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Q&A

在宅介護

認知症 在宅介護

認知症の父親が便を失禁するように。区分変更で要介護度はいくつになりますか?

最近、認知症の父親が便を失禁するようになってしまいました。毎日のように下着が便で汚れていて、かなり参っています。 こういう場合って、区分変更をした方が良いのでしょうか?区分変更をしたら要介護度はいくつになりますか? (福井さん・パート・63歳) 「前と状態が変わったな」と感じたら、区分変更をおすすめします。ただ、要介護度は、心身の状況などから総合的に判断されるものなので、「便失禁をしたら要介護いくつ」と決まっているわけではありません。各要介護度の状態の目安はありますが、必ずしもその要介護度になるわけではないので、あくまで参考として把握しておくと良いですね。ご高齢者は便秘になりやすい傾向があり、便秘が便失禁の原因となることも。便秘を解消することが便失禁の予防につながることもあります。区分変更と合わせて便失禁の対策もうっていきましょう。 認知症の親が便失禁をするようになったら介護度はどうなる? 認知症の父が便を失禁するようになってしまいました。ほぼ毎日なので、汚れた服や布団を掃除するのが大変で…。このように父の状態が悪くなった場合、区分変更をした方が良いのでしょうか? おっしゃる通り、お父様の状態が変化しているので、区分変更するのがおすすめです。要介護度が上がる可能性がありますから。 やっぱり…。区分変更をした場合、要介護度はいくつになるんでしょうか? うーん。こればかりはなんともお伝えできません。というのも、「便失禁をしたら要介護いくつ」といったように、要介護度は決められていないからです。要介護度は、その方の心身の状態から介護の必要性を総合的に判断するものなので、明確に「この症状があったら要介護いくつ」という設定をされていないんですね。 そうなんですね…。父は今、要介護1なのですが、区分変更をして要介護いくつになるのかはわからないんですね。 今、はっきりとお伝えできないですね…。申し訳ないです。ただ、各要介護度の状態の目安はお伝えできますよ。以下の通りです。 要介護度要介護認定の目安状態の目安となる具体例自立支援が必要ない状態。一人で支障なく日常生活を送れる要支援1基本的に一人で生活ができるが、家事などの支援が必要。適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。掃除や身の回りのことの一部において、見守りや手助けが必要。要支援2基本的に一人で生活ができるが、要支援1と比べ、支援を必要とする範囲が広い。適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。身だしなみを自分だけでは整えられない、立ち上がりや歩行などでふらつく、入浴で背中が洗えないなど支援が必要な場面がある。要介護1基本的に日常生活は自分で送れるが、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする。排泄や入浴時に見守りや介助が必要。認知機能の低下がみられる。要介護2食事、排泄などは自分でできるが、生活全般で見守りや介助が必要。自力での立ち上がりや歩行が困難。爪切り、着替えなどにも介助が必要。「薬を飲むのを忘れる」「食事をしたことを忘れる」などの認知症初期症状がみられる。問題行動をとる場合もある。要介護3日常生活にほぼ全面的な介助が必要。食事、着替え、排せつ、歯みがきなど、日常生活において基本的に介助を必要。認知機能の低下によって問題行動をとる場合もある。要介護4介助がなければ日常生活を送れない。排せつ、食事、入浴、着替えなどすべてにおいて介助が必要。思考力の低下もみられ、認知症の諸症状への対応も必要になることもある。要介護5介助なしに日常生活を送れない。コミュニケーションをとることが難しく、基本的に寝たきりの状態。日常生活全般が自分でおこなえないため、寝返りやオムツの交換、食事などのすべてで介助が必要。会話などの意思疎通も困難。 この表もあくまで目安。便失禁について明確に触れているわけではないので、参考程度に考えてください。 状態が変わったら区分変更をしよう 実は、区分変更をしたことがないんです。父の状態が以前より悪くなっているのを感じるので、区分変更をしたいのですが、どんな手続きをしたら良いのでしょうか? では、区分変更の流れについてお話ししますね。 区分変更の流れ 区分変更の手続きは、介護認定を始めて受けたときと大きく変わりません。ただ、はじめに「介護認定申請」をしていたものが「区分変更申請」に変わるだけ。介護認定申請は、お住まいの地域の役所や地域包括支援センターでおこなったと思います。区分変更申請も同様で大丈夫です。担当のケアマネジャーがいる場合は、ケアマネジャーさんが申請を代行してくれることもあります。区分変更申請をした後は、以下のように介護認定と同じ流れで進みます。 要介護度が上がったら介護サービスを増やそう もし、区分変更の結果、父の要介護度が上がったら、利用できる介護サービスの量が増えるんですよね? おっしゃる通りです!要介護度が上がると介護保険が適用される金額が増えます。そのため、介護サービス費の負担が安く抑えられる量も増えるんです。 具体的には、どのくらい増えるんでしょうか? 在宅介護サービスの利用限度額は以下のとおりです。 要介護1で自己負担割合が1割負担の場合、16万7650円が利用限度額です。もし、要介護2に上がった場合、利用限度額は19万7050円になります。つまり、要介護度が上がると、介護サービスが1割負担で利用できるのが2万9400円分増えるということです。 3万円近くも多く利用できるようになるんですね!もっと介護サービスを使いたいと思っていたので、助かります。 在宅介護サービスの一覧 要介護度が上がって介護サービスの利用限度額が増えるんだったら、もっとデイサービスの回数を増やしたいです。 デイサービスを利用しているんですね!確かに、今、利用している介護サービスの頻度を上げるのはおすすめです。その他にも、利用していない介護サービスを追加するのもひとつの手ですね。 他の介護サービスというと、どんなものがあるんですか? 在宅介護サービスには以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 福祉用具レンタル 介護リフォーム 例えば、ショートステイを利用するのはどうでしょうか?ショートステイは、1日から利用できる短期宿泊サービスです。排泄の介助はもちろん、栄養バランスの整った食事や、入浴といったサービスを提供しています。宿泊中のお父様のお世話はすべて任せられます。もし、便失禁のこともあって介護のストレスが溜まっていたら、ショートステイにお父様を任せて、数日リフレッシュするのも良いんじゃないでしょうか? 父を任せてリフレッシュなんて…。そんなことして良いんですか? もちろんです!もともと、ショートステイは介護をするご家族がリフレッシュするのも目的のひとつですから。ストレスを溜めすぎると福井さんの方が参ってしまいますから、適度に息抜きを挟みながら、介護を続けていきましょう! 施設介護サービスの一覧 もし、介護量が増えて在宅介護の継続が難しい、と感じるようになったら、老人ホームに入居することも検討してみてください。 老人ホームですか…。考えたこともなかったです。 一口に老人ホームと言ってもさまざまな種類があります。一覧にまとめましたので、老人ホームを検討することになったら、ぜひ参考にしてみてください。 民間施設 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円要介護1以上○住宅型有料老人ホーム0~数千万円11~25万円自立~要介護3程度△サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円11~25万円自立~要介護1程度△グループホーム0~数十万円10~15万円要支援2以上◎ 公的施設 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ特別養護老人ホーム(特養)0円8~14万円要介護3以上○介護老人保健施設(老健)0円7~14万円要介護1以上○介護医療院0円7~14万円要介護1以上○養護老人ホーム0円0~14万円自立×ケアハウス0~数十万円6~17万円自立~要介護3程度△ 認知症の人が便失禁を予防する方法は? 要介護度が上がって、介護サービスを使う量を増やしたとしても、父の便失禁が続くなら介護が大変なままなんですよね…。どうにか、便失禁がなくなる方法はないでしょうか? そうですね…。確実になくなるとは言い切れませんが、以下のような方法が効果があるかもしれません。 排便タイミングを把握する 食事を整える 適切にオムツを使う 適切に下剤を使う 排便タイミングを把握する まずは、お父様の排便タイミングを把握してみましょう。お父様がお一人でトイレに行っているようであればいつ排便しているのか把握しにくいですが、排泄のタイミングはわかるはず。「いつもより長くトイレに入っているな」「今日はトイレの回数が多い」など、記録をつけているうちに、排泄や排便のルーティンが把握できると思います。 トイレのタイミングを把握するんですね。でも、それで便失禁がなくなるんですか? トイレのタイミングに合わせて、「そろそろトイレに行く?」と声掛けをすると、いつものタイミングを逃さず、トイレで排便できるようにするんです。また、食後にトイレに行く習慣を身につけるのもおすすめ。食後は腸の働きが活発になるので、排便しやすい時間帯です。そのタイミングでトイレに誘導すると、自然に排便しやすくなり、便秘による便失禁が減るでしょう。 食事を整える 食事量が少なくて便秘になっている場合、食物繊維を多く摂ることで便秘が解消され、便失禁も減ることがあります。なので、普段の食事で以下のような食物繊維が豊富な食材を取り入れると良いでしょう。 さつまいも 玄米 大豆 ごぼう 適切にオムツを使う 加齢によって肛門周辺の筋肉である肛門括約筋が衰える傾向があります。そのため、肛門がしっかり閉じられないために、知らず知らずのうちに便失禁をしてしまうこともあるんです。そうした場合、下着を汚してしまうので、オムツを使うのも検討してください。 オムツですか。まだ早いような気がするのですが…。 下着のような履き心地のショーツ型の紙パンツである「リハビリパンツ」もあります。リハビリパンツであれば、紙オムツよりもお父様の抵抗感が薄いと思いますよ。いろんな手を尽くしても、すぐにお父様の便失禁が100%なくならないかもしれません。そのため、少しでも福井さんの介護の負担を減らすためにリハビリパンツを利用するのをおすすめします。 適切に下剤を使う 下剤を使って便秘を解消することも、便失禁を予防することにつながります。ただ、ご高齢者は、若い世代よりも薬が効きすぎてしまうことが多いんです。便秘を解消しようとして下剤を使ったら、むしろ下痢になってしまった…ということも珍しくありません。 下剤の調整って難しいんですね。 そうなんです。なので、かかりつけ医などに相談しましょう。便秘で悩んでいるご高齢者はたくさんいらっしゃるので、すぐに薬を処方してくれると思いますよ。その際に、便失禁があることも伝えておくと、うまく薬の量を調整してくれるでしょう。 便失禁をしているから、要介護度がいくつ、と決まっているわけではない 区分変更で介護度が上がったら、介護サービスを増やして、負担を減らそう 排便タイミングを把握したり、適切にオムツを使って便失禁を防ごう pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/08/23

認知症 在宅介護

認知症の母親がお風呂を嫌がる…。においが気になるので、入浴させる方法を教えてください!

