Q&A
母が認知症になって5年以上が経ち、以前よりも症状が悪化しているのを感じるようになりました。今でも介護が大変なのに、今後、もっと悪化して認知症の末期になったらどうなってしまうんでしょうか? (松崎さん・自営業・68歳) 認知症のご家族を在宅介護するのは本当に大変ですよね…。認知症の末期では、歩行能力などの運動機能が低下するため、トイレや入浴、食事などさまざまな場面で介助が必要になります。寝たきりになることもあります。また、免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなることも。感染症によって入院し、さらに心身の機能が低下することもあります。 認知症の末期になったらどんな症状が出る? 母が認知症と診断されてから5年以上が経ち、はじめより物忘れがひどくなったり、テレビや電子レンジなどの家電の使い方もわからなくなってしまいました。トイレや風呂などにも介助が必要で常に目が離せません。認知症の末期になると、もっと症状が悪くなるんですよね?今でも大変なのに末期になったらどうなってしまうんでしょうか? 認知症の方の介護は本当に大変ですよね…。認知症の症状は個人差がありますが、末期になると一般的に以下のような症状が出るとされています。 身体機能が低下する 食欲が低下する 失禁が増える 感染症が増える 身体機能が低下する 認知症の末期になると、身体機能の低下が起きることがあります。トイレや入浴、食事、着替えといった日常生活全般に介助が必要になるでしょう。また、歩行や体のバランスを取ることが難しくなって転倒し、骨折してしまうリスクも高いです。また、身体機能が低下して、寝たきりになってしまうケースも珍しくありません。 寝たきり!今もふらついたりすることがあるので付き添いが必要ですが、歩けなくなってしまうことがあるんですね…。 食欲が低下する 認知症末期になると、意欲の低下や認知機能の低下によって食欲が落ちることがあります。認知症の影響により、「食べる気が起きない」「そもそも食べ物であると認識できない」「食べ方がわからない」といった理由で食事量が減少してしまうんです。また、食べ物を噛んだり飲み込んだりする力である嚥下機能が低下することも。今まで食べられていたものが食べられなくなって食欲が低下してしまうんです。食欲低下が慢性的になると、栄養不足によってさらに身体機能が衰える原因にもなります。 失禁が増える 認知症末期には、失禁が増えることも。「トイレの場所がわからない」「衣服の脱ぎ方がわからない」「歩行が遅くなったことで間に合わない」などの理由からです。 今もたまに失禁します。母はたまにトイレの場所がわからなくなっている様子がありますね…。 感染症が増える 認知症が進行したことで食欲が落ちて体力が低下。それによって免疫力が低下して感染症が増える傾向があります。また、嚥下機能が低下することで誤嚥を起こしやすくなり、誤嚥性肺炎に感染することもありえます。感染症になって入院してしまうと、それが原因でさらに認知症が進行したり体力が低下するなど、全体的な状態が悪化しやすくなるのも注意が必要なポイントです。 認知症の人の寿命は? 北野 「認知症の人と家族の会」の調査によると、認知症の方の介護年数は平均7年。つまり、認知症の方は診断を受けてから平均7年で亡くなっているということです。 ただ、回答は1~31年とかなりバラつきがあります。認知症の進行にはかなり個人差があるため、平均年数は目安として考えておいてください。 参考:「認知症の人と家族の思いと介護状況および市民の認知症に関する意識の実態調査報告書」(公益社団法人認知症の人と家族の会) 認知症末期になる前の備え 認知症が末期になることというのは、最期のときが近づいていることでもあります。そのため、「あのとき、ああしてあげれば良かった」と後悔しないように、事前の備えが大切です。 適切な対応を知る 認知症末期となると、介護する側にとっても心身の負担が大きくなることが考えられます。そのため、事前に適切な対応を知っておきましょう。正しい知識がないためにあまり良くない対応をしてしまい、さらに状態が悪くなることもありえるからです。 良くない対応とはどんなものですか? 例えば、「強要する」「ひとりにする」などの対応です。具体的には、「食欲がないのに無理やり食べさせる」「家族の会話に入れずに仲間外れにする」といったことです。先ほどお話しした通り、認知症末期には食欲低下が起こりやすいです。食べたくない様子があるのに無理やり食べ物を口に入れたりすると食べる構えができていないため誤嚥をしやすく、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。ご家族としては、食事量が少ないとさらに体力が落ちてしまわないか心配になってしまうかもしれません。ですが、認知症末期の方が食欲が低下するのは自然なこと。食べられるときに食べたいものを食べてもらうようにしましょう。嚥下機能が落ちても食べやすいアイスクリームや、高栄養食品を摂ってもらうのも良いと思いますよ。 母の食欲が落ちてきていて心配で「もっと食べて」と言っていましたが、食べられるときに食べれば良いんですね。アイスクリームは昔から好きなので、今度出してみようと思います。 また、認知症末期には反応が薄くなったり会話ができなくなることが多いです。コミュニケーションが取れないからと言って家族の会話に入れずにひとりぼっちにしたり、最低限の声掛けしかしないのはNG。さらに孤独感が募り、気力の低下が進んでしまいます。なので、以前のような反応がなかったとしても笑顔で話しかけましょう。お母様と目線を合わせて話しかければ、反応はできなくても話しかけられていることはわかります。その日の出来事を話すなど、何でも良いので話しかけることが大切です。 介護サービス利用や老人ホーム入居を検討する 認知症末期や最期のときが近づいている状態は、介護の負担が大きいですし、何より衰弱していく様子を目にするのは精神的な負担が大きいでしょう。そのため、認知症末期の方の介護はご家族だけではなく、介護サービスを使ってプロに頼ることをおすすめします。 介護サービスなら、今はデイサービスを利用しています。 そうなんですね!でしたら、ケアマネジャーさんと相談しながらデイサービスの回数を増やしたり別のサービスも併用したりと、在宅介護サービスを調整していきましょう。ただ、在宅介護サービスを利用しても介護の負担が大きいと感じたら、老人ホームに入居することも検討してください。 そうなんですよね…。今も常に目が離せなくて大変なので、そろそろ自宅で介護するのは限界なのかなと感じていました。 そうだったんですね…。今後、お母様が認知症末期になると、寝たきりになって徐々に衰弱していくことが考えられます。そうなると、ご家族がそばを離れられなくなるでしょうし、いつ状態が変わるのか気が気でない日々が続くかもしれません。気を張り詰めている時間が長くなるのは、精神的な負担が大きいですよね。老人ホームであれば施設には常にスタッフさんがいますし、プロによる適切なケアを受けられます。最期のときが近づいている場合には、お母様に変化があれば逐一連絡してくれるので安心ですよ。後悔しないためにも、プロに任せるのもひとつの方法です。 なるほど…。私は仕事でずっと母に付き添っていられるわけではないので、老人ホームに入れるのも考えた方が良いかもしれないですね。 身体機能の低下、家族の顔がわからないなどの症状が出ることがある 強要したり、ひとりにしたり、慌てたりするのはNG! 認知症の人の寿命は平均7年だが、個人差がかなり大きい pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...
