Q&A
地域の広報誌で「認知症サポーター」というものがあることを知りました。認知症サポーターとはどんなことをするのでしょうか?両親が高齢になってきたこともあり、認知症や介護について学んでおきたいと考えています。 (山崎さん・会社員・58歳) 認知症サポーターとは、地域の認知症の人やその介護をする人の支援をおこなう人のことです。「認知症サポーター養成講座」に参加すればサポーターになれます。養成講座は認知症について詳しく学べる内容になっていますよ。 認知症サポーターとは 「認知症サポーター」ってなんですか?先日、市の広報に書いてあったのが目に止まって…。 認知症サポーターとは、地域の認知症の人やその介護をする人の支援をおこなう人のことです。「認知症サポーター養成講座」に参加すればサポーターになれます。養成講座は認知症について詳しく学べる内容になっていますよ。 へー!具体的にはどんなことをしているんですか? 認知症サポーターだからといって、特別なことをする必要はありません。例えば、道ばたで「認知症かな?」と思った人がいれば、困っていることがないか声をかけてみたり、認知症の人を介護しているご家族の話を聞いてあげたり…。理解して、偏見を持たないで接してあげることが大切なんです。ちなみに、厚生労働省が「認知症サポーターに期待されること」として、次の5つを挙げています。 認知症に対して正しく理解し、偏見をもたない。 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る。 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する。 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる。 まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する。 出典:
2022/08/25
最近、母の物忘れがひどくなっていて認知症なのではないかと心配です。本人も物忘れを気にしており、メモに残したりしているので生活に影響は出ていないのですが、これからさらに進行してしまうのではと不安に感じています。母は認知症なのでしょうか? (柴田さん・主婦・63歳) 病院で検査をしないとはっきりとはわかりませんが、もしかしたら、認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」かもしれません。早いうちから対策をすれば、認知症にならずに回復することもあるので、病院で検査をしてみることをおすすめします。 ただの物忘れ?軽度認知障害かも 一緒に住んでいる母の物忘れがひどくなっていて心配なんです。料理が得意な人なのに、料理の段取りが悪くなったり、何度も同じことを聞かれることもあるし…。まだ自分のことは自分でできるので、そうは思いたくないのですが…母は認知症になってしまったんでしょうか? 認知症の検査をしてみないとなんとも言えませんが、もしかしたら軽度認知障害の可能性がありますね。 軽度認知障害、ですか?初めて聞きました。 軽度認知障害というのは、認知症の一歩手前の状態です。認知症になると日常生活に支障が出て、誰かの手を借りないと生活ができない状態になりますが、軽度認知障害ではそこまで進行していません。ちなみに、厚生労働省は軽度認知障害について、次のように定義しています。 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。 本人または家族による物忘れの訴えがある。 全般的な認知機能は正常範囲である。 日常生活動作は自立している。 認知症ではない。 出典:「軽度認知障害」(厚生労働省 e-ヘルスネット) 例えば、「同じ話をする」「ついさっき食べたものを忘れる」などの記憶障害が代表的な症状です。他にも、「お金の計算やスケジュール管理が難しくなった」といった管理能力の低下も見られることがあります。さらに、「趣味をしなくなった」「頭がぼんやりしてすっきりしない」「疲れやすくて元気がない」といった気持ちの面の変化もあるようです。もし、こういった状況があれば、軽度認知障害を疑っても良いでしょう。 いくつか母に当てはまるものがあります。軽度認知障害なのかなぁ。 病院で検査を受けて早期発見を 軽度認知障害の症状に思い当たるものがあるのであれば、早めに病院で検査を受けてくださいね。 病院って何科に行けば良いですか? 認知症や軽度認知障害の専門の診療科は、心療内科や精神科、脳神経外科などです。ただ、かかりつけの病院があるのであれば、先にそこの医師に相談してみるのも手ですね。かかりつけ医であれば、これまでのお母様の様子を良く知っていると思いますし、専門の病院を紹介してもらうこともできるでしょう。 そうですね。