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Q&A

在宅介護

在宅介護 介護疲れ

自分自身も高齢になって両親の介護がしんどい…。毎日の介護で心も体も疲れました

90歳を超える両親の介護をしています。私も歳を取り、介護をするのがしんどくなってきました…。 父はまだほとんど介護は必要ないものの、変なこだわりが強くなって、少しでも気に食わないことがあると怒鳴り散らします。母は認知症が悪化して夜中のトイレの手伝いが必要になったので、介助のせいでよく眠れないし…。 私ももうすぐ70歳です。介護をするのがきつくて、両親が長生きすることを素直に喜べず、「早く死んでほしい」と心のどこかで思っています。もう、どうしたら良いのかわかりません。 (青山さん・主婦・69歳) ご自分も年齢を重ねてくると、ご両親の介護の負担がもっときつく感じますよね…。介護を完璧にする必要はまったくありません。もっと楽な介護をしましょう!例えば、在宅介護サービスや配食サービスなどのサービスを活用しましょう。上手く活用できれば、負担をかなり軽くできると思いますよ。また、老人ホームに入居することも検討してください。ご両親を同時に介護することは大変です。ご自分が体調を崩す前に早めに施設探しをすることをおすすめします。 介護は楽をして良い! 90歳を超える両親の介護をしています。私自身ももうすぐ70歳を迎え、体力的にも精神的にも両親の介護がきつくなってきました。特に認知症の母は、夜中のトイレ介助が必要です。そのせいでろくに眠れないのもしんどくて。父は父で、妙なこだわりが強くなって、食べ物が硬かったり少しでも気に食わないことがあると怒鳴りつけます。母の介護をしながら怒鳴り散らす父の相手もして、他の家事もしないといけなくて…。もうどうしたら良いのか…。 ご自分も年齢を重ねると、心身の負担がより大きく感じますよね…。ご両親の介護は本当に大変なことだと思います。なので、もっと在宅介護を楽しましょう! え?介護を楽するってどういうことですか? もっといろんなサービスを活用して、「楽に在宅介護をできる環境」を整えるんです。具体的にお話ししますね。 在宅介護を楽する方法 在宅介護を楽する方法のうち、以下の2つについてお話ししますね。 在宅介護サービスを利用する方法 その他の方法 在宅介護サービスを利用する方法 ご両親は在宅介護サービスを利用していますか? 父は使っていませんが、母は週に3回、デイサービスを利用しています。 それは良いですね。デイサービスの他に、主な在宅介護サービスには以下のものがあります。 訪問介護 訪問看護 通所リハビリ(デイケア) ショートステイ もし、お母様のデイサービス週3回だけでは足りないようでしたら回数を増やしたり、お父様もデイサービスを利用するのも良いかもしれません。また、定期的にショートステイを利用できれば、夜間のトイレ介助の負担が減るでしょう。ケアマネジャーさんに相談してみてくださいね。 その他の方法 在宅介護サービス以外にも、介護の負担を軽減するサービスがあります。例えば、配食サービスやレトルトの介護食を利用することです。毎回の食事の支度って、かなり負担ですよね。特にご高齢者の場合は、具材のやわらかさにも気を使わないといけなかったり、病気の関係で制限しているものもあるでしょう。そこで、配食サービスやレトルト介護食を活用すれば、料理の負担が減らせると思いますよ。 うーん。父が総入れ歯なので、硬いものを嫌がるんですよね…。「介護食」と言うくらいだから、レトルト介護食はやわらかいでしょうけど、配食サービスってやわらかい食事に対応してもらえるんですか? 最近は、ご高齢者向けの配食サービスがかなり増えています。噛む力や飲み込む力が低下したご高齢者向けにやわらかい食事を提供しているんです。介護食は、「やわらか食」「ムース食」といったやわらかさに配慮したものや、「塩分制限食」「タンパク質制限食」といった病気の影響で食事制限がある人向けの食事も提供しています。ご自宅で介護食を作るのはかなり大変ですので、配食サービスやレトルト介護食をぜひ活用してくださいね。 老人ホーム入居も検討して 介護をしている方も高齢になると、どうしても体力的に在宅介護が難しくなってくると思います。そのため、ぜひ老人ホームに入居することも検討してください。 えっ、老人ホームですか?うーん…まだ私が介護できているし、まだ早いんじゃないですかね。 もちろん、在宅介護を続けたいのであれば、無理にとは言いません。ただ、「親の介護は子どもがするもの」と思って、老人ホームに入居することを選択肢から外してほしくないんです。主な老人ホームには以下のようなものがありますから、入居が必要になったときのために頭の片隅に入れておいてください。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム へぇ、老人ホームって、こんなにいろんな種類があるんですね。 そうなんです。お元気な人がたくさん暮らしている施設もあれば、認知症だったり寝たきりだったりと、介護が必要な人が入居している施設もありますよ。 公的施設は安いが数年待つことも もし、両親を老人ホームに入れるとしても、そこまでお金を出せません。父と母、2人分なんて…。 でしたら、特別養護老人ホームなどの公的な老人ホームはどうでしょうか?要介護度や収入にもよりますが、おひとりあたり月9万~13万円程度で利用できますよ。 そうなんですね。そのくらいなら、両親の年金でどうにかなるかな…。 ただ、特別養護老人ホームの場合、要介護3以上でないと入居できないことに加えて、費用が安いためとても人気ですぐには入居できないのがネック。特別養護老人ホームの中には、数百人も入居待ちの人がいて、申し込みから数年待つケースもあるほどなんです。 数年待ちですか!? そうなんです。なので、「もう心身共に疲れて在宅介護を続けられない」というようなギリギリの状態までがんばるのではなく、まだ余裕がある段階で施設探しをすることをおすすめします。もちろん、特別養護老人ホーム以外にも老人ホームはたくさんあり、どの施設が良いのか迷われると思います。もし施設探しをすることになったら、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談くださいね。 配食や在宅介護サービスを使って、介護を楽しよう! 老人ホームへの入居することも検討しよう 安価な老人ホームは数年待つことも。早めに施設探しを pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/10/31

在宅介護 介護疲れ

母親の介護が始まってからきょうだい喧嘩が絶えません。介護を手伝わない弟はどうしたら良いでしょうか?

認知症の母を3年以上介護しています。私は隣県に住む弟がいるのですが、まったく母の介護を手伝おうとしません。何度も電話で介護を手伝ってほしいと頼むのですが、「介護は同居している姉さんの仕事でしょ」と言うので、毎回、口論に…。 ただでさえ介護で疲れているのに、弟と口論するのも疲れます。今の状況を良くする方法はないでしょうか? (奥田さん・パート・63歳) 奥田さんに負担が集中している状態なんですね。解決策としては、介護サービスを利用する、行政サービスを利用する、老人ホーム入居を検討する、という方法が挙げられます。ちなみに、親御さんの介護に関する考え方や経済状況を事前に確認して御きょうだいで役割分担を決めておくと、こうしたトラブルは避けられることがありますよ。 親の介護で兄弟喧嘩…。解決方法は? 3年ほど前に母が認知症と診断されてから、介護をしています。母と同居している私が介護をすること自体には文句はないのですが、隣県に住む弟がまったく介護を手伝わないんです!たまにしか顔を出さないので電話で介護を手伝ってほしいと言うものの、「介護は同居している姉さんの仕事でしょ」と聞く耳を持ちません。そんな言い草なので、私も頭に来て毎回、喧嘩になってしまって。喧嘩するのも疲れちゃって…何か良い方法はないでしょうか? 親御さんの介護がきっかけできょうだいで喧嘩になったり、関係性が悪くなる話はよく伺います。現状は奥田さんに介護の負担が集中してしまっているので、以下のような方法で負担を軽くするのはどうでしょうか? 在宅介護サービスを利用する 介護保険外サービスを利用する 行政サービスを利用する 相談窓口に相談する 老人ホームへの入居を検討する 在宅介護サービスを利用する 在宅介護サービスを利用するのはどうでしょうか。今、お母様は介護サービスを利用していますか? はい。デイサービスを週3回利用しています。 それは良いですね!デイサービスも含めて、主な在宅介護サービスは以下の通りです。合わせて活用すると奥田さんの負担が減らせるでしょう。 訪問介護 訪問看護 デイサービス ショートステイ 例えば、訪問介護を追加して「デイサービスのない日に見守りや服薬確認をしてもらう」、週末にショートステイを追加して「たまっていた家事をする時間やリフレッシュの時間を作る」といった使い方もできますよ。 へぇー。そんな方法もあるんですね!ケアマネジャーさんに相談してみようかな。 介護保険外サービスを利用する 「介護保険外サービス」って何ですか? 先ほどリストアップした、訪問介護やデイサービスといった介護サービスのことを正式には「介護保険サービス」と言います。介護保険を使って、一部の自己負担で利用できるサービスです。介護保険サービスに対して、介護保険外サービスはその名の通り介護保険が適用されないサービス。そのため、費用は全額自己負担なので高額になることが多いです。 うーん。高額なのはちょっと…。 介護保険外サービスは介護保険の制度に縛られない分、サービス内容は自由。例えば、介護保険が適用される訪問介護は、介護を受けるご本人の分しか掃除や洗濯、掃除などはしてもらえません。しかし、介護保険外サービスであればそうしたルールは関係ないので、家族の分の家事も頼めますよ。 費用減免制度を利用する 介護の悩みのひとつに経済的な負担がありますよね。以下のような、介護や医療の費用を軽減できる制度があるんです。 特定入所者介護サービス費 高額介護サービス費 医療費控除 高額医療・高額介護合算療養費制度 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度 これらの制度は、減免される金額や条件などが世帯の所得によって異なることが多いです。役所の窓口や地域包括支援センターで詳細を問い合わせてみてくださいね。 相談窓口や専門家に相談する 介護の相談窓口や専門家に相談してみることも大切です。御きょうだい間の介護のトラブルは意外と多いので、さまざまな観点でアドバイスをもらえると思いますよ。 役所の福祉課 地域包括支援センター ケアマネジャー かかりつけ医 ケアマネジャーさんに、弟のことを相談しても良かったんですね。誰にも相談できなかったので、話を聞いてもらおうかな…。 兄弟で介護の役割分担を決めて負担を減らそう なかなか難しいかもしれませんが、御きょうだい間で介護の役割分担をしましょう。 と言われても、どうしたら良いのか…。「介護のことはすべて姉さんに任せる」と言うような弟ですから。 具体的に、弟さんにどんなことをしてほしいのかをはっきり伝えると良いかもしれません。もしかしたら、弟さんはお母様の今の状況をよく把握していないのではないでしょうか。お母様の現状がよくわからなければ、介護がどんなものかわからないし、どんな手伝いをすれば良いのかもわからないですよね。弟さんは、「どうしたら良いかわからないから、姉さんに任せよう」と考えている可能性もあります。なので、具体的にどんなことを手伝ってほしいのか、はっきりと伝えましょう。 うーん。そう言われると弟に何をしてほしいのか、はっきり言えないですね…。 例えば、以下のようなことをお願いしてみるのはどうですか? 週末に1日だけでも手伝ってもらう 費用の援助をしてもらう 通院時の連れ出しをしてもらう なるほど…。こんな風に弟に相談してみれば良かったんですね! メインで介護をしている人がいる場合、その人に負担が偏ってしまうことが多いです。介護は大変なことなので、他の御きょうだいが分担することを嫌がるかもしれませんが、負担してほしいことを明確にして頼りましょう。もちろん、介護サービスや費用減免制度を活用して、心身と経済的な負担を軽減していきましょうね。 介護サービス、保険外サービスなどを活用して負担を減らそう 負担が1人に集中しがちなので、兄弟で介護の役割分担を決めよう pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/10/31

施設入居 在宅介護 介護疲れ

二人暮らしの母親の介護が上手くいきません。仕事を辞めて介護に集中しないのは親不孝な息子でしょうか?

