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認知症の母親が、顔つきが無表情でしゃべらず怖いです。認知症によるものですか?

認知症の母と同居しています。最近、母の反応が薄くなり、顔も能面のように無表情です。私が何を言っても反応がほとんどなく、言葉を理解しているのかもわかりません。 これは認知症の症状のひとつなのでしょうか? (丸山さん・パート・59歳) おそらく認知症によるものでしょう。認知症になると、抑うつ状態になったり、無気力状態である「アパシー」になることがあります。さらに、高齢になると人に接する機会が減って脳への刺激が減少する傾向があるのでそうしたことが原因かもしれません。デイサービスを利用するなど、お母様が人とコミュニケーションを取る機会を増やしてみてはどうでしょうか? 顔つきが怖い…認知症のせい? 認知症の母の介護をしています。最近、母の顔が怖いというか、能面のように無表情なんです。もともと明るい方ではありませんでしたが、少し前まではテレビを見てよく笑っていました。でも、この1ヵ月くらいはそれもないんです。これは、認知症の進行によるものなんでしょうか? おそらく、そうだと思います。認知症の症状は個人差が大きいですが、急に進行することもあるんですよ。 どうして無表情になってしまったんでしょう?もちろん、前から物忘れが激しいなどの認知症の症状はありましたが、今は私の言葉にも無反応なんです。私の話を理解できているのかもわからないし…。 認知症の人が、無表情・無反応になってしまう理由はいくつかあります。例えば、以下のようなことですね。 外部からの刺激が減る 抑うつ状態になる アパシーになる 認知症の人に限らず、介護が必要になると、どうしても1日の流れが同じになってしまいます。起床、食事、排泄、入浴…と日常の中の出来事が単調になりますよね。そのため、脳への刺激が少なくなって、脳の機能が低下してしまうんです。 そうなんですね…。母も1人では出かけられないのでずっと家にいますし、毎日、同じことの繰り返しになっています。 やはり、そうなってしまいますよね。そのうえ、認知症の行動・心理症状(BPSD)である抑うつ状態になることもあります。 「抑うつ状態」ってうつ病ということですか? 基本的な症状は同じですが、一般的には抑うつ状態の方がうつ病よりも軽い状態を指します。認知症の人の場合、認知症によってこれまで当たり前にできていたことができなくなったり、できないことで周囲に迷惑をかけていると感じることで抑うつ状態になります。すると、物事に無関心になり、無表情になってしまうんですね。 うーん、抑うつ状態なのかはよくわからないですね…。その次の「アパシー」ってどんな状態ですか? アパシーは抑うつ状態と似ているんですが、すべてのことに無関心な状態です。抑うつ状態が気持ちが暗くなって落ち込むのに対して、アパシーは落ち込むことはありません。気持ちが明るくも暗くもならないフラットな状態なんですね。ただ抑うつ状態もアパシーも、意欲がなくなったり関心が薄くなる点は共通しています。 無気力(アパシー)とは 無気力(アパシー)とは、自分から何かをしたいという自発性や意欲が著しく低下した状態のこと。名前のとおり、無気力で何に対してもやる気が起きない状態を指します。 例えば、歯磨きや着替え、入浴など普段の生活で何気なくおこなっていることを面倒くさがるようになる、外出が減って家にこもりがちになる、といったケースとして現れます。 暴力や徘徊などの目に見える症状とは違って、介護をしていても変化に気づきにくいので、進行を見逃しやすいBPSDでもあります。 無気力(アパシー)の対応方法 無気力(アパシー)が見られる時は、規則正しい生活で普段から“〜したい”という意欲を刺激すると同時に、定期的に外出する機会を設けて気分転換を図りましょう。また、無気力(アパシー)は認知症治療薬による投薬効果が認められています。ただし、人や状態によっては副作用が強く出る恐れもあるので、必ず主治医か専門医に相談しましょう。 認知症の人の表情の特徴は 認知症が進行すると、多くの人が共通した特徴の表情になることがわかっています。近年ではこの共通点を利用して、表情だけで認知症をチェックする技術も研究されているほどです。 表情だけでわかるんですか!?それはどんな特徴ですか? やはり個人差はありますが、主な特徴は以下のようなものです。 ぼんやりしている 表情が乏しくなる 無理に笑っている 悲しそう、表情が暗い 無表情 目つきが変わる 顔色が悪い 顔がたれる 口角に力がなくなる 「表情が乏しくなる」「表情が暗い」など、いくつか当てはまっているものがありますね…。この「目つきが変わる」というのは、具体的にはどういうことですか? 目に生気がなくなって、常に眠たそうな雰囲気になるんです。ただその一方で、目つきが険しくなって、常に怒っているような表情になる人もいます。 本当に個人差があるんですね。 それに、長期間にわたって笑ったりすることがなくなると、顔の筋肉が衰えて顔がたれることも。そのため、急に老けたように見える場合もあります。 えっ、そうなったらちょっとショックかも…。 認知症の人が無表情にならないために 母は今、まったくの無表情で無関心、という感じですが、これから少しでも表情を明るくすることはできるでしょうか? そうですね、無表情だけでなく認知症の症状全体にも共通することですが、接し方を工夫することで、症状が改善することがあります。 そうなんですか!いったいどんなことをすれば良いんですか? いろんな方法がありますが、主な認知症の人への対応方法をまとめました。 難しい文章、言葉を使わない ペースを合わせる 声の高さ 非言語コミュニケーションを増やす できるだけ自分でやる 人に接する機会を持つ 昔の話を聴く 認知症の人は脳の処理能力が低下していますから、難しい言葉が理解しにくくなっています。そのため、簡単な言葉を選んで話しましょう。同様に、話が早いと理解ができず、反応できないことがあります。ゆっくりと話しかけてみてください。 そうか、話が理解できないから反応できないということもあるわけですね。 おっしゃる通りです。加えて、言葉が聞き取れていないケースも。加齢とともに聴力が衰えていき、特に高音が聞き取りにくくなります。低く落ち着いた声の方がご高齢者に聞き取りやすくなりますよ。 それは知らなかったです!耳が遠くなっているのは感じていましたが、もしかしたら私の高い声は聞こえにくいのかも。 こうやってコミュニケーションを取りやすくすることに加えて、外部の人との交流する機会があると、脳には良い刺激になります。今、お母様はデイサービスやショートステイは利用されていますか? いえ、あまり人と話すのは得意な人ではなくて。高齢になってからそれが強くなったので、訪問介護しか使っていません。やっぱり、デイサービスやショートステイで、他の人と交流した方が良いですよね? そうですね、お母様が嫌がるのであれば、むしろストレスになってしまうのでやめた方が良いですが…。ただ、ご家族だけでなく、外部の人と関わることは脳への刺激になります。認知症カフェや趣味の集まりなど、無理のない程度で交流の機会を作ってみてください。 うーん、母でも参加できそうなものに連れ出してみようと思います。…あと、「昔の話を聴く」というのはどういうことですか? これは、認知症の心理療法のひとつの「回想法」と呼ばれるものです。認知症の人に昔話や体験談を話してもらうんです。認知症の人は、直近のことはすぐに忘れてしまいますが、昔のことはよく覚えています。昔の楽しかった思い出を語ってもらって、そのときの気持ちも思い出してもらうんですね。回想法を繰り返すことによって、自信が回復したりいきいきと暮らせるケースもたくさんありますよ。 へー!昔話ならすぐにできるし、やってみようかな。 はい、ぜひやってみてください。そのときに、昔の写真や思い出の品を用意すると昔を思い出すきっかけになって、話もはずみやすいですよ。認知症になると、脳の機能低下によって昔と様子が大きく変わることが多々あります。でも、そうした症状を受け止めながら上手く認知症と付き合っていってくださいね。 刺激が減ったり、抑うつ状態になると無表情になることがある 表情が乏しくなると同時に無気力状態になることも多い 簡単な言葉で声掛けをしたり、人と交流する機会を増やすと良いかも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...

2022/09/30

在宅介護 認知症介護 デイサービス

デイサービスのお迎えの時間が遅く、仕事に間に合いません。朝の送り出しはどうしたら良いですか?

