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Q&A

認知症介護

施設入居 認知症介護 介護の基礎知識 入浴

老人ホームでの入浴回数や時間が気になります。お風呂の介助はどこまでしてもらえるんでしょうか?

認知症の母の老人ホームを探しています。母はお風呂が大好きなので頻繁に入れてあげたいのですが、老人ホームでは入浴の回数が決まっているのでしょうか? また、皮膚が乾燥しているのでお風呂から出たら保湿剤を塗らないといけません。でも、母は自分ではできないので、誰かに塗ってもらう必要があります。職員さんに塗ってもらえますか? (小池さん・パート・60歳) 老人ホームでの入浴回数は「週2回以上」と国の基準で決められています。多くの施設では週2回の入浴ですが、中にはそれ以上の頻度でお風呂に入れる施設もありますよ。また、入浴後に保湿剤を塗るのも介護職員さんが対応可能です。事前に施設に相談しておきましょう。 老人ホームでの入浴は?回数に決まりがある? 認知症の母が入る老人ホームを探しています。母はお風呂に入ることが大好きで、今も自宅で毎日入浴しています。老人ホームでは、入浴は毎日できるのでしょうか?それとも、入浴できる回数が決められているのでしょうか? 老人ホームの入浴回数は「週2回以上」と国の基準で定められています。多くの施設では、週2回入浴ができ、ご入居者ごとに「火曜日と木曜日」「水曜日と金曜日」と入浴日が決められていることが多いです。 週2回ですか…。けっこう少ないですね。 もちろん、もっと頻繁に入浴できる施設もあるのですが、その多くは介護職員さんの人員に余裕があるところです。週2回より多く入浴できる施設は数少ないのが実情ですね。 そうなんですね…。ちなみに、入浴する時間も決められているんですか?母は夕方になると落ち着かなくなるので、昼食後にお風呂に入ることが多いのですが…。 午前から夕方にかけて幅広く入浴時間を確保している施設が多いですね。お風呂の数がたくさんあるわけではないので、順番にご利用者が入浴していきます。施設の状況によりますが、事前に相談しておけば「昼食後」「14時ごろ」といった入浴時間の指定もできることがあります。 そういうこともしてくれるんですね!母はお風呂は大好きなんですが、認知症のせいか夕方になると機嫌が悪くなってしまうんです。そうなると頑固で絶対にお風呂に入ってくれなくなるので、できれば昼間に入浴させてほしいです。 もし、拒否されてしまったり発熱などで入浴ができない場合は、次の日に入浴していただくこともあります。ただ、それでも入浴できないときはお湯で濡らしたタオルで体を拭く「清拭」に切り替えて対応しています。 入浴介助の内容は? 母は足腰が弱っていてお風呂で滑る可能性もありますし、認知症の影響で自分で体を洗うこともできません。そのあたりも介護職員さんがサポートしてくれるんでしょうか? もちろんです!介護施設ではその方の心身の状況に合わせて声掛けは介助をおこなっています。入浴の際も、頭や身体を洗うときに介助が必要な人であれば介護職員さんが代わりにしてくれますよ。それに、身体機能が落ちて浴槽をまたぐのが大変になってきている人には介護用品を使ったりして動作の支援をおこないます。 そうなんですね、それなら安心です。あ、それとお風呂から出た後に全身に保湿剤を塗らないと、皮膚の乾燥がすごくて…。母は自分では保湿クリームを塗れないのですが、それも介護職員さんがやってくれますか? はい。入浴後に保湿剤や軟膏を身体に塗るのも可能です。普段、ご自宅で使っている保湿クリームがあれば、事前に施設に預けておくと良いでしょう。 老人ホームの入浴設備は? もう一つ、お風呂に関して心配なことがあって…。今はなんとか浴槽をまたいでお湯に浸かれていますが、これからもっと身体が動かせなくなったらお風呂に入れなくなってしまうんでしょうか?母は昔からお風呂が大好きなので、できればシャワーだけじゃなくてお湯に浸からせてあげたいんです。 でしたら、「チェアー浴」や「ストレッチャー浴」などの機械浴の設備のある施設を選びましょう。 機械浴ですか?初めて聞く言葉です。 機械浴というのは、座ったままで浴槽に入れるチェアー浴や寝台に横になったままで入れるストレッチャー浴のことです。機械で動かして浴槽に入るので、機械浴と呼ばれているんですね。対して、一般的なご家庭にあるユニットバスのことを「個浴」や「一般浴」と呼びます。 介護施設にはそういう設備があるんですね。機械浴の設備があると、何か良いことがあるんでしょうか? 例えばチェアー浴の場合、脚が上がらなくなって自力で浴槽をまたげなくなった人が利用します。椅子が機械によって昇降したり、椅子のまま入れるように浴槽が開く構造になっているタイプもありますね。どちらのタイプも、座ったままでお湯に浸かれるので転倒を防止できます。 なるほど!母も湯船をまたげなくなったら、チェアー浴を使えば良いということですね。 もう一つのストレッチャー浴は、座った姿勢を保てなくなった人が寝台に寝たまま入浴できる設備です。チェアー浴でも難しくなったら、ストレッチャー浴を使用するイメージですね。 そうか…、寝たきりになると座った姿勢を保つのも難しくなるんですね。 介護施設の中には、こうした機械浴設備を複数備えてご入居者の介護度に合わせて使い分けている施設がたくさんあります。長く安心して暮らすために、身体状況が悪化しても入浴できる設備を持っているのかに注目してみるのも良いかもしれませんね。 老人ホームの入浴は週2回以上。それ以上の頻度で入浴できる施設も 洗身、洗髪、着替えなどの一連の介助が可能。軟膏や保湿剤を塗るのも対応している 一般浴、ストレッチャー浴といった入浴設備を身体状況に応じて使い分けている pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/12/28

施設入居 認知症介護 グループホーム

グループホームではどんな過ごし方をしていますか?認知症の母を入居させたいと考えています。

認知症の母が入る介護施設を探しています。母はおしゃべりが好きなので他の入居者さんや職員さんとコミュニケーションを活発に取れる施設が良いと考えており、グループホームが良いのでは、と思っています。 そのため、詳しくグループホームについて知りたいです。グループホームでは、毎日どんな過ごし方をしているのでしょうか?1日の流れは決まっていますか? (矢野さん・主婦・63歳) グループホームでは、ご入居者お一人おひとりの生活スタイルを尊重しているので、毎日のスケジュールは決まっていません。なので、起きる時間や寝る時間もご入居者によって異なりますよ。もちろん、ご自分の部屋でずっとこもりきりになってしまうと認知症の症状が進行してしまう可能性がありますから、規則正しい生活ができるように共有スペースに出てこられるようにお声がけすることはあります。とはいえ、ご本人の意思を尊重した生活をおくれるように配慮されています。 グループホームではどんな過ごし方をしている? 認知症の母が入る介護施設を探しています。母はおしゃべりなので、他の入居者さんや介護職員さんと話ができる施設が希望です。親御さんがグループホームに入っている友人から、「グループホームは少人数でアットホーム」と聞いて、グループホームに興味を持っています。なので、グループホームについて詳しく教えてください。グループホームでの生活はどんな感じなんでしょうか?1日の流れが決められているのでしょうか? いえ、明確に1日のスケジュールが決められているわけではありません。起床や就寝の時間も自由ですよ。とはいえ、不規則な生活をしてしまうと健康にも良くないですし、それが原因で認知症が進行してしまう可能性も。なので、ずっと部屋にこもりきりの人には声掛けをしたり、レクリエーションに参加を促すこともありますよ。 えっ!不規則な生活で認知症が進行してしまうことがあるんですね! そうなんです。なので、グループホームではご入居者の生活スタイルを尊重しつつ、こもりきりにならないようにお部屋から出るきっかけを提供しています。例えば、毎日の食事に加えてレクリエーションといった日常に刺激を感じられるきっかけを作って、無理なく健康的な生活ができるように工夫をしています。以下は、グループホームの主な1日の過ごし方の流れです。あくまで1つの例なので、この通りにはならないこともあります。 6:00 起床 7:00 朝食 10:00 お茶 10:30 入浴・自由時間 12:00 昼食 14:00 レクリエーション 15:00 おやつ 17:00 夕食 21:00 就寝 認知症の人が自分らしく暮らせる生活スタイル 介護施設ってグループホームだけではなくて、いろんな名前の施設がありますよね?その中でもグループホームの特徴って何でしょうか?友人が「グループホームはおすすめ」と言っていたのですが、他の施設との違いがあるんですか? グループホームの一番の特徴は、「少人数での生活する」ということでしょうか。グループホームは5~9人のユニット制をとっており、毎日の生活はユニットごとです。少人数制にしているのは、認知症の人が心穏やかに過ごせる環境にするため。認知症になると新しいことや人の顔を覚えるのが苦手になるので、たくさんの知らない人に囲まれると不安になってしまうんですね。そこで、グループホームでは生活の単位を少人数にすることで、ご入居者の精神的な負担を減らしているんです。 なるほど。友人からグループホームでは少人数単位で生活していることを聞いていましたが、認知症の症状を考えてのことだったんですね。 そうなんです。不安感は認知症の症状が悪化してしまう原因のひとつ。なので、認知症の人のストレスをできるだけ減らしているんです。また、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの介護施設とグループホームの大きな違いは、家事をできる限りご入居者がおこなうこと。他の介護施設のほとんどは、料理や掃除、洗濯といった家事をするのは職員さんですが、グループホームではご入居者自身が協力しながらおこなっているんですよ。 え、そうなんですね!施設に入れば介護職員さんが何でもやってくれるものと思っていました。 もちろん、ご入居者がお一人ではできないところは職員さんがおこないます。でも、すべて職員さんに任せきりにしてしまうと、ご入居者のできることをうばってしまうことがあるんです。今ある力を生かすために、身の回りのことはできるだけご自身の手でやっていただくんですよ。それに、料理好きなご入居者には積極的に食事作りを担当してもらったり、きれい好きなご入居者には掃除を中心に家事に参加してもらったり…。介護職員さんのサポートを受けながらお一人おひとりの得意分野を生かし、ご入居者同士が協力しながら生活しています。 そういうことなんですね。うちの母も料理好きな人だったのですが、認知症になってからは危ないので料理をさせていません。でも、介護職員さんのサポートがあるならぜひ料理をさせてあげたいですね…。 ぜひ、グループホームに見学に行ったときにそういった希望も相談してみてください。施設の職員さんもお母様がお母様らしく生活できるようにサポートしてくれると思いますよ。 グループホームでは起床・就寝時間は自由 認知症の症状に配慮した少人数の9名ユニット 料理・掃除・洗濯は介護職員の手を借りながら、自分でおこなう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/12/26