母を自宅で介護しています。認知症が進行して物忘れがひどくなり、家に1人でいさせるのも心配。でも、私は仕事をしているので昼間はどうしても母1人になってしまいます。母と二人暮らしなので、母の世話を頼める人もおらず…。 仕事を辞めて介護に集中できない私は親不孝でしょうか? (大山さん・会社員・57歳) そんなことはありませんよ!介護のために仕事を辞めてしまうのはおすすめできません。というのも、仕事を辞めても介護の負担が軽くなるわけではないから。むしろ経済的・精神的負担が大きくなる可能性があります。まずは、介護サービスを活用しましょう。そうすれば、自分の時間を確保しやすくなって、体力的にも精神的にも負担が減ると思います。負担が減れば、仕事を続けながら介護もしやすくなります。まずは、介護と仕事の両立ができる体制を整えていきましょう! 介護離職しても負担が軽くなるわけではない 同居する母が認知症になってしまい、介護をしています。最近は症状が進んで、1人で家に置いておくのも心配になってきて…。でも私は日中は仕事で家を空けますから、どうしても母を1人にしてしまいます。だからといって、母と二人暮らしですし、近くに母の世話を頼める親戚もいなくて…。仕事はできるだけ続けたいと思っています。でも、母を放っておけるわけもなく…。仕事を辞めて介護に集中できない私は、親不孝なんでしょうか? そんなことありません!むしろ、お母様の介護をしながら仕事もしているのはすばらしいことだと思います。ただ、お母様の認知症が進行していくにしたがって介護に必要な時間が増えて、仕事との両立ができなくなってくるかもしれません。 そうですよね…。早めに退職して、母の介護に専念した方が良いんでしょうか。 いえ、私は介護のために離職するのはおすすめしません。というのも、介護離職しても負担が減らず、逆に増えるという調査結果があるんです。 参考:「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) 仕事を辞めて経済的負担が増えるのはわかりますが、精神的負担も増えるんですね…。 そうなんです。おそらく、離職したことで”介護に集中しすぎてしまう”からだと考えられます。 どういうことですか? 仕事を辞めると、一気に外との社会的なつながりがなくなります。それまで、会社の同僚などと関わる時間が気分転換になっていたのに、その時間がなくなりますよね。お母様と二人きりの時間が増え、気分転換するタイミングが限りなく少なくなってしまうんです。 確かに、介護が始まってから友人と会うことがほとんどなくなりましたし、退職したら母以外の人と関わる時間はなくなるでしょうね。 介護のことを考える時間ばかりだと、追い詰められてしまう可能性もあります。在宅介護はかなり大変ですから、気分転換の時間を確保するためにも仕事は続けることをおすすめします。 介護サービスはどうやって利用する? 仕事を続けたくても今のままでは無理だと思います。今はまだ大丈夫ですが、今後、母の認知症が進行したらずっとつきっきりになるかもしれませんし…。 ちなみに、お母様は介護サービスを利用していますか? いえ。介護サービスっていろんな手続きがあるんですよね?そのあたりがまったくわからず、利用したことはありません。 でしたら、まずは介護サービスを利用しましょう!今、大山さんおひとりだけで介護しているのなら、介護サービスを利用するだけでもかなり負担が減ると思いますよ。 うーん。といっても、どうやって利用したら良いのか…。 でしたら、介護サービスを利用するまでの流れをお話ししますね! 介護サービスを利用するまでの流れ 介護サービスを利用するまでには、以下のような流れがあります。 要介護認定 ケアプラン作成 介護サービス利用開始 まずは、お母様に要介護認定を受けていただく必要があります。要介護認定は、介護の必要な度合い「要介護度」を判定するもの。要介護度は、「要支援1~2」「要介護1~5」の7段階あり、数字が大きいほど介護の必要度合いが高いことを示しています。要介護度が判定されたら、次はケアマネジャーさんにケアプランという介護サービス計画書を作成してもらいます。ケアプランには要介護度やお母様の状況に応じて、適切な介護サービスの種類や利用回数が盛り込まれています。 なるほど、母に合った計画を立ててもらえるんですね。 そして、ケアプランの計画に基づいて介護サービスの利用が始まるわけです。 うーん、介護サービスを利用するにしても、いろいろと手続きが必要なんですよね?仕事と介護をしていると、手続きをする時間もないんですよね…。こういう手続きって時間も手間もかかりそうですし。 そういう手続きをする時間を確保するために、「介護休業」という制度がありますから、ぜひ利用してください!介護休業は、介護をしている人が介護と仕事を両立する体制を整えるための制度。合計93日の休みを最大3回に分けて取れます。もちろん、大山さんご自身でお母様を介護する時間に充てられますが、長く介護と仕事を両立していくために、介護認定の手続きやケアマネジャーさんとの打ち合わせの時間として活用するのをおすすめします。 「介護休業」と言うから、私が母の介護をするための休みと思ったら、どちらかというと介護の体制を整えるためのものなんですね…。会社に確認してみます。 介護サービスの種類 そもそも、介護サービスにどんなものがあるのかよくわかっていません。どんなサービスを受けられるんでしょうか? 介護サービスは大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」があり、主な介護サービスには、以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 デイサービス ショートステイ 福祉用具レンタル 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム いろんなサービスがあるんですね! そうなんです。お話を聞く限りだと、訪問介護とデイサービスを利用するのが良いかもしれませんね。訪問介護は、自宅に訪問ヘルパーさんがやって来て、お母様の介助や家事などを代行してくれるサービス。お母様が1人になってしまう時間帯に訪問介護を見守り代わりに利用するのはどうでしょうか。また、デイサービスは介護施設に通って介護サービスを受けるもの。デイサービスに行っている間の、食事、入浴、排泄介助などはすべて施設に任せられますし、レクリエーションやリハビリなどもしてもらえるので、大山さんも安心してお仕事ができるんじゃないでしょうか。 デイサービス、良いですね。入浴の手伝いも大変なので、施設で入れてくれるのは助かります。 介護疲れをためずに介護をするには? 母の介護の時間を増やすためと、時間に余裕を持つために退職しようと思っていたんです。でも、例え介護サービスを使うとしても退職しないとなると、時間的にも体力的にも余裕がなくなりそうだな…。 在宅介護って大変ですよね。介護は長期戦ですから、どうしても疲れが溜まってきてしまうと思います。そういうときに、なるべく介護疲れを溜めずに介護を続ける方法をいくつかご紹介しますね。 介護について話を聞いてもらう 少しでも自分の時間を持つ ストレス発散に運動を取り入れてみる 介護施設への入居検討をする 介護について話を聞いてもらう 介護をしていると、どうしても精神面の負担も大きくなりがちです。そういうときは、介護について誰かに話を聞いてもらいましょう。他のご家族やご親戚でも良いですし、話しにくいときは介護経験のあるご友人でも良いと思います。 うーん。他に家族も身近な親戚もいないですし、介護の話ができる友人もいないですね…。 でしたら、「家族の会」に参加するのはどうでしょうか?家族の会は、認知症の人やご高齢者を介護しているご家族が作る団体。全国各地で家族が集まり、介護の相談や勉強会をする集会を開いています。「オレンジカフェ」「認知症カフェ」という名前で、認知症ご本人やその家族の集まりも全国でおこなわれています。そちらに参加するのも良いかもしれません。どちらの集まりに参加しても、介護の愚痴を誰かに聞いてもらうだけでも気持ちが楽になると思いますので、ぜひ参加してみてくださいね。 少しでも自分の時間を持つ 介護と仕事で多忙に過ごしていると、時間に追われて自分の時間って持てないですよね。それでも、ぼーっとする時間や趣味の時間を少しでも確保することが大切です。自分の時間を定期的に持つことで気分転換になって、介護にも集中できるようになると思います。 そんなこと言っても、忙しくて自分の時間なんて持てないですよ。働きながら介護しているんですから。 そうですよね…。自分の時間を作るためにも、介護サービスをどんどん活用してください。例えば、定期的にショートステイを活用するのがおすすめ。ショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービスで、最大30日連続で利用できます。宿泊している間の食事や入浴、排泄などの介助はすべて施設に任せられます。数日まとめてショートステイを利用すれば、安心してリフレッシュできると思いますよ。 え、リフレッシュですか?そんなことのために介護サービスを利用して良いんですか? もちろんです!介護をしている大山さんが倒れてしまっては元も子もありません。息抜きを忘れないでくださいね。 介護施設への入居検討をする 介護施設への入居もぜひ検討してください。介護は必ずしもご家族でしないといけないものではありません。在宅介護は負担が大きく、仕事をしながら続けるのはかなり難しいですから、介護施設への入居も視野に入れてみてください。先ほどお話ししたように、主な介護施設には以下のようなものがあります。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 介護は、完璧にしなくても良いんです。ご家族だけでするものでもありません。介護のプロの力を積極的に活用して、「楽な介護」をしてくださいね。 介護離職で負担が大きくなることも。介護サービスを利用しながら仕事を続けよう 介護サービスを利用するために、まず要介護認定を受けよう 誰かに介護の話を聞いてもらったり、少しでも自分の時間を確保しよう pre { margin: ...

2023/10/30

認知症 在宅介護

父親が亡くなってから母の様子がおかしいです。認知症になってしまったのでしょうか?

