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毎年3月の第2木曜日は「世界腎臓デー」。今年は3月10日となり、それに合わせて世界各地でイベントが開催されています。 日本では、先月25日から今月27日の約1ヵ月間にわたってオンラインセミナーを開催。医療従事者向けの最新機器のPRや、患者向けの腎臓病や糖尿病の健康管理の方法など、さまざまなテーマについて学べるイベントです。 自覚がないうちに進行する腎臓病 3月10日の「世界腎臓デー」に合わせて、先月からオンラインセミナーが開催されています。 今年は「すべての人に腎臓病の健康を」をテーマに掲げ、腎臓病の早期発見と治療の重要性を啓発しています。 国内でも1000万人以上の慢性腎臓病の人がいるとされていますが、そのなかには診断や治療を受けていない人も多いそう。というのも、腎臓病の早期の段階ではほとんど自覚症状がないからです。 しかし、腎臓の機能低下が進行してしまうと、治療しても回復ができなくなります。「尿が出にくい」「疲れやすい」「血圧が上がる」といった自覚症状が出てくると、正常に戻せなくなることもあるとのこと。さらに進行すると、腎不全になって透析治療が必要になります。 もともと腎臓は加齢で機能が衰えていくもの。血液の老廃物や塩分のろ過をおこなっている「糸球体」が、年齢を重ねるにつれてその数が減ってしまうのです。 そのうえ、腎臓機能の低下は、糖尿病や高血圧などによってさらに加速します。つまり、生活習慣を見直すことでこれらすべての病気の予防や改善が見込めるそうです。 やはり、健康的な生活で予防できる 高血圧や糖尿病に比べて「慢性腎臓病」という病名は、あまり聞きなれないかもしれません。しかし、進行して透析が必要になると、生活に大きな影響が出る病気です。 例えば、血液透析が始まると、1~2日に1回、病院で透析治療を受ける必要があります。1回で4~5時間ほどかかるので身体への負担も大きいですし、生活スタイルの変更を余儀なくされるでしょう。 この腎臓病を予防するには、やっぱり生活習慣の改善が重要。食事や運動に加えて、血糖値や血圧が高めな人は定期的に測定して、コントロールすることも大切と言えるでしょう。
2022/03/16
カナダのクイーンズ大学の研究グループが、「1日の摂取カロリーを100キロカロリー減らして、1日の歩数を2000歩増やすだけで体重を減少できる」という研究結果を発表しました。 研究グループによると、肥満や過体重の人は体重が1年間に0.5~1キログラム増えるだけで、糖尿病や高血圧、コレステロールや中性脂肪などに悪影響があるそうです。 ”きつい”ダイエットでなくても効果はある カナダのクイーンズ大学の研究グループは、「1日の摂取カロリーを少し減らして、歩数を増やすことで体重が減少できる」という研究結果を発表しました。 この研究は、BMI(体重と身長から算出する体格指数)が25~39.9の肥満もしくは過体重の中高年を対象におこなわれました。 まず、参加者を「1日の摂取カロリーを100キロカロリー減らして、歩数を2,000歩増やすグループ」と「体重チェックをするだけグループ」に分けました。 その結果、カロリー制限をして運動量を増やしたグループは、平均0.4キログラムの体重減少。対して、体重チェックしただけのグループは、平均0.9キログラム増加しています。 また、研究グループは「年0.5~1キログラムの体重増加で、糖尿病や高血圧、コレステロールや中性脂肪などに悪影響がある」としています。 チョコ3つ分の我慢で健康に? 少しの生活習慣の改善で、体重が減少できることがわかりました。 「ダイエット」というと、きつい食事制限や激しい運動をイメージしてしまいますが、少し生活習慣を変えるだけでも効果はあるようです。 もちろん、厳しいダイエットをしたときよりも体重の減少は緩やかですが、「健康的な生活習慣を身につける」と考えれば、ゆるいダイエットの方が良いのかもしれませんね。 また、今回の実験では、1日100キロカロリーのカロリー制限をしていました。ちなみに、100キロカロリーというと、ミルクチョコレート約3つ分(1つあたり28キロカロリー)。これくらいなら、ちょっとおやつを我慢する程度で続けられるのではないでしょうか。 「運動不足でお腹周りが気になってきた」という人は、今日からほんのちょっとだけ生活習慣を見直してみてはどうでしょうか。