認知症対策 在宅介護 認知症介護

「知らない人がいる」と言う認知症の父親。どう対応したら良いかわかりません。

このところ、認知症の父親が「庭に知らない人が立っている」「亡くなった弟が遊びに来る」などと言うようになり困っています。父が指差すところを見ても誰もいないですし…。 これも認知症の影響ですか?どのように対応したら良いのかわからず、父がおかしな発言をしたときはとまどってしまいます。 (永井さん・主婦・67歳) おそらく認知症の影響だと考えられます。特に認知症の中でも「レビー小体型認知症」の場合、幻視や幻聴といった症状が出ることが多いんです。お父様が幻覚を訴えたらそれを否定するのではなく、話をしっかり聞いてみましょう。話を聞くことでお父様の不安感が和らぎ、幻覚を見る頻度も減っていくと思いますよ。 認知症によって幻覚が見える? 認知症の父が、最近になって「庭に知らない人が立っている」「亡くなった弟が遊びに来る」などとおかしなことを言うようになってしまいました。もちろん、父が指すところを見ても誰もいません。つい1ヵ月前まではこんなことはなかったのに…。これも認知症の影響なんでしょうか? うーん。その可能性は高いですね…。ちなみに、認知症にはいくつかタイプがありますが、お父様はどのタイプの認知症でしょうか? えーっと、レビー小体型認知症と診断されました。 やはり…。おそらく、お父様はレビー小体型認知症による幻覚を見ていらっしゃると考えられます。 えっ、やっぱりそうなんですか! レビー小体型認知症は、脳内の「レビー小体」という物質が神経細胞にたまることで発症します。この物質がたまることで脳の情報を処理する機能が低下し、幻覚が発生するとされているんです。幻覚はレビー小体型認知症の典型的な症状のひとつなんですよ。 認知症による幻覚の症状は? 父のおかしな発言が認知症の症状だというのはよくわかりました。でも、どう対応すれば良いのかはわかりません…。 そうですよね。では、対策を考える前に、レビー小体型認知症による幻覚にはどんな症状があるのかを把握しましょう。具体的な症状を知っておくことで、対策をとりやすくなりますから。 そうですね…。どんな症状があるんでしょうか? レビー小体型認知症による幻覚には、以下のような症状があります。 幻視 幻聴 錯視 妄想 まずはじめに、「幻覚」とはその実体がないのにも関わらずはっきりと感覚が存在することの総称です。なので、視覚以外の聴覚や触覚などで実体のない感覚があることも幻覚と言うんです。その中でもレビー小体型認知症の症状としてよく報告されているものが幻視です。実際にはそこにない物があるように感じたり、人がいるように見えるのが特徴です。 父の「庭に知らない人が立っている」「亡くなった弟が遊びに来る」というのも、幻視なんですね。 おっしゃる通りです。他にも「子どもがたくさん立っている」のような、複数のものを幻視で見ることもあります。次の「幻聴」は、実際にはないはずの音や声が聞こえることです。「誰かが自分の悪口を言っている」というケースが多いですね。 父は幻聴はないのかな。「自分の悪口を言っている」なんてことは聞いたことがないので…。 また、幻視に似た症状に「錯視」があります。錯視は現実に存在するものが別のものに見えること。壁紙の柄が虫に見えたり、洗濯物が人に見えたりするんです。 あ!この間、父が「壁に虫がたくさんいる」と言っていたんですが、それは錯視だったのかもしれないです。最後の「妄想」は幻覚ではないような気がするんですが…。どういうことですか? はい。厳密には幻覚とは異なりますが、幻覚が原因で妄想が起こることがあります。例えば、「知らない人が庭に立っている」という幻視が、「泥棒が家に入ってきた」という妄想に発展することもあります。さらに、認知症になると自分で物をしまった場所を忘れてしまうことが増えますから、物がなくなったことが「泥棒に盗まれた」と思い込んでしまうんですね。幻覚がそういった被害妄想や物取られ妄想につながることがあるんです。 認知症による幻覚への対応はどうする? 認知症が原因の幻覚っていろんなケースがあるんですね…。それじゃあ、具体的に私はどう対応したら良いんでしょうか?顔をあわせる度に「庭に知らない人が立っている」と父に言われてうんざりしているんです。何度も「誰もいないよ」と言っても信じないし…。 あぁ…。実は、幻覚を否定するのはNG対応なんです。 えっ!?そうなんですか?だって、実際は誰もいないんですよ? それでも、お父様にとっては現実なんです。なので、お父様の言葉を否定し続けると「わかってくれない」というストレスから、不安感が強くなって症状が進行してしまうかもしれません。 そんな…。では、どうしたら良いんでしょう? お父様が安心するような声掛けをしてください。例えば、「知らない人が立っている」と言うときには、「どんな人がいるの?」と聞いてみたり、「泥棒に盗まれる」と怖がっている様子だったら「泥棒は追い返しておいたよ」と声をかけるんです。はじめのうちはそれでも幻覚を訴えるかもしれませんが、続けていくうちに症状が落ち着いて来ると思いますよ。 そう返せばよかったんですね!それくらいならできそうです。 認知症の人は、不安感から幻覚を見るようになると言われています。なので、お父様の言葉に耳を傾けてみると「自分のことをわかってくれる」と安心し、永井さんとの信頼関係もさらに強くなって症状が減ってくるでしょう。 「知らない人がいる」などの発言は認知症の症状の可能性あり! 幻覚が原因になって、被害妄想・物取られ妄想に発展することも 幻覚の否定はNG!話をよく聞いて、安心できる声掛けを心がけて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

2022/12/02

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の母親がお金に執着するように。なぜ急に「お金を盗んだ!」と言うようになったのでしょうか?

