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Q&A

在宅介護

在宅介護 ショートステイ

父親がショートステイを嫌がります。介護をしている母が入院し、私は遠方に住んでいるので介護ができません。

父と母は、実家で二人暮らしをしています。父は認知症が進んでおり、半日前の出来事も忘れてしまうような状態。ふらついていることもあり、母が見守りをしたり介助をしている状況です。 その母が来週、検査入院をすることになりました。問題がなければ1週間ほど、何かあれば長期間の入院になるかもしれません。なので、父にはその間はショートステイを利用してもらおうと思ったのに、父は頑なに拒否。「行かない」の一点張りなんです。 私は家庭の事情で父を預かるのは難しいです。どうしたら良いでしょうか? (菅野さん・65歳・パート) まずはお父様にショートステイに行きたくない理由を聞いてみましょう。もしかしたら、知らない場所に行ったり知らない人に出会うのが不安なのかもしれません。また、家と違って自由に過ごせないことや手持ち無沙汰になってしまうのが嫌なのかもしれません。そうした理由を聞いた後、ショートステイを利用してもらわないと困る理由を率直に伝えたり、ケアマネジャーやかかりつけ医などの第三者から説得してもらってみてはどうでしょうか? どうしてショートステイを嫌がるの? 実家で父と二人暮らしをしている母が、来週、検査入院をすることになりました。父は認知症が進んで一人では生活できない状態なのでショートステイを利用してもらおうと思ったのですが、嫌がって利用をOKしてくれません。いつもデイサービスには楽しそうに通っているのに…。どうしてショートステイは嫌がるんでしょうか? そうですね…。お父様の思いを聞いてみないと何とも言えませんが、以下のような理由かもしれません。 邪魔者扱いされていると感じるため 知らない場所で生活したくないため 知らない人に介護されたくないため 自分のペースで生活できないため 邪魔者扱いされていると感じるため もしかしたらお父様は介護をされていることに対して引け目を感じていて、邪魔者扱いされていると考えてしまっているのかもしれません。 邪魔者扱い…。そういえば、「俺は家にいない方が良いんだろ」とひねくれたことを言っていました。確かに、母が入院している間、私の家に連れてくれば良いんでしょうけど、私は義理の両親と同居しているので、そういうわけにもいかなくて…。 そうだったんですね。そういう事情もご存知でしょうから、もしかしたら菅野さんのお宅に行けない寂しさも感じているのかもしれませんね。 知らない場所で生活したくないため ショートステイが嫌なのではなく、知らない所で生活するのに不安を感じている可能性もあります。ご高齢になると新しい環境に慣れること自体が大きなストレスになる傾向があります。そのため、例え短い期間でも見知らぬ場所に宿泊するのが怖くてショートステイを嫌がっているのかもしれません。ちなみに、内閣府の調査で「自宅で介護を受けたい理由」をまとめたものがあります。この結果も、「住み慣れた自宅で生活を続けたいから」という回答が圧倒的。多くの人が知らない場所で生活するのに不安を感じていることがわかりますね。 知らない人に介護されたくないため ご家族から介護を受けるのは良くても、見知らぬ介護職員さんから介護を受けるのには抵抗を感じる人もいます。 えぇ?私や母より介護のプロの手を借りた方が安心だと思うのですが…。 おっしゃるとおりだと思います。ただ、見知らぬ他人の手を借りることに「みっともない」と感じる人もいるんですね。お父様はデイサービスを利用しているとのことですから、介護職員のサポートを受けることに慣れているかもしれません。ですが、泊まりとなると不安を感じるのかもしれませんね。 自分のペースで生活できないため ショートステイでは食事や入浴などの時間がある程度、決められています。自分の好きなタイミングで生活できる自宅と違って、他の利用者さんにも気を使わないといけません。そういう点でショートステイに窮屈なイメージがあるのかもしれません。それにショートステイでは身の回りのことを職員さんがやってくれます。手持ち無沙汰になって、時間が空いてしまうのが嫌だと考えているのかもしれませんね。 ショートステイを嫌がるときの対応方法は? では、どうしたら父はショートステイを利用してくれるんでしょうか? まずは、お父様がショートステイを嫌がる理由を率直に聞いてみましょう。先ほど挙げた理由以外の理由で嫌がっているのかもしれませんから。お父様が嫌がる理由をはっきりさせて、その不安点を解消していくようにしていきましょう。 確かに。今まで「行きたくない」としか言わないので、どうして父が頑なにショートステイに行きたがらないのかわかりません。きちんと聞いてみないとですね…。 それに、すでにされているかもしれませんが、ショートステイを利用する理由を素直に伝えることも大切です。お母様の身体のことや菅野さんの家庭の事情もふまえて、「私が困るからショートステイに行ってほしい」とお願いしてみるのも良いかもしれません。 私が困るからショートステイに行ってほしい、と言うんですか? はい。実際、それは事実ですし、お父様が一人で生活するのを心配している気持ちが伝われば、ショートステイに行ってくれるかもしれません。お父様のプライドを傷つけないような言い方で伝えてくださいね。 確かに…。今まで「お父さんは一人じゃ何もできないでしょ」と言ってしまっていたのが良くなかったのかもしれません。 お父様の心情によっては、これだけでは説得が難しいかもしれません。そういうときは、以下のような方法も試してみてください。 合ったショートステイを選ぶ ショートステイに相談する ケアマネジャー、医師に相談する 合ったショートステイを選ぶ ショートステイとひとくちに言っても、実際のサービスや雰囲気は異なります。レクリエーションに力を入れている施設もあればそうでない施設もありますし、お父様に合いそうなショートステイを選びましょう。もちろん、他の利用者さんや職員さんの雰囲気も大切。できれば事前にショートステイの施設を見学しておくのがおすすめです。 ショートステイに相談する 例えば、「他の利用者と馴染めなかったらどうしよう」「やることがない」という理由でショートステイを嫌がっている場合、ショートステイ側に相談することで解決できることがあります。例えば、座席を気の合いそうな利用者の近くにしてもらったり、ショートステイの中での役割を持てるように対応してくれることも。ご高齢者がショートステイを嫌がることは珍しいことではないので、気軽に相談してみてください。 珍しいことではないんですね。父をお願いする立場なのに、父が嫌がっていて申し訳なかったんです。施設に相談してみようかな。 ケアマネジャーや医師に相談する どうしても首を縦に振ってくれない場合は、ケアマネジャーさんやかかりつけ医からショートステイを利用するように言ってもらいましょう。ご家族などの身近な人の言葉は耳を貸さなくても、専門家や第三者の言うことだったら素直に聞き入れてくれることがあります。身近な専門家である、ケアマネジャーさんや医師を頼ってみてください。 嫌がるときに無理やり説得…はNG! いろいろと対策を教えてもらいましたが、それでも父がショートステイに行ってくれるのか心配です。やっぱり、無理矢理にでも連れて行くしかないんじゃないかな…。 それはおすすめしません。というのも、ショートステイの利用はおそらく今回だけではないはず。お母様の体調のことを考えて、定期的な利用をおすすめします。となると、今回、無理矢理ショートステイに連れて行って悪い印象を与えてしまうと、今後が大変です。理想はお父様が納得したうえでショートステイを利用すること。強い口調で無理に説得することもなるべくやめてくださいね。 ショートステイを使うことに”引け目”を感じなくて良い 本当は、ショートステイを使わずに私の家で父の面倒をみるか、私が実家に帰れれば良いんですけど…。父がショートステイを嫌がる様子を見ていると、どうしても「私が介護しないといけないのかな」と思ってしまって。 もちろん、菅野さんにお父様を介護する余裕があるのであればその方が良いとは思います。ただ、お話を聞く限り、それは難しいのではないでしょうか?菅野さんが無理をして倒れてしまっては元も子もありませんよ。ショートステイは、一時的に介護ができないときに利用するだけではなく、介護をする人の「介護休み」という意味合いでも利用されるサービスです。在宅介護は負担が大きくなりがちですから、お母様や菅野さんの体調にも気をつけながら介護をしてくださいね。 知らない場所で生活したくない、自分のペースで過ごせない、など理由はさまざま。 まずはショートステイに行きたくない理由を率直に聞いてみよう 説得ができなかったら、ケアマネジャーやかかりつけ医など第三者から説得してみるのも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/05/31