父のデイサービスのお迎えの時間が遅くなり、私の会社の始業時間に間に合わず、何度か遅刻しています。会社に相談したものの、対応してもらえないので退職も検討しているのですが、何か良い解決策はないでしょうか? (上田さん・59歳・会社員) デイサービスの送り出しに訪問介護サービスを利用してみてはどうでしょうか?デイサービスの朝夕の送迎には、必ずしもご家族がいなくてはいけないというわけではありません。デイサービスに伝えておけば訪問ヘルパーさんが送り出しをしても問題ないですよ。仕事を退職をしなくて済むように、介護サービスを活用していきましょう! デイサービスの送り出しに訪問介護を利用できる! 他の利用者さんとの兼ね合いで、最近、父のデイサービスのお迎えが遅くなってしまいました。そのため、私の会社の始業時間に間に合わなくなってすでに何度か遅刻しています。会社にも相談しても勤務時間の調整はできないみたいで…。もう、仕事を辞めた方が良いのかな…。 仕事を辞めるのは待ってください!介護サービスをうまく組み合わせることで、介護と仕事の両立はできるんです! そう言われても、どうしたら良いのかわかりません…。 例えばデイサービスがある日は、朝に訪問介護サービスを利用するのはどうでしょうか?訪問ヘルパーさんにデイサービスに行くための支度を手伝ってもらうんです。 そんなこともヘルパーさんにお願いできるんですか?うちの父は、軽度の認知症があるので着替えやトイレの声掛け、食事の見守りが必要です。それに、食後の薬をきちんと飲んだか確認もしなければいけません。それも頼めるんですか? はい、もちろんです!例えば、訪問介護サービスで依頼できることには以下のような内容があります。 排泄介助 食事介助 服薬介助 身体整容 更衣介助 荷物の準備 玄関までの誘導 いろんなことをしてくれるんですね。この「身体整容」というのは何ですか? 洗顔や歯磨き、ひげそりなどの身だしなみを整えることです。認知症が進行したり加齢によって身体が上手く動かせなくなると、身だしなみがおろそかになりがち。そこで、ヘルパーさんにチェックしてもらったり、身なりを整えてもらうことで生活の意欲もアップするんです。 父はよく寝癖がついたままデイサービスに行ってしまうので、それもヘルパーさんにチェックしてもらった方が良いかもしれません(笑) 介護離職をしないために 父のお風呂や食事の世話をしてもらって私の負担を減らすためにデイサービスを利用し始めたのに、そのデイサービスが負担になっていました。北野室長の言う通り、介護サービスを上手く組み合わせれば仕事を辞めなくても済みそうです。 上田さんのように、介護の負担が大きくなって退職を考える方は多くいらっしゃいます。でも、実は仕事を辞めたからといって負担が大きく減るかと言うとそうでもないんです。 どういうことですか? 次の図を見てください。この調査結果によると、介護離職をした人の多くが離職前に比べて負担が増したと回答しています。 本当だ…。それに、やっぱり仕事を辞めると経済面での負担が大きくなるんですね。 そうなんです。仕事を辞めると収入が減るのはもちろんのこと、社会とのつながりがなくなってしまいます。「介護に集中できる」と言うと聞こえが良いですが、生活が”介護だけ”になってしまって自分の時間がなくなる可能性があります。そうなると、精神的な負担も大きくなって「介護疲れ」「介護うつ」になる危険性もあるんです。 「介護うつ」ってニュース番組で見たことがあります。 介護うつや介護疲れが原因となって起きた悲しい事件もありますから、介護うつ・介護疲れを防ぐためにも、介護サービスを上手く活用してくださいね。 デイサービスの送り出し時に訪問介護サービスを利用できる! 訪問介護で食事介助、着替え介助、荷物の準備も対応してもらえる 介護離職をしないために、うまく介護サービスを活用しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/09/29

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の母の過食が止まりません。買い置きの食品も食べてしまうので、困っています

認知症の母の過食が止められずに困っています。日中、家で1人になると買い置きのパンやお菓子などを勝手に食べてしまいます。食べ過ぎを止めさせる対策はあるでしょうか? (内田さん・パート・61歳) 認知症の人は「食べたこと自体」を忘れてしまっているケースが多いんです。そのため、食事が終わっても食器を片付けずに残しておいて、「食事がもう終わった」と意識付けをすると過食が減ることがあります。それでも食べ物を欲しがる場合は、お菓子などの軽食を渡して「食べたい」という気持ちを解消するのもひとつの方法です。 認知症で過食してしまう理由は? 認知症の母の過食で困っています。つい最近まではそんなことはなかったんですが、冷蔵庫や棚にしまっておいた買い置きのお菓子やパンを食べてしまうようになりました。明らかに食べ過ぎなので、止めるように言うんですが、全く聞く耳を持たなくて…。朝・昼・夕ときちんと食事をしているのに、どうしてこんなに食べてしまうんでしょう? おそらく、認知症の影響でしょうね…。というのも、過食は認知症の周辺症状のひとつなんです。 周辺症状って何ですか? 認知症の典型的な症状である「中核症状」によって引き起こされる症状のことです。「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれます。認知症の症状については、以下のご質問で詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 お母様の場合、認知症の記憶障害の症状の影響で食事をしたこと自体を忘れてしまっている可能性があります。それで「まだ食事をしていない」と考えて買い置きの食品を食べてしまっているかもしれません。 そうなんです!食事をして少し経つと「ごはんはまだ?」と聞いてきます。「さっき食べたでしょ」と言うんですが、それでも「お腹が空いた」と言って納得しなくて…。 記憶障害の特徴として、「体験したことを丸ごと忘れる」ということがあります。そのため「さっき食べたよ」と言っても、ご本人の中にはその記憶がないので納得できないんですね。 そうだったんですね…。でも、記憶になくても食事をしたことには変わりありませんよね?だったら「お腹が空いた」と感じないんじゃないですか? それも、認知症が関係しています。認知症になると満腹中枢が上手く機能しなくなります。そのせいで食べても満足感が得られず、空腹を感じてしまうんです。合わせて食事した記憶がないわけですから「まだごはんを食べていない」と考えてしまうわけです。 認知症になるとお腹いっぱいになりにくいんですね。知らなかった…。 でも、認知症の人の過食は一時的なケースが多いです。次第に食欲は落ち着いていきますし、体力が落ちることで食欲も落ちていくことが多いですよ。食べられる元気がある、と前向きにとらえるのも良いかもしれません。 認知症による過食の対応策は? 母の過食の理由はわかりましたが、だからといって、健康のことを考えると今のままたくさん食べ続けるのが良いとは思えません。過食を抑える方法はないですか? いくつかあります。例えば、食器をすぐに片付けないこと。食後にすぐに食器を下げずにしばらく食卓に残しておくんです。それによって「食事は済んだ」と意識付けになります。あわせて、食後にお茶を飲みながらおしゃべりすると、食卓についていた記憶が残りやすいので「ごはんを食べていない」と感じにくくなると思います。 そんな手があったんですね!簡単なので、今日からやってみます。…でも、母の場合、それでも「何か食べたい」と言い出すような気がします。どうしたら良いですか? そういうときは、もう食べ物を渡しちゃいましょう! えぇ!?食べさせちゃうんですか! はい。お母様の「食べたい」という気持ちを否定することで、余計にその気持ちが強くなる可能性がありますから。お菓子やおにぎりなどを渡して食べたい気持ちを解消してもらうんです。もし食べ過ぎになりそうだったら、1回の食事の量を減らして、こまめに食事をするようにするものアリ。「食べたい」と言い出すのを前提で食事を用意するんですね。 なるほど…。確かにそれは良い方法かもしれません。 あと、お母様はしまっておいた買い置きの食品を食べてしまうとおっしゃってましたよね? そうなんです!うちは夫や娘も同居しているので、買い置きをしないわけにはいかなくて。すぐに食べられるパンやお菓子とかは、母に食べられてしまいます。 となると、冷蔵庫や棚に鍵をつけるのはどうでしょうか?後付けできる鍵が売ってますので、それで開けられないようにしておくと過食を防げるかもしれません。 冷蔵庫や棚の鍵があるんですね。試してみようかな…。 認知症の人の過食は、記憶障害による「食べられない」という不安感が大きな原因です。食事は生きるために必須のことですから、否定してしまうと余計にその不安感が大きくなって状況が悪化することもありえます。食事は生活の大きな割合を占めることですから、過食にうまく対応できると介護の負担が大きく減ります。なので、まずはお母様の気持ちを否定せずに耳を傾けるだけでも、介護の負担が軽くなると思いますよ。 過食は、認知症によって食事したこと自体を忘れたり満腹を感じにくくなっていることが原因 食器をすぐに片付けない、軽食を渡す、冷蔵庫や棚に鍵をかけるなどの対応策がある 認知症の人の言葉を否定すると、不安になって余計に症状が悪化することもあるので要注意 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/09/28