3ヵ月ほど前に父が亡くなってから、母の様子がおかしいんです。認知症になってしまったのでしょうか? 父が亡くなって、実家で母は一人暮らしになりました。父が元気な頃は母がすべて家事をしていたのに、父が亡くなってからは家の中が散らかり、ゴミも捨てられていません。 それに、財布が冷蔵庫に入っていたり、同じものを何個も買って腐らせていたり、明らかに様子が変で…。友人に母の様子を話したら「認知症かも」と言われて不安です。 (北川さん・パート・63歳) その可能性はありますね…。認知症の初期症状には、「もの忘れがひどくなった」「怒りっぽくなった」などがあり、そうした症状に当てはまる場合は認知症の可能性が高いので病院で検査をしましょう。検査の結果、認知症でもそうでなくても、お母様がお一人で生活するのは難しい状態と考えられます。そのため、介護サービスを利用するなど、お母様の生活をサポートする体制を作っていきましょう。 親が認知症かも、と思ったら? 3ヵ月ほど前、父が亡くなりました。両親は実家で二人で暮らしていたのですが、父が亡くなってからは母は一人暮らしに。それ以来、母の様子がおかしくて…。きれい好きなはずなのに、家の中が散らかり放題でゴミが捨てられていないし、同じ食べ物を何個も買って腐らせていることも何度もありました。それに、冷蔵庫の中になぜか財布があって、入れたことを覚えていないようなんです。このことを友人に話したら、「認知症かも」と言われました。もしかして、母は認知症になってしまったのでしょうか? 聞いた限りでは何とも言えません。…ですが、認知症の可能性は十分にあります。心配であれば、早めに病院に行きましょう! うーん。でも、認知症ではなくて、父を亡くして気持ちが落ちているだけかもしれませんし…。病院に行って良いものか迷います。 でしたら、認知症の初期症状に当てはまるかどうか、お母様の様子を考えてみてください。当てはまるものが多ければ、認知症の可能性が高いので受診をおすすめします。認知症の初期症状は次の通りです。 もの忘れがひどくなった 理解力や判断力が衰えた 怒りっぽいなど性格が変わった 時間や場所がわからなくなった 集中力が落ちた もしくは、認知症のチェックリストを活用してみるのもひとつの手。東京都福祉局では「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」を公開しています。気軽にできるものなので、活用してみてください。 もの忘れがひどくなった 年齢を重ねることで、人の名前が思い出せなくなったり、ものをどこにしまったかわからなくなったり、物忘れが多くなりますよね。でも、認知症による物忘れは加齢によるものと少し違います。加齢による物忘れと認知症による物忘れの大きな違いは、「出来事の詳細を忘れるか、出来事そのものを忘れるか」。加齢による物忘れの場合、「数時間前の話の内容を忘れる」ですが、認知症による物忘れは「数時間前に話をしたこと自体を忘れる」という違いがあります。 母は、財布を冷蔵庫にしまったこと自体を忘れていました。少し前に話したことを忘れていることもたまにあります…。 理解力や判断力が衰えた 認知症による理解力・判断力の低下は、これまでできていた手続きができなくなったり、会話の内容が理解できなくなるなどです。役所や銀行などの手続きができない、説明が理解できていない様子があると認知症の可能性が高いと言えます。 怒りっぽいなど性格が変わった 認知症になると、怒りっぽくなることがあります。これは、認知症によって物事が理解できなくなったり、今までできていたことができなくなったもどかしさや焦りによっていらだっていることが理由と言われています。そのほかに、「今まで好きだったものに無関心になって、趣味活動をやらなくなる」「周囲の出来事に興味がなくなる」などの性格の変化もあります。 母は、もともと趣味があった人ではないので、そうした変化はわかりませんが…。部屋でぼーっとしている時間が増えたような気がします。 時間や場所がわからなくなった 時間や場所がわからなくなる、というのはどういうことですか? 例えば、現在の日付や季節などがわからなくなったり、よく行く場所への道がわからなくなる、という状態です。朝と夜の感覚が乱れることもあります。 集中力が落ちた これは少し判断しにくいかもしれませんが、認知症になると集中力が落ちます。具体的には、計算や運転のミスが増えたり、家事や手芸などの集中力が必要な作業ができなくなります。計算や運転、家事、手芸といったものは、ひとつの作業に長時間の集中力がいるうえ、作業の手順も考えなければいけません。認知症によって脳の機能が低下すると、そうした作業が苦手になります。 認知症の検査はどうやって受ける? 北野室長の話を聞いて、母に認知症の検査を受けさせた方が良い気がしてきました。認知症の検査って、病院の何科で受けられるんでしょうか? 認知症の検査は、いろんな診療科で受けられます。次の診療科を持つ病院でしたら、認知症検査を受けられるでしょう。 心療内科 精神科 脳神経内科・外科 老年科 もの忘れ外来 認知症の検査が何科で受けられるのかについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください 認知症検査の流れ 認知症検査ってどんな流れでおこなうんですか? 認知症検査は、次のような流れでおこなわれます。 面談(問診) 身体検査 認知症検査 まず、医師とご本人やご家族の面談があります。既往歴や今の状態、認知症を疑ったきっかけなどを話しておくと良いでしょう。心配事がある場合は、事前に話すことをメモにまとめておきましょう。その次に、身体検査をおこないます。レントゲンや血液検査、尿検査などですね。認知症以外の病気によって、認知症と似たような症状が出ることがあるので、体全体の検査をするんです。 なんだか、普通の人間ドックと同じような内容なんですね。 身体検査が終わると、認知症の検査をおこないます。 認知症の検査というと、どんなものなんですか? いくつか種類があるので、詳しくお話ししますね。 認知症検査の種類 認知症の検査は、「神経心理学的検査」「脳画像検査」の2種類に分けられます。神経心理学的検査は、医師などからの質問に答えていく形式が主です。質問に正確に答えられるかどうかで認知機能の状態を把握します。脳画像検査は、CTやMRIといった脳内の画像を撮って機能低下を確かめる方法です。 「認知症検査」とひとくちに言っても、いろんな種類の検査があるんですね。 そうなんです。認知症検査には次のような種類があるんです。 改定長谷川式認知症スケール(HDS-R) ミニメンタルステート検査(MMSE) 時計描写テスト(CDT) CT・MRI SPECT(脳の働きを見る検査) 介護が必要になったら? 北川さんのお話を聞いていると、お母様の認知症検査の結果、認知症であってもそうでなくても、介護サービスを使う必要がある状態だと思います。 介護サービスですか…。確かに、母はもうひとりで生活できる状態ではないかもしれません。でも、介護サービスってどうやって利用すれば良いんですか? 要介護認定を受けよう 介護サービスを利用するには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。要介護認定とは、その人の状態を調べて介護の必要な度合いを判断するもの。要介護認定を受けると、心身の状態に合わせて「要支援1~2」「要介護1~5」という「要介護度」がわかり、介護度に合わせた介護サービスを利用できるようになります。 要介護認定というのは、どうやったら受けられるんですか? まずは、要介護認定の申請をしましょう。お母様がお住まいの地域の役所や地域包括支援センターで申請手続きができます。その後は、次のような流れで進んでいきます。 なるほど…。要介護認定の結果、要介護度がわかったら介護サービスを利用できるようになるんですね。 おっしゃる通りです。もし、遠距離介護をする場合、介護サービスを利用をするのとしないのでは、北川さんの負担がかなり違います。積極的に介護サービスを活用してくださいね。遠距離介護については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 物忘れ、怒りっぽくなったなどの初期症状があったら認知症かも 認知症検査は精神科、物忘れ外来などで受けられる 認知症でなくても、介護が必要になったら介護サービスを利用しよう pre { margin: 40px 0; background: ...