在宅介護 認知症予防

認知症の母親がガスコンロの火をつけっぱなしにしてしまいます。いつか火事を起こしそうで心配です。

実家で一人暮らしをしている母の介護をしています。週に1~2回、通って介護をしているのですが、私が実家に帰るとガスコンロの火がつけっぱなしになっていることが何度もありました。 その度に強く注意するのですが、「ちょっと忘れただけじゃない!」と反発してきて、口論になってしまいます。それでも、火の消し忘れは改善されません。今のところ火事にはなっていないものの、いつか火事を起こしてしまうんじゃないかと心配です。 ガスの元栓を閉めて使えないようにするしかないのでしょうか? (横田さん・会社員・63歳) ガスコンロを使えないようにするのもひとつの手です。しかし、お母様の行動を大きく制限してストレスになるかもしれないので、まずは別の手を考えてみましょう。例えば、安全装置付きのガスコンロやIHコンロに変えたり、ご家族などがいるときだけは火を使えるようにするといったことです。それでも火の消し忘れが避けられない場合に、コンロの元栓を閉めることを考えてみてください。 認知症の人がガスコンロを消し忘れてしまうのはどんなとき? 実家で一人暮らしをする認知症の母の介護をしています。週に1~2回、通っているのですが、これまで何度かガスコンロの火がつきっぱなしになっていることがあり、やかんを空焚きしたり鍋を焦がしたりしています。私がそれを見つける度に母に注意しているものの、「ちょっと忘れただけじゃない!」と怒鳴られ、しょっちゅう口論になって疲れます…。 認知症になると、記憶力や注意力が低下することがあるので、コンロの火をつけていたことを忘れやすくなってしまうんですよね。 記憶力の低下で、火をつけていたことを忘れるのはわかるのですが、何で注意力が関係するんですか? 注意力が低下することで、ちょっとしたことで注意が別のものに移ってしまい、もともとやっていたことや考えていたことが頭から抜けてしまうんです。具体的には、やかんで火を使っている最中に来客や電話があったりすると、すぐにそちらに気が向いてしまいます。そのうえ、認知症の影響で新しい物事の記憶を忘れやすくなっていますから、注意が移る前に何をしていたのかを忘れてしまうんです。 なるほど。母も火を使っている最中に何かに注意が移ったことで、コンロの火のことが頭から抜けてしまったというわけなんですね。 ガスコンロの火の消し忘れはどう対策する? うーん。母がコンロの火を消し忘れてしまう状況はわかりました。でも、どうしたら消し忘れを防げるんでしょう?やっぱり、ガスの元栓を閉めて、コンロを使わせないようにしないといけないんでしょうか? 確かに、それも方法のひとつとしてあるでしょう。ただ、そうするとこれまで料理を作っていたお母様の行動に大きく制限をかけることになりかねません。なので、コンロの使用をストップする前に別の手で解決できないか考えてみましょう。例えば、以下のような方法ではどうでしょうか? 誰かが近くにいるときだけガスコンロを使う 安全装置付きのガスコンロに替える 火を使わない生活にシフトする 誰かが一緒にいるときだけガスコンロを使う 火の消し忘れがあると、お母様が一人のときにコンロを使うのは心配だと思います。そのため、ご家族など誰かがご実家にいるときに、お母様が料理をするのはどうでしょうか?また、もし訪問介護サービスを利用しているのであれば、ヘルパーさんがいる時間帯も火を使ってOK、としておくのも良いかもしれません。 うーん。でも、母は頑固なので理解してくれなさそうな気がします。何回も言い聞かせても、隠れて一人のときにコンロを使ってしまうんじゃないかな。 なるほど…。料理をする機会をなくさずに火の消し忘れを防げる方法だと思ったのですが…。 うちの母は頑固だし、認知症が進行して、言ったことをすぐに忘れてしまうので合わない方法だと思います。あまり認知症が進んでいない人であれば、効果があるかもしれませんね。 安全装置付きのガスコンロに替える 最近は安全装置が備わったガスコンロが増えているので、ご実家のコンロを交換するのはどうでしょうか?最近のガスコンロには、センサーが温度を感知して約250℃を超えるとガスを自動停止するものや、一定時間以上、火がついていると自動で消火してくれる機能がついていますよ。 へー!実家のガスコンロはずいぶんと古いものなので、これを機に交換するのも良いのかも。そういえば、IHクッキングヒーターってありますよね。あれだったら火を使わないし、安全になりますかね? そうですね。IHクッキングヒーターも良いかもしれません。ですが、ガスコンロとIHクッキングヒーターは使い勝手が大きく違います。もしかしたら、使い方がわかるようになるまでかなり時間がかかるかもしれません。特に認知症の人は、新しいことを覚えるのが苦手になる傾向がありますから、「IHクッキングヒーターに交換したものの、使い方がわからなくてまったく使わなくなってしまった」なんてことになる可能性もあるんです。 あぁ、確かに。この間、テレビのリモコンを文字の大きいものに取り替えたら、使い方がわからなくて、しばらく「テレビがつかない!」と大騒ぎしていました。もっと若いうちだったら良いかもしれないけど、うちの母にはIHクッキングヒーターは難しいかも…。 でしたら、できるだけ今のガスコンロと使い方が変わらない、安全機能のついたガスコンロに交換するのが良いかもしれませんね。 火を使わない生活にシフトする ここまでお話しした2つの方法でも火の消し忘れが防げないようでしたら、ガスコンロを使わないような生活に変えていきましょう。ただ、「コンロは使っちゃダメ」「料理しちゃダメ」といろんなことを禁止する形だと、お母様のストレスが大きくなって、認知症の症状に悪影響が出る恐れがありますから、そのあたりに注意が必要ですね。 というと、どういう風にガスコンロを使わないようにしていけば良いんでしょう? ひとつは、「こういうときはこうして」とお願いする方法です。例えば、「みそ汁を温めるときはレンジを使って」「お茶が飲みたいときは電気ケトルを使って」というような言い方ですね。もうひとつは、「ガスコンロが壊れた」とガスコンロが使えないことを伝える方法です。嘘をついてしまうことになりますが、こういう言い方にすれば、火の消し忘れを原因にしていないのでお母様のプライドを傷つけることはないでしょう。 ガスコンロが壊れたことにして、ガスの元栓を閉めてしまえば、火は付かないですもんね。 それに、普段から食事を火を使わなくて良いものに変えていくのもひとつの手。配食サービスを活用したり、惣菜を買ってきて、レンジで温める形にしても良いでしょう。しかし、お母様が料理をする機会がなくなってしまうので、こうしないと火の消し忘れが防げない状況でなければ避けたいですね。どの方法も、認知症の症状やその人の生活スタイルなどによって、向き不向きがあります。いろいろな方法を試して、お母様に合った方法を見つけてくださいね。 火を使っている最中に、来客や電話などに気を取られて消し忘れが起こることが多い 誰かが一緒にいるときだけ、安全装置付きのガスコンロに替えるなどの対策ができる コンロを使わない生活は、ストレスになることがあるので最終手段として考えて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/05/30

在宅介護

在宅介護をしている母親が何度も転倒しているのに、自分で家事をしようとして困っています。

先日、在宅介護をしている母が自宅で転倒しました。この半年で3回目です。幸い、大きな怪我にはならなかったのですが、私や妻が仕事で不在の間に家事を自分でしようとして転んだようです。でも、転倒して以来、「危ないから余計なことをするな」と何度も言い聞かせているのですが、認知症もあるせいか、言うことを聞いてくれません。 このままでは、いつか転倒して大きな怪我をしてしまうかもしれません。何か良い方法はないでしょうか。 (萩原さん・自営業・62歳) まずは、お母様の転倒の原因を探ってみましょう。ご高齢者は身体機能や注意力の低下から、ちょっとした段差でもつまづいて転んでしまうことがあります。もし、ご自宅のリフォームが必要な状態なら、介護保険を活用することで出費を抑えることも可能。そうして、ご自宅の環境を整えつつお母様の筋力の維持をするための運動を生活に取り入れるのも良いでしょう。何より、家事をしたいと思っているお母様の行動を「危ないから」とすべて制限してしまうのは、お母様にとってストレスになっている可能性があります。転倒の対策をしつつ、できるところはご自分でできるようなサポートができると理想ですね。 転倒によって要介護状態や寝たきりになることも… 先週、母が自宅で転倒しました。大怪我にはなりませんでしたが、母の転倒はこの半年ほどで3回目。どれも自分で家事をしようとしてふらついて転んでしまったようです。最近、足元がおぼつかないので家事は家族に任せるように何度も言っているのですが、聞く耳を持たず、自分でやろうとします。このままではいつか大きな怪我をするんじゃないかと心配で注意しているのに、「これくらいならできる」と私や妻が仕事で家を空けているときに、掃除や料理をしているみたいです。認知症のせいか、毎日、注意しても忘れてしまうようで、それも疲れます。どうにか良い方法はないでしょうか? ご自宅での転倒…。とっても心配ですよね。 そうなんです。転んで骨折でもしたら、入院してしまうことだってあるでしょうし…。 そうなんです。実は、「いい介護 入居相談室」にいただくご相談の中でも、老人ホーム探しを始めるきっかけとして多いのが転倒なんです。 転倒がきっかけで老人ホームに入るんですか? はい。ご自宅で転倒して大腿骨(太ももの大きな骨)を折ったことで長期の入院となり、入院中にベッド上の生活が増えることで筋力が低下して歩けなくなったり寝たきりになってしまうんです。 えぇ!?寝たきりに? そうなんです。寝たきりになったり、歩けなくなって車椅子が必要になると、多くのご家庭で在宅介護を継続できないですよね。そのため、介護施設への入居を検討するというわけなんです。ちなみに、内閣府による「高齢社会白書」でも、介護が必要になった原因の4番目に多いのが「骨折・転倒」。ご高齢者は骨がもろくなって折れやすい傾向がありますから転倒予防は本当に大切です。 参考:「令和3年版高齢社会白書(全体版)」(内閣府) 高齢者が転倒する原因とは? 転倒に対して注意はしていましたが、転倒がきっかけで寝たきりになるなんて考えてもいませんでした。転倒を防ぐためにはどうしたら良いんでしょうか? うーん。まずはお母様の転倒の原因を考えてみましょうか。そこから、対策が見つかるかもしれません。ご高齢者がご自宅で転倒する原因として挙げられるのは、主に以下の3つです。ひとつずつ見ていきましょう。 環境による原因 身体的な原因 精神的な原因 環境による原因 ご高齢者はちょっとした段差などでもつまづいて転倒してしまうことがあります。以下のようなものが原因で転んでしまうことがあるので、注意してみてください。 畳の縁、敷居などの段差 カーペット、じゅうたんの端 電気コード チラシ、新聞紙 前回は、チラシを踏んで滑って転んだと言っていたので、できるだけ新聞やチラシを床に置いておかないようにしました。 チラシが床に落ちていても、私たちは簡単に避けられますが、年齢を重ねるにつれて身体機能が衰えて転倒する原因にもなるんですよね…。東京消防庁がご高齢者の転倒事故の発生場所についてまとめています。それによると、圧倒的に住宅内での発生が多く、なかでも寝室や居室での転倒がその他の場所の3倍も多いそうです。寝室や居室はものが多くなりがちな場所ですから、それが原因の可能性もありますね…。 1位2位3位4位5位事故発生場所寝室・居室玄関・勝手口廊下・通路・縁側トイレ台所・食堂救急搬送人員2万2902人3187人2342人1000人898人 参考:「救急搬送データからみる高齢者の事故」(東京消防庁) 身体的な原因 先ほどもお話ししましたが、高齢になると身体機能が低下します。そのうえ、注意力も低下するのでより転倒のリスクが高まるんです。 北野室長がさっき言っていたように、「ちょっとした段差に気が付かず、転倒してしまう」ということですか? おっしゃるとおりです。そのうえ、以前は当たり前にできていた「片足立ちになって靴下をはく」「高いところのものを取る」「夜中に小さな明かりだけを頼りに移動する」といったことが高齢になると難しくなります。ただ、そうした身体機能や注意力の低下は自覚がしにくいもの。そのため、以前と同じように行動をしたことで転倒をしてしまうんです。 その話、母に当てはまります。昔は普通に掃除機を使って掃除をしていましたが、今は掃除機が重くて扱えないですし、押入れの高いところにしまい込んでいるものを取ろうとしてひっくり返りそうになったこともあります。普通に歩くのもふらついているので、そういうときは家族を呼んでほしいのですが…。 そういえば、お母様は認知症を発症されているとおっしゃっていましたよね、認知症の薬を使用していますか? はい。服薬しています。それが何か関係あるんですか? 認知症の薬の中には、副作用としてめまいやふらつきといった症状が出ることがあります。その影響で転倒しやすくなっている可能性もあるので、もし、ふらつきがひどいようでしたら、一度、医師に相談することをおすすめします。 精神的な原因 精神的な原因というと、どんなことですか? 例えば、驚いたときやあせっているときに転倒リスクが高まります。具体的には、後ろから声をかけられたり、急に大声で驚かせるようなこと。それに、動作を急がせることです。高齢になると耳が遠くなるために、ご家族も大きな声で話しかけることもあるかもしれません。それで驚いた拍子に転倒してしまうこともあるんです。また、誰でもあせっていると転倒しやすくなるものですよね。ご家族が忙しかったり時間に余裕がなくてご高齢者を急かしてしまうことがあると、気持ちがあせって転倒の原因になることもあります。 【対策1】転倒しない環境を作る じゃあ、どうしたら転倒を予防できるのでしょうか? まずは、ご自宅の環境面で転倒の原因を排除してみましょう。 階段・段差をなくす カーペットの下に滑り止めを敷く 電気コードを壁に沿わせる 床にものを置かないようにする 室内でも杖を使う 滑り止め付きの靴下をはく 敷居などの小さな段差には、ネットやホームセンターなどで売られている小さなスロープが使えます。ただ、階段などの大きな段差の場合、リフォームが必要になることもあるでしょう。そういうときは介護保険で補助金が支給されるので、ぜひ活用してみてください。最大20万円の補助金がもらえます。詳しくはお住まいの市区町村の役所に問い合わせてくださいね。 【対策2】転倒しにくい身体を作る ご自宅の環境を整備するのと同時に、転倒しにくい身体づくりも大切。高齢になると、外出する機会も減って運動量も少なくなる傾向があります。それに「転んでしまうかも」と思うとさらに身体を動かす機会も減るでしょう。そのため、意識的に運動量を増やしたりタンパク質が多めの栄養バランスの良い食事を摂って、筋力を維持することも重要です。 【対策3】転倒しないように周囲の人が気をつける 普段からご家族や周囲の人が、転倒しないように配慮するのも大切です。大声や後ろから話しかけるなど、驚かせるようなことを避けて、前から声をかけるようにしましょう。それに、介護や仕事で余裕がないとご高齢者のゆっくりとした行動にいらだつこともあるかもしれません。ですが、急かすことが転倒の原因となることを考えて、落ち着いて行動できるように気を配るようにしましょう。 北野室長が言う通り、母の行動がのんびりしていてイライラするんですよね。思わず「早くして」と言ってしまいますが…。気をつけるようにします。 「危ないから」がストレスになっているかも… 転倒の予防方法もわかったので、さっそく実践したいと思います。ただ、母が自分で家事をせずに家族に任せてくれるのが一番なんですけどね。 転倒して大怪我してしまうのはもちろんいけないことなんですが、あまりにも「危ないから」と行動を制限してしまうと、お母様のストレスになってしまうことがあるんです。 でも、転倒して怪我をして痛い思いをするのは母自身なんですよ? はい。おっしゃるとおりです。ただ、「転んだら危ないから」と、これまでの習慣だった家事を制限されると、もしかしたら「わずらわしい」と感じてしまうかもしれません。となると、お母様を心配して言っていることが、上手くお母様に伝わらない可能性もあります。 あぁ、確かに。「危ないから家事はするな」と言うと、「放っておいてよ!」と言われるので、毎日のように口論になってしまうんです。ストレスを感じていたのかな…。 もちろん、お母様ができないことをご家族が手伝うことは必要だと思います。なので、お母様の身体状態を考えて「家族が手伝うところ」「本人ができるところ」の折り合いをつけるのが良いでしょう。あまりにも、ご家族が手伝ってしまうと、身体機能や認知機能の低下を招いてしまうこともあります。ご家族とお母様が”いい塩梅”で生活できるところを探っていってくださいね。 転倒・骨折は要介護になる原因の4番目に多い 高齢者が転倒するのは、主に環境・身体的・精神的な原因がある 転倒しにくい環境や身体づくり、周囲の人が驚かせないような対策が重要 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/05/29