認知症が進んできたのか、母親がお風呂を嫌がるようになってしまいました。昔はお風呂が大好きだったのに、最近は月に1~2回しか入浴しません。 においもありますし、フケもすごいです。下着も替えておらず衛生的に良くないので、お風呂に入るように言うのですが、口を出すとものすごい勢いで怒りだして…。毎日、口論になるので疲れました。 どうにか母が入浴してくれる方法はないでしょうか? (鎌田さん・会社員・61歳) まずは、どうしてお風呂を嫌がるのかを考えてみましょう。認知症の方がお風呂を嫌がる理由には、「入浴の必要性がわからない」「入浴の方法がわからない」「裸になるのが恥ずかしい」などがあります。理由がわかったら、その対策を考えます。なかでも、適切な声掛けが大切。お母様がお風呂に入ったと思い込んでいる場合、「体が汚れているからお風呂に入ろう」と言っては逆効果。「お風呂に入っているから汚れていない!」と怒らせてしまう可能性があります。ご家庭での介助が難しい場合は、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを利用して、介護のプロに頼るのもひとつの手です。 認知症の母がお風呂を嫌がるのはなぜ? 昔はお風呂が大好きだったのに、認知症のせいか母親が入浴を嫌がるようになってしまいました。最近は月に1~2回しかお風呂に入りません。そのため、髪の毛のフケがすごいし、においもすることがあって…。お風呂に入るように何度言っても耳を貸しません。どうにかお風呂に入らせる方法はないものでしょうか? それは衛生面で心配ですね…。お母様にお風呂に入っていただく方法を探す前に、どうしてお風呂を嫌がるのかを考えてみましょう。原因が分かれば、対応方法もわかるかもしれません。 確かにそうですね。どうして母はお風呂を嫌がるのでしょうか? お母様の状況を見ないとはっきりとしたことはわかりませんが、一般的に認知症の方がお風呂を嫌がる理由には以下のようなものがあります。もしかしたら、この中にお母様がお風呂を嫌がる理由に当てはまるものがあるかもしれません。 入浴の必要性がわからない 入浴の方法がわからない 入浴が面倒くさい お風呂に悪いイメージがある 裸になるのが恥ずかしい 介助がいらないと思っている 入浴する気分ではない 入浴の必要性がわからない 認知症の影響で、入浴する必要性がわからなくなることがあります。 どういうことでしょうか?何週間もお風呂に入らなければ、頭がかゆくなったり、においがしたりするものだと思いますが…。 それが、認知症になるとお風呂に入っていると思い込んでしまうことがよくあるんです。お風呂に入っているから体は汚れていないし、入浴しなくて良いと思ってしまうんですね。なので、頭がかゆくてもお風呂に入っていないことと結びつかないんですよね。それに、年を重ねると嗅覚がにぶることが多いので、ご自分のにおいに気がついていないのかもしれません。 お風呂に入っていると思い込んでるんだ…。それじゃあ、確かに「お風呂に入っていないから入って」と言っても耳を貸さないですよね。 入浴の方法がわからない 認知症の症状のひとつに、「実行機能障害」「失行」というものがあります。これらの症状のせいで、入浴の仕方がわからなくなっている可能性があります。 入浴の仕方がわからなくなることなんてあるんですか? そうなんです。例えば、実行機能障害とは、物事を順序立てて作業できなくなること。入浴の「1枚ずつ服を脱ぐ」「シャンプーで頭を洗って、シャワーで流す」といった作業もできなくなってしまうんです。また、失行はそれまでできていたことができなくなること。具体的には、体を洗うために何をしたら良いのかがわからなくなってしまったりするんです。 認知症になると、今まで当たり前にできていたのに急にできなくなってしまうことがあるんですね…。 入浴が面倒くさい 誰しもお風呂に入るのがめんどくさい、と感じることはありますよね。特にご高齢になると、体力も落ちてくるので疲れて入浴がめんどくさく感じることが増えているのかもしれません。 お風呂に悪いイメージがある お風呂で転んだり顔に水がかかるなど、嫌な経験を以前にしていると、悪いイメージだけが残ってしまって、入浴を嫌がることがあります。 でも、認知症になると物忘れが増えますよね?母もちょっと前のことでもすぐに忘れてしまいますし、嫌な経験をしていても忘れてしまうんじゃないですか? 確かに、嫌なことがあってもその出来事自体の記憶は忘れてしまうかもしれません。ただ、認知症の方は、出来事の記憶は忘れてしまってもそのときの感情の記憶は忘れにくいと言われています。なので、お風呂で嫌なことや恐怖を感じる出来事があると、嫌な感情だけが残っている可能性も。つまり、「なんだかわからないけど、嫌な感じがするからお風呂に入りたくない」と感じているのかもしれません。 裸になるのが恥ずかしい 「裸になるのが恥ずかしい」って、お風呂では裸になるのが当たり前じゃないですか? そうですね。でも、認知症の影響でお風呂がどういうところなのかわからなくなっていたらどうでしょうか?なんで裸になるのかわからず、服を脱ぐのを嫌がるのも自然なことですよね。 確かに…。「なんで服を脱がないといけないんだ」と不安になるかもしれません。 また、ご家族が入浴介助をする場合、家族は服を来ているのに自分だけ服を脱ぐのにも違和感があるのかもしれません。また、ご家族としては服を脱ぐのを手伝おうとしているだけなのに、「わけもわからず服を脱がされる!」と混乱してしまう可能性も考えられますよね。 介助がいらないと思っている 認知症の方の場合、入浴介助が必要なことがわからず、家族に手を出してもらいたくないのでお風呂を嫌がるケースがあります。「介助なんていらないのに、家族が手伝おうとしてくる」と、自尊心を傷つけられてしまうんですね。 あぁ、母にもそういうところがあるかもしれません。私が「手伝うよ」と言ったら、「手伝いなんていらない!」と怒鳴って、自分の部屋に閉じこもってしまったことがあります。あれは見栄を張っていただけではなくて、本当に自分が手伝いが必要なことをわかっていなかったんですね。 入浴する気分ではない 好きなテレビ番組を見ていたり、眠いときにお風呂に入る気持ちにはなかなかならないですよね。それは認知症の方も同じで、声をかけたタイミングが入浴したい気持ちになっていないときだったのかもしれません。また、お母様がお一人で入浴できていたときには、気が向いたタイミングやいつものルーティンでお風呂に入っていたのに、介助が必要になるとご家族の都合に合わせることが多くなるでしょう。となると、お風呂に入る意欲が低くなり、お風呂を嫌がる原因にもなります。 言われてみれば、私の手が空いたときに「お風呂に入ろう」と声をかけていたような気がします…。 お風呂に入りたくなるような声掛けとは? お風呂を嫌がる理由には、いろんなものがあるんですね…。いくつか思い当たることがありました。 お母様に当てはまりそうなものがあって良かったです。お母様にお風呂に入ってもらうために、特に気をつけていただきたいのが声掛けです。すんなり入浴してもらえたり激しく拒否されたり、認知症の方は声掛けひとつで大きく反応が変わるんです。 どんな声掛けをすれば良いんですか? 例えば、次のような声かけが効果的かもしれません。お風呂を嫌がる理由によって適切な声掛けは異なりますし、前に効果的だった声掛けで今回もすんなり入浴してくれるとは限りません。いろいろと試してみてください。 お風呂沸かしたからどう? 一番風呂だよ 温泉に入ろう 足湯に入ろう ちょっと高い入浴剤買ってきたよ 身体を温めよう シャワーで汗を流そう たまには背中を流そうか 友達の○○さんと会うからきれいにしておこう 明日は病院だからきれいにしよう ここで、「しばらくお風呂に入ってないから入ろう」「汚れているからきれいにしよう」といった声掛けはNGです。お風呂に入っていると思い込んでいる場合、「汚れていない!」と反発されてしまうことがあるからです。 それ、よくあります!「何日もお風呂入ってないだから、汚いよ」と言ったら「汚くない!」と怒鳴られてしまいました。良くない声掛けだったんですね…。 ご家族としては、清潔にしてほしいからそう言ってしまいがちですよね。他にも、水を怖がっている様子でしたら、足湯から始めてみるのも良いかもしれません。無理に全身を洗おうとせず、「足湯だけ」「体を濡れタオルで拭くだけ」としていくうちに、気持ちが良くなってお風呂に入りたくなるケースもあるんです。ものすごく汚れているわけでなければ、完璧を目指さないのも長く介護を続けていくコツですよ。 介護サービスを利用すれば負担が減る ご家族の負担を減らすために、介護サービスを活用してお母様にお風呂に入ってもらうのもひとつの方法です。 介護サービスっていろいろありますよね。どのサービスなら、お風呂の手伝いをしてもらえるんですか? 以下の介護サービスで入浴サービスを受けられます。もちろん、必要に応じて入浴介助もしてもらえますよ。 訪問介護 デイサービス デイケア ショートステイ なかでも、デイサービスは入浴をするために利用している方も多いですね。デイサービスは、介護施設に通って利用するもので、入浴、食事、レクリエーションなどのサービスを受けられます。体操をしたり体を動かす機会もあるので、運動不足の解消にもなると思いますよ。 母は家に閉じこもりきりなので、デイサービスを利用して、外出する機会を作るのも良いかもしれないですね。 入浴介助は介助のなかでも体力を使うものなので、介護サービスを活用してプロに頼ると、在宅介護の負担がだいぶ軽くなると思いますよ。 認知症によって入浴をしたと思い込んでいたり、羞恥心からお風呂を嫌がることがある 声掛けを工夫したり、安全な環境を整えることでお風呂に入りたくなることも 家族の介護が難しいときは、デイサービスや訪問介護などの介護サービスを活用して pre { margin: 40px 0; background: ...