2023/10/24

施設入居 在宅介護 介護の基礎知識

家事ができない父が母の介護をすると言って聞きません!同居の話も断られてしまい、どうしたら良いのかわかりません

母が転倒して介護が必要になりました。母と暮らしている父だけでは介護が難しいと思い、同居の提案をしたのに断られてしまいました。父が母の介護をすると言うのです。 しかし、父はこれまで家のことを母に任せきりにしていたので家事もろくにできません。なので、父に介護なんてできっこないんです。 同居は断られるし…。何か良い方法はないでしょうか? (白石さん・会社員・56歳) まずは、お父様に介護を任せてみてはどうでしょうか?家事ができないと言っても、お母様に教わりながらできるようになるかもしれませんよ。その生活に限界が来たら手助けできるように、こまめに様子を見るだけに留めておくんです。ただ、ご家族の直接の手助けはしなくても、介護サービスを利用できる手はずは整えておくのがおすすめ。お母様が要介護認定を受けて、担当のケアマネジャーさんに付いてもらうだけでも、ご両親の生活のアドバイスが受けられる環境ができるはずです。もし、要介護認定を受けたり、介護サービスを利用することも拒否する場合は、説得する人を変えるのも手。普段関わっていないご親族やかかりつけ医などから説得されると、意外とすんなりと利用してくれることもありますよ。 家事ができない父に介護はできる? 実家で父と二人暮らしをしている母が、自宅で転倒して介護が必要な状況になってしまいました。母は歩けないほどではないものの、長時間立ったり歩いたりすることが難しく、家事がほとんどできなくなりました。そのため、父だけでは介護は難しいと思って同居の提案をしましたが、「俺が介護する」と言って父に同居を拒否されてしまって。ろくに家事もできない人が介護をできるわけないのに…。父が1人で介護できるとは思えません。どうしたら良いんでしょうか? そうですね…。まずは様子を見てはどうでしょうか?家事については、お母様に教わりながらでもできますし、お父様が「介護する」と言っているのですから、見守る姿勢も大切ですよ。 えぇっ!でも、きっと父に任せておくと実家はとても汚くなるでしょうし、父が料理できるとも思えないので、出来合いのものが増えるでしょうし…。 確かに、以前よりもご実家が散らかったり、料理が出来合いのお惣菜などが増えるかもしれません。ですが、以前と同じようにしなくても良いんです。完璧でなくても、「二人が生活できているなら良い」くらいの気持ちでいると、白石さんの気持ちが楽になると思いますよ。ただ、お二人での生活が難しくなったら手助けできるように、様子はこまめに見ておきましょう。 介護サービスを拒否するときはどうすれば良い? 同居をしないなら、お母様が介護サービスを利用するのはどうでしょうか? それが、介護サービスを利用するのも父に拒否されてしまって。父1人で介護できる状況じゃないと思うんですけど…。どうしたら良いんでしょうか? そうだったんですね…。どうしたら良いか、一緒に考えてみましょうか。認知症が原因で介護拒否をしている場合については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 どうして拒否するのか確認しよう はじめに、どうして介護サービスを利用したくないのか確認してみましょう。どうしてお父様はお母様が介護サービスを利用するのを嫌がるんでしょうか? まったくわかりません。「俺が介護するからいらない」の一点張りで…。 なるほど…。もしかしたら、次のような理由かもしれません。 他人に介護されたくない 誰かに迷惑かけたくない 介護が必要なことを受け入れられない 利用費が高額だと思っている 実は、男性は介護が必要になったら奥さんに介護をしてほしいと思っている人が半数以上いることがわかっています。なので、「妻の介護は自分の役目」とお父様が思い込んでいるのかもしれませんね。 また、お母様が介護が必要な状況であることを受け入れられていない可能性もあります。介護サービスを利用することを重大なことだと捉えていて、「まだ介護サービスを利用するほど、ひどい状態じゃない」と思って、利用を拒否していることもあり得ます。 そういう理由があるんですね…。父は思い込みが激しいところがあるので、北野室長が言う理由が当てはまっているかもしれません。 どのように説得する? 母自身は、私と同居することも、介護サービスを利用することも、そんなに嫌がっている様子ではないんです。とにかく父が頑固で…。どうしたら父を説得できるでしょうか? 例えば、以下の方法はどうでしょうか? 説得する人を変える かかりつけ医から勧めてもらう 要介護認定だけでも受けてもらう 説得する人を変える 同じ内容の話でも、話す人を変えるだけで納得してくれることがあります。 どういうことですか? いつも白石さんがお父様を説得しているのであれば、白石さんのご主人やお父様・お母様のご兄弟から説得してもらうんです。普段、接することが少ない人から言われることで、「自分の考えは間違っているのかもしれない」と冷静に判断できるのかもしれませんね。 私の話は聞かないのに他の家族の話は聞くなんて、なんだか納得いきませんが…。それで父が納得してくれるなら、夫や叔父に頼んでみます。 かかりつけ医から勧めてもらう お母様のかかりつけ医から、同居や介護サービスの利用を勧めてもらうのも良い方法です。かかりつけ医であれば、お母様の状況を把握していますし、「専門家からの助言」ということで、お父様も納得しやすいでしょう。 かかりつけの先生の言うことは素直に聞くんですよね。先生に頼んでみるのもアリかな…。 要介護認定だけでも受けてもらう 少しハードルは高いですが、介護サービスは使わなくても要介護認定だけでも受けてもらうのもひとつの手です。要介護認定を受けると、担当のケアマネジャーさんが付きます。介護のプロから生活のアドバイスをもらえますし、お父様の中で「介護サービス」へのハードルが低くなると思いますよ。 介護サービスにはどんなものがある? 母に介護サービスを利用してもらうとして、介護サービスにはどんなものがあるんでしょうか?介護のことは考えてこともないので、全然わからなくて…。 介護サービスにはいろんな種類があるからわかりにくいですよね。主な介護サービスをご紹介しますね。 在宅介護サービス 訪問介護 デイサービス ショートステイ 在宅介護は、家で介護を受けている人が利用できるサービスです。訪問介護を利用すれば家事の支援が受けられますから、利用しやすいかもしれませんよ。また、デイサービスは日中に介護施設に通ってサービスを受けるものなので、お母様が利用している間、お父様が家事に集中できますよ。 施設介護サービス もし、今後、在宅介護が難しい状況になったら介護施設に入ることも視野に入れておきましょう。 介護施設ですか…。考えたこともなかったです。 主な介護施設には、以下のようなものがあります。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 特別養護老人ホームは要介護3以上、介護老人保健施設は要介護1以上など、施設によって入居条件が定められています。種類もたくさんあって迷ってしまうと思うので、介護施設に入居したい場合は、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談くださいね。 介護サービスを使うときはどうすれば良い? 母が介護サービスを利用する場合、どうしたら良いんでしょうか?直接、訪問ヘルパーなどの事務所に申し込みするんですか? いえいえ!まずは要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は、「要支援1・2」「要介護1~5」といった、介護が必要な度合い「要介護度」を調べるもの。要介護認定の結果がわかってから、介護サービスを受ける流れになります。要介護認定は、まずお母様がお住まいの地域の役所か地域包括支援センターで申請手続きをします。その後は次のような流れで、審査がおこなわれます。 審査の結果、要介護度がわかるので、要介護度をもとに担当ケアマネジャーさんがケアプランを作成。ケアプランに基づいて介護サービスを利用することになります。 担当ケアマネジャーさんってどうやって決まるんですか? ケアマネジャーさんについては、役所や地域包括支援センターで相談できます。役所や地域包括支援センターでは、地域のケアマネジャーさんについて把握しているので、そこで情報を提供してもらいましょう。 そうしてケアマネジャーさんが決まったら、ケアプランを作ってもらって、介護サービスを利用できるようになるというわけですね。 おっしゃる通りです。介護サービスの利用方法についてはややこしいことが多いので、わからなくなったら役所や地域包括支援センターに相談してくださいね。 まずは介護を両親に任せてみよう。何かあったら助けられる体制を 介護サービスには、主に在宅介護と施設介護の2種類がある 介護サービスを利用するには、まずは要介護認定を受けよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/10/23

在宅介護 食事

介護食と離乳食の違いって何?レトルトの離乳食を介護食として使っても大丈夫ですか?

介護食と離乳食の違いって何ですか?高齢の母を自宅で介護しています。最近、噛む力が衰えてきてやわらかい食事を用意しないといけないのですが、私は料理が得意でないので母が食べやすい食事を作るのが難しくて…。 レトルトの介護食を使っていますが、いつも同じような内容になってしまいますし、金額が高いのがネックなんです…。 そこで、レトルトの離乳食を介護食の代わりに使えないかと思っています。離乳食を介護食の代わりとして利用しても大丈夫なんでしょうか? (牧野さん・自営業・64歳) 離乳食を介護食の代わりに使っても問題はないです。が、離乳食の方が量が少ないので、離乳食だけ食べていると栄養不足になる可能性があります。そのため、離乳食を利用するときは他の食事と合わせたり、栄養補助食品なども一緒に摂るようにしましょう。また、離乳食はさらさらとした食感のものが多いです。もし、お母様の飲み込む機能が低下しているのであれば、とろみをつけてくださいね。 介護食と離乳食の違いは? 自宅で母の介護をしています。年々、母がやわらかいものでないと食べられなくなり、食事の準備が大変になってきました。もともと、私は料理が得意ではないですし、仕事の合間に家事や介護をしていることもあって、あまり時間もかけられません。なので、レトルトの介護食を利用しているのですが、種類もなくて同じような内容になったり、値段が高いのが悩みで…。なので、値段が安い離乳食で代用できないかな、と考えています。…そもそも、介護食と離乳食の違いって何ですか? 介護食と離乳食は見た目は似ていますが、赤ちゃん向け・ご高齢者向けと、利用者が大きく異なるので、実は違う点がいくつかあります。それぞれの特徴をお話ししていきますね。 介護食の特徴 とろみがついていることが多い 離乳食より味が濃いことが多い 離乳食より量が多い 離乳食の特徴 さらさらとした食感 介護食より味が薄いことが多い 介護食より量が少ない 介護食は、飲み込む力が低下した人が食べやすいようにとろみがついていることが多いです。対象的に、離乳食はさらさらとしていることが多いです。これは、大人と赤ちゃんの喉の長さの違いがあるため。大人の方が喉の長さが長いので、飲み込む力が低下すると食品などが気管に入って誤嚥しやすいのですが、赤ちゃんは喉が短いので誤嚥しにくいんです。むしろ、赤ちゃんの場合はとろみがついていると喉につまらせるリスクがあるので、液体はさらさらとしています。 子どもと大人の体の違いで、食感が異なるんですね。 さらに、赤ちゃんの方が大人よりも「味蕾」という舌にある味を感じる器官が発達しています。味を感じやすいので、離乳食は薄味に作られています。 健康のために高齢者の食事も薄味が良いと言われますが、赤ちゃんは薄味でも美味しく食べられるということなんですね。 また、離乳食は介護食よりも量が少ないことが多いです。というのも、月齢が小さい子であるほど食事の中のミルクの割合が大きいため。まだミルク以外のものから栄養を摂る準備ができていませんし、離乳食はミルク以外の食べ物を摂る練習という意味合いが強いので、少量しか入っていません。 離乳食は介護食の代わりになる? 介護食と離乳食の特徴を考えると、離乳食で介護食の代用はできるんでしょうか? 「代用できなくはない」というのが回答になってしまいますね。離乳食の方が味が薄いので、ご高齢者には物足りないと感じるかもしれませんし、量が少ないので離乳食だけを食べていると栄養不足になってしまう可能性があります。離乳食を介護食の代わりに利用する場合に注意していただきたい点があるので、詳しくお話ししますね。 離乳食を介護食の代わりにするときの注意点 離乳食で介護食を代用するときの注意点とは、どんなことでしょうか? 次の2点に注意していただきたいんです。 離乳食以外の食事も摂る とろみを付ける 先ほどもお話しした通り、離乳食は介護食よりも量が少ないため、離乳食だけを食べていると栄養不足になるおそれがあります。そのため、食事を離乳食で代用する場合は、栄養補助食品も併用しましょう。栄養補助食品でエネルギーや栄養素を補ってください。ドリンクやゼリーなどいろいろなタイプの食品があるので、摂りやすい形状のものを試してみてはどうでしょうか。 ドラッグストアで見たことがありますね。そういう商品も活用すれば良いんですね。 また、先ほどお伝えしたように、離乳食はさらさらとしているものが多いです。飲み込む力が低下している場合、誤嚥をしてしまい、肺炎になってしまうおそれもあります。そのため、市販のとろみ粉などを使ってとろみをつけるようにすると、安全に食べられるでしょう。 介護食と離乳食のやわらかさの目安は? 離乳食を介護食として利用するときに大切なのは、適切なやわらかさの商品を選ぶこと。離乳食も介護食と同様に、具材の大きさややわらかさを飲み込みや噛む力の段階に分けて展開されているので、お母様の状態に合わせた商品を選びましょう。以下は、介護食と離乳食のやわらかさを対比させたものです。メーカーによって異なることがあるので、目安として考えてください。 介護食離乳食容易に噛める12~18ヵ月頃歯ぐきでつぶせる9~11ヵ月頃舌でつぶせる7~8ヵ月頃かまなくてよい5~6ヵ月頃 介護食は「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」という4段階に分けられ、商品パッケージにも表示されています。対して、離乳食は「5〜6ヵ月頃」「7〜8ヵ月頃」「9~11ヵ月頃」「12~18ヵ月頃」と、月齢によって具材のやわらかさが区分けされています。ただ、離乳食はメーカーによって区分けする月齢が異なることがあります。 なるほど…。母は「歯ぐきでつぶせる」と書いてある介護食を食べているので、9~11ヵ月用の離乳食を買えば良いというわけですね! 介護のなかでも、食事の支度は大きな負担になるもののひとつです。頑張りすぎて牧野さんが体調をくずさないように、レトルト食品も頼ってくださいね。 離乳食の方が味が薄い、さらさらしているなどの違いがある 離乳食は介護食の代わりに使えるが、栄養不足にならないように 離乳食で代用するときは、別の食事と合わせたり栄養補助食品も活用しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/10/19

認知症 施設入居 在宅介護

父親を介護していた母親も認知症になってしまったかもしれません。どうしたら良いんでしょうか?