在宅介護 認知症介護

認知症の母親が頭を洗わない!しばらく洗髪しておらず、におうので困ってます。

同居している母が入浴しても頭を洗わないことに困っています。「自分でできる」と言うので、入浴に関しては本人に任せていたのですが、ここ数ヵ月、頭を洗っていないようなんです。認知症のせいか、入浴前に「頭洗ってね」と言っても忘れてしまうし…。 そのせいで髪の毛はべたついているし、においもします。私が手伝おうとしても怒って嫌がるのでどうしようかと…。何か良い手はないでしょうか? (石橋さん・会社員・61歳) もし、頭を洗うこと自体を忘れてしまっているのであれば、シャンプーボトルに大きな文字で「シャンプー」と書いておいたり、張り紙をすることで解決するかもしれません。それでも洗髪できないのであれば、訪問介護サービスやデイサービスを利用してみましょう。ご家族の介助は嫌がってもプロの手助けであれば受け入れてくれる人も多いですよ。 認知症の親が頭を洗わないのはなぜ? この数ヵ月、母がお風呂に入っても頭を洗っていないようでにおうんです。髪もべたついているし…。だからといって、お風呂の前に「髪の毛洗ってね」と言っても認知症のせいか忘れてしまっている様子。入浴後に「髪は洗った?」と聞くと「洗ってるわよ!」と怒鳴って不機嫌になり、手を付けられなくなります。でも明らかに洗っていません。どうにか解決策はないでしょうか? なるほど…。髪の毛を洗わないのは衛生的にも良くないですよね。では、まずはお母様がどうして髪を洗わないのか、原因を整理してみましょうか。そこから解決策が見えてくるかもしれません。 洗うことを忘れてしまう 石橋さんもおっしゃるとおり、認知症の人の場合、「身体を洗う」「お湯に浸かる」といったことができても、なぜか「髪を洗う」ということだけを忘れてしまうことがあります。これは、認知症の中核症状のひとつである「記憶障害」によるもの。さらに、認知症になると注意力が散漫になることもありますから、始めは頭を洗うことを覚えていても、別のことに気を取られて忘れてしまうこともあるんです。 へぇ、そういうこともあるんですね!最近は、入浴の前に毎回「髪の毛も洗ってね」と声をかけているのですが、別のことをしているうちに忘れてしまっていたということなんですね…。 洗い方がわからなくなってしまう 「洗い方がわからなくなってしまう」ってどういうことですか?当たり前ですが、母は認知症になる前から頭を洗っていましたよ? 認知症の症状のひとつに「失行」というものがあります。これまで当たり前のようにできていたことができなくなることです。例えば、「テレビのリモコンの使い方がわからなくなる」「お箸が使えなくなる」といったことです。お母様の詳しい状況はわかりませんが、「シャンプーボトルの使い方がわからない」などが原因で洗髪ができなくなっている可能性があります。 認知症って昔からやっていたこともわからなくなってしまうことがあるんですね!知らなかった…。 また、洗髪の手順がわからなくなってしまうこともあります。髪を洗うには、髪をぬらして、シャンプーを手に出して、頭を手でこすり、シャンプーを洗い流す…といった手順がありますよね。認知症になると順序立てて考えることができなくなることがあるので、それが原因で頭を洗えないことも考えられます。 認知症の親が頭を洗わないときの対策は? 母が頭を洗わない原因について、いくつか思い当たることがありました。では、具体的にはどうしたら良いんでしょうか? そうですね。髪を洗わないことの対策は、主に以下のようなものがあります。順番にお話ししていきますね。 家族が入浴介助をする 訪問介護サービスを使う デイサービスを使う ボトルに大きな文字で「シャンプー」と書く 家族が入浴介助をする まずは、ご家族が入浴介助をすることです。髪を洗う以外はご自分でできているようでしたら、洗髪だけ手伝ってみるのが良いでしょう。 以前、「髪を洗うの手伝うよ」と言ったら、「自分でできるわよ!」と怒鳴って拒否されてしまいました…。 そうだったんですね…。でしたら、「手伝う」とは言わず、「たまには一緒にお風呂に入ろうよ」といった風に声掛けしてみるのも良いかもしれません。どうしても「手伝う」というと、ご本人のプライドを傷つけてしまうことがありますから。ちょっと言い方を変えるだけでスムーズに介助できることがあるので、ぜひ試してみてください。 ボトルに大きな文字で「シャンプー」と書く ボトルに「シャンプー」と書くだけで、頭を洗うようになるんでしょうか? もし、お母様が頭を洗うことを忘れてしまっている場合、シャンプーボトルに「シャンプー」と書いて目のつきやすいところに置いておけば、髪を洗うこと思い出して洗髪するようになるかもしれません。それに、どれがシャンプーのボトルなのかわからなくて洗髪ができない可能性もあります。ボトルが似ていてわからなくなっていることもありますから、「シャンプー」「リンス」「ボディソープ」など、すべてのボトルに書いておくとどれがどのボトルなのか区別しやすくなるでしょう。 確かに、ボトルの「シャンプー」や「リンス」の文字が小さくて、私もわからなくなることがあります。それだけで、髪を洗ってくれるようになるなら試してみようかな。 それか、髪の洗い方の手順を簡潔に書いて、壁などに貼っておくのもひとつの手。「髪をぬらす」「シャンプーを髪につける」「シャンプーを洗い流す」などと短くわかりやすい文章で書くのがコツです。お風呂場の中では濡れてしまうので、ビニール袋などに入れて貼っておいてくださいね。 訪問介護サービスを使う 訪問介護サービスを利用するのも良いでしょう。ご家族の介助は気恥ずかしくて嫌がる人も、まったくの他人である訪問ヘルパーさんだったら受け入れてくれることがあります。「プロに髪を洗ってもらったら気持ち良いかもしれないよ」と言うと、介助の拒否感が和らぐかもしれません。 デイサービスを使う 頭を洗うだけなのにデイサービスを使うんですか? 実は、お風呂に入るためにデイサービスを利用している人は多いんです。トイレや食事などの他のことはできても、足腰が弱ることで浴室での転倒を心配して「お風呂だけは手伝ってもらいたい」と思う人が多いんですね。それに、デイサービスではレクリエーションや機能訓練で身体を動かす機会もあります。身体機能の維持や認知症進行の緩和につながることもありますから、洗髪以外のメリットもたくさんありますよ。 母はまだ自分でできることが多かったので、介護サービスを使ったことがなかったのですが、私たちの力だけで難しそうだったら、そろそろ利用を検討しても良いのかもしれませんね。まずは、すぐにできそうなことから試してみます。 認知症の人が洗髪しないのは、洗髪することを忘れる、洗い方がわからなくなるなどの原因があるかも 家族が介助するときは、声掛けを変えて何度か試してみて 家族で難しいときは、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスも頼って pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

2023/05/29

在宅介護 デイサービス

デイサービスから帰る時間に家を留守にする場合、デイサービスは利用できませんか?

母のデイサービスの利用を考えています。ただ、デイサービスから帰ってくる時間は、私が仕事で留守にするので出迎えができません。 母は認知症のため、鍵の管理ができないですし、自分で開けられないと思います。何より鍵を持たせるのに不安があります。 こういう場合、デイサービスの利用はできないのでしょうか? (関口さん・59歳・会社員) デイサービスからの帰宅時間にご家族が留守でも、デイサービスを利用する方法はいくつかあります。例えば、デイサービスで鍵を預かってもらう方法。他にはポストの中や植木鉢の下に鍵を隠しておいて、介護職員さんに鍵を開けてもらう方法もあります。また、「キーボックス」という暗証番号で開く箱に鍵を隠しておき、介護職員さんにその箱を開けてもらう方法もあります。 デイサービスから帰る時間に留守にしてしまう 母の認知症が進行してきて、自分でお風呂に入れなくなったのでデイサービスを利用して入浴させてもらいたいと考えています。でも、デイサービスから帰ってくる時間は、17時くらいなんですよね?となると、私は仕事があるので出迎えられません。介護をしている友人が、「デイサービスから帰るときには、家に家族がいないといけない」と言っていたので…。デイサービスから帰ってくるまでに家族が帰ってこれない場合、デイサービスは利用できないんでしょうか? そうですね…。もし、お母様がご自分で鍵を開けられないのであれば、ご家族がご自宅で出迎えるのが理想ですね。お母様はご自分で家の鍵を開けられない状態ですか? はい、たぶん開けられないと思います。それに、認知症が進行しているので、なくしてしまいそうで鍵の管理をさせたくないんですよね。 わかりました。いくつか対応方法がありますので、お伝えしますね。 デイサービスの帰りの時間に家族が留守のときどうする? デイサービスから帰ってくるときに家を留守にする場合、以下のような方法で鍵を管理することがあります。 デイサービスに鍵を預ける 植木鉢やポストの下に鍵を隠しておく キーボックスで鍵を管理する デイサービスに鍵を預ける デイサービスから帰ってくるタイミングでご家族が留守にされる場合、デイサービスで合鍵を預かってくれる場合があります。そうすれば、家に着いたときにお母様の代わりに介護職員さんが鍵を開けられるというわけですね。 そうなんですね!それは助かります。 ただ、そういうデイサービスはかなり少ないのが実情。デイサービスで管理しきれないこともありますし、安全を考えて鍵の預かりを断っているデイサービスが大半です。デイサービスで鍵を預かってくれれば、とても安心なのですがそういう対応をしてくれるところの方が少ないようです。 植木鉢の下やポストの中に鍵を隠しておく 少し不用心ですが、植木鉢の下やポストの中に鍵を隠しておくという方法で、対応しているご家庭もあります。ポストを暗証番号付きのものにして安全性を高めているケースもあるようです。 母が自分で鍵を管理できないのなら仕方ないのかな…。 同じように考えて、仕方なくこの方法をとっているご家庭も多いようです。 キーボックスで鍵を管理する 市販の「キーボックス」で鍵を管理しているご家庭もあります。キーボックスとは、鍵を入れておくための箱。暗証番号式のため、番号を知っている人しか開けられないので、比較的に安全性は高いと言えます。ただ、キーボックスは「この中に家の鍵がありますよ」と言っているようなもの。キーボックスを置く位置を人目につきにくいところにしたりして、対策をとってくださいね。 なるほど…。便利な道具を使うにしても、十分に警戒することが大切ですね。デイサービスや他の家族とも相談して、良い方法を見つけていきたいと思います。 デイサービスの帰りのタイミングで家族が出迎えるのが理想 家の鍵を預かってくれるデイサービスは少ない キーボックスを使って鍵を管理するのもあり。ただ人目につかないところに置いて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/04/28