定期的に通院している病院があります。そこの先生に相談してみますね。 専門の病院を紹介してもらったら、そこで認知機能の検査を受けます。検査にはいくつも種類があって、それぞれ検査方法が異なります。例えば、認知症の検査にも使われる「改訂 長谷川式認知症スケール」「MMSE(Mini-Mental State Examination)」は、5~7分かけて医師の質問に答えたり、図形の模写などの問題をおこないます。その点数によって、認知機能の程度を診断します。 うーん、母の場合、緊張してしまって上手く先生の質問に答えられなさそうな気がします。 そうなんですよね。実際に検査を受けた人からもそういう声があるんです。そこで、軽度認知障害のチェックの場合は、もっと簡単にできる「MCIスクリーニング検査」という診断法もあります。この検査は、アルツハイマー型認知症の原因物質について調べるものです。アルツハイマー型認知症は、アミロイドベータペプチドという物質が脳にたまって神経細胞を傷つけることで発症します。なのでこの検査では、血液中のアミロイドベータペプチドの毒性を弱める機能を持つタンパク質の量を調べることで、軽度認知障害のリスクを判断します。少量の採血のみなので、問診の緊張はないですし、受ける人の負担も少ないのではないでしょうか。 血液で認知機能が低下しているかどうかがわかるんですね!すごい時代ですね。 「軽度認知障害かも」と思っても、なかなか「検査を受けてほしい」とは言い出しにくいこともありますよね。そういうときは、自分で確認できるチェックリストがあるのでそれを使ってセルフチェックをしてみるもの良いんじゃないでしょうか。例えば、東京都が簡単にできる認知症チェックリストを公開しています。当てはまるものが多ければ、スムーズに受診を勧めやすいでしょう。 認知症に進行させないために もし、検査の結果、軽度認知障害と診断されたらどうしたら良いんでしょう。認知症になると覚悟しておいた方が良いですか? 「認知症になるリスクが高い」ということは理解しておいてください。というのも、軽度認知障害をそのままにしておくと、約5年で半分以上の人が認知症に進行してしまうとされているんです。 5年で半分以上が!?これは覚悟しておかないと…。 ただ、対策をすれば認知症にならずに回復することもあります。1年で16~41%の人が健康な認知機能の状態に戻ったという調査結果もあります。もし軽度認知障害と診断されたら、大きなショックかもしれませんが、その後の予防が大切。予防法を学んで対策するように心がけてください。 予防法というと、どんなことをすれば良いんですか? 生活習慣の改善が効果的とされています。例えば、栄養バランスの良い食事を意識することですね。塩分や糖分の摂りすぎに気をつけたり、肉や魚、豆類といったタンパク質をきちんと摂ることも大切です。あわせて有酸素運動も有効です。脳への血流が増えることに加えて、認知症の原因となる糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の予防にもなりますよ。定期的にウォーキングや水泳などに取り組んでみましょう。 認知症の予防というよりは、健康的な生活を心がければ良いんですね。 おっしゃる通りです!「認知症予防」というと、特別なことやストイックに取り組まなければいけないと思いがちですが、全然そんなことはありません。どちらかというと、楽しんでできることの方が脳に良い刺激を与えますから、趣味やレクリエーションを謳歌することが認知症予防につながったりするんですよ。それに、趣味やレクを通じていろんな人と交流することも予防になりますから、楽しんでできることに取り組んでみてくださいね。 「母が認知症にならないように、いろいろと対策をしなきゃ」と気構えていたんですが、そんな必要なさそうですね。軽度認知障害と診断されても、やっていけるような気がしてきました。 それはよかった!軽度認知障害と言われるとショックを受けてふさぎこんでしまって、余計に状態が悪くなってしまう人もいるんです。もし軽度認知障害と診断されても、「早めに認知症の対策や心構えができる準備期間をもらえた」と思うと少し気持ちが楽になるかもしれませんね。 確かに。軽度認知障害の段階でわからずに急に認知症と診断される人もいるんですもんね。ちなみに、どんな準備をしておけば良いんですか? 例えば、認知症の症状について知っておくこと。「食事したこと自体を忘れてしまう」「自分がいる場所がわからない」「外出して家まで帰って来れない」といったものが主な症状です。あわせて、認知症に対しての支援も把握しておきましょう。お住まいの自治体で支援があったり、「認知症カフェ」という認知症のご本人やご家族が集まる場が設けられていることがあります。いざというときにすぐに支援を受けられるように、早いうちに情報を集めておくとかなり気持ちが軽くなると思いますよ。 「物忘れがひどい」と思ったら早めに軽度認知障害の検査を 軽度認知障害をそのままにすると認知症になることも 健康的な生活が認知症の予防につながる 認知症になったときの備えもしておこう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