2023/08/21

施設入居 在宅介護

親の介護をしない方法はありますか?疎遠な父親とできるだけ関わりたくありません

先日、約10年ぶりに父親に会いました。一人暮らしの家の中は荒れ放題だし、トイレットペーパーなどの必要な物は切らしているのに、卵が何パックも買ってあって腐らせていたりと物の管理も上手くできなくなった様子。もしかしたら、認知症になってしまったのかもしれません。 でも、私は父と関係が良くなく、できれば介護をしたくありません。が、このままにしておくわけにも…。 どうにか、介護をしなくて済む方法はないでしょうか? (古賀さん・59歳・会社員) うーん、正直なところ、親御さんの介護を完全に放棄できません。子どもは親に対して扶養義務があるので、場合によっては罪に問われてしまう可能性があるんです。ただ、できるだけ直接介護しないで済む方法はあります。それは、介護サービスを利用すること。また、きょうだいや親戚に任せるのもひとつの手です。もし、経済的な支援が難しいという場合は、介護や医療費の減免制度もありますので、活用してみましょう。 親の介護をしない方法はある? 先日、10年ぶりに帰省し、父に会いました。しかし、家は荒れ放題で掃除もろくにできていない様子。また、トイレットペーパーなどの必要なものがないのに、卵やスナック菓子など、同じものがいくつも置いてあって腐っているものも…。もしかしたら、認知症になってしまったのかもしれません。年も年ですし…。でも、私は昔から父と折り合いが悪く、介護をしたくありません。どうにか介護をしないで済む方法はないでしょうか? うーん…。結論から言うと、親の介護を完全に放棄できません。というのも、子どもは親に対して扶養義務があるからです。場合によっては、罪に問われることもあります。 えっ、犯罪になるんですか!? もちろん、経済的に支援が難しいなどの理由がある場合は別です。ただ、経済的に余裕があるのに支援をしなかったり、介護を放棄したことで親が死亡や怪我をした場合は罪になることがあるんです。法律では、以下のように直系の血族・兄弟姉妹や配偶者に扶養義務が発生します。 ここで言う扶養義務とは、直接介護をすることだけではありません。生活費や医療費の援助も扶養義務に含まれます。そのため、仕事が忙しくて介護ができない場合や介護を直接したくない場合は、経済的な援助をすることでも義務を果たすことになります。 経済的な支援…。あまりお金の余裕はないけど、直接顔を合わせるよりは良いのかも…。 できるだけ親の介護をしない方法 先ほどお話しした通り、お父様の介護を完全に放棄してしまうと、罪に問われてしまう場合があります。なので、できるだけ古賀さんの負担が少ない介護をしていきましょう。 負担が少ない介護ってどうやるんですか? 例えば、以下の2つの方法があります。 他のきょうだいや親戚に任せる 介護サービスを利用する 他のきょうだいや親戚に任せる もし、お父様の介護を任せられるごきょうだいや親戚がいるのであれば、その方に相談しましょう。お父様の様子を伺うに、普段の生活に援助が必要な状況である可能性が高いので、そうした身の回りの支援をごきょうだいや親戚に任せて、その分、古賀さんが介護費用の負担を多めに負担するといった分担もできるでしょう。 私には妹がいますが、妹とも疎遠なんですよね。事が事なので、連絡しないとなのかな…。 そうですね。今後、お父様の介護にあたって、妹さんと連携が必要な場面が何度もあると思います。本格的に介護が始まっていない今のうちに連絡を取っておいた方が良いと思いますよ。 介護サービスを利用する 介護サービスを活用することでも、古賀さんの負担は大きく減らせるでしょう。 介護サービスってヘルパーさんが家に来て、介護をしてくれたりするんですよね?利用してみたいとは思うんですが、どうやって利用すれば良いのかわからなくて…。 そうだったんですね。では、介護サービスを利用する方法についてご説明しましょう!介護サービスを利用するには介護認定が必要なのですが、お父様は介護認定を受けていらっしゃいますか? 介護認定?どんなものですか? 介護認定とは、介護が必要な度合いを7段階でレベル分けしたもの。一番状態が軽いのは「要支援1」、最も重いのが「要介護5」と判断されます。必要な介護の量が増えるに従って、要介護度も上がります。要介護度が上がると介護保険が適用される介護サービスも増えて、よりたくさんの介護サービスを費用負担を抑えながら利用できます。 なるほど…。まずは、介護認定を受ければ良いんですね。 まずは介護認定を受ける 介護認定を受けるには、まずは申請をします。申請はお住まいの役所の窓口や「地域包括支援センター」などでおこなえます。 地域包括支援センター? ご高齢者の生活をさまざまな面から支援する公的な相談窓口です。介護についてはもちろん、成年後見制度などのご高齢者の権利を守る制度の手続きなどもおこなえる施設です。役所や地域包括支援センターで介護認定の申請をおこなったら、以下のような流れで介護認定が進んでいきます。 介護認定の結果がわかったら、介護サービスが利用できるようになるというわけですね。ちなみに、介護認定の結果が出るのにはどれくらいの時間がかかるんでしょうか? 介護認定は、1ヵ月前後で結果がわかることが多いです。急いで介護サービスを利用したい場合は、結果が出る前に利用を開始することも可能です。そのときは、役所や地域包括支援センターの窓口で相談してみてくださいね。 在宅介護サービスとは 要介護度がわかったら、今度は介護サービスを利用する段階です。 と言われても、介護サービスってどんなものがあるんですか? 介護サービスは大きく分けると「在宅介護サービス」と「施設サービス」があります。例えば、在宅介護サービスには以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 福祉用具レンタル 介護リフォーム いろんなサービスがあるんですね。どれを利用すれば良いのかな…。 お父様の場合でしたら、訪問介護やデイサービスはどうでしょうか?訪問介護は、先ほど古賀さんがおっしゃっていたように、ヘルパーさんが家にやってきて家事や介護をしてくれるサービス。制限はありますが、お家の掃除や食事の支度を頼めますから、ご実家の状態も良くなるでしょう。 確かに…。掃除もそうですが、食事の支度をしてくれるのは助かりますね。父がまともなものを食べているようには見えませんでしたから。もうひとつのデイサービスとは? デイサービスは、昼間に介護施設に通って食事や身体介助、レクリエーションなどのサービスを受けられます。また、デイサービスで入浴もできるので、お父様がひとりで入浴するのが心配でしたら特におすすめのサービスですよ。 施設サービスとは 施設サービスは、その名の通り、介護施設に入居して受けられるサービスのこと。在宅介護よりはお金がかかる傾向がありますが、施設にお父様のことを任せられるので、古賀さんの心身の負担はかなり少なくて済むでしょう。施設サービスには、以下のようなものがあります。 公的施設 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ特別養護老人ホーム(特養)0円8~14万円要介護3以上○介護老人保健施設(老健)0円7~14万円要介護1以上○介護医療院0円7~14万円要介護1以上○養護老人ホーム0円0~14万円自立×ケアハウス0~数十万円6~17万円自立~要介護3程度△ 民間施設 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円自立~要介護5○住宅型有料老人ホーム0~数千万円11~25万円自立~要介護3程度△サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円11~25万円自立~要介護1程度△グループホーム0~数十万円10~15万円要支援2以上◎ 介護施設は、運営法人によって公的施設と民間施設に分けられています。なかでも公的施設の特別養護老人ホームは、安価なうえに終身利用ができるため人気。満室の場合が多く、入居まで2~3年かかるケースもあるそうです。 2~3年!?そんなにかかるんですか!それじゃあ、いざ老人ホームに入れようと思ってもすぐには入居できないんですね…。 民間施設だったら、比較的、入居しやすいと思いますよ。公的施設よりも料金が高くなる傾向はありますが、急いで入居したいときは民間施設の方が確実でしょう。 介護にお金をかけられない!そんなときは? 在宅介護サービスを使うにしても、介護施設に入れるにしても、お金はかかりますよね。私もそんなに経済的に余裕があるわけではないので、お金の支援も難しいかもしれません。だからって、父が貯金をしているとも思えないし…。 うーん。あまり気が進まないかもしれませんが、まずはお父様の資産の状況を確認することが大切です。貯金があるのか、年金はいくら受給しているのか…。お金の支援をするにしても支援しないにしても、お父様の資産状況を確認しないと始まりません。 そうですよね。年金額がわからないとお金の支援が必要なのかどうかもわかりませんよね。 おっしゃる通りです。お父様の介護費用はお父様自身の財産でまかなうのが原則。足りない場合に支援する形にしないと、古賀さんの経済的負担が大きくなってしまいます。始めに話した扶養義務についても、「余力の範囲内」で良いとされています。 なるほど。それでも、経済的支援をする余裕があまりなくて。子どもが2人いてお金がかかるので…。そういうときはどうしたら良いんでしょうか? でしたら、以下のような方法で負担を減らすのもひとつの手です。 介護・医療費の減免制度を利用する 生活保護を利用する 介護・医療費の減免制度を利用する 在宅介護のサービス費や老人ホームの利用料、医療費など、介護にはさまざまなお金がかかります。そのため、少しでも費用負担が軽くなる減免制度もご紹介しますね。減免制度には、以下のようなものがあります。 特定入所者介護サービス費 高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算制度 介護保険料の減免制度 自治体独自の助成制度 「特定入所者介護サービス費」は公的施設の利用料を軽減する制度。「高額介護サービス費」と「高額医療・高額介護合算制度」は、支払った介護サービス費や医療費が一定額を超えたときにお金が戻ってくる制度です。 そんな制度があるんですね、知りませんでした! また、経済的に介護保険料の支払いが難しい場合の減免制度もあります。加えて、自治体によっては、収入が一定以下のご高齢者を支援する制度を設けている場合もあるんです。 収入の条件があるんですね。制度を利用できるか確認するためにも、父の資産状況を確認する必要がありそうですね…。 生活保護を利用する ご家族が経済的援助ができず、お父様が生活に困窮する可能性がある場合、生活保護を受けられることがあります。年金を受け取っていても条件を満たしていれば生活保護を受給できますよ。生活保護を受けると、介護サービスや老人ホームの費用などを自己負担なく利用できるようになるんです。 そうなんですね!それは助かりますね。でも、生活保護かぁ…。 もちろん、生活保護を受けるには収入や資産などの条件があります。生活保護を受けるとさまざまな制限がかかりますから、最後の手段として頭の片隅に置いておいてくださいね。もし、お父様の介護を老人ホームに任せたい、という場合は、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご連絡ください!お父様を安心して任せられる老人ホームをお探ししますよ。 親の介護を放棄すると罪になることも。子には親の扶養義務がある 他の家族や親戚に介護を任せる、介護サービスを利用して負担を減らそう 介護費用が足りない場合は、減免制度や生活保護の利用を検討しよう pre { margin: 40px 0; background: ...