2024/06/28
レビー小体型認知症の父が、昼間に寝てばかりで気になっています。寝ていなくてもぼーっとしていることが増えましたし…。 声をかけて起こしてもまたすぐに寝てしまうのですが、起こさずに放っておいた方が良いのでしょうか? (植田さん・パート・60歳) できるだけ日中は起きて活動してもらうのが良いです。ただ、寝ているときに起こすだけではなく、どうしてお父様が日中に眠ってしまうのかの原因を知り、それに基づいて起きていられるように対策をとっていきましょう。例えば、レビー小体型認知症による抑うつ症状や睡眠障害が発生している可能性があります。そのせいで夜間に眠れなくなり、昼間に寝てしまっていることも考えられます。このような場合は、医師に相談して薬の変更・調整をしたり、生活リズムを整えて夜に眠りやすい環境を作りましょう。また、お父様が夜に起きているときに「早く寝て」というように寝ることを強制するような声掛けをしてしまうと、それがストレスで余計に眠れなくなることがあるので要注意です。 レビー小体型認知症だと寝てばかり?原因は? 同居しているレビー小体型認知症の父が、昼間に寝てばかりで気になっています。何度起こしてもまたすぐに寝てしまうので、最近は起こさずに放っておいていますが、その都度起こした方が良いのでしょうか? 日中は眠らずに活動するのが理想です。ですが、起こしてもすぐに寝てしまうのなら難しいですよね…。ただ、日中に寝てしまうと体内リズムが崩れて夜に眠れなくなることもあります。なので、どうしてお父様が日中に寝てしまうのか原因を見つけて対策をとっていくことが大切です。 父が昼間に寝てしまう原因ってどんなものが考えられるでしょうか? レビー小体型認知症の方が昼間に寝てしまう原因として、以下のようなものが考えられます。 抑うつ症状 睡眠障害 神経伝達物質の不足 抑うつ症状 抑うつ症状とは、気持ちが落ち込んだり不安感が強くなったりする状態のこと。認知症の影響でできないことが増えて、ご家族に迷惑をかけていると感じてストレスが強くかかると抑うつの状態になることがあります。抑うつ症状がある方は無気力になり、声をかけても反応が薄かったり表情が乏しくなることがあります。 あっ、それは父に当てはまるかもしれません。声をかけてもぼーっとしていて。返事はするんですが以前よりも反応が薄いというか…。 それは心配な状態ですね…。ちなみに、抑うつ症状があると疲労を感じやすくもなるため、体を回復させるために日中も寝てしまうことが考えられます。また、寝ることで一時的にストレスから離れられるので昼夜問わず寝てしまっていることもあります。 睡眠障害 レビー小体型認知症の特徴的な症状のひとつに「レム睡眠行動障害」というものがあり、それが夜間の眠りを妨げているために日中に眠くなってしまう可能性があります。レム睡眠行動障害というのは、眠りの浅いレム睡眠中に怖い夢やリアルな夢を見て、夢の中と同じ動きをしてしまうこと。恐怖のあまり大声を上げたり暴れるといった行動をしてしまうんです。 そういえば、以前、父が夜中に急に大声を上げたことがありました…。 それはびっくりしますよね。レム睡眠行動障害を起こすことで目覚めてしまい、質の良い睡眠が取れていない可能性も。寝不足のせいで昼間に寝てしまうことも考えられますね。 神経伝達物質の不調 レビー小体型認知症の影響で、神経伝達物質が減少することがわかっています。この神経伝達物質の不調によって情緒不安定になり、そのストレスを減らすために眠る時間が増える傾向があるのです。具体的には、リラックス効果のあるセロトニンや、ストレスに対抗するための準備をするノルアドレナリンという神経伝達物質が不足することで、抑うつ症状や情緒不安定になり、不安な気持ちから逃げるために寝てしまっている可能性があります。 レビー小体型認知症の人が寝てばかりのときの対策 父が寝てばかりの理由がなんとなくわかったかもしれません。でも、父が起きていてくれるような対策はあるのでしょうか? いくつかありますよ。次のような対策を試してみてください。 薬の調整をする 睡眠環境を整備する 生活リズムを整える コミュニケーションの方法を変える 薬の調整をする 神経伝達物質のバランスが崩れている場合、抗パーキンソン病薬や抗うつ薬、抗不安薬を使うことで睡眠状態が改善することがあります。抗パーキンソン病薬や抗うつ薬、抗不安薬といった薬は神経伝達物質のバランスを整える効果があり、情緒を安定させたり睡眠の質を向上させることが期待できます。 睡眠薬ではない薬でも、睡眠状態を改善することがあるんですね。 はい。薬での治療をおこなうかどうかは医師の判断になるので、まずはかかりつけ医に相談してみてくださいね。 生活リズムを整える 基本的なことですが、生活リズムを整えることも睡眠状態を改善する方法のひとつです。具体的には以下のことを意識してみましょう。 同じ時間に起床・就寝する 3食同じ時間に摂る 日中に活動をする 夜に眠れないのは、日中の過ごし方が原因である場合があります。そのため、毎日の起床・就寝時間、食事の時間を決めて規則正しい生活にすることで、夜の睡眠状態が改善することがあります。また、夜間に寝付けないのは日中の活動量が少ないからかもしれません。なので、散歩に出かけたり体操をしたり、趣味の時間をつくったり、家事を手伝ってもらったりなど、体を動かす時間を増やすと良いでしょう。 言われてみれば、父はテレビを見てばかりで体を動かすことはほとんどないですね。うーん、簡単な家事はやってもらった方が良いのかな。 デイサービスを利用するのも良いかもしれませんね。デイサービスなら毎回同じ時間での利用になるので、生活リズムを作りやすいですし、レクリエーションや体操で体を動かす機会もありますよ。 睡眠環境を整備する 睡眠状態を良くするには環境を整えるのも大切です。例えば、以下のようなことに気をつけてみましょう。 部屋を暗くする 騒音のない静かな部屋を選ぶ 寝具やマットレスを季節や体に合ったものにする カフェインやアルコールを控える なんだか、当たり前なことばかりですね。 そうなんです。当たり前のようなことなのですが、ご高齢者は夜に足元が暗いのが怖いからと電気を付けたまま寝ていたり、夜になると近所の騒音が聞こえたり…ということがあるんです。また、ご高齢になると暑さや寒さを感じにくくなります。気温に合っていない寝具を使っていることもあるので、そこも改めて確認しておいてくださいね。 コミュニケーションの方法を変える 「コミュニケーションの方法を変える」ってどういう意味ですか? レビー小体型認知症に限らず認知症を患う多くの人が、不安やストレスを感じやすい状態です。今までできていたことができなくなったり、認知機能の低下の影響で状況が把握できなくなったり…。私たちにとって何でもないことがストレスになることもあります。そのため、夜に眠れない様子があっても「早く寝て」と寝ていないことを責めることを言わない方が良いんです。 えっ、そうなんですか!夜中に起きることがあるので「早く寝てよ」といつも言ってしまっていました…。 気持ちはよくわかります。ただ、「早く寝て」と寝ることを強制されると、「寝ないといけない」と思って余計に眠れなくなることもあります。なので、「どうしたの?」と眠れない理由を聞いてみたり、「眠れなくても布団に入ると体が休まるよ」といった声掛けがおすすめです。不安感をあおらないような声掛けが大切なんです。 なるほど…。普段のコミュニケーションの方法も睡眠に関係してくるんですね。気をつけるようにしないといけませんね。 レビー小体型認知症の場合、抑うつ症状や睡眠障害によって寝てばかりになることがある 寝室の環境を整えたり、生活リズムを整えることで睡眠状況を改善しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
2024/06/19
認知症の義父を自宅で介護しているのですが、この数ヵ月、着替えを手伝うときに私の体を触ってきたり下着を脱いで下半身を見せようとしてくるんです。毎日のようにセクハラされるので、義父の介護が嫌で嫌でたまりません。 夫に相談して夫から義父に強く言ってもらったのですが効果はありません。認知症の義父は体は元気ですが認知症がひどく、どんなことにも介助が必要。介護する間はまたセクハラされるんじゃないかと気を張っているので、とても疲れます。 「認知症だからしょうがない」と割り切りたくても割り切れません。どうしたら良いのでしょうか? (田中さん・パート・60歳) それはお辛い状況ですね…。認知症の方によるセクハラは、不安やストレスを感じていたり、記憶障害の影響で気持ちが若い頃に巻き戻っていることが原因と考えられます。いずれにしても認知症の影響で孤独感を持っていることが根本にあることが多いので、セクハラされたら「私はお義母さんではないですよ」と軽く流して、話を変えるのが良いかもしれません。お義父様の好きなテレビ番組や趣味の話をすると、そちらに興味を持って性的関心が薄れるかもしれませんよ。「止めてください」と拒否をしたり嫌がると逆効果になることもあります。認知症の方は不安感を強く持っていることがほとんどなので、言動を否定せずに流すのが大切。セクハラは受けた方の精神的なダメージが大きいですから流すのは大変かもしれませんが、「不安を感じているんだな」とお義父様の気持ちを想像してできるだけ冷静に対応をしてくださいね。 認知症の親が性的な行動をする理由 認知症の義父がセクハラをしてくるので介護が嫌でたまりません!義父はひどい認知症なので、着替えやトイレなど身の回りのことほとんどを私が介助しています。そのときに私の体を触ったり下着を脱いで下半身を見せようとしてきたりと性的な行為をしてくるのが嫌なんです。「認知症だからしょうがない」と思えれば良いのですが、どうしても割り切れずに義父への嫌悪感が募ってしまって。認知症になっても最近までは穏やかで落ち着いている人だったのに、どうしてこんな風になってしまったんでしょうか? ご家族にセクハラをされるのは、精神的にきついですよね…。認知症の方は、症状の進行によってときに社会の規範から外れた行為をすることがあります。特に性的行動は以下のような理由で症状として現れることがあります。 不安やストレスを抱えている 記憶が若いころに戻っている 不安やストレスを抱えている 認知症の方は、常に不安感を抱えていると言われています。認知症によって理解力や判断力が低下して状況を把握できなくなったり、認知症によって自分の役割がなくなって孤独を感じることで不安になっているのです。そのため、人とのつながりやスキンシップによって安心感を得ようとすることがあります。その行為のひとつが性的行動なのです。性的行動をして相手に受け入れてもらいたい、という気持ちがあるのかもしれません。行動自体は社会のルールから外れたことですが、「誰にも受け入れてもらえない」という不安感があることは理解してくださいね。 確かに、認知症になる前よりも義父との会話が減った気がします。それが原因で孤独を感じていたのかな…。 記憶が若い頃に戻っている 認知症の方は記憶障害の影響で、精神的に若い頃に戻っていることがあります。認知症になると新しい記憶から忘れてしまうので、直近数十年分の記憶がないことも珍しくありません。実年齢は80代でも記憶が40代で止まっていて「自分はまだまだ若い」と思い込んでいることもあります。40代というとまだまだ性欲が旺盛な年代。もしかしたら、身近でお世話してくれる女性である田中さんにアプローチしているのかも。また、認知症の影響で田中さんを自分の奥さんと勘違いしていることも考えられますね。 えぇっ!?お義母さんと?そんなことがあるんですね。 ちなみに、今のご高齢者は女性に対して性的な言動をするのが当たり前だった時代を生きてきた方も多いです。そのため、セクハラという意識がない可能性も念頭に入れておくと良いでしょう。 認知症の親が性的な行動をするときの対策 義父がセクハラをする理由に思い当たることがありました…。でも、だからといって気持ちを切り替えて介護できるものでもありません。 そうですよね。なので、田中さんの精神的な負担を軽くできるよう、お義父様が性的行動をしたときの対応をいくつかお伝えします。対応方法は以下のようなものがあります。 話題を変える その場を離れる 老人ホームに入居する 話題を変える 認知症の方からセクハラを受けたときは、話題を変えてみましょう。お義父様の趣味や好きなテレビ番組など、興味を持ちそうな話をするんです。そうして性的な関心をそらせるのがおすすめです。あとは、お義父様の昔の思い出や楽しかったことなどを聞いてみると、懐かしい気持ちで性的な気持ちが薄らぐこともあるでしょう。田中さんの旦那さんの子供のころの話や、お義母様の話を聞いてみるのも良いかもしれません。共通の話題なので、田中さんも聞きやすいんじゃないでしょうか。 家族の昔の話なら話題として振りやすいですね。 その場を離れる 性的行動によって田中さんの不快感が収まらないときやお義父様が性的な行為を止めないときは、その場を離れるのもひとつの手。時間を置くことで、お義父様が性的関心を忘れてしまうこともありえますし、何より田中さんの気持ちを落ち着ける時間を稼げます。ときには、旦那さんに介護を代わってもらったり介護サービスを活用したりして、介護から離れる時間を作るのも大切です。 しかる、嫌がると逆効果になることも 北野 認知症の方が性的行動をしてしまったとき、ご家族がしかったり嫌がったりすることがあると思います。気持ちは大変よくわかるのですが、これが逆効果になる可能性もあります。 なぜなら、不安感や孤独感を和らげるためにセクハラをしている場合、自分の行動が否定されるとさらに不安感や孤独感が増してしまうことがあるため。そのため、しかったり嫌がることを繰り返すと、セクハラがエスカレートするだけでなく、ほかの認知症の症状が進行する可能性も考えられます。 老人ホームに入居する 田中さんがセクハラから開放されるために、お義父様が老人ホームに入居することもひとつの方法です。 セクハラだけで老人ホームに入れるんですか?確かに介護をするのは嫌ですが、義父はまだ自分で歩いたりできていますし…。 老人ホームというと、歩けなくなったり寝たきりになったタイミングで入居するもの、というイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。ですが、それだけでなく介護をする人とされる人の関係が上手くいかなかったり、介護する人の負担が大きくて在宅介護が続けられないときに入居される方も少なくありません。ただ、お義父様がほかのご入居者や職員さんにセクハラをする場合は、入居を断られてしまうこともあります。そこはお義父様の状態と施設の受入状況の兼ね合いなので、まずは施設に相談してみましょう。 今のところ、セクハラを受けるのは私だけなのですが、入居後のことはわからないですもんね。これまで私が我慢すれば良いから、と思っていたのですが、夫にも老人ホームのことを相談してみようと思います。 認知症の親がセクハラをするのは不安感や記憶が若い頃に戻っていることが原因かも セクハラが嫌なときは、話題を変えたりその場を離れたり誰かと共有しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...