2022/08/24
ひとり暮らしの父親が、老人ホームに入居をするのを嫌がります。家の中を何とか1人で歩いていますが、最近は転倒することも増えているみたいで心配です。うまく説得する方法はあるでしょうか。 (佐々木さん@60歳・会社員) どうして老人ホームに入りたくないのか、お父様の声にじっくりと耳を傾けてみてください。もし老人ホームに不安を感じているようだったら、体験入居やショートステイなどを活用して老人ホームでの暮らしを経験してみることもアリですよ。 入居を拒否する理由を知る ひとり暮らしの父を老人ホームに入居させたいんですが、頑なに拒否されてしまっているんです。どう説得したら良いでしょう? お父様に入居したくない理由を聞いてみましたか? はい。でも「老人ホームには入りたくない」の一点張りで…。 そうだったんですね。入居したくない理由にはさまざまなケースが考えられますが…。例えばこれを見てください。 この調査は「自宅で介護を受けたい理由」についてのものですが、裏を返せば「施設に入りたくない理由」とも取れますね。 この調査で一番多いのは「住みなれた自宅で生活を続けたいから」なんですね。 そうなんです。長年、暮らした自宅から離れるのはなかなか抵抗がありますもんね。それに、「家族以外の他人の世話になりたくない」「共同生活をしたくない」といった複数の理由が絡み合って入居を嫌がっていることも考えられます。 確かに。父の場合は、「家を離れたくない」と「他人の世話になりたくない」という理由があるのかもしれないです。 あとは、老人ホームがどんなところかわからなくて入居に不安を感じているケースもあります。家族だからこそ話しにくいこともあるかもしれませんが、まずはお父様の本心をじっくり聞いてみて、不満や不安を解消していくのはどうでしょうか? 何度も話し合っているんですが、聞く耳を持ってくれないんです。私は遠方に住んでいるのでなかなか会いに行けないし…。 遠距離介護だと、どうしてもあせってしまいますよね。ただ、もしかしたらそうしたあせりが「無理やり入居させられる」とお父様に感じさせてしまったのかもしれません。 でも、候補の施設はすでに決まっていますし、今の父の状態では遠距離介護は続けられません。早く施設に入ってもらわないと。 うーん、そうですね…。そういうときは、第三者の力を借りてみるのはどうでしょうか? ”第三者”ですか? 例えば、担当のケアマネジャーさんとか。介護の専門家から「こういう理由があるので、自宅だと危険ですよ」とか「老人ホームではこんな生活を送れますよ」といったことを話してもらうんです。 なるほど、ケアマネジャーさんの話なら、私が言うより聞いてくれるかもしれないです。 あとは、老人ホーム側に協力してもらって、体験入居をしてみるのもアリです。お父様が老人ホームに良くないイメージを持っていたり、異なる環境で過ごすことに不安を感じているのだとしたら、お試しで入居してみてそういった心配ごとを解消できると思いますよ。「入ってみたら意外と楽しかった」なんてこともありますから。 無理やり入居させるリスク もし、北野さんが言った方法でも父に「入居したくない」と言われたらどうしたら良いですか?父が納得してくれないような気がしていて…。 あまり良くない方法ではありますが、本当に老人ホームに入る必要があるなら多少無理にでも入居させる覚悟も必要です。 無理にでも、ですか…。 このままひとり暮らしを続けていると、お父様が転倒して骨折してしまって急に歩けなくなることもあり得ます。それに、認知症を発症していても発見が遅れてしまうリスクもあります。 でも、無理やり施設に入れてしまって、父との関係が悪くなることもありますよね? はい、残念ながらあります。それに、環境の変化によるストレスが認知症の発症のきっかけとなることも…。そういったリスクも覚悟のうえ、ということです。 そう言われると怖くなってきました。遠距離介護は大変ですが、もう少し説得に時間をかけてみようと思います。 そうですね。お父様とじっくり話し合ってみてください。ただ、佐々木さんが倒れてしまっては元も子もありませんから、無理はしないでくださいね。 どうして入居したくないのか、耳を傾ける ケアマネジャー・施設など”第三者”の力を借りよう 入居が進まなければ、無理にでも入居してもらう覚悟も必要 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...