在宅介護 認知症介護

認知症の母親が夜中に大声で叫ぶので眠れません。ご近所にも聞こえているので止めさせる方法を教えてください。

認知症の母親が夜中、大声で叫ぶので困っています。昼間は落ち着いているのですが、夜になるとそわそわしだして、深夜12時ごろには大声で「お父さん、お父さん」と亡くなった父のことを大きな声で呼ぶんです。 ご近所の迷惑になるので私が必死になだめているんですが、まったく落ち着きません。こんなことが毎晩なのでいつも寝不足です。 何か解決方法はありませんか? (片山さん・会社員・61歳) どうしてお母様が夜に大声を出すのか考えてみましょう。認知症になると睡眠ホルモンが出にくくなるので、睡眠障害が起こりやすくなることがありますし、見当識障害によって時間や自分の居場所がわからず、不安になっているのかもしれません。また、大声を出したときに怒ったり、お母様の言葉を否定するのはNG。お母様に寄り添うような声掛けをしたり、温かい飲み物を飲むと落ち着くと思いますよ。 認知症の人が夜に叫ぶときのNG対応 最近、認知症の母が夜中に大声で叫ぶようになって困っています。昼間はおとなしいのですが、暗くなるとそわそわと落ち着かなくなって、日付が変わる頃に起き出してきて大声で騒ぐんです。これが毎晩続いているのでずっと寝不足ですし、仕事にも影響が出ています。先日は寝不足と疲れが重なって大声を出す母に怒鳴ってしまいました…。 うーん、認知症の人に対して、叱ったり怒ったりするのはNGなんです。 そうなんですか!?あまりにも騒ぐので、何度も叱ってしまったことがあります。 叱ったり怒ったりすることも含めて、以下のように認知症の人への対応としてNGなものがいくつかあります。理由も含めて紹介しますね。 怒る・叱る 言葉を否定する 睡眠薬で無理やり眠る 怒る・叱る まず、認知症の人は怒られたり叱られたりすると気持ちが不安定になることも。また、もっと興奮してしまって眠れるまでに時間がかかることがあります。精神状態が不安定になると、認知症の症状が進行してしまう恐れがあります。疲れや寝不足でストレスが溜まっているかもしれませんが、一旦、気持ちを落ち着けて対応しましょう。 言葉を否定する また、認知症の人の言葉を否定するような声掛けも、認知症の症状を進行させてしまうことがあります。特に、認知症の中でも「レビー小体型認知症」の場合、幻視や幻聴といった実際にはないものを見たり聞いたりする症状が出ることがあります。なので「知らない人が庭に立っている」「誰かに悪口を言われている」と言うこともあるでしょう。そのときに、「そんな人はいないよ」「誰の声も聞こえないよ」と否定すると、不安感が増して状態が悪化することも。実際には起こっていないことでも、認知症のご本人にとっては現実の出来事なので、否定されると混乱してしまうんですね。 そうなんですね。母は幻視や幻聴のような症状はありませんが、母の言葉を否定しないように注意します…。 睡眠薬で無理やり眠る 眠れないなら睡眠薬を使うこともあるんじゃないですか? そうなんですが、睡眠薬に頼りすぎるのは良くありません。特にご高齢者は薬の効果が出すぎる傾向があり、睡眠薬の影響で朝になっても起きれないことがあります。また、日中にも眠気が取れないことがあり、夜の睡眠に悪影響が出ることもあるんです。 認知症の人が夜に叫ぶときの対策は? 知らず知らずのうちに、やってはいけない対応をしていることがわかりました。では、正しい対応ってどんなことなんでしょうか? 正しい対応は、お母様の状況にもよりますので一概には言えません。ですが、以下のような対応を試してみて、状態が良くなったら継続してみてください。 大声を出す理由を聞いてみる 優しい声掛け 温かいものを飲む 日中の活動量を増やす 短時間の昼寝 大声を出す理由を聞いてみる 片山さん、お母様にどうして大声を出すのか聞いたことがありますか? そういえば、聞いたことはないですね…。「お父さん、お父さん」と亡くなった父のことを呼んでいるので父の夢でも見たのかなと思っていました。 それも理由のひとつかもしれませんね。ただ、実際のところはわからないので、お母様に直接聞いてみても良いかもしれません。認知症の影響で、お父様が生きていたころに記憶が遡っていて、お父様の姿が見えないことに不安を感じた可能性もあります。いつも一緒にいた人が急にいなくなるのは不安ですよね。理由を聞くことで、対応方法がわかることもあります。まずは、お母様に大声を出す理由を聞いてみるのも良いでしょう。 優しい声掛け 認知症の方は常に不安を感じています。そのため、その気持ちに寄り添うような優しい声掛けをしてください。それだけでも不安感は和らぐと思いますよ。 例えば、どんな風に声掛けすれば良いんでしょうか? 何かを怖がっているようなら「怖かったね。もう大丈夫だよ」「私が一緒にいるから安心して」という声掛けが良いでしょう。お父様がいないことに不安を感じている様子であれば、「お父さんは今日は泊まりで出かけているよ」と言うのも効果があるかもしれません。 温かいものを飲む お母様がなかなか寝付けない様子であれば、温めた牛乳やココアを飲むのもおすすめです。お母様が落ち着かないときには、温かいものを飲みながらゆっくりおしゃべりをするのも良いかもしれませんね。 日中の活動量を増やす お母様がよく眠れるようにするには、日中の活動量を増やすのも効果的です。昼間に趣味の活動や運動などをしてほどよく疲れることで睡眠状態が良くなりますし、太陽の光を浴びれば体内リズムの調整にもつながります。具体的には、近所を数十分でも散歩するのも良いでしょう。デイサービスを活用して、昼間の活動時間を確保するのもおすすめです。 デイサービスは使ったことがなかったです。きちんと夜に眠るためには、規則正しい生活が大切って言いますもんね。 短時間の昼寝 昼寝ってむしろ夜に眠れなくなりそうですけど…。 確かに、長時間、寝てしまうと夜の睡眠に悪影響があるでしょう。ですが、15~30分のお昼寝なら夜の睡眠の影響が少ないと言われています。お母様があまりにも眠い様子があれば、短いお昼寝時間を作ってみるのがおすすめです。 認知症の人が夜に叫ぶ理由は? いくつか対応方法がわかって安心しました。…でも、そもそもどうして母は夜中に叫ぶようになったのでしょうか?少し前までは、そんなことはなかったんですが…。 認知症を発症すると夜に眠れなくなる理由がいくつかあります。具体的には以下のようなものです。 夜間せん妄 睡眠障害 レム睡眠行動障害 見当識障害 身体的な原因 夜間せん妄 「せん妄」とは幻覚や妄想、興奮状態にあること。先ほども言った通り、認知症の影響で幻覚症状が出ることがあります。それに、認知症の人は認知機能の低下で自分が置かれている状況が理解できず、常に不安を抱えています。そのうえ、夜は真っ暗で周りの状態がわからなくて不安感が強くなる傾向があります。そういったさまざまな原因が重なって、認知症の人は夜になると不安感が強くなり興奮状態になって大声で叫ぶケースが多々あるんです。幻覚への対応については、以前のご質問でも答えているので、参考にしてみてください。 睡眠障害 認知症と睡眠状態に関係あるんですか? そうなんです。認知症によって脳の機能が低下すると睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌が低下します。それによって体内リズムが狂い、夜眠れなくて昼間に眠る「昼夜逆転」状態を起こしやすくなるんです。昼夜逆転については、以前のご相談でもお話ししています。参考にしてみてくださいね。 レム睡眠行動障害 「レム睡眠行動障害」はレビー小体型認知症の人に多い症状です。睡眠は、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を繰り返します。レム睡眠行動障害は、脳の機能低下の影響でこのレム睡眠の間に身体が動いてしまう状態。眠っているのにも関わらず、夢の中と同じ行動を起こしてしまいます。つまり、怖い夢を見ているせいで現実でも大声で叫んでいるのかもしれません。 見当識障害 認知症の症状のひとつに「見当識障害」があります。これは、自分が「今、どこにいるか」「今、何時なのか」「目の前の人は誰か」といったことがわからなくなる状態です。誰でも、目を覚ましたら知らないところにいたら不安ですよね。だから、助けを求めてお父様のことを呼んでいる可能性があります。 それはあるかもしれないですね。いつも不安そうに父を呼んでいるので…。 身体的な原因 それに、身体的なことも大声を出す原因となることがあります。具体的には、手足が痛んだり、便秘で不快な場合です。認知機能の低下の影響で、痛みや不快感を上手く表現できなくなることがあります。そうした「嫌な感覚」が総じて不安感になって叫んだり暴れたりといった行動につながるケースもあるんです。 便秘が夜に騒ぐ原因になることがあるんですね…。母の様子をよく見て、対応したいと思います。 認知症の人はせん妄や見当識障害などの影響で夜中に叫ぶことがある 夜中に叫んだときに怒ったり、言葉を否定することはNG。逆効果になることも 昼間の活動量を増やしたり、優しい声掛けを心がけることで症状が緩和されることがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/04/28