2022/03/15
「気を付けなくちゃ」と思いつつもなかなか継続できない減塩。ラーメンスープはしっかり飲み干し、揚げ物にはソースをたっぷり…。 しょっぱいものが美味しくて、減塩しようと思ってもついつい塩分を摂り過ぎてしまいますよね。 そこで、コンビニの弁当が実は減塩商品だったらどうでしょうか。いつもの弁当のおいしさは変わらないのに、摂取する塩分の量が減らせるのならうれしいですよね。 実は、「こっそり減塩」を進めているコンビニがあります。それはファミリーマート。うどんやパスタ、カツ丼などの定番商品26種類の食塩相当量が「こっそり」減っていたのです。 いつものお弁当が減塩に コンビニ大手のファミリーマートが、「こっそり減塩」をおこなっていたことを公表しました。 どうして「こっそり」実施したのかというと、「減塩」をアピールすることで塩分控えめの食事が定着しないと考えたからだそう。減塩商品は「塩分〇%オフ」などの言葉をパッケージに記載してアピールしているイメージがありますが、同社ではあえておこなわなかったとのことです。 というのも、同社がおこなったアンケートでは、減塩に対して「味が薄い」「美味しくなさそう」といったネガティブなイメージを消費者が持っていることがわかったから。そのため、減塩アピールをすることの売上効果よりも、ネガティブイメージによる売上減少で減塩商品を継続的に提供できなくなるリスクが大きいと考えました。 また、そういったネガティブイメージを持つ人たちにも減塩商品を手に取ってもらうために、減塩アピールよりも「こっそり減塩」で減塩商品を提供し続けることを優先したそうです。 「こっそり減塩」を実現した商品を挙げると、「きつねうどん」は塩分8.1グラムから5.9グラムに、「ロースかつ丼」は4.1グラムから3.1グラムに、「ミートソーススパゲティ」は4.4グラムから3.6グラムに。実は、さまざまな定番商品の塩分量が減少しています。 普段の食事から健康意識を 3人に1人は高血圧とも言われる日本。日本人は1日10.1グラムも食塩を摂取していると言われており、WHO(世界保健機関)が推奨する食塩摂取量「1日5グラム未満」の約2倍にもなります。 「高血圧大国」と言える日本において、「減塩」の健康効果は大きいでしょう。しかし、自分でおいしい減塩食を作るのは、手間がかかります。 そこで、手軽に買えるコンビニの食品の塩分量が減っていたら、自然と減塩できて助かりますよね。 「毎日どれくらいの塩分を摂っているか知らない」という人もいるかもしれません。これを機に、コンビニで食事を買う際には栄養成分表示で「塩分相当量」をチェックしてみてはどうでしょうか。
2022/03/15
「減塩」という言葉について、どんなイメージを持っているでしょうか。 「健康的」というプラスのイメージを持っている人もいれば、「味が薄そう」「値段が高い」などのマイナスイメージを持っている人もいるかもしれません。 また、高齢者に多い高血圧の改善には、塩分を控えることは重要。しかし、コンビニやスーパーの惣菜で済ませていると、どうしても塩分の摂取量が増えてしまいがちですよね。 そこで、厚生労働省は食品メーカーなどと協力して減塩食品を広める「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」を設立しました。 このイニシアチブでは、栄養に関する健康問題を解決するために広く消費者に情報発信などをしていくそうです。 国・研究機関・企業が減塩に取り組む 厚生省は今月9日、産官学で栄養による健康問題の解決に取り組む「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」を設立しました。 