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私たちの日常生活では、駅に行けばエレベーターや身体の不自由な人のためのトイレがあるなど、多くのバリアフリー化が進んでいます。 そうした中で、奈良市ではバリアフリーのさらなる推進に向けて、車いすや高齢者などが、安全に通行しやすいように私道の補修にも補助金を支給できるように制度を改正しました。 従来は、最低でも自動車が通れる1.8m以上の幅員がある私道が補助の対象でしたが、今回の改正から0.9mに緩和。車いすの通行のための私道も補助対象となったそうです。 補助対象の要件を緩和 奈良市ではこのたび「私道整備事業補助金交付制度」を改正し、車いすや高齢者の人が安心・安全に通行できるように私道の補修にも補助金を支給できるようにしました。 今回の改正で、補助対象の幅員要件を1.8メートル以上から0.9メートル以上に緩和。0.9m以上1.8m未満の私道工事の場合の補助率は50~70%、補助限度額は1件につき80万円になったということです。 加えて、補助申請には私道に接する住居の住民だけでなく住居のオーナーも申請可能になりました。 制度見直しの背景には、市民から「車椅子が通りにくので舗装修理を行いたいが、幅員の狭い」という相談や、土地の所有者から「補助対象私道に面して居住はしていないが、補助申請をしたい」などの問い合わせがあったことです。 制度の改正で、これまで補助対象外だった場所のバリアフリー化が期待されますね。 誰もが安心して移動できるように バス、電車の車両や人の集まる公共施設などは、早くからバリアフリー化が進んだため、誰もが使いやすくなっています。 しかし、今回の奈良市のように私道などの身近な道路のバリアフリー化はまだまだ進んでいないという実情があります。 身近な私道は住民にとっては生活道として欠かせません。健常者には何でもない穴や段差が、高齢者や障がいのある人にとっては移動が困難で外出をやめたくなるということもあります。 誰もができる限り安心して移動できるように、身近な道路のバリアフリー化が進んで行くと良いですね。
2022/07/06
高齢者の運動習慣は、介護予防やケガの予防に効果的です。 無理なく楽しめる運動であれば長く続けられますし、一人では続けられない人でも仲間と一緒に運動をすれば楽しく続けられる場合もあるでしょう。 岐阜県多治見市で高齢者の体操教室を開催している爽ケア株式会社は、シニア世代(高齢者)向けの新しい運動として、ハンモックを使ったオリジナルの運動「ハンモックフィットネス」の提供を開始しました。 さらに、健康や介護予防のため、運動したいと思っていても移動手段がなく困っている方へ向けた無料送迎サービスも行っているそうです。 現在、9割以上の人が送迎サービスを利用されており、足腰に不安がある人も「自宅前まで送迎してくれるため安心して通うことができる」と喜んでいるそうです。 座ってできるハンモックフィットネス 本来、ハンモックヨガやエアリアルヨガと呼ばれるものは、立っておこなう、ハンモックにぶら下がる、乗るなどの動作が基本です。 しかし、ハンモックフィットネスはいすに座ったままでも全身のストレッチや体幹(腹筋・背筋)、大腿の筋力トレーニングが可能。ハンモックの布は自身の体を単に支えるだけでなく、伸縮性があり包み込んでくれる安心感があるため、高齢者でも無理なく運動に取り組めます。 楽しみながら運動を習慣化 同社によると現在、約60人が体操教室に参加しており、その中の約半数の人が週2回通っているとのこと。運動することが習慣化され、「通うことが楽しみ」と言っている人や、「肩の可動域が広がった!」「膝関節の痛みが軽減された!」「冷え症が改善された!」などの喜びの声が聞かれているそうです。 運動が苦手な人でも送迎サービスで地域の人と一緒に通えば励みになりますし、外出して誰かと交流する機会を持つことは閉じこもりや認知症予防にも効果がありそうです。 楽しみながら運動を習慣化して、いつまでもハツラツと元気に過ごしたいですね。
2022/07/01