施設入居 在宅介護 介護の基礎知識

一人っ子だから母親の介護を誰にも頼れない!一人での介護に限界を感じています。

数ヵ月前、母が転倒して脚を痛めてから週に2回、実家に通って介護をしています。母は身の回りの最低限のことは自分でできるものの、以前のように家事はできません。父も同居していますが、全く家事ができない人で…。 それに、私は一人っ子で他に頼れる親族もいません。今はなんとかなっていますが、今後、母の状態が悪くなって常に介護が必要になったり、父の介護もしないといけない状況になったらと考えると不安です。 私一人でも介護ができる方法はあるでしょうか? (栗原さん・61歳・パート) 介護は一人で抱え込まなくても良いんです!介護の相談窓口や在宅介護サービスにどんどん頼りましょう!介護の相談窓口には、「地域包括支援センター」や市区町村の福祉相談窓口などがあります。そこで相談すれば、在宅介護サービスの利用手続きなどのアドバイスがもらえますよ。もし在宅介護サービスを駆使しても在宅介護を続けるのが難しい状況になったら、介護施設に入居することも検討してみてください。有料老人ホームなどのさまざまな種類の施設があるので、きっとお母様にぴったりの施設がみつかりますよ。 一人っ子の介護は相談窓口を頼ろう 実家の母が先日転倒して、ほとんど歩けなくなりました。母は父と二人暮らしですが、父が家事ができない人なので私が週に2回、実家に通って料理や洗濯をしています。私は一人っ子なので、介護はすべて私一人でやらないといけません。でも、今は母も身の回りのことは最低限できているものの、これから先、もっと介護が必要になるかもしれません。それに父の介護も必要になるかも…。そう考えると不安でいっぱいです。このままやっていけるでしょうか? 介護は一人でできるものではありませんよ!まずは誰かに頼りましょう!すぐに頼れるご親族がいないのであれば、介護の相談窓口に頼るのはどうでしょうか? 介護の相談窓口、ですか? そうです。以下のような相談窓口や相談先を持っておくことで、介護がかなり楽になりますし、これからの介護のアドバイスをもらえることもありますよ。 地域包括支援センター 市区町村の福祉相談窓口 医療機関 地域の民生委員 知り合い 地域包括支援センター 「地域包括支援センター」とは地域のご高齢者の暮らしを、介護・医療・福祉といった面から支援する窓口です。ご高齢者の生活の「総合相談窓口」ですね。保健師やケアマネジャーなどの福祉や介護の専門家が、ご高齢者の暮らしの相談に乗っています。市区町村が運営する福祉施設内に設置されていたり、特別養護老人ホームに併設されていることもあります。地域によって呼び方が異なることもありますので、お住まいの自治体に確認してくださいね。 うちの地域の地域包括支援センターはどこにあるんだろう?調べてみなくちゃ。 市区町村の福祉相談窓口 市区町村の役所に福祉に関する相談窓口が設置されています。「高齢者福祉課」「介護保険課」など名称は自治体によって異なりますが、役割は概ね同じです。介護サービスを利用するときに必要な「要介護認定」の申請もこの窓口でおこないます。介護をするうえで、介護サービスはぜひ使っていただきたいのでこの相談窓口を活用していってください。また、要介護認定は前に紹介した地域包括支援センターでも手続きができます。 医療機関 医療機関って病院のことですよね?病院で介護の相談ができるんですか? はい。特に認知症が疑われる場合は、かかりつけ医に診てもらうことになりますから、病院は介護と切っても切り離せない存在なんですよ。また、怪我や病気がきっかけで介護が必要になることもあります。そういうときにも介護や治療の相談に乗ってくれますよ。 地域の民生委員 地域の民生委員さんも介護するうえでの強い味方。民生委員さんは介護に関わらず、暮らしで困ったことがあったときに行政サービスなどにつないでくれます。地域のご高齢者の家を訪問して顔見知りになっていることもあるので、地域の民生委員さんに頼るのもひとつの手です。 知り合い もし、ご近所やお知り合いに介護の経験がある人がいれば、その人に相談してみるのも良いでしょう。自分の介護経験から具体的なアドバイスがもらえるかもしれませんし、何より、気軽に話ができます。それに、誰かに話すだけでも気持ちが楽になることもありますよね。 一人っ子の介護は介護サービスを駆使して そういえば、お母様は介護サービスを利用していますか? いえ、利用していません。身の回りのことはなんとか一人でやっているみたいですし、まだ必要ないかなと思って。 いえいえ、在宅介護サービスでは掃除や料理などの家事の依頼もできますし、身体の衰えを防止するために介護施設に通って介護予防体操などをするサービスもあるんですよ。そういったサービスを活用すれば、栗原さんの負担がもっと軽くなるんじゃないでしょうか? へー!トイレや食事の介助をしてくれるだけかと思っていました。在宅介護サービスってどんなものがあるんですか?詳しく教えてください。 もちろんです!在宅介護サービスにはたくさんの種類があります。具体的には以下のサービスです。 訪問サービス 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所サービス 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 宿泊サービス 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 複合サービス 小規模多機能型居宅介護 主なサービスについて紹介していきますね。 訪問サービス 訪問サービスとは、介護の専門家が自宅まで来てくれてサービスを提供するものです。慣れた環境で介護を受けられるのが魅力です。 訪問介護 訪問介護は、訪問ヘルパーさんが自宅で介護サービスを提供するもの。入浴、排泄、食事などの身体介助や、料理、掃除、洗濯などの生活支援もおこないます。 訪問介護は聞いたことがあります!うちまで来てくれるなんて、助かりますよね。 訪問リハビリ 訪問リハビリは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士というリハビリの専門家が訪問してくれるもの。自宅で一対一のリハビリが受けられ、自宅の設備に合わせた動作の方法や介助方法の指導もしてくれます。また、身体状況に合わせた福祉用具や住宅改修のアドバイスももらえます。 そんなこともしてくれるんですね!母が脚を悪くしてから家の中の小さな段差を怖がって部屋から出ることが減ったんです。アドバイスをもらえたら、もう少し動いてくれることが増えるかも…。 通所サービス 通所サービスは、介護施設に通ってサービスを受けるものです。介護施設での本格的なリハビリが受けられたり、サービスを受けている間、介護している人の時間が作れるなどのメリットがあります。 通所介護(デイサービス) デイサービスは、介護施設に行って食事や入浴などの介助を受けられるサービスです。レクリエーションで体操をしたり、機能訓練なども受けられます。利用時間は、9~17時までのパターンが多いですね。 宿泊サービス 宿泊サービスは短期間の宿泊ができるサービス。ご家族が家を数日留守にするときや旅行などに行くときに利用されます。つまり、ご家族がどうしても介護ができなかったりリフレッシュをしたいときに利用できるサービスですね。 家族のリフレッシュのためのサービスがあるんですね!知らなかったです。 短期入所生活介護(ショートステイ) ショートステイは、1日から介護施設に宿泊できます。宿泊している間は食事や入浴、排泄といった一通りの介助をしてもらえます。最大30日まで連続で利用できるので、老人ホームに入居する前の待機期間中に利用されることもあります。 複合サービス 複合サービスは、訪問・通所・宿泊サービスをすべて提供するサービスのこと。複合サービスは小規模多機能型居宅介護の1種類だけです。 小規模多機能型居宅介護 小規模多機能型居宅介護では、1つの同じ介護事業所が訪問・通所・宿泊の3つのサービスを提供します。それぞれのサービスを別々の事業所から受けることもできますが、一括して同一の事業所から受けることで、すべてのサービスを同じスタッフさんから受けられるのです。自宅、デイサービス、ショートステイのそれぞれ場面での様子を把握している人にケアしてもらえる安心感があります。それに、ご家族としても信頼関係のできているスタッフさんからサービスを受けられるのは魅力ですよね。 在宅介護が厳しくなったら施設入居も 在宅介護サービスについてお話ししましたが、今後、お母様の状況が変化していくと、在宅介護を続けるのが難しくなるかもしれません。 それは私も思っていました。今はトイレも入浴も自分でできますが、これからどうなるかわかりません。それに、父も高齢ですから介護が必要になるときが来ると思います。二人とも同時に介護が必要になったら、一人っ子の私が介護をしていけるとは思えなくて…。 そうですよね。不安になりますよね…。もし、「どうしても在宅介護が難しい」と感じたら、老人ホームなどの介護施設に入居することも考えてみてください。 老人ホームですか…。もしかしたら、近い将来、入ることになるかもしれません。でも、老人ホームってどんなものがあるんでしょうか?いろんな種類があるということを以前聞いたことがあるのですが…。 おっしゃる通りです。介護施設には、以下のようにたくさんの種類があります。 民間施設 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 公的施設 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院 養護老人ホーム ケアハウス 今回は、「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「特別養護老人ホーム(特養)」について紹介しますね。 民間企業が運営する介護施設 民間企業が運営する施設は、自由度が高いのが特徴です。ホームページや資料を見るだけでも、施設ごとの特徴がはっきりしていることがわかると思います。それだけに、明確な希望の条件を定めてから施設探しをすることをおすすめします。 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、「有料老人ホーム」と名の付く介護施設の中でも介護がより必要な人向けの施設。介護スタッフが24時間常勤しているので、夜間にトイレ介助やおむつ交換が必要な人も入居できます。 そうなんだ!だったら安心ですね。 サービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅は、比較的にお元気なご高齢者向けの施設。介護スタッフが常に常駐しているわけではなく、介護サービスが必要なときは外部の訪問介護やデイサービスと契約が必要です。全館バリアフリーになっているので、「段差があるから自宅で暮らすのは不安だけど、そこまで介護が必要ではない」という人にはぴったりです。 なるほど。今の母には合いそうな施設ですね。 公的な法人が運営する介護施設 公的な介護施設は、社会福祉法人や医療法人が運営している施設です。民間施設よりも安いのが魅力ですが、入居の際の条件が多いのが特徴です。 特別養護老人ホーム(特養) 特別養護老人ホームは、要介護3以上の人が入れる施設です。要介護3というと、歩行がほぼできなかったり認知症が進んでいるために日常生活のほとんどで介護が必要な状態。ご自宅での介護が難しくなると、まず入居の候補に上がる介護施設です。 確かに、歩けないと自宅での介護は難しいですよね…。うちの両親がそうなったら、老人ホームに入ってもらわないといけなくなるかも。 ただ、一人っ子の栗原さんの場合、介護すること自体はもちろん、介護サービスの利用手続きや施設探しも一人ですることになると思います。仕事や介護、諸々の手続きを並行するのはとても大変です。ご両親の介護に限界を感じてからではなく、余裕のあるうちから施設探しを始めてくださいね。 一人っ子が介護するときは相談窓口を積極的に頼ろう! 在宅介護サービスをどんどん使って負担を減らすのが大切 在宅介護が難しくなったら、施設に入居することも考えて pre { margin: ...

2023/04/27

排泄 認知症 在宅介護

認知症の母親が夜間におむつ外しするので、対策を教えてください。服やシーツが毎日汚されて大変!