認知症対策 在宅介護 認知症介護 認知症予防

認知症の検査は病院の何科で受けられますか?父が認知症かもしれないのですが、どの病院に行ったら良いのかがわかりません

最近、同じことを何度も聞いたりぼーっとしていることが増えたり、父の様子がおかしいです。父は認知症になってしまったのではないかと不安になっています。どんな状態だと認知症の検査を受けるべきですか?また、検査を受けるには病院は何科を受診すれば良いのでしょうか? (工藤さん・自営業・62歳) 例えば、「ぼーっとしていることが多くなった」「同じ話をするようになった」「お金の管理ができなくなった」など今までと変わった様子があったら、認知症の検査を検討してください。検査は、精神科、脳神経内科、脳神経外科、老年科などいろんな診療科で対応していますので、まずはかかりつけ医に相談してみるのが良いでしょう。状況に合わせた病院を教えてくれると思いますよ。 どんな様子だと認知症の検査を受けるべき? 認知症の検査ってありますよね。あれってどんな様子がある場合に受けるべきなんでしょうか?最近、父の様子がおかしくて、もしかしたら認知症かもしれないと考えていて…。 そうですね…。認知症の初期症状のような様子があれば、一度、病院で検査を受けてみても良いかもしれません。例えば、「同じことを何回も尋ねる」「よく捜し物をする」「趣味や社会活動をやめた」「怒りっぽくなった」「お金の管理ができなくなった」などが認知症の初期症状に当てはまります。認知症については、こちらのご質問でも回答しているので、ぜひ参考にしてみてください。 父は何度も同じことを聞くようになりました。それに、老人会の集まりにも行かなくなったし…。なんだか気力がなくて、ぼーっとしているんです。でも、一時的に気持ちが落ち込んでいるだけなのかと思っていたのですが、認知症でもそういう症状があるんですね。でも、なかなか認知症という確信が持てなくて、検査を受けさせるか迷っています。 そうですよね…。なかなか決意できないところだと思います。受診のきっかけとして、自分でできるチェックリストを活用してみるのも良いかもしれません。東京都の福祉保健局が以下のようなすぐにできるチェックリストを公開しているので、その結果を見てから検査を受けてみるのはどうでしょうか? こういうチェックリストがあるんですね!試しにやってみます。 認知症は何科を受診すれば良い? もし、認知症の検査を受ける場合、病院は何科を受けたら良いんでしょうか? 認知症の検査を受けられる診療科は、精神科、脳神経内科、脳神経外科、心療内科、老年科などさまざまあります。それぞれの診療科で得意な検査方法や治療方法を生かして診療しているんです。例えば、精神科では認知症の二次的な症状である「行動・心理症状(BPSD)」に対応しています。BPSDは、認知症の症状によって気持ちが不安になっているときに強く出やすいので、精神科では気持ちを安心させる治療をおこなうんですね。 認知症の症状についても精神科で対応しているんですね、知らなかったです。 あと、認知症は脳に関わる病気ですので、脳神経内科や脳神経外科といった診療科でも検査を受けられます。脳神経内科や脳神経外科ではMRIやCTという画像検査を受けられます。合わせて脳や脊髄の異常による身体の麻痺や認知機能の低下にも対応。認知症のような症状の原因が脳や脊髄にある場合は脳神経外科で治療すると良いでしょう。 なるほど…。あと、老年科というのは何ですか?なんだか漠然とした名前ですが…。 そうですね、老年化はご高齢者の健康の悩み全般に対応している診療科です。認知症はもちろん、骨粗しょう症、加齢によって筋力が低下した状態であるフレイルなどの身体の健康にも対応しています。認知症かどうか判断がつかないときには、老年科を受診してみるのも良いかもしれないですね。 うーん、認知症の検査や治療は、いろんなところでできるんですね。逆にどこに受診したら良いのか悩みます。 そうですよね。そういうときは、まずかかりつけ医に相談してみてください。お父様の普段の様子をよく把握しているでしょうから、状況に合った病院を紹介してくれると思いますよ。 病院を受診するのを拒否されたら… 認知症の検査をするにあたって、もうひとつ心配なことがあって…。父に「認知症の検査に行こう」と言っても、素直に検査を受けてくれないと思うんです。きっと嫌がりますし、無理やり連れて行くしかないんでしょうか? 無理に受診するのは、おすすめできません。というのも、無理やり連れて行くと不安が強くなってしまって、継続的に受診できない可能性が高いです。認知症は、検査はして終わりではなく長期的に治療が必要な病気です。今後の治療のことも考えて、じっくり説得していきましょう。 「じっくり説得」と言っても、どうすれば良いんでしょう?父は頑固な人なので、一度「嫌だ」と言ったらなかなか首を縦に振らないと思います。 それなら、伝え方に気をつける必要がありますね。例えば「認知症かもしれない」とストレートに言ってしまうと、傷つけられて検査を拒否されてしまうことが考えられます。なので、「予防のために、みんな早めに検査しているみたいだよ」とか「健康診断として行ってみよう」といった言い方で伝えてみると進んで検査を受けてくれるかもしれません。 そうですね。試しに「健康診断に行ってみよう」と言ってみます。 あとは、他のご家族から勧めてもらうのもひとつの手。実の娘さんや息子さんが説得しても聞かなかったのに、義理の娘さん・義理の息子さんから伝えたら上手くいったというケースもあります。それでも難しい場合には、担当のケアマネジャーさんやかかりつけ医から勧めてもらうのも良いでしょう。専門家から検査を勧められると、スムーズに話が進むこともありますよ。 認知症の検査はどんなものがある? 先ほど、MRIやCTの話がありましたが、認知症の検査って具体的にはどんなことをするんですか? 認知症の検査には、「神経心理学検査」「脳画像検査」の2種類があります。MRIやCTは、脳画像検査の方ですね。主な認知症の検査には、以下のようなものがあります。 改定長谷川式認知症スケール ミニメンタルステート検査(MMSE) 時計描写テスト(CDT) 脳画像検査 脳の状態をみる検査(CT、MRI) 脳の働きをみる検査(SPECT) 神経心理学検査というのは、医師の質問や計算などの簡単な作業をすることで認知機能を測定するものです。神経心理学検査でよく実施されているものに、「改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」があります。この検査では、日付や場所などについて答えたり、単語の記憶などで記憶能力などを調べます。他にも、正しく時計を描けるかを調べる「時計描画テスト(CDT)」など、認知機能を調べる検査にはいろんな種類があります。 ひとくちに「認知症検査」と言っても、そんなにいろんな種類があるんですね。 そうなんです。受ける検査によっても多少変わることもありますが、検査は以下のような流れで進みます。 面談・問診(診察) 身体検査 神経心理学検査 脳画像検査 診断 認知症の検査以外に、身体検査もするんですね。 はい。他の病気の可能性も考えて、血液検査やレントゲン検査、心電図検査などもおこなうんです。こうした身体全体の健康状態を確認して、これからの介護や医療の方針を決めるわけですね。さまざまな検査をおこない、後日、医師から結果が伝えられます。診断結果を聞くときには、できればご家族も同行してください。というのも、「認知症」と聞いたショックで医師の説明が頭に入らないということもあるんです。医師からは、今後の介護のアドバイスなどの重要なことも伝えられるので、ご家族も一緒に診断結果を聞くように予定を空けておいてください。 確かに…。私も改めて認知症と診断が下りたらショックを受けそうです。しっかり心の準備をしてから、受診したいと思います。 もし、認知症であってもご自身を責める必要はまったくありません。むしろ、早いタイミングでわかったことで、お父様やご家族の生活の見直しをする時間ができた、ととらえる方が気持ちも明るくいられると思いますよ。 同じことを何度も話す、お金の管理ができなくなったなど「様子が違うな」と思ったら早めに検査を 認知症の検査は精神科、脳神経内科、脳神経外科、老年科などで受けられる 検査を拒否されても、無理やりはNG!別の人から伝えたりすると検査を受けてくれるかも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2022/09/27

認知症対策 在宅介護 認知症介護 介護の基礎知識

最近、母のもの忘れが激しく、認知症になってしまったのではないかと不安です。どんな症状があると認知症なのでしょうか?