2023/08/21

認知症 在宅介護 デイサービス

認知症を理由にデイサービスを断られることはありますか?断られる理由も教えてください

認知症を理由にデイサービスの利用を断られることってありますか? 認知症のお母さんを介護している知人が、デイサービスの利用を断られたそうです。私も父をデイサービスに通わせようと思っていたので、同じように断られてしまうんじゃないかと心配で…。 (岡崎さん・65歳・自営業) 「認知症だから」という理由で、デイサービスの利用を断られることはまずありません。というのも、「正当な理由なしに利用を断ってはいけない」と決められているからです。ただ、認知症の影響で、ほかのご利用者や職員さんに暴力を振るったり、暴言を吐くなどの行動があれば。断られてしまうかもしれません。加えて、認知症に関係なくデイサービスの定員をオーバーしてしまう場合なども断られることがあります。 認知症を理由にデイサービスを断られる? 認知症の父をデイサービスに通わせようと思っています。が、同じように認知症のお母さんを介護している知人から、お母さんがデイサービスの利用を断られたと聞きました。認知症であることを理由に、デイサービスの利用を断られることってあるんでしょうか? うーん、「認知症だから」という理由だけで断られることは基本的にはないですね。というのも「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」と厚生労働省が定めているからです。どのような理由でデイサービスに断られたかご存知ですか? そこまではちゃんと聞きませんでした。デイサービスを断られたと聞いてショックだったので…。ちなみに、「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」ということは、正当な理由があれば断れるということですよね?どんな理由で断られてしまうんでしょうか? 厚生労働省が正当な理由について、大まかな指標が示されています。断られてしまう理由について、お伝えしますね。 認知症の人がデイサービスを断られる理由 厚生労働省は、デイサービスの利用を断る正当な理由として、以下の3点を挙げています。 当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合  利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合  その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合 引用元:厚生労働省 老健局「介護保険最新情報 Vol.920 令和3年2月8日」 認知症とは関係のないものもありますが、さまざまな理由を把握していただきたいので、順番にお話ししていきますね。 当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合 「当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合」とわかりにくい表現をしていますが、つまりは「定員オーバー」の場合のことです。ちなみに「現員」とは、「現在の人員」のこと。要するに「現在の人員からこれ以上増えたら対応できないと考えられる場合」は利用を断っても良い、ということですね。 うーん、安全のことを考えたら、定員オーバーならしょうがないですね。 利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合 「利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合」というのも、ややこしい表現をしていますが、「サービス対象地域外の人は断っても良い」ということです。デイサービスでは、送迎の都合などでご利用者の居住地域を限定しています。そのため、その送迎エリアから外れているご利用者の利用を断るのは、正当な理由に当てはまります。 デイサービスは、利用者の家を順番に回って送迎してくれるんでしたっけ。それなら住んでいる地域を限定しているのはしょうがないことですよね。 その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合 認知症の症状が理由で利用を断られた場合、この「その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合」が当てはまるかもしれません。 どういうことですか? 「その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合」とは、簡単に言えば「その利用者に合った介護サービスを提供できない場合」ということですね。例えば、認知症の症状にデイサービス側が対応できないとき。認知症の影響で、帰宅願望が強くなってしまったり、不安感が強くて徘徊してしまったり…。利用開始する前に大まかな認知症の症状の聞き取りがあるので、その際にデイサービス側で対応できないと判断すると利用を断られることがあります。 なるほど…。父も落ち着かないときは家のなかをうろうろすることがあります。となると、断られてしまうんでしょうか? いえいえ、施設によってはさまざまな認知症の症状を持つ方を受け入れていることもあります。どういった状態であれば利用できるのかは、そのデイサービスごとに異なりますね。ただ、ほかのご利用者や職員さんへの暴力や暴言がある方の場合、かなり高い確率で利用を断られてしまうでしょう。 そうなんですね!父は暴力を振るったり暴言を吐く人ではないですが…。そういえば、知人のお母さんは暴言を吐くことがよくあるそうです。気持ちが高ぶっていると手が出ることもあると言っていました。 もしかしたら、暴力や暴言を理由にデイサービスの利用を断られたのかもしれませんね。やはり、デイサービスとしてもほかのご利用者や職員に危害を与える可能性のある方を受け入れるわけにはいきませんから。 認知症の症状が進行しているときは病院が優先 認知症の方が症状を理由にデイサービスの利用を断られる場合、介護サービスの利用よりも治療を優先した方が良いケースが多いんです。 それってどういうことですか? 介護のプロであるデイサービスから利用を断られたということは、認知症の症状が介護職員では手に負えない状態である可能性が高いということです。つまり、介護で認知症ケアをするのではなく、医療で認知症治療をするほど状況が深刻ということ。通院や入院による治療を優先した方が良い段階とも言えます。 なるほど…。認知症がひどい状態ならまずは治療を、ということですね。ちなみに、認知症の治療ってどんなことをするんですか? 認知症の治療方法には、以下のようなものがあります。 薬物療法 作業療法 運動療法 生活機能回復訓練 回想法 薬物療法 薬物療法とは、その名の通り、薬を使った治療方法のことです。実は、認知症を完治させる薬はまだ存在しません。そのため、認知症治療に使われているのは症状を抑える薬です。認知症の症状を一時的に抑えたり緩和したりすることを目的としています。 認知症の薬は父も使っています。 ちなみに、認知症治療に使われている薬にはいくつかの種類があります。現在、認知症の薬は以下の4種類です。 アリセプト® (塩酸ドネペジル) レミニール® (ガランタミン) イクセロンとリバスタッチパッチ®(リバスチグミン) メマリー®(メマンチン) 作業療法 作業療法って何ですか? 作業療法は、トランプやぬりえ、手芸といった頭や指先を使うものが多いです。レクリエーションのように楽しめるものが多いですね。他にも、音楽を聴く音楽療法や園芸療法といったものもあります。 運動療法 運動療法は、身体を動かすことで認知症の症状を抑える治療法です。例えば、体操や関節の動きを良くするストレッチやリハビリ、筋力トレーニングもおこないます。 生活機能回復訓練 「生活機能回復訓練」?耳慣れない言葉です。 日常の中でおこなう動作をリハビリすることで、認知機能の低下を抑制することが目的の治療法です。認知機能が衰えてくると、歯磨きやトイレでのズボンの上げ下げ、髪をとかす、といった何気ない動作ができなくなることがあります。そうなると、日常的に介助が必要になりますよね。そこで生活機能回復訓練を通して日常動作のトレーニングをして、自分で身の回りのことができるようになることを目的としています。 回想法 回想法は、認知症の方の記憶の特徴を生かした治療法。認知症の人は「最近の出来事を忘れやすい」一方で、「昔の記憶は忘れにくい」という特徴があります。そこで、その方の子どもの頃の写真や、思い出の品、当時流行した音楽などを使って昔のことを思い出してもらい、思い出を語ってもらうんです。そうすることで脳が活性化して、認知症の症状が緩和できるそうです。 へー、そんな治療法があるんですね。おもしろそう! 認知症デイサービスなら受け入れられるかも もし、一般的なデイサービスの利用を断られてしまっても、「認知症デイサービス」であれば受け入れてもらえるかもしれません。 「認知症デイサービス」? 名前の通り、認知症の方のためのデイサービスです。食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどをおこなうのは、一般的なデイサービスと共通。ですが、加えて認知症の方に合った作業療法や運動などもおこないます。さらに、認知症デイサービスの定員は最大12名。認知症の方は、人が多い環境や慣れない人とのコミュニケーションが苦手な傾向があるので、それに配慮して利用者数を制限しているのです。 なるほど。認知症の人に配慮したサービスや体制が整っているんですね。 そうなんです。それに、もちろん認知症の方が利用しているサービスですから、職員も認知症ケアの経験が豊富な人ばかり。なかには認知症ケアに関する資格を取得している職員もいるので、安心して通えるのが魅力です。 それはうれしいですね!認知症デイサービス、利用しようかな。 デイサービスと一口に言っても、認知症デイサービスのように認知症ケアに特化していたり、身体機能を回復するリハビリに注力していたりと、さまざまな特徴があります。お父様に合ったデイサービスを見つけてくださいね。 デイサービスは正当な理由がないと利用拒否はできない! 定員オーバー、送迎範囲外、認知症の症状に対応できない、などの理由で断られることも 認知症デイサービスであれば、重度の認知症の人を受け入れていることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/08/16

認知症 在宅介護

認知症の母親が寝てくれなくてもう限界。どうしたら夜に寝ない母が眠ってくれますか?