2024/05/28
実家で一人暮らしをしている父は、10年以上前から糖尿病のためインスリン注射をしています。ですが、先日、帰省したところインスリン注射をしていないことがわかりました。 そのうえ、自己注射の方法もわからなくなったようで、注射器を渡しても自己注射ができません。 私が同居していれば代わりにインスリン注射を打つこともできるのですが、かなり遠方に住んでいるのでそれも難しいです。どうしたら良いでしょうか? (神田さん・パート・61歳) インスリンの自己注射をできなくなった際の解決策としては、大きく分けて2つあります。ひとつは在宅介護で訪問看護サービスを利用して看護師に注射をしてもらう方法。もうひとつは老人ホームに入居して、施設の看護師に対応してもらう方法です。在宅介護を続ける場合、懸念となるのが食事の管理です。糖尿病の方は食事の制限があることが多いですが、一人暮らしで制限に合わせた食事を準備するのは大変かもしれません。老人ホームであれば、糖尿病の方向けの制限食に対応できる施設も多いですし、レクリエーションなどで体を動かす機会も多くなって規則正しい生活ができると思います。ただ、お父様は認知症を発症している可能性もあります。もし、思い当たることがあるのであれば、病院にて認知症検査を受けていただくことをおすすめします。 高齢の親がインスリン自己注射ができなくなったときの対応 実家で一人暮らしをしている父親は、糖尿病のため10年以上前からインスリン注射を打っています。が、しばらく注射を打っていないことがつい先日わかりました。そのため、注射を打たせようとしたのですが、注射器の使い方がわからなくなってしまったようで、自分で打とうとしません。同居していれば父の代わりに注射することもできるのですが、私はかなり遠方に住んでいるのでそれは難しいです。どうやらしばらく通院もしていない様子もありますし…。何か対策はないでしょうか? それは心配ですね…。お父様のインスリン注射を続けるには、大きく分けて2つ方法があります。それは「在宅介護サービスを使う」「老人ホームに入る」です。それぞれについて、詳しくお話ししていきますね。 在宅介護サービスを使う ご自宅での生活を続けたいとお父様が考えているなら、在宅介護サービスを利用するのが良いでしょう。在宅介護サービスの中でも、訪問介護を利用するのがおすすめです。 訪問介護とは何ですか? 訪問看護とは、ご自宅に看護師が訪問して医療ケアをおこなってくれるサービス。インスリン注射を打ってくれるのはもちろん、そのほかの薬や健康状態の管理もしてくれます。自己注射を続けたいのであれば、再度、自分で打てるように指導してくれたり、所定のタイミングに必要な単位数を打てているかのチェックもしてもらえます。 そんなに手厚くサポートしてくれるんですね!たぶん、父は自宅で過ごしたいと言うだろうし、訪問看護を使ってみるのは良いかもしれないなぁ。 糖尿病の方は食事制限がある場合も多いです。ご自分で制限に合わせた食事を準備できない場合は、糖尿病対応の配食サービスもありますので、そちらも利用してみると良いと思いますよ。ただ、配食サービスでは細かいカロリーや塩分量、糖質量などには対応していないことも多いです。そのうえ、ご自分でお菓子などを買って食べてしまうリスクもあります。どうしてもご自宅の生活では管理しきれない可能性があることは念頭に入れておいてください。 老人ホームに入る インスリン注射や健康管理のために老人ホームに入るのもひとつの方法です。老人ホームでは看護師が常駐していたり、訪問看護を利用できるのでインスリン注射を打ってもらえますよ。ただ、注意したいのは看護師が対応可能な時間帯。日中だけ看護師が常駐している施設の場合、看護師が対応できる時間は朝9時~夕方6時が多いため、その時間外だと対応してもらえないでしょう。もし、朝食前や夕食後にインスリン注射が必要な場合は、24時間看護師が常駐している施設に入るか、医師に相談して看護師が対応できる時間で収まるようにインスリン注射を調整してもらう必要があります。 老人ホームっていつでも看護師さんがいるわけじゃないんですね。父の場合は、毎食前にインスリン注射が必要だったと思うのでよく考えないといけないですね。 ちなみに、老人ホームに入居する場合、糖尿病の制限食に対応している施設であれば食事の管理は施設に任せられるのがメリットですね。なかには細かいカロリーや塩分量、糖質量の調整に対応している施設もありますよ。それに、老人ホームではご自分でお菓子を買って食べるのはまずできませんから、そういった意味でも食事についての心配が少なくなるでしょう。 それは助かります!父は、食事制限があるのにいつも菓子パンやお弁当を買って食べていて…。何度も注意したのですが、自分で食事の管理ができなくて。もう80歳を超えたし、老人ホームに入れるのも良いのかもしれません。 インスリン自己注射ができないのは認知症のせいかも…。 お父様の状態を聞いて、認知症を発症しているのかも、と思ったのですが…。神田さんは思い当たることはありますか? 認知症ですか!?全然そんなこと考えていませんでした。確かに、前は使えていたインスリンの注射器の使い方がわからなくなったりもありますが…。あ、そういえば、何度も同じ質問をされたり、日付がわからなくなっている様子はありました。でも、父はもう86歳ですし、年齢を考えればしょうがないことだと思っていたのですが…。 おっしゃる通り、年相応の認知機能の低下という可能性もあります。ですが、糖尿病の方は認知機能が低下しやすく、認知症を発症しやすいと言われています。薬などによって血糖値がコントロールできておらず、高血糖状態が続いていると認知機能が低下しやすいんです。 そうなんですか!?知りませんでした…。父は認知症になってしまったんでしょうか? 認知症の検査を受けてみないとはっきりとはわかりません。ですが、以下に思い当たることがあれば認知症の可能性があるので、病院で認知症検査を受けてみることをおすすめします。 少し前の出来事をすぐに忘れてしまう 同じことを何度も聞いたり話したりする 今日の日付が言えなくなったり、今の季節がわからなくなる 役所の手続きやATMでのお金の出し入れができなくなる 道具や家電の使い方がわからなくなる イライラしたり怒りっぽくなる 「同じことを何度も聞いたり話したりする」「道具や家電の使い方がわからなくなる」というのが当てはまっています。もしかしたら、認知症になってしまったのかも…。 認知症は早期の治療が大切です。まずは糖尿病の治療と合わせてかかりつけ医に相談してみてくださいね。 インスリン・認知症の対応できる老人ホーム・介護施設を探す インスリン注射は在宅介護サービスを使うか老人ホームに入れば解決 インスリン自己注射ができなくなったのは、認知症の可能性も… pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...