母が認知症になってしまったのではないかと心配です。具体的には、ちょっと前に話したことを忘れて何度も同じ質問をしてきたり、エアコンやテレビのリモコンの操作ができなくなりました。先日は、財布をどこにしまったのかわからなくなって家中を探し回りました。どんな症状があると認知症なんでしょうか? (原さん・会社員・59歳) 認知症の代表的な症状には、「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」などがあります。新しいことを覚えられなくなったり、時間や今いる場所がわからなくなるなどの症状があります。もし当てはまるようでしたら、早めに病院で検査を受けてください。 認知症とはどんな症状が出る? 一緒に住んでいる母の様子が最近おかしいんです。急にテレビやエアコンのリモコンの操作ができなくなったり、同じことを何度も聞かれることも増えました。これまでそんなことなかったのですが、母は認知症になってしまったのでしょうか。それとも年相応の衰えですか? うーん、病院で検査をしてみないと何とも言えませんが、認知症の可能性はかなり高いですね。 やっぱり…。そもそも、認知症と年相応の物忘れは何が違うんですか? そうですね、数日前の食事の内容を忘れてしまったり、スーパーに来て「何を買うべきか忘れた」ということは、誰にでもありますよね。これは物忘れです。一方で、認知症は「食事をしたこと自体を忘れる」「スーパーが何をするところかを忘れる」といった症状がありますね。加齢による物忘れと認知症による物忘れの違いを以下の表でまとめてみました。 加齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ体験した記憶一部を忘れるすべてを忘れている学習能力維持されている新しいことを覚えられないもの忘れの自覚あるなくなる時間や場所見当がつく見当がつかない探し物に対して(自分で)努力して見つけられるいつも探し物をしている誰かが盗ったなどと他人のせいにすることがある症状の進行極めて徐々に進行進行する 認知症の症状 認知症って具体的にはどんな症状があるんでしょうか?「いろんなことを忘れてしまう」というのは何となくわかるのですが…。 認知症の症状は、大きく分けて2つあります。認知症の典型的な症状である「中核症状」とそれによって引き起こされる「行動・心理症状(BPSD)」ですね。中核症状は、認知症を発症した人のほとんどに現れるのに対して、BPSDは個人差が大きいのが特徴です。ある症状は顕著に現れていても、別の症状はまったく現れないということもよくあります。中核症状とBPSDについては、以下の通りです。 中核症状 記憶障害 見当識障害 実行機能障害 理解・判断力障害 行動・心理症状(BPSD) 幻覚や妄想 攻撃的な言動 徘徊 うーん、見慣れない言葉が多いですね。「見当識障害」というのは何ですか? 今いる場所や時刻がわからなくなる症状です。症状が進行すると家族や友人などの親しい人の顔がわからなくなることもあります。 「久しぶりに会ったら、孫や子どもの顔がわからなくなった」というのを聞いたことがあります。そういう症状ですか? そうです。それ症状も見当識障害ですね。あと「実行機能障害」も耳慣れない言葉ですよね。実行機能障害とは、物事を順序立てて考えたり、計画を立てる能力が低下すること。この能力が低下すると、料理の段取りが立てられなくなって調理ができなくなったりします。 もともと、ここ何年かは母に料理をさせていないのでわかりませんが…。そういった症状も出ているかもしれないんですね。 また、先ほどBPSDは中核症状によって引き起こされると言いましたよね。これは、中核症状である記憶障害や見当識障害によって、「徘徊」や「暴言」といった症状が出る、ということなんです。 どういうことですか?よくわかりません。 例えば徘徊の例を挙げると、見当識障害によって自宅にいるのに自分がどこにいるのかわからなくなって家から出ていってしまい、歩いている間に記憶障害によって何のために歩いているのかを忘れてしまう、といった具合です。 なるほど…。認知症の人はわけも分からず歩き回っているのかと思ったら、きちんと理由があるんですね。 そうなんです。BPSDの徘徊や暴力、妄想といった症状は、周囲の人から見れば問題行動になってしまいますが、ご本人にとっては理由のある行動なんですね。 それと…「異食」というのは何ですか? 異食は、食べ物ではないものを食べることです。食べ物とそうでない物の区別がつかなくなって、口に入れてしまうんですね。特に、乾電池などの小さな物は飲み込んでしまう危険性があるので注意が必要ですね。 認知症でそんな症状も現れるんですね…。 先ほどもお伝えした通り、BPSDは個人差が大きいです。症状の現れ方もそうですし、「異食はしないけど、暴言がある」といった風に症状の有無も人それぞれです。なので、認知症の人には一人ひとりに合わせたケアが必要なんですね。 認知症はどうやって検査する? さっき、認知症かどうかは病院で検査しないとわからない、と言っていましたよね。認知症の検査はどんなことをするんでしょうか? 認知症の検査はさまざまな種類があり、それによって検査の内容が大きく異なります。一般的な検査方法は以下の通りです。 改定長谷川式認知症スケール ミニメンタルステート検査(MMSE) 時計描写テスト(CDT) 脳画像検査 脳の状態をみる検査(CT、MRI) 脳の働きをみる検査(SPECT) よく知られているのは「改定 長谷川式認知症スケール」という検査方法です。これは、医師によって口頭で質問していく方式で、10~15分で終わります。記憶力や計算力を確かめたり、その日の日付について質問されます。基本的な検査ではありますが、耳が遠い人は聞き取れなくて結果が悪くなったり、病院や医師の前で緊張してうまく答えられない人もいるようです。 母も、慣れている先生だったら良いけど、初めての病院だと緊張するかもしれません。 あとは、脳を機械で読み取って血流や萎縮度合いをみる検査もあります。CTやMRIなどの検査は、認知症以外の病気でも利用されているので聞いたことはあると思います。 母の状態を考えると認知症の検査をした方が良いとは思うんですけど、母が了解してくれるとは思えなくて。病院にすら行ってくれないと思うんですよね。 そういう方は結構いるんですよ。なので、「認知症の検査」とは言わずに「ただの健康診断」と伝えて受診するとうまくいくかもしれませんよ。 認知症の人への対応 もし、母が認知症とわかったとして、うまく介護できるか心配です。認知症の親を介護する友人は「ご飯を食べてくれない」「お風呂に入るのを嫌がる」と言っていて、とても大変そうです…。 はい、おっしゃる通り、認知症の人の介護は大変です。日常生活をサポートするだけなく、認知症の症状にも対応していかなければいけないので、負担が大きくなる傾向にあるのが実情です。ただ、先ほどもお話ししたように、認知症の人の行動には理由があります。ただ、その理由が一人ひとり異なるので、その理由を見つけるのが大変なんですが…。 そうなんですね…。 ご友人が言っていたように、認知症の人に介助を拒否されてしまうことはよくあることなんです。介護拒否には主に以下のようなケースがあります。 食事の拒否 服薬の拒否 入浴の拒否 着替えの拒否 排泄の拒否 外出の拒否 「排泄の拒否」なんてあるんですね!お手洗いは自然と行きたくなるものだと思うのですが…。 認知症によって、「お手洗いに行きたい」という感覚がなくなってしまうこともあるんです。でも、排泄はしないといけませんからお手洗いに誘導すると「トイレには行きたくない」と言われることもあるんですね。ただ、ここで無理やりトイレに連れて行ってしまうと状況が悪化してしまうことも。それ自体の記憶がなくなってもトイレに対する嫌な感情だけ残り、さらに排泄の拒否が強くなってしまうケースもあります。 へー、記憶はなくても感情は覚えているんですね。では、どうしたら良いんですか? お手洗いに関わらず、介護に対して拒否をされたら時間を置いて介助するのもひとつの手。ご本人の話に合わせているうちに気持ちが落ち着くことが多いので、落ち着いた頃を見計らって再びケアをするとうまくいくこともありますよ。 認知症の治療法は 認知症の親の介護をしている友人から聞いたのですが、認知症は薬で治療するんですよね。どんな薬で治療するんですか? その人の状態に合わせて、症状を緩和する薬を使います。例えば、中核症状を改善するために認知機能改善薬や抗認知症薬などが使われています。 症状を緩和するだけなんですか?認知症の治療はしないんですか? 実は、認知症を根本から治す薬はまだ発明されていないんです。なので、症状を緩和したり進行を遅らせる薬が使われています。 そうなんですね!てっきり、薬を飲んでいれば少しずつ治っていくものだと思っていました。 薬を服用することである程度は症状のコントロールができますから、症状が軽くなるという意味では治療と言えますね。また、合わせて薬を使わないリハビリもおこなうとさらに効果があるとされています。具体的には、ウォーキングなどで身体を動かす運動療法や、歌ったり楽器を演奏する音楽療法などさまざまな治療法がありますよ。 へぇ、薬を使わない方法もあるんですね。ウォーキングとかなら自宅でもできるかな。 そうですね、運動以外にも家事や買い物なども立派なリハビリになります。手先を使ったり、外に出ていろんなことを体験することが脳の刺激になりますから。お母様の様子が変わってしまったのはとても心配ですから、まずは病院で検査をしてみて、その後どんな対応をするべきか医師と相談してくださいね。 3大認知症には、アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型がある 症状は、典型的なものである中核症状と、その影響で現れる行動・心理症状に分けられる 認知症の根本治療薬はない。症状を抑える薬物療法やリハビリなどの非薬物療法がおこなわれている pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2022/09/21