認知症の母が、毎月渡している生活費をすぐに使い切ってしまうようになりました。自分で使ったことを忘れているようで、そのお金を私が使ったと思い込むことも。お金を私が盗むと思っているのか、バッグに財布や通帳、銀行印まで入れて持ち歩いているので、外出時に置き忘れてしまわないか心配です。 数週間前はこんなことはなかったのに、なぜ急にお金に執着するようになったのでしょうか? (服部さん・会社員・59歳) 認知症になると、記憶障害や判断力の低下によってお金を使いすぎてしまったりすることがあります。そのせいでお金がすぐになくなってしまうので、お金の不安が強くなってしまうこともあるんです。お金に執着する原因はその不安感であることが多いので、お母様の話をじっくり聞く時間を作ってみてください。不安が軽減されてお金への執着が少なくなることもありますよ。 認知症になるとなぜお金に執着する? 3ヵ月ほど前に認知症と診断された母が、最近になってお金に執着するようになりました。毎月渡している生活費も1週間ほどで使い切ってしまっており、何に使ったかも覚えていないようです。さらに、自分で使ったのにも関わらず、「あなたが私の生活費を使っている!」と怒鳴りだす始末。もちろん、私はそんなことはしていません。数週間前までは、ここまでお金に執着していませんでした。なぜこんな風に変わってしまったんでしょうか? そうですね…。おそらくは認知症の症状が進行しているためだと思います。意外かもしれませんが、認知症になってからお金に執着して怒りっぽくなる人は多いんです。 そうなんですか!なんで認知症の症状がお金への執着と関係があるんですか? 認知症の症状の主なもののひとつに記憶障害があります。直近の出来事をすぐに忘れてしまう症状です。記憶障害によってお金を使ったことや自分で財布などをしまったことも忘れてしまいます。そのうえ、お金を使ったことや財布などをしまったという記憶を「忘れるはずがない」と考えているので、「お金がなくなった」「お金が盗られた」と思いこんでしまうんです。 つまり、母は自分で生活費を使い切ってしまったことを覚えてないので私のせいにしている、というわけですね。 おっしゃる通りです。もちろん、そのせいで服部さんがお母様に責められているわけですから「認知症だからしょうがない」と割り切れるものではないと思います。ただ、お金への執着は、誰もが持っている「お金がないと生活できない」という不安が認知症によって大きくなっているものだと考えられます。それを頭に入れておくだけでも、服部さんの気持ちが少しは楽になるかもしれません。 わかりました。身に覚えのないことで責められるのはかなりイライラしますが…。ちなみに、母は少し前までは生活費を1週間で使い切る、なんてことはありませんでした。これも認知症の進行が影響していますか? はい、おそらくそうです。認知症になると判断力も低下します。すると、「欲しい」と思った物を我慢するのが難しくなるんです。加えて、先を見越したお金の使い方もできなくなりますから、お金を持っている分だけ使ってしまいます。 認知症の人のお金のトラブルとは 認知症が影響したお金のトラブルには「お金を使いすぎる」「悪徳商法に引っかかる」など、さまざまなケースがあります。 あぁ、「お金を使いすぎる」は、うちの母のことですね…。先ほども話しましたが、1ヵ月分の生活費を1週間で使い切ってしまうんです…。ちょうど先日、母のところに行ったら食パンが何袋も買ってあって母に注意したばかりです。ただ、本人は自分で買ったことも覚えていないようで…。 うーん…。同じ物を何度も買ってくるのは、認知症の人がよくする行動のひとつですね。スーパーなどに買い物に行ったときに、家にまだあることを忘れているので再び購入してしまうんです。 北野室長の言う通り、母も家にあることを忘れているようです。食パン以外にも、母1人では食べきれない量の食品を買い込んでいるので、私が行く度に持ち帰ってきています。そのせいで、1ヵ月分の生活費を1週間で使い切ってしまっているんだと思います。無駄遣いを減らすにはどうしたら良いでしょうか? でしたら、1ヵ月ごとではなく、1週間ごとの生活費をお母様に渡すのはどうでしょうか?1週間分であれば、使い切ってしまっても金額はそこまで大きくなりませんから。もし、週に何度かお母様のところに通っているのであれば、その度に数日分の生活費を手渡しするのも良いかもしれません。 2~3日に1回は、母のところに通っています。お金を引き出すのが手間だったので、1ヵ月分をまとめて渡していましたが…。今度からはもっと小分けにして渡すようにします。 次に、「悪徳商法に引っかかる」というのは、ご高齢者をねらった詐欺や強引な押し売りのことです。詐欺については、テレビのニュースなどでもよく取り上げられていますよね。息子などの家族や警官、銀行員といったいろんな人物になりすまして、ご高齢者のお金をだまし取る詐欺が横行しています。ときには何百万円もの大金をだまし取られる被害も起きています。 「オレオレ詐欺」とかのことですよね?母には気をつけるように言っているんですが、その言葉も忘れてしまって…。 認知症の人の場合、どうしても言うだけでは忘れてしまいますね…。なので、「電話を常に留守電設定にしておく」「会話の録音機能のある電話機に買い替える」など、道具を使って対策していきましょう。詐欺犯の場合、自分の声が残ることをとても嫌がりますから、わざわざ留守電メッセージを残すことはしませんし、録音機能があると知ればすぐに電話を切ります。ちょっとした工夫で詐欺にあうリスクを大きく減らせるので、ぜひ試してみてください。 「財布が盗まれた!」認知症の妄想にはどう対応する? 「生活費を使い込んでいる」という妄想の他にも、「財布を盗んだ」と怒鳴られることも多くなりました。これも認知症の影響ですよね?顔をあわせる度に言われるので、いい加減疲れてしまって…。 そうですね。「財布を盗んだ」と言うことも、認知症が影響していると考えられます。これも、記憶障害の影響で自分で財布をしまったことをお母様が忘れているんです。そして、「どこかにしまった記憶がないので、誰かに盗まれたに違いない」と思いこんでいるんですね。このような思い込みのことを「物盗られ妄想」とも呼びます。物盗られ妄想については、以下の質問でもお答えしているので、参考にしてみてください。 その物盗られ妄想が起きたときはどうしたら良いんでしょうか?母にいくら「私は盗んでいない」と言っても耳を貸さず、最後には怒鳴り散らしたりして…。 もし、「財布を盗んだ」と責められたときは、お母様の言葉を否定せずに話を聞いてあげてみてください。もちろん、服部さんが盗んだわけではありませんから、肯定する必要はありません。ただ、「財布がなくなったのは大変だね」とお母様の言葉を繰り返したり、共感するだけでOKです。それだけで、少しはお母様の気持ちが落ち着くと思いますよ。 それだけで良いんですか?それじゃあ、何も解決していないと思いますが…。 それでも良いんです。「財布が盗られた」という発言は、お母様の不安が大きくなって現れたものですからそれを受け止めてあげるだけでも効果があるでしょう。それでもまだ不安そうだったら、一緒に財布を探してみてください。そして、財布が見つかったら「ほら、自分でしまったんでしょ」と責めることはせずに、「見つかってよかったね」とポジティブな声掛けをするのが大切です。最後に責めてしまうと、お母様の不安感が大きくなってしまう可能性がありますからね。 へー!なるほど。一緒に財布を探すなんてしたことがありませんでした。 なかなか財布が見つからなさそうだったら、財布探しをしている最中に好きなテレビ番組や夕食のことなど、お母様が興味を持ちそうな話題を振って気をそらせるのもひとつの手です。また「休憩しようか」などと声をかけてお茶を飲んでいるうちに、財布を探していることも忘れてしまうこともありますよ。 そんな方法があったんですね!今度、母に「財布を盗んだ」と言われたら試してみます。 認知症の人がお金に執着が強くなるのは、症状によってどんどん自分のできないことが増えてくる不満や不安が大きくなるうちに、「お金だけは自分で守らないと」と思うようになった可能性があります。なので、ご本人の不安を軽くするためにお母様の不安な気持ちをよく聞いてあげたり、お母様の趣味ができるようにして気を紛らわせる時間を増やしてみると、お金への執着が弱くなるかもしれませんよ。 認知症によって生活やお金の不安が大きくなり、お金に執着することが多い 不要なものを買ったり、詐欺に引っかかったりするトラブルが多発している 「財布を盗んだ」と言われても、否定せずに話を聞いてみて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/11/28

在宅介護 認知症介護 介護の基礎知識

母親のもの忘れがひどくて認知症になったのかもしれません。認知症ともの忘れの違いは何ですか?