このイニシアチブは、「食塩の過剰摂取」「若年女性のやせ」「栄養格差」などの栄養問題を解決するために、各社の商品開発を後押ししたり、消費者への情報発信などを進めていくそうです。 特に「食塩の過剰摂取」は全世代が生涯にわたって取り組む課題と位置づけて、優先的に対応していくべき問題としています。 ちなみに、日本人の食塩摂取量は1日10.1グラム。WHO(世界保健機関)が推奨する1日5グラム未満の約2倍の量です。 そういった原因もあり、成人男性の30%、女性の25%が高血圧という調査結果も。高血圧は脳卒中や心臓病の原因ともなるため、一刻も早く塩分摂取量を減らすことが求められています。 しかし、生活習慣を変えるには個人の努力では限界があります。そこで、設立されたのがこのイニシアチブです。 このイニシアチブで国や研究機関、メーカーやメディアなどの企業が手を組むことによって、「誰もが自然に健康になれる食環境づくり」を目指すそうです。 例えば、消費者が無理なく塩分の摂取量を減らせるように企業が美味しい商品を開発したり、消費者が適切な栄養知識を手に入れられるようにメディアが情報発信をするなど、「無理なく減塩」ができる環境を目指します。 美味しく自然と減塩できる社会に 塩分量を気にした方が良いと思いつつも、しょっぱいものの方が美味しく感じられて味付けが濃いものを選んでしまうことってありますよね。 でも減塩商品が美味しければ、自然とそちらを選ぶのではないでしょうか。 自分で意識して塩分を控えるのはもちろん大切ですが、減塩商品が当たり前になって健康になれるような商品が増えていくことに期待ですね。
2022/03/14
コロナ禍で外出する時間が減ると、どうしてもテレビや動画を見て座りっぱなしの時間が増えてしまいますよね。 しかしそれによって、血栓ができるリスクが高くなるのが怖いポイント。欧州心臓病学会によると、1日4時間以上視聴していると血栓症のリスクが35%も上昇するそうです。 もし血栓ができて、脳や心臓の血管が詰まると「脳梗塞」や「心筋梗塞」を起こしてしまうこともあるので、注意したいところですね。 テレビを長時間見ると、血栓ができやすい⁉ 欧州心臓病学会は、「長時間座ったままでいることは血栓のリスクが高まる」という研究結果を発表しました。 この研究は、すでに終わっている3つの調査結果を分析したもので、40歳以上の男女約13万1400人が対象。テレビの視聴時間をアンケートを取り、1日4時間以上のグループと1日2.5時間未満のグループに分けて分析しています。 この研究では、血栓ができて病気を発症する指標として「静脈血栓塞栓症」の発症率を調査しています。 この静脈血栓塞栓症とは、「深部静脈血栓症」「肺血栓塞栓症」をまとめた呼び方です。 深部静脈血栓症は手足に血栓ができる病気で、むくみなどを引き起こします。そして肺血栓塞栓症とは、深部静脈血栓症でできた血栓が肺の動脈を詰まらせ、肺塞栓症を発症します。 ちなみに静脈血栓塞栓症は、主に長時間座り続けることで足に血栓ができて発症するそうです。 この研究の結果、テレビを1日4時間以上見ている人は、2.5時間未満の視聴時間の人と比べて血栓ができるリスクが35%も高くなったそうです。 さらに、研究グループは「テレビを長時間見る習慣のある人は、高カロリーのスナックやファストフードを好んで食べる傾向がある」と指摘。こういった食べ物は肥満や糖尿病、高血圧を引き起こす原因になるので、さらに血栓ができるリスクを上げるそうです。 加えて、今回の結果を受けて「テレビやパソコンを長時間にわたって使うときは、30分ごとに立ち上がって、ストレッチやエアロバイクなどで身体を動かすべき」とアドバイスしています。 「座りっぱなし」が不健康に 確かに「長時間座りっぱなしでいると健康に悪い」とはよく聞きますが、だからといって30分ごとに運動するのは難しいですよね。 テレビであれば研究グループの言う通り、エアロバイクをこぎながらでも見られますが、デスクワークで座る時間が長い人はまず実現できないでしょう。 そのため、思い出したときに立ち上がって伸びをしたり、オフィスを一回りしてみたりする方が実行しやすいかもしれません。 今までよりはちょっと意識して、「座りっぱなし」の時間を減らしたいですね。