同居する認知症の母を介護しています。私の知らないうちに尿パッドをリハビリパンツから抜いており、服を汚してしまいます。夜はおむつをしているのですが、おむつのテープを外してしまって服とシーツを汚すんです。 常にパッドを抜いていないか気を張っていないといけませんし、毎日のように汚れたシーツや衣類の洗濯をするのにも疲れました。どうにかならないでしょうか? (広瀬さん・パート・63歳) もしかしたら、濡れたパッドが肌に触れるのが嫌でおむつやパッドを外してしまうのかもしれません。そういうときは、お母様の排泄のパターンを把握してそれに合わせてトイレの誘導やおむつ交換をしましょう。濡れたおむつやパッドが肌に触れる時間を減らすことで外す回数も減るかもしれません。 認知症の人がおむつを外す原因は? 認知症の母が尿パッドやおむつを外してしまって困っています。母は、昼はリハビリパンツに尿パッドを付けて使っています。ただ、しばらくすると自分で尿パッドを抜いてしまい、汚れたパッドが床に落ちていることもあります。リハビリパンツだけでは足りないのでズボンも汚してしまい、1日に何度も着替えさせないといけません。それだけじゃなくて、夜もおむつを自分で外してしまうので来ている服もシーツも洗濯しないといけないんです。常にパッドやおむつを外していないか、気を張っていないといけない状況に疲れました。何か良い方法はないでしょうか? おむつやパッドを外してしまうことの対応方法はいくつかあります。でも、どうしてお母様がおむつやパッドを外してしまうのかをきちんと理解していないと、対策をとっても効果がないかもしれません。それどころか逆効果になってしまうこともあります。なので、まずは原因を見極めましょう。それに合わせた対策をとっていくのが大切ですよ。 おむつやパッドを外してしまう原因と言っても、すぐに思いつきません…。どうして母はきちんとおむつやパッドを着けていてくれないんでしょうか? ご高齢者がおむつやパッドを外してしまう原因はいくつか考えられます。具体的には、次のようなことです。 おむつやパッドが恥ずかしい なぜおむつをしているのかわからない 着けているのが気になる 濡れているのが不快 肌がかぶれていてかゆい おむつやパッドが恥ずかしい ご高齢者の中には、おむつやパッドをすることを恥ずかしいと感じる人もいます。これまで当たり前のようにできていた「トイレに行って用を足す」ということができなくなったのを受け止められないんですね。それにおむつやパッドを使う人の多くは、排泄時に介助が必要です。介助を受けることを「情けない」と考え、目を背けたい気持ちから外してしまうのかもしれません。 なぜおむつをしているのかわからない 「なぜおむつをしているのかわからない」ってどういうことですか?私は母に「普通のパンツだと漏らしてしまうかもしれないから」と何度も説明していますから、おむつやパッドを着けている理由がわからないことはないと思うのですが…。 うーん、これが認知症の人を介護することの難しさなのですが、認知症になると新しいことを覚えるのが苦手になるのはご存知だと思います。なので、おむつやパッドの必要性を説明されても、しばらく経つと忘れてしまっている可能性が高いです。そのうえ、おむつやパッド、リハビリパンツはほとんどの人にとってなじみの薄いもの。そのため、お母様は「なんでこんなものを履いているの?」と、おむつやパッドに違和感を抱いて外してしまっているのかもしれません。 あれだけ言っても必要性を理解してくれていなかったんですね…。 認知症の人が新しいことを覚えるのには時間がかかります。根気強くいきましょう。 濡れているのが不快 もし、お母様が外しているおむつやパッドが尿で汚れているのであれば、濡れているものを着けているのが嫌で外していることも考えられます。特に、リハビリパンツの中に尿パッドを入れて使っている状態は、簡単にパッドを外しやすいですから、「濡れていて気持ち悪いから取ろう」とパッドをパンツから抜いているのかもしれません。 そういえば、母が抜いてしまったパッドはいつも濡れています。もしかしたら、濡れているのが嫌だったのかもしれません。 おむつが濡れていて不快な状態が続くと、おむつの中を触ってしまって「弄便(ろうべん)」につながることがあります。便で汚れた手を服やふとんになすりつけたりして周囲を汚してしまうことも多いんです。弄便については、以下のご相談でもお答えしているので、ぜひ参考にしてみてください。 肌がかぶれていてかゆい 在宅介護で意外と気が付きにくいのが、肌のかぶれです。おむつやパッドを使っていると蒸れやすいので肌トラブルが起きやすい状態ですが、家事や介護に忙しくて肌の状態にまで目が向かないのが実情ではないでしょうか。そして、肌のかぶれをそのままにしたままでおむつやパッドをしているので、肌がかゆくて外してしまうんですね。 認知症の人がおむつを外すときの対策は? 母がおむつやパッドを外してしまう原因に、いくつか思い当たるものがありました。どう対策していけば良いんでしょうか? 外してしまう原因と同じように対策もいくつかありますから、お母様の状況に応じていろいろ試してみると良いでしょう。具体的には、以下のような対策があります。 「おむつ」という言葉を使わない 排泄パターンを把握する 布パンツに変える 「おむつ」という言葉を使わない なんで「おむつ」と言ってはいけないんですか? おむつやパッドを使うのが恥ずかしいと感じている人に「おむつ」と言うと、いかにも「介護を受けている」と感じて情けない気持ちになることもあるからです。それが理由でおむつを使うことを嫌がったり、外してしまうこともあるんですよ。なので、「おむつ」という表現を避けて、「紙パンツ」「使い捨て下着」のような言い方に変えてみるのもひとつの手。ちょっとした言い方を変えるだけでお母様の気持ちが変わって、おむつ外しがなくなるかもしれませんよ。 排泄パターンを把握する 「排泄パターン」って何ですか? 多くの人は、1日の中で排泄するタイミングがおおよそ決まっています。例えば、起きてすぐの7時ごろ、朝食が落ち着いた9時ごろ、昼食が終わった13時ごろ、お茶をする15時ごろ…といった具合です。 トイレへ誘導するコツ トイレに誘導するタイミングを誤ると「さっきも行ったのに!」「しつこい!」などと思わせてしまい、トイレ拒否へとつながることも。そうならないためには、トイレに行く時間を日々記録し、把握しておくことをおすすめします。同じ時間にトイレ誘導することで、本人のリズムで排泄でき、トイレ拒否改善にもつながります。 また声をかける際は、「トイレの時間だから行くよ!」といった強制感のある言葉ではなく、「トイレは大丈夫?」など、本人の気持ちに寄り添った声かけをしましょう。 排泄パターンに合わせてトイレに誘導してパッドを取り替えたり、夜におむつ交換をしたりすれば、濡れたパッドが肌に触れている時間が減っておむつやパッドを外してしまうことも減るでしょう。 布パンツに変える もし、お母様がおむつやリハビリパンツを履いていること自体に違和感があって外しているのだとしたら、布パンツに変えることで失禁が改善する可能性があります。 むしろ、布のパンツに変えたらもっと失禁が増えちゃいませんか? いえ、なじみのないおむつやリハビリパンツから慣れている布パンツにすれば、気になってパッドやおむつをいじることが減るかもしれません。もちろん、布パンツの中にパッドを入れて失禁対策はしますよ。かぶれが起きにくくなりますから、肌の状態も良くなるでしょう。 おむつを使うメリット・デメリット 一見、メリットが大きいように見えるおむつですが、一方でデメリットも存在します。 おむつを使用するメリット 失禁の不安がなくなり、安心して外出できる夜間に使用することで、高齢者自身と介護する人の身体的負担を軽減できるトイレに移動する際の転倒リスクを減らせる おむつを使用するデメリット 自尊心が傷つくトイレに行くことが少なくなり、残存機能の低下を招く尿意や便意を感じにくくなる皮膚トラブルが多くなる費用面での負担が増える おむつの使用は最終手段として考え、トイレでの排泄が基本であることを忘れないようにしましょう。 おむつやパッドをしている理由を忘れてしまったり、濡れているものが肌に触れる不快感から外してしまうことがある 排泄パターンを把握して排泄介助をしたり、布パンツにパッドを入れることで状況が良くなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/04/25

