽に楽しめるように開発されました。 実際、炭酸の需要はどうなのか? 国立長寿医療研究センターが1100人の高齢者に実施したアンケートでは、炭酸飲料を飲むことを禁じられた場合「受け入れられない」と答えた人の割合は全体の60.5%と高いことが分かりました。このことからも炭酸飲料に対するニーズは十分にあるといえます。 特徴と使い方 高齢化などで食事や水分を飲み込む嚥下機能(えんげきのう)が低下してしまう人は多いと言われていますが、とろみをつけるとゆっくり流れ込むので嚥下機能が低下しても飲み込みやすくなります。 つるりんこシュワシュワは粉状になっており、とろみを付けたい炭酸飲料のペットボトルに入れて振って混ぜます。それを冷蔵庫で3時間冷やせば、とろみが付いた炭酸飲料ができ上がります。 ちなみに、これまでのとろみ調整食品では、かき混ぜる段階で炭酸が抜けてしまうことが課題でしたが、ペットボトルに入れて使うことを前提に少量で素早く溶けるように工夫されています。 この商品の価格は、2.5グラムのスティック30本入りで税込2160円ほど。薬局や介護商品を扱う通信販売サイトで入手できます。 発想と工夫が”食べられない”を減らす とろみがついた炭酸、聞いただけで興味をそそる商品ですね。 高齢になると、飲み込む力や噛む力が衰えることで食べられるものが減ってしまい、さみしい思いをしている人もいるかもしれません。しかし、今回の商品の他にも様々な発想や工夫をこらし、飲む、食べることを助けてくれる商品がたくさんあります。気になった方は探してみてはいかがでしょうか。
2022/10/04
食べることは生活の楽しみや生きがいであり、人や社会と交流する意欲を高めることにもつながっています。 しかし、高齢者の中には加齢や病気が原因で噛む力や飲み込む力が弱くなり、食べたいものが自由に食べられなくなると、人と会ったり外に出ることを諦める人も多い実情があります。 そこで、兵庫県丹波市の中華料理店「大連飯店」では、噛む力や飲み込む力が弱い人のために、柔らかさや形状を工夫した「介護食」の提供を始めました。 中国の国家資格「薬膳師」の資格を持つ料理長、今藏楓さん(30)が、食べる人の体調や能力をヒアリングした上で、食材やメニュー、調理方法などを決めて作っているそうです。 きっかけは常連客 兵庫県丹波市の中華料理店「大連飯店」では、噛む力や飲み込む力が弱い人のために、柔らかさや形状を工夫した「介護食」の提供をはじめました。「まごころ(丹)を込めて対応したい」という思いから、介護食のメニューを「丹心」と名付けているそうです。 介護職の提供を始めたきっかけは、常連客でした。胃の手術をした常連の高齢男性が、食べたいものを自由に食べられなくなったなかで、男性の妻は「それでも一緒に外食したい」という思いがあったそうです。 そこで、一緒にメニューや調理方法を考えて作った料理を食べてもらったところ、大変喜ばれその後も何度も来店して食事を楽しんでいるとのこと。そんな夫婦の姿が店で介護食の提供を始めるきっかけになったそうです。 今藏さんは、「加齢や病気で『みんなと同じように自由に食べられないから家におるわ』ではなく、家族や仲間とテーブルを共にして笑顔を分かち合ってほしい。日々、介護をしている人にとっても癒やしのひとときになれば」と話しています。 高齢者が外食しやすい環境作り 高齢者やその家族が「一緒に外食を楽しみたい」と思っても、高齢者が食べられるメニューが限られていたり、店内が狭くて車椅子が通れなかったりすると外食を諦めてしまう人もいるでしょう。また、外食ができるお店がないために、出かけること自体を諦める高齢者もいるかもしれません。 さらに、高齢者が外出を諦めて家から出なくなってしまうと、身体の機能が衰えたり、認知症が進行したりする可能性も考えられます。 だからこそ、高齢者向けのメニューを作ったり、お店の出入りがスムーズであったりするなど高齢者が外食しやすい環境作りに積極的に取り組むお店が増えていくと良いですね。