2022/03/09
生活習慣がその発症に大きく影響する高血圧。日本人の3人に1人は高血圧患者と言われています。 2017年時点では、2450万人が治療をしていることがわかっており、高齢化でさらに患者数や医療費が増えると予想されています。 そこで、さまざまな生活習慣病の治療アプリを開発しているCureApp社が、高血圧の治療アプリを開発。今回、東京都の支援事業でおこなわれた検証の結果、参加者の生活習慣と血圧が改善されたそうです。 アプリの力で高血圧を改善 東京都は、都民の健康問題をテクノロジーで解決するために、「次世代ウェルネスソリューションの構築支援事業」を推進しています。 そのプロジェクトに採用されたのが、CureApp社の高血圧重症化予防アプリです。 このアプリには、オンライン面談による定期的なカウンセリングや高血圧予防の動画コンテンツの配信、スマートフォンと連動した血圧計による自動計測などの機能があります。 これらの機能を活用して、今回の実証実験では対象者の生活習慣記録から最適化された食事、運動などの知識をアプリやオンライン面談を通して提供。対象者の生活習慣や意識の改善を促しました。 これまでの高血圧治療でも生活習慣の改善指導がおこなわれてきましたが、患者の価値観や環境によって左右されるため、継続的な支援が難しいという課題があったそうです。 そこで、スマホで情報提供をおこなうことで、患者がいつでも手軽に生活習慣の改善につながる情報を手に入れられる環境を整備。その結果、対象者全員の生活習慣の改善が確認されたそうです。 生活習慣病の根本的治療につながる? CureApp社は、高血圧以外にもアルコール依存症や慢性心不全などの生活習慣が関連する病気の治療アプリも開発。患者本人だけでは改善が難しい生活習慣をテクノロジーの力でサポートしている企業です。 高血圧に限らず、一般的に生活習慣病は重症化すると薬による治療が始まります。しかし、生活習慣が原因になっていることが多いので、それだけでは根本的な治療とは言えません。 そういった問題を、アプリの力で解決できるのは驚きですよね。薬を使わずに治療ができれば、患者の身体的な負担軽減にもつながるので、治療する本人にとってもうれしい治療法ではないでしょうか。
2022/03/02
在宅医療に関するヘルスケアサービスを提供しているUMed社が、オンライン受診を支援するアプリ「UMed Healthcare(ユーメッドヘルスケア)」の配信を開始します。 定期的な通院が必要な糖尿病・高血圧症・脂質異常症の患者が、保険適用の診療を自宅にいながら受けられるサービスだそうです。 時間短縮・感染対策ができる 糖尿病や高血圧、脂質異常症の人の多くは、定期的な通院で治療をおこなっています。しかし通院のほとんどは診察のみで、薬の処方箋をもらうために通っている人も多いのではないでしょうか。 そこでUMed社が提供するのは、オンライン診療アプリの「UMed Healthcare」です。 これはスマホなどを使ったオンライン診療のため、移動時間や待ち時間はありません。そして自宅で受診できるので、感染予防にもなります。 また検査が必要なときには、看護師が訪問して採血や尿検査をしてくれるそう。診察だけでなく検査も受けられるようになっています。 このオンライン診療の予約は、24時間いつでもアプリ上でおこなえるとのこと。診察開始の直前まで変更できるそうなので、急な用事が入ったときも対応できます。 加えて、支払いもアプリに登録したクレジットカードで支払うため、自動で引き落としされます。 薬もオンラインで服薬指導を受けることで自宅に配送。最短で診療の翌日、もしくは翌々日に到着するそうです。 そして、気になる費用は保険適用。検査をする場合はシステム料がかかりますが、リーズナブルな価格に抑えているそうです。 「薬さえもらえれば」患者の声に注目 糖尿病・高血圧・脂質異常症の持病がある人の中には、薬をもらうために通院している人も多いはず。