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Q&A

認知症介護

施設入居 認知症介護 グループホーム 看取り

グループホームでは看取りの対応ができますか?母の最期は病院ではなく施設で迎えてさせてあげたいと思っています。

母の認知症が進行しており、介護施設に入居させようと考えています。母は大人数が苦手なので、グループホームを中心に探している状況です。ただ、母は今は元気ですが高齢なため看取りの対応ができる施設が良いかな、と思っています。 看取りができるグループホームはあるんでしょうか? (西川さん・65歳・自営業) 看取りができるグループホームはありますよ!グループホームは少人数のユニット体制のため、介護職員さんや他の入居者さんも見知った顔の中で最期までの時間を過ごせるのが魅力なんです。ただ、医師や看護師が常駐していない施設がほとんどなので、医療処置が必要な場合はグループホームでの看取りは難しいです。また、すべてのグループホームで看取りの対応をしているわけではないので、事前に確認しておきましょう。 グループホームで看取りはできる? 最近、母の認知症が進行してきて、自宅では介護しきれなくなってきたので介護施設に入居させようと考えています。母は大人数が苦手なので、介護施設の中でも少人数体制のグループホームが合っているんじゃないかと思って施設探しをしています。ただ、母はもう89歳。今後のことを考えると、看取りの対応をしている施設が良いです。グループホームでは看取り介護をしてもらえるのでしょうか? グループホームで看取り介護をしているかどうかは、施設ごとに異なります。看取りができるグループホームもあれば、看取りの体制が整っていないところもあるんです。 そうなんですね。じゃあ、施設に確認しなきゃいけないんですね。 おっしゃる通りです。高齢化に伴って介護を必要とするご高齢者が増えて、それに合わせて看取りができるグループホームも増加しています。とはいえ、まだまだ看取りができない施設も多いのが実情です。 グループホームでの看取り介護 看取りができるグループホームを探している、と言いつつ、看取り介護でどんなことをするのかをよくわかっていません。グループホームではどんな対応をしてくれるんでしょうか? グループホームに限らず、看取りケアは以下のような流れでおこなわれます。 協力医療機関の医師の判断 家族の同意 看取り介護の計画を作成 看取り介護の実施 医師が「回復の見込みがない」かつ「医療機関での処置の必要性が低い」と判断した人が看取りケアの対象となります。ほとんどのグループホームには医師が常駐していませんから、この判断は協力医療機関の医師がおこないます。その後、医師からご家族に看取りケアの必要性を説明し、同意を得ます。この際に、ご家族は「グループホームで看取り介護をおこなう」という選択はもちろん、「医療機関に入院する」という選択も可能です。 なるほど。医師からの説明があるなら安心できますね。 そして、グループホームで最期を迎える場合、医師や看護師などと連携してケアマネジャーが看取りケアの計画を作成します。ここで、具体的なケア内容を決めるわけですね。ご家族の要望もこの計画に盛り込むことができます。そうして決定した計画に基づいて、看取り介護が開始されます。ちなみに、看取りケアでは血圧などのバイタルチェックはおこないますが、点滴などの医療的ケアはおこなわれません。こうした医療処置をおこないたい場合は、医療体制の整っている介護施設か病院に入院する必要があるので注意してください。 点滴はグループホームではできないんですね。では、具体的にはどんなことをしてもらえるんですか? グループホームでの看取りに限らず、看取り介護では以下のようなケアを実施します。 栄養・水分補給 清拭(入浴) 口腔ケア 排泄ケア 体位変換 褥瘡ケア 身体的苦痛の緩和 定期的な居室巡回 居室の環境整備 バイタルの確認 コミュニケーション スキンシップ 看取り期の人は、口からの栄養摂取ができない状況であることが多いです。それでも、無理のない範囲でゼリーなどで水分・栄養摂取をします。合わせて、口腔ケアも重要です。口の中にゼリーなどが残っていたり唾液が溜まってしまうことで、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。穏やかな最期を迎えていただくためにも、口腔ケアは大切なんですね。 食事をしないから口腔ケアは必要なさそうですが、重要なんですね…。 また、同じように体位変換や褥瘡ケアも大切。看取り期の人はベッドの上で長時間、横になっているわけですから、褥瘡ができやすい状態です。さらに、ほとんど栄養を摂らず皮膚が弱くなっていることも褥瘡の原因になります。そのため、定期的な体位変換で褥瘡の予防をおこないます。 「コミュニケーション」というのは何ですか?看取りの人は意識がないので、会話はできないですよね? ええ、ほとんど会話はできない状態であることが多いです。意識がはっきりしていなくても、聴覚は最期まで残っていると言われています。そのため、看取りケアでも名前を呼びかけたり声をかけてあげるんです。…と、このように、看取りケアではその人がなるべく苦痛がなく穏やかに最期を迎えられるように支援をおこなっていきます。 医師・看護師のいないグループホームでの看取り ここまで、グループホームでおこなう看取りケアについてお話をしてきました。グループホームでの看取りケアについてイメージできたでしょうか? はい。最期まで自宅で過ごせない以上、やはりグループホームで看取りケアをしてもらう方が良いかな、と考えています。 それはよかったです。ただ、グループホームでの看取りケアには注意点があります。 注意点ですか?どんなことでしょう? ほとんどのグループホームに医師・看護師が常駐していないということです。 えっ!グループホームって、ドクターや看護師さんが常駐していないんですか? そうなんです。中には看護師が日中は勤務しているグループホームもありますが、ごくわずかです。そのため、協力医療機関の医師が定期的に往診していたり、訪問看護を利用して医療処置を受けているケースが大半です。もし、「何かあったときにすぐに医師や看護師のケアが欲しい」と考えている場合は、グループホームでの看取りケアは難しいですね…。 そう聞くと不安になりますね…。どうしたら良いんでしょうか? 「やっぱり看護師がいる環境で看取り介護を受けたい」という場合は、特別養護老人ホームや有料老人ホームを選ぶのがおすすめです。グループホームのように、少人数体制でない施設が多いのですが、日中は看護師が常駐していますよ。もちろん、元気なうちはグループホームに入居して、医療的ケアが必要になったら特養や有料老人ホームに転居するのもひとつの手です。 そういった方法もあるんですね!グループホームしか考えていなかったので、その他の施設も視野に入れてみます。 もちろん、状態が安定していれば、グループホームでも看取りの受け入れは十分可能です。ただ、事前に医師や看護師が常駐していないことを理解したうえで、グループホームで看取りをするかどうかを決めてくださいね。 看取りができるグループホームの探し方は 看取りケアに対応しているかどうかは、グループホームによって違うんですよね?いくつもあるグループホームの中から、どうやって看取りケアをしている施設を探せば良いんでしょうか? グループホームが看取り対応しているかどうかは、契約内容について記載している「重要事項説明書」を見ればわかります。この重要事項説明書で「看取り介護加算」を算定しているグループホームは、看取りケアの対応が可能です。ただ、重要事項説明書はネット上で公開している施設もありますが、いちいち探すのも面倒なのが正直なところ。なので、やはり手っ取り早いのは、グループホームに直接問い合わせる方法でしょう。 それはそうですよね。施設に電話すればどんな対応ができるのかも聞けるでしょうし…。でも、どこにどんなグループホームがあるのかもよくわからないので、問い合わせのしようがないというか…。 そうなんですよね。なので、看取り対応をしているかどうかをグループホームに問い合わせたい場合は、ぜひ「いい介護 入居相談室」にご相談ください。近隣の複数のグループホームに問い合わせがまとめてできますよ。グループホームでの看取りは、小規模体制ならではの温かみを感じられるものです。ただ、必ずしも看取りの対応ができるとは限らないので、事前にしっかり確認してくださいね。 グループホームでも看取り対応している施設と対応していないところがある 医療体制が充実しているわけではない点に要注意 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/11/01