私の両親は遠方の実家で二人暮らしをしており、認知症の父を母が介護しています。ですが、先日帰省したときに母の様子がおかしくて…。母まで認知症になったかもしれません。 「今日は何日?」「今、何時?」と同じことを何回も質問したり、少し前に話したことを覚えていない様子だったんです。 両親の生活は母がいないと成り立ちません。もし、母まで認知症になってしまったらどうしたら良いのでしょうか? (小沢さん・58歳・会社員) それは心配な状況ですね…!もし、お母様が認知症だった場合、介護サービスを使いながらお二人暮らしを続けるか、ご家族が同居するか、老人ホームに入居するなどの選択肢があります。もちろん、どの選択肢を選ぶのかはご両親の状況やご家庭の事情によって異なりますから、専門家に相談してみるのも方法です。お父様の担当のケアマネジャーさんがいるのであれば、お母様のことも相談してみてください。ただし、認知症の方が認知症の方を介護する「認認介護」には、ご両親の生活の管理が難しくなったり緊急時の対応が難しくなるなどのリスクがあります。早い段階で介護施設に入居することをおすすめします。 介護をしている親まで認知症になったら…? 実家で両親が二人暮らしをしています。遠方なので、年に数回ほどしか帰省はしないのですが、先日、帰省をしたら認知症の父の介護をしている母の様子がおかしくて…。「今日は何日?」「今、何時?」と何回も質問してきたり、ついさっき話したこともすっかり忘れているんです。もしかしたら認知症なんじゃないかと怖くて…。生活はすべて母が回していますから、母まで認知症になってしまったら両親の生活が成り立ちません!母まで認知症になってしまったらどうしたら良いんでしょうか? 落ち着いてください。まずはお母様を病院に連れて行って、早めに認知症かどうかを確かめましょう。それでもし、お母様が認知症だったら、認知症の方が認知症の方を介護する「認認介護」という状態です。かなり心配な状況なので、早めに手を打つ必要があります。 早めに手を打つって…どうしたら良いんでしょうか? 認認介護への対策には、以下のようなものがあります。 専門家に相談する 介護サービスを使う 家族が同居する 老人ホームに入る 専門家に相談する まずは介護の専門家に相談しましょう。お父様には担当のケアマネジャーさんがいますか? はい。両親だけの生活なので、親身になっていろいろと心配してくれています。 でしたら、まずはお父様の担当のケアマネジャーに相談してみましょう。お母様とやりとりする機会は多いでしょうから、お母様の異変を感じているかもしれません。お母様の認知症検査をする前に、今のお母様の状況を聞いてみるのも良いかもしれませんね。 そうですね。父のケアマネジャーさんなら、遠方に暮らす私よりも母の様子をわかっているかもしれません。 介護サービスを使う お母様が認知症とわかってからも在宅介護を継続する場合、お母様も介護サービスを使いながらの生活することをおすすめします。 確かに。今は父がデイサービスを利用していますが、母も通った方が良いんですかね。 それは良いですね。認知症の方がお一人になるのはとても危険です。ご両親で同じデイサービスに通えれば、小沢さんも安心ですよね。認知症のリハビリにもなりますし。また、以下の在宅介護サービスもおすすめです。 訪問介護 ショートステイ 訪問介護は、以前利用していました。ヘルパーさんが家に来てくれて、料理や介助などをしてくれるんですよね。 仰るとおりです!その次のショートステイは、介護施設に短期間の宿泊ができるサービス。宿泊している間の食事、入浴などはすべて施設にお任せできます。お父様とお母様がご自宅で2人で暮らすのが難しい状況になったら、ショートステイを取り入れるのも良いですよ。 家族が同居する 認認介護の状態は危険なので、同居してご家族が介護するのが安心です。もちろん、同居するご家族の負担が大きいですし、同居することで環境が変化して認知症が進行する恐れもあります。ただ、認知症のご両親を2人きりにしておくのは危険なので、有効な対策のひとつではあります。 やっぱり同居も考えないとですよね…。私も妻も仕事をしているので、介護ができるかどうか…。 ご家族が同居することについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 老人ホームに入る ご実家でご両親の二人暮らしも、ご家族の同居も難しい…となると、老人ホームに入るのが安心です。当然ながら、介護のプロがケアをしてくれますので、ご両親は安心・安全な生活ができるでしょう。 母がしっかりしていたときは、老人ホームのことなんて考えたこともありませんでしたが…。やっぱり老人ホームに入れた方が良いのかな。 認知症の人が認知症の人を介護するリスクは? 北野室長は「認認介護は危険」と、さっき言っていましたよね。具体的にはどんな危険があるんでしょうか?心構えをしておきたくて。 さまざまな危険があります。主には以下のようなことです。 介護に必要な時間が増える 社会とのつながりを失う 生活全般の管理が困難になる 緊急時に対応できなくなる 虐待・殺傷事件につながる可能性がある 介護に必要な時間が増える 認知症の方が介護をすることで、介護に必要な時間が増え、心身の負担が増えることが考えられます。介護をするには、段取りや手順、介護用品の使い方など考えないといけないことがたくさんありますよね。でも、認知症の影響で段取りを考えたり、道具の使い方を思い出すことは苦手になります。となると、以前よりも介護に時間がかかるようになりますよね。それによって介護を受ける方とする方のどちらの負担も大きくなることが考えられます。 母だけでなくて、父の負担も増えるんですね。 社会とのつながりを失う 「社会とのつながりを失う」とは、どういうことでしょうか? 具体的には、ご近所さんなどの地域とのつながりがなくなってしまうケースがあります。認知症の影響で会話のキャッチボールが難しくなり、会話ができなくなると自然とご近所さんとのつながりも薄くなってしまいます。 それは確かに…。 それに、先ほどお話ししたように介護に時間を取られるようになりますから、外出する時間も作れなくなってしまうんです。 生活の管理が困難になる 認知症になると、生活に関わるさまざまなものの管理が難しくなります。例えば、薬の管理。薬の飲み忘れはもちろん、お父様の薬をお母様が飲んでしまうなど、命に関わる危険性があります。 認知症になると、どれが自分の薬なのかわからなくなってしまいますもんね。間違った薬を飲むのは、本当に危険ですね…。 また、お金の管理も難しくなります。公共料金などのお金の支払いもできなくなる可能性がありますし、詐欺や悪徳業者の被害にあう危険性もあります。 それは、私も心配しています。最近、高齢者が詐欺の被害にあうニュースをよく見かけるので…。 緊急時に対応できなくなる 認認介護の場合、万が一、どちらかが急に倒れても対応ができない可能性が高いです。認知症が進行すると、どのように対応したら良いのかがわからず、パニックになるかもしれません。また、倒れた方も自分の異変を上手く伝えられない可能性も…。そのため、命に関わる状態でも救急車を呼べずに、最悪の結果になってしまいかねません。 そんな!でも、今までは二人とも元気にいてくれていたから良かったものの、高齢になったら何があるかわからないですもんね…。 虐待・殺傷事件につながる可能性がある これは、かなりお伝えしにくいことなのですが…。認認介護が続いた結果、虐待や殺傷事件に発展してしまったケースがあるんです。 えぇ!?どうしてですか! 例えば、介護を受けている方が認知症の影響でよく理解しておらず、介助を拒否したとします。でも、介助をしている方も認知症なので、どうして拒否するのか、どうしたら良いのかわからない。そして、理不尽な出来事に怒り、怒りのままにご家族を殴ったり殺害してしまったケースがあるんです。 そんなことが…。 認知症の影響で、感情のコントロールができなくなると言われています。なので、通常であれば抑えられるはずの怒りがコントロールできず、衝動のままに行動してしまうんですね。特に認知症の方がお二人だけで暮らしていると、仲裁をする人がいないので、虐待や殺傷事件につながりやすいと言われています。 つまり、うちの両親にもありえる話なんですね…。認認介護ってそんなに危険だったんだ…。 認知症の人が入れる施設は? 北野室長の話を聞いていたら、老人ホームに入居するのを本格的に検討しないといけないように思いました。ただ、老人ホームのことがよくわからず…。両親が入れるのはどんな施設なんでしょうか? 認知症の方におすすめするのは、次の施設ですね。 有料老人ホーム グループホーム 特別養護老人ホーム 有料老人ホーム 有料老人ホームは、「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類があります。2種類のどちらの有料老人ホームでも、夫婦部屋を用意している施設がありますよ。住宅型有料老人ホームは、利用する介護サービスを自由に選択できる施設。自分が選択した外部の介護事業所と契約をして介護サービスを受けるので、必要な分だけ利用できるのが特徴です。 へぇー、介護サービスを自分で選べる施設があるんですね。 対象的に、介護付き有料老人ホームでは介護サービスをすべて施設のスタッフさんが提供しています。そして、介護サービス費用は定額制なので、どれだけサービスを使っても据え置き。介護サービス費は介護度ごとに設定されているのが特徴です。介護スタッフが24時間常駐、看護師は日中に常駐しているので、夜間に介護が必要な方や医療サポートが必要な方も受け入れているところは多いですよ。 父は夜もトイレの介助が必要です。それなら、介護付き有料老人ホームの方が良いのかな。 グループホーム グループホームは、認知症の方だけが入居できる施設。少人数のユニットごとに生活をしているのが特徴です。ユニットは最大9名と決められており、人の顔などの物事を覚えるのが苦手な認知症の方に配慮した造り。スタッフさんも認知症ケアに慣れているので、より安心して暮らせるでしょう。ただ、グループホームには夫婦部屋はありません。同じ施設に入る場合は、1人部屋でそれぞれ入居することになります。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、要介護3以上の方が入居できる施設。料金が安いうえに終身利用ができるため、とても人気の施設です。もちろん、認知症の方も入居できます。ただ、夫婦部屋を持つ特別養護老人ホームはなく、同じ施設に入れるとしても入居時期はバラバラになると考えておいてください。 なぜバラバラのタイミングで入居することになるんですか? 特別養護老人ホームの入居の順番は、緊急度によって施設に決められるからです。身体状況や生活環境、介護者の状況などによって、入居順が決定されます。この入居順はお一人おひとり判断されるので、ご夫婦だからといって同時に入居はできないんです。 そうなんですね…。安いのなら、特別養護老人ホームに入れようかと思ったのですが、そう簡単にはいかなさそうです。 ちなみに、ご夫婦が同じ老人ホームに入らないといけないわけではありませんし、同時に入る必要もありません。より状態が進行しているお父様だけ老人ホームに入居して、お母様はしばらく小沢さんご家族と同居する、という方法もあります。そういったアドバイスもできますので、施設探しに困った際は「いい介護 入居相談室」にご相談くださいね。 認知症の人が認知症の人を介護することを「認認介護」と言う 家族が同居する、老人ホームに入るなどで認認介護を乗り切ろう 認認介護を続けると、共倒れ、殺傷事件につながるなどの恐れがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/09/29

施設入居 在宅介護 特別養護老人ホーム

老人ホームの入居待ち期間をどう乗り切れば良いですか?もうこれ以上、在宅介護は続けられません!