そうなると移動時間や病院の待ち時間もあって「薬だけもらえれば良いのに…」と思うこともあるかもしれません。 このアプリではオンラインで診療を受けられるので、移動時間も待ち時間もありません。また、外に出なくてもいいので、感染リスクを避けることにもつながりますよね。 ただ、提供エリアが限られているのが難点。現在、渋谷区・新宿区・中野区・杉並区・世田谷区で提供しているそうなので、エリア外の人はサービスを利用できません。 また、このサービスと提携している医療機関も限られているため、かかりつけ医を変更する必要があるかもしれません。かかりつけ医を変えることに抵抗がある人には、利用しにくいサービスと言えます。 とはいえ、忙しい人や感染リスクを減らしたい人には使いやすいサービスと言えます。今後、こういったオンライン診療サービスが一般的になっていくと良いですね。
2022/02/17
高齢化が進んでいることで、高齢者の心不全が増えてきています。 疲れやすさや息切れ、むくみなどの症状が出ることが多く、それらが生活に影響を及ぼすこともあります。 ある製薬会社が心不全患者を対象に、心不全発症前後の生活についてアンケートを実施しました。 それによると、多くの人が運動をしなくなったり仕事を変えたりなど、以前と生活を変える必要があったとのことです。 心不全患者の生活満足度が低下 製薬会社のベーリンガーインゲルハイムとイーライリリーの2社は、慢性心不全の患者やその家族にアンケート調査をおこないました。 まず「慢性心不全と診断されてから起きたこと、対応したこと」という質問には、「スポーツをしなくなった(36%)」「会社を退職した・仕事を辞めた(23%)」という回答が上位になりました。 また、慢性心不全を発症する以前の生活と現在の生活満足度を比較したところ、92%が満足度の低下を感じている結果に。発症以前を100点とした場合の現在の生活満足度の平均は65.9点となり、患者のQOL(生活の質)が低下していることがわかります。 これらの結果から、身体的なつらさや負担によって生活が変わり、以前と同じように暮らせないことにストレスを感じていることがわかります。 さらに患者の家族に対して「患者のサポートをするようになってから自身に起きたこと、対応したこと」を質問。「旅行をしなくなった(32%)」「友人との付き合いを減らした・減った(31%)」という回答が上位になりました。 つまり、患者だけでなく家族も慢性心不全によって生活を変える必要が出てくるということのようです。 生活習慣病が心不全を引き起こす 慢性心不全は、さまざまな生活習慣病が引き金となって起こる病気です。例えば、糖尿病や高血圧、脂質異常症などがそれにあたります。 そのため、他の持病の治療をしながら、そのうえ心不全の息苦しさやだるさと戦う必要が出てくるかもしれません。 そうならないようにするには、心不全の早期発見と治療が大切。すでに生活習慣病を持っている人は、心不全のリスクを念頭に置いて、持病をしっかり治療していくことが心不全の予防となりそうです。
2022/02/10
認知症とその他のさまざまな病気との関係が、世界中で研究されています。 その中でもイギリスでは、複数の慢性疾患を持っている人の認知症の発症率についての研究がおこなわれました。 それによると、中年期に複数の慢性疾患を発症している人は、高齢期に認知症になるリスクが上昇するとのことです。 中年期の慢性疾患が認知症を招く? イギリスで1万人以上を対象とした、大規模な研究がおこなわれました。その内容は、中年期に複数の慢性疾患を持つ人の認知症の発症率です。 この研究は、ロンドンに勤務している35~55歳の公務員の約1万人が対象。定期的に検査をおこない、複数の慢性疾患の有無や認知症の発症の有無などを追跡調査しています。 対象となる慢性疾患は、脳卒中、心不全、糖尿病、高血圧、がん、肝疾患、うつ病、パーキンソン病などの13種類。そのうちの2種類以上の病気を持っている場合は、多疾患罹患(複数の慢性疾患を発症していること)と診断されます。 今回の研究では、「多疾患罹患と認知症発症率に関連があるのか」「多疾患罹患になった年代によって、認知症発症率が変わるのか」が調査されました。 