施設入居 認知症介護 新型コロナ対策

コロナ禍でも老人ホームの面会はおこなわれていますか?面会時のルールがあれば、知りたいです。

母の認知症が進んでひとり暮らしが難しくなってきたので、老人ホームへの入居を検討しています。入居後は、新しい環境に慣れるのに時間がかかると思うので、はじめのうちは頻繁に面会に行きたいと考えています。 ただ、このコロナ禍で介護施設は面会をおこなっているのでしょうか? (高野さん・会社員・60歳) コロナ禍で面会をしているかどうかは、施設ごとに対応がまったく異なります。完全にNGのところもあれば、オンラインやついたて越しなどの制限をかけて面会をおこなっている施設もあるんです。そのため、入居を検討している施設に確認する必要があります。また、ほとんどの施設では面会時に予約が必要です。予約をすれば、面会が施設でのレクの時間や入浴などと重ならないように調整してくれると思いますよ。 コロナ禍でも老人ホームの面会はできる?面会方法は? 実家でひとり暮らしをしている母の認知症が進行してきたので、老人ホームに入居させようと考えています。ただ、母は人見知りをするので施設になじむのに時間がかかると思うんです。なので、はじめのうちは頻繁に面会に行きたいのですが…。このコロナ禍だと、介護施設では面会をやっていないですよね?外部の人間の出入りを制限していそうですし…。 感染対策をしながら面会をしている介護施設はたくさんありますよ!もちろん、完全にNGの施設もありますが…。 へぇ!そうなんですね!どうやって面会をしているんですか? 面会方法は、大きく分けて2パターンあります。「オンラインでの面会」と「対面での面会」です。オンラインの面会は、タブレットやスマホなどで施設とご家族をつなげる方法。テレビ電話みたいなものですね。この方法であれば、感染リスクはありませんから感染症という観点からはとても安全な方法ですね。 老人ホームでもオンライン面会ができるんですね!会社でもオンライン会議が増えたので、オンラインで面会ができるなら助かります。 はい、とても便利なんですが…いくつか懸念点があります。 懸念点? 例えば、ネットワークの問題。施設やご家族のネットワーク状況が悪くて、うまく接続できないことがあります。加えて、高野さんのようにオンライン面会や会議に慣れている人であれば問題ありませんが、慣れていない人にとっては”オンライン”というだけで抵抗感があると思います。 確かに…。同世代でも「オンライン会議は苦手」という人がまだ多いように思います。 それに、ご高齢者は耳が遠い人が多いですから、オンライン面会の音声が小さくて相手の言葉が聞き取れないことも。音声を最大まで上げても聞き取れず、ろくに会話ができなかった、なんてケースもあるんです。また、認知症の人の場合、画面越しのご家族の顔が認識できない場合があります。「画面越しだと人だとわからず、家族が画面越しに声をかけても反応できなかった」という話もありますね。 なるほど!それは高齢者ならではの懸念点ですね。画面越しの家族の顔が認識できないなんて、まったく想像もしていませんでした。 オンラインはとても便利なのですがこうした問題もあるので、感染対策をしながら対面での面会をおこなっている施設も多くあります。例えば、アクリルパネルのついたて越しや窓越しの面会など、各施設で対面で面会できるように工夫しています。ただ、感染対策のために居室に入れなくなっている施設も多いので、「本人の居室を整理したい」といったことは難しいですね。 老人ホームの面会をするときの注意点 意外と面会ができる施設が多いようで安心しました。 そうなんです。やはりずっとご家族と会えていない入居者さんから、「家族に会いたい」という声が多かったようで、制限をかけながらも面会を実施している施設が多いです。しかし、面会の際にはいくつかの注意点があるので、事前にお伝えしておきますね。 注意点ですか。どんなことでしょう? 施設によって面会のルールが少しずつ違うので一概には言えないのですが、主なものを以下にリストアップしました。 事前予約が必要 面会の回数に制限をかけていることがある 手洗い・うがい・アルコール消毒・マスク着用は必須 食べものの手土産の可否を確認する え、面会するのに事前予約が必要なんですね! そうなんです。感染対策のために1日の面会の件数を限定していることもありますし、レクなどの時間と重ならないようにするためですね。それに、面会の時間が予めわかっていれば、お風呂の時間をずらしてくれたりと、融通を聞かせてくれることもありますよ。 あぁ、なるほど。面会に行ってもお風呂に入っていたら会えないですもんね。北野室長、その次の「面会の回数に制限をかけていることがある」とは、どういう意味ですか? 施設の中には、各ご家族がまんべんなく面会できるように、「週に1回まで」「1ヵ月に2回まで」など、面会の回数に制限をかけていることがあります。でないと、特定のご家族がたくさん予約をしているせいで、他のご家族が面会の予約ができなくなる、なんてことになってしまうかもしれませんからね。もちろん、すべての施設が面会の回数制限をしているわけではないので、施設に直接確認が必要です。 そういうこともあるんですね…。ちなみに、一般的にはどれくらいの頻度で面会に行くものでしょうか?はじめのうちは、週に何度か面会に行きたいと思っていたけど難しいのかな…。 「週に1回」というご家族もいれば「月に1回」というご家族もありますから、ご家庭によってまちまちですね。高野さんのように、入居して1~2ヵ月間は週に2~3回面会をして、ご本人が施設に慣れてきたら頻度を少なくするご家族もいらっしゃいますよ。 家庭によって全然違うものなんですね。…その次の「手洗い・うがい・アルコール消毒・マスク着用は必須」は、やはり感染症対策ですよね? おっしゃる通りです。入館時の手洗い・うがい・アルコール消毒・マスク着用は必ずしてくださいね。 そういえば、食べものの持ち込みについて気になっていました。母は和菓子が大好きなのですが、まんじゅうやようかんといったお菓子を面会のときに持っていっても良いんでしょうか? 食べものの差し入れは、予め施設に確認しておいた方が良いですね。というのも、持病や嚥下状態の観点から、食べられるものが限定されていることがあるからです。それに、服用している薬との飲み合わせの問題もありますから、差し入れるものに関しては施設に相談してください。 これも施設に確認が必要なんですね…。 手間がかかりますが、健康や命に関わりかねないことなので致し方ないですよね。また、感染対策の観点から、手作りの食べものの持ち込みを禁止していることもあります。そこもあわせて事前に確認しておくと安心ですよ。介護施設の感染対策については、以下のご質問でもお答えしていますから、ぜひ参考にしてくださいね。 コロナ禍の面会の可否は、介護施設によって大きく異なる オンライン、ついたて越しなどの感染対策をして面会ができる施設も 面会のときには基本的に事前予約が必要 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/10/28

施設入居 認知症介護 医療体制

介護施設に受け入れ拒否されるのはどんな理由ですか?特養に入居を断られることがあると聞きました

親の介護をしている友人から「老人ホームに受け入れを拒否された」と聞きました。どういう状態だと介護施設に入居を拒否されるのでしょうか? (古川さん・会社員・59歳) 介護施設が入居を断るのは「入居条件が合わない」「医療行為が対応できない」「生活保護に対応していない」などのさまざまな理由があります。もし受け入れを拒否されても、看護師さんが24時間常駐している施設に問い合わせたり薬の調整をすることで受け入れてくれる施設を見つけられるでしょう。受け入れ可能な施設がわからない場合は、「いい介護 入居相談室」までご相談ください。 介護施設が受け入れ拒否!?その理由は 父の施設探しを始めたのですが、親の介護をしている友人から「老人ホームに入居を拒否された」と聞き、うちの父も入居できないんじゃないかと不安になっています。どういう状況だと受け入れを拒否されてしまうんでしょうか? 介護施設は、「正当な理由なく介護サービスの提供を拒んではならない」とされています。なので、基本的には入居を拒否されることはないのですが、以下のようなケースの場合、受け入れを断られてしまうことがあります。 入居条件を満たしていない 医療行為に対応できない 問題行動がある 身元保証人・身元引受人がいない 生活保護に対応していない 入居を断られる理由はいろいろあるんですね…。 順番にお話ししていきますね。 入居条件を満たしていないケース はじめに、介護施設の入居条件を満たしていない場合です。例えば、特別養護老人ホーム(特養)は、主な入居条件に「65歳以上」「要介護3以上」というものがあります。さらに、グループホームも「要支援2以上」「施設と同じ市区町村に住民票がある」「認知症の診断が下りている」といった条件があります。これらの条件に当てはまっていないと、入居を断られてしまうんですね。 特別養護老人ホームとは 特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設で、略して「特養(以下、特養)」とも呼ばれています。公的な介護施設で、次の3つの特徴があります。 老人ホームの中では比較的安価に入所できる看取りの対応が可能な施設も多く、終身で利用できる入所待機者が多く、地域によっては入所までに数年かかることもある 特養では、入浴や排泄・食事といった介護のほか、日常生活の介助・機能訓練・健康管理・療養上のお世話などが受けられます。終身での利用ができるため、「終の棲家(ついのすみか)」として選ぶ方の多い施設です。 グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 入居条件がそんなにはっきり決められているんですね。入居条件に当てはまっていなかったから特養に断られたのかな…。 民間の介護施設のひとつに有料老人ホームという施設もあります。有料老人ホームの場合、特養やグループホームのように有料老人ホームだけに設定されている入居条件はありません。基本的には、介護認定を受けていない人から要介護5まで受け入れています。ただ、その施設ごとのケアの方針などによって、特有の入居条件を設けていることがあります。 「特有の入居条件」ですか?どんなものがあるんですか? これは施設によって全く異なります。例えば、「要介護1以上の人」「介護認定を受けていない自立の人」など要介護度の指定をしていることがあります。 施設ごとに入居できる要介護度を決めているんですね。 そうなんです。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった民間施設の場合、入居条件で要介護度を指定して、「自立向け」「重介護度向け」などの特徴を打ち出しているんですね。そうすることで近い身体状況の人が入居するので、ご入居者がより生活しやすくなるというメリットもあります。 要介護度で入居できるかどうか決める理由がよくわかってなかったんですが、入居する側にもメリットがあるんですね。 また、がんや特定の難病の人に限定して受け入れている施設もあります。そういった施設は、病気を限定して重点的にケアをしているため、対象の疾病を持っている人にとってとても安心できる環境を整えています。ただ、当然ですが対象の疾病がない人は入居を断られてしまいます。指定の病気に特化した介護施設と言えますね。 病気や医療行為に対応できないケース また、その人に必要な医療処置に対応できないために、入居を断るケースも。例えば、看護師さんが常駐していないために、医療的処置が必要な人の入居を断ったりすることがあります。 「医療的処置」というと、どんなことなんでしょう? 私が入居相談をお受けしていてよく耳にするのは、インスリン注射やたん吸引が必要な人のお悩み。注射を打ったりたんの吸引するのは医療行為のため、原則として看護師さんがおこないます。介護職員さんでは対応できないんです。そのため、インスリン注射やたん吸引といった医療処置が日常的に必要な人が、「看護師がいないから」という理由で受け入れを拒否されることは少なくありません。 じゃあ、父もインスリン注射を打っているので、看護師さんが常駐している施設を探さなきゃいけないんですね。 はい、そうなります。ちなみに、お父様は1日に何回インスリン注射を打っていますか? 朝、昼、夕の3回です。 でしたら、もしかしたら看護師さんが24時間常駐している施設でないと対応ができない可能性があります。というのも、多くの施設では看護師さんの勤務時間が9~18時なんです。夕食後にインスリン注射が必要な場合だと、看護師さんが対応できないので受け入れを断られることがあります。 え!看護師さんが勤務している施設であれば良いというものでもないんですね! インスリン注射が必要な人の老人ホームを選ぶポイント 看護師が勤務しているか 老人ホームでは、医師の指導のもと介護・看護職員が一定の医療的ケアをおこなうことが認められています。しかし、専門性が必要な医療行為は施設内で対応できないため、提携する医療機関などで受ける必要があります。 このため、入居希望者が医療的ケアを必要とする場合、施設の医療体制によっては受け入れを拒否されることがあります。老人ホームを探す際は、まず必要な医療的ケアに対応できるか確認しましょう。 インスリン注射は食前におこなうため、その時間帯に看護師が勤務している老人ホームを選ぶことが大切です。例えば1日1回朝食前の投与が必要な方は、朝食前の時間帯に看護師の勤務シフトが設定されているか確認します。 投与が必要な時間帯に看護師がいない場合は、食事の時間をずらして対応してもらうこともあります。ただし、1日3回以上投与が必要な場合や食事の時間調整が難しい場合は、看護師が24時間常駐する老人ホームを選んだほうが良いでしょう。 食事療法・運動療法に対応可能か 糖尿病はインスリン注射だけでなく、継続的な食事療法や運動療法によって血糖値を下げることも大切です。このため、インスリン注射が必要な方の受け入れ実績があり、糖質制限食やカロリー制限食に対応できて運動療法にも力を入れている老人ホームがおすすめです。 夜間の急変に対応できるか インスリンを投与している方は、空腹時や夜間に血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。このため看護師が日中のみ勤務している施設を選ぶ場合は、夜間の急変にどのように対応するかが大切です。 具体的には、夜間も医師の呼び出しが可能か、または看護師の夜間オンコール体制があるかを確認しましょう。 そうなんです。たん吸引に関しても夜間にたん吸引が必要な場合だと、看護師さんが24時間常駐している施設を探すことをおすすめしています。 なるほど…。看護師さんが日中に常駐している施設と24時間勤務している施設では、対応できる医療処置が異なるんですね。 おっしゃる通りです。また、医療処置とは異なりますが、精神疾患を患っている人も入居を断られることがあります。というのも、統合失調症などの精神疾患がある場合、介護施設という新しい環境になじみにくいことが多く、他のご入居者とのトラブルの種になりかねないためです。冷たいと思われるかもしれませんが、今いるご入居者を守るために受け入れを断っているんですね。 うちの父は精神疾患はありませんが…。介護施設の入居条件ってけっこうシビアなんですね。 他のご入居者とのトラブルを防ぐという意味では、暴力や暴言がある人も入居を断られることが多いです。認知症の人の中には、認知症の影響で暴力・暴言行為をする人がいます。認知症が原因だとしても、今のご入居者に怪我などがあってはいけませんから、暴力・暴言行為のある人は安全のために入居を断られるケースがかなり多いですね。 認知症の人が介護施設に入居する際の注意点 認知症の人が無事に介護施設に入居できたとしても、長く生活しているうちに認知症の症状が重度になる可能性があります。その認知症の症状によっては退去を求められる可能性もあります。 ほかの入居者と共同生活を送るうえで、迷惑行為があった場合に退去を求められるのです。 例えば、ほかの入居者への迷惑行為とは、以下が挙げられます。 ほかの入居者やスタッフへ大声を上げる ほかの入居者やスタッフへ暴力を振るう ほかの入居者の部屋に勝手に入ってしまう 昼夜を問わず歩き回る 施設側が入居者の迷惑行為に対して対応をおこなっても改善しない場合は、退去を求められる可能性があります。 実際に入居を検討している施設が見つかったときには、認知症による症状が原因で退去を命じられたケースが実際にあるのかを事前に確認しておきましょう。どういったケースで退去を求められたのかがわかれば、万が一、退去勧告を受けてしまった場合の準備をしておけます。 受け入れを拒否されるその他のケース 入居条件や医療・病気に関わること以外の理由で入居を拒否されることがあります。それが、「身元保証人・身元引受人がいない」「生活保護を受けている」ケースです。身元保証人とは、認知症などによって判断力が低下している人の代わりに意思決定をしたり、緊急時の連絡先となる人のこと。身元引受人はご入居者が亡くなったときの身元の引き取りなどをおこなう人です。身元保証人・身元引受人がいないと入居ができない施設は少なくありません。 そうなんですね…。 そして、生活保護を受けている場合、入居できる介護施設はかなり限られます。そのうえ、受け入れている施設でも、受け入れ人数を限定していることがほとんどなので、入居のハードルがかなり高いと言わざるを得ません。 生活保護受給者が入居できる老人ホームを探す時の注意点 施設によって生活保護受給者の受け入れ体制はさまざま。また、受給者の地域や世帯の状況によって生活受給額や上限額も異なるため、介護施設を探す時は注意が必要です。 注意点は主に以下の4つです。 生活保護を受け入れていない施設も多くある人数制限がある場合がある生活保護受給内で施設を探さなければならない転居をする際は移管の手続きをしなければならない どうしたら受け入れ可能な施設をみつけられる? 入居を拒否されるパターンがいろいろとあることがよくわかりました。でも、どうしたら受け入れてもらえる介護施設を見つけられるんでしょうか? 古川さんのお父様の場合、インスリン注射が施設入居のひとつのハードルになると思います。先ほどお伝えしたように、1日3回のインスリン注射の場合は看護師さんが24時間常駐している施設を選ぶのも良いんですが…。実は、看護師さんが24時間常駐している施設は数が少ないんです。なので、看護師さんが常駐しているのが日中だけの施設でも対応できるようにインスリン注射の回数を調整したり、注射から飲み薬に変更するのもひとつの手。ただ、これは病気の状態によるので、まずはかかりつけ医に相談してみてください。 薬の調整ができるんですね!主治医の先生に相談してみます。 また、お父様には当てはまらないかもしれませんが、暴言・暴力といった認知症によって入居拒否されている場合も、薬の調整をすることで入居ができるようになることがあります。認知症は、薬の種類や量を変更することで症状が落ち着く場合があるんです。そのため、かかりつけ医に相談してみると、症状が落ち着いて入居できるようになるかもしれません。 インスリン注射も認知症も、主治医の先生に相談して解決する可能性があるんですね。そういえば、独自の条件を定めている施設もあるんですよね?それは一つひとつ確認していかないといけないんでしょうか?かなり大変だなぁ…。 各施設に片っ端から電話するとなると、とても骨が折れますよね。なので、そういうときは「いい介護 入居相談室」をぜひ活用してください。希望条件や必要な医療処置を伝えていただければ、知識豊富な入居相談員がまとめて施設側に問い合わせしますよ。 受け入れ拒否の理由には入居条件が合わない、医療行為が対応できないなどがある 看護師24時間常駐の施設を選んだり、薬を調整することで入居できることも 複数の施設に問い合わせるのが大変なときは、入居相談室の利用をしてみて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/10/24