老人ホームに入居の申し込みをしたのですが、満室で入れないと言われてしまいました…。しかも、入居待ちをしているのは900人と言われ、どうしたら良いのか…。 最近、実家で一人暮らしの母の認知症が悪化して、1人で出かけて家に帰れなくなってことがありました。それ以来、帰省する回数を増やしたりしてできるだけ母を1人にしないようにしているのですが…。私も仕事をしているので限界を感じています。 900人待ちとなると、どれだけ時間がかかるのか…。入居待ちの間、どうやって介護をしていけば良いんでしょうか? (杉浦さん・会社員・61歳) 入居の申し込みをしたのは、特別養護老人ホームでしょうか?特別養護老人ホームは入居の待ち期間が長くなる傾向があるので、申し込み後も介護を続けられる体制を作ることが大切です。入居待ち期間は、「在宅介護をする」「ショートステイを利用する」「民間施設に入居する」といった方法で乗り切りましょう。また、特養の場合、入居の申込み書類に具体的に入居申込理由を詳しく書くことで、入居待ち期間が短くなることも。特養は必要性が高い人から入所できるので、入所の必要性をしっかり伝えましょう。 老人ホームの入居待ち期間はどう過ごす? 一人暮らしの母が入る老人ホームを探しています。でも、近所の老人ホームに入所申し込みをしたら900人も入所待ちをしていると言われてしまいました。900人待ちなんて、入所がいつになるのか…。母の認知症が進行してしまって、先日は迷子になって警察に保護されました。なので、できるだけ母を1人にさせないように頻繁に帰省しているのですが、仕事もありますし、厳しい状況です。老人ホームに入れるまで、どうやって介護をしていけば良いのでしょうか? 900人待ちですか!申し込みしたのは、特別養護老人ホームですか? そうです。 特別養護老人ホームは、老人ホームのなかでも入所待ち期間が長い施設なんです。そのため、入所できるまでの介護体制についても考えておくことが大切です。 入所できるまでは、どうやって介護していけば良いんですか? 主に次の3つのパターンが考えられます。 在宅介護をする ショートステイを利用する 民間施設に入居する 在宅介護をする まずは、在宅介護を継続する方法です。在宅介護サービスを活用しつつ、できるだけ負担の少ない形で介護を続けていきましょう。具体的には、デイサービスや訪問介護を利用して、お母様が1人になる時間を減らすこと。入所待ち期間がどれだけかかるのかわかりませんから、杉浦さんに負担がかからない体制を作っていきましょう。 うーん。といっても、在宅介護をするなら私が実家に通わないと成り立たないんですよね。今も仕事の時間を短くしてもらっているのに、これ以上、仕事の時間を減らすことはできないですね…。 なるほど…。でしたら、他の方法も考えてみましょう! ショートステイを利用する 在宅介護を継続するのでも、ショートステイを積極的に活用することで介護の負担を大幅に減らせます。 ショートステイですか…。使ったことはないんですよね。 ショートステイは1日から利用できて、連続で最大30日間、介護施設に宿泊できます。泊まっている間の食事や入浴、排泄などのケアはすべて施設が対応してくれるので、杉浦さんの介護の負担はかなり減るでしょう。 30日も宿泊できるんですか!それはかなり助かるかも…。 ただ、30日泊まったら、最低でも1日は自宅で過ごさないといけません。ショートステイに30日泊まって、1日自宅に戻る、というのを繰り返して、老人ホームの入居待ちを乗り切っている方も意外といるんです。この方法を「ロングショート」「ショートのロング」と呼んだりします。 確かに、母を実家で1人にしておけないですし…。ショートステイを活用するのも良いのかもしれないですね。 他の老人ホームに入居する 希望の施設が入居待ちですぐに入れない場合、別の老人ホームに入って順番待ちをする方法もあります。 入居待ちをしているのに、他の老人ホームに入居しても良いんですか? はい。まったく問題ありません!特に、特別養護老人ホームの入所待ちが必要で在宅介護が難しい場合、待機期間だけ有料老人ホームなどの民間施設に入居するケースは珍しくありません。 でも、「特別養護老人ホームの入所待ちの間だけ入居させてください」って言うのは、施設さんに申し訳ない気が…。 そんなことはないですよ。そういった要望は多いので、民間施設のスタッフも慣れているので大丈夫ですよ! 老人ホームの入居待ち期間はどれくらい? 申し込みをした特別養護老人ホームに、入所を待っている人が900人と言われましたが、どれくらい待たないといけないんでしょうか? うーん。こればかりはまったくわかりませんね…。特別養護老人ホームの入所待ち期間は2~3年ほどとも言われますが、順番は入所の緊急性に基づいて決められているので、参考程度にしかなりませんね。 入所の緊急性ですか? 特別養護老人ホームの場合、「入所判定基準」に沿って入所の優先度が判断されます。これは、ご本人の生活状況や介護者の状況、介護サービスの利用状況などをもとに、点数化されるもの。点数が高い人から入所できます。入所判定基準は、市区町村によって定められています。例えば、以下の北九州市の入所判定基準は「本人の状況」「介護者の状況」「個別評価」の3つの項目で判定されます。 本人の状況 項目 配点 説明 要介護度 要介護1 20点 申し込み時の要介護認定が1である場合 要介護2 40点 申し込み時の要介護認定が2である場合 要介護3 60点 申し込み時の要介護認定が3である場合 要介護4 80点 申し込み時の要介護認定が4である場合 要介護5 100点 申し込み時の要介護認定が5である場合 特別な状況 排泄 10点 介護者が、オムツや尿とりパットの交換などの介助を要する場合に限る 摂食 10点 食事中に介助を要する場合に限る 徘徊 15点 当てもないのに外へ出かけてしまう、自宅や施設などでひっきりなしに歩き回ったりする行動がある場合に限る 暴力などの問題行動 15点 介護者が話しかけたり、介護をおこなう際に、手で払いのける、足で蹴る、たたくなど、介護の支障となる行動を取る場合に限る 非該当 0点 上記の特別な事情のいずれにも該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) 介護者の状況 項目 配点 説明 身寄りなどの有無 身寄りなし 80点 同居・別居を問わず、身寄り(親、配偶者(内縁関係を含む)、子、子の配偶者)がいない場合に限る 実質的な介護者なし 70点 同居の介護者(親、配偶者(内縁関係を含む)、子、子の配偶者)がいる場合は、その者が要介護3以上であること。また、同居の介護者がいない場合は、その者が県外であるか、要介護3以上の場合に限る 状況 独居 20点 県内に介護者(親、配偶者(内縁関係を含む)、子、子の配偶者)がいる場合で、本人が一人暮らしをおこなっている場合に限る。世帯分離は対象外。 介護者が高齢または持病 20点 主たる介護者が70歳以上の高齢である場合や、障害者(障害者手帳等を有するもの)、病気療養中の者(軽度の者は除く)である場合。もしくは主たる介護者が県内で北九州市に隣接しない市町村に在住する場合に限る 介護者が就労・複数介護・育児 20点 主たる介護者が週に20時間以上就労している場合(非正規雇用等も含む)や、複数介護、就学前の育児をおこなっている場合に限る 非該当 0点 上記の介護者の状況のいずれにも該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) 個別評価 項目 配点 説明 待機場所 在宅 50点 在宅で生活をしている場合。短期入所生活介護等の入所サービスを受けている場合も含む 病院 30点 病院に入院している場合 軽費老人ホーム・ケアハウスなど 20点 軽費老人ホーム、ケアハウス(一般)、有料老人ホーム(住宅型)などに入所している場合 養護老人ホーム・グループホーム・老健・療養型病床 10点 養護老人ホーム、グループホーム、介護老人保健施設、療養型病床、介護保険適用外施設などに入所している場合 特別養護老人ホーム・特定施設入居者生活介護 0点 特別養護老人ホーム、介護付有料老人ホーム、ケアハウス(介護型)などに入所している場合 特殊事情 特殊事情 10点 待機場所が特養の場合で、ユニットから多床室、多床室からへのベッド移動、または施設移動を希望するやむを得ない事情がある場合 非該当 0点 上記の事情がない場合 住環境 住環境が不適応 15点 住む家がない場合、もしくは、屋外の環境により適応できない場合 例えば、エレベータのない住宅で2階以上の階に住んでおり、車椅 子を使用している方など 非該当 0点 上記の住環境のいずれにも該当しない場合 待機期間 1年以上の待機 10点 要介護3以上で、入所待機期間が 1年以上の場合 非該当 0点 上記の待機期間に該当しない場合 参考:「入所判定基準」(北九州市) へぇー、こんな厳密に設定されているんですね。 ちなみに、民間施設の入居の順番は、基本的には申し込み順です。民間施設であれば、特別養護老人ホームよりも入居待ちの人数は少ないので、比較的に早く入居できるでしょう。特別養護老人ホームの待機者数については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 特養の入居待ち期間を短くする方法は? 入所までに2~3年も待たないといけないかもしれないなんて…。入所待ちの期間を短くすることはできないですよね? 必ず入所待ち期間を短くできると断言はできませんが、以下の方法で多少は短くできるかもしれません。 申し込み理由欄を詳しく書く 施設に報告をする 複数の特養施設に申込みをする 介護サービスを積極的に利用する 仕事をする 申し込み理由欄を詳しく書く 先ほどお話しした通り、特別養護老人ホームの場合は入所の順番が緊急度によって決められます。そのため、入所申込書の申し込み理由欄に詳しく記入することで、緊急度が上がる可能性があります。 申し込み理由欄…そういえば、書類にあったような気がします。それに何を書けば良いんですか? 主には「在宅介護が難しい理由」です。その他にも介護しているご家族がいかに困っているのか、を書くと特別養護老人ホームに入る必要性を伝えられるでしょう。意外と申し込み理由欄を簡潔に書いてしまう方が多いのですが、丁寧に詳細に書くことで入所の順番を早められることがあります。 施設に報告をする お母様の状態やご家族の状況が変わったら、申し込みをしている施設にその都度、報告しましょう。入所待ちをしている間に、認知症が進行したり身体機能が低下したりと、より介護が大変になっていくことが考えられます。そのため、状況が変わったら施設にその都度、報告をすることで入居順が早くなる可能性があります。 複数の介護施設に申込みをする 入所の申し込みをするときは、複数の施設に申し込みをしましょう。 えっ!?そんなことをして良いんですか? 大丈夫ですよ!実際に複数の施設に申し込みをしている方は結構いらっしゃいます。複数の施設に申し込むことで、早く順番が回ってきた施設から入所できますから。また、特別養護老人ホームのなかでも「ユニット型」という種類は比較的に入所待ち期間が短くなる傾向があるのでおすすめです。 どうして、ユニット型は入所待ち期間が短くなるんですか? ユニット型は、多床室や個室タイプに比べて費用が数万円ほど高いからです。反対に、多床室などの安い施設の方が入所希望が多いので、入居待ち期間が長くなりやすいですね。 入居待ち期間が短くなる代わりに費用が高くなるんですね。悩みますね…。 でしたら、地域を広げて施設探しをするのがおすすめです。都市部の方が入所の待機者数が多くなる傾向がありますから、待機者数が少ないエリアの特別養護老人ホームにも申し込みしておきましょう。 介護サービスを積極的に利用する 介護サービスを積極的に利用するのも、入所待ち期間を短くする方法のひとつです。特に入所申し込みをしている特別養護老人ホームが、ショートステイやデイサービスなども提供している場合、利用することでより入所待ち期間を短くできることがあります。 どうして、入所待ちしている特別養護老人ホームの介護サービスを使うと、入所待ち期間が短くなるんですか? というのも、特別養護老人ホームのスタッフさんにお母様の状況を随時、把握してもらえるからです。先ほどもお話しした通り、施設側にお母様の状況を把握してもらうことで入所の優先順位を上げてもらえることがあるからです。また、介護サービスを頻繁に利用しているということは、家族だけでは介護ができない状況ということ。介護が大変な状況であることをアピールする材料にもなります。 仕事をする 特別養護老人ホームの入所順を早めるために、介護をしている方が仕事をしたり仕事を増やしたりするのも良いでしょう。 つまり、私が仕事を増やす、ということですか?介護のために、仕事を時短勤務に変えてもらったのに…。フルタイムに戻したら、介護ができないですよ。 在宅介護が難しいことを、施設にアピールするんです。先ほどお伝えした入所判定基準にも、介護している人の就労状況が考慮されています。なので、杉浦さんが仕事を増やすことで、さらに入所の緊急性を上げられるでしょう。もちろん、無理に勤務時間を延ばして、杉浦さんが体調を崩したら元も子もありません。無理にならない程度に調整してくださいね。 入居待ち期間は、特養で2~3年、有料老人ホームは待機人数によって大きく異なる 在宅介護を継続、ショートステイの利用、民間施設に入居などで入居待ち期間を乗り切って 複数施設に申し込む、申込み理由欄を詳しく書く、などで特養の入居待ち期間が短くなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/09/25