2022/07/07
1年ほど前から自宅で認知症の母親の介護をしています。母は一人でトイレに行けないため、夜中に何度もトイレの付き添いのために起きないといけません。 私は仕事と並行して介護をしていることもあり、介護に疲れてしまいました。もう、在宅介護では限界なんでしょうか? (吉田さん@53歳・会社員) 吉田さんの生活に支障が出ているようであれば、在宅介護から施設介護に変えることをおすすめします。限界を超えてしまうと、「介護うつ」になってしまったり「介護離職」をしてしまう可能性があります。まずはショートステイや訪問介護などの介護サービスを使って、介護から離れた状態で今後のことを考えてみてください。ご自宅での介護を続けるのが難しいと感じたなら、介護施設に入居することも検討してくださいね。 在宅介護の限界を判断するポイント 認知症の母の介護をしています。夜中もトイレの付き添いのために起きないといけなくて、常に寝不足のため身体が辛いですが、なんとかやれています。でも、友人にこの話をしたところ、「もう在宅介護は無理だよ」と言われました。今の状態は在宅介護では限界なんでしょうか? 私がこれまで入居相談を受けてきた経験上、在宅介護が限界を迎えているケースにはいくつかのパターンがありますね。次に具体的な状況をリストアップしてみましたが…。吉田さんに当てはまっているものはありますか? 介護のために睡眠時間を減らす必要がある 介護する人の生活に支障をきたしている 認知症の症状が手に負えない 一番はじめの「介護のために睡眠時間を減らす必要がある」は、当てはまっています。トイレ介助のために何度も夜中に起きないといけない状況なので…。それに、認知症が進んでから、「勝手に家から出て迷子になるんじゃないか」と心配でよく眠れないんです。 それはかなりきつい状況ですね…。となると、寝不足で昼間のお仕事や家事に支障が出ていませんか? 出ています!常に眠いので仕事でミスも増えましたし、身体がいつも重くて毎日の家事をするのも大変で…。 やはりそうですよね…。となると、このままご自宅で介護するのは難しい段階かもしれません。 介護の限界を超えてしまうと このままの状態で在宅介護を続けていると、限界を超えてしまって「介護離職」や「介護うつ」になる危険性があります。 「介護離職」?「介護うつ」?それはどんな状況ですか? まず、介護離職とは介護をするために仕事を辞めることです。仕事を辞めて介護に集中しようとするわけですね。 私も母の介護をする時間が確保できないので、会社を辞めようと考えたことがあります。介護に集中できるなら良いんじゃないですか? 実は、離職した後の負担が必ずしも減るとは限らないんです。これを見てください。 出典:「分科会B:介護~仕事と介護の両立 社員や企業が地域社会とつながることの可能性~」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング) えぇ!?介護に集中したからって、楽になるわけではないんですね!退職しなくてよかったです。 そうなんです。むしろ、生活が”介護一色”になってしまって休みがなくなり、「負担が増えた」と感じている人が多いんです。それに、さらに精神的・肉体的に追い詰められると「介護うつ」になってしまう可能性もあります。 「介護うつ」って介護のせいでうつ病になってしまうということですか? おっしゃる通りです。介護によってストレスが溜まってうつ病を発症してしまいます。睡眠障害や食欲不振、無気力感など心身ともに異常が出てしまうんです。 私はまだそこまでの状況にはなっていませんが、睡眠不足が続いているのでこのままだと介護うつになってしまうかもしれないです…。 介護うつになったら回復するには時間がかかります。そうなると、お母様の介護だけでなく、吉田さんの人生にも影響が出てしまうのでそうなる前に手を打ちましょう。 親の介護に限界を感じたときの相談窓口 介護の限界を超えないように手を打つと言っても、どうしたら良いんでしょう?何から始めたら良いのかわからないので、誰かに相談したいです…。 そうですよね。でしたら、身近にある相談先をお伝えしますね。次のようなところに相談すれば、介護についていろいろとわかると思いますよ。 ケアマネージャー 役所の福祉窓口 地域包括支援センター 民生委員 介護をする家族の会 もし、まだ介護サービスを利用していない場合は、役所の福祉の相談窓口がわかりやすい相談先だと思います。「介護の相談先」と考えると、どうしたら良いかわからなくなってしまうかもしれませんが、お住まいの地域の役所であればどこにあるのかはわかりますよね。自治体によっては、「介護保険課」「高齢者福祉課」といった名前の窓口を設置しています。正確な名前がわからなければ、電話で問い合わせるか、とりあえず役所に行ってみて相談窓口を確認してみてください。 母は既に訪問介護を利用しています。介護サービスを利用している場合は、どこに相談したら良いですか? 介護サービスを既に利用しているのであれば、一番身近な相談先は担当のケアマネジャーさんではないでしょうか。