2024/04/24
同居している認知症の父が立てる音に悩まされています…。 父はほとんどの時間、リビングにいるのですが、机をバンバンと叩いたり指でコツコツと音を立てるんです。止めるように言っても聞かないですし、ほかの部屋にいても音が聞こえるので気が休まりません。 どうして父は机を叩き続けるんでしょうか?止めさせる方法も教えてください。 (齋藤さん・65歳) もしかしたら、何か伝えたいことがあるのに上手く伝えられないことでお父様がストレスを感じている可能性があります。認知症になると言葉が上手く出てこなくなったり、自分の状態が理解できなくなったりして、伝えたいことを伝えられなくなることがあります。対策としては、お父様のストレスの原因を突き止めて改善すること。コミュニケーションの機会を増やすことで原因がわかり、机を叩く頻度が減る可能性もありますよ。また、クッションを置いたりすることで音が軽減できるでしょう。音の問題は、ご家族にとって大きなストレスになりますよね。なので、耐えきれないと感じたときは在宅介護サービスを利用したり老人ホームに入居するなどして、物理的に距離を取るのもひとつの方法です。 認知症の人が音を立てる原因は? 認知症の父と同居しています。最近、机をバンバン叩いたり指でコツコツと音を立てたりするようになって、止めるように言っても言うことを聞きません。それにわざとかはわかりませんが、扉を勢いよく閉めるので父が部屋を出入りする度に大きな音を出すのも精神的に落ち着きません。そんな状況なので、家にいても気が休まらなくてイライラしっぱなしで…。父が音を立てるのを止めさせる方法はありませんか? お父様が音を立てるのを防ぐには、まずは音を出してしまう原因を考えてみることが大切です。どういった音を立てるのかによって原因が異なるので、まずは具体的な騒音とその原因についてお話ししましょう。 足音などの生活音 「音を立てる」と言っても音にはいくつか種類があります。まず、生活音について考えてみましょう。生活音というと、次のようなものです。 テレビの音 ドアを閉める音 足音 こうした生活音が大きくなってしまう原因は、耳が遠くなったことで周囲への配慮ができなくなったことだと考えられます。特に、耳が遠くなったご高齢者の多くがテレビの音が大きくなる傾向があります。耳が遠くなると音が大きくなっても気づきにくいですから、自然と生活音が大きくなってしまうんです。 確かに、父は耳が遠くなってきたような気がします。テレビの音も大きいし、ドアを開け閉めする音も気が付かなくなったのかな… 大声などの意図的な音 認知症の人が意図的に出す音に悩まされるケースは少なくありません。意図的に出す音とは次のようなものです。 机などの物を叩く 大声 ひとりごと 大声やひとりごとは今のところありませんが、机を叩くのは本当に止めてほしいですね。 意図的な音の原因としては、さびしさやストレスである可能性があります。 さびしさやストレスですか?父がそんなことを感じているように思えないのですが…。 認知症の影響で上手く会話ができなくなると、ご家族や周囲の人とコミュニケーションを取る機会がぐっと減りやすいです。特に言葉が出てこなくなると、同じ家にいるのに会話をしないという状況も増えてくるかもしれません。そうした状況にさびしさを感じて、机を叩いたりしてご家族の気を引こうとしている可能性があります。 北野室長が言う通り、父は認知症が進んであまり会話ができない状況です。言われてみれば、私も父が何を考えているのかわからなくなってコミュニケーションを取るのを避けていたかもしれません…。 会話ができなくなると、コミュニケーションが難しくなりますよね…。お父様は認知症の影響で言葉が出なくなっているかもしれません。加えて、認知症によって自分がどんなことを感じているのかがわからなくなることもあるので、さらに自分の思いを伝えられなくなる傾向があります。そうした、上手く伝えられないストレスから机を叩いている可能性もありますね。 認知症の人が立てる音の対策は? 父が音を立てる理由がわかった気がします。でも、どうしたら父の騒音を止めさせられるんでしょうか? それぞれの音の原因がわかったので、それに対応する策をとっていきましょう! 足音などの生活音への対策 例えば、テレビの音が大きい場合は、集音器や補聴器を身に着けたり、テレビ用スピーカーを使って周囲に音が漏れないようにしましょう。ドアを閉める音が大きいときは、ドアのふちにクッションをつけるのがおすすめ。テープ式でドアのふちに貼り付けるものや、ゴムでできた小さなクッションシールタイプもあります。クッションを貼るだけでもだいぶ音が小さくなると思いますよ。足音対策には防音マットが良いでしょう。今使っている絨毯やカーペットの下に敷くタイプのものや、防音マット自体が絨毯として使える物もあります。 ドアのクッションは良いですね。そんな便利なものがあるとは知りませんでした!さっそく購入してみます。 大声などの意図的な音への対策 机を叩くなど、認知症の人が意図的に出す音に関してはクッションをつけたりして防音対策するだけでは難しい部分があります。というのも、意図的な音は認知症の症状から来るものなので、その原因を解決する必要があるためです。 原因というと、さびしさやストレスということですよね? おっしゃる通りです。具体的な対策としては、コミュニケーションの機会を増やすこと。認知症の影響で言葉が出にくい状況であっても、お父様の反応をよく見て双方向のコミュニケーションを心がけましょう。すぐに上手くコミュニケーションが取れるようにならないかもしれませんが、徐々にお父様が感じていることや伝えたいことがわかるようになってくるはずです。「自分の話を聞いてくれている」とお父様が感じるようになると、机を叩く頻度も減ってくると思いますよ。 耐えきれないときは物理的に離れよう 音の問題はご家族のストレスになりやすいので、もしお父様が出す音が耐えきれないと思ったときは、物理的に距離を取るのもひとつの方法です。 「物理的に距離を取る」とはどういうことですか? 例えば、在宅介護サービスを利用したり老人ホームに入ることです。具体的にお話ししていきますね。 在宅介護サービスを使う 在宅介護サービスとは、ご自宅で介護を受けているご高齢者が利用できる介護サービスです。さまざまな種類のサービスがありますが、物理的に距離を取る場合に活用できるのは以下の3種類です。 デイサービス ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 デイサービスとは、介護施設に通って入浴や食事、レクリエーションといったサービスを受けられるもの。デイサービスの利用時間が半日ほどあるので、その時間は介護から離れられます。また、ショートステイは介護施設に1日から宿泊できるサービス。宿泊している間は身の回りのことをすべて施設に任せられるので、ご家族のリフレッシュのためによく利用されるサービスです。 家族のリフレッシュのためのサービスがあるんですね!ぜひ利用したいな…。 小規模多機能型居宅介護はデイサービスとショートステイ、訪問介護の3つのサービスを組み合わせたものです。1つの施設ですべてのサービスを提供しているので、「デイサービスの後にショートステイ」といった使い方もできます。音の問題から離れられるだけでなく、お父様の状態が変化した場合でも柔軟なサービス利用ができるのが魅力です。 老人ホームに入る 父が出す音がうるさいからって、それだけで老人ホームに入れるなんて気が引けるんですが…。介護する側がストレスを感じているだけで老人ホームに入れることって、あまりないですよね? 老人ホームに入る人の中には、ご家族のストレスや負担が大きくなったことがきっかけになったケースも珍しくありません。在宅介護はご家族の心身の負担が大きいです。在宅介護のストレスでご家族が体調をくずしてしまっては元も子もないですから、負担を軽くするために老人ホームに入居することはけして悪いことではありませんよ! そうなんですね…。老人ホームってよくわからないんですが、どんなものがあるんでしょうか? 老人ホームにはいろんな施設があります。例えば、以下のようなものがありますよ。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 有料老人ホームには、「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」があります。どちらも介助が必要な人を受け入れていますが、介護付き有料老人ホームには介護スタッフが24時間常駐しているので、こちらの方が介護が充実している施設です。サービス付き高齢者向け住宅は、基本的には元気な人が入居する施設。介護が必要な場合は外部の介護サービス事業者と契約をしてサービスを受ける必要があります。グループホームは、認知症の人限定の施設。お体が元気な認知症のご入居者が助け合いながら生活している場所です。掃除や料理などの家事もご入居者が協力しておこなっているのが特徴です。認知症ケアが充実しているので、お体が元気であれば認知症の人におすすめの施設です。 本当にいろんな施設があるんですね…。北野室長の言う通り、父が出す物音や介護にストレスが溜まっていました。そろそろ老人ホームに入れることも考えた方が良いのかもしれませんね。 認知症の人が立てる音は、生活音と意図的な音がある 生活音は耳が遠くなったこと、意図的な音はストレスが隠れていることも 認知症の人の音に耐えきれないときは介護サービスを使って物理的に離れよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...