認知症対策 認知症介護 介護の基礎知識

先日、父がレビー小体型認知症と診断されて、これから症状が進行したらどうなってしまうのか不安です

つい最近、父がレビー小体型認知症と診断されました。「部屋の中に誰か立っている」などおかしな発言をすることが増え、どう対応したら良いのかわからず困っています。また、今後、症状が進行したらどのようになってしまうのでしょうか? (石田さん・パート・61歳) お父様の言葉は、レビー小体型認知症の代表的な症状のひとつの「幻視」によるものだと思います。ご本人は周りの人には見えていないことで混乱することもあるので、その言葉を否定しないことが大切です。また、症状が進むと身体介護が必要な場面が増えるので、在宅介護では難しくなることも。その場合は、老人ホームに入居することも検討してみてください。 レビー小体型認知症とは?症状は? 先日、同居している父がレビー小体型認知症と診断されました。そもそも、レビー小体型認知症というのはどんな認知症なんでしょうか?一般的な認知症とは違うんですか? レビー小体型認知症は、複数ある認知症の中のひとつです。他にも、「アルツハイマー病」とも呼ばれるアルツハイマー型認知症や、脳梗塞などが原因で発症する脳血管性認知症と合わせて「三大認知症」と言われることもあります。レビー小体型認知症の発症は、脳に「レビー小体」という異常なタンパク質が出現して、神経細胞を破壊することが原因とされています。 アルツハイマー病というのは、聞いたことがあります。レビー小体型認知症はアルツハイマー病とはどう違うのでしょうか? 大きな違いは症状でしょうか。もちろん、レビー小体型認知症にもアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と共通した症状はあります。が、それ以外に特徴的な症状があるので、詳しくお話ししていきますね。 症状はどのように進行していく? レビー小体型認知症の症状は、進行状態によって現れるものが変わります。各時期に現れる症状は以下のようなものがあります。 初期症状 パーキンソン症状 幻覚・幻聴 自律神経症状 レム睡眠行動障害 中期症状 認知機能障害 後期症状 パーキンソン症状が悪化し転倒しやすくなる 自律神経症状によるふらつきや立ちくらみが増える 嚥下機能が低下 うーん、パッと見ただけではどんな症状なのかよくわからないですね…。 そうですよね、初期段階で現れる「パーキンソン症状」は、レビー小体型認知症の特有の症状のひとつです。手足の震えや動きが遅くなったり、筋肉がこわばったりすることで身体の動きが悪くなって転倒しやすくなります。 ああ、確かに父も手足の震えがあります。あと、足が前に出にくくなったのか、歩幅が狭くなった気がします。 歩幅が狭くなるのもパーキンソン症状によるものです。また、歩き出したら急に止まれなくなって壁や物にぶつかってしまうこともあるので、お父様の歩行状態にはよく注意してあげてください。その次に「幻覚」もレビー小体型認知症の特有の症状。他の人に見えていないものが見えてしまう症状です。加えて、床に落ちているゴミが虫に見えたり、ハンガーにかけた服が人に見えたりする「錯視」、聞こえない音や声が聞こえる「幻聴」といった症状が出ることもあります。 父が「部屋の中に誰か立っている」と言っていたのは、幻視だったんですね。他にも、「壁に虫が這っている」と言うこともあって、よくわからず怖かったです。 お父様以外には見えていないものが見えているわけですからね、石田さんが怖いと感じることも無理もないですよ。ただ、これはレビー小体型認知症の症状なので、怖がらずに見守ってくださいね。また、レビー小体型認知症では自律神経のバランスが崩れることで、便秘や尿失禁、身体のだるさなどが現れることがあります。さらに、立ち上がったときや身体を起こしたときにめまいがする「起立性低血圧」を引き起こすことも。これは、悪化すると失神による転倒につながるケースもあるので、注意が必要です。 それは怖いですね。父は今のところめまいは起こしていなさそうですが、気をつけておきます。 もうひとつ気をつけていただきたいのが、最後の「レム睡眠行動障害」です。これは、浅い眠りである「レム睡眠」の間に怖い夢を見てしまい、大声を出したり暴れたりする症状のこと。物や壁に身体をぶつけて怪我をしてしまう可能性があります。 寝ているときに暴れるんですか!これも怖いですね…。 そうなんですが、レビー小体型認知症の症状なのでどうしようもないところではありますね…。というのも、症状が出ているときに無理に起こしてしまうと、夢と現実を混同して混乱してしまい、暴力を振るう危険性があるんです。なので、怪我の危険がなければ起こさずに見守ると、ノンレム睡眠に移行して落ち着かれますよ。 なるほど、下手に手を出さない方が良いこともあるんですね。 レビー小体型認知症の中期になると、「認知機能障害」が発生します。これは他の認知症とも共通する症状で、物忘れなどの「記憶障害」、時間や今いる場所がわからなくなる「見当識障害」、計画立てて実行するのが難しくなる「実行機能障害」などの症状が現れます。ただ、認知症の中でも最も多いとされるアルツハイマー型認知症では、発症初期から新しいことが記憶できなくなるケースが多いのですが、レビー小体型認知症の初期段階ではあまり記憶障害があまり出ないとされています。 へー、同じ症状でも認知症のタイプによって出るタイミングが違うんですね。 レビー小体型認知症の後期になると、パーキンソン症状が強くなってちょっとしたきっかけでも転倒しやすくなります。さらに、自律神経症状によってふらつきや立ちくらみも増えてくるので転倒のリスクがとても高くなっていきます。 レビー小体型認知症の対応方法は レビー小体型認知症がどのように進行していくのかがよくわかりました。でも、実際、父の症状が進行していったときにどう対応したら良いんでしょうか? まずは、ご自宅内の環境を整えましょう。先ほどお伝えした通り、レビー小体型認知症ではパーキンソン症状によってふらついたり歩幅が狭くなったりと、転倒リスクが高い状態になります。そのため、ご自宅の段差をなくしたり手すりを設置するといった工夫をして、転倒を防止しましょう。 確かに、最近、父が壁をつたって歩いていて大変そうです。手すりを設置してみたら良いのかな…。 あと、もしお父様が幻視や幻聴の症状を訴えてきたら、その言葉を否定しないこと。見えない物が見えると言われると「そんなもの見えないよ」などと否定してしまいがちですが、ご本人にとっては現実に見えているものです。それを否定されると混乱したり不安になってしまうので、話を合わせてみると良いでしょう。具体的には、「部屋に誰かいる」と言われたら「追い払ったよ」などと伝えて安心させてあげることが大切です。 そうなんだ!これまで、「誰もいないよ」と否定していました。良くなかったんですね。 まずはお父様が安心することが重要です。まずはお父様の言葉を受け止めてあげると落ち着かれると思いますよ。 レビー小体型認知症の症状が進んできたら… 今後、レビー小体型認知症の症状が進んできたら、ご自宅での介護は難しくなるかもしれません。なので、その場合は介護施設の入居を検討してみるのもひとつの手です。 施設に入居ですか…。考えたこともありませんでした。 お話しした通り、レビー小体型認知症の後期になると、転倒リスクがとても高くなったり身体介護の必要も多くなります。そのため、介護するご家族の負担が大きくなることが考えられます。そのため、介護施設に入居して介護のプロに任せることがお父様の安全を守るためにも、石田さんのためにも良いかもしれません。 うーん、今は施設に入れるところをイメージできませんが…。ちなみに、介護施設というと、どんなところがありますか? 例えば、「グループホーム」「介護付き有料老人ホーム」といった施設であれば、レビー小体型認知症も含めた認知症の人のケアをしっかりおこなってもらえます。グループホームというのは、入居しているのが認知症の人だけの施設。ご入居者は「ユニット」という少人数グループで生活しており、ユニットごとに配置されたスタッフがケアをおこないます。認知症の人は、新しい環境や人に不安を感じる傾向があるので、なじみのスタッフでサポートしているんですね。 少人数制なんだ。父はたくさん人がいるところが苦手なので、あっているかもしれません。 ただ、グループホームは介助を受けながらも他のご入居者と協力しながら家事などの役割を果たせる身体状況であることが入居の条件。そのため、身体状況が悪化して寝たきり状態になってしまうと転居を勧められるケースがあります。一方で、介護付き有料老人ホームは終身利用が前提の老人ホームなので、看取りにも対応しています。「終の棲家」として選択される人が多い施設です。 一口に”介護施設”と言っても、それぞれ特徴があるんですね…。 もしかしたらまだ先の話かもしれませんが、いざという時に慌てないように介護施設に入居することも頭の片隅に入れておいてくださいね。 レビー小体型認知症には、パーキンソン症状、幻覚・幻視などの特有症状がある 幻視・幻覚の症状があっても、その言葉を否定しないことが大切 症状が進行してから認知機能障害が出ることが多い 後期状態になると、在宅が難しくなるので施設入居も検討して pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

2022/09/20

施設入居 在宅介護 認知症介護 介護の基礎知識

介護度が要介護2になっても一人暮らしは続けられるものでしょうか?