認知症の義母と同居しています。最近、義母が夜中に起き出して家の中をゴソゴソと探しまわるようになりました。何度も布団に連れて行くのですが、それでも寝てくれなくて…。 私も夫も母が目を覚ます度に起きているので寝不足です。昼間は仕事があるので、体力的にもしんどくて。どうしたら寝てくれるようになるでしょうか? (小田さん・会社員・62歳) 認知症の影響や日中の活動量が低下することで体内時計が乱れて、ご高齢者が不眠になることがあります。そういう場合は、まず睡眠記録をつけて睡眠の状態を把握しましょう。そこから不眠の原因や傾向がわかる可能性があります。また、昼間に散歩をしたりデイサービスに通って身体を動かすことでほど良く疲れて夜に眠りやすくなることもありますよ。認知症の方が夜に眠らない理由はさまざまなので、まずは原因を見つけてそこから対応方法を探っていきましょう! 認知症の人が夜に寝ないのはなぜ? 同居する認知症の義母が寝ないので、一緒に起きていて睡眠不足です。私も夫も仕事があるので、体力的にしんどくて…。家の中で何かを探しているようにゴソゴソとして落ち着かないし、夜中に1人で外出しようとするので危なくておちおち寝ていられないんです。どうしたら夜に眠ってくれるようになるんでしょうか? うーん、そうですね…。ご高齢者が夜に眠らなくなる理由はさまざまです。理由に合わせた対応方法がありますから、まずは夜に眠らなくなった理由を考えてみましょうか。 夜に寝ない理由ですか…。年を取って眠りが浅くなるから、とかですかね? その可能性も大いにあります。「眠りが浅くなるため」も含めて、以下のような理由が考えられます。 眠りが浅くなるため 体内時計が乱れているため 日中の活動量が少ないため トイレの回数が多いため 食事をしたことを忘れているため 時間や場所がわからなくなったため 身体に痛みや不快感があるため 睡眠環境が整っていないため 「レム睡眠時行動障害」のため 眠りが浅くなるため 歳を重ねると誰しもが眠りが浅くなるのはよく聞く話ですよね。それに加えて、認知症の影響によっても眠りが浅くなりやすいんです。認知症の症状が進行している方だと、連続で1時間の睡眠も取れなくなってしまうこともあると言われています。 1時間も眠れないんですか!?認知症って眠りにも影響するんだ…。もしかしたら義母も認知症の影響で長時間眠れなくなっているのかもしれないですね。 体内時計が乱れているため 認知症の影響で、「概日リズム」、いわゆる「体内時計」が乱れやすくなることもわかっています。これは、認知症によって脳の機能が損傷することで体内時計の調整がしにくくなることが原因とされています。加えて、認知症になると社会参加や外での活動の機会が減ることで体内時計が乱れやすくなります。人は、学校や仕事、地域の人との交流といった活動を日中におこなうことで体内時計の調整をおこないますが、そうした機会が減ってしまうので体内時計の調整をする要因も減ってしまうんですね。 出かける予定が体内時計の調整に役立っていたんですね…。最近はほとんど家から出なくなっているからなあ。 認知症や社会参加の機会が減るなどの複数の条件が重なることで、体内時計が乱れて昼夜が逆転して夜に眠れなくなっている可能性もあるんですね。 日中の活動量が少ないため 認知症を発症していたり、介護が必要なご高齢者の多くは、日中の活動量が少ない傾向があります。活動量が少ないと身体が疲れないので、夜に眠気が起こりにくいんです。 確かに。昼間にのんびりする日が続くと、疲れていなくて眠りにくかった経験はありますね。母もずっと家の中にいますし、疲れないから寝付けないのかも…。 トイレの回数が多いため これはイメージしやすい原因だと思います。夜中に何度もトイレに起きてしまうことで、睡眠時間が減ってしまうんですね。それに何度も起きることで、寝付きが悪くなったり眠りが浅くなることもあるでしょう。 食事をしたことを忘れているため 「食事をしたことを忘れているため」って、どうして眠りと食事が関係しているんですか? 認知症の方には、夕食を食べたことを忘れて空腹を感じたり、「食事を食べさせてもらえない」という不安感から目が覚めて食べ物を探すことがあるんです。ご高齢者のなかには、過去の生活歴から「食事が食べられないこと」に強く不安を感じる方がいます。そういう方の場合、認知症の影響で食事を食べた記憶がなくなってしまうと、不安で寝付けなくなってしまうんですね。認知症の方が食事を忘れてしまうことについては、以前のご質問でもお答えしています。ぜひ参考にしてください。 時間や場所がわからなくなったため どうして時間や場所がわからなくなると、眠れなくなるんですか? 認知症の症状のひとつに、「見当識障害」というものがあります。今の場所や時間がわからなくなるという症状です。つまり、お母様に見当識障害があった場合、「目が覚めたら自分がいる場所も時間もわからない」状態ということに。とても不安になって眠るどころではないことは想像できると思います。 確かにそうですね…。私だったら、ここはどこなのか周囲を調べようとするかもしれません。 おっしゃるとおりです。お母様が落ち着きがないのは、そういう不安を感じているのかもしれませんね。また、目覚めた時間が深夜ということがわからず、昼間だと思って活動している可能性もあります。詳しいことは、お母様に直接お話を聞いてみるとわかるかもしれませんね。 身体に痛みや不快感があるため 身体に痛みやかゆみ、不快感が原因で寝付けなくなっていることも考えられます。ご高齢になると、身体の節々が痛んだり、皮膚が敏感になって肌荒れを起こしていることがよくあります。さらに、便秘になっていてそのお腹の張りが気持ち悪くて眠れないのかもしれません。ただ、認知症になるとそうした不快感に適切に対応できなかったり、ご家族に伝えられないこともあるんです。 睡眠環境が整っていないため 寝室が明るすぎる、暑い・寒いといった理由で睡眠状態が悪くなることもあります。 うーん、義母はそんなことを言っていなかったのですが…。それに、暑かったら掛け布団を減らしたり、寒かったら増やしたりして自分で調整していますし。 そうなんですね。でしたら問題ないかもしれません。ただ、認知症の進行によって、気温や明るさの調整ができなくなることがあります。こまめに気をかけてあげてくださいね。 「レム睡眠時行動障害」のため 「レム睡眠時行動障害」とは何ですか? レビー小体型認知症の症状のひとつです。アルツハイマー型認知症の方にはあまり見られません。人は、睡眠中に深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を繰り返しています。そのレム睡眠の間に大きな声を出したり、起き上がったりすることをレム睡眠時行動障害と言います。これも、認知症によって脳のレム睡眠に関わる部分が損傷することによって起こるとされています。 認知症の人が寝ないときの対応方法 認知症の人が夜に寝ない理由って、たくさんあるのがよくわかりました。いくつかは義母に当てはまりそうです。 眠れない理由に心当たりがあるものがあって良かったです。ここからはそれぞれの理由に対応した対策があるので、ご紹介していきますね。 睡眠記録をつける 日中の活動量を増やす コーヒーやアルコールなどを控える 身体の状態を整える 寝室の環境を整える 病院に相談する 睡眠記録をつける まずは、お義母さまの睡眠状態を把握するために、睡眠記録をつけてみましょう。 睡眠記録?どんなことを記録すれば良いんですか? 例えば、夜に布団に入った時間や、夜中に起きた時間、再び眠った時間、日中の活動の様子などです。しばらく続けているうちに、「昼寝をした日は夜中に起きている時間が長い」「お通じが良くないと、寝付けないのかも」など、睡眠の傾向がわかると思います。そこから、対策のヒントがわかるかもしれませんよ。 日中の活動量を増やす 日中の活動ってどうやって増やせば良いんですか? 例えば、散歩はどうでしょうか?適度な運動にもなりますし、日光を浴びることで体内時計の調整にもつながります。あとは、デイサービスを利用するのも良いでしょう。散歩をしているところもありますし、多くのデイサービスでは体操などの身体を動かすレクリエーションを取り入れていますよ。決まった時間に外出する機会を増やすことにもつながるので、規則正しい生活もしやすくなるでしょう。 コーヒーやアルコールなどを控える カフェインが眠りを妨げることはよく聞きますよね。合わせて、アルコールやタバコも睡眠状態を悪化させる効果があることもわかっています。 義母はお酒は飲まないですし、タバコも吸わないので大丈夫だと思います。でも、よく紅茶を飲むんですよね。それも影響しているのかも…。 紅茶やコーヒー、緑茶もカフェインを含みますから要注意ですね。まったく飲まないのは難しくても、夕方以降は飲まない、などのルールを決めると良いかもしれませんね。 身体の状態を整える 身体の痛みや皮膚のかゆみで眠れないようであれば、通院したり、かゆみ止めを塗ったりして治療をしましょう。また、排泄状況を把握して便秘への対策もすると、睡眠状態の改善につながるかもしれません。 病院に相談する 身体が激しく痛む様子やレム睡眠時行動障害が疑われる様子があったら、まずは病院で相談してみましょう。必要に応じて鎮痛薬や睡眠薬が処方されるかもしれません。ただ、「眠れないから」という理由だけで安易に睡眠薬に頼るのはNGです。高齢者は若い世代よりも薬の効果が出やすい傾向があるので、必要以上に薬が効いてしまうことがあるからです。 介護サービスを利用して負担を減らそう 在宅介護はご家族の負担が大きくなりがちです。そのため、介護サービスを上手く活用してできるだけ負担を減らしていきましょう。介護サービスを利用するには介護認定が必要ですが、お義母様は介護認定を受けていらっしゃいますか? 介護認定を受けてはいるのですが、介護サービスは利用していないんですよね。どんなサービスがあるかもよくわかっていませんし。 でしたら、介護サービスについてご紹介します。介護サービスには大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」がありますよ。 在宅介護サービス 在宅介護サービスには、以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 福祉用具レンタル 介護リフォーム 先ほどお話しした、デイサービスも在宅介護サービスのひとつです。デイサービスは、介護施設に通ってサービスを受けるもの。朝9時ごろにご自宅に迎えが来て、夕方ごろに自宅まで送ってくれます。体操や歌、クイズなど身体と頭を使うレクリエーションを積極的に取り入れている施設が多く、活動量を増やすにはピッタリです。また、日中の間、施設で預かってくれるので、安心してお仕事もできるでしょう。 なるほど、それは良いですね!利用してみようかな…。 施設介護サービス 施設介護サービスとは、以下の公的施設で受けられるサービスのことです。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ特別養護老人ホーム(特養)0円8~14万円要介護3以上○介護老人保健施設(老健)0円7~14万円要介護1以上○介護医療院0円7~14万円要介護1以上○養護老人ホーム0円0~14万円自立×ケアハウス0~数十万円6~17万円自立~要介護3程度△ これらの公的施設は入居条件に要介護度が設定されていることが多いです。例えば、「特別養護老人ホーム」は要介護3以上でないと入居できません。 要介護3以上か…。義母は要介護2だったと思うので、入居できないですね。 でしたら、民間施設はどうでしょうか?入居条件に要介護度を設定していない施設も多いので、すぐに入居したい場合にはおすすめです。 民間施設というと、どんな施設があるんですか? 民間施設には以下のようなものがあります。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円自立~要介護5○住宅型有料老人ホーム0~数千万円11~25万円自立~要介護3程度△サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円11~25万円自立~要介護1程度△グループホーム0~数十万円10~15万円要支援2以上◎ 認知症の方におすすめなのは、「介護付き有料老人ホーム」とグループホームです。介護付き有料老人ホームは24時間介護職員がおり、日中は看護師も常駐しています。介護体制が充実しているので、看取りまで対応しているのが特徴です。グループホームは、認知症の方限定の施設。そのため、認知症ケアに特化しているのが特徴です。また、少人数でアットホームなので家庭的な雰囲気で過ごしたい方には合っているでしょう。 へー、介護施設と言ってもいろんなタイプがあるんですね。迷うな…。 もし、施設探しに迷った際には、ぜひ「いい介護 入居相談室」にお電話ください。さまざまな施設の知識を持った相談員が、お義母様に合った施設をお探ししますよ。 睡眠が浅くなる、活動量が少ないなどの理由で眠りにくくなっている 睡眠記録をつけたり、活動量を増やすと夜に眠りやすくなるかも 介護サービスを利用して、介護の負担を少なくしよう! pre { ...

2023/08/15

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症でも入院できる病院はありますか?母の認知症が悪化して手に負えません!