このところ、母が同じことを何度も聞いてきたり少し前に話したことをすっかり忘れていたりと、もの忘れがひどくなった気がします。 「もしかしたら認知症かもしれない」と考えているのですが、認知症ともの忘れの違いは何でしょうか? (本田さん・自営業・59歳) もの忘れと認知症の違いは、体験した記憶の一部を忘れるのがもの忘れ、体験したことそのものを忘れるのが認知症です。また、今いる場所や時間がわからなくなったり、以前は楽しんでいた趣味の活動をする気力がなくなっている様子などが見られたら、認知症の可能性があります。早期に治療を開始すれば進行を抑えられますので、早めに認知症検査を受けてくださいね。 認知症ともの忘れの違いは? 母がもの忘れが多いのは以前からなのですが、最近は同じことを何度も聞いてきたり、前の日に買ってきたものを次の日にも買ってくるなど、様子がおかしくなってきたような気がします。これって認知症になってしまったんでしょうか?そもそも、認知症ともの忘れは何が違うんでしょうか? もの忘れと認知症による記憶障害はよく似ているので、違いがわからなくなってしまいますよね。ただ、もの忘れと認知症がはっきりと異なる点は「体験した記憶自体が残っているかどうか」です。 「体験した記憶自体が残っているかどうか」ですか?よくわからないです。 具体的には、その日の朝食に「何を食べたのか」を忘れてしまうのはもの忘れです。対して、認知症は「朝食を食べたかどうか」を忘れてしまいます。また、もの忘れは忘れたことの自覚があります。しかし認知症の場合、症状が進行するとだんだん忘れたことの自覚がなくなっていきます。その他にも、加齢によるもの忘れと認知症の違いをまとめてみました。 加齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ体験した記憶一部を忘れるすべてを忘れている学習能力維持されている新しいことを覚えられないもの忘れの自覚あるなくなる時間や場所見当がつく見当がつかない探し物に対して(自分で)努力して見つけられるいつも探し物をしている誰かが盗ったなどと他人のせいにすることがある症状の進行極めて徐々に進行進行する 表にある「時間や場所」というのはどういう意味ですか? 認知症の症状のひとつに今の時間や場所がわからなくなる「見当識障害」というものがあります。見当識障害は、「今が何月何日か」「今いる場所はどこなのか」がわからなくなる症状で、季節もわからなくなるため時期に合った服を選べなくなることもあります。また、認知症によってここ数十年の記憶がなくなることで自宅を「自分の家ではない」と感じて、1人で出ていってしまうことも。つまり、徘徊です。見当識障害が認知症の徘徊の原因というわけですね。 認知症になると徘徊すると聞いたことがありますが、今の時間や場所がわからなくなって起きてしまうことなんですね。そんな理由があるとは思いませんでした。 他にも、認知症になると探しものが増える人が多いです。というのも、自分でしまったことを忘れてしまうから。「しまった場所」を忘れただけであればもの忘れとも言えますが、認知症では「しまったこと自体」を忘れてしまいます。そして、自分でしまったことを忘れているので、物がなくなると「誰かに盗られた」と言って他人のせいにすることも多いです。特に、お財布や通帳、思い出の品などの大切な物へのこだわりが強くなる傾向があります。 認知症の前兆はある? もの忘れと認知症の違いはおおまかにわかりました。でも、母が認知症になってしまったのかどうかはよくわかりません…。 認知症は、基本的に急に発症するものではありません。多くの人が認知症の前兆があり、それが進行して認知症になります。なので、認知症の前兆に早めに気がついて治療を開始することが大切なんです。 そうですよね…。認知症の前兆というと、具体的にはどんなものですか? 例えば、お母様の様子で以下に当てはまるものがあれば認知症を疑っても良いかもしれません。 もの忘れをする 時間や場所がわからない 身の回りのことができない 理解力・判断力が低下している/li> 気持ちが落ち込んだり混乱している もの忘れはやはり認知症の前兆なんですね。ここ最近は、数時間前に話したことを忘れていることがあります。さっきの北野室長の言葉を借りるなら、「話したこと自体」を忘れてしまっている様子です。 なるほど、そうなんですね…。他にも何か思い当たることはありますか? あとは…「身の回りのことができない」というのも当てはまる気がします。手伝う必要はないんですが、朝の支度に時間がかかっているようです。何をすれば良いかわからなくなって、寝巻きのまま部屋から出てくるときもあるんです。昔から、きちんと支度をしてから自分の部屋から出てくる人でしたから、様子がおかしいな、とは思っているんですが…。ちなみに、「気持ちが落ち込んだり混乱している」とはどんな状態ですか?もしかしたらこれも母に当てはまるかもしれないので…。 例えば、ちょっとしたことで怒りっぽくなったり、やる気や元気がないような状態のことです。以前は楽しんでいた趣味に興味を示さなくなったというような場合も当てはまりますね。 確かに、以前よりは元気がなくなったような気がしますね。テレビばかり見ていて、出かけることも少なくなったし…。何だか、どれも母に当てはまるような気がしてしまいます。やっぱり認知症なのかな。 早めに認知症の検査を受けることをおすすめします。早期に治療を開始することで、症状が軽いまま進行を遅らせることができますから。軽度のもの忘れは年相応のものと見逃されがちです。でも、それをそのままにせず、ぜひ早い段階で検査を受けてくださいね。 認知症は体験したこと自体を忘れるなどの点が異なる 認知症には時間がわからなくなったり判断力の低下などの前兆がある 早期に治療することで認知症の症状の進行を抑えられる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/11/22

施設入居 在宅介護 認知症介護

母の介護をしている父が老老介護で限界をむかえそうです。介護と家事で毎日辛そうなので、どうにかしてあげたいと思っています。

実家で母の介護をする父が辛そうなので、どうにかしたいと考えています。父も高齢なので、母の介護と家事が体力的にきついようです。私と同居して介護する話も出たのですが、父が実家を離れたがりません。 少しでも父の負担を減らしてあげたいのですが、どうしたら良いでしょうか? (川口さん・パート・61歳) まずは、地域包括支援センターやケアマネジャーさんなどに今の状況を相談してみるのが良いでしょう。また、在宅介護サービスを積極的に活用していくと、お父様の介護の負担が減ると思います。このまま介護を続けていると、お父様が体調を崩したり「介護うつ」になってしまう可能性もあります。在宅介護が難しい状況でしたら、施設に入居することも考えた方が良いかもしれません。 老老介護に限界を感じたときの解決策 実家で母の介護をしている父が倒れてしまうんじゃないかと心配です。父も高齢ですし、身体は元気なものの、母は認知症でトイレや入浴するのも見守りが必要な状態です。それに、今まで母がやっていた家事をすべて父がやらなくちゃいけなくなったので、介護と家事の両立でとてもしんどそうなんです。どうにか父の負担を軽くしてあげたいんですが、良い方法はありませんか? なるほど…。「老老介護」の状態になってしまっているんですね。 「老老介護」?初めて聞きました。 老老介護とは、65歳以上のご高齢者が同じく65歳以上のご高齢者を介護している状況です。特に川口さんのご両親のように、配偶者が同居している要介護者の介護をしているケースがとても多いんです。 確かに、まさにうちの両親です!では、老老介護している人を支援する制度などがあったりするんでしょうか? いえ、残念ながら、老老介護に特化した支援はまだないのが現状です。ただ、老老介護のご家庭に限らず、地域の支援サービスや介護サービスは利用できますのでご紹介しますね。 地域のサービスやボランティアを活用する ご高齢者の生活や介護に困ったときに、まず頼りになるのが「地域包括支援センター」です。ここは、ご高齢者の介護や健康などさまざまなお困りごとに対応する総合窓口ですので、悩みが漠然としている場合でもとりあえず相談してみましょう。ケアマネジャーや保健師などの専門家や各機関と連携して、問題解決のために動いてくれますよ。 へー!何でも相談に乗ってくれる窓口があるんですね。 また、お母様の見守りに、地域で提供している見守りサービスを利用するもの良いかも。シルバー人材センターや民生委員、ボランティアなどによってご高齢者の見守りをおこなっている地域もあります。あと、これはサービスではありませんが、ご近所付き合いを良くしておくことも大切。何かあったときにすぐに連絡してもらえるように連絡先を渡しておいたりすると、近隣の人にも介護を手伝ってもらうと、お父様の精神的負担が多少軽くなるかもしれません。 ご近所付き合いは大切ですね…。最近は余裕がなくて、実家に帰ってもご近所さんと話すこともなかったので、近所の集まりに顔を出してみます。 在宅介護サービスを利用する 今、お母様は介護サービスを利用していますか? 訪問介護を週2回だけ利用しています。でも、買い物に行ってもらっているだけですが…。 そうなんですね!でしたら、もっと訪問介護の回数を増やしたり、他の在宅介護サービスを追加することをおすすめします。 私ももっと介護サービスを使ってほしいとは思っているんですけど、介護サービスがよくわかっていなくて…。ちなみに、在宅介護サービスってどんなものがあるんですか? 在宅介護サービスには、主に以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴介護 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 デイサービス 通所リハビリテーション(デイケア) 短期入所生活介護(ショートステイ) 小規模多機能型居宅介護 福祉用具レンタル えっ、こんなに種類があるんですね!訪問介護の他には、デイサービスの名前を聞いたことがあるくらいです。 在宅介護サービスは本当にたくさんの種類がありますから、知らないサービスも多いですよね。お父様に負担が大きい状況を考えると、デイサービスを利用してみると良いかもしれません。 具体的にはデイサービスってどんなサービスなんですか? デイサービスでは、レクリエーションや入浴介助などを提供しています。日帰りで介護施設に通う形のサービスなので、お母様がデイサービスに行っている間、お父様は自由に過ごせるんです。もちろん、家事などがあるので完全に自由というわけにはいかないかもしれませんが、デイサービスの時間だけでもお母様の介護をしなくても良い、と考えると身体的にも精神的にも楽になるんじゃないでしょうか? それは良いですね!父と母は24時間一緒に過ごしていますから、少しの間でも離れられる時間を作ってあげるのも良いかもしれないです。 他にも、在宅介護をしているご家庭がよく利用しているサービスに、ショートステイがあります。このサービスは最短1日から最大30日間、介護施設に宿泊できるもの。介護しているご家族が家を空けて介護ができないときはもちろん、介護している人のリフレッシュのためにも利用されるサービスです。 リフレッシュのためですか? はい。在宅介護をしていると、常に介護のことで頭がいっぱいになりがちです。なので、短期間でも介護施設に預けることで、溜まっていた家事をしたり自分のための時間を確保するんですね。定期的にショートステイを利用しているご家庭もありますし、ショートステイの期間に旅行を楽しんでいるご家庭もありますよ。 そんな、家族のための介護サービスがあったんですね。父にしっかり休んでもらうためにも、何日か利用したいです。 施設介護サービスを利用する もし今後、在宅介護に限界を感じたら介護施設への入居も検討してみてください。 介護施設かぁ。そんなこと、全然考えたことがなかったです。でも、父の今の状況を考えると、施設に入れることも考えた方がいいのかも…。 でしたら、参考までに介護施設にはどんなものがあるのか、お伝えしていきますね。まず、主な介護施設をリストアップしてみました。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 介護医療院 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム グループホーム サービス付き高齢者向け住宅 特別養護老人ホームは、友人のお母さんが入っているので知っています。「特養」ですよね? そうです!「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設(老健)」「介護医療院」の3つは、公的な介護施設です。そのため、比較的費用が安く設定されているのが特徴です。中でも特養は終身で利用できる施設ですので、とても人気が高く、施設によっては”数年待ち”ということも…。 えぇ!?そんなに待つんですか! 対して、民間企業が運営している有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの施設は、比較的、空室があるので早めに入居できることが多いですね。やはり公的施設の方が費用が抑えられるので、公的施設の人気が高いんです。 そうなんですね。特養が数年待ちなら、今から施設探しをした方が良いんでしょうか?父に本当に限界が来てから探し始めたら何年も待っていられないですから。 川口さんのおっしゃる通り、施設探しは”早め早め”をおすすめします。特養は待機期間が長い傾向があることに加えて、ご高齢者の状態はたった数週間で変わることがあります。私自身、「半月前は元気に歩いていたのに、急にまったく歩けなくなったから明日にでも介護施設に入居したい」というご相談を何度もいただいているんです。そういう意味でも、まだ余裕のある今のうちに施設探しを始めてくださいね。 老老介護を続けることのリスク 今回、北野さんの話を聞いて、いろいろと打つ手があることがわかってよかったです。 それはよかったです!おそらく、お父様がこのままご自宅で介護を続けているとさまざまな問題が起こると思いますから、そうなる前に対策をとっていただきたいです。 さまざまな問題というと、どんなことがあるんでしょうか? 主なものに「共倒れ」があります。老老介護の場合、介護している人も高齢なので、介護や家事などの身体的負担が大きいんです。無理をして老老介護を続けていると、腰などを痛めてむしろ介護している人も要介護状態になってしまう可能性もあります。 父もそうなってしまうかも。最近、腰が痛いみたいで…。 それは辛いですよね…。そうした身体的な負担が精神的な負担にもつながることも。「身体が痛くて眠れない」となると、寝不足によって心身ともに疲れてしまいますからね。 そうならないように、父の身体にも気をつけておきます。 また、精神的な面で特に大きな問題となるのが「介護うつ」です。介護で心身が疲れていると、ご近所の人などの外部の人との接点が少なくなる傾向があり、”閉じこもり”状態になってしまいがちなんです。その結果、友人などとの交流の機会も減ります。さらに、介護をしていて遠出ができないので、趣味の旅行やお出かけもしなくなります。すると、気持ちのリフレッシュの方法がなくなって、うつ状態になってしまうんですね。 まさに、父がそんな状態です。写真が趣味なのに、母の介護が始まってからはまったく写真を撮りに出かけていませんし、ご近所との交流もほとんどしていないみたいです。 それは心配な状態ですね…。介護サービスを活用して、お父様が自分の趣味を楽しめるような時間を確保する必要がありそうです。介護サービスは、介護される人はもちろんのこと、介護をしているご家族のためのサービスでもあります。なので、どんどん利用して少しでも介護を”楽”にしてくださいね。 介護サービスを積極的に使って、老老介護の負担を減らそう 老老介護だと、介護する人の心身的負担が大きくなりやすい 老老介護を続けると介護うつになってしまうことも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...