認知症対策 在宅介護 認知症介護 デイサービス

母の帰宅願望に困っています。夕方になると、昔の自宅に帰ろうとして外に出ようとするんです

母の帰宅願望の対応を教えてください。夕方になると、部屋の中を歩きまわって「家に帰る」と言って落ち着かなくなるんです。ひどいときには、家から出ていってしまうこともあります。 通っているデイサービスでも帰宅願望が出てしまっていて、職員さんにご迷惑をかけてしまっているみたいです。 (大西さん・会社員・57歳) 認知症の記憶障害が見当識障害などの影響で、帰宅願望が強く出てしまうことがあります。特に夕方になるとその症状が出ることが多く、「夕暮れ症候群」と呼ばれることもあります。ただ、帰宅願望が出たときには、お母様の発言を否定せずに「今日はここにお泊りだよ」など、安心できる言葉をかけてみてください。 認知症による帰宅願望の原因は? 母の帰宅願望に困っています。夕方になると「家に帰りたい」と言って落ち着かなくなり、部屋の中を歩き回るんです。それだけなら良いんですが、ひどいときにはそのまま家を出ていこうとします。1人で出ていったら事故の危険もあるから心配で…。何か対応策はありますか? そうですね…。対応策を考える前に、帰宅願望の原因を知るところから始めましょう。原因を理解した方が、適切な対策がとれるようになりますから。 確かにそうですね。帰宅願望の原因って何でしょうか? 帰宅願望の原因は、大きく分けて次の3つがあります。 認知症の症状によるもの 環境によるもの 生理的欲求によるもの 認知症の症状というと、どんなことが原因になっているんですか? 帰宅願望の原因となるのは、「記憶障害」と「見当識障害」です。記憶障害とは、その名の通り記憶が覚えられなくなること。特に認知症の人は新しい記憶から忘れていき、記憶が何十年も前に戻ってしまうこともあるんです。また見当識障害とは、現在の時間や居場所がわからなくなることです。進行すると、自宅にいることもわからなくなることがあります。 「自宅にいることもわからない」というのは、母に当てはまると思います。だって、自宅にいるのに「家に帰りたい」と言いますし。 もしかしたら、見当識障害が進行しているかもしれませんね…。それと、お話を聞いていると典型的な「夕暮れ症候群」の可能性もありますね。 「夕暮れ症候群」って何ですか? 夕方になると落ち着かなくなって帰宅願望が出ることを「夕暮れ症候群」と呼ぶんですよ。私たちも夕方になれば職場などから帰宅しますよね。そうしたかつての生活習慣から、外が薄暗くなると「家に帰りたい」と感じてしまうんですね。もちろん、これも自分がいる場所が自宅ではないと認識していることに理由があります。 そういえば、夕方になると「夕飯を作りに帰らなきゃ」とかばんを持って出かけようとするんですよね。もう10年以上、料理は私の妻に任せきりでやっていないというのに。 記憶障害によって、10年以上も昔の、自分の料理を振る舞っていた時代に心が巻き戻っているのかもしれませんね。また、認知症の人は周囲の環境にも影響を受けやすいんです。なので、居心地が悪かったりなじみがない場所だと不安になって、帰宅願望が出ることがあります。ご自宅だとこの原因は当てはまらないかもしれませんが…。 いえ、デイサービスでも帰宅願望が頻繁に出ているようなので当てはまっているかもしれません。デイサービスには週に2回通っているのですが、なかなかなじめないみたいで。それに曜日によってはあまり仲の良くない利用者さんと被る日があるらしく、その日はずっと落ち着かない様子らしいです。 そういうこともありますね。やはり、私たちも仲の良くない人が近くにいるとそわそわしてしまいますもんね。そうした環境的な要因とあわせて、生理的欲求がきっかけで帰宅願望が出ることもあります。例えば、「眠い」「お腹がすいた」「のどが渇いた」といった欲求ですね。加えて、便秘などの体調が良くない場合も上手く言葉で伝えられずに不安なために、帰宅願望という形で出ることがあるんです。 認知症の帰宅願望にはどう対応する? なんとなく母の帰宅願望の原因が見えてきました。これからどうやって対応したら良いんでしょうか? はい、帰宅願望への対策としては、以下のようなことが挙げられます。 間違いを否定しない 普段の習慣に注意する 環境を調整する 徘徊の対策をする 「間違いを否定しない」というのは帰宅願望への対応だけでなく、認知症の人のケアにとってとても大切なポイントです。例えば「家に帰りたい」と言ったときに「家はここでしょ」と否定してしまうのはNGです。ご本人の中では今いる場所は自宅ではありません。それを否定すると、混乱が大きくなって余計に帰宅願望が強くなってしまう可能性があります。そのため、「今日はここにお泊まりだよ」と帰らなくても良いことを伝えて、安心させてあげてください。 へー!これまで「家はここなんだから座ってて」と無理やり椅子に座らせていました。それではダメだったんだ…。 また、帰宅願望は過去の生活習慣と結びついていることが多いです。具体的には、「朝は会社に行く」「夕方になったら夕飯の準備をする」といったことですね。大西さんのお母様も「夕飯を作りに帰る」と言うことがあるんですよね。でしたら、もしかしたら大西さんが子どもの頃の習慣で、「子どもにごはんを作ってあげなきゃ」と考えているのかもしれませんね。 あー、なるほど…。誰のごはんを作るのかわからなかったのですが、そういうことだったんですね。 そういうときは、「今日は夕飯の準備をしてあるから大丈夫だよ」など声掛けをしてみると、気持ちが落ち着くかもしれませんね。 そういう言い方もあるんですね。今度からそうしてみます。 また、「環境を調整する」というのは、ご自宅よりもデイサービスでやってもらうのが良いですね。もし、まだデイサービスに慣れていなくて落ち着かないのだとしたら、普段から使っている雑貨などをお母様の近くに置いておいてもらうのも良いでしょう。また、認知症の人は人の顔を覚えるのが苦手なため、大人数も苦手な傾向があります。そのため、少人数グループで対応してもらったりすると落ち着けるかもしれません。 なるほど…。そういったこともデイサービスでやってもらえるのか確認してみます。 加えて、帰宅願望が強い場合に外出して徘徊してしまうケースも少なくありません。認知症の人が1人で歩き回るのは大変危険。大西さんもさきほどおっしゃってましたが、事故や怪我、時期によっては熱中症や低体温症で命に関わることもあります。そのため、まずは徘徊を防止することが大切です。例えば、玄関にセンサーやベルを設置して外出に気がつけるようにしたり、外出してしまってもすぐに見つけられるようにGPSのついた靴などを使用することもひとつの手ですね。 すぐに見つかったから良いものの、何度か徘徊して警察に保護されたこともあるので、何か対策をしておきたいと思います。本当に危険ですから…。 おっしゃる通りです。夕方に帰宅願望が出たり徘徊してしまうとなると、介護をするご家族の負担は大きいと思います。今回、お伝えした対策を実行したら負担が小さくなるかもしれないので、できることから始めてみてくださいね。 帰宅願望は認知症の症状や周囲の環境などの影響がある 帰宅願望が出たときに否定してしまうとさらに混乱してしまうことも 徘徊することもあるので、玄関にセンサーをつけるなどの対策を pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/10/21