認知症 在宅介護

認知症の父親の暴力がひどくてあざだらけ…。どうしたら良いですか?

約2年前に認知症と診断された父と同居して介護しています。以前はそんなことはなかったのに、この半年ほど父がちょっとしたことで怒って、私や母を殴ったり物を投げるようになりました。 母も私もあざだらけで、いつ殴られるのかおびえながら生活しています。こんな父にはどのように対応したら良いですか? (内山さん・会社員・56歳) 暴力行為があると、内山さんもお母様もかなり不安な日々を過ごしていらっしゃると思います。ですので、まずはできる範囲で距離を取りましょう。お父様が怒り始めたら、別の部屋などに移動して物理的に離れる、デイサービスやショートステイなどで離れる時間を作る、といった対応です。認知症になると、感情をコントロールする脳の機能が低下して、ちょっとしたことで暴力的になることがあります。また、不安やストレスを感じて暴力的になっていることがあるので、力で抑えようとしたり身体拘束をするのはNG。さらに暴力行為がエスカレートするおそれがあります。あまりに暴力行為が激しいときは、精神科のある病院への入院も検討してくださいね。 暴力は認知症の「周辺症状」のひとつ 認知症の父から殴ったり蹴ったりの暴力を受けることが増えて困っています。認知症のせいか物忘れがひどくなり、忘れている出来事を指摘すると怒鳴りながら殴りかかってきます。また、家電などの道具類も使い方がわからなくなり、いらだって庭に投げ捨てて壊すことも…。父は一度怒り出すと手を付けられず、私も母もあざだらけ…。何がきっかけで怒るのかわからないので、毎日おびえながら生活しています。急に暴力的になったのは、認知症のせいなんでしょうか? おそらく、認知症のせいだと思われます。暴力は認知症の「周辺症状」の代表的なもののひとつ。周辺症状とは、認知症のメインの症状「中核症状」や心理状態に影響して引き起こされる症状のことで、「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれます。認知症の中核症状には、物忘れや理解力の低下などがあります。周辺症状は、それらの中核症状が原因となって現れているんです。 うちの父は物忘れがひどいのですが、それが原因で暴力を振るっているということですか? はい、その可能性もありますね。ただ、物忘れは多くの認知症の方に現れる症状ですが、物忘れの症状がある方全員が暴力行為をするわけではありません。その方の状況などによって、個人差が大きいのが周辺症状の特徴なんです。 認知症の種類によっては暴力の症状が出ることも ちなみに、お父様の認知症の種類はご存知ですか? はい。血管性認知症です。認知症の種類が暴力を振るうことに関係があるんですか? そうなんです。実は、認知症のなかには暴力行為が起こりやすい種類があります。それが、「脳血管性認知症」と「前頭側頭型認知症」です。血管性認知症は、感情のコントロールが難しくなるのが特徴。脳血管の障害によって起こる認知症なので、障害がある脳の部位と正常な部位との機能の差が生まれ、意識がはっきりしている時間とそうでない時間があります。意識がはっきりしないときがあることを、ご自身で認識できる場合もあるので、精神的に不安定になる方も。そのため、不安が大きくなってちょっとしたことで暴力を振るいやすいんです。 えぇっ、父はそんな状態だったんですね…。 また、前頭側頭型認知症は、人格や社会性、言語などをつかさどる脳の部位が損傷しています。そのため、ルールを守った行動ができなくなったり、少し気に入らないことがあると暴力を振るうことがあるのが特徴です。 認知症の人の暴力はどう対応する? 毎日、父の顔色をうかがいながら生活するのはもう嫌です!どうにかならないでしょうか? そうですね…。対応策としていくつかお伝えしましょう。例えば、以下のような方法です。 物理的・心理的に離れる 薬で治療する 在宅介護サービスを利用する 介護施設に入居する 物理的・心理的に離れる まずは、物理的にも心理的にも距離を取りましょう。具体的には、お父様が怒り出したタイミングで、別の部屋へ移動したり、落ち着いているときに音楽などを聞いてご自分のリラックスタイムを作る、といったようなことです。取り急ぎの対応方法ではありますが、意識的に距離を取ってみると、内山さんやお母様の気持ちが多少楽になると思いますよ。 薬で治療する 薬を使えば、お父様の状態が落ち着くこともあります。既に服薬している薬がある場合は、飲み合わせの問題もあるので、「お薬手帳」を持ってかかりつけ医に相談しましょう。また、認知症の薬を服薬している場合、別の薬に変えたり量を調整することで、症状が良くなることも。暴力を振るわれていることを医師に伝えてみましょう。 在宅介護サービスを利用する 在宅介護サービスのなかでも、「デイサービス」と「ショートステイ」を利用するのがおすすめです。デイサービスは、介護施設に通って介護サービスを受けられるもの。昼間の時間帯に介護施設が預かってくれるので、ご家族が安心して過ごせる時間を確保できます。また、認知症だけが利用できる「認知症デイサービス」というものもあります。認知症デイサービスであれば、認知症ケアに慣れた職員がそろっているので、適切なケアによってお父様の状態も落ち着くかもしれません。 へぇ!認知症の人限定の介護サービスがあるんですね。ちょっとでも父を預かってくれれば、私も母も安心できます。 また、ショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービス。宿泊している間の食事、入浴、レクリエーションなどのサービスを提供しています。デイサービスよりも長時間、介護施設が預かってくれるので、ご家族のリフレッシュとして活用している方が多いですよ。 それは助かります!父に気を使わなくて良い日が1日でもあると、気が休まりそうです。 介護施設に入居する もし、ご自宅での介護が難しい状況であれば、介護施設への入居も検討してください。以下の施設であれば、認知症の方への対応に慣れているので対応できるでしょう。 特別養護老人ホーム 有料老人ホーム グループホーム ただ、お父様の暴力が職員さんや他のご入居者にも及ぶ場合、入居を断られる可能性も。介護施設の受け入れ状況やお父様の状態にもよりますので、介護施設によく相談してみてください。 暴力行為があると、介護施設でも入居ができないことがあるんですね…。 暴力があまりにもひどいときは病院へ 先ほどお話しした通り、暴力行為がある方は介護施設の入居が断られる可能性があります。これは、有料老人ホームなどの長期入居型の施設だけでなく、デイサービスなどの在宅介護サービスでも同様で、利用を断られる可能性があります。 そんな!では、父におびえながら私と母が自宅で介護するしかないんですか!? いえ、誰にも手がつけられないほど怒ったり、暴力を振るう場合は、病院での治療が必要な状態と言われています。そのため、介護施設で受け入れられないほどの暴力行為がある場合は、入院をおすすめします。 えっ!入院ですか? そうなんです。入院設備のある病院のなかでも、精神科のある病院が良いでしょう。なぜなら、一般的な病院の場合、認知症の方の対応ができないことが多いためです。精神科であれば、認知症の薬の処方をしてもらえますし、看護師も認知症の方の対応に慣れているので受け入れてくれるでしょう。 精神病院ですか…。まさか、父がそんな状態だとは思っていませんでした…。 もちろん、薬の調整やケアの方法を変えることで暴力が落ち着いて、在宅介護を続けられることもあります。まずは、かかりつけ医やケアマネジャーさんに相談してくださいね。認知症の方の入院については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 こんな対応はNG! 認知症の影響による暴力行為は、間違った対応をするとさらにエスカレートしてしまう可能性があります。なので、やってはいけない対応についてもお話ししておきますね。具体的には、以下の2つです。 力で押さえつける 身体拘束をする 認知症の方の振り上げた手を押さえつけて降ろさせるなどの、力で押さえつける対応はNGです。なぜなら、行動を制限されたことで不安や恐怖を感じ、暴力がエスカレートするおそれがあるからです。 私や母では父の力には勝てないので押さえつけたことはありませんが、暴力がエスカレートすることもあるんですね…。 また、ベッドなどに縛り付ける、部屋に鍵をかけて自由に出られないようにする、といったことは身体拘束で虐待にあたりますから、やらないでくださいね。 虐待!?絶対にやらないです! 身体拘束がストレスとなり、認知症が進行したり、身体機能が低下する危険性があります。暴力行為はとても怖いことで、不安を感じるかもしれませんが、「力で押さえつける」「身体拘束をする」といった対応はしないでくださいね。認知症の方に言ってはいけない言葉については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症の人が暴力を振るう理由は? 父は、もともと怒りっぽい人ではありませんでしたし、すぐ手が出る人でもありませんでした。認知症のせいだとしても、どうして暴力的になってしまったんでしょうか? 認知症の方が暴力を振るうのは、以下のような理由が考えられます。 ストレス・不安のため 自尊心を傷つけられたため 薬の副作用のため ストレス・不安のため 先ほども触れた通り、認知症の影響で判断力や理解力が低下します。そのため、周囲の状況が把握しにくいので、ストレスや不安を感じやすい状態です。さらに、感情のコントロールする機能も低下しているため、ストレスや不安を感じると精神的に不安定になり、その結果、暴力的になってしまうことがあります。 自尊心を傷つけられたため 加齢や認知症の影響で、できないことが増えていきますよね。そのため、ご家族が介助をするわけですが、その際に自尊心を傷つけてしまうことも少なくないんです。 どういうことですか? 例えば、「一人で大丈夫?」といった声掛けも、ときには自尊心を傷つける一言に。「一人じゃできないんだから、手伝うよ」といった言い方をすると、なおさら自尊心を傷つけかねません。認知症の方を心配すると、こういった声掛けをしてしまいがちですが、自尊心を傷つけて暴力行為のきっかけになることもあるので、気をつけましょう。 薬の副作用のため 服用している薬によっては、副作用の影響で暴力的になっていることもあります。認知症の薬のなかには、暴力行為が副作用として指摘されているものも。体質に合わない薬を止めたら暴力行為がなくなったケースもあるんです。 認知症の薬のせいで、暴力的になっている可能性もあるんですか! そうなんです。だからといって、独断で服薬を中止するのはとても危険なので止めてくださいね。薬を中止したり、調整するときは、必ず医師に相談してください。認知症の影響によって暴力を振るうといっても、原因は人それぞれのため、対応方法もそれぞれです。ご家庭で抱え込まないで、まずはケアマネジャーやかかりつけ医に相談してくださいね。認知症の方の暴言については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症の人の暴力には心理的に離れる、薬で治療するなどの対応をしよう 認知症の人を力で押さえつける、身体拘束するのはNG! 認知症の影響で、感情の抑制ができない、不安感を感じやすいため暴力を振るうことも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2023/09/13

在宅介護 介護疲れ

高齢の母親が他人の悪口ばかりでうんざり。どうやって対応したら良いでしょうか?