要介護1の母親が一人暮らしをしています。介護サービスを利用しながら生活していますが、いつまで続けられるか心配です。もし要介護2に上がったら一人暮らしは続けられるものでしょうか? (松田さん・自営業・57歳) お母様の状況にもよりますが、介護サービスの利用する量を増やすことで一人暮らしは可能だと思います。ただ、要介護2になるとお金の管理ができなくなったり、食事や排泄に介助が必要になることもあるので、介護度だけではなく総合的に考えて施設入居も検討してくださいね。 要介護2とはどんな状態? 要介護1の母が一人暮らしをしているのですが、いつまで続けられるのか心配です。今のところ、訪問ヘルパーとデイサービスを使ったり、配食サービスを利用しているので問題はないのですが、このところ歩くのがおっくうになったようで一人で出かけなくなりました。どんな状態になったら要介護2になるんでしょうか?介護度が要介護2になったら一人暮らしも難しくなるんじゃないかと不安で。 うーん、介護認定はその方の心身の状態や生活機能などさまざまな角度から判断するものですから、一概には言えません。ただ、一般的に要介護2の状態というのは日常的に見守りや介助が必要な状態と言われています。具体的には、食事や排泄といった日常的な生活の動作において一部介助が必要になります。あとは、爪を切るなどの細かい作業が難しくなったり、認知機能が低下しているためにお金の管理もできなくなることがあります。 そういう状態なんですね。となると、一人暮らしは難しいですよね?私が頻繁に行ければ良いんですが、仕事があってそういうわけにもいかないので…。 やはり、同じ介護度でもかなり個人差はありますから、はっきりとしたことは言えません。でも、要介護2になっても一人暮らしをされている方はいますよ。在宅介護サービスを活用して、いろんな人の手を借りながら一人暮らしを続けているんです。 要介護1・要介護3との違い 今、母は要介護1ですが、要介護1と2の違いは何なのでしょうか? 要介護1の場合、身の回りのことがほとんど1人でできますが、歩行や立ち上がりの際に一部サポートが要るかもしれません。一方で、要介護2になるとトイレや歩行、食事にも介助が必要になる場合もあります。また、着替えなどの身だしなみを整えるのにも手助けが要ることもあるでしょう。 確かに、まだ母はそこまで手助けが必要な状態ではないですね。 これが要介護3に上がると、食事や排泄、着替えなどについてほとんど手助けしないと1人ではできないでしょう。また、理解力の低下がさらに進みますので、要介護3になったら一人暮らしはかなり不安になります。 要介護2で受けられるサービスは? 要介護2の状態についていろいろとわかりました。介護度が上がってもなんとか一人暮らしを続けてもらいたいと思っているのですが、どんな介護サービスが利用できるんでしょうか? お母様が利用されているのでご存知だと思いますが、介護サービスには在宅介護サービスと施設介護サービスに分けられます。 受けられる在宅介護サービス まず、在宅介護サービスについてです。要介護2で利用できる在宅介護サービスは以下のようなものがあります。 訪問系サービス訪問介護訪問入浴訪問看護訪問リハビリ夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護通所系サービス通所介護(デイサービス)通所リハビリ地域密着型通所介護療養通所介護認知症対応型通所介護多機能型サービス小規模多機能型居宅介護看護小規模多機能型居宅介護宿泊系サービス短期入所生活介護(ショートステイ)短期入所療養介護福祉用具福祉用具貸与特定福祉用具販売 母は今、訪問介護でデイサービスを利用しています。他にもこんなにあるんだ。 はい。要介護1と利用できるサービスに大きな違いはありませんが、要介護2になるとレンタルできる福祉用具の種類が増えます。 レンタルできる福祉用具って、介護度で変わるんですね。 そうなんです。要介護1以下の人が借りられるのは、「手すり」「スロープ」「歩行器」「歩行補助つえ」「自動排泄処理装置」の5種類のみです。それが要介護2~5の人は、以下の福祉用具もレンタル対象になります。 車いす 車いす付属品 特殊寝台(介護用ベッド) 特殊寝台付属品 床ずれ防止用具 体位変換器 認知症老人徘徊感知機器 移動用リフト 介護度が上がったから、車いすとか介護用ベッドとか、重度の人が利用するような福祉用具もレンタルできるようになるんですかね。 そうですね。車いすや介護用ベッドというのは購入するとかなり高額ですから、それを介護保険を利用して安く使えるようになるのはとても助かりますよね。特に介護用ベッドは、今後、ご自宅で暮らし続けていくのであればレンタルしておくとかなり生活が楽になると思います。ご高齢者の多くは自宅で布団で寝起きしている人も多いですが、布団だと立ち上がりや横になるときにかなり身体に負担がかかるんです。高さの変更ができる介護用ベッドにすると、身体が楽になると思いますよ。 そういえば、母が立ち上がるときに膝が痛むと言っていました。もし、介護度が上がることがあれば、検討してみても良いかな。 ちなみに、要介護2の在宅介護サービスの支給限度額の上限は1ヵ月あたり197,050円。1割負担の場合、19,705円が自己負担額の上限額です。 受けられる施設介護サービス 次に、要介護2で利用できる施設介護サービスは、以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 軽費老人ホーム(ケアハウス) 介護老人保健施設(老健) 養護老人ホーム 介護療養型医療施設 介護医療院 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム) 地域密着型特定施設入居者生活介護 あれ?友人から特別養護老人ホームに親が入居している、と聞いたことがあるのですが、要介護2では入れないんですか? そうなんです。特養の入居条件は要介護3以上なので、要介護2では入居できないんです。 そうなんだ!料金が安いと聞いていたので、もし母が要介護2になって一人暮らしが難しくなったら特養に入ってもらおうと思っていたのですが、入れないんですね…。 はい…。ただ、以下の条件を満たしている場合は、要介護2でも入居できるという特例はあります。 認知症などの精神的、知的な障がいによる問題行動があり、周囲の人との意思疎通が困難になる状況が多く見られる家族などによる虐待がおこなわれ、本人の心身の安全、安心の確保が必要単身、または家族が高齢・病弱で支援が期待できず、さらに地域サービス、生活支援サービスも不十分である うーん、うちには当てはまらないですね。 そうなると、在宅介護サービスを活用して自宅での生活を続けるか、要介護2でも入れる施設に入居することになりますね。参考までに、主な介護施設の費用をまとめてみました。 要介護1の目安介護サービス費用(1割負担の場合)月額費用相場合計(目安)介護付き有料老人ホーム18,120円200,000円218,120円住宅型有料老人ホーム19,705円200,000円219,705円サービス付き高齢者向け住宅19,705円150,000円169,705円グループホーム24,000円110,000円134,000円老人保健施設25,080円54,660円79,740円 結構、施設によって金額がバラバラなんですね。 老人保健施設は、公的な施設なので安い傾向がありますね。対して、介護付き有料老人ホームは民間企業が運営している施設なので、どうしても費用が高くなる傾向があります。ただ、公的施設よりも特徴があったり、入居しやすいというメリットもあるんです。もし、民間施設への入居を検討するようでしたら、「いい介護 入居相談室」にご相談いただければ、施設の知識が豊富な入居相談員がお母様にぴったりの介護施設をお探ししますよ。もちろん、お母様の状況によっては、ご自宅で過ごされた方が良いこともありますから、そのときの状況に応じて判断してくださいね。 施設の入居か…。どっちにしろ、もう少し様子を見てから考えます。ちなみに、施設入居する場合の介護サービスの自己負担額はいくらですか? 要介護2の施設介護サービスの支給限度額の上限は1ヵ月あたり181,200円です。1割負担の場合の自己負担の上限額は18,120円ですね。介護は長い目で見て考えることが大切です。松田さんの無理のない範囲で、介護を続けてくださいね。 要介護2は日常的に見守りが必要で、排泄や食事に一部介助が要る 介護サービスを使って一人暮らしも可能だが、その人の事情によっては施設入居も考えて 要介護2では、特養には入居できない。ただ、一部の特例はあり pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/09/08

施設入居 在宅介護 認知症介護 介護の基礎知識

認知症の入居者様のケアがうまくいかず、現場が疲弊しています。良いケア方法はあるでしょうか?