ケアマネジャーさんであれば、今のお母様やご家庭の状況をよく知っているので、相談しやすいですよね。それに、ケアプランの見直しをすることで、今よりも介護がしやすくなるかもしれません。なので介護サービスを利用しているのであれば、まずはケアマネジャーさんに相談して、ケアプランの組み直しをお願いしてみましょう。 ケアマネジャーさんですね。しばらく連絡を取っていなかったので、連絡してみようかな…。 あとは「地域包括支援センター」に相談してみるのもおすすめです。地域包括支援センターは、ご高齢者の生活の総合相談窓口。保健師、社会福祉士、ケアマネジャーといった介護に詳しい専門家が相談に乗ってくれるので、総合的に相談したいときに良いと思います。 その次の民生委員さんって、地域の見守りとかをやってくれる人ですよね?介護の相談にも乗ってくれるんですか? そうなんです。地域で暮らす支援を必要としている人のサポートをしているのが民生委員さん。介護の相談をすれば、適切な行政サービスや専門機関につないでくれるんです。また、最後の「介護をする家族の会」にはいろんな団体があります。例えば「認知症家族の会」という認知症の方本人と、介護をする家族の団体もあるんです。悩みを打ち明けるだけでも気持ちが楽になると思いますので、近くで開催している集まりに参加してみるのも良いかもしれませんね。 在宅介護の限界を超える前に ここまでに、在宅介護の限界を判断するポイントや介護の相談窓口についてお話ししました。ここからは、ご自宅での介護の限界を超えないように対策できることをお伝えしたいと思います。 介護の限界を超えないための対策って何ができるでしょうか? まずは介護サービスを利用することです。お母様は既に介護サービスを使っていらっしゃると思いますが、介護の限界を迎えないための介護サービスの使い方についてお話ししますね。 レスパイトケアで「介護から離れる」時間を 介護には「レスパイトケア」という考え方があります。 レスパイトケアですか?聞いたことがないです。 レスパイトケアとは、介護をする人が介護を休憩するために介護サービスなどを利用すること。つまり、「介護をされる人のためのケア」というよりも「介護をする人のためのケア」と言えますね。具体的には、以下のサービスがレスパイトケアとして活用されています。 訪問介護 デイサービス ショートステイ 今、デイサービスを週2回利用しています。デイサービスもレスパイトケアになるんだ。 そうなんです。デイサービスは、朝から夕方にかけて介護施設に預かってもらうサービスですよね。なので、ご家族はデイサービスの時間を自分の時間にしたり、家事を片付けたりする時間にあてられるわけです。訪問介護の場合は、訪問介護を使うことでヘルパーさんにお願いした分の介護や家事の時間を別のことに使えますよね。つまり、どちらも介護サービスを使うことで短時間のレスパイトができるわけです。 でも、私は平日の日中は仕事をしていますし、デイサービスや訪問介護はあまりレスパイトという感じがしません。 そうですよね…。でしたら、ショートステイを使ってみるのはどうでしょうか?ショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービス。施設に空きがあれば最大30日連続で利用できます。訪問介護やデイサービスは数時間だけの短い間ですが、ショートステイでしたらまとめて数日のレスパイトも可能です。ご高齢者をショートステイに預けて旅行に行く、といった使い方をしているご家庭もありますよ。 えっ、旅行に行くために母を人様に預けるんですか?そんなことして良いのかな…。 もちろんです!レスパイトケアは”ご家族のための介護サービス”。ご家族がリフレッシュするために利用しても良いんです。それに、今は仕事と介護に疲れて今後の生活についてじっくり考える余裕がないかもしれません。なので、レスパイトケアをしてお母様のことだけでなくて吉田さんご自身の将来について考えてみてください。 介護施設に入居することも検討して 介護の負担がさらに大きくなったら、老人ホームなどの介護施設に入居することも検討してみてください。 老人ホームかぁ…。まだまだ先の話だと思っていました。 もちろん、今の状況でも介護が継続できそうであれば、お母様はご自宅で過ごした方が良いと思います。でも、実際は介護と仕事の両立は難しいものです。それに、介護施設は入居しようと思っても、1日や2日で入居できるものではありません。居室に空きがあってすぐに入れる状態でも、書類作成や面談などが必要なので、1ヵ月近くかかることもあるんです。 「入りたい」と言ってすぐに入れるものではないんですね…。 それに、特別養護老人ホームなどの人気の施設の場合、常に満室なので1年以上待たされることも…。なので、在宅介護の限界を迎えてから施設探しを始めるのではなく、多少余裕のある状態から施設探しを始めてくださいね。 睡眠を削るようになったら、在宅介護の限界 介護から離れるためにレスパイトケアを活用しよう 限界を感じたら早めに施設探しを pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...