2024/04/17
認知症の父がお風呂に入らなくなって困っています!父は実家で一人暮らしをしています。これまでは問題なく一人暮らしができていたのですが、この2~3ヵ月はお風呂にほとんど入らなくなって…。 ついこの間まではきちんと毎日入っていたのに、1~2週間に1度に減り、半月に1度に減り…。さらに、先日、帰省したときには2ヵ月近くお風呂に入っていないことがわかったんです。髪の毛はフケだらけだし、皮膚は乾燥して白くなっているし、ひどい状態。でも、いくら私がお風呂に入るように言っても入ろうとしません。 どうにか父が入浴してくれる方法はないでしょうか?また、どうして父は頑なにお風呂に入ろうとしないのでしょうか? (小原さん・会社員・53歳) 認知症の方が入浴しないのにはいくつか理由が考えられます。例えば、認知機能の低下によって入浴の必要性や入浴の仕方がわからなくなってしまった可能性もあります。ご家族としては、どうにかしてお父様を入浴させたいと思うでしょうが、無理強いはNG。「一番風呂に入ろうよ」「背中を流すよ」など、お父様が入浴したいと思えるような声掛けをしてみましょう。ご家族で対応が難しいと思ったら介護のプロに任せるのもアリ。デイサービスやショートステイを利用したり、老人ホームに入居して介護のプロを頼るのもひとつの手です。 認知症の親がお風呂に入らない!なぜ? 実家で一人暮らしをしている認知症の父が、急にお風呂に入らなくなってしまいました。以前は毎日入っていたのに、1~2週間に1度に減り、1ヵ月に1度に減り…。この間、帰省したときには2ヵ月近く風呂に入っていないようでした。髪の毛はフケだらけでボサボサだし、皮膚は乾燥して白くなってるし…。それなのに私が何度言ってもお風呂に入ろうとしないんです。なぜ父は頑なにお風呂に入ろうとしないんでしょうか? 認知症の方が入浴をしないのは、いくつか理由が考えられます。例えば、以下のような理由です。 入浴を必要だと思っていない 入浴が面倒くさい 入浴の仕方がわからない 介助されたくない 入浴・浴室に悪いイメージがある 入浴を必要だと思っていない 入浴は必要ですよね?今なんてフケだらけで汚いし…。 認知症になると、自分の状態を客観的に理解できなくなる場合があります。つまり、自分がフケだらけであることがわからなかったり、フケだらけであることが汚い状態だと理解できないんです。また、認知症によって記憶障害が起きていると、前回の入浴がいつだったか忘れてしまうことも。そのため、実際には何週間も入浴していないのに「昨日、風呂に入った」と思い込んで、入浴を拒否することもあります。 父も「昨日、風呂に入ったから今日は入らない」と言って入浴しようとしないんですよね。そういうことだったんだ…。 認知症の影響で髪を洗わない方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 入浴が面倒くさい これは認知症の方以外にも当てはまることですが、入浴が面倒くさくて拒否をしていることもあります。特に高齢になると体を動かすのが難しくなって、服の脱ぎ着や体を洗ったりするのが億劫に感じやすくなります。そういった理由から、面倒くさくて入浴を嫌がっている可能性もあります。 入浴の仕方がわからない この間まで1人でお風呂に入っていたのに、入浴の仕方がわからないなんてことがありますか? 認知症の症状のひとつに「失行」というものがあります。これは、それまでできていたことができなくなること。認知症が進行して脳の機能が低下した結果、当たり前にできていたことができなくなってしまうんです。入浴の仕方がわからないと1人で入浴できなくなりますし、やり方がわからないことを自主的にやろうとは思わないのは自然なことかもしれません。 介助されたくない もしかしたら、入浴介助をされたくないと思っている可能性もあります。実際は介助の必要があったとしても、認知症の影響でそれがわからなくて介助を拒んでいることもあるんです。 そんなことがあるんですね。父も、1人では入ろうとしないから私が介助しようと思っていたんですが…。 入浴・浴室に悪いイメージがある 入浴や浴室に嫌なイメージがあると、お風呂に入ることを嫌がる場合があります。例えば、無理矢理、入浴させられたり急に服を脱がされたりしたことが頭に残っていて、それが入浴や浴室の嫌なイメージに繋がっていることがあるんです。 そんなことがあるんですね…。でも、認知症になると忘れっぽくなるから、嫌なことがあっても忘れてしまうんじゃないですか? いえ。それが、記憶がなくなっても嫌なことがあったという感覚は残ると言われています。そのため、浴室や脱衣場に入ると嫌な感覚がよみがえって、入浴を拒否するケースもあるんです。 認知症の親がお風呂に入らないときの対策 父がお風呂に入らない理由がわかったような気がします。でも、どうやったら父が入浴してくれるようになるんでしょうか? 大切なのは、お父様ご自身が入浴に納得していることです。1ヵ月以上もお風呂に入っていないと、ご家族としてはすぐにでも入浴させたいところだと思います。が、だからといって無理矢理、入浴させようとしたりするのはNGです。また、1人で入浴できないからと必要以上に介助をしてしまうのもNG。お父様の自尊心を傷つけてしまうことになります。お父様が1人ではできないところだけを手伝うようにしましょう。 効果的な声かけ・誘導の例 嫌がっている場合、入浴することに納得してもらうまでが大変だと思います。そこで、効果的な声かけや誘導方法の例をお伝えします。必ずしもこの声かけで入浴してくれるとは限りませんが、参考にしてみてください。 「一番風呂だよ」 「今日はゆず湯だよ」 「温泉に入ろうか」 「背中を流すよ」 「明日、病院だからきれいにしよう」 どの声かけも、「お風呂に入って!」と直接うながすものではないんですね。 そうですね。先ほどお話しした通り、入浴を無理強いするのは良くありません。また、「体が汚いからお風呂に入って!」といった声掛けも、お父様の自尊心を傷つけたり、「汚れてない!」と強い反発を招いてしまうことがあるのでNGです。もともと入浴が嫌いな方でなければ、お風呂場に行ってお湯の入った湯船を見せることでお風呂に入りたくなることもあります。もしくは、桶にお湯を張って簡易的に足湯をしてみると気持ちが乗って入浴できることも。「せっかくお湯を沸かしたからお風呂に入ってみる?」と提案するような形で声かけしてみるのも良いかもしれません。 介護サービスを利用しよう ご家族がさまざまな手を尽くしても入浴できなかったり、忙しくて入浴するまで付き添えない場合は介護のプロの手を借りましょう。例えば、以下のような方法があります。 訪問介護を利用する デイサービス・デイケアを利用する ショートステイを利用する 老人ホームに入居する 在宅介護サービスのなかでは、訪問介護、デイサービス、デイケア、ショートステイで入浴介助を受けられます。訪問介護ではご自宅のお風呂で介護スタッフのサポートを受けながら入浴できますし、デイサービス、デイケア、ショートステイでは、介護施設の浴室を利用して入浴できます。特にデイサービスは、入浴目的で利用している方も多くいます。介護施設はバリアフリーになっていてご高齢者が使いやすい配慮がされているので、ご自宅よりも安心して入浴できると思いますよ。 確かに。実家のお風呂は狭くて寒いし、浴槽が高いので父がまたぎにくくなっているんですよね。安全面でも在宅介護サービスを使うのは良いのかも。 また、ご家族の介護の負担が大きい場合は老人ホームに入居するのもひとつの手。特に認知症の方の一人暮らしはご家族としても不安がありますよね。お風呂の問題だけではなく、お父様の生活全体の安全を考えると老人ホームへの入居も検討して良いと思いますよ。 そうなんですよね。父の認知症が進んでいて、そろそろ一人暮らしは厳しいかな、と思っていました。老人ホームも考えてみようかな…。 入浴の必要性がわからない、入浴介助されたくないなどの理由で入浴しないことも 入浴拒否があっても無理強いはNG。お風呂を楽しめるような声掛けをしよう 家族が入浴介助が難しいときは、介護サービスを活用して介護のプロを頼ろう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
2024/03/27
同居する母の被害妄想がひどくて困っています…。母が1年ほど前に認知症と診断されてから、私と父で介護をしています。最近、被害妄想がひどくて大変なんです。 例えば、父が買い物に出かけると「ほかの女に会いに行っている」と浮気を疑ったり、急に「私なんて死ねば良いと思ってるんでしょ!」と怒鳴り散らしたり…。家で騒いでいるだけならともかく、その妄想を近所の人に話すんです。まるで私たちが母を雑に扱っているような言い方をしているようです。 こんな状況が続いて私も父も精神的に参っています。どうにかなりませんか? (水谷さん・会社員・61歳) もしかしたら、認知症の進行によって被害妄想が出てしまっているのかもしれません。認知症の症状のひとつに被害妄想があり、「物取られ妄想」「見捨てられ妄想」「嫉妬妄想」といったものがあることがわかっています。もしお母様が事実無根の被害妄想を話しているときは、否定しないで聞く、距離を取る、自尊心を取り戻してもらう、といった対応をしましょう。忙しくて余裕がないときは難しいかもしれませんが、お母様の不安がなくなると徐々に妄想も減っていくと思いますよ。 認知症による被害妄想の例 認知症の母を父と一緒に介護しています。その母が最近、被害妄想のようなことを言うようになって困っています。例えば、父が買い物などで出かけると「ほかの女に会いに行った」と浮気を疑ったり、急に「私なんて早く死ねば良いと思っているんでしょ!」と怒鳴り散らすこともあるんです。もちろん、どちらも事実無根です。家の中で言っているだけならまだ良いのですが、そういう妄想をご近所にも言いふらすようになって…。まるで、私が母をいじめているような言い方をしているようなんです。こんな状況が続いて、私も父も精神的に参ってしまって。どうして母は変わってしまったんでしょうか…。 それは大変な状況ですね…。もしかしたら、認知症の進行によって被害妄想が出てしまっているのかもしれません。 認知症が悪化すると被害妄想が出てくるんですか? 認知症の症状は千差万別なので、すべての方に被害妄想が出るわけではありません。が、認知症の症状のひとつに被害妄想があることがわかっているんです。認知症による被害妄想には、主に以下のようなものがあります。 物盗られ妄想 見捨てられ妄想 嫉妬妄想 迫害妄想 物盗られ妄想 物盗られ妄想はその名の通り、「誰かに物を盗まれた」と思い込む被害妄想です。認知症の方の多くに出る物忘れが関係しているとされています。財布などの大切なものを盗まれないようにどこかにしまっておき、その後にしまった場所がわからなくなって「誰かに盗まれた」と思い込むのが基本的な流れです。犯人にされるのはご家族が多く、特にメインに介護をしている方に疑いを向けるケースがよくあります。 まだ、うちの母は物取られ妄想はありません。でも、母も物忘れが激しいので、物取られ妄想が起こる可能性はあるんですね。 見捨てられ妄想 「家族に捨てられる」と思い込むのが見捨てられ妄想です。認知症になって介護を受けている方には、「家族の負担になっている」という負い目があり、その負い目から「家族に捨てられるんじゃないか」と妄想が起こってしまうとされています。 母も私たちに負い目を感じているんでしょうか…。「私が早く死ねば良いと思っているんでしょ!」と母が言うのは見捨てられ妄想なのかもしれませんね。 嫉妬妄想 もしかして、母が父の浮気を疑っているのは嫉妬妄想なのでしょうか? おそらく当てはまると思います。嫉妬妄想はお母様のように、配偶者やパートナーが浮気をしていると思い込むこと。なんの根拠もなく、相手の浮気を疑ってしまいます。また、自分と同性の人と配偶者が軽く世間話をしただけでも「あの人が浮気相手だ」と思い込んでしまうこともあるんです。例えば、お母様の送迎のために訪問したデイサービススタッフとお父様がちょっと話をしただけで、そのスタッフとお父様が浮気していると思い込んでしまうということです。 そんなこともあるんですね!母の場合は、具体的な誰かと父が浮気していると疑っているわけではないと思いますが…。父と女性が会話しているところを母に見せない方が良さそうですね。 迫害妄想 迫害妄想は「殴られた」「悪口を言われた」というような、自分に攻撃を与えられたと思い込むことです。事実無根のことだとしても、事情を理解していない人がこの妄想を聞いてしまうと虐待を疑われてしまう可能性もあるのが、この妄想の大変なところです。 そうなんです!