施設入居 認知症介護 介護の基礎知識

父の認知症が進行していて、介護がきついです。どんなタイミングで施設入居をするべきか迷っています

認知症の父が夜間に起きて騒いだり、家から出ていこうとするようになりました。それを止めるために夜も起きなければいけないので、寝不足が続いています。そろそろ介護施設に入居させた方が良いのか悩んでいます。 介護施設に入れるのは、どんなタイミングが良いんでしょうか? (平野さん・自営業・61歳) 介護施設に入居する主なきっかけというと、「介護度が上がった」「歩けなくなった」「介護する人が夜に起きなければいけなくなった」などが挙げられます。どの場合でも共通するのは、介護する人の負担が大きくなったタイミングということです。介護する人の負担が大きくて、体調が優れなかったり気持ちが落ち込んだりしている場合は、すぐに施設に入居することを検討した方が良いでしょう。 どんなタイミングで施設の入居を考えるべき? 同居している父の介護をしており、介護施設に入れるべきか悩んでいます。というのも、このところ夜中に起き出して「助けて!」などと騒ぐようになり、妻と2人でなだめなければいけなくなったんです。落ち着かないときは、そのまま外に出ていこうとします。それに、トイレが間に合わないことが多いので、部屋が汚れてしまって困っています。今は何とかなっているのですが、どういうタイミングで施設に入れることを検討したら良いですか? 施設入居を考えるタイミングは、ご本人やご家庭の事情によって異なりますから、一概には言えません。ただ、一般的には以下のような状況になると施設に入居することを考えることが多くなります。 要介護度が上がる 徘徊をする 常に目を離せない 退院後、在宅介護が困難 介護する人が夜に起きないといけない 入居のきっかけになることで多いのは、要介護度が上がったとき。中でも、特別養護老人ホーム(特養)には要介護3以上でないと入居できませんから、要介護3になったタイミングで入居の申し込みをする人もいるようです。ただ、特養は費用が安いためにとても人気です。そのうえ、状態が重い人が優先して入居するので、入居待ちが多い施設では要介護4以上でないと入れないケースも。そのため、要介護4になったのをきっかけに特養に申し込む人もいるようです。 つまり、特養に入れるようになるまで自宅で介護を続けている、ということですね。 おっしゃる通りです。けれど個人差はありますが、要介護3や要介護4の状態で在宅介護をするのはかなり大変です。そのため、純粋に介護の負担が大きくなり在宅介護が難しくなったタイミングで入居の申し込みをしているとも考えられますね。 なるほど…。「在宅介護が難しくなったタイミング」というと、具体的にはどんな状況でしょうか? そうですね…。例えば、「徘徊をする」「常に目を離せない」という状況になったらでしょうか。ご自宅ではいくら気をつけていたとしても、ちょっと目を離した隙に家から出ていってしまうことがありますから。認知症の人が1人で外を歩き回るのは言うまでもなく危険。怪我や交通事故、季節によっては低体温症や熱中症になってしまうこともあり、最悪の場合、生命に危険が及ぶこともありえます。 そうなんですよね、私もそこが心配で…。幸い、父はまだ外に出ていってはいませんが、何度か出ていこうとしたことはあるんです。 そうだったんですね、それは負担が大きい状況ですね…。また、認知症が進行すると道具の使い方などがわからなくなり、家の中の物で怪我をしてしまうことも。特にハサミや針といった尖ったものが危険です。さらに、火の不始末などのリスクもありますね。つまり、症状が進行していくと自宅の中でも常に目を離せなくなるんです。そうなると、介護するご家族が常に気を張っていないといけなくなりますから、精神的な負担がとても大きいために施設入居を決断されるケースも少なくないんです。 なるほど。目を離せない状態が毎日となると、かなりしんどそうですね…。 あと多いのは、怪我や病気で入院中に身体機能が低下してしまって在宅介護が難しくなるケースです。ご高齢者は、運動量が減るとすぐに筋肉量も低下してしまう傾向があります。そのため、入院期間中にベッドでの生活が増えて運動量が減ると、歩けなくなったり身体機能が低下してしまうんですね。やはり、歩けなくなって移動に車いすが必要になると、ご自宅での生活は難しいですよね。そのため、退院するタイミングで介護施設に入居するんです。 確かに、我が家も車いすは使えないですね。歩けなくなったら、施設を考えるしかないか…。 また、介護のために夜に起きなければいけない状況になった場合は、介護施設に入居をすることをおすすめします。 それはどうしてですか? というのも、夜に起きないといけない介護は、介護する人の負担がかなり大きいからです。例えば、おむつ交換のために毎晩起きないといけない状況は、介護する人が寝不足になって体調を崩しやすくなりますよね。また、平野さんのお父様のように夜間に起きてしまう場合も当てはまるでしょう。寝不足は体調を崩すきっかけになりやすいですから、介護する人の健康を損なったり、ストレスが大きい介護はできるだけ避けてください。 父が夜に起きるのは良いんですが、騒ぎだすのをなだめるのが大変で…。うるさいのでご近所に迷惑にもなるし、かなりストレスになっています。毎晩、騒ぐわけではなくても「今夜も騒ぐかもしれない」と不安になって眠れない日もあります。 それは大変でしたね…。状況を伺っていると、介護施設に入居するのを検討し始めた方が良いと思いますよ。 どうやって介護施設を探せば良い? 北野室長の言う通り、介護施設に入れるのを検討しようと思います。でも、何から始めたら良いんでしょう?介護施設の探し方がよくわからなくて。 初めての施設探しだとわからないことだらけですよね。大まかな流れを以下にまとめたので、まずは流れを把握しておきましょう。 希望条件を決める 介護施設の情報を集める 見学する 仮申込み 書類提出 本人面談 契約 入居 まずは希望条件ですか…。と言われても、どんな条件を決めれば良いかイメージができません。 それはそうですよね。「介護施設」というとかしこまってしまうかもしれませんが、結局はお家ですから、はじめは普通の賃貸住宅を探すような感覚で考えてみましょう。なので、まずは「地域」「費用」といったところから絞り込んでみると良いですよ。今の自宅から近い方が良いのか、費用はいくらまでかといったことですね。 本当だ。そう考えると、賃貸アパートを探すときと同じなんですね。 そうなんです。そうやって大まかに数を絞り込みながら、介護施設の情報を集めてみましょう。気になる施設の資料を取り寄せたり、ネットで検索するんですね。その中から特に気になる施設をいくつかピックアップして、見学してみてください。やはり、資料で見ている内容と実際に見学してみるのでは、印象がまったく異なります。見学は必ずしてくださいね。 いくつか見学するって、何ヵ所くらいすれば良いんですか?父の介護があるので、そんなにたくさん見学する余裕がないんですが…。 10ヵ所も20ヵ所も見る必要はありません。ただ、多くの方はだいたい3~4ヵ所を見学してらっしゃいますね。というのも、1ヵ所だけしか見学しないと比較のしようがなくて、その施設が合っているか合っていないのかもわからないからです。これから生活する場所ですからしっかり見比べて決めてくださいね。 3~4ヵ所か…。それなら何とか時間を作れそうです。 見学して気に入った施設があれば、必要書類を施設に提出して契約します。そして無事、入居となるわけです。 うーん。こう聞くと、結構、時間がかかりそうですね…。 そうなんです。施設探しは、探し始めてから入居までは、スムーズに行ってもだいたい1ヵ月はかかります。そのうえ、特養などの人気の施設であれば1年以上待つこともあります。「今すぐ入りたい!」と思って探し始めても、すぐ入居できるものではないんです。 1年以上も!そんなに時間がかかるんだ…。 はい。なので、多少は余裕のある今のうちに探し始めることをおすすめします。すぐに入らなきゃ行けない状況になって焦って探し始めると、なかなか条件に合った施設には巡り合えませんから。もし、施設探しで困ったことがあれば、「いい介護 入居相談室」までご相談ください。介護施設に精通した入居相談員がお父様にピッタリの施設をお探ししますよ。 夜間の介護がある、介護する人の心身の健康が損なわれているときは入居を検討して まずは「地域」や「費用」などの希望条件を決めよう 待機期間が1年以上になることも…。余裕があるうちに施設探しを! pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2022/10/14

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の父がなぜか食事介助を拒否します。体重が減ってきたのでとても心配です