2022/07/05
認知症の母に、食後に「ご飯を食べていない」と言われます。毎食しっかり食べているのですが…。毎回、言われるので、いいかげんうんざりしています。何か対策はないでしょうか? (木村さん@57歳・主婦) 「さっき食べたばかりでしょ」などお母様の気持ちを否定すると、興奮して落ち着かなくなる場合もあります。「今、支度をしているのでお茶を飲んで待っていてください」など、別のものに気持ちをそらすと落ち着くかもしれませんよ。 認知症は食べたこと自体を忘れる 認知症の方は、「エピソード記憶」を忘れてしまうのが特徴なんです。 エピソード記憶ですか? エピソード記憶は、その人の体験に基づいた長期記憶のこと。お母様の場合だと、”食べたこと自体”を忘れてしまうんです。 それは、物忘れとは違うんですか? 「何を食べたのかを忘れる」だと物忘れですが、「食事をしたかどうかを忘れる」というのが認知症なんです。 母のように「食事をしたかどうかを忘れる」人は多いのですか? はい。アルツハイマー型認知症の方に多くみられます。認知症の症状のひとつと考えて対策をすると、木村さんの負担が減ると思いますよ! 「食べてない!」への対策 母に「ご飯を食べていない」と言われると、どうしてもイライラしてしまって…。 そうですよねえ。ご飯の度にそう言われるとイライラしますよ。そういうときに、ひとつ試していただきたいのが、”別のものに気をそらす”という方法です。例えば、「今、準備しているから、お茶でも飲んで待っていて」と言ってお茶を出してみたり、お菓子などの軽食を出すのもアリ。お茶を飲んだりお菓子を食べたりしている間に「食べていない」と言っていたことを忘れてしまうこともありますよ。 そういう対応もあるんですね。私は「さっき食べたでしょ!」と怒鳴ってしまっていました。 食事の度に口論になると、木村さんも疲れますよね。なので、さっきの方法に加えて、「食器をすぐに片付けない」という方法も試してみてください。 なぜ、食器を片付けないことが良い方法なんですか? あえてお皿やコップを食卓に広げたままにしておいて、「食事はもう終わったんだな」と納得してもらうんです。食べたことを忘れないようにするんですね。 過食につながることも 最近は、夜になると台所でパンやお惣菜を見つけては大量に食べてしまって。太ってきているのも悩みなんです。 それもやはり、食べたことを忘れていることが原因かも。それに加えて、認知症の影響で満腹感を覚えにくくなるため、たくさん食べてしまうんです。こういう状況のことを「過食」と呼びます。 過食の場合は、どうしたら良いんでしょうか? この場合も、お母様の行動を否定して、食べ物を無理やり取り上げたりすべての食べ物を隠すようなことはしない方が良いです。 食べ過ぎているのに、食べさせて良いんですか? やはり、もっと不安になってしまうんですよ。「お腹が空いた」と言って夜中に食べ物を探す場合は、すぐに食べられるように机の上などあえて目のつくところに軽食を置いておくのもひとつの手。あわせて、それ以外の物を箱に入れて隠したり棚などに鍵をかけて、必要以上に食べられないようにしておけば過食も予防できますよ。 認知症になると「エピソード記憶」を忘れてしまう 「ご飯を食べていない」を否定しない あえて軽食を置いておくのもアリ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...
2022/07/01
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。