母は近所の人に「娘に殴られている」と言いふらしているらしく…。ご近所の人に虐待を疑われているかも…。 被害妄想への対応方法 認知症の被害妄想が母に当てはまることがよくわかりました。でも、この被害妄想にどうやって対応していけば良いのか…。 被害妄想があると、ご家族が精神的に参ってしまいますよね。例えば、以下のような対応をしてみるのはどうでしょうか? 否定しないで聞く 話に共感する 自尊心を取り戻してもらう 距離をとる 1人で抱え込まない 否定しないで聞く 認知症による被害妄想の原因は、ご本人が不安を感じていることだと言われています。なので、普段の生活のなかで不安を減らしてあげることが大切です。例えば、お母様の話を否定しないで聞くこと。認知症によって記憶があいまいになったり、理解力が低下します。すると、会話が噛み合わなかったり事実と異なることを言ってしまうことが増えますよね。ただ、それを正そうとして話を否定するのはNG。間違っていることでも、一旦はひと通り耳を傾けましょう。忙しいとなかなか難しいとは思うのですが、「話を聞いてくれている」とお母様が感じるだけでも不安感が軽くなると思いますよ。 話を否定しない、ですか…。確かに、介護と仕事で忙しくて母の話をきちんと聞いていなかった気がします。それに、母の物忘れが激しくなったりトンチンカンなことを言うことも増え、「それは違うでしょ!」とイライラして話を遮ることも多かったと思います。それはいけない対応だったんですね。 自尊心を取り戻してもらう 「自尊心」と聞くと大仰なものに感じてしまいますが、「誰かに必要とされている」という感覚と考えてください。特別なことでなくても良いんです。お母様の得意なことや今まで習慣的にやっていたことを通して、「必要とされている」「自分でもできる」という気持ちを取り戻してもらいましょう。具体的には、洗濯物を畳んだり皿洗いをしたり、料理が得意な人であれば味見を頼んだり…。家庭のなかで役割を持ってもらうと良いでしょう。そして、役割を果たしたときに「ありがとう、助かったよ」と感謝の気持ちを言葉で伝えることも忘れないでください。 感謝の気持ち…。母に介助が必要になってから、「ありがとう」なんて言ってなかった気がします。母は料理が好きなので、味見をしてもらうのも良いかな…。 距離をとる ここまでいくつか対応方法をお話ししてきましたが、いろいろ試しても被害妄想が減らなかったりご家族のストレスが大きくなってどうしようもないこともあると思います。そういうときは、距離をとることも大切です。 距離をとる、というと? 例えば、以下のような手が考えられます。状況に応じて対処法を変えると良いでしょう。 別の部屋に移動する ほかの親族に介護を頼む ショートステイを利用する 介護施設に入居する 被害妄想の矛先になってつい頭に血が上ってしまったときなどは、冷静になるために一時的に別の部屋に移動するのが良いでしょう。また、ほかのご親族などに介護を交代してもらったり、ショートステイを利用することで「介護休み」を作るのもありです。それでも在宅介護を続けられないと感じた場合は、介護施設への入居も検討してください。介護のプロによるケアで被害妄想が落ち着くこともありますよ。 1人で抱え込まない 介護の悩みは1人やご家族だけで抱え込むのはNGです。特にご近所には、お母様の被害妄想で悩んでいることを打ち明けておきましょう。そうすれば、お母様が「娘に殴られた」と言ったときも「認知症の症状が出ているな」と理解してくれるはずです。また、認知症のかかりつけ医やケアマネジャーなどにも相談することが大切。今のお母様の状況はもちろん、認知症による被害妄想でご家族がどういった点で困っているのかも伝えておいてください。認知症薬や介護サービスの利用などによって、ご家族の負担が軽くなるように調整してくれると思いますよ。 ご近所やかかりつけの先生、ケアマネジャーさんにも話をして良いんですね。北野室長の話を聞くまで、母の性格が悪くなっただけだと思っていたので、いろんな人に頼っていきたいと思います。 被害妄想には物盗られ妄想、見捨てられ妄想、迫害妄想などがある 話を否定しない、共感する、1人で抱えこまないといった対応方法がある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...
2024/03/15
認知症の親御さんを介護している友人が、「認知症のせいでショートステイを断られた」と言っていました。そんなことはあるんでしょうか? 私も認知症の父を在宅介護しており、ショートステイの利用を検討しています。しかし、友人の話を聞いて、父もショートステイの利用を断られてしまうのでは、と不安です。 (坂井さん・会社員・57歳) 認知症の症状によっては、ショートステイの利用を断られることはあります。具体的には、ほかのご利用者やスタッフさんに暴言や暴力を振るったり、帰宅願望によって落ち着きがないといった症状です。ただ、ほかにも施設が定員オーバーであったり医療行為が対応できないといった認知症と関係ない理由で断られる場合もあります。そのため、もし利用を断られたらまずは受け入れ拒否の理由を確認しましょう。もし、医療行為がある場合は一般的なショートステイの利用を断られる可能性があります。そのときは、医療型ショートステイ(短期入所療養介護)の利用も検討してください。 ショートステイ利用を断られる理由は? 認知症の親御さんを介護している友人が「ショートステイを断られた」と言っていました。そんなことってあるんでしょうか?私も認知症の父を介護しており、ショートステイの利用を考えています。もしかしたら、父もショートステイを断られてしまうのでは、と不安になって…。 どういった理由でショートステイを断られたんでしょうか? うーん、理由についてはよく聞いていないですね…。 法令上は、「正当な理由なく介護サービスの利用を断ってはいけない」とされています。が、正当な理由がある場合は、ショートステイの利用を断られることはありえます。 「正当な理由」ってどんな理由ですか? 厚生労働省は、以下のようなものが「正当な理由」にあたるとしています。 当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合 利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合 その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合 引用元:厚生労働省 老健局「介護保険最新情報 Vol.920 令和3年2月8日」 わかりにくい言い回しなので、ひとつづつお話ししますね。 当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合 「当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合」というのは、つまりは定員オーバーになってしまう場合です。ショートステイに限らず、介護サービスにはサービスを提供できる定員が決められています。これはサービスの質や安全性を確保するために守らなければなりません。そのため、利用を希望するショートステイが定員を満たしている場合は利用を断られてしまうでしょう。 なるほど。安全のためなら定員は守らないといけないですね。 利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合 「利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合」というのは、ショートステイでは主に送迎のエリア外である場合が当てはまります。たいていのショートステイは自宅への送迎も含めてサービス提供しています。しかし、ご利用者の家を順番に車でまわって送迎するので、送迎可能エリアを指定していることが多いんです。そのため、送迎エリア外の場合は利用を断られる可能性があります。ただ、このケースではご家族がショートステイの建物まで送り迎えすることで利用可能になることも。ご家族で送迎ができるなら解決できるかもしれません。 ショートステイで送迎もしてくれるんですね。確かにあまりに遠い地域だと送迎までできないですもんね。 その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合 ご家族が頭を悩ませることが多いのが、「その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合」です。これは、つまりショートステイ側が対応しきれない状態のため利用を断るケースです。 「ショートステイ側が対応しきれない」とはどういうことですか? 認知症の方の場合、症状によってはショートステイで対応できないことがあります。具体的には、ほかのご利用者やスタッフさんに暴力・暴言がある、帰宅願望が強くて落ち着かないといったケースです。 うちの父はほかの人に手をあげたり暴言を吐いたりすることはないと思いますが、落ち着きがないときはありますね…。 認知症の受け入れ状況はショートステイによって大きく異なりますから、事前に確認してくださいね。また、インスリン注射や喀痰吸引といった医療行為が必要な場合も受け入れできないことが多いです。もし医療行為が日常的に必要な場合は、ショートステイに確認してくださいね。 ショートステイを断られたらどうすれば良い? ショートステイを断られる理由についてよくわかりました。もし、父がショートステイを断られたらどうしたら良いんでしょうか? もしショートステイを断られたら、次の順番で落ち着いて対応しましょう。 受け入れ拒否の理由を確認する ほかのショートステイを探す 1.受け入れ拒否の理由を確認する そのショートステイが定員オーバーなのか、送迎エリア外なのか、認知症の症状や医療行為が対応できないのか…受け入れを断られた理由を施設にはっきり確認しましょう。送迎エリア外の場合など、ご家族が送迎することで解決することもありますし、断られた理由をはっきりさせることで次のショートステイを探すときの判断材料になります。 確かに。なぜ断られたかわからないと、次にどうしたら良いかわからないですもんね。 2.ほかのショートステイを探す 定員オーバーや認知症の症状といった、こちらで解決できないことでショートステイを断られた場合、別のショートステイを探しましょう。 でも、もし認知症の症状が理由で断られた場合、ほかのショートステイでも受け入れてもらえないんじゃないですか? いえ、認知症の症状の受け入れは施設によって異なるんです。以前にも同様の症状を持つ方を受け入れた実績がある施設なら利用できるでしょうし、人員体制などによっても受け入れ状況が変わりますから。 そうなんですね!じゃあ、まずはショートステイに父の認知症について相談する必要がありそうですね。 それに加えて、医療行為が必要な場合もショートステイに相談してください。インスリン注射や喀痰吸引、経管栄養といった医療行為が日常的に必要な場合、一般的なショートステイだと受け入れてもらえない可能性があります。 うちの父は特に医療行為は必要ありませんが…。もし医療行為が必要になったら、ショートステイは利用できないんでしょうか? 一般のショートステイのなかには、医療行為も対応可能な施設はあります。もし、医療行為を理由にショートステイを断られた場合は医療型ショートステイ(短期入所療養介護)も検討してみると良いかもしれません。医療型ショートステイは、医療行為にも対応しているショートステイ。インスリン注射、経管栄養、喀痰吸引などにも対応しています。また、認知症やリハビリ、終末期のターミナルケアも対応しているなど、医療体制が整っている施設なんです。 へぇ!それは安心ですね。 医療型ショートステイのサービスを提供しているのは、主に以下の施設です。 介護老人保健施設 介護医療院 病院 これらの施設では医師や看護師が常駐しているなど、医療ケアが充実しています。そのため、医療行為が理由でショートステイを断られた方でも受け入れが可能だと思いますよ。ショートステイは施設によって受け入れ状況が大きく異なります。とある施設が受け入れNGだったからといって別の施設もNGとは限りません。まずは、受け入れを断られた理由をはっきりさせて、別のショートステイを検討してみてくださいね。 施設側は正当な理由なくショートステイの受け入れ拒否はできない 定員オーバー、送迎対象外地域、対応が難しい症状といった場合に断られることがある 断られたら、理由を確認してほかのショートステイを探そう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...