2022/07/07
歳を重ねると、多くの人が食べ物を噛む能力「咀嚼(そしゃく)機能」や飲み込む能力「嚥下(えんげ)機能」が低下していきます。 そのため、食材を細かくしたり飲み物にとろみをつけた「嚥下食」に食事の形を変える必要が出てくることも。しかし、家庭で作るには一般的な料理よりも手間がかかることが多く、介護をする人の負担が大きくなっています。 そこで、嚥下機能の低下した人向けの食事を手軽に買える自動販売機が登場しています。 例えば、福岡県北九州市では自動販売機でハンバーグやポタージュなどのプロが作った嚥下食を購入可能。さらに、埼玉県蓮田市にある東北自動車道・蓮田サービスエリアには、とろみをつけられる自動販売機があり、ボタン1つでとろみ付きの飲み物が手に入ります。 嚥下食が買える自販機? 福岡県北九州市の住宅街の一角に、嚥下食を販売する自動販売機が登場しました。 この自動販売機のメニューは全8種類。「海老のチリソース(550円)」「ハンバーグ(550円)」「チキン南蛮(450円)」「白いんげん豆のポタージュ(240円)」「やさいプリン(200円)」など、主菜からデザートまで選べるようになっています。 この嚥下食を作っているのは、「嚥下食工房 七日屋」という地元企業。嚥下食をデイサービスなどに配食したりネット販売をしている嚥下食のプロです。 そうしたプロが作った安全な嚥下食をいつでも気軽に購入してほしいと、今年4月から販売を開始したそう。24時間いつでも買えるので、介護をする人の帰宅が遅くなってもすぐに食事の準備ができるのが魅力です。 また、埼玉県蓮田市の東北自動車道・蓮田サービスエリアには、飲み物にとろみをつけられる自動販売機が登場しています。 この自動販売機は、飲み物を選択するボタンの他に「とろみありボタン」があり、飲み物のボタンを押す前に「とろみありボタン」を押すことでドリンクにとろみをつけられます。 さらに、とろみの強さも「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階から選べ、飲む人の嚥下機能に合わせて調節ができるようになっています。 嚥下食が手軽に食べられるものに 食事にとろみをつけたり具材を細かく刻んだりと準備するのに手間がかかる嚥下食。忙しかったりすると、その負担が大きく感じるかもしれません。 そこで、自動販売機で手軽に嚥下食が購入できるのはありがたいですね。特に、とろみつきの飲み物を買える自動販売機は、外出先での水分補給がとても楽になりそうです。 「嚥下食」というと、特別なものに感じてしまいがちですが、自動販売機で購入できることでもっと身近なものになるかもしれないですね。
2022/06/02
高齢になると、多くの人がのどの筋力が落ちて飲み込む力(嚥下機能)が落ちてしまいます。すると、普通の食事を食べるのが難しくなり食事が楽しめなくなってしまうこともあるのです。 そうなると、食べる量が減るので栄養状態が悪くなり体力低下を招くことも。嚥下機能が落ちることで、全身の健康状態が悪くなったり要介護状態になるケースも少なくありません。 そこで、近年、嚥下機能が低下した高齢者でも食べやすい嚥下食が増えつつあります。 例えば、今年11月に嚥下食を提供するカフェを併設した複合施設「TOTONOU(ととのう)」が愛知県に建設予定。あわせてがん治療などで脱毛した人のための美容院など、さまざまな背景を持った人が集う場所になるそうです。 嚥下食がメインのカフェが登場 「NPO法人全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)」が、愛知県に嚥下食をテーマにしたカフェを開設することを明らかにしました。 ふくりびは、高齢者や障がい者の訪問理美容やがん患者・脱毛症患者の医療用ウィッグの製造などを26年間にわたって手掛けている団体です。 これまでの活動で高齢者や患者などとふれあうなかで、嚥下機能の低下によって食事を楽しめない人が多くいることに気が付き、今回のカフェを建設するに至ったそうです。 