低下すると、転倒しやすくなったりそれによって骨折してしまったりと、高齢者にとって重要な力であるバランス能力。今回、イギリスの大学によってそのバランス能力が死亡リスクにも関係することが明らかになりました。 それによると、片足で10秒間立つことができる人は、10年以内に死亡するリスクが低かったそう。さらに、71~75歳の人の半分以上が片足立ちを10秒間も保てなかったそうです。 できないと死亡リスクが84%アップ イギリスのブリストル大学などが、ブラジルの研究データを元に片足立ちと死亡リスクの関係性について分析しました。 このデータは、体力や運動能力などと、心血管や死亡との関連性について調査されたもの。2009~2020年に健康診断を受けた51~75歳の約1700人が対象となりました。 その健康診断で片足で10秒立つテストがおこなわれましたが、約20%の人が不合格に。片足立ちができない人は年齢が上がるとともに増えて、51~55歳以降は年齢が5歳上がるごとに不合格者が倍増しました。 さらに、テストに合格できなかった人は死亡リスクが大幅に高いという結果に。テスト不合格者の死亡リスクは17.5%で合格した人は4.5%だったため、4倍近くもリスクが上昇することがわかっています。 テストに合格できなかった人の多くは、肥満や心臓病、高血圧などの持病を持っていたそう。そうした病気などの影響も調整して分析した結果、片足立ちを10秒継続できない人は、10年以内になんらかの原因で死亡するリスクが84%も高くなったそうです。 片足立ちが簡易的なテストに 今回の研究では、片足立ちと死亡リスクの関係について詳しいメカニズムはわからなかったそう。しかし、片足立ちが死亡リスクを把握するための簡易的なテストになる可能性は高いようです。 もちろん、バランス能力は健康的に活動し続けるためにも重要な身体機能のひとつ。バランス能力が低下すると、転倒して骨折したり歩けなくなることもあるので、維持していくことが大切です。 ちなみに、片足立ちはテストとしてだけではなくバランス能力のトレーニングにもなるので、ちょっとした時間を使って鍛えてみるのはどうでしょうか。
2022/06/30
今月14日、内閣府は2022年版の「高齢社会白書」を公表しました。 「高齢社会白書」とは、超高齢社会である日本の高齢者を取り巻く状況を調査したもの。高齢者にアンケートを取り、高齢者の暮らしの状況や就業状況や健康状況などについてまとめられています。 「高齢社会白書」によると、生きがいを感じて生活している高齢者は全体の約70%。さらに、収入を伴う仕事をしていると回答した高齢者は、そうでない人よりも「生きがいを感じている」と回答した割合が多いことがわかりました。 この結果を受けて内閣府は、「高齢者が就業などのさまざまな社会活動への参加がしやすいような環境整備を進め、その基盤となる健康づくりを生涯にわたって推進することが重要」としています。 生きがいを感じる人は社会活動に参加 今月14日、内閣府は2022年の「高齢社会白書」を公開。日本の現在の少子高齢化の状況などを明らかにしています。 そのなかで、生きがいを感じる程度について高齢者にアンケートを実施。生きがいを「十分感じている(22.9%)」「多少感じている(49.4%)」を合わせた「生きがいを感じている人」は72.3%になることがわかりました。 さらに、このように生きがいを感じている人は、収入を伴う仕事をしていることが多いこともわかっています。 具体的には、65歳以上の30.2%がフルタイムやパート勤務などの仕事で収入を得ており、そのうちの81.3%が生きがいを感じている人でした。 「コロナ自粛」ばかりにならないように 「高齢社会白書」を見ると、やはり生きがいには人との交流が大きく影響していることがわかります。 コロナ禍で人との交流する機会が減っている傾向がありますが、完全に交流をなくすと生きがいを感じなくなって、気分が落ち込んだりうつになってしまうこともあり得ます。 「仕事」というと収入を得ることばかりに目を向けてしまいがちですが、人と交流したり生きがいを感じるための良い方法にもなっているようですね。
2022/06/28