遠方の実家に母が一人暮らしをしています。このところ、帰省する度に近所の人の悪口や私への文句が止まらないのでうんざり。「ゴミ出しがきちんとできていない人がいる」「小学生がうるさい」といった他愛のないことですが、ぐちぐちと何度も言うので参っています。 もともと、ここまで愚痴っぽい人ではなかったのですが、ここまでひどいと帰る気もなくなります。母の悪口を減らす方法はないでしょうか? (成田さん・会社員・65歳) ちょっとしたことでも、帰省する度に悪口を言われるのはしんどいですよね。ただ、ご高齢者の悪口に対して、否定してしまうのはあまり良くありません。否定してしまうと「どうしてわかってくれないんだ」と感じて、さらに悪口がエスカレートする可能性があります。もし、悪口が増えたこと以外にも、物忘れ、日付がわからない、料理の手順がわからない、といったことがあれば認知症のおそれがあります。思い当たる場合は、病院で相談してみましょう。 悪口ばかりの高齢者への対応は? 実家で一人暮らしをしている母が、悪口ばかり話すようになってうんざりしています。帰省する度に、悪口や愚痴をずっと話していて、たまに帰るのも気が重くなるほど。昔はこんなに愚痴っぽい人ではなかったのですが…。帰る度に私や近所の人への文句が止まらないですし、帰省がストレスになっています。どうにか母の愚痴に上手く対応できる方法はないでしょうか? 帰省の度に悪口を聞かされるのはしんどいですよね…。次のような対処方法があります。 否定をしない 対等に話す 感謝を伝える ときには謝る 時間決めて聞き流す 介護サービスを利用する 専門家に相談する ひとつずつ、お話ししていきますね。 否定をしない たくさんの悪口を聞いていると、「それは違うでしょ」と否定したくなることもあるかもしれません。一旦、そういった否定したい気持ちを抑えて、共感したり、理解をしている態度を示してみましょう。 共感ですか。できるかな…。 「自分のことをわかってくれない」という思いで文句を言っていることもあります。そういう場合、お母様の言葉を否定してしまうと、さらに「わかってくれない」と感じて、悪口がエスカレートしてしまう可能性もあるんです。そのため、共感まではできなくても、「話はしっかり聞いているよ」という姿勢を示すだけでもお母様が安心するかもしれません。 対等に話す 親御さんがご高齢になると、お子さんが親御さんを「叱る」「注意する」といった場面が増えるかもしれません。ですが、子どものような扱いをするのはNG。あくまで、大人同士の対等な立場で話をしましょう。例えば、親御さんがご高齢になると「自分でやった方が早い」とお子さんがすべて家事をしてしまったり、「また悪口が始まった」と話を聞き流したり…。そのせいでお母様のプライドが傷ついて、文句や愚痴を言われることもありえます。 話半分に聞いていて、「いつも私の話を聞かない!」と長々と文句を言われたことがあります…。そのときは、ただうんざりしただけですが、私の態度が良くなかったんですね。 感謝を伝える ときには、感謝の気持ちを伝えましょう。シンプルな「ありがとう」「感謝しているよ」という言葉でも、口にすることが大切です。 うーん…。悪口ばかりで感謝の言葉を伝える気もなくなってしまうんですが…。 確かに、ご実家に帰る度に悪口を聞いていると、そういう気持ちになりますよね。そういうときは、アルバムで思い出の写真を見ながら、昔の出来事への感謝を伝えるのでも良いでしょう。悪口を言うご高齢者は、不安や焦りといった感情を持っていることが多いので、感謝を伝えることが自尊心の向上につながるでしょう。 ときには謝る もし、成田さんへの文句が続くときは、演技をして謝ることでお母様の気持ちが収まることもあるかもしれません。 演技をする?どういうことですか? なかには、普段のストレスを文句や悪口で解消していることがあります。お母様の場合、一人暮らしで寂しい気持ちを紛らわしている面もあるのかもしれません。なので、成田さんが一旦、謝ったり非を認めることでお母様の気持ちが収まって、文句も収まる可能性もありますよ。 時間決めて聞き流す 悪口を聞き続けるのは、とてもストレスがかかることですよね。でも、お母様の話をまったく聞かないのは、さらに悪口がエスカレートする可能性もあります。そこで、時間を決めて話を聞き流したり、話を変えるのもひとつの手です。例えば「文句は1日10分だけ聞く」「3分聞いたら話を変える」といったふうに、時間を定めておくと成田さんの気持ちが少し楽になると思いますよ。 介護サービスを利用する もし、お母様が介護認定を受けているのであれば、介護サービスを受けるのもおすすめです。一人暮らしだと、生活に刺激が少なくて気持ちがネガティブになりがち。落ち込んだ気持ちから誰かの悪口や文句を言っているのかもしれません。なので、デイサービスなどの人との交流する機会を作ると、生活にハリが出るでしょう。お母様はデイサービスを利用していますか? 母は、介護認定を受けて「要支援1」ではあるのですが、介護サービスは使ったことがなくて。今のところ一人で生活はできていますし、必要ないんじゃないですか? 介護サービスは介護が必要になってからだけではなく、介護予防としても利用できるんです。特にデイサービスは、レクリエーションや体操などで体を動かす機会もありますし、運動不足の解消や、気分転換にもなると思います。 専門家に相談する 愚痴っぽいだけで、専門家に相談するんですか? はい。以前はそんなことがなかったのに、「悪口が増えた」「愚痴っぽくなった」というときは認知症や何かしらの病気が隠れている可能性があります。なので、前にお話しした対応方法をしても悪口が収まらない場合は、医師やケアマネジャーなどの専門家に相談することをおすすめします。 悪口ばかりなのは認知症の前触れかも 悪口ばかり話すのが、どうして認知症の前触れになるんですか? 認知症の症状の中に、「攻撃的な言動」「被害妄想」というものがあります。これらのせいで、悪口や文句が増えている可能性があるからです。「攻撃的な言動」「被害妄想」は、認知症の周辺症状(BPSD)と呼ばれるものです。記憶障害などの中核症状による不安やストレスから引き起こされる、二次的な症状を周辺症状と言います。つまり、他人への悪口や文句は、被害妄想による攻撃的な言動である可能性があるということです。 ただ愚痴っぽくなっただけ、と聞き流していましたが、認知症の可能性があるなんて…。 特に、「以前は愚痴っぽくなかった」という人は要注意。以下が認知症の初期症状なので、他の症状も現れていないか確認してください。 少し前の出来事をすぐに忘れてしまう 時間や場所がわからない 役所の手続きやATMでのお金の出し入れができなくなる 料理の手順がわからなくなったり、味付けを間違える 自分のものを盗まれたと疑う ちなみに、「怒りっぽくなった」というのも認知症の前兆の可能性があります。詳しくは以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 高齢者が悪口ばかりになる理由は? 母は、以前はそこまで愚痴っぽい人ではなかったんですが、どうしてこんなに悪口ばかり言うようになってしまったんでしょう?歳のせいだと思っていましたが、何か理由があるんでしょうか? 確かに、年齢の影響はあるかもしれません。例えば、ご高齢者が悪口ばかり言うようになることについて、以下のような理由が考えられます。 できないことが増えていらだっている プライドが高くなっている 孤独感がある 被害妄想がある できないことが増えていらだっている 元気なご高齢者でも、できないことや記憶力などの低下を感じる場面が若い頃と比べて増えていることが大半でしょう。昔と同じようにできないことのいらだちが、誰かへの悪口や文句という形になっているのかもしれません。 そういえば、母も最近、体が思うように動かなくなっていらだっている様子がありました。できないことが増えてきて、いらだっているのかな…。 プライドが高くなっている 年齢とともに経験を重ねることで、プライドが高くなっていることが誰かへの悪口につながっている可能性もあります。例えば、「若い人はわかっていない」「年上だから自分の方がえらい」といった思いから悪口を言っているのかもしれません。 孤独感がある 定年を迎えたり、体力的な面から外出の機会が減るため、ご高齢者は人との交流が減る傾向があります。一人暮らしだとなおさらですよね。一人の時間が増えると、「誰も相手をしてくれない」「かまってくれない」と孤独感が強くなってしまうでしょう。そうした不満が悪口につながっているのかもしれません。 被害妄想がある 被害妄想については、認知症の症状のひとつとしてお伝えしましたね。詳しくお話しすると、認知症などの影響で記憶力が低下することで被害妄想が始まることがあるんです。 なんで、記憶力の低下が被害妄想につながるんですか? 例えば、認知症による被害妄想の主なもののひとつに「物盗られ妄想」があります。これは、財布やお金などの大切なものを盗まれたと思い込むこと。大切なものを自分でしまったのに、しまったこと自体を忘れてしまって「盗まれた」と思い込む被害妄想です。認知症による物忘れは、直近の行動や出来事をまるごと忘れてしまうのが特徴。「どこにしまったのかを忘れる」のではなく、「しまったこと自体を忘れる」ので、自分でしまったのではなく盗まれたと考えてしまうんですね。 えぇ…、そんなことが起こるんですね。 物盗られ妄想から、「近所の◯◯さんに財布を盗まれた」のような根拠のない悪口が始まることもありえます。悪口の内容が「不自然だな」と、感じたら認知症の可能性を考えても良いかもしれません。ご高齢者が悪口ばかり言う背景には、加齢によるいらだちや孤独感、さらには認知症の可能性も隠れているかもしれません。耳を傾けるのはストレスが大きいことですが、ある程度は聞き流しつつも、その裏の本当の訴えも気にかけてみてください。 悪口ばかりでも、共感する、対等に話すといった対応を心がけて 悪口は認知症の前兆かも。他の初期症状がないかチェックしてみて できないことが増えている、孤独感などから悪口がエスカレートしていることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...

2023/09/12

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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