認知症を発症している父の介護をしています。ちょっと前までは自分で食べていたのに急に食べなくなり、私が介助しても嫌がって食べてくれません。そのせいか痩せてきたので、やせてきています。 どうしたら食べてくれるようになるでしょうか? (野口さん・主婦・63歳) 認知症が進行すると、食べ物を食べ物と認識できない「失認」、食べ方がわからない「失行」といった症状が出ることがあります。その他、環境や声掛けなどで食べたい気持ちが失われている可能性があるので、認知症の人が食事をしやすい状況を整えていきましょう。 食事介助を拒否される!なぜ? このところ、認知症の父が食事をしてくれないことが増えて困っています。私がスプーンで食べさせようとしても、手で押しのけるんです。ちょっと前までは、自分で食べられていたのに…。どうして急に食べなくなったんでしょうか? 状況によっていろいろ考えられますが…。主な食事拒否の理由を以下にまとめてみました。 「失認」で食べものを認識できない 「失行」で食べ方がわからない 集中力の低下 環境が整っていない 嚥下機能の低下 不安を感じている …もしかしたら、お父様は認知症の症状の影響で食事が進まなくなったのかもしれません。 というと、どういうことですか? 例えば、お父様は「食べ物が食べ物であることがわからなくなっている」こともありえます。認知症には「失認」という症状があり、食べ物に限らず「これは何か」ということがわからなくなってしまうんです。そうなると、お箸などを使って口に入れようとは思わないですよね。それに、食事介助をされても「よくわからない物を食べさせられる」と感じれば、食べたいとは思えないかもしれません。 「食べ物が食べ物とわからない」なんてことがあるんですね。だから、お父さんはごはんを食べたがらないのかな…。 それか、食べ物であることはわかっていても、食べ方がわからないこともあります。こうした症状を「失行」と呼びます。失行がある場合、これまで普通にできていた「お箸を使って食べ物をつかむ」「口まで持っていく」という動作がわからなくなります。なので、食器などの道具の使い方がわからなくなってしまって、困っているのかもしれません。 つまり、箸やスプーンの使い方がわからなくなって自分で食べられなくなった、ということですね。でも、そうしたら私が口元に持っていけば食べてくれそうな気がしますけど…。 これも可能性の話ですが、自分の力で食べたい気持ちが強いのかもしれません。少し前までできていたことが急にできなくなって、それが受け入れられないことも考えられます。「自分の手で食べたいけど、食べ方がわからない」という混乱の結果、野口さんの介助を拒否してしまっている可能性もあります。 なるほど…。頑固な父のことですから、それもありえそうです。 あとは、環境的な要因も関係することがあります。例えば、音。テレビの音や部屋の外から聞こえる声などによって食事に集中できないことも。認知症の人は脳の機能が低下して、集中力が低下する傾向があるので、ちょっとした音でも気になりやすいんです。 そうなんですね!昔からテレビを見ながら食事をしていたので、いつもテレビを付けていました。 あとは、姿勢や食器といったところも影響することがあります。特に食事をするときの姿勢は大切。椅子からずり落ちていたり、左右に身体が傾いていることで食欲が削がれている可能性があります。また、認知症になると視覚による物の区別がつきにくくなります。なので、お皿の柄が食べ物に見えてそれを箸でつまもうとしたり、白いお茶碗に白いごはんで見にくいために手が伸びないということもあるんです。 え、そんなちょっとしたことでごはんを食べないことがあるんですね! そうなんですよ。また、飲み込む力が衰えたせいで食べることが嫌になっているケースもあります。飲み込む力が衰えると、具材がうまく飲み込めなくなってむせることが多くなります。となると、食事をするのが嫌になりますよね。 うちの父はたまにむせますけど、食事が嫌になるほどしょっちゅうではないですね…。 なるほど、そうなんですね。あと考えられる原因は、認知症が進行したことや声掛けによって不安を感じている、ということでしょうか…。 それってどういうことですか? 介護をしていると、忙しかったり焦ったりして「早く食べて」「どうして食べないの」と強い口調になってしまうこともあるかもしれません。でも、そういう対応は認知症の人にはNGなんです。ご本人はどんどん自分がおかしくなっていくように感じて、不安になっています。そこに強い口調で声掛けしてしまうともっと不安になってしまいます。時間がなかったり疲れているかもしれませんが、いったん落ち着いて介助することも大切なんですね。 食事介助ができないときの対策 父が食事を嫌がる理由がなんとなくわかった気がします。でも、具体的にはどうしたら良いんでしょうか? 対応策もいろいろありますが、大まかには、以下の3つのポイントが大切です。 環境を整える 声掛けを工夫する 食べ物を工夫する まずは環境を整えるんですね。 そうです。先ほどお伝えした通り、認知症の人は集中力が低下していたり物の区別がつきにくくなっています。なので、まずは食事にしっかり集中できるように、「身体をまっすぐ起こした姿勢を保つ」「テレビを消す」「具材が見えやすい無地の器にする」といった対策をとると良いでしょう。 それくらいだったら、すぐできそうです。今日から始めてみます。 あとは声掛けです。食べ物が食べ物であるとわかっていない場合、「炊きたてのごはんだよ」「温かい味噌汁だよ」といった食事の名前を言いながら食事を促してみましょう。もしかしたら、食べ物であることがわかって自分から食べてくれるようになるかもしれません。 忙しくて、そんなゆっくり声掛けをしたことがなかったですね…。 介護をしていると、そうなってしまいますよね。ただ、声掛けをちょっと工夫するだけで意外と介助がスムーズに行くことがあるんですよ。それに、もし箸やスプーンなどの使い方を忘れてしまっているのであれば、言葉で伝えたり食べているところを見せて、道具の使い方を思い出してもらうことも有効です。どれも特別なことではないですが、これをきっかけに食事介助の拒否がなくなったり自分で食べられるようになることもあるんですね。 へぇ、本当にちょっとしたことで介護が上手くいくんですね。 他にも、食べ物を工夫することも有効かもしれません。お父様が好きな食べ物にすることももちろんですが、食べやすい形に変えるだけでも食事をする気になることもありますよ。 「食べやすい形」ってなんですか? 例えば、具材を一口サイズにすること。それに一口おにぎりにすれば、手づかみで食べられるのでお茶碗に盛ったごはんよりも食べやすいですよね。それに、食事ができるのであれば「手づかみで食べてもOK」と考えるのもアリじゃないでしょうか。あえて、箸やスプーンを使って食べることにこだわらなければ、介助をするときの気持ちも少し楽になると思いますよ。 確かに!今まで箸を使わせることにこだわっていましたが、手づかみでも食べやすいようにすれば良いんですよね。 そうです!食べてもらうことの方が重要ですからね。ただ、いろいろ試してもなかなか食が進まないこともあると思います。そういうときは、少量でも栄養がたくさんとれる栄養補助食品を利用してみましょう。高カロリーゼリーやドリンクなどがドラッグストアに売られているので、試してみてください。お父様が食事をしてくれないのは、とても心配なことだと思います。ちょっとした工夫で改善することもあるので、いろいろ試してみてくださいね。 認知症によって、食べ物がわからなかったり食べ方がわからなくなる 食べる姿勢を整え、どんな食べ物なのかを説明しながら介助をする それでも食が進まないときは、栄養補助食品などを活用して pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/10/13

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の父に介護拒否をされ、トイレや入浴の介助を嫌がられます。暴力を振るわれることもあり、どうしたら良いかわかりません