施設入居 在宅介護 介護の基礎知識

通いで両親の介護をするのが限界!もう疲れました…

半年ほど前から、電車で片道2時間ほどのところの実家に住む母を介護しています。週2回くらい実家に通っている状況です。 今まで父は家のことは母に全部任せきりだったので、父はなかなか家事がこなせないようです。実家に帰る度に家がめちゃくちゃになっているんです。 父も家事が上手くできないことを母に指摘されることが度々あり、毎日のようにケンカしています。父も私も疲弊しているのを感じています。 こんな状況をどうにかしたいのですが、どうしたら良いかわかりません。何か良い方法はないでしょうか? (岩本さん・62歳・パート) 仕事や自分の家のことをしながら、通いで介護をするのはとても大変ですよね…。お母様は介護サービスを利用していますか?まだ利用していないのであれば、まずは介護認定から始めましょう。介護認定が下りれば介護サービスが利用できますから、できるだけ介護サービスに頼って、介護をもっと”楽”にしましょう!それでも「通い介護は難しい」と感じたときは、介護施設への入居を考えてください。親御さんを介護施設に入れることに抵抗がある方もいらっしゃいます。が、ご自分の生活が一番大切です。無理して通い介護を続けていると、体調をくずしたり「介護うつ」になってしまうこともあります。介護サービスを活用して”ほどほどにがんばる介護”を心がけてみてくださいね。 通い介護に疲れたときの相談先 半年ほど前に母が脚を骨折してから、片道2時間ほどの実家に住む母の介護をしています。母は長い時間立つのが難しいので家事がほとんどできず、主に父が家事や介護をおこなっています。ただ、父はこれまで家のことを母に任せっぱなしで、料理も洗濯もろくにできなかった人です。家事が上手くできなくてしょっちゅう母に指摘されるので、毎日のようにケンカしているのでこちらもイライラしてしまいます。それに、週に2回ほど実家に私が帰ると、家の中がめちゃくちゃになっていてそれを見るのも憂鬱です。でも、私も自分の家のことや仕事もあるのでこれ以上帰る回数を増やせません。どうにかしたいとは思うのですが、どうしたら良いかわからないし、どこに相談したら良いのかもわからなくて…。 なるほど…。通い介護は大変ですし、お父様の負担も大きそうですね。でしたら、まずは介護で悩んだときの相談先をお伝えします。「何から手を打ったら良いのかわからない」という疑問も解決できると思いますよ。 地域包括支援センター 「地域包括支援センター」とは、市区町村に1つは必ず設置されている窓口。介護に限らずご高齢者の生活全般について相談できます。 市区町村の福祉相談窓口 地域包括支援センターはどこにあるのかわからない場合でも、市役所の場所はわかりますよね。なので、もしかしたらこちらの方が相談しやすいかもしれません。「高齢者福祉課」「介護保険課」など、自治体によって名前が異なるので、窓口がわからなければとりあえず役所に行ってみるのもありですよ。 なるほど、役所なら相談しやすいです。行ってみます! 医療機関 医療機関でも介護の相談ができるんですか? そうなんです。特に認知症が疑われる場合は、ドクターが強い味方になります。具体的には、「最近、物忘れが多いかも」「会話が噛み合わない」などの異変を感じたときはドクターの出番です。あとは、病気や怪我が原因で入院して、介護が必要になったときも医師に相談するのが良いでしょう。 認知症か…。まだうちの母はそんな感じはしないですが、気をつけておいた方が良いのかも。 地域の民生委員 また、地域の民生委員さんも介護の相談に乗ってくれます。民生委員さんは、地域のご高齢者の家を訪問して顔見知りになっていることも多いので、ご両親の住む地域の民生委員さんに相談してみるのも良いかもしれません。 知り合い もし、身近に介護の経験をしたことがある人がいたらその人に相談してみるのもあり。ご家庭によって状況が異なるので、その人の解決法が必ずしも岩本さんの悩みも解決できるとは限りませんが、誰かに話すだけでも気持ちが楽になることもあるので、積極的に頼ってみましょう。 そういえば、うちの近所でお母さんを介護している人がいた気がします。その人に相談してみるのも良いのかな。 通い介護に限界を感じたら在宅介護サービスの活用を そういえば、お母様は介護サービスを利用していますか? 利用していないです。まだ、そこまでの状況ではないと思って…。介護サービスって認知症とか、自分でトイレにも行けないとか、そういう状態の人が使うものじゃないんですか? いえいえ!もっと状態の軽い人でも利用できますよ。特に岩本さんのお宅は、通い介護で負担が大きいと思うので、積極的に活用していきましょう! と言われても…。どうやって介護サービスを利用したら良いのかわからないです。 では、介護サービスを利用するまでの流れをお話ししていきますね。 初めて利用する場合は介護認定から 介護サービスを利用するには、はじめに介護認定を受ける必要があります。その介護認定によって「要介護度」が決定し、介護度に応じて利用できる介護サービスの量がわかります。介護認定を受けるときの流れは以下の通りです。 介護認定の申請をする 認定調査を受ける 認定結果の通知を受ける ケアマネジャーを選ぶ 介護サービスを利用開始する 1.介護認定の申請をする 介護認定の申請は、認定を受ける人が住んでいる市区町村の役所でおこないます。つまり、お母様が住んでいる地域の役所で手続きをおこなうわけです。 2.認定調査を受ける 認定調査は「介護認定調査員」がお母様を訪ねて、直接の面談でおこなわれます。この面談でお母様の受け答えや身体の動き、普段の生活能力などを確認します。 3.認定結果の通知を受ける 介護認定の申請から30日以内に認定結果が知らされます。介護認定は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに分類され、「要介護1~5」に認定されると「介護保険サービス」が利用できるようになります。 4.ケアマネジャーを選ぶ 介護認定が下りたら、介護サービスを利用するためにケアマネージャーを探しましょう。ケアマネージャーとは、「ケアプラン」と呼ばれる介護サービスの計画書を作る専門家。介護サービスや介護の悩みの相談窓口でもあります。このケアマネージャーは、役所か地域包括支援センターに相談するとケアマネージャーの事業所(居宅介護支援事業所)のリストをもらえるので、その中から選びます。 5.介護サービスを利用開始する ケアマネージャーにケアプランを作成してもらい、それに沿って介護サービス事業所と契約をすれば、あとは介護サービスの利用が開始されます。 初めて聞く言葉も多いし、なんだかややこしいですね…。 そうなんですよね…。初めてのことでわからないことが多いと思うので、わからないことがあったら逐一、担当者に質問したり、役所の窓口に相談してみてくださいね。 在宅介護サービスの種類 えーっと…。介護認定が下りたら介護サービスを利用できるわけですよね。でも、介護サービスってどんなものがあるんですか?よくわからなくて…。 では、ここからは在宅介護サービスの代表的なものについて簡単にお伝えしましょう。他にも在宅介護サービスはいくつもあるので、詳しく知りたい場合は以下の記事もチェックしてみてくださいね。 訪問介護 訪問看護 通所介護(デイサービス) 短期入所生活介護(ショートステイ) 訪問介護 訪問介護は、ご自宅の訪問ヘルパーさんが来て掃除や食事の支度などの身の回りの世話や、排泄介助、入浴介助といった介護をしてくれるサービスです。介護サービスの対象者であるお母様に関する家事・介護しかしてもらえませんが、食品の買い物などもやってもらえるので、どうしても岩本さんやお父様の手に余るような家事をお願いするのも良いかもしれません。 訪問看護 訪問看護は、訪問介護と同じように訪問看護師さんがご自宅に来て健康管理や、薬の管理、医療ケアを提供してくれるサービスです。健康な人には日常的な健康管理をおこない、医療的ケアが必要な人には点滴や注射といった医療処置も提供可能です。 通所介護(デイサービス) デイサービスは、介護施設にご高齢者が通ってケアを受けるサービス。具体的には、食事、入浴、排泄介助といった身の回りの介助に加えて、レクリエーションや機能訓練なども提供します。ご高齢者の集いの場となっているので、自宅にこもりがちな人でも自然と人との交流ができる環境です。 短期入所生活介護(ショートステイ) ショートステイはその名の通り、介護施設に短期間宿泊できるサービスです。1日から利用でき、最長30日間連続の宿泊もできます。利用するご高齢者も気分転換になりますし、ご家族も介護から離れてリフレッシュする時間が確保できるのが魅力。介護をするご家族が休憩するためのサービスとも言えるんです。 施設入居も検討して 在宅介護サービスっていろんなものがあるんですね。もっと早く使っておけばよかった…。 そう思っていただけたのなら良かったです!介護は他の人に相談しにくく、一人で抱え込む方が多いんです。なので、ご紹介したようなサービスを活用して、どんどん介護のプロに頼りましょう!ただ、もしかしたら在宅介護サービスを使っていても「介護がきつい」と感じるときが来るかもしれません。そういうときは、老人ホームなどの介護施設に入居することも検討してくださいね。 えっ、老人ホームですか?でも、私もまだまだ介護できますし…。何より、父は「介護は家族がするもの」と口癖のように言う人です。それで母を施設に入れるなんて、父が首を縦に振るはずありません。 なるほど…。もしかしたらお父様は「施設に入れるのはかわいそう」と思っているのかもしれませんね。でも、無理して在宅介護を続けることで、岩本さんやお父様が体調を崩してしまうこともあるかもしれません。そうなってしまっては元も子もないですよ。介護は楽をして良いんです。むしろ岩本さんとお父様が体調を崩してお母様の介護ができなくなったら、お母様が生活できなくなってしまいますよね。そうならないように、「在宅介護は限界かも」と感じたらすぐに施設探しを始めましょう。 うーん、そうですね…。でも、老人ホームにもたくさんの種類があるんですよね?違いがよくわからなくて…。 でしたら、主な介護施設について簡単にお話ししていきますね。代表的な介護施設には以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム 特別養護老人ホーム(特養) 介護施設の種類 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、24時間介護職員さんが常駐しているので、トイレ介助といった夜間の介助が必要な方におすすめです。また、日中には看護師さんも常駐しているため、インスリン注射などの医療ケアが要る場合でも入居ができます。 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームは、訪問介護やデイサービスなどの在宅介護サービスを利用しながら生活する施設。そのため、介護サービスの組み合わせの自由度が高いのが特徴です。 サービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅は、基本的には介護の必要のないご高齢者向けの住まい。中にはカラオケやフィットネスジムなど、元気に活動できる設備が整っている施設もあります。サ高住に入居して介護サービスを使いたい場合は、在宅介護サービスの事業者と別途契約が必要になります。 グループホーム グループホームは、認知症のご高齢者限定の施設です。少人数の「ユニット」単位で生活しており、1ユニット9名までと定められているのが特徴なんです。ただ、「介護度が要支援2以上」「施設のある市区町村に住民票があること」などいくつか入居条件があるので、入居を希望する場合は注意が必要です。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、公的施設のため比較的、費用が安いのが特徴です。ただ、安価なためとても人気で、入居までに1年以上待つケースも。「すぐに入居したい」と思っても入居できないのがネックなんです。そのため、特養に入居したい場合は、余裕のあるうちから入居の申込みをするのがおすすめです。 介護施設ってこんなに種類があるんですね…。 実は、ここでお話ししたのは一部だけ。詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。 通い介護を無理して続けて起きる問題 通い介護は介護をする人にとって負担が大きいですよね。移動時間もかかりますし、頻繁に通うとなると交通費も高額になってしまいます。それでも、無理をして通い介護を続けていくと次のような問題が起こる可能性があります。 介護離職 老老介護 介護うつ 介護虐待・殺人 在宅介護で虐待が起こる理由 在宅での介護で虐待が起こる一番の理由は、虐待者の介護疲れやストレスです。介護は食事・入浴・排泄の介助など、身体的に負荷がかかるものが多く、肉体的な疲労が精神的疲労にもつながりやすいものです。 さらに、高齢者の生活を支えていくには、一日の中で長時間の付き添いが必要です。そのため、介護者がゆっくりと過ごす時間が減り、自宅にこもりきりになります。 いつまで介護が続くかわからない状況で、外部との交流が減ったり、肉体的な疲れから追い詰められ、虐待に発展してしまうことも多いです。 また、介護費用がかかることや、介護に時間を使うことで収入が減り、経済的な不安から虐待につながることもあります。在宅介護は閉鎖的な環境で、一人で抱え込みがちになってしまうため注意が必要です。 「介護虐待」とか、テレビで聞いたことがあります…。でも、虐待してしまうのって寝たきりの人を介護していたり、介護がすごく大変なケースですよね?うちの母はまだ元気ですし…。 いえ、これらの問題は介護をするすべての人に起こる可能性があります。現に、岩本さんのご実家でもお父様がお母様を介護する「老老介護」の状態になっていますよね。老老介護は、介護をしている人も高齢のために体調を崩しやすいですし、「気がついたら介護している人が認知症になっていた」という話もあるんですよ。それくらい共倒れしやすい状況なんです。 え、父が認知症に…?うーん、確かに父も高齢ですし、ありえないことではないですよね…。 老老介護・認認介護とは 老老介護とは 老老介護とは、高齢者が高齢者を介護している状態のことを言います。具体的には、介護する人も介護される側の人も65歳以上の高齢の場合で、さらに、共に75歳を超えている場合には「超老老介護」とも言われます。 日本では、老年人口と呼ばれる65歳以上の高齢者の割合が25%を超えてきており、完全に超高齢社会となりました。要介護者の人数が増加に伴って老老介護のケースも増えており、問題になってきています。 認認介護とは 認認介護とは、認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護している状態を言います。老老介護と同様に高齢社会に伴って増加の傾向にあります。 厚生労働省が2019年に実施した調査の結果では、介護が必要になった理由として一番多かったのは認知症であり、認知症患者の増加が認認介護が増えてきている要因となっています。 また、要介護申請をしていない人は現在800万以上いるといわれており、実態は調査結果などの数字以上に増加している可能性もあります。 不安になるようなことを言ってすいません。ただ、そういうリスクを想定して介護サービスを積極的に使ったり、少しでも異変があったらケアマネージャーなどの専門家に相談しましょう。お母様の介護も大切ですが、岩本さんとお父様の生活が第一です。いろんなサービスを頼りながら”楽”に介護できる環境を整えてくださいね。 在宅介護サービスを活用して、通い介護の負担を軽減して 介護サービスを利用するときは、まず介護認定から 老老介護は介護する人が認知症になって介護できなくなることも… pre { margin: 40px 0; ...