2022/11/11

施設入居 在宅介護 認知症介護

父親を介護施設に入れたことを後悔しています。今からでも在宅介護にした方が良いでしょうか?

父が半年前に老人ホームに入居したのですが、それから父の様子が変です。入居してから私が声をかけても反応が薄く、元気がなくなってしまったので、施設に入れたことを後悔しています。 老人ホームで寂しい思いをしているようなので、施設を退去して在宅介護にした方が良いでしょうか? (山内さん・会社員・63歳) 在宅介護にすると、さまざまな負担が増えます。そのため、すぐに施設を退去するのではなく、まずは今の施設での生活を改善してみましょう。まずはお父様が日々の暮らしの中で不満点はないかを具体的に聞いてみてください。もし、その不満点が施設側で解決できないことなのであれば、別の介護施設に転居することも検討してみてください。そのうえで、在宅介護にするかどうか判断してみてくださいね。 施設入居の後悔を軽くするために 半年ほど前から父が老人ホームに入居しています。でも、入居してから少し経ったころから父が段々元気がなくなってきて、施設に入れたことを後悔しています。仕事のために自宅で介護する余裕がなくて介護施設に入れたのですが、やはり在宅介護の方がよかったんでしょうか?退去させて今からでも自宅で介護した方が良いのでしょうか? 正直に言うと、山内さんの状況で在宅介護することはおすすめできません。というのも、介護をする人が無理をする介護は長く続けられませんし、共倒れになってしまう可能性がとても高いからです。なので今すぐ退去するのではなく、まずは今、入居している施設でお父様が楽しく生活できるように手を打ってみませんか?状況が改善されれば、山内さんの気持ちも軽くなると思いますよ。 なるほど…。「施設がダメなら家で」と自宅に呼び戻すことしか考えていませんでした。それで、どんなことをすれば良いんでしょうか? では、1つずつお話ししていきますね。 面会で不満を具体的に聞く 山内さんは、お父様のところに面会には行っていますか? もちろんです!週に1回は面会しています。面会のときに、父が段々元気がなくなっていることに気がついたんです。 そうだったんですね。面会というのはご入居者にとってもご家族と顔を合わせる数少ない機会ですから、そのときのご家族の様子がご本人に影響を与えることもあります。 「家族の様子が影響を与える」?どういうことですか? ご家族が不安そうだと、ご本人もそれを感じ取って不安になってしまいます。なので、あえて明るく笑顔で接することが大切です。やはり、「大丈夫?」など心配する言葉をかけてしまいがちですが過度に心配しすぎると、むしろ不安になってしまうんですよ。なので、「良い施設だね」「職員さんが優しいね」などの前向きな声掛けをしてあげてください。ただ、不満を話すようだったらその理由を具体的に聞き出してくださいね。それが、状況を改善するカギになるかもしれませんから。 私はよく「大丈夫?」とか「身体辛くない?」といった言葉をかけていました。逆に不安にさせてしまうんですね…。 介護施設と合わないだけかも また、施設に入居することそのものがダメということではなく、ただ単に今の施設が合わないだけ、ということもあります。ちなみに、私がこれまで入居相談をお受けしたお客様で入居した施設が合わなかった方は、「介護度が合わなかった」とおっしゃることが多いんです。 「介護度が合わない」ってどういうことですか?確か、父が入っている施設は、要支援1以上の人であれば誰でも入れると入居時に聞いていますが…。 実は、入居条件として制限をかけていなくても、実際のご入居者の介護度に偏りが出る場合があります。例えば、要支援1・2や要介護1・2といった介護度が低い人が多かったり、要介護3~5や重度の認知症の人が多かったり…。それが施設の個性でもあるので、介護度に偏りがあることに”良し悪し”はありません。でも、その個性と合っていないと、「施設が合わない」と感じてしまうんですね。 実際の入居者さんの介護度とズレてしまうと、何で「合わない」と感じるんですか? 介護度が高い人と低い人で求めるケアの内容が異なるためです。具体的には、介護度が高い人は、食事介助や排泄介助、入浴介助などの身体介助を必要とします。対して、介護度が低い人の場合、身体介助よりもリハビリやレクリエーション、他のご入居者やスタッフさんとの交流を希望する傾向があるんです。 あぁ、なるほど。それはありますね。父は要介護2で、人と話すことが好きな人なので、気が合う入居者さんとおしゃべりできる環境があると良いな、と思っていました。 もし、お父様が入居している施設の他のご入居者のほとんどが寝たきりの人だったら、それは難しいですよね。このように、ご家族やご本人の希望とズレが出ることがあるので、他のご入居者の介護度というのは重要なんです。なので、もし介護度が合っていないようだったら、別の施設に転居することも考えてみてください。 施設に要望を伝えよう 山内さんは、お父様の様子を見ていろいろと心配になって施設に入居させたことに罪悪感を感じているかもしれません。それを1人で抱えるのは辛いので、その罪悪感を施設に相談してみるのはどうでしょうか? え?父が入っている施設の人に、私のことを相談するんですか? そうです!山内さんの辛い気持ちはお父様の介護に関わることですから、決して山内さんだけの問題ではありませんよ。それに、元気がないことなど、お父様の状況についても施設にこまめに相談してください。施設に相談したらすぐに手を打ってくれることもありますから。 そうなんですね。施設の職員さんは気がついたうえで対応してもらっているものだと思っていたので、あえて相談していませんでした。 施設に相談したら案外すぐに解決した、なんてこともあります。お父様に変わった様子があったり、何か不安なことがあったらまずは施設に相談してみてくださいね。 施設入居は悪いことではない! 父を老人ホームに入居させたことをずっと後悔していましたが、北野室長の話を聞いて、少し気持ちが楽になりました。 それはよかったです。実は、親御さんを介護施設に入居させたことを後悔する人は多いんです。やはり、日本はまだ「親の介護は子どもがするもの」という考え方が残っています。でも、もうそういう時代ではありません!どんどん介護のプロに任せちゃってください! そうですね。もっと施設に頼ってみようと思います。 ぜひ、そうしてください!一昔前とは異なり、今は少子高齢社会で介護する人手が少なくなっています。介護するお子さんへの負担が大きくなっているんですね。そのうえ、共働きのご家庭が多くなっていますから、子世代が介護に割ける時間も減少しています。そうした厳しい状況で、無理やり在宅介護を続けていると介護する側が倒れてしまう可能性もあるんです。 介護離職の可能性も… 私は、もし父を自宅で介護をするのであれば仕事を辞めるつもりでいました。仕事をしながら介護するのは難しいと思ったので…。 介護離職はおすすめできません! えっ、どうしてですか?仕事と介護の両立なんて無理ですよね? 「仕事を辞めて介護に集中すれば負担は減る」と考えがちですが、実は違うんです。次の図は、介護離職した後の介護に関わる負担についてのグラフです。 えっ!?「負担が増した」の方が多いんですか? そうなんです。特に経済面での負担が大きくなっています。やはり、離職して収入が減ってしまうので経済的に苦しくなりますよね。また、収入が減った分、介護サービスを利用する頻度を下げると、ご家族が介護をする割合が増えてしまってそれが精神的・肉体的な負担の増加につながることも考えられます。つまり、離職しても介護の負担が減るわけではないんですね。 介護うつになる可能性も… また、無理をして介護を続けると、「介護うつ」になってしまうこともあります。 「介護うつ」とは何ですか? 介護うつは、介護での疲れが溜まった状態が続くことで引き起こされるうつ状態です。例えば、「楽しい」「嬉しい」といった気持ちを感じなくなり、趣味や好きなことを楽しめなくなっていると介護うつの初期症状が出ているかもしれません。 今は父の介護を直接しているわけではないので、そうしたことはないですが…。在宅介護をすると、介護うつになってしまうかもしれないんですね。 特に、介護離職をして介護に専念している人は、家族以外の交流がなくなってしまう傾向があります。そのため、介護の辛さを誰にも相談できずに抱え込んでしまい、精神的に追い詰められてしまうんです。それに、毎日が”介護一色”になってしまうので、自分の趣味などに使う時間がなくなって気分転換もできないんですね。 自宅で介護をするために離職することで、こんなにいろいろとリスクがあるとは思いませんでした。これからの父の介護について、施設や家族とよく話し合ってみます。 まずは今の施設での生活を続けられるように対策をとろう 施設と合わないのなら、転居も視野に 無理に在宅介護をすると、介護離職・介護うつの可能性も pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/11/08