その結果、「55歳の時に多疾患罹患の人は、そうでない人よりも2.44倍も認知症リスクが高い」ということがわかりました。 さらに、多疾患罹患になったのが65歳より前の場合は、1.51倍であるのに対して、多疾患罹患になったのが55歳より若い場合は、認知症発症率が2.46倍という結果に。ここから、複数の慢性疾患を併発した年齢が若いほど、認知症リスクが高いということがわかります。 そして、3つ以上の慢性疾患を併発している「重度の多疾患罹患」の場合、年齢が若くなるにつれて認知症リスクが高くなったそうです。 重度の多疾患罹患になったのが55歳の人は、そうでない人よりも認知症リスクが4.96倍。一方で70歳の場合は、1.65倍という結果でした。 今回の結果を受けて「多疾患罹患の年齢が若年化しているため、1つの慢性疾患を持つ患者が、別の慢性疾患の発症を防ぐことが重要」と、研究チームはコメントしています。 認知症予防のためにも生活習慣を見直す 認知症というと、私たちは高齢になってから予防に取り組もうと思ってしまいがち。しかし今回の結果を見ると、50代に差しかかったら認知症予防を意識するタイミングなのかもしれません。 認知症に限らず、糖尿病などの慢性疾患にもなりたい人はいないと思いますが、認知症と生活習慣病の予防も兼ねて今から生活習慣を見直していきたいですね。
2022/02/10
糖尿病のリスクを上げる要因のひとつである肥満。これについて、インスリンペンなどの糖尿病治療薬を販売しているノボ ノルディスクファーマ社が、BMI25以上の人に対して意識調査をおこないました。 その結果、ダイエットの経験がある人が大半だった一方で、肥満について医師に相談した人は5%程度という結果に。多くの人が肥満が糖尿病などの病気を引き起こすことに、危機感を抱いていないことがわかりました。 ”肥満症”は慢性疾患⁉ ノボ ノルディスクファーマ社は、糖尿病の発症と深くかかわる肥満についての意識調査を全国9400人におこないました。 調査では主に、以下のことがわかりました。 「肥満」と「肥満症」の違いを理解している人は29.2%。 ダイエットの経験がある人は84.9%。 減量のために医師に相談した人は5.4%。 ちなみに、肥満と肥満症の違いは次のようなものです。 肥満:BMI25以上。その度合いによって、「肥満 (1度)」から「肥満 (4度)」の4段階に分類される。 肥満症:BMI25以上で肥満に関連した健康障害を持っており、医学的に減量が必要な状態。もしくは、BMI25以上で、腹部CTにより測定した内臓脂肪面積が100平方センチメートルある状態のこと。 また、ダイエットをしたことがある人がおこなった減量法で一番多かったのは、「間食やおやつを控える(51.5%)」。「食事制限(45.6%)」といった内容が続き、食事に関するものが上位という結果になりました。 一方のダイエットに失敗した理由について一番多かったのは、「ストレスが溜まった(41.5%)」。そして「面倒になった(41%)」などが続きます。 こうしたことから、まずは食事の変更から始めるものの、精神的につらくなって断念してしまう人が多いことがわかります。 また、今回の調査結果を受けて「糖尿病などを引き起こす慢性疾患として”肥満症”の概念や予防の啓発により注力したい」と、日本肥満学会がコメントしています。 ”ストレスをためない”のがダイエットの近道? 太っている外見については、気にしてダイエットすることがありますが、健康状態については「今は大きな病気もないからいいや」と思ってしまう人が多いのではないでしょうか。 今は健康に問題がなくても「気が付いたら、いろんな生活習慣病になっていた」となりかねないのが肥満です。 調査の結果でよくわかったように、ストレスで失敗してしまいがちなので、少しずつ減量していくのが着実な糖尿病予防なのかもしれませんね。
2022/02/10
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。