認知症でも入院はできるのでしょうか?同居している母に毎日のように暴言を吐かれ、「認知症だからしょうがない」と思っても精神的にきついです。 それに、最近は夜中に大声で「助けて」と騒いだり徘徊するようになりました。なので、夜にまともに眠れない日が続いています。 ずっとこんな日々が続くのかと思うとしんどいです。入院させたら症状は良くなるのでしょうか? (本間さん・主婦・67歳) それは大変ですね…。認知症の治療に注力している病院がありますので、そちらへの入院を検討するのが良いかもしれません。入院すると、薬物療法や作業療法、回想法などの方法で治療がおこなわれます。認知症の専門家による治療やサポートが受けられるので、ご自宅にいるよりも症状が良くなると思いますよ。 認知症の人は入院できる? 認知症でも入院はできますか?母の認知症がひどくて介護に限界を感じており、同居がしんどいです。なので、入院させて認知症の治療を受けさせたいと思っています。ここ最近、症状がどんどん悪化しているような気がして…。 認知症が進行してくると、ご家庭での介護は大変ですよね…。認知症の人を受け入れている施設はあります。認知症の専門家による治療を受ければ、きっとお母様の症状も良くなると思いますよ。認知症の人を受け入れている病院には、以下のようなものがあります。 認知症疾患医療センター 認知症治療病棟がある病院 認知症疾患医療センター 認知症疾患医療センターとは、認知症専門の医療機関です。自治体が指定する病院に設置されて、認知症の診断や治療といった医療的なケアから、もの忘れの相談や介護保険の申請に関する相談まで、幅広いサポートをしています。 認知症疾患医療センターって初めて聞きました。認知症疾患医療センターなら入院ができるんですね。 はい、入院できます。ただ注意したいのが、認知症疾患医療センターには「基幹型」「地域型」「連携型」の3タイプがあり、入院できるのは総合病院である基幹型のみ。その他は入院設備が整っていない病院なので、基幹型の認知症疾患医療センターを探しましょう。探すのは、お住まいの都道府県のサイトでできます。受診するにはかかりつけ医からの紹介状や予約が必要なことが多いので、まずはかかりつけ医に相談してみてくださいね。 認知症治療病棟がある病院 認知症治療病棟とは、認知症による精神症状や行動障害のために日常生活に支障があったり、自宅や介護施設での介護が難しい人を治療するための病棟。精神科など、認知症治療をおこなっている診療科を持つ病院に設けられていることがあります。 まさに母がそういう状態です。毎日、私に対してひどい暴言を吐いたり夜中に大声で「助けて」と騒いだり徘徊します。なかなかゆっくり眠れていないので、体力的にきつくて…。 それはしんどいですね…。認知症治療病棟は、長期入院ではなく短期入院で在宅復帰を目指す病院なので、集中的に認知症の治療をしてご自宅に戻るのもひとつの手だと思います。先ほどお話しした認知症疾患医療センターで、近隣の認知症治療病棟を紹介してもらえることがあるので、相談してみるのも良いかもしれません。 一般の病院だと入院を拒否されることがある? 認知症だと、普通の病院には入院できないんですか? すべての一般の病院で入院できないわけではありませんが、入院を拒否されることはあるでしょう。例えば、暴言・暴力の症状があると、入院を拒否されることがありますし、入院後に他の患者さんや職員さんに暴言を吐いたり暴力を振るうようなことがあれば、早期退院させられることもあります。 そうなんですか…。母は暴力はないですが、誰彼かまわず暴言を吐きます。となると、一般の病院だと受け入れてくれなさそうですね…。 また、入院するご本人が嫌がっている場合も、受け入れてくれないことがあります。無理やり入院させても治療を拒否したり、無理に入院したことで認知症の症状が進行してしまうことがあるためです。これは、認知症の人を受け入れている病院であっても同じこと。無理やり入院させようとすると余計に拒否されるおそれがあるので、認知症の専門家に相談しながらお母様に入院を勧めてくださいね。 認知症の入院治療費は? 認知症の治療のために入院した場合、公的な医療保険が適用されます。原則として1~3割の費用負担ですが、高額になる場合は「高額療養費制度」を使うとさらに費用が安くなりますよ。ちなみに、高額療養費制度を使った場合の自己負担限度額は以下の通りです。所得によって金額が異なるので、確認してみてくださいね。 69歳以下の場合 適用区分世帯ごとの1ヵ月の上限額年収約1,160万円~25万2,600円+(医療費-84万2,000)×1%年収約770万円~約1,160万円16万7,400円+(医療費-55万8,000)×1%年収約370万円~約770万円8万100円+(医療費-26万7,000)×1%~年収約370万円5万7,600円住民税非課税者3万5,400円 70歳以上の場合 適用区分世帯ごとの1ヵ月の上限額年収約1,160万円~25万2,600円+(医療費-84万2,000)×1%年収約770万円~約1,160万円16万7,400円+(医療費-558,000)×1%年収約370万円~約770万円8万100円+(医療費-26万7,000)×1%年収約156万円~約370万円5万7,600円II住民税非課税者2万4,600円I住民税非課税者(年金収入80万円以下など)1万5,000円 参考:「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(厚生労働省) 入院するとお金がかかりますもんね…。うちの場合、限度額がいくらなのか確認しておかないと。 入院したらどんな認知症治療が受けられる? 母が入院するとなると、どんな治療が受けられるのでしょうか? もちろん病院によっても異なりますが、主に以下のような治療が受けられます。 薬物療法 作業療法 運動療法 生活機能回復訓練 回想法 薬物療法とは、薬を使った治療方法です。認知症は、今のところ完治する薬は発見されていません。そのため、現在、認知症の治療に使用されている薬はあくまでも症状を抑えるもの。脳を活性化したり気持ちを落ち着けることで認知症の症状を緩和させるというわけですね。 今も、母は認知症の薬を飲んでいます。認知症の薬はいくつか種類があるとかかりつけの先生が言っていたのですが、どんな薬があるんですか? 認知症の薬として認められているのは、以下の4種類です。 アリセプト® (塩酸ドネペジル) レミニール® (ガランタミン) イクセロンとリバスタッチパッチ®(リバスチグミン) メマリー®(メマンチン) 認知症の薬は、その人によって相性があります。とある薬では効果がなかった人も、薬を変えることで症状が落ち着くこともよくあるんです。入院することで、通院しているときよりも柔軟に薬での治療ができるようになるでしょう。 生活機能回復訓練 生活機能回復訓練とは、薬を使わない「非薬物療法」のひとつ。その人の残っている身体機能や認知機能の維持・向上を目的とした治療法です。具体的には、はみがきやトイレでもズボンの上げ下げ、髭剃りといった日常生活に必要な動作のトレーニングをします。認知機能が低下すると、今まで当たり前にできていたことができなくなることがあります。日常生活の動作を回復させることで、在宅復帰を目指します。 作業療法 作業療法は、レクリエーションのような活動が中心です。例えば、トランプなどのゲームや手芸、ぬりえといった頭と指先を使うもの、音楽を聴く音楽療法などをおこないます。中には園芸療法をしたり、趣味の延長でできる活動もおこなっています。 「治療」と聞くと大変そうだけど、作業療法は楽しんでできそうですね! 運動療法 身体を動かす運動療法も認知症の治療法です。体操や関節の動きを良くするリハビリ、ストレッチや筋力トレーニングなども無理ない範囲で実施されます。病院の外の散歩も取り入れられているので、入院中の気分転換になるでしょう。 回想法 回想法は、認知症の人の「昔の記憶が残りやすい」という特徴に注目した治療法です。認知症になると、その日の朝ごはんや直前に話していたことなど、直近の出来事を忘れやすくなります。こういった直近の記憶のことを「短期記憶」と言います。対して、子どもの頃の出来事などの昔の記憶のことを「長期記憶」と呼びます。認知症の人は短期記憶を忘れやすく、長期記憶が忘れにくい傾向があり、それを生かしたのが回想法なんです。 具体的にはどんなことをするんですか? その人の背景や経歴に基づいた会話をしていきます。例えば、子どもの頃の思い出や趣味について、昔を思い出しながら語ってもらいます。昔の写真やよく食べていたお菓子、若い頃に流行っていた音楽などを活用しながら、話をすることが多いですよ。 認知症の治療というと、薬を使って落ち着かせるイメージしかなかったけど、いろんな形があるんですね。楽しみながらできそうなものもあるので、前向きな気持ちで母に入院を勧められそうです! 認知症疾患医療センターや認知症治療病棟がある病院であれば、安心して入院できる 認知症治療に特化していない一般の病院だと、症状によっては入院拒否されることも 病院では、薬物療法や作業療法、回想法などの治療方法がある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/07/11

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の父親がトイレ以外の場所で用を足すときの対策は?トイレの仕方がわからなくなってしまったんでしょうか

認知症の父親が、廊下やゴミ箱など、トイレではないところで用を足すようになってしまって…。ただでさえ大変なのに掃除の手間も増えているので、余計に大変なんです。 最近まで自分でトイレに行っていたのに、なぜできなくなってしまったんでしょう? (宮田さん・会社員・62歳) もしかしたら、認知症の影響でトイレの場所がわからなくなってしまったり、間違った場所をトイレと思い込んでいる可能性があります。ですので、トイレのドアに「トイレ」などと貼り紙をしたり、排泄の間隔を把握してトイレに誘導することで、トイレ以外の場所で用を足すことを防げるかもしれません。 認知症の人がトイレ以外で用を足すのはなぜ? 最近、認知症の父がトイレ以外の場所で用を足すようになってしまいました。廊下やゴミ箱など、まったく違うところでおしっこをしてしまうんです。ついこの間まで、問題なく一人でトイレに行っていたのに…。なんで急にトイレ以外の場所で用を足すようになってしまったんでしょう? それは大変ですね…。認知症の症状が進行したことで、トイレで排泄ができなくなってしまったのかもしれません。具体的には、以下のようなことが理由に考えられます。 場所がわからなくなる がまんができない 違う場所をトイレと思いこんでいる 不快な場所と感じている 便器をトイレと理解できない 幻視を見ている 場所がわからなくなる 認知症による記憶障害や見当識障害の影響で、トイレの場所がわからなくなっている可能性があります。 記憶障害って物忘れってことですよね?それは以前からありました。もうひとつの見当識障害とは何ですか? 見当識障害とは、時間や場所がわからなくなる症状です。例えば、記憶が若い頃に遡ってしまって、今の時間がわからなくなる、同時に記憶が遡っているので今いる場所もどこかわからなくなるといった状態です。例えば、「昔と家の様子が変わったからトイレの場所がわからなくなる」といったこともあり得るわけです。 見当識障害とは 見当識障害とは、今、自分がいる時刻や日付、場所、周囲の環境などを総合的に判断する能力が失われる障害です。アルツハイマー型認知症になると、記憶障害に続いて見られる症状です。 見当識障害には「時間の見当識障害」「場所の見当識障害」「対人関係の見当識障害」の3つの種類があります。まず最初に症状としてあらわれるのが時間の見当識障害と場所の見当識障害です。症状が進行すると対人関係の見当識障害も目立つようになります。 時間の見当識障害 昼か夜かわからなくなる 今日が何月何日かわからなくなる ...