認知症対策 施設入居 認知症介護

老人ホームにいる母が「帰りたい」と面会の度に言います。在宅介護はできないので困っています。

母親が最近、老人ホームに入居しました。でも、面会に行く度に「帰りたい」と泣いてしまうので困っています。もちろん、できることなら在宅介護をしたいですが、母は車いすなので自宅では生活できません。 どうしたら母は「帰りたい」と言わずに、穏やかに介護施設で生活できるようになるでしょうか? (西田さん・会社員・59歳) まずは、お母様の状況を施設に相談してみましょう。「帰りたい」と言う理由が、「まだ施設に慣れていない」や「相性の合わない入居者がいる」といったことだったら、施設側が配慮してくれることもあります。また、認知症が原因であることも。その場合も、老人ホームなら認知症ケアに慣れているので、適切に対応してくれるはずです。ご家族は過剰に心配せず、前向きな声掛けを心がけてください。 老人ホームで「帰りたい」と言う理由は? 最近、老人ホームに母が入居したので、何度か面会に行っています。でもその度に「帰りたい」と泣きつかれて困っています。母は骨折して車いすになったため、在宅介護は難しいと思って介護施設に入居させたんですが、自宅で介護した方が良かったんでしょうか…。 自力歩行ではなく車いすでの移動となると、ご自宅での生活はかなり厳しいでしょう。一般的な家庭では、車いすはまず使用できませんし、入浴や排泄の介助など、ご家族の介護負担がかなり大きくなることが考えられます。ちなみに、どうしてお母様は「帰りたい」と言っているんですか? それが、よくわからないんです。「早く帰りたい」「家に連れて帰って」と泣くばかりで…。 そうなんですね…。お母様が「帰りたい」と言う理由がわかれば、対応方法もわかるかもしれません。 本当ですか! はい。なので、まずはお母様が帰りたい理由を考えてみましょうか。例えば、一般的に以下のような理由から「帰りたい」と言うご入居者が多いんです。心当たりはありますか? 認知症の症状のため 新しい環境で不安に感じているため 施設に相性の合わない人がいるため うーん…。確かに母は認知症です。でも、認知症の症状と「帰りたい」と言うことは何が関係しているのでしょうか? 認知症の周辺症状のひとつに「帰宅願望」があります。これは、新しいことが覚えられなくなる「記憶障害」や、今いる場所や時間がわからなくなる「見当識障害」が原因で引き起こされる症状とされています。つまり、認知症によって「なぜ自分がここにいるのか」「ここはどこか」がわからなくなっているために、「知らない場所から自宅に帰りたい」と感じている可能性があります。帰宅願望については、以前の質問で詳しくお答えしているので、そちらも参考にしてみてくださいね。 なるほど…。事前にきちんと説明して母も納得したうえで入居していますが、それさえも忘れてしまっているかもしれないんですね。 認知症になると直近の出来事から忘れていきますから、もしかしたら西田さんの話を忘れているかもしれないですね。また、その次に挙げた「新しい環境で不安に感じているため」という理由は、わかりやすいんじゃないでしょうか。私たちも引っ越しをしたりしてまったく新しい環境になると、寂しさや不安を感じることがありますよね。 確かにそうですね。入居したばかりで、まだ他の入居者さんやスタッフさんと馴染めていないでしょうし。 おっしゃる通りです。施設のご入居者やスタッフさんとの人間関係も「帰りたい」と言う理由になることがありますね。例えば、認知症の影響で共用部などで大声で騒ぐ人がいたりすると、それだけでストレスになって「帰りたい」と感じてしまいます。また、当然ですが施設のスタッフさんも人ですから相性の良し悪しがあるでしょう。人間関係が悪いと居心地も悪くなりますから。居心地が悪くて自宅に帰りたくなるのはわかりますよね。 そう言われるとそうですね。認知症だったり介護施設に入居しているからって、特別な理由で「帰りたい」と言っているわけではないんですね。 本当にそうですね。一般的に、年齢を重ねるにつれて新しい環境に慣れるのに時間がかかるように。認知症であれば、新しい出来事が記憶しにくくなるのでなおさらです。それに、介護施設に入居した人の多くのご高齢者が「自宅に帰りたい」と言います。住み慣れた自宅に帰りたいと感じるのは自然であることを頭に置いておいて、お母様のお話をよく聞いてあげてください。 「帰りたい」と言われたときの対応 母が「帰りたい」と言う理由がなんとなくつかめたような気がします。でも、自宅に連れ帰って介護するのは厳しいかも。私も仕事があるので、日中は介護ができないし…。 すぐにご自宅に帰るのではなく、何か手を打ってみてもう少し様子を見ませんか?今すぐお母様がご自宅に戻ると西田さんの介護負担がとても大きくて、共倒れしてしまう可能性もあります。 北野室長の言う通りだと思います。では、どうしたら良いんでしょうか? まずは、入居している施設に相談してみましょう。もし、相性の悪いご入居者がいることで「帰りたい」と言っているのなら、フロアや居室を移動させてもらえるかもしれません。逆に仲の良いご入居者がいないから寂しがっている場合も、相性の良さそうなご入居者と同じフロアにしてもらえることもありますよ。 そんな融通を効かせてもらえるんですね! それと、お母様の趣味をレクに取り入れてもらうのも良いかもしれません。施設の中でも趣味ができるのであれば暮らしの楽しみが増えますし、夢中になって「帰りたい」と感じなくなるかもしれませんよ! それは良いですね!母は手先が器用で昔はよく編み物をしていたので、施設でもできないか相談してみます。 それに、「帰りたい」と言うのが認知症による帰宅願望である場合、やはり認知症ケアに慣れている施設スタッフさんに任せるのが良いですよ。面会での様子を施設に伝えて、普段のケアでも配慮してもらえるように相談してみてください。 やっぱり、認知症のことだったら介護のプロにお願いするのが一番ですよね。 それと、居室に自宅で使っていた物を持ち込むのも効果的です。特に認知症の方は、新しい環境に慣れるのに時間がかかって不安になりやすいので、雑貨や布団などを持ち込んでなるべく自宅での生活環境に近づけてあげると安心できますよ。居室に持ち込む物の大きさや種類によっては、施設側に確認が必要となることもありますからそこは注意してくださいね。 物の持ち込みですか…。まだ最低限の衣服しか居室に置いていないので、家で使っていたクッションとかを持って行ってみようかな。 あと、これは西田さんは既に実行していらっしゃいますが、こまめに面会に行くことも効果的です。やはり、入居してすぐは不安に感じやすいですから、短時間でもご家族に会えると安心できるんです。それに、何度も面会して「今、別れてもまたすぐに会える」と認識してもらうことも大切です。自宅に帰れなくても家族に会えると感じてもらうんですね。 そうなんですね…。毎回、面会で寂しそうな顔をされるので、いつも心苦しくなってしまって面会を控えようと思っていたのですが、しばらくは頻繁に顔を見せに行った方が良いんですね。 そうなんです。ただ、面会で「帰りたい」と言われたときに、ご家族が心配そうな顔をしたりあたふたしたりすると、お母様に「家に帰れるかも」と思わせてしまうかもしれません。なので、面会では「ここは良い施設だね」など、明るく前向きな声掛けをしてくださいね。そうすればきっとお母様も不安がなくなって、老人ホームで穏やかに生活できるようになると思いますよ。 施設に慣れていない寂しさが「帰りたい」と言う原因かも 認知症が原因で「帰りたい」と言っている可能性も まずは施設に相談。フロア変更などの対応してくれることも 居室に使い慣れた物を置くと安心できるかも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/11/07