老人ホームで働いているのですが、毎日の介護業務に追われてまったく余裕がありません。特に認知症の入居者様の介護拒否が多く、その対応に時間が取られるうえに体力を使うのでとても疲れます。改善したいとは思っていますが、どうしたら良いのかわかりません。 (山下さん・老人ホーム職員・32歳) 認知症の方のケアは、介護のプロであってもとても大変なことですよね。もしかしたら、「ユマニチュード」という認知症ケアを実践すると入居者様の状態が安定して、介護もスムーズになるかもしれませんよ。 ユマニチュードとはどんなケア? 老人ホームで介護職員をしています。日々の介護業務が忙しくて、ケアが流れ作業になっているような気がしています。特に認知症の入居者様にケアをしようとすると興奮されたり拒否されることが多く、その対応をするためにとても時間がかかります。それに、体力を使うので毎日疲れてしまうんです。何か良い解決策はないでしょうか? うーん、難しい問題ですね…。認知症の入居者様が介護拒否されるのであれば、もしかしたら、認知症の方へのケアを変えることで状況が変わるかもしれません。藤原さんは、「ユマニチュード」というケア方法をご存知ですか? 名前は聞いたことがありますが、詳しくはわかりません。 ユマニチュードというのは、認知症ケアのプログラムのことです。人がもともと持っている能力をできるだけ引き出すことを基本姿勢とした認知症ケアで、心身の回復や機能の維持を目的としています。ちなみに、ユマニチュードというのはフランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味だそう。フランス人のイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発したケア方法なので、フランス語なんですね。 へー、そういう意味だったんですね。ユマニチュードを取り入れると、どう変わるんでしょうか? 個人差がありますが、認知症の方の不安を和らげて暴力・暴言といったものが減るとされています。日本ユマニチュード学会によると、認知症の二次症状である行動心理症状(BPSD)の15%が改善したそうです。 症状が改善するんですか!?うちの施設では、暴言や暴力をして介護拒否をする入居者様が多くて困っているんです。 そうなんですね。ユマニチュードは、介護現場で「ケアのうまくいく・いかないは何が違うのか」を丁寧に分析して開発されたプログラムなので、実際の現場に即した内容になっています。ユマニチュードを実践することでケアがスムーズになるかもしれませんよ。 ユマニチュードの4つの柱 ユマニチュードについて、とても興味が出ました。具体的には、どんなケアをするのでしょうか? ユマニチュードケアの実践方法は、「4つの柱」と「5つのステップ」に分けられます。まずは、「4つの柱」についてお話ししていきますね。4つの柱というのは、ケアをするうえで重要な「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの動作のこと。介護をする人が、介護を受ける人のことを大切に思っていることを伝えるための技法です。 大切に思っていることを伝える…。重要なことですが、なかなか実行できてないかも。 4つの柱:見る ケアをしていると体調に異常がないかなどのチェックを優先してしまい、大切に思っていることを伝える余裕がなかなかなくなってしまいますよね。そこで、ユマニチュードでは以下の点を注意することで、相手への気持ちを「見る」ことで伝えます。 同じ高さで見ることで、相手と平等な存在として見ていることを伝える 近くから見ることで、親密さや優しさを伝える 正面から見ることで、信頼感や正直さを伝える 長時間、見ることで、愛情を伝える 見るだけでもいろんなことを伝えられるんですね。 4つの柱:話す 次に「話す」ですね。認知症の方と話すときには、「オートフィードバック法」を試してみると良いかもしれません。オートフィードバック法というのは、今おこなっているケアを実況中継することで、相手に安心感を与える方法です。もし、会話ができなくても「今からお顔を拭きますね」「体を起こしますよ」と声掛けをするだけで安心できるのはなんとなく想像できますよね。逆に、無言でケアをしてしまうと、相手は孤独感を抱きかねません。 介助することに必死で、声掛けを忘れてしまっていました。無言でケアされたら不安になりますよね…。 4つの柱:触れる また「触れる」ときにはちょっとした注意が必要です。ケアをするときには身体のどこかに触れる機会が多いですが、急に顔や手、唇などの敏感な部分に触ると相手は驚いてしまいます。はじめは、背中や肩などの敏感でない部分から触れたり、なるべく広い面積を触ることで驚かせないでケアが進められますよ。 触る部分なんて気にしたことがありませんでした。 4つの柱:立つ さらに、ユマニチュードケアに特徴的なもののひとつに、立つことを重視している点があります。ユマニチュードでは1日20分程度の立つ時間を作ることで、心身の健康を維持することを目指します。立つことは、骨や筋肉にほどよく負荷がかかるので、骨粗しょう症を防いだり筋肉の低下を防ぎ、寝たきりを予防します。また、寝たきりから立てるように意識してケアをすることで、ケアを受ける方が人間としての自信を取り戻すきっかけにもなるのです。 ユマニチュードの5つのステップ ユマニチュードのもうひとつのポイント「5つのステップ」は、ケアの始まりから終わりまでを1つの物語のようにとらえた、より心地よいケアのための枠組みです。5つのステップは、次のように展開していきます。 出会いの準備 ケアの準備 知覚の連結 感情の固定 再会の約束 5つのステップ:出会いの準備 「出会いの準備」というのは、居室への入室時のことです。ノックをして入室の許可をもらうことは当然のこととして、1度目のノックで返事がないことがありますよね。そのときは、またノックをして反応を待ちます。それでも、返事がなければノックをしながら入室しましょう。このときに大切なのは、「自分が入室を許可した」とご本人が認識すること。特に認知症の人は、何度もケアをおこなっている職員さんでも顔を覚えられない場合がありますから、「急に知らない人が入ってきた」と不安になりやすいです。不安を軽減してケアをおこなうために、この「出会いの準備」が大切なんですね。 うーん…、部屋に入るだけでも時間をかけるんですね。 5つのステップ:ケアの準備 次は、入室してケアをする前に入居者様とコミュニケーションをします。ポジティブな言葉で、これからどんなケアをおこなうのかを説明して相手の警戒心を解きましょう。もしかしたら、説明の段階でケアを拒否されることもあるかもしれません。しかし、そこで無理やり介助をするのではなく、いったんケアを止めることも必要です。 え!そんなことしたらいつまでもケアができませんよ!ただでさえ忙しいのに途中で止めてしまったら、全然、仕事が進みません。 もしここで無理やり介助をしてしまったら、入居者様に嫌な記憶が残ってしまいます。認知症の方は、出来事の記憶はなくなってしまっても感情の記憶は残るとされていますから、職員さんの顔がわからなくても「この人は嫌なことをする人だ」という感情だけ残るかもしれません。そうなると、次回の介助でまた介護拒否されたり、暴力や暴言として現れることもあるでしょう。なので、介護拒否されたらいったんケアを止めることで、「この人は嫌なことをしない」というポジティブな記憶を持ってもらえるようにするんですね。 5つのステップ:知覚の連結 「知覚の連結」というのは、4つの柱の「見る」と「話す」と「触れる」のうちの2つ以上の方法を使って、ケアをすることです。ここで重要なのが、複数の感覚から与える情報を一致させること。例えば、「優しい笑顔で声掛けをしながら、優しく触れる」というように、視覚と聴覚と触覚から受ける印象を同じものにするんですね。反対に「優しい笑顔をしながら強く手をにぎる」のはNGです。 確かに、顔は笑っているのに乱暴に触れられたら、ものすごく怖いですもんね。 5つのステップ:感情の固定 次はケアが終わった後の声掛けについてです。ケアが終わったら「気持ち良くなりましたね」といったポジティブな声掛けをしてください。すると、ケア自体の記憶はなくなってしまっても感情の記憶は残りますから、良い記憶としてインプットされやすくなるんです。 ここでも感情の記憶が大切なんですね。 5つのステップ:再会の約束 「再開の約束」というのは、退室の際に「また来ますね」と次の来訪を約束することです。 でも、認知症の方って約束しても忘れてしまいますよね?意味があるんですか? 確かに、ケアをしたことや約束自体は忘れてしまうでしょう。でも、「ケアで気持ちよくなったこと」や「親切にしてくれた人が、また来てくれる楽しみな気持ち」は残るんです。最後にポジティブな気持ちを持ってもらうことで、次回のケアがスムーズになるんですね。 ユマニチュードの効果とは ユマニチュードの実践方法について聞いていて思ったのですが、何か特別なケアをしているというわけではないんですね。もっと特殊な方法をするのかと思ったのですが…。 おっしゃる通りです。そもそも、認知症の方が暴力的になったり、介護拒否する理由は不安感であることが多いんです。なので、ユマニチュードのように優しい声掛けや態度をするだけでも、不安感が和らいで暴力性も収まると考えられています。それに、ユマニチュードで介護する人とのコミュニケーション回数が増えることで、認知症が改善したケースも報告されています。 へぇ!そうなんですね! さらに、認知症の症状が改善されたり介護拒否などが減ることで、介護する側の負担も軽減しますよね。ユマニチュードを取り入れたフランスの施設では、職員の離職率や欠勤率が50%も低下したそう。ケアをする人の精神的な負担感も20%改善したとのことなので、ユマニチュードを実践することで介護する人・される人の両方にメリットがあるんです。 実は、ユマニチュードの方法を聞いて「時間と手間がかかりそう」と思っていたんですが、職員の負担も減るんですね。取り入れられないか、相談してみようかな。 もちろん、ユマニチュードを実践したからといってすぐに状況が改善するものではありません。継続していくことが大切です。時間はかかると思いますが、きっと良い変化があると思うので、長い目で職場を改善していってくださいね。 もともと持っている能力を引き出し心身の回復を目指すケア ユマニチュードを実践することで認知症の症状が改善することも ユマニチュードによって負担が減り、離職防止につながることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2022/09/06

在宅介護 認知症介護 食事 介護の基礎知識

ひとり暮らしの父の薬の飲み忘れが心配です。そのうえ食事も乱れているようなので、なんとかしたいと考えています

ひとり暮らしをしている父の状態が心配です。父は認知症で、たまに持病の薬の飲み忘れがあるようです。週3回、訪問ヘルパーさんに食事を作ってもらっているものの。それ以外はヘルパーさんに買ってきてもらったパンやおにぎりで済ませているようです。 (山下さん・会社員・57歳) このままだと、持病が悪化してしまったり栄養不足になってしまうかもしれませんね…。専門家が訪問して薬の管理や栄養についての指導をしてくれる「居宅療養管理指導」を利用してみるのはどうでしょうか。定期的に専門家がお父様の健康を管理してくれるので、安心できると思いますよ。 居宅療養管理指導とは? 遠方でひとり暮らしをしている父の状況が心配です。ケアマネジャーさんによると、たまに薬を飲み忘れているみたいですし、食事も訪問ヘルパーさんが作ってくれたもの以外はパンやおにぎりで済ませているみたいで…。通院やスーパーに行くのに外に出るみたいですが、ほとんど家にこもっています。このままだと、認知症が進んでしまうんじゃないかと思っています。何か良い方法はないですか? それは心配な状態ですね。「居宅療養管理指導」というサービスを利用してみるのはどうでしょうか?医師や栄養士がご自宅に訪問して、薬や栄養などについてアドバイスしてくれるサービスです。 そんなサービスがあるんですか!詳しく知りたいです。 居宅療養管理指導というのは、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士が訪問して、それぞれの専門分野から助言をしてくれるものです。例えば、医師であれば心身の状態に問題がないかを確認し、薬の服用方法・副作用に関する指導をおこないます。ちなみに、服薬の指導については薬剤師がおこなっていますよ。 では、うちの場合は薬剤師さんに訪問してもらえばいいんですね。 はい。それと、栄養面に関しては管理栄養士が担当しています。管理栄養士は医師の指示のもと、栄養バランスを整えるための「栄養ケア計画」を作成して、身体状況にあわせた栄養指導をしてくれます。また、居宅療養管理指導はお一人おひとりの状況に応じて専門家に依頼できるのも特徴。なので、お父様の状態に応じて複数の専門家に依頼することもできますよ。 それはとても助かります!…ちなみに、居宅療養管理指導の費用っていくらかかるんでしょうか? 居宅療養管理指導は、依頼する専門家によって費用が異なります。また、単一建物居住者、つまり1つの建物にサービスを受ける人が何人いるかも料金に影響します。例えば、マンションなどの集合マンションで、サービスを受ける人が複数いる場合は少し費用が安くなるんですね。詳しくは、次の表でまとめています。 職種単一建物居住者の人数1人2~9人10人以上医師509円485円444円歯科医師509円485円444円薬剤師(病院・診療所勤務)560円415円379円薬剤師(薬局勤務)509円377円345円管理栄養士(該当事業所)539円485円444円管理栄養士(該当事業所以外)524円466円423円歯科衛生士356円324円296円 うちは戸建てですし、父しかサービスを受ける人がいないので”1人”のところを見れば良いわけですね。 はい、そうです。1回の訪問につき、約300円から600円弱かかると考えておけば良いですね。ちなみに、居宅療養管理指導を利用するには要介護1以上であることが条件です。お父様の介護度はいくつですか? 要介護1です。 それなら大丈夫ですね。もし、要支援1~2の方が同様のサービスを利用したい場合は、「介護予防居宅療養管理指導」という別のサービスを使うことになります。 往診や訪問診療との違い 居宅療養管理指導では、お医者さんも訪問してくれるんですよね?親の介護をしている知人が「訪問診療」というサービスを利用していると聞いたんですが、訪問診療とは何か違うんですか? そうですね、大きく違うのは”医療行為があるかどうか”です。訪問診療は、「◯曜日の◯時から」といったように定期的に医師が訪問して診察してくれるものです。それに対して居宅療養管理指導は、健康上の指導をおこなうものなので治療や投薬といったことはできません。 そういった違いがあったんですね。 また、同じように医師が訪問して治療をする「往診」サービスもあります。これは、急に体調を崩したときなどに医師が訪問して診察するものなので、居宅療養管理指導とは少し異なりますね。 居宅療養管理指導のメリット・デメリットは 居宅療養管理指導はとても便利なサービスですが、メリットとデメリットの両面があります。どちらも把握したうえで、サービスを利用するか検討してくださいね。 居宅療養管理指導のメリット まず、メリットのひとつはピンポイントで必要なサービスを受けられることです。居宅療養管理指導は、先ほどもお伝えしたように、いろんな分野の専門家から指導を受けられます。「歯科衛生士と管理栄養士から嚥下状態を良くするための指導がほしい」「医師と薬剤師に健康管理をしてもらいたい」など、その人の状態にあわせてピンポイントで指導を受けられるわけです。 そんな風にも組み合わせて利用できるんですね。 また、居宅療養管理指導ではケアマネジャーも同席して専門家の指導を受けます。なので専門家の助言をふまえた、よりよいケアプランの作成をしてくれるでしょう。 へぇ!私がなかなか父の様子を見に行けないので、ありがたいです。 そして、やっぱり”訪問してもらえる”ということが最大のメリットでしょうか。通院などをしなくても専門家が来てくれるわけですから、介護の負担が減りますよね。 居宅療養管理指導のデメリット 居宅療養管理指導のデメリットというと、どんなことでしょう? まず、利用回数に制限があることです。専門家の月間の訪問回数には制限があり、無制限に何度でも利用できるものではありません。それぞれの専門家の利用回数は、次のように決められています。 医師:月2回 歯科医師:月2回 薬剤師:病院・診療所勤務→月2回、薬局勤務→月4回 管理栄養士:月2回 歯科衛生士:月4回 また、居宅療養管理指導を利用するには、ケアマネジャーさんから主治医に相談しなければいけません。ご本人やご家族が希望しただけではなく、主治医が必要と判断した場合のみサービスを利用できます。 居宅療養管理指導を利用するには 居宅療養管理指導を利用してみたいと思うのですが、どうしたら良いんでしょうか? まずは、ケアマネジャーさんに相談ですね。お伝えした通り、主治医の判断が必要ですから、ケアマネジャーさんから主治医に相談してもらうことがスタートです。それ以降の利用の流れは以下の通りです。 担当のケアマネジャーや主治医に相談ケアマネジャーが状況に応じて、訪問してくれる医師や事業所を探す事業所側が対応できるか確認契約・利用日の決定主治医の指示に基づくサービス開始 なるほど!ケアマネジャーさんにお任せして大丈夫なんですね。 遠距離介護だと、様子がわかりにくくて何かと不安なことがあると思います。そういったときに、専門家が定期的に様子を見てくれるととても安心です。もし、お父様の健康状態が心配なら、まずはケアマネジャーさんに相談してみてくださいね。 居宅療養管理指導とは、専門家が訪問して健康管理についての助言をしてもらえるサービス 自宅に訪問してもらえるので、通院などの負担が減る サービスを利用したいときは、まずはケアマネジャーに相談して pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/09/05