2023/03/03

認知症対策 在宅介護 認知症介護

悪口ばかり言う認知症の母親との関わり方がわかりません。夜中に起こされることも増えました。

同居している母の介護をしています。半年ほど前にアルツハイマー型認知症と診断されました。物忘れが多くなってきたのはしょうがないと思っているのですが、急に殴りかかってきたり、ひどい悪口を言ってくるようになりました。以前はそんなことをする人じゃなかったのに…。 「認知症だからしょうがない」と割り切っているものの、どうしてもこちらも感情的になって怒鳴り返してしまいます。認知症の母との上手い関わり方を教えてください。 (平井さん・67歳) 一生懸命に介護しているのに、ひどいことを言われたり暴力を受けるのはつらいですよね…。認知症の人が不安にならないような対応をしてみると、お母様も安心して穏やかに話せるかもしれません。例えば、ゆっくり大きな声で話をしたり、お母様のペースに合わせて行動をしてみましょう。反対に、早口で話したりお母様の行動を急かすような声掛けは、お母様の不安感を大きくしてしまいます。また、認知症の方との関わり方で注意が必要なことは、シチュエーションによって少し異なります。その辺りも注意してみてくださいね。 認知症の人との関わり方のポイント 認知症の母の介護をしています。昔は働き者で料理好きの明るい人だったのですが、このところ急に怒鳴ったり殴りかかってくることが多くなりました。物忘れが多くなってきたのは認知症のせいだと割り切れるのですが、悪口を言われたり暴力を振るわれるのは、私もショックが大きくて…。認知症の母と上手く関わるためにはどうしたら良いんでしょうか? 暴力や暴言はショックが大きいですよね。大切に思っている家族だからこそ、なおさらショックが大きくなるのは自然なことですよ。認知症の方との関わり方は、対応に慣れている介護職員でも頭を悩ませることです。なので、いくつかのコツをお伝えするので、それを1つずつ試してみてください。認知症の方との関わり方のコツを以下にまとめてみたので、参考にしてみてください。 話し方 ゆっくり話す 大きな声で話す 目線を合わせて話す 話をよく聞く 接し方 ペースを合わせる 無視をしない 役割を持ってもらう 認知症の人にはこんな話し方をしてみて ゆっくり大きな声で話す 認知症の方との基本は、「ゆっくり大きな声で話す」ことです。年齢とともに聴力が衰えていくうえに、認知症の影響で認知機能が低下して話の理解力も低下しています。そのため、お母様が言葉を聞き取れているかどうかを確認しながら会話をしてみましょう。そうすれば「私のことを気にかけてくれる」とお母様が感じて、不安な気持ちが落ち着いてくると思いますよ。 目線を合わせて話す 「目線を合わせて話す」というのは、気にしたことがなかったです。 忙しいと遠くから話しかけてしまったり、座っているお母様に対して立ったままで会話することもあると思います。ただ、認知症の方は感情の変化に敏感です。立ったままで話すと怒っているような威圧感を与えてしまいかねません。お母様が椅子に座っていたら平井さんも椅子に座って話しかけるなど、目線を合わせて、目を見ながら話すのを意識してみてください。 話をよく聞く 「話をよく聞く」ことは、相手が誰であってもコミュニケーションの基本。でも、家事に介護に…と、忙しいとないがしろにしてしまいがちですよね。認知症の方の話は要領を得なかったり、ちぐはぐなことがありますが、その言葉の中に不安の要因が隠れていることもあります。なので、毎日忙しいかと思いますが、お母様の話を聞く時間を設けてみてください。 「話をよく聞く」ですか…。「認知症になって何言っているかよくわからないし」と思って、母と会話する機会が減っていたような気がします。気をつけないと…。 認知症の人にはこんな対応をしてみて ペースを合わせる また、認知症の方には、話し方だけではなく接し方にもコツがあります。例えば、認知症によって脳が障害を受けることで引き起こされる直接的な症状「中核症状」には、物事を順序立てて効率よく作業できなくなる「実行機能障害」というものがあります。そのため、ご家族から見たら手際が悪くて「早くして」と急かしたくなることもあるかもしれません。それをぐっとこらえて、お母様のペースに合わせてみましょう。それだけでもお母様が安心して行動できるので、不安による症状の悪化が抑えられるかもしれませんよ。 実行機能障害とは 実行機能障害は、物事を順序だてて考えたり、計画を立てる能力が衰える症状で、認知症になると初期段階からあらわれるようになります。実行機能障害になると、料理や洗濯、掃除といった日常の家事をこなすことが難しくなります。それまで普通にできていたことができなくなることで、本人のストレスや不安も大きくなります。また、家族などの介護者の負担も増すことになります。例えば料理については、「その日の献立を考える」「必要な食材を必要な分だけ買う」「買ってきた食材を使って料理を作る」というような何段階にもわたる工程を順序立てておこなうことが難しくなります。 突発的な事態への対処が難しくなる また、突発的な状況に対する対処も実行機能障害になると困難になります。乗ろうとしていた電車が出発してしまったときに、次の電車に乗ろうというような選択ができずにパニックになることもあります。実行機能障害の方のサポートは、本人の気持ちに寄り添って安心感を与えながらおこなうことが大切です。焦らさずに落ち着いて、一つひとつの手順を一緒に確認しながら対応しましょう。 無視をしない 「無視をしない」って当然のことじゃないですか? そうなんです。でも、家のことや仕事、育児などで忙しいと、認知症の方のことを無視してしまったり話しかけられても後回しにしてしまうこともあるかもしれません…。認知症の方も、一般の方と同様に自尊心があります。無視をすると自尊心が傷つけられたりストレスを感じて、認知症の症状が悪化してしまうこともあり得るんです。 役割を持ってもらう 「役割を持ってもらう」ってどういうことですか?よくイメージできないのですが…。 例えば、「食後に食器を流し台に持っていく」「テーブルを拭く」「味見をする」など、簡単なことでも何でも良いので、お母様に役割を持ってもらうんです。誰でも「役に立っている」という感覚はうれしいですよね。それは認知症の方も同じです。ちょっとしたことでも良いので役割を持ってもらって、「お母さんのおかげで助かったよ」といった感謝の声掛けをしてみましょう。介助が必要なご高齢者の場合、「迷惑をかけている」という罪悪感を感じているかもしれません。感謝の言葉をかけるだけでも、その罪悪感が軽減されることがありますよ。 こんな関わり方はNG! 介護や家事で余裕がなくて、「目線を合わせて話す」「ペースを合わせる」といったことができていませんでした。むしろ、立ったまま話しかけていましたし、朝の支度が遅い母を「早くして」と急かしてしまっていました…。 介護をしていると、気持ちや時間の余裕がなくなってしまいますよね…。なので、認知症の方が不安やストレスに感じやすい対応をしてしまいがちかもしれません。そこで、認知症の方にしてはいけない関わり方を次のようにまとめました。やらないように意識していくだけでもお母様の気持ちが落ち着くと思いますよ。 発言や行動を否定する 細かく指摘や指示をする 家から出られないようにする 認知症の人へのNG対応 発言や行動を否定する 認知症の方へのNG対応の中で、一番やってしまいがちなのが「発言や行動を否定する」ことではないでしょうか。認知症の方は、認知機能の低下で事実とは異なることを話したり、同じことを何度も話すことがあるでしょう。そうしたときに「それは違うよ」「それは何度も聞いたよ」と否定してしまうのはNGです。たとえ、事実と違う話でも、認知症の方の頭の中では事実です。それに、以前に同じ話をしていたとしても、認知症の方にとって話したのが今回で初めてのことなんです。それを毎回否定してしまうと、認知症の方のストレスになってしまいます。 でも、認知症になっていたら否定したことも忘れてしまうのではないですか? はい。「否定された」という出来事は忘れてしまうでしょう。ただ、否定されて「嫌な気持ちになった」という感情だけは記憶に残ると言われています。そのため、発言や行動を否定することを繰り返していると、否定してきた人の顔を見るだけで嫌な気持ちを思い出すようになる可能性も。その結果、顔を見るだけで感情的になったり介護拒否につながるケースもあるんです。 え!?そうなんですね…。では、どうしたら良いんでしょうか。 まずは、話をよく聞くことが大切です。事実とは違うことを話していても、以前に聞いた話でも「そうなんだね」と共感するようなリアクションをしましょう。それだけでも、話をきちんと聞いてもらっていることを感じるのでお母様が安心できると思いますよ。 細かく指摘や指示をする 先ほどお話ししたように、認知症になると効率的に作業を進めるのが難しくなります。なので、「こうした方が良いよ」「先にこれをして」など、口をはさみたくなりますよね。でも、常にそうされると、誰でも良い気持ちにはならないと思います。なので、失敗しないように指摘したくなる気持ちを抑えて、お母様のことを見守りましょう。 はい…。私は「早くして」と急かしてしまうことが多いので、我慢して見守ることにします。 家から出られないようにする 「家から出られないようにする」ってどういうことですか? 認知症が進行すると、一人で外出して帰り道がわからなくなり帰ってこれなくなることがあります。認知症の周辺症状のひとつである「徘徊」と呼ばれるものです。家に帰ってこれなくなると、事故にあったり衰弱してしまったりと、認知症の方に危険が及びます。なので、ご家族としては危険から守るために玄関に鍵を締めたりして家から出られないようにするんです。 徘徊ですか…。聞いたことがあります。今のところ、母は勝手に家を出ていくことはないですが…。 玄関に鍵がかかっていて外に出られないことがわかると、認知症の方はパニックになることがあります。自宅が自分の家だとわからなくなっていることもあるので、閉じ込められると「ここから逃げ出さなければ」となおさら外に出ようとするんですね。「知らない場所に閉じ込められた」と感じれば、ものすごいストレスになります。そのストレスから認知症が悪化してしまう可能性もあるわけです。 でも、鍵をかけないと勝手に出て行ってしまうんですよね?どうしたら良いんですか? 理想としては、出ていこうとしたときに一緒についていって近所を散歩することです。外に出て歩いているうちに、どうして外に出ようとしたのか忘れてしまうこともあります。ただ、忙しいとなかなかそうした時間が取れないかもしれませんが…。そういうときには、出ていこうとしたときに「おやつでも食べない?」「好きなテレビ番組が始まるよ」などと声をかけるのも良いでしょう。外に出ることから気持ちがそらされて、外出しなくなることがあります。 こんなシチュエーションではどうする? ここまで、認知症の方との基本的な関わり方とNGな対応方法についてお話ししてきました。ただ、具体的な状況でないとイメージしにくかったかもしれません。 はい…。まだイメージができていません。例えば、うちの母の悪口や暴力にはどのように対応すれば良いんでしょうか? 認知症の方の暴力・暴言に加えて、具体的な以下のシチュエーションでの対応方法についてもお伝えしていきますね。 暴力・暴言をする 物盗られ妄想をする 家族の顔がわからなくなる 昼夜逆転する 失禁・便いじりをする 異食をする 幻覚を見る 困ったシチュエーションごとの対応方法 暴力・暴言 認知症の方からの暴力・暴言を受けたら、まずは物理的に距離を取りましょう。介護を一生懸命にしているのに手を上げられたりひどい言葉を浴びせられるのは、とても辛いですよね。なので、まずは別の部屋に行ったり外出したりして、お母様から離れてみましょう。それでも気持ちが落ち着かなかったら、音楽を聞いたりして気分転換するのも良いかもしれません。 母から離れればよかったんですね。悪口を言われると口論になってしまっていたので、気分転換なんてしたことがなかったです。 そうですよね。余裕がなくなってしまうと上手く対応できなくなってしまいますよね。気持ちに余裕がないと感じたときには、誰かに相談してみるのも良いでしょう。他のご家族やケアマネジャーさんに相談してみるのはどうでしょうか。他にも、日記などに記録しておくことも効果的。言葉にすることで気持ちが整理できることもありますし、あとで誰かに相談するときにも役に立ちますよ。 なるほど…。落ち着いて書けるときに、ノートに記録してみます。 認知症のご家族からの暴言についてのご質問を以前もいただいたことがあります。そちらでも詳しくお答えしているので、ぜひ参考にしてみてください。 物盗られ妄想をする その次の「物盗られ妄想」とは何ですか? 認知症の方が自分でしまったことを忘れて、財布や貴重品がなくなったことを「お金が盗まれた!」と誰かのせいにすることです。ときには、身近なご家族が盗んだ犯人にされてしまうこともあります。そういうときは、一緒に家の中を探したり「おやつを食べよう」と他のことに気をそらすことが有効です。物盗られ妄想については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 家族の顔がわからなくなる 認知症の症状の中でもご家族のショックが大きいのが、「家族の顔がわからなくなる」ことでしょう。毎日、介護しているのにも関わらず、急に「どちら様?」とわからなくなるのは大変ショックですよね。もし、誰か別の人と勘違いしている場合は、その人になりきって返答するとスムーズにやり取りできることがあります。ただ、仲の悪い人と勘違いしている場合、認知症の方が興奮してしまう可能性もありますので、刺激をしないように離れた場所に移動して落ち着くのを待つのもひとつの手です。 昼夜逆転する うちの母も、昼夜逆転しているかもしれません。夜中に起き出して私を起こしに来たり、昼間に寝ていることがあって…。 なるほど…。それは昼夜逆転の傾向がありますね。昼夜逆転は、認知症の「見当識障害」という時間の感覚がわからなくなる症状の影響で起こります。対策としては、昼間に散歩したり活動する機会を増やしたり寝室の環境を整えましょう。とくに運動することは、認知症の進行緩和にも効果があるとされていますから、身体を動かす時間を増やしてみてください。昼夜逆転については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 異食をする 「異食」って何ですか?初めて聞きました。 異食とは、食べ物ではないものを食べてしまうことです。例えば、ティッシュや乾電池を食べてしまうのがよく聞くケースですね。食べてはいけないものなのに、認知機能が低下した影響で食べ物だと思い込んでしまったり、空腹のせいで口にしてしまうんです。異食をしてしまう場合は、口に入れやすい小さなものを認知症の方の手の届くところに置かないようにしたり、空腹にならないように少量をおやつなどを用意しておくと良いでしょう。また、食べることに気持ちがいかないように、趣味などの食べること以外の楽しみを増やすのも異食を防止できるかもしれません。 幻覚 認知症になると、幻覚を見るんですか? そういうケースもあります。例えば、「庭に知らない人が立っている」と実際には存在しないものが見える「幻視」や、壁の模様などが虫に見えてしまったりする「錯視」、実際にはない声や音が聞こえる「幻聴」などの症状が現れます。 へぇ、目で見えるだけではなくて、存在しない声や音が聞こえることもあるんですね。これにはどう対応したら良いんですか? 例えば「庭に知らない人が立っている」という幻視だったら、「追い払っておいたよ」と返すのが効果的です。幻覚を否定するのではなく、ある程度、付き合ってあげつつ安心できる声掛けをすると良いでしょう。こうした幻覚も認知症の方の不安感から現れることが多いです。そのため、安心できる返答を意識してみてくださいね。幻覚については、以前のご相談で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 普段からゆっくり大きな声で話したり、目線を合わせて話すのが大切 発言や行動を否定するのはNG!作業の手際が悪くてもそっと見守って pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...

2023/02/27

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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