2024/02/29
最近、父の認知症が急に進んだような気がしています。父は物忘れはあったものの、トイレや着替えといったことは自分でできていました。でも、この数週間くらいでトイレの場所がわからなくなって廊下でおもらししてしまったり、服の着方がわからず、洋服が乱れていることが何度もありました。 父の認知症の症状が一気に進んでしまったのでしょうか?そもそもそんなことってあるのでしょうか? (神谷さん・パート・59歳) 認知症の進行は人それぞれなので一概には言えませんが、症状が急に進むことはありえます。特に血管性認知症の場合、脳の血管の損傷部分が広がったタイミングで進行するので、「急に症状が進んだ」と感じることがあります。また、失敗を責められたり環境の変化などでストレスがかかることで認知症が進行することもあります。認知症の進行を抑制するには、規則正しい生活や人との交流を持つ機会を作ることが大切。認知症だからと言ってこもりきりにならないように気をつけましょう。 認知症が一気に進む原因は? 最近、父の認知症が急に進んでしまったような気がして心配です。以前は物忘れはあるものの、着替えやトイレといった身の回りのことは自分でできていました。ですが、この数週間、服の着方がわからないのか、ボタンをちぐはぐにかけていたり洋服が乱れていることが増えました。それに、この間はトイレの場所がわからなくなって廊下でおもらししてしまったんです!今までこんなことありませんでした。この数週間で一気に認知症が進んでしまったのでしょうか?そもそも、そんなことはありえるんでしょうか? 認知症の進行は個人差が大きいので一概には言えませんが、症状が一気に進むことはありえます。例えば、以下のようなことが原因で症状が進んでしまうことがあるんです 脳血管性認知症の特性によるもの 脳への刺激不足 精神的なストレス 脳血管性認知症の特性によるもの 認知症のなかでも脳血管性認知症の場合、症状が段階的に進行するため、「一気に認知症が進んだ」と感じることがあります。というのも、脳血管性認知症は脳血管の損傷によって起こる認知症です。そのため、脳の血管の損傷が増えたタイミングで症状が進行することも。ついこの間までできていたことが急にできなくなったり、その状態のまましばらく状況が落ち着いていたり…と段階的に症状が進むのが特徴なんです。ちなみに、お父様は脳血管性認知症でしょうか? いえ、アルツハイマー型認知症と診断されています。なので、これは父には当てはまらなさそうですね… 脳への刺激不足 認知症が進行する理由として、脳への刺激不足もあります。これまでご自分でやっていた家事や家計の管理などをご家族が代わりにしてあげたり物事を考える機会が減ると、脳への刺激が不足してしまって症状が進行してしまうんです。 脳への刺激不足ですか…。確かに、以前は父も掃除や土いじりといったことをよくやっていました。でも認知症になってからは全然やってないですね。確かに家族がやってしまっていたかも。 精神的なストレス 精神的なストレスも認知症が進行する原因になりえます。ストレスが溜まると記憶力がさらに低下したり、感情のコントロールができなくなったり注意力が散漫になることもあります。 ストレスで認知症が悪化してしまうなんて…。どんなことがストレスの原因になるんでしょうか? 例えば、以下のようなときにストレスを感じやすいです。 失敗を何度も責められる 引っ越しなどで暮らす環境が変わった パートナーの死別など人間関係に変化があった 外出の制限がある 何をするにも家族に付き添いをされる 認知症の影響や老化によって、できないことが増えていきますよね。当然、これまで当たり前にできたことができなくなったり時間がかかることもあるでしょう。それを「ちゃんとやって!」「早くして」と責められたり急かされたりすることが大きなストレスになることがあります。認知症の方はどうしてできないのか自分でもわからない場合や、そもそも失敗を記憶していない場合もあるので、責められたり急かされたりすることが余計にストレスを感じやすいんです。 そうなんだ…。私に余裕がないときは、父がちゃんとできないのを見てイライラして責めてしまって。それが原因で認知症が悪化したのかな…。 ほかにも、暮らす環境や人間関係の変化も認知症の方にとって大きなストレスになることも。認知症になると新しい物事の記憶が苦手になります。そのため、引っ越しなどで生活環境が変わったり、身近な人が亡くなったりした際に慣れるのにより時間ががかかるんです。誰でも、気が付いたら知らない場所にいたり、いつのまにか身近な人が亡くなっていたら不安になりますよね。新しい出来事の記憶が難しい認知症の人にとって、環境の変化は大きなストレスになることが想像できると思います。 つまり、認知症の人は新しいことをすぐに忘れてしまうから、環境が変化したことを覚えていないんですね。確かに、それだったらものすごいストレスかも。 また、行動が制限されることもストレスの原因のひとつ。外出を制限されたり、やりたいことを自由にできない状況だとストレスを感じてしまいます。 そんな状況だったら誰でもストレスが溜まると思います。 おっしゃる通りです。ですが、高齢になったり認知症になると、「危ないから」と行動を制限することが増えてしまいがちですよね。例えば、料理や掃除といった家事や1人での外出を制限しているご家庭は多いと思います。もちろん、危険性を考えたら制限しないといけないことはあります。しかし、必要以上に制限するとストレスが大きくなって認知症進行の原因になってしまうこともあるんです。 認知症の進行を抑える方法 認知症が一気に進んだ理由について、思い当たることがいくつかありました。これ以上、認知症を悪化させないようにするにはどうしたら良いですか? 残念ながら、完全に認知症の進行を止める方法は見つかっていません。が、認知症の進行をゆっくりにすると考えられる方法はあります。例えば、以下のような方法です。 規則正しい生活にする 人との交流を増やす 規則正しい生活にする 認知症の症状は、いわゆる体内時計(概日リズム)が乱れることでも悪化してしまうことが知られています。そのため、決まった時間に起床・就寝したり、食事を摂ることで体内時計を整えていきましょう。また、栄養バランスの良い食事を摂ることでも認知症の進行が抑えられることがわかっています。朝・昼・夕の3食きちんと摂ると生活リズムを整えやすくもなりますよ。 健康的な生活が認知症の進行を抑えるんですね! おっしゃる通りです。また、日中に運動を取り入れることで程よく疲れて、夜に眠りやすくなります。体を動かすのはストレス解消にもなります。散歩などの軽いもので良いので、運動を習慣にしましょう。 人との交流を増やす 先ほど、認知症が進行する原因のひとつとして脳の刺激不足があるとお話ししましたね。人と交流することは脳の刺激になるので、ぜひご家族以外の誰かと交流する機会を作っていただきたいんです。例えば、近所の人でも良いですし、普段は離れて暮らしているご親族に顔を出してもらうのでも良いでしょう。もしくは、在宅介護サービスであるデイサービスを利用するのもおすすめです。デイサービスなら体操やレクリエーションをする機会もあるので、体を動かしたりする時間を増やせますよ。 デイサービス、良いですね。今まで在宅介護サービスって使ったことがなかったのですが、デイサービスを利用してみるのも良いかもしれないです。 認知症は症状や進行状況に大きな個人差がある病気です。薬などによって治療する必要がある場合もあるでしょう。そのため、「いつもと違う」「今までできたことができなくなった」と感じたら、病院に行くことも大切です。症状に変化があったらすぐに対応できるように、お父様とのコミュニケーションは欠かさないでくださいね。 新たな病気、脳の刺激の減少、責められるなどが原因で認知症が進行することも 認知症の進行を遅らせるには、生活習慣を見直す、人との交流を増やすなどの方法がある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...