認知症対策 在宅介護 認知症介護

脳血管性認知症はどんな認知症ですか?脳血管性認知症の父にどんな対応法がわからず困っています

先日、父が脳血管性認知症と診断を受けました。もともと怒りっぽい人だったのですが、認知症のせいか、さらに感情の起伏が激しくなってしまって対応がわからず困っています。 (横山さん・主婦・51歳) 感情の起伏が激しくなるというのは、脳血管性認知症の「感情失禁」という症状かもしれません。その感情の波に巻き込まれてしまうと、ご家族のストレスが大きく、介護の負担も大きいです。そのため、認知症の症状であることを理解して介護サービスを利用しつつ、ある程度の距離を置くことも大切ですよ。 脳血管性認知症の特徴は? つい先日、父が「脳血管性認知症」の診断を受けました。その症状のせいなのか、ついさっきまでおだやかに過ごしていたかと思ったら、ちょっとしたことで激しく怒り出したりするんです。昔から怒りっぽい人ではあったんですが、これも認知症のせいなのでしょうか? おそらく、それは「感情失禁」という症状じゃないでしょうか。脳血管性認知症になると、怒りっぽくなったり、すぐ悲しくなったりと感情のコントロールが利きにくくなることがあるんです。 やっぱり、認知症の症状なんですね…。そもそも、脳血管性認知症というのはどういうものなんでしょうか?診断がおりたときに病院で説明があったのですが、よくわからなくて。 脳血管性認知症というのは、脳の血流が悪くなって細胞が死んでしまい、その部分の働きが消えてしまうことで起こる認知症です。アルツハイマー型認知症は女性が発症することが多いのに対して、脳血管性認知症は男性が発症することが多いのが特徴です。 脳血管性認知症の症状 先ほど、「感情失禁」という話がありましたが、脳血管性認知症には他にどんな症状があるんでしょうか? アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの他の認知症と共通している症状では、「物事が覚えられなくなる記憶障害」「時間や場所や人がわからなくなる見当識障害」「計画立てて物事を実行することが難しくなる実行機能障害」があります。 ああ、確かに、父もついさっき話したことも忘れていることが多くなりました。 感情失禁の他に、脳血管性認知症に特有なものとしては「まだら認知症」もあります。これは、同じことでもうまくできるときとできないときがある、という症状です。脳血管性認知症の場合、症状の出方に波があるので、調子の良いときは以前のように問題なくできてしまうんですね。なので、認知症と気づくのが遅くなるケースが多いのも特徴です。 そういえば、父も朝は私が手伝わないと着替えができなかったのに、夜は自分で問題なく着替えができていたりします。…そういうことだったんですね。 他にも脳血管性認知症の初期段階では、物の認識ができない「失認」、言葉が出てこなかったり理解ができない「失語」、作業の手順や順序がわからなくなる「失行」という症状が出ることがあります。 脳血管性認知症の原因 脳血管性認知症の主な症状についてお話ししました。脳血管性認知症の場合、しかも、こういった症状がゆっくりと進行していくのではなく、階段を下りたように症状がガクッと悪くなることがあるのも特徴なんです。脳の血管の損傷が原因の認知症なので、新たに脳血管が詰まったりすると急に進行するわけですね。 「脳血管が詰まる」ってどんな状況なんですか? 最も多いのが脳梗塞ですね。脳内出血、くも膜下出血などが原因になることもありますが、脳の血管が詰まったり傷つくことで、脳細胞が死んでしまうんです。そうすると、その部分の機能が損傷してしまって脳血管性認知症になってしまうというわけです。 父も脳梗塞が原因と病院の先生に言われました。糖尿病も持っているので、気が付かないうちに脳梗塞を発症していたそうです。 そうだったんですね。お父様のように、持病で高血圧や糖尿病、脂質異常症などを患っている方は、脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血などの脳の血管の病気を引き起こすリスクが高くなってしまいます。なので、脳血管性認知症を予防するには、生活習慣病を予防することが大切なんですね。もちろん、脳血管性認知症を発症している場合でも、進行するのを抑えるためにも生活習慣を改善することが重要です。 そうですよね…。病院の先生にも指導されたのでタバコを止めるように言っているんですが、なかなか聞いてくれなくて…。改めてよく言っておきます。 脳血管性認知症の対応法 父の感情の起伏が激しかったり、様子がおかしくなってきたのは認知症の影響ということがよくわかりました。私はこれからどうやって対応していけば良いんでしょうか? まずは横山さんがおっしゃった通り、認知症のことをよく理解して受け止めることが大切です。お父様のように感情失禁の症状がある場合、どうしても介護をしているご家族はそれに振り回されてしまいがちです。なので、急に大喜びしたり悲しんだり怒ったりと喜怒哀楽が激しくても「認知症の症状なんだ」と受け止めて、ある程度の距離を取って対応すると良いですよ。 うーん。受け止めつつ振り回されないようにする、と。 そうです。そうでないと、介護をするご家族が疲弊してしまいますからね。加えて、介護をしやすいようにご自宅の環境を整えることが大切。脳血管性認知症の方の場合、手足のマヒが残っていることもあるので、物の配置を変えたり福祉用具を活用するとグンと生活しやすくなりますよ。 福祉用具ですか。どんなものがあるんでしょう? 例えば、トイレに手すりをつけたり、お風呂の浴槽内に滑り止めマットを敷くのも安全に生活できるでしょう。杖や歩行器などを使って歩行を補助するだけでも、移動がしやすくなるかもしれません。 あー、なるほど。家のなかでは壁を伝ってなんとか歩いている状態なので、手すりを取り付けるのは良いかもしれません。 あとは、介護サービスを利用するのも良いでしょう。特に女性が体格の大きな男性を介護するのは大変です。身体的にもご家族の負担が大きいので、ご家族が体調を崩してしまいかねません。もし、今、利用している介護サービスがあれば使う量を増やしたり、老人ホームへの入居を検討してみるのもひとつの手。何か施設探しでわからないことがあれば、「いい介護 入居相談室」でご相談に乗れるので、ぜひ気軽にご連絡くださいね。 脳血管性認知症の特有の症状にまだら認知症、感情失禁などがある 糖尿病、高血圧などが発症原因になることが多い 感情失禁などの症状を理解して、ある程度の距離を取ることも大切 介護サービス、福祉用具を活用しながら抱え込まない介護を pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/09/01

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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