施設入居 在宅介護 認知症介護 遠距離介護

実家に暮らす親の遠距離介護がきつくて、私の自宅に呼び寄せようと思っています。同居介護で注意することはありますか?

遠方の実家で一人暮らしをする母が数ヵ月前に認知症と診断され、しばらく遠距離介護をしていました。でも、仕事や家事と併行するのはもう限界です。なので、母を呼び寄せて同居しようと考えているのですが、不安でいっぱいです。 同居介護で注意しておくことはありますか? (菊池さん・会社員・53歳) 多くのご家庭で同居後に問題になることは、生活習慣の違いです。食事の味付けや洗濯の方法など、ちょっとしたことですれ違いになることが多いんです。また、お母様に持病がある場合、ご自宅の近くに治療に必要な診療科を持つ病院があるのかも大切。さらに、これまでとまったく異なる環境で生活することになるわけですから、お母様が孤独を感じないように配慮する必要もあるでしょう。 遠距離介護から呼び寄せるときの注意点 実家で一人暮らしをする母が先日、認知症と診断されました。この数ヵ月は私が週末に帰省して介護をしていたのですが、症状が進行してそれでは手に負えなくなりました。私も仕事や自分の家事もありますし、遠距離介護は限界だと思います。なので、私の家に呼び寄せて同居したいと考えていますが、どうしたら良いかわからず不安で…。何か気をつけておくことはありますか? そうですね…。お母様にとっては、生活環境がガラッと変わりますからさまざまな戸惑いがあるでしょう。それに、これまでまったく別の生活を送ってきた人と同居することで、他のご家族にもいろいろな影響があることが考えられます。なので、同居をする前や同居が始まった後に、以下のようなことを注意しておくと、スムーズに同居を進められると思いますよ。 どんな生活習慣か 必要な病院があるか 状態の悪化はないか 認知症の症状に変化がないか 住宅リフォームが必要か 生活習慣については、ある程度、把握できていると思います。私の実の母のことですし。 いえいえ、長年、別々に暮らしているとちょっとづつ違いが出てくるものです。例えば、高齢になるにつれて味の濃い食事を好む傾向があります。もちろん、濃すぎると健康に良くないですが、「味が薄い」と指摘される可能性もあります。それに、高齢になって固いものや繊維質の食べ物を避けていることもあります。そうした、食の好みを改めて把握する必要が出てくるんです。 あぁ、確かに。最近はすぐ食べられるおにぎりなどで済ませていたようなので、細かい食の好みはよくわからないですね…。 それに、時間の使い方についてもすれ違いが生じるかもしれません。例えば、起きる時間や食事の時間はその人の職業などによって大きく変化することなので、お母様と噛み合わない可能性もあります。 そういえば、実家に通って介護していても何時に母が起きているのかはわからないです。私や夫と娘は、仕事や学校に合わせて起きていますが、母にはそういう予定はまったくありません。起きる時間は私たちに合わせてもらわないと困るかも…。 そうですよね。そういった「合わせてほしいポイント」を整理しておくと、同居後のすれ違いが少なくて済むかもしれません。加えて、気をつけていただきたいのはお母様が「日中独居」になってしまう可能性です。 日中独居とは何ですか? 仕事や学校などで他の家族が日中に家にいなくなり、ご高齢者が1人になってしまうことです。1人でも不自由なく生活できる場合は問題ありませんが、転倒リスクが高い人や認知症が進行している人などを1人にすることは大変危険です。それにお元気なご高齢者も、1人の時間があっても見知らぬ土地なので「友人に会いに行く」といったことができなくなります。そうなると、家で何もせずに1人で過ごすしかできないので、認知症の進行のきっかけになってしまうこともあります。 同居したことで、認知症が進行してしまうなんて!なるべく1人にしないことが大切ですね。 他にも、「必要な病院が近くにあるか」も重要なポイントです。菊池さん、お母様は持病はお持ちですか? 高血圧ですね。あと、認知症でも通院しています。 高血圧と認知症であれば、対応できる病院は多いので問題ないかと思います。ただ、特別な治療や薬が必要な病気を持っている場合は、対応できる病院が近くにあるのかも事前にチェックしておきたいポイントです。 なるほど…。持病のこともよく考えないといけないんですね。 また、同居して常にお母様の状況がわかるようになるので、認知症の症状や身体状況の変化がないかについても注意してください。せっかく同居するんですから、お母様の状況をよく見てあげてください。 そうですね…。しばらく実家に帰っていなかったら母の様子がおかしくなっていて認知症になっていることがわかったので、同居したら気をつけておきます。 合わせて、お母様の状態によっては菊池さんの自宅のリフォームが必要になることもあるかもしれません。リフォームには介護保険による補助金がでますが、ある程度のまとまったお金が必要になる可能性もあります。想定外の出費となるかもしれないので、予めリフォームが必要かどうかは確かめておいてくださいね。 同居介護がきつくなったら… 同居介護が始まったら遠距離介護と異なり移動などの負担はなくなりますが、介護の負担が大きくなることが考えられます。もしかしたら、負担が大きくて同居でも介護が難しくなるかもしれません。そうなる前に、積極的に介護サービスを活用してくださいね。 今も訪問介護を利用しています。同居したら家事は私ができますし、介護サービスを利用する必要はないと思っていたのですが…。 いえいえ、それでは菊池さんに負担が集中してしまう可能性があります。菊池さんはご家族の分の家事もありますよね。そのうえ、お母様の介護も負担するとなると、かなり負担が大きくなるかもしれません。介護サービスを利用することをおすすめします。 言われてみればそうですね…。母が同居したら、いろいろと気を使わないといけないことも増えるでしょうし…。 おっしゃる通りです。それに、先ほどもお話しした日中独居を避けるために、デイサービスを利用するのも良いかもしれません。デイサービスではレクやリハビリなどをおこなうので身体を動かす機会も作れますし、利用者さんや介護職員さんとのコミュニケーションが良い刺激になると思いますよ。 そうですね。どうしても日中は家を空けることになるので、デイサービスには通ってもらった方が良いのかもしれません。 それに今後、在宅介護サービスを活用しても自宅での介護が難しくなることもありえます。そうなったら、早めに介護施設への入居も検討してください。お母様の身体状況が悪化して常に介護が必要な状態となったら、特別養護老人ホームや有料老人ホームといった老人ホームに入居することをおすすめします。 うーん、介護施設ですか。まだそこまで大変ではないので、考えたことはありませんでしたが…。 そうですよね。ただ、今後「在宅介護では難しい」と感じたら、早めに介護施設を検討してくださいね。もし、施設探しに迷うことがあれば「いい介護 入居相談室」にご相談ください。老人ホームの知識が豊富な入居相談員がお母様に合った施設をご案内しますよ。 食事の味付け、時間の使い方など生活習慣の違いですれ違いが起きることも 「日中独居」に注意。認知症が進行するきっかけになる可能性も 同居介護がきつくなったら、在宅介護サービスを利用したり施設入居も検討して pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/11/04