認知症の父が介護を拒否して困っています。特にトイレや入浴の介助を嫌がり、トイレの失敗が増えているうえに、数週間お風呂に入らないときもあります。 拒否が強いときは手を上げることもあるので、恐怖を感じるときもあるんです。何か解決策はないでしょうか? (菅原さん・主婦・63歳) まずは、お父様がどうして介護を拒否しているのか知ることが大切です。認知症の人の場合、認知機能の低下によって介護の必要性を理解できないことがあります。また、介助を受けること自体に抵抗感を持っていることもあるかもしれません。そのため、どうして介助を拒否するのか、お父様の意思を尊重してみてください。それによって、気持ちが落ち着いて拒否の回数が減るかもしれませんよ。 介護拒否の原因は? 認知症の父の介護をしているのですが、何をするのも拒否をするので困っています。中でもトイレと入浴の介助を嫌がるんです。最近はトイレの失敗が増えてきていて、汚れた衣服を部屋にしまいこんだりしています。お風呂は、入るのが面倒みたいで、何週間も入らないことがあります。何か良い方法はありませんか? そうですね…。対策はいくつかありますが、まずは、なぜお父様が介護拒否をするのかを把握した方が良いかもしれません。というのも、介護拒否の理由によって対策も異なるからです。 介護拒否の理由、ですか…。よく「さわるな!」とか怒鳴っていますね…。殴られることもあります。 うーん。もしかしたら、認知症による認知機能の低下によって、「介護をされる意味がわからない」のかもしれません。入浴だったら「どうして風呂に入らないといけないかわからない」「どうして服を脱がされるのかわからない」といった風です。何もわからず浴室に連れて行かれて服を脱がされそうになったら、誰でも驚きますよね。そういった理由で抵抗していることもありえます。 お風呂に入る意味がわからないってことですか?認知症だと、そんな日常的なこともわからなくなってしまうんですね。 そうなんです。それに、記憶障害の影響ではじめは介護の意味を理解していたのに、介助されている途中で忘れてしまうこともあります。お風呂に入ろうとして服を脱ぎ始めたのに、その最中で何で服を脱いでいるのかわからなくなった、というようなケースですね。意味もわからず服を脱がされていたら、やはり混乱して抵抗してもしょうがないのかもしれません。 なるほど…。そんなことを考えたこともありませんでした。 あとは認知症が進んでくると、ご家族などの良く知った人の顔もわからなくなります。なので、認知症のご本人にとっては「知らない人に服を脱がされている」という状況になるんですね。 それもやっぱり抵抗したくなりますよね。幸い、まだうちの父は私や他の家族の顔はわかっているようですが…。 あとは、排泄や入浴介助に関しては羞恥心があることも考えられます。裸になったり、ズボンや下着を下ろしたりするわけですからね。特に排泄介助の場合、失敗してしまった下着を見られるのが恥ずかしいと感じていることもあります。なので、介助を拒否してしまうんですね。 あ、父の場合、それかもしれません!先日、父の部屋を掃除したらタンスの奥に汚れた下着がたくさんあって…。掃除するのも洗濯するのも大変でした…。 それは大変でしたね…。汚れた下着を発見するというのは、羞恥心もありますがその人の自尊心を傷つけることにもなりかねないんです。トイレを失敗したり、汚れた下着を正しく処理できない自分を「情けない」と感じてしまうんですね。それを避けるためにトイレ介助を拒否したり、汚れた下着を隠していたのかもしれませんね。 あー、それもあるかもしれないです。 また、介助を受けること自体に抵抗感を持つ人もいます。「誰かの世話を受けたくない」「まだ自分でできる」と感じて、介助を拒否してしまうんです。 介護拒否にはどう対応したら良い? 父がなんで介助を受けたがらないのか、何となくわかった気がします。どうしたら、拒否されなくなるでしょうか?今のままだと衛生的にも良くないですし、早くなんとかしたいです。 介護拒否への対応としては、主に以下のようなものがあります。 本人の意思を尊重する 具体的な声かけをする タイミングを見計らう 介護サービスを利用する 「本人の意思を尊重する」というのは、介護を受ける人の気持ちを優先した介護をするということ。介護をするのはとても大変ですから、介護する側の気持ちの余裕がなくなって、忙しないケアになってしまいがちです。そのうえ、介護を拒否されたらもっと余裕がなくなることもあるでしょう。そこを一呼吸おいて、ご本人の意思に寄り添ってみましょう。 「意思に寄り添う」って、具体的にはどんなことをするんですか? 拒否されたときに無理やり介助するのではなく、「これをしたくないんだね」と共感すること。そのうえで、「こうしたら良いんじゃない?」「自分で服を選んでみようか」などのご本人の意思を尊重するような声掛けをします。こうすることで、介護を受ける人が「対等な立場で対応してくれる」と感じ、自尊心が保たれるため、介護を受け入れるようになっていくでしょう。 うーん。それってなかなか難しいですね…。そんな風にのんびり介護したら終わらないし、イライラしちゃうし…。いけないとわかっていても、父に介護を拒否されると怒鳴ってしまっています。 そうなんですよね…。ただ、拒否されたときに叱ってしまうと、余計に拒絶されて介助がまったく進まないことも。それを考えれば、いったん落ち着いてから穏やかに声掛けをした方がスムーズに介護が進む可能性があるんじゃないでしょうか。 確かにそうですね…。気持ちの余裕が大切ですね。…その次の「具体的な声かけをする」というのはどういうことですか?普通の声掛けとは違うんですか? 普通の声掛けは「お風呂入るよ」「トイレ行こう」といったことが多いと思います。でも、これだと認知機能が落ちている人の場合、どうしてお風呂やトイレに行かなきゃいけないのかがわかりません。なので、「汗をかいたからお風呂に入ってさっぱりしよう」「トイレに行ったらお腹が軽くなって、ごはんがおいしく食べられるよ」など、理由もあわせて伝えるんです。そうしたら、介助を受ける意味もわかりやすいですよね。 そういうことですね。いつも「トイレ行くよ」だけだったので、今度からそうやって声掛けしてみます。 また、私たちが食事や入浴、トイレなどを自分のタイミングでおこなっているのと同じように、認知症で介助を受けている人にも自分のタイミングがあります。そのため、介護拒否をされるときは、違うタイミングだったから拒否したということも考えられます。そういうときは、少し時間を置いて再度、介助を試みてください。ちょっとタイミングをずらすだけで、意外にあっさりと介助を受け入れてくれることもあるんです。 へー!そんなこともあるんだ!忙しいから無理やりトイレに連れて行っちゃうこともあったので、今度からそうしてみます。 ただ、やはり松井さんがおっしゃる通り、認知症の人に合わせた介助というのは、時間がかかることもあります。介護する人に時間的・精神的な余裕がないとできないことも多いでしょう。なので、余裕のある介護をするためにも介護サービスを積極的に利用していくことが大切です。 でも、父は人と関わることが苦手で。今はデイサービスに週1回通っていますが、それも最近になってようやく通えるようになったんです。 ただ、やはり松井さんがおっしゃる通り、認知症の人に合わせた介助というのは、時間がかかることもあります。介護する人に時間的・精神的な余裕がないとできないことも多いでしょう。なので、余裕のある介護をするためにも介護サービスを積極的に利用していくことが大切です。 訪問介護は利用したことはないですね…。ヘルパーさんの言うことなら聞いてくれるかな。 やはりヘルパーさんは介護のプロですから、認知症の人の対応に慣れています。プロの力を借りて、少しでも介護の負担を減らしていきましょう。在宅介護は大変なので、気持ちに余裕がなくなって1人で抱え込みがちです。なので、できるだけ負担は分割していってくださいね。 認知症によって、介助の意味がわからなかったり羞恥心から介護拒否をしていることもある 本人の意思を尊重する介助をすると、拒否が減ることも 介護サービスを積極的に利用して、プロの手を借りて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/10/12

認知症対策 施設入居 認知症介護

認知症の母が介護施設に入居するのを拒否します。どうしたら嫌がる母を説得できるでしょうか?

入院中の母が介護施設に入居するのを嫌がるので困っています。入院中に車いす生活になり、自宅では車いすが使えないので、在宅介護は難しいんです。 それに認知症なので、何度も話をしているのに忘れてしまい、説得するのに疲れてしまいました。どうしたら母は納得してくれるでしょうか? (菅原さん・主婦・63歳) まずは、どうして入居が嫌なのか、お母様の気持ちをすべて話してもらいましょう。そのうえで、ショートステイや体験入居を利用して介護施設への抵抗感をなくしてもらうと良いかもしれません。ただ、認知症の人の場合、新しいことを覚えておくのが難しいんです。そのため、施設に入居する直前に話をしたり、施設のスタッフさんに上手く誘導してもらうなど、工夫をする必要があるでしょう。 認知症の人が介護施設を拒否する理由は 先日、母が自宅で転倒して足を骨折して入院しています。それで、車いすが必要な状態になってしまったので、介護施設に入ってもらおうと施設のパンフレットを見せたんです。そうしたら、「介護施設には行かない!」と強く嫌がられてしまいました…。なぜ、こんなにも施設に入ることを拒否するんでしょうか? 入居を拒否する理由は、おひとりお一人違いますから一概には言えませんが、主なものとしては以下のリストのような内容が挙げられます。 家を離れたくない 知らない人の世話になりたくない 共同生活することへの不安がある 認知症である自覚がない 介護施設にネガティブなイメージがある 家族に見捨てられると感じている 多くのご高齢者にとって、長年過ごしてきたご自宅は離れがたいものです。特に認知症の人は、環境が変わることが苦手なため、暮らす場所が変わると落ち着かなくなることもあります。そのため、新しい環境で暮らすということに拒否感を示す人は多いんです。ちなみに、内閣府が「自宅で介護を受けたい理由」について、以下のようなアンケートを実施しています。 へー。「住みなれた自宅で生活を続けたい」という理由が圧倒的に多いんですね。 そうなんです。このグラフは、言い換えれば「介護施設に入りたくない理由」なんです。あとは「知らない人の世話になりたくない」のも大きな理由のひとつ。家族なら良いけど、スタッフさんにお世話してもらうのに抵抗がある人が多いようです。 …あ、このリストを見て思ったんですが、もしかしたら母は「共同生活することへの不安」も大きいのかも。今まで共同生活をしたことがない人ですから、見ず知らずの人と同じ建物で生活するのが嫌なのもありえます。 そういう人も多いですね。高齢になって、外の人とのつながりが薄くなってしまうのも関係しているのかもしれませんね。それに、認知症の人の中には、自分が認知症である自覚がないことも。なので、「自分は介護を受ける必要がない」と考えて、介護施設に入る必要性を感じないんですね。 ああ、母もそういうところがあります。物忘れがあることを忘れているというか。…あと、「介護施設にネガティブなイメージがある」「家族に見捨てられると感じている」というのも母に当てはまっているかもしれません。施設に入ってほしいと伝えたら、「施設なんかに入らない!」と怒鳴られましたから。 そういうことがあったんですね…。やはり、介護施設に良いイメージのない人は多くいらっしゃいます。なので、施設が”姥捨て山”のように感じられて、「介護施設に入る」イコール「家族に見捨てられる」と考えてしまうんですね。 認知症の人の入居拒否はどう対応する? 母がどうして施設に入りたがらないのか、大まかにイメージがつきました。それでも、自宅では介護ができませんし、どうしたら母を説得できるでしょうか? まずは、「どうして介護施設に入りたくないのか」「どんな風に感じているのか」をお母様から聞いてください。先ほどの「入居をしたくない理由」は、あくまでも一般的な話ですから、お母様の気持ちをよく聞き取ってほしいんです。 母の気持ちですか…。 はい。そこから、どんな対応をしていけば良いのかがわかりますからね。ちなみに、具体的な説得方法には以下のようなものがあります。お母様の状況をふまえて、効果のありそうなものから実践してみてください。 介護施設の良さを説明する 医師やケアマネジャーに相談する 施設側にも協力してもらう 入居直前に説明する もし、介護施設や介護サービスにネガティブなイメージを持っているのだとしたら、施設入居よりも先に施設や介護サービスの良さを理解してもらいましょう!例えば、デイサービスを利用してみたりすることも良いかもしれません。さらに、自宅以外の場所に宿泊するのが嫌なのだとしたら、ショートステイで慣れておきましょう。 うーん、母は今まで訪問ヘルパーさんしか利用していませんでした。あまり、人の多いところが好きではないので、デイサービスに行きたがらなかったんですよね…。 そうだったんですね。特にショートステイは専用の施設だけでなく、有料老人ホームや特別養護老人ホームでもサービスを提供しています。もし、入居したい施設がある場合は、その施設のショートステイを利用すると、施設の雰囲気もわかって良いかもしれません。同様に、体験入居をおこなっている施設もあります。まずはお試しとして数日泊まってみて、良さそうだったからそのまま本入居、というケースもたくさんありますよ。 へー!体験入居なんてものがあるんですね。それなら母も入居してくれるかも。 そのときに、あわせて入居する施設に協力をお願いするとスムーズに行くかもしれません。 施設にですか?どんなことを協力してもらうんですか? 例えば、入居のときに施設のスタッフさんに迎えに来てもらうんです。スタッフさんたちは、入居を拒否していたり帰宅願望のある人の対応をたくさんしてきています。スムーズに入居できるように配慮してくれると思うので、プロに任せるのもアリですよ。 そういう方法もあるんですね。いざとなったら頼んでみようかな。 あとは、ご家族が説得してもお母様がなかなか首を縦に振ってくれないこともあると思います。そういうときは、医師やケアマネジャーといった第三者から説明してもらうのもひとつの手ですよ。かかりつけ医や今入院している病院の医師、担当のケアマネジャーというのは、お母様の状況をよく把握しています。それに、第三者の専門家からの意見だと、意外とすんなり話を聞いてくれることがあるんです。 だったら、入院している病院の先生に母を説得してもらうようにお願いしてみます。ただ、母は認知症が進んでいて、少し前のことでもすぐに忘れてしまうんです。病院に面会に行く度に施設に入居することを説明しても、次に面会するときにはすっかり忘れているんです。だから、先生に説明してもらっても忘れてしまうかも…。 確かに、認知症の人は新しい情報を記憶することが苦手ですから、何度、説得しても話を丸ごと忘れてしまいますよね。なので「認知症だから仕方がない」と割り切って、何度でも話をするつもりで説得する必要があります。もしそれが難しいようでしたら、厳しい言い方ですが、お母様に入居することを納得してもらうのを諦める覚悟も必要です。 えっ、納得しないまま施設に入居させるんですか!? お母様は認知症の影響で、事前に入居を了承していてもそのことを忘れてしまう可能性があります。となると、説得したご家族が疲れてしまうだけです。なので、施設に入居する当日など、直前に話をするのも良いかもしれません。記憶が薄れないうちに、入居してもらうんです。だますようで心苦しいかもしれませんが、そうしないと菅原さんやご家族の負担が大きくて倒れてしまう危険性もありますよ。 えそうですよね…。とてもじゃないですが、車いすに乗っていてまったく歩けなくなった母が自宅で生活できるとは思えません。いろんな手を使って説得してみようと思います。 もし、施設探しに迷ったら「いい介護 入居相談室」にご相談ください。たくさんある有料老人ホームの中から、お母様にピッタリの施設をお選びしますよ。 認知症であることを理解できない、慣れない環境が苦手などの理由で入居拒否をしているかも 体験入居などを利用して入居への抵抗感を和らげる、第三者に説得してもらうのもアリ 何度も説得してしても忘れてしまう場合は、直前に話をするのもひとつの手 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/10/11

認知症対策 施設入居 在宅介護 認知症介護

特養の待機者数が多くて入居できません。どれくらい待たなければいけないのですか?