2023/06/27

在宅介護 認知症介護

認知症の父親がタバコを止めようとしません。一人暮らしで火事が心配なのでどうにか禁煙させたいです

実家で一人暮らしをしている父を介護しています。父は認知症で、私が週に3~4回通ってなんとか暮らしている状況です。 若いころから吸っているタバコを止めるように言っているのですが、耳を貸そうとしません。最近、タバコの火がきちんと消されていなかったり、火が着いたままタンスの上に無造作に置いてあったことがありました。火事が心配なので、どうにか禁煙させたいです。 どうしたら父のタバコを止めさせられるでしょうか? (大石さん・会社員・59歳) 火の不始末は心配ですね…。禁煙を促す方法としては、まずはタバコのデメリットや危険性をしっかり伝えることが大切。ご家族だけで説得が難しいときにはかかりつけ医などの専門家から禁煙を勧めてもらうのも有効でしょう。すぐに禁煙させたいからといって、タバコを取り上げたり、お父様の気持ちを否定する言動はNG。お父様に共感して話を聞きながら禁煙を進めていきましょう。 認知症の人を禁煙させるときのNG対応 実家で一人暮らしをする認知症の父の介護をしています。最近、物忘れがひどくなって、認知症の進行を感じています。それに関係するのか、このところタバコの火をきちんと消していなかったり、火が付いたまま机の上に置きっぱなしになっていることが何度かありました。 それは怖いですね…。 そうなんです。火事が怖いので禁煙するように言っているのですが、聞く耳を持たず…。いつも最後には口論になってしまうので、疲れました。 口論になってしまうんですね…。もしかしたら、認知症の人のタバコを止めさせるのにNGな対応をしてしまっているのかもしれません。 NGな対応ですか?どんなものでしょう? 例えば、タバコを勝手に取り上げることです。認知症の方は、認知機能の低下の影響で、不安感が大きくなったり他の人への不信感が大きくなる傾向があります。なので、お父様の許可を得ずにタバコを取り上げてしまうと、お父様が自分の気持ちや嗜好を否定されたように感じてしまうんです。 この間、一度タバコを取り上げたことがありました。あまりに騒ぐので返したのですが、あんなに大騒ぎしたのは認知症の影響もあったんですね。父の安全のことを考えてしたことですが…。父の気持ちを考えていませんでした。 それに、喫煙者がタバコを止めるとイライラしやすくなります。特に認知症の方は、感情の抑制がしにくくなっているので、暴言や暴力が出やすい傾向があります。つまり、気持ちを否定せずにタバコを止められるようにするのが大切なんですね。 認知症の人に禁煙させる方法 具体的には、どうやって禁煙させれば良いんでしょう? 既にやっていらっしゃるかもしれませんが、まずは説得が大切です。タバコを吸うことのデメリットや、タバコを止めることのメリットを伝えるんです。このときに、お父様の気持ちに共感することを心がけましょう。長年の習慣を止めることは寂しさがあるかもしれませんし、喫煙がストレス解消になっているのかもしれません。説得は、感情的にならずに落ち着いて話をするのがカギ。共感しつつ伝えたいことを話しましょう。 父があまりにも頑固なので、毎回、感情的になっていました…。だから、ケンカになってしまったのかな。 また、かかりつけ医に禁煙を勧めてもらうのも良いでしょう。ご高齢者は、ご家族の言葉には耳を貸さなくても、第三者、特に専門家の言葉なら聞き入れる傾向があります。なので、タバコを吸い続ける危険性や、無理のない禁煙方法などを説明してもらえると、納得して禁煙してくれるかもしれません。 認知症の人がタバコを吸う危険性 タバコは「百害あって一利なし」と言いますよね。ここで改めて、タバコを吸うことの危険性について確認しておきましょう。 タバコが認知症を進行させる可能性あり 実は、喫煙が認知症の症状を進行させる可能性があります。 えっ!そうなんですか!? タバコに含まれているニコチンの影響で脳に酸素が届かなくなり、脳細胞が死滅してしまうと言われています。そのせいで、脳の機能が低下してしまうんです。そもそも、タバコは認知症の原因のひとつとされています。50~60歳の頃から毎日タバコを吸っていると、高齢になって認知症のリスクが倍増するとも言われています。それくらいタバコは脳に悪影響を与えるものなので、少しでも認知症の進行を抑えるためにお父様の禁煙を進めていきましょう。 火事の危険性も 私は火事も心配です。認知症が進行したせいか、火の始末がきちんとできていないことが増えてきて。はじめに話したとおり、灰皿を使わずに適当なところに火の付いたタバコを放置してしまうんです。物忘れも進んでいるので、タバコを置いたことも忘れてしまっているのかもしれません。 それに、お父様が一人暮らしであるのも心配ですよね…。認知症が進行すると、それまで普通にできていたことができなくなってしまうことがあります。もしかしたら、そのせいでタバコの火の始末の方法がわからなくなってしまったのかもしれません。寝タバコをして火事になってしまうケースもありますから、なんとか説得して禁煙を進めたいですよね。 父の健康のためにも安全のためにも、どうにかタバコを止めるように説得します。 認知症の人がタバコを吸うと、症状が進行する危険性がある タバコの危険性を説明したうえで、少しずつ本数を減らして 無理やり取り上げると、暴力・暴言につながることも… pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/06/13

施設入居 在宅介護 認知症介護

父親の老人ホームの入居を親戚に反対されています。手伝いもしないのに口だけ出す親戚に困っています。

同居している父親を老人ホームに入居させようとしたら、叔母から反対されて困っています。 父親は認知症が進行しており、ほぼ毎回トイレを失敗。なのに、私の介助を拒否したり、怒鳴って私に手を上げることもあります。こんな状況なので、もう疲れて仕事にも支障が出ているんです。 だから施設に入居させたいのに叔母は「介護施設に入れるなんてかわいそう」と反対。たまに顔を見せるだけで介護を手伝うわけでもないのに、口だけ出されて困っています。 (高山さん・パート・63歳) それは大変な状況ですね…。そういうご相談はよくいただきます。例えば、老人ホームに入居すると身体状態が悪くなったり、認知症が進行すると考えていて、入居を反対されたり。また、介護の状況を理解していないために「老人ホームに入る必要がない」と思っていたり…。そういう場合は、老人ホームを見学してもらって実際の施設について理解してもらう、普段のお父様の状況を動画などで記録して見てもらうなどの対応ができます。在宅介護を続ける場合は、そのご親戚に介護の一部を担当してもらったり金銭的な支援をしてもらうなどの交渉をすることも検討してください。まずはお父様と介護をしている高山さんの生活が最優先。お二人が安心して暮らせる選択をしてくださいね。 親戚が老人ホーム入居に反対する5つの事例 父の在宅介護が限界なので、老人ホームに入居させようといくつかの施設を候補に考えています。そのことを叔母に話すと、「介護施設に入れるなんてかわいそう」と反対されてしまいました。父は身体は元気なものの、認知症の影響でトイレに間に合わなかったり、ちょっとしたことで怒鳴り出したりと面倒をみるのも大変。私の介助を拒否して手を上げられることもあり、自宅で介護を続けるのに限界を感じています。でも父と叔母は仲の良い兄妹なので、叔母の言葉を無視するわけにもいかなくて…。 なるほど…。私も入居相談を受ける中で、そういったご相談はよくいただきます。これまでいただいた相談から、以下の5つの事例と対応方法をご紹介しますね。 施設に入居したら状態が悪化すると思っている 施設入居の必要がないと思っている 家族や地元から引き離すのがかわいそうだと思っている 老人ホームの費用の支払いを心配している 入居する施設が気に入らない 施設に入居したら状態が悪化すると思っている まだまだ介護施設に悪いイメージを持っている人がいます。いわゆる「姥捨て山」のイメージですね。なので、介護施設に入居したら身体状態が悪化したり、認知症が進行すると思っているんです。そう言う人は、施設に入ったら「自由がなくてベッドで寝たきりにさせられる」と考えているんですね。 確かに、叔母は「施設に入れたら何もできなくなる!」と言っていました。老人ホームに良い印象を持っていないのは確かですね…。 その印象を少しでも良くしてもらうために、一緒に老人ホームの見学をするのはどうでしょうか?高山さんもご存知のとおり、一昔前とは異なり、最近の老人ホームはかなり良いものになっています。レクリエーションや体操を生活に組み入れ、「入居したらベッドの上で寝かせっぱなし」ということはまずありません。そういった実際の老人ホームの様子を叔母様に見ていただくのがおすすめですよ。 施設入居の必要がないと思っている 介護の状況を正しく理解していないために「施設に入居する必要はない」と、ご親戚が思っているケースもありました。たまにしか顔を合わせない人であれば、お父様の普段の様子はなかなか把握できないですよね…。それに、介護の経験がない人だと介護の大変さをイメージできず、「そこまで大変ではない」と思っていることもあります。 本当にそうなんですよ!「こんなに元気なのに施設に入れる必要があるのか」と言われました。父も叔母の前では、昔と同じように振る舞います。認知症の症状もなく、元気になってしまうんです。だからなのか、叔母も父の認知症がそこまでひどいとは思っていないようで…。 となると、いつものお父様の状況を動画やメモなどで記録して見せるのが良いかもしれません。認知症の人は、普段会わない人の前では頭がはっきりとして、認知症になる前と同じように振る舞えることも多いんですよ。なので、いつもの姿をはっきりと見てもらいましょう。もしくは、かかりつけ医やケアマネジャーさんからお父様の状況を説明してもらうのもひとつの手。第三者の専門家から説明を受けると納得できるケースも数多くあります。 家族や地元から引き離すのがかわいそうだと思っている ご家族や地域の愛情が強い人の介護施設の入居を検討している場合、「引き離すのがかわいそう」という理由で反対されるケースもあります。特に、長年連れ添ったご夫婦のお一人だけが入居する場合だと、「お父さん(お母さん)から引き離すのはかわいそう」という反対意見が出るといった話をよく伺います。 そういうこともあるんですね。うちはすでに母が亡くなっていますし、そういうことはないですね。ただ、父は生まれてからずっと地元から離れたことがない人なので、「地元から離すのがかわいそう」と叔母は考えているのかもしれません。 そういうときは、介護の負担が大きくて大変なことだけではなく、入居するご本人のためにもなることを伝えましょう。特に、在宅介護を続ける危険性について話すと良いかもしれません。具体的には「ガスコンロなどの火の管理ができずに火事の危険がある」「ふらつくことが増えて転倒するリスクがある」「部屋にこもりきりで、認知症の進行や身体機能の低下の可能性がある」といったことです。老人ホームに入れば、こうした危険性は回避できるでしょう。介護施設だからこそ、安全・安心な暮らしができることが伝われば、反対する気持ちも和らぐかもしれません。 老人ホームの費用の支払いを心配している 特に他のご兄弟から反対を受けるケースで多いのが、老人ホームの費用の支払いを心配しているパターンです。入居するご本人の財産から費用を出すのか、ご家族が出すのか…。「自分がお金を出さないといけないのでは」と考えて反対していることもあります。 私は一人っ子なので、兄弟から反対を受けるということはなかったですね。ちなみに今回の父の入居は、基本的に父の年金と貯金から出そうと思っています。足りなさそうであれば、私が多少出すかもしれませんが…。 もし、お金のことが心配で反対されている場合、「どこからお金を出すのか」を明確に伝えた方が良いですね。はっきり老人ホームの費用がわかっていれば、「本人のお金から◯万円」「私(子ども)のお金から◯万円」と内訳を伝えるのも良いでしょう。もし、金銭的な支援を頼む場合も、「我が家から◯万円出すから、◯万円出してくれない?」とお願いするのがわかりやすいですね。 入居する施設が気に入らない まれなケースですが、「入居予定の施設が気に入らない」という理由で反対されることも。気に入らない理由は「アクセスが悪くて行きにくい」「大手ブランドではない」「悪い噂を聞いた」「〇〇という種類の施設は対応が悪いと聞いた」などさまざまです。こうした場合も、実際の施設を一緒に見学してもらうのがおすすめです。反対している懸念を払拭し、噂話などではなく自分の目で見て納得してもらいましょう。可能であれば、施設の担当者に実際の対応内容を確認するのも良いですね。「どこまでが対応できて、どこからは対応できないのか」を理解してもらうことで、老人ホームでの暮らしをイメージしやすくなると思いますよ。 在宅介護を続けるなら、役割分担をしよう いろんな理由で、親戚に老人ホームの入居を反対される人がいるんですね。具体的な例を聞けてよかったです。ただ、もし叔母の説得ができなかったらどうしたら良いんでしょう…。叔母は頑固なので説得ができないかもしれません。 在宅介護を続けるということですよね。高山さんのお話を聞く限り、今のままで在宅介護を続けるのは難しいでしょう。高山さんが体調を崩してしまう可能性もあります。なので、在宅介護を続けるように言われたら、叔母様に介護の協力を依頼しましょう。「週◯回は介護をする」「通院の送り迎えを担当する」など、具体的にお願いすることが大切です。 叔母に介護を頼むんですか?やってくれるかな…。叔母も年ですし…。 叔母様が実際に介護ができない場合でしたら、金銭的な支援をお願いするのはどうでしょうか?在宅介護でも介護サービスをたくさん使うことで、かなり負担は減ります。もちろんそのためには今よりもお金がかかりますから、その分の費用を出してもらうんです。正直なところ、「介護もできない」「お金も出せない」と言う人の意見よりも、介護をする人・介護をされる人の安全や健康の方が優先です。何より、高山さんの生活ですからご自分の暮らしや健康を一番に優先した選択をしてくださいね。 「姥捨て山」のイメージがある、介護の実情を理解していないことで親戚から入居を反対されることも 動画やメモを使ったり、かかりつけ医やケアマネジャーから説明をしてもらって、介護の実情を理解してもらおう 在宅介護を続けるなら、介護の分担や費用の負担の相談をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/06/06