施設入居 在宅介護 認知症介護

認知症のせいだとわかっていても、父の介護がしんどいです。介護疲れを解消する方法を教えて下さい。

約5年前から父の介護をしています。父の認知症が進行して、1日に何度も同じことを聞いてきたりちょっと注意しただけでも激怒するようになりました。認知症のせいだとわかっていても、父に振り回されてイライラしてしまいます。 それに父が夜に起きるようになってしまい、私も一緒に起きているので寝不足が続いています。介護疲れを解消する方法はありますか? (飯田さん・64歳・パート) お父様の認知症の症状に振り回されて、とてもきつい状況ですよね。まずは、ショートステイなどを利用して介護から離れる時間を作りましょう。とにかく介護をお休みしてください。少し余裕ができたら、介護疲れが少しでも減るように介護サービスを活用しましょう。ケアマネジャーさんを頼ったりご友人などに愚痴を聞いてもらったりと、1人で抱えすぎないようにしてくださいね。 介護疲れの対策は? 5年ほど前から父の介護をしています。父の認知症が以前より進行しており、同じことを何度も聞いてきたりちょっとしたことで激怒するので、気を使って精神的に疲れが溜まっています。それに最近では夜間に起き出して落ち着かず、外に出て徘徊してしまうかもしれないので私も一緒に起きていることが多くなりました。そのため、父の介護がとてもしんどいです。何か良い解決法はないでしょうか? それはとても大変な状況ですね…。このままでは飯田さんが体調を崩してしまいかねませんから、以下のような方法で介護疲れを解消するのはどうでしょうか? 介護から離れる時間を作る 相談できる人を見つける 楽しみを見つける え、「介護から離れる」ってどういうことですか?とてもじゃないけど、そんな余裕なんてないですよ。 今のままでは介護から離れることはなかなか難しいかもしれません。なので、介護サービスを活用するんです。例えば、デイサービスに通ったりショートステイで数日宿泊してもらうだけでも、時間の余裕ができると思います。 デイサービスの方は、今も週3回利用しています。でも、家事を片付けたり寝不足を解消するためにちょっと昼寝をするとすぐ時間になってしまいますね…。 ショートステイは、利用したことはありますか? いえ、ショートステイは聞いたことはありますが、利用したことはないです。どんなサービスなんですか? ショートステイというのは、介護施設に1日から泊まれるサービスです。特別養護老人ホームなどが提供している場合もあれば、ショートステイ専用の施設がサービスをおこなっている場合もあります。施設の空室状況にもよりますが、最大30日連続で宿泊が可能です。宿泊している間は介護から離れられるので、良いリフレッシュになると思いますよ。 うーん、私のリフレッシュのために介護サービスを使っても良いんでしょうか? もちろんです!ショートステイは「レスパイト」のために使われることが多いサービス。レスパイトとは、介護をするご家族が介護を休憩するためのサービスのことを指します。ちなみに、定期的にショートステイを利用して自分のリフレッシュをしている人もいますし、ご家族での旅行のときに使っているご家庭もありますよ。 えっ、そうなんですね!今度、使ってみようかな…。 それと、相談できる人や話を聞いてくれる人を見つけることも大切です。例えば、具体的な介護の相談だったらケアマネジャーさんやかかりつけ医が聞いてくれるでしょう。逆に相談というより、話を聞いてほしいだけであれば、聞いてくれるご友人がいると気持ちが楽になるかもしれません。解決策にはならなくても、愚痴を聞いてくれるだけでも気持ちがスッキリすると思いますよ。 うーん、今まで介護のことは誰かに相談したことがなかったです…。家の事情なのでなかなか友人には話しにくいですし…。 おっしゃる通り、介護のことってなかなか話しにくいところがありますよね。そういうときは、家族の介護をしている人たちによる集まりがおこなわれていることがあるので、そこで同じように介護をしている人と話をするのも良いかもしれません。「認知症カフェ」など、認知症のご本人やそのご家族の集まりが、お住まいの地域でも開催されていると思いますよ。 へー、そうなんですね!知らなかったです。 あと大切なのは、自分の趣味のための時間を作ることです。ショートステイやデイサービスなどの介護サービスを活用して自分の時間を確保したら、自分が楽しいと思えることをしましょう。映画を見たり音楽を聞いたり、マッサージに行くのも良いかもしれません。どんなことでも良いので、リフレッシュするための時間を確保してください。 介護疲れが溜まりにくい介護をするには ここまで、介護疲れのリフレッシュ方法についてお話ししてきました。ここからは、なるべく疲れが溜まらない介護をするための対策をお伝えしますね。 介護は疲れるものですよね?疲れないようにする方法があるんですか? やはりどうしても介護疲れをゼロにするのは難しいでしょう。でも、工夫次第で介護疲れを溜まりにくくすることはできます。例えば、在宅介護サービスを活用すること。在宅介護サービスには以下のようなものがありますから、今、利用しているデイサービスに追加してみるのはどうでしょうか? 訪問介護 訪問入浴 デイサービス(通所介護) ショートステイ(短期入所生活介護) 小規模多機能型居宅介護 それに、介護保険外サービスを活用するのもひとつの手。介護保険が適用されないので費用は全額自己負担になってしまいますが、自由度の高いサービスが魅力です。 介護保険外サービスってどんなサービスがあるんですか? 例えば、お父様の散歩などの外出支援や同居するご家族の分の家事を代行するサービスなどがあります。それと、介護保険の上限を超えて介護サービスを利用する場合も、全額自己負担となります。介護保険内では、介護サービスが足りない場合には検討してみても良いかもしれません。 なるほど…。自己負担額の中でサービスの量を収めなくちゃいけないと思っていましたが、そうでもないんですね。 また、ご自宅での介護が難しいと感じたら介護施設へ入居することも検討してください。お父様を介護施設に入居させることに抵抗を感じるかもしれませんが、そのまま在宅介護を続けていたら共倒れになってしまう可能性もありますよ。主な施設サービスは以下のようなものがあります。介護疲れが限界になったら施設探しをする余裕はなくなりますから、早めに見当をつけておいてくださいね。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 心の持ち方を変えて介護疲れを予防しよう! 介護疲れを予防するために、疲れが溜まりにくい介護体制を整えておくことも大切ですが、同じくらい毎日の介護に対する心の持ち方も大切なんです。 心の持ち方?どういうことですか? 介護疲れを溜めてしまいがちな人は、頑張りすぎてしまう傾向があります。なので、頑張りすぎないようにする心構えを持つことが重要です。例えば、以下のような心構えで介護に取り組むと気持ちが楽になると思いますよ。 1人で頑張りすぎない 「できること」をやる 介護に正解はない 介護はいつまでも続くわけでない 1人で抱え込みすぎてしまうと、どこにも気持ちの逃げ場がなくなって追い詰められてしまいます。なので、誰かを頼ったり弱音を吐いたりしましょう。また、「できる範囲のことをやる」という気持ちも大切です。完璧にやろうとする必要はありません。理想の介護を求めてしまうと、心身ともにしんどくなってしまいます。 うーん、耳が痛いです。私は一人っ子で他に介護を手伝ってくれる家族もいないので、抱え込んでいたのかもしれません…。 手伝ってくれるご家族がいないと、どうしても抱え込んでしまいますよね。介護には「こうしなければいけない」という正解はありませんから、自分なりの介護をするつもりでもっと気楽にしていても良いと思いますよ。それに、介護の大変な状況がいつまでも続くわけではありません。もしかしたら認知症の薬を変えたら、お父様の状態が落ち着くこともあるかもしれません。「ずっとこんなに大変な思いをしなくちゃいけない」と思わず、「状態は常に変化するもの」と考えると多少は気持ちが楽になるんじゃないでしょうか? これまで、「私がお父さんを介護しなくちゃ」と頑張りすぎていたのかも…。もう少し肩の力を抜いて、介護してみようと思います。 デイサービスやショートステイなどを利用して介護から離れる時間を作ろう 在宅介護や施設サービスを活用して、疲れにくい介護の体制を作ろう 介護は抱え込まないことが大切!適度にリフレッシュしていこう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

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