先日、母を入所させたくて近くの特別養護老人ホームの見学に行ってきました。そしたら、入所待ちの人が50人!とりあえず申込みをしましたが、いつ入所できるかはわかりません。 この場合、入所するまでにどれくらいかかるんでしょうか?母の認知症が進行していて、一刻も早く入所させたいです。 (河野さん・主婦・59歳) 正直、待機期間がどれくらいになるかはわかりません。というのも、特養の入所の順番は申込み順ではなく、緊急度順で決まるからです。そのため、どれだけお母様が入所しないといけない状況なのかを特養に伝える必要があります。もし、今すぐにでも施設に入らなければいけない状況でしたら、待機期間中は民間の老人ホームに入所するのも手ですよ。 特養の待機期間はどれくらい? 先日、母を入所させたくて特養の見学に行ってきました。でも、今は満室で入所の順番待ちをしている人が50人もいるそうなんです!申込みはしてきましたが、入所できるのはずっと先になりそうです。こういう場合って、入所するのにどれくらい待てば良いんでしょうか?母の認知症が進行して、在宅介護が限界なんです。 申し訳ないのですが…正直、どれくらいの期間待つのかはわかりません。というのも、特養の入所順は申込順ではないからです。 え!?じゃあ、どんな順番で入所しているんですか? 入所の緊急性です。例えば、入所対象者さんの身体状態が悪く、在宅では介護しきれない状態だったり、ひとり暮らしやご家族が介護をできる状況でない場合は、優先度が高くなります。特養は公的なサービスのため、必要性の高い人から優先して入所するような流れになっているんですね。 うーん。じゃあ、母が緊急性が高いと思われなければいつまで経っても入所できないってことですか? 残念ながら、そういうことですね…。もちろん、入所待ちの順番が変わっているかは、こまめに施設に確認する必要があります。 そんな…。そもそも、なんで特養はこんなにも入所待ちしている人が多いんですか? 一番大きな要因は費用です。特養は公的施設のため、自治体などからの補助を受けて運営されています。そのため、入所者さんの費用負担が小さく済みますし、民間企業が運営している施設と比べて安定した運営がされているんです。それに、特養は終身利用が可能です。「終の棲家」を探している人にとっては、とても良い環境なんです。 特養の待機期間を短くするワザ 最近、母の介護するのも大変なんです。認知症が進んでいるのか、夜はあまり眠らずに落ち着きがないし、この間は夜中に家から勝手に出ていってしまい、警察に保護されました。そんなことがあってからは、私も落ち着いて眠れなくなってしまって…。早く特養に入れたいのですが、なんとかする方法はないですか? それは大変な状況です!でしたら、待機期間を短くする裏ワザをお教えしますね! 待機期間を短くする方法 待機期間を少しでも短くするためにできることをリストアップしました。もちろん、他の待機者さんとの兼ね合いもありますから、必ずしも有効とは言い切れません。が、何もしないよりはずっと良くなると思いますよ。 頻繁に情報収集をする 複数の特養施設に申込みをする 申し込み理由欄を詳しく書く 介護サービスを積極的に利用する ショートを連続で利用する 状況や介護度の変化を施設に都度報告 仕事をする 探す地域を拡大する はじめの「頻繁に情報収集をする」ってどういうことですか?特養を見つけたらあとは待つだけですよね? いえ、それだけでは順番は早くなりません!というのも、特養の空室状況は毎日のように変わります。そのため、ネットで空室状況を公開している特養であれば、頻繁にチェックをするのが大切。また、ケアマネジャーさんが空室状況に詳しいのであれば、ケアマネジャーさんを頼るのも良いでしょう。どちらにせよ、申込みできたからといって安心していると、いつまで経っても入所できない可能性があります。 そうなんですね!申込みした特養は、ケアマネジャーさんに教えてもらったところなので、空室状況をケアマネジャーさんに確認してみます。 あと、施設探しするときには、複数の施設に申込みをするのも戦略のひとつ。複数の施設に申込みをしていれば、1つの施設で空室が出たときに入所できますが、1つだけだとその可能性も低くなってしまいます。もちろん、入所先が決まったときには、その他の施設に断りの連絡を入れることはお忘れなく。そうでないと、実際には入らない待機者を施設が抱えることになってしまうので…。 なるほど…。申し込みするのは1つの施設だけでは足りないんですね。あと何ヵ所か探して、申し込んできます。 そのときに気をつけて頂きたいのが、「申し込み理由欄」を詳しく書くことです。入所の申し込みのときに必要書類に記入をするのですが、そこに申し込み理由を記入する欄があります。この申し込み理由欄に、「在宅介護での問題」「介護で困っていること」をできるだけ詳細に書いてください。詳しく書いてあることで、特養に入る必要性が高いと施設に判断してもらいやすくなります。 そうなんですね!この間の申し込みのときは、とても簡単に書いてしまいました。そんなにちゃんと読んでいるとは思わなくて…。 待機期間を短くするためには、特養に入る必要性を少しでも多く伝えることが重要です。そういう意味では、「介護サービスを積極的に利用する」ことも効果的です。 どういうことですか? 介護サービスをたくさん使うということは、ご家族だけの介護が難しいということです。積極的に利用して、「介護の手が家族だけでは足りていない」ことをアピールしましょう。また、特養の中にはショートステイをおこなっている施設もあります。なので、入所したい特養のショートステイを連続で利用するのもアリ。スタッフさんや施設担当者と顔なじみになっておいて、お母様の状況を把握してもらうんですね。 母の状況を知っていると、入所順が早くなるんですか? はい。やはりよく知っている利用者さんを受け入れる方が、見ず知らずの人を入所させるよりも施設の負担も少ないですから。それに、身近でお母様の状況を知っていれば、「入所の必要性が高い」と感じてもらいやすくなるかもしれません。ショートステイは、最大30日間連続で利用できます。なので、30日利用して1日だけ自宅に帰り、また30日間ショートステイをする、という使い方をしているご家庭もあります。こういった使い方を「ショートのロング」「ロングショート」と呼ぶこともあります。 「ショートのロング」なんて、初めて知りました…。このリストで気になっていたのですが、なんで仕事をすることが待機期間を短くすることになるんですか? これも、入所の必要性を高めるためです。介護の担い手であるご家庭が仕事をしているとなれば、介護できる人がいないので入所の緊急性は高くなりますよね。正社員でなくて、パートでも良いので仕事を始めるのも、特養に入所する戦略です。 そんな手が…。近くのスーパーで働いてみようかしら。 また、最後に特養を探す範囲を広げることも検討してください。多くの特養で待機者が多い状況ですが、中には空室が出ている施設もあります。近くの特養が空いていなくても、隣の市の特養では空室がある、なんてこともあるので、柔軟に考えて施設探しをしてくださいね。 特養の待機期間を乗り切るために 待機期間を短くするために、いくつかの裏ワザをお伝えしました。でも、やはり今すぐに入れる施設を探すのは難しいでしょう。そこで、待機期間の介護の負担をできるだけ減らす方法についてもお話しします。 そうですよね。やっぱり、待機期間がまったくないってことはないですもんね。 大きく分けると「在宅介護サービスを組み合わせる」「民間の介護施設に入居する」という2つの方法があります。在宅介護サービスを活用する方法は、今の生活に近い方法です。できるだけ介護負担が減るように、デイサービスやショートステイ、訪問介護などのサービスを組み合わせていきます。自宅での介護に限界を感じているのであれば、先ほど言った通り「ショートのロング」をすると良いかもしれません。 実は、母の介護が大変で参ってしまっていて…。ショートのロングができるところがないか探したいと思います。 そうですよね…。待機期間中も介護は続きますから、できるだけ河野さんの負担を減らすようなケアプランになるように、ケアマネジャーさんに相談してみてください。一方で、民間の介護施設にいったん入居してもらって、特養が空くのを待つ方法もあります。 民間の老人ホームも検討しましたけど、費用が高いですよね? 施設ごとに大きく金額が変わるので何とも言えないところですが、特養と比べたら料金が高くなる傾向がありますね。しかし、特養と比べて空室があるケースが多いのが特徴です。すぐに入れるところもあります。そのため、ちょっと割高でも「特養の待機期間だけ」と決めて、入居している人もいますよ。民間の施設側も、そういうケースが少なくないので遠慮せずに相談してみてください。もし、民間の老人ホーム探しで迷った場合は「いい介護 入居相談室」にご連絡ください。ベテランの相談員が、お母様の状況に合った施設をお探ししますよ。 特養の入所順は、申込み順ではなく「緊急度」順! 特養の待機申込みは、複数の施設にすること 仕事をしたり介護サービスを利用して、入所の必要性をアピール 待機期間だけ民間の施設に入居するのもアリ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/10/07

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認知症の母が徘徊して警察に保護されました。徘徊対策を教えてください