2024/02/27
3ヵ月ほど前には母が自宅で転倒し入院し、一人で歩くのが難しくなって介護が必要な状態になってしまいました。家の中を歩くのにも付き添いが必要なので、トイレもお風呂も私が介護しています。 車で1時間ほどのところに妹と弟が住んでいますが、介護を手伝う気はまったくなし。最近では、私が母の介護の話ばかりをするせいか、電話をしても妹や弟につながりにくくなってしまって。つながっても、母のことで口論となってしまって…。 母の介護が始まる前はここまで仲の悪いきょうだいではなかったのですが…。介護が始まって関係が悪くなってしまったような気がします。このままでは家庭崩壊してしまうかもしれません。どうしたら良いですか? (小笠原さん・パート・65歳) それは大変な状況ですね…。家庭崩壊をしてしまう前に、対策をとっておきましょう。それは「家族で役割分担をする」「介護サービスを活用する」といったものです。週1回でも手伝いに来てもらったり、ごきょうだいに直接的な介護の支援をしてもらえなさそうなら金銭面での援助を求めたりなどの役割分担が大切です。そうしないと、小笠原さんの負担が大きくなり、共倒れになってしまいます。また、介護サービスを活用するのも大切。すでに利用していても介護サービスの量を増やすことで、負担がかなり減ると思いますよ。 介護で家庭崩壊してしまう対策と原因 3ヵ月ほど前に母が自宅で転倒してから、介護が必要な状態になってしまいました。なんとか歩けるものの、手すりにつかまったり私が手を引いたりしないといけないですし、足元がおぼつかなくて危険です。なので、トイレに行くのもお風呂に入るのも、私が介助しています。こんな状況なのに、妹と弟は手伝う気が一切なし。「仕事が忙しい」「姉さんに任せた」と言って、私に丸投げなんです。車で1時間ほどのところに住んでいるので、来れない距離じゃないのに…。最近では、電話しても出てくれないことも増えたし、出たと思ってもすぐに口論になってしまって。母の介護が始まる前はそこまで仲の悪いきょうだいではなかったんです。このままでは関係が悪くなって家庭崩壊してしまうかも…。どうしたら良いでしょうか? それはおつらい状況ですね…。介護が原因の家庭崩壊を避けるためには介護体制を整えることが大切です。具体的には以下のような方法です。 家族で役割分担をする 介護サービスを活用する 費用の減免制度を活用する 家族で役割分担をする 介護によって家庭崩壊をしてしまう原因のひとつに、家族で話し合いができていないことがあります。小笠原さんのお母様の場合、急に介護が始まってしまったので介護の役割分担などの話し合いができなかったと考えられますが…どうでしょうか? はい、その通りです。でも、今の状態ではろくに話し合いもできない気が…。 ごきょうだいと話し合いができない理由のひとつに、介護に関わっていないほかのきょうだいが事態の重大さを把握していないことがあります。特に転倒などで急に介護が必要となったケースでは、お元気だったころの親御さんの姿のイメージしかないので、介護が大変なことを理解できていない可能性も。親御さんの状況を直接見ていない場合ならなおさらです。 妹も弟も転倒した直後に一度、母の入院先にお見舞いに来たきりです。家での様子は見てはいないですね。私がいつも電話で母の様子を伝えていますが、それでは足りないんでしょうか? 私が多くの方のご相談を受けた経験からお伝えすると、妹さんも弟さんもお母様はもっと軽い状況だと思っている可能性が高いですね。そのため、まずは妹さんと弟さんにお母様の今の状況を見てもらって、そのうえで顔を合わせた状態で話し合いをすることをおすすめします。介護の大変さが伝わると思いますよ。 そこまでしないといけないんだ…。 また、役割分担をする場合は、妹さんや弟さんにお願いしたい内容を具体的に伝えることが大切。例えば、「週に2回は手伝いに来てほしい」「通院の送り迎えをしてほしい」といった内容です。もしかしたら、仕事や家庭のことでどうしても直接的な手伝いができないケースもあるでしょう。その場合は、多めに介護費用を出してもらうといった方法もありますよ。 なるほど…。今まで「手伝って」としか言っていなかったかも。頼みたいことを具体的にしておきます。 介護サービスを活用する 介護の負担は中心となって介護をしている人に集中してしまいがちです。そのため、積極的に介護サービスを活用することをおすすめします。特におすすめなのは、ショートステイ。1日から介護施設に宿泊できるサービスで、最大30日連続で利用できます。ご家族が体調不良などで介護できないときはもちろん、息抜きのために利用している人も多いですよ。 息抜きのために利用できる介護サービスがあるんですね! そうなんです!在宅介護は負担が大きいものです。ご家族だけで介護をするのはかなり厳しいので、ショートステイを使って、適度に休憩をしていきましょう。また、お風呂の介助が必要ならデイサービスもおすすめ。これは、介護施設に通って9~16時の間を施設で過ごせるサービスで、入浴介助も受けられるんです。そのため、週に2~3回利用して、お風呂をデイサービスで済ませている方も少なくないんですよ。 へぇ!お風呂に入れてくれるのは助かります。うちのお風呂は狭いし、滑って危ないので…。 今、お話ししたものも含めて、在宅介護をしている方が利用できる主な介護サービスには以下のようなものがあります。 訪問介護 デイサービス ショートステイ 福祉用具の貸与 福祉用具の購入 費用の減免制度を活用する 介護は思った以上にお金がかかるものですよね。そのため、介護によって経済的に苦しい状況になってしまうこともありえます。そこで、介護費用の減免制度を活用していくことが大切です。 介護費用の減免制度なんてあるんですか! そうなんです。例えば、以下のようなものがあります。 高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算療養費制度 医療費控除 特定入所者介護サービス費 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度 これらの制度は、上限額を超えて介護サービス費や医療費を支払った場合に払い戻しや控除が受けられるものです。また、特定の施設に入居すると利用料が減額されるものもあります。上限額や減額は所得に応じてそれぞれ設定されています。詳細は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 家族内で家庭崩壊を解決できないときは… もし、妹や弟と話し合いができなくなってしまったらどうしたら良いでしょうか? そうですね…。最終手段としては、家庭裁判所で「扶養請求調停」を申し立てる方法があります。法律上、直系血族やきょうだいはお互いに扶養義務があるとされています。その義務を果たさなかったり、扶養義務がある人同士でお互いの支援について話し合いでまとまらない場合に、家庭裁判所が間に立って調停するものです。具体的には、家庭裁判所が小笠原さんや妹さん、弟さんなどの話を聞いたうえで、お母様への支援として「毎月何万円支払う」といった提案がなされます。もしそれでも合意されなかった場合は、家庭裁判所が法律的に妥当な方法を指定して審判がされます。つまり、家庭裁判所に強制的に介護の負担を決められてしまいます。 そんなことになってしまうんですね…。そうならないように、家族での話し合いが大切ということですね。 参考:「扶養請求調停」(裁判所) 介護で家庭崩壊するとどうなる? 考えたくはないことですが、妹や弟との関係がさらに悪くなって家庭崩壊してしまったらどうなるんでしょうか? 妹さんや弟さんと完全に縁が切れてしまって、小笠原さんが介護のすべてを担うことになるでしょう。今後、お母様の状態が進行したら、さらに介護の負担が大きくなることが考えられます。そのため、以下のような状態になってしまう危険性があります。 経済的に困窮する 親を虐待する 介護うつを発症する 経済的に困窮する ほかのごきょうだいからの支援がないとなると、経済的に困窮する可能性が考えられます。先ほどもお話しした通り、介護にはお金がかかります。そのうえ、ほかのご家族から直接の介助や経済的な援助という形でサポートがないと、介護をする人だけのお金と時間を使わないといけなくなります。お母様の蓄えが十分にある場合は問題ないと思います。が、そうでない場合は、介護の時間を作るために仕事を辞めて、収入が減ったから節約するために自分で介護をして…といった負の連鎖になってしまう可能性も考えられます。直接的な支援がごきょうだいから得られなくても、経済的支援があれば介護サービスを使って負担が減らせます。経済的支援があるかないかで介護の負担は大きく変わるんです。 親を虐待する 介護をしている親を子どもが虐待するというニュースは見たことありますが…。 はい。高齢者虐待はテレビなどでも取り上げられていますからご存知だと思います。こうした高齢者虐待の原因の多くは介護によるストレスなんです。特に一人で介護をしている場合の心身のストレスは莫大です。そうしたストレスが親御さんに向いて、虐待という結果になってしまったケースが少なくありません。 つまり、ニュースで見る高齢者虐待は親子仲が悪かったわけではないんですか? はい。必ずしも親子関係が悪いことが虐待の原因になっているわけではありません。むしろ「私がちゃんと最期まで介護をしないと」と、考えているお子さんに限って虐待をしてしまうとも言われています。そうした悲しい事態を避けるためにも、ご家族で分担して介護をおこなってくださいね。過去に親御さんに手をあげてしまった方のご相談も乗っています。参考にしてみてください。 介護うつを発症する 一人で頑張りすぎた結果、介護うつになってしまう危険性もあります。介護うつとは介護が原因で発症するうつ病のこと。心身のストレスや疲労が溜まった結果、発症してしまうものです。 私もこのところの介護で疲れていて。介護うつになってしまうんでしょうか…。 介護うつは早期発見が大切です。介護うつの症状をまとめましたので、思い当たるものがあったらまずは介護を休んで、心身をリフレッシュする時間を作りましょう。 食欲不振 睡眠障害 疲労感 焦燥感 思考障害 そういえば、最近、寝付きが悪いかも。それに疲労感は常にあるし…。母が転倒してからずっと介護のことばかりだったので、ちょっと休憩するタイミングなのかもしれませんね。 はい、定期的に”介護休み”を作って休憩しましょう!もしすぐにごきょうだいの支援がもらえなさそうであれば、ショートステイなどの介護サービスを活用して、”介護休み”を作るのもおすすめの方法ですよ。 家族で話し合いできていない、介護者の心身疲労、経済的困窮で家庭崩壊をしてしまうことも 家族間の話し合い、介護サービスの利用、費用の減免制度や家族からの経済的支援によって対策をしよう 家庭崩壊すると経済的困窮、親への虐待、介護うつなどに陥る危険性がある pre { margin: 40px 0; background: ...
2024/02/09
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。