このカフェのメニューはまだ決まっていないものの、手頃な値段で提供予定。3Dプリンタを使って盛り付けするなど、嚥下食をテーマにしたカフェならではの斬新なメニューも登場するかもしれないそうです。 カフェが入る複合施設「TOTONOU」には、他にも医療用ウィッグを扱う美容室や図書館も併設予定。高齢者や障がい者だけでなく、子どもや子どもを持つシングルマザーなど多様な人が集まる場所になることを目指しています。 嚥下食のニーズは増えていく? 嚥下機能が落ちている人の食事を準備するのは、家庭では難しいもの。最近ではレトルトの介護食がスーパーなどでも購入できるようになり、以前よりも手軽になりつつあるものの、外食をしようとすると嚥下食に対応しているお店がほとんどないのが実情です。 その一方で、高齢化が進むのに従って嚥下障害の人は増加。嚥下障害は低栄養や体力低下、誤嚥性肺炎などのさまざまな問題の原因となりかねないので、急いで対策する必要があるのにも関わらず支援が広まっていないのです。 そこで、今回のような嚥下食がテーマのカフェが登場することで嚥下食の知名度も上がり、多様な形の嚥下食が増えて、嚥下障害で食べるものに悩んでいる人の選択肢が増えるかもしれませんね。
2022/05/24
食べ物を飲み込む能力のことを「嚥下(えんげ)機能」と言います。 年齢を重ねると、のどの筋力の低下によって嚥下機能も低下するため、多くの高齢者が「嚥下障害」になっているのです。 そこで、キユーピーは飲み込みやかみ砕く機能が低下した人向けの食事「やさしい献立」シリーズを展開。噛む力や飲み込む力が落ちた人でも食べやすい食品を提供しています。 今回、その中のひとつである「とろみファイン」というとろみ調整食品が、消費者庁の「えん下困難者用食品 とろみ調整用食品」の許可を取得したことを明らかにしました。 飲み物にも食事にも使える マヨネーズなどの調味料を手掛けるキユーピーが、とろみ調整食品「とろみファイン」が「えん下困難者用食品 とろみ調整用食品」の許可を取得したことを発表しました。 「えん下困難者用食品 とろみ調整用食品」とは、消費者庁が定めている特別用途食品の区分のひとつ。特別用途食品は、アレルギー源を除去した食品や乳児用調整粉乳などの通常の食事を食べられない人のための特別な食品で、さまざまな基準を満たしたその用途に適切な食品にのみ表示できます。 その中でもえん下困難者用食品は、加齢や障害などによって飲み込む力が低下した人のための食品。今回、許可が下りたとろみ調整用食品は、飲み物などにとろみをつける、いわゆる「とろみ剤」にあたるものです。 キユーピーのとろみファインは、お茶やみそ汁などの水分に使えるパウダータイプ。少量でダマになりにくいのが特徴で、飲み物の味や見た目を変えずにとろみをつけられます。 そのため、飲み物だけでなくあんかけなどのおかずにも使用可能。あんをかけることで、嚥下障害のある人でも他の家族と同じ食事を食べられることもあるそうです。 嚥下機能に合わせた食事を 嚥下機能が落ちると、食事だけでなく飲み物でもむせるようになります。それが肺に入ると、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあるのです。 そこで、嚥下機能が落ちてきた高齢者の食事には、とろみをつけることが重要。とろみ剤であればいつもの食事や飲み物に使えて手軽なのが魅力です。 また、嚥下機能に合わせてとろみの強さを変えられるため、体調などによってとろみを強くするといった細かな調整も簡単です。 特に、これからの暑い時期は水分の補給が大切。高齢者は熱中症リスクが高いので、飲み物にとろみをつけて飲みやすくすることでこまめに水分を補給できるようにしておくと良いですね。
2022/05/24
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。