先日、同居している認知症の母が1人で外出して帰ってこれなくなり、警察に保護されました。今回は無事で帰ってこれたから良いものの、今後、危険な目にあったら…と思うと心配です。 母の徘徊を防止するための方法はあるでしょうか? (大塚さん・会社員・59歳) 認知症の方の徘徊を予防するには、お母様の部屋のドアにベルを付けて外出に気が付きやすくしたり、身につけているものにGPSを付けるといった方法があります。万が一、また行方不明になってしまった場合はご家族だけで探すのではなく、すぐに警察に連絡しましょう。また、お母様のなじみのお店やケアマネジャーさんなどと連携して捜索してください。認知症の方は事故や低体温症などのリスクが高いので、一刻も早く見つけ出せる体制をとることが肝心です。 認知症になると、なぜ徘徊する? 先日、認知症の母が1人で外出してしまいました。近くを徘徊しているところを警察の方に保護してもらって大事には至っていません。母はこれまでも認知症の症状はありましたが、自分で家から出ることはなかったんです。なんで、徘徊するようになってしまったんでしょうか? 徘徊は、認知症の周辺症状(BPSD)のひとつです。認知症の典型的な症状である中核症状の影響で引き起こされますが、すべての認知症の方に現れるものではありません。おそらくですが、お母様の認知症の症状が進行したことで徘徊するようになったものと考えられます。 そうなんですね…。認知症になると徘徊するとは聞いていましたが、そもそもどうして徘徊するんでしょう?歩き回って、どこに行くわけでもないのに…。 周りからは目的もなく歩いている、と思われがちですが、実はご本人の中では目的があって歩きまわっているんです。 えっ、そうなんですか? はい。認知症によって徘徊するのには、主に次の3つのような理由があります。 何かを探している 目的の場所に行きたい 家に帰りたい 「何かを探している」ってどういうことですか?探しものなら、外じゃなくて家の中でするのでは? 徘徊は、屋外だけとは限りません。室内で歩きまわっていることも徘徊と呼ばれます。例えば、トイレに行きたいけどトイレの場所がわからなくなって廊下をうろうろしていたり、自分の部屋に戻りたいのに行き方がわからなくなった、というケースもあります。 ああ、母もよくあります。「トイレに行きたい」と歩き回っていたので、トイレまで連れて行きました。あれは、場所がわからなくなっていたんだ…。 たぶん、そうだと思います。認知症の記憶障害の影響で、長年暮らしている自宅でも迷ってしまうことがあるんですね。さらに、めがねなどを探していたのに、めがねを探していたこと自体を忘れて歩き回る、といったこともあるようです。どちらも記憶障害によって忘れてしまい、徘徊しているんです。 なるほど。その次の「目的の場所に行きたい」というのは、どこに行きたいんですか?母はめったに外に出ない人だったので、行きたい場所なんてないような気がするんですが…。 行きたい場所は、その人によって異なります。例えば、記憶障害によって自分の中の年齢が若返って「子どものお迎えに行く」と言うこともあります。現役時代を思い出して「職場に行く」とカバンを持って出かける人もいるようです。あとは、スーパーまで行く道がわからなくなって、まったく違う場所で保護されるケースもあります。何度も通った道でも、目印を忘れてしまって迷ってしまうんです。 そんなこともあるんですね。それと、「家に帰りたい」とはどういうことですか?自分で自宅から出て道に迷っているんですよね? もしかしたら、見当識障害のために自宅が自分の家だとわからなくなっている可能性があります。見当識障害とは、今いる場所がどこかわからなくなる症状です。つまり、自宅にいても「まったく知らないところにいる」と思い込み、自宅に帰るために外に出てしまうわけですね。あわせて、記憶障害によって昔住んでいた家や実家に帰ろうとしていることもあります。 何の意味もなく歩き回っていると思っていましたが、本人なりに理由があったんですね。 徘徊の危険性 北野室長 認知症の人が徘徊すると、行方不明になったり事故にあうリスクが非常に高いです。 例えば、認知症になると危険を察知する能力が下がったり交通ルールを忘れてしまうので、自転車や自動車との事故にあう危険性があります。加えて、踏切の線路内で立ち往生してしまい、電車との事故にあった事例がいくつもあります。 また、長時間の行方不明になると、転倒による怪我・骨折のリスクも高まります。また、夏は熱中症、冬は低体温症などを引き起こし、最悪の場合、命に関わることも…。 警察庁によると、行方不明になってから5日経過した場合の生存率は0%という調査結果もあるので、迅速に発見することがとても重要です。 徘徊への対策は… 母が目的もなく徘徊しているわけではないことはわかりました。でも、どうしたら母の徘徊を止められるのでしょうか? いくつか対策があるので、順番にお話ししていきますね。 徘徊への備え 認知症による徘徊の対策は、主に以下のようなものがあります。 徘徊に気づける住環境づくりをする GPSを活用する 服や持ち物に名前をつける デイサービスを活用する 地域と密に連携する 「徘徊に気づける住環境づくり」というのは、例えばお母様の自室のドアにベルを付けて外出をわかりやすくしたり、家の玄関にセンサーを設置して外に出るタイミングをわかるようにすることです。ご家族が家の中にいるときでも、ちょっと別のことをしている間に外に出てしまうことがあります。そういった場合でも、外出を察知できるような環境を作っておくんですね。 うーん、家族の誰かが家にいるときだったら良いですが、昼間、家族が全員出払ってしまって母が1人になる時間帯があるんです。そういうときはどうしたら良いですか? そういうときは、GPSを活用するのも良いでしょう。最近では靴に装着したりキーホルダータイプのGPSなど、さまざまな”見守りGPS”が登場しています。あらかじめ、ご家族がお母様のGPSの位置をわかるように設定しておき、外出してしまったときに居場所がわかるようにしておくだけでも、行方不明のリスクが下がるでしょう。外出するのを予防するものではありませんが、危険性は低くなると思いますよ。 なるほど、GPSですね。検討してみます。 あとは、デイサービスを利用するのも良いですね。今はデイサービスを利用していますか? はい。週2回、利用しています。 でしたら、デイサービスの回数を増やすこともおすすめです。誰かの見守りがある時間を増やすことも目的のひとつですが、デイサービスのレクリエーションで身体を動かして体力を使うことも徘徊の防止につながります。 なんで、身体を動かすのが徘徊の防止になるんですか? 体力を使って程よく疲れてもらうんです。外に出ようと考えるということは体力が余っている証拠ですから、安全な方法で体力を消費して、家ではゆっくり休んでもらうんです。デイサービスに定期的に外出することで生活のリズムも作られて、健康的な生活習慣にもつながるでしょう。 なるほど。母はデイサービスの日以外は、家でテレビを見てばかりですから、そういう意味でもデイサービスを増やした方が良いのかもしれないです。 また、万が一、行方不明になってしまったときに備えて、事前に近所の人や地域の自治体にお母様の状況を伝えておくことも大切です。ご家族が認知症であることを隠したがるご家庭は多いですが、高齢化が進んだ今、認知症は身近なことです。いざという時に協力してもらえるように、ご近所や近くの交番、駅などに話を通しておくと、迅速な発見につながるでしょう。 もし歩き回っていたら… ここまでの話を聞いて、このところ母が不安そうな顔で家の中をうろうろしていることが増えたのを思い出しました。あれも徘徊ということですよね? おっしゃる通りです。そのままの状態にしておいたら、もしかしたらご自宅を出て行方不明になっていたかもしれません。そういうときに上手く対応できると徘徊の頻度が減ることもありますし、何より大塚さんとお母様の両方のストレスの軽減につながりますよ。 例えば、どうしたら良いんですか? まずは、傾聴することが大切です。なんで歩き回っているのか、何が不安なのか、ストレスに感じていることは何かを聞いてみるんです。そうしたらどう対応したら良いのかわかりますから。重要なのは、このときに話を否定しないこと。「トイレがどこかわからない」と言われて「なんでわからないの!」と、わからないことを否定してしまうと不安が大きくなって徘徊がエスカレートしてしまうことがあります。 あぁ…何度も聞かれるのでイライラして「なんでわからないの」と怒ってしまっていました…。 トイレの場所がわからないのであればトイレに誘導すれば良いんですが、自宅にいるのに「家に帰りたい」と言われてしまうこともあるかもしれません。そういうときは、お母様の言う”自宅”に連れていくことは難しいので、お茶を勧めたりお菓子を出すなど、気をそらせてください。 え、それだけで良いんですか? はい。お茶をしながら世間話をすれば、歩き回っていた理由を忘れてしまうことが多いです。だましているような気持ちになるかもしれませんが、認知症の人の気持ちを落ち着けるためにはこうした対応が有効なんです。 初めて知りました。知らなかったら「ここが家でしょ!」と怒っていたかもしれません。 そうですね、そういう対応をする人が多いと思います。認知症介護に関しては、認知症の人の言動を否定しないことが重要。ですので、あまりにも落ち着かない場合は、ご家族が付き添って外を一緒に歩いても良いかもしれません。歩くことで体力を使いますし、満足して徘徊の衝動が収まることがあります。ただ、その人の状況にもよるので、すべての対策が必ず効果があるとは言えません。実行しやすいものからいろいろ試してみてください。 徘徊によって行方不明になったら… 徘徊の予防策についてお話ししましたが、いろんな対策をとっていてもちょっとした隙に家の外に出てしまい、行方不明になってしまうかもしれません。そういうときに、決してご家族だけでは探そうとしないでください。 この間、母がいなくなったときは、家族だけで探しているところに近くの交番から連絡がありました。家族だけで探すのはダメなんですか? 認知症の人が行方不明になったときは、すぐに警察に連絡してください。近所の人に声をかけたり、地域包括支援センターやケアマネジャーさんにも連絡しておくと良いでしょう。認知症の人が1人で外出すると、事故に巻き込まれたり、熱中症や低体温症などで命に危険が及ぶ可能性が非常に高いです。そのため、1人でも多くの人に助けを求めて少しでも早く発見することが大切です。 認知症の人が事故に巻き込まれた話は、ニュースで見たことがあります。確かに、この間は何事もなかったから良いものの、次もそうとは限らないですもんね…。 大塚さんのおっしゃる通りです。もし、徘徊が止められずに自宅での介護が難しいと感じたら、介護施設への入居も検討してください。もし施設探しでお困りのことがあったら「いい介護 入居相談室」にご連絡くださいね。介護施設に詳しい相談員がお母様に合った施設をご案内しますよ。 認知症による徘徊は、何かを探す、目的の場所に行くなどの目的のある行動 玄関にセンサーを付ける、GPSを持ち物につけるなどの予防策がある 地域の人や交番などと事前に連携しておくと発見が早くなりやすい 行方不明になったら家族だけで探すのはNG!まずは警察に連絡を pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2022/10/06

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