排泄 認知症 在宅介護

認知症の母親が便をいじって家中うんこまみれに…。トイレを汚すこともあるので対策を教えてください

認知症の母親が、自分の便をいじって服だけでなくふとんや壁に触って汚すようになって大変なんです。何度、注意しても治りませんし、認知症のせいで注意したことも覚えていないようです。 仕事から帰って疲れていたときに、部屋中を汚されたときは本当に参りました。最近、そんなことが増えてきたので家に帰ってきても気が抜けません。良い解決策はありませんか? (片山さん・61歳・会社員) それは、本当に大変でしたね…。便をいじることは、認知症の症状のひとつで「弄便(ろうべん)」と言います。下着やおむつの中に便があることに違和感を覚えて素手で触ってしまい、その汚れた手をいろんな場所になすりつけてしまうんです。なので、できるだけ下着やおむつの中に便が入っている時間を短くすることが大切。おむつの中にではなく、トイレで排泄できるようにすること、寝たきりの人の場合は定期的におむつ交換をすることが便いじりを減らすことにつながるでしょう。 弄便(ろうべん)とは? 認知症の母が、便をいじって汚れた手をふとんや壁になすりつけるんです。便を触っているというだけでもショックなのに、部屋中を汚されて片付けも大変だし…。この間なんて、私が仕事から帰って母の部屋に入ると部屋中が汚れていて…。とても疲れていたのに、服やふとんを洗濯して、壁も拭いて…と、本当に参りました。 それはとても大変でしたね…。お仕事も介護もお疲れ様です。お話を聞く限り、お母様は認知症の周辺症状(BPSD)のひとつである「弄便」の症状が現れているように思います。 弄便(ろうべん)とは 便器の中に手を入れたり、トイレ以外の場所で失禁してしまうのは“不潔行為”と呼ばれるBPSD。その中でも、自分の排泄物を手で触ったり、衣服や壁にすりつけてしまう弄便は、介護者への負担が大きい症状です。 弄便の多くは、排泄物をしたことによる違和感やオムツの不快感が原因と考えられています。 オムツが不快だから中の排泄物を取りのぞこうとして手に便がついてしまう、手についた便をどうしたら良いかわからなくて服や壁にすりつける。本人にその気はなくても結果として弄便になってしまうことが多いようです。 ろうべん、ですか? 弄便は便を触って自分の身体やふとん、壁などにこすりつけること。中には便を汚いものと認識できずに、自分の顔に塗りつけたり、食べてしまうケースもあります。 食べてしまう!?信じられない! おっしゃるとおり、私たちにとっては信じられないことなんですが、認知症の影響で認知機能や理解力が低下していることで便が何だかわからなくなってしまうんですね。ただ、悪意があって便をいじったり、部屋を汚しているわけではないことは理解しておいてください。 弄便の原因は? 他の認知症の周辺症状も同様ですが、弄便にも原因があります。その原因を取り除くことで、症状が軽くなったりなくなったりするんです。 その原因というのは? 例えば、以下のようなことがあります。 おむつの中が不快で気になる 失禁を隠そうとする 便を正確に認識できない おむつの中が不快で気になる 下着やおむつの中で排便すると、肌に便が触れますよね。その感覚が不快で気になって便をいじってしまうことがあります。認知症の影響で排便をしたことを忘れてしまっている場合、「知らないうちに何かが下着の中に入っていて不快だから取り除こう」と思って便を触っていることも考えられます。 なるほど。確かに排泄したことを忘れてしまっているなら、不快でしょうがないですよね。 もしくは、お尻周りの皮膚がかぶれてかゆみがあるのかもしれません。かゆみがあれば誰でも気になるもの。かゆみのある部分を触ろうとして意識せずに便にも触ってしまっている可能性もあります。 失禁を隠そうとしている 失禁を隠そうとしている場合、汚れた服や下着をタンスや物陰に隠してしまうこともあります。また、失禁をしたことの羞恥心から、誰にも知られないように自分で片付けようとしたものの、どうしたら良いのかわからず、周囲を汚してしまってパニックになるケースもあるんです。 便を正確に認識できない 「正確に認識できない」というのは、さっきの「便を食べてしまう」ケースということですか? おっしゃるとおりです。私たちは排泄物は汚いものだと社会的な慣習に基づいて覚えますよね。それが認知症の影響で忘れてしまうんです。なので、便を何かわからず手でこねたり、美容クリームと思い込んで顔に塗るといった行為をすることもあります。 便をいじったときの対応方法は? 便をいじってしまう原因について、なんとなく理解しました。では、母が便いじりしたときはどう対応したら良いんでしょうか? それでは、便いじりが起きたときの対応方法についてお話ししていきましょう。 こんな対応はNG! 最近、便いじりの頻度が上がっているような気がして。何度叱っても繰り返すし…。 実は、便いじりをしたときにお母様のことを叱るのは逆効果になることがあります。 えぇ!?そうなんですか? さっきお伝えしたように、便いじりをすることに対してご本人には悪意はありません。なので、なぜ叱られているのかわからないんです。それに、認知症の影響で叱られた内容を忘れてしまう可能性もあります。ただ、叱られたことによる「嫌な気持ち」は残ります。それで不安感が増して、便いじりの回数が増えてしまうことも考えられるんです。 じゃあ、どうしたら良いんですか? 冷静に対応することが大切です。大声を出さず、お母様を責めず、穏やかに対応することで、お母様も安心するんじゃないでしょうか。 まずは手を、それからシャワーできれいに 便いじりによって汚れてしまったら、まずはお母様の手を洗いましょう。身体も汚れている場合、「早くきれいにしないと」とあせって急いで浴室に向かいたくなるかもしれません。ですが、手をきれいにしていないと浴室に行く途中の壁や手すりが汚れてしまう可能性もあります。なので、まずは手をきれいにしてから浴室で身体を洗ってくださいね。 便いじりの予防方法はある? 便でふとんや壁まで汚されると、掃除するのが本当に大変で…。どうにか便いじりを止めさせる方法はないでしょうか? 残念ながら、すぐに便いじりがなくなる方法というのは残念ながら思いつかないです…。ただ、便いじりの頻度を減らす方法はいくつかあります。以下のようなことを続けていくと、頻度が減っていくと思いますよ。 トイレで排泄する習慣をつける 汚れをとりやすいような工夫をする 皮膚を保護する トイレで排泄する習慣をつける トイレが間に合わず、下着やおむつの中で失禁してしまっている場合、できるだけトイレで排泄できるように習慣づけをしましょう。下着やおむつの中に便がある時間を短くするのが便いじりを減らす第一歩です。認知症になると、尿意・便意があってもトイレに行くことがわからなくなることがあります。なので、もじもじしていたり、力んでいるなど、いつもと違う様子があればご家族が声掛けをしてトイレに誘導してみてください。 なるほど。母はリハビリパンツを使っているのですが、気がついたらパンツの中で排泄してしまっていることが増えました。あれは、トイレに行くことがわからなくなったからだったんだ…。 もし、トイレに行くのが大変そうな様子があったら、お母様のお部屋にポータブルトイレを設置するのも良いでしょう。肌に便が触れている時間を減らすことで、肌のかぶれも減りますから、かゆみが原因の便いじりも減ると思いますよ。 皮膚を保護する 合わせて、肌のかぶれが原因の便いじりを減らすために、肛門やお尻の周りにクリームを塗っておくのも効果があるでしょう。ワセリンなどのクリームを塗っておけば皮膚を保護してくれるので、肌のかゆみやかぶれを防げます。 汚れをとりやすいような工夫をする これは、便いじりを減らす方法ではないのですが、便いじりが起きてしまったときに汚れを取りやすくするために、便が付きやすい場所の壁にビニールの保護シートを貼るのもおすすめです。またシーツの上から敷く防水シートも売っていますので、それを使えば寝具への汚れも減らせるでしょう。加えて、畳の部屋の場合は畳の上に敷くだけのフローリングカーペットがあります。畳の目に汚れが残りやすいですから、カーペットを敷くだけでも掃除が楽になると思いますよ。 おむつや下着の中の不快感から便をいじってしまうことも 便で汚れていても怒鳴ったり叱ったりするのはNG! 予防するにはトイレで排泄する習慣をつける、おむつをこまめに交換すること pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/05/31

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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