高齢者の介護度に大きな影響を与える歩行状態。歩行が不安定な状態のままでいると、転倒してしまうなど要介護度が進行する原因にもなりかねません。 この歩行状態が悪くなる原因のひとつにオムツがあります。 というのも、歩ける人がオムツを利用する際にはパンツタイプの歩きやすいものを選ばないと歩行の邪魔になってしまうため。さらに、サイズがあっていないと皮膚トラブルや隙間からのモレにつながることもあります。 そこで、花王は佐賀大学や筑波大学と協力して紙パンツの吸収体の厚さと歩行動作の関係に着目した調査を実施。その結果、紙パンツの吸収体が薄いほど歩行の安定性が向上して、歩行時のふらつきが減ることがわかりました。 紙パンツの厚さが歩行に影響する 衛生用品や洗剤などメーカーである花王が、佐賀大学や筑波大学と合同で高齢女性の紙パンツの吸収体の厚さが歩行状態に与える影響について調査をおこないました。 この調査では、健康な高齢女性15人を対象に、吸収体の厚さが異なる3種類の紙パンツを使って歩行動作を分析。両足の前後の幅(歩幅)や左右の幅(歩隔)、歩く速度、両足のふくらはぎの筋肉の変化、全身の関節の動きなど、さまざまな観点から歩行の状態を調べました。 その結果、吸収体が薄いほど左右の足運びのバランスが良くなり、身体が安定して歩隔が狭くなることが判明。さらに、足の筋力の変化が均等に近づき、身体のふらつきも減っていました。 このような身体的な違いに加えて、吸収体が薄いほど違和感が減って装着感が良くなるという心理的な面でもメリットがあることもわかりました。 今回の結果を受けて同社は、吸収体が薄い紙パンツにすることで歩行時の身体のバランスが安定してふらつきが減り、転倒などのリスクが低減できる可能性があるとしています。 「歩きやすさ」も選ぶ基準に 介護用品の売り場に行くと、さまざまなオムツや紙パンツが並んでいて「どれを買えばいいかわからない」と感じたことのある人もいるかもしれません。 そういうときに、歩きやすさに注目して選ぶのもひとつの手。特に、自分で歩行できる人の場合、歩きにくいものを選ぶと歩くことが嫌になって歩く機会が減り、身体状態が悪くなって介護度が上がってしまうこともあり得ます。 紙パンツを選ぶときは「吸収量が多いもの」を選びがちですが、そのときの身体状態に応じて「歩きやすさ」「サイズ」「吸収量」などを変えて柔軟に変更するのが良いかもしれませんね。
2022/06/27
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから2年以上。コロナ禍で外出することが減り、運動する機会も減ってしまった人もいるかもしれません。 しかし、身体を動かすことが減ると「フレイル」になってしまうことも。進行すると要介護状態になってしまう可能性もあります。 そこで、健幸ライフ社は足ふみ運動ができる「あしふみ健幸ライフ」を介護事業所向けにレンタルを開始。利用者のコロナフレイルに頭を悩ませる事業所を対象に20施設限定で無料で貸し出しをするそうです。 座ったままできる「足ふみ運動」 健幸ライフ社は、足ふみ運動ができる「あしふみ健幸ライフ」の無料レンタルをおこなうことを明らかにしました。 この商品は、いすに座ったままで足ふみ運動ができる運動器具。厳選した国産杉を使った台に脚を乗せて上下させることで効率的に脚の運動になります。 いすに座ってできるうえに、強い力を必要としないので足腰が弱った高齢者でも簡単に使用可能。その一方で、股関節や脚の大きな筋肉がほぐれ、第2の心臓とも呼ばれるふくらはぎも動かせるため、血行が良くなるそうです。 その効果は、同社の実験でも明らかになっており、この器具で足ふみをして30秒後には足首の血流が10倍、額の血流は2倍に増加していたとのこと。全身の血の巡りが良くなることでむくみや冷え性を解消したり足のリハビリ効果が期待できます。 また、この器具は一人ひとり個別で運動が可能。そのため、コロナ禍で集団での運動ができなくても1人で身体を動かせます。 コロナフレイルを防ぐために 外出機会が減って、運動不足だとわかってはいても人手が足りないために運動レクをおこなえなかったり、長時間の立位が難しい利用者が多いためにできる運動が限られていたりと頭を悩ませている事業所も多いのではないでしょうか。 そういったときに、この運動器具のような道具を導入してみるのも良いかもしれませんね。 「テレビばかりを見ている」「長時間、座りっぱなし」という状況は、フレイルを招いたり介護度を上げる原因になりかねないので、少しでも身体を動かせるようにしたいですね。
2022/06/20
高齢化によって、2025年には65歳以上の高齢者が30%を超えることが予測されている日本。そこで、介護サービスを提供する介護事業者なども高齢者がいつまでも元気に生活できるような個性的なサービスを提供しています。 例えば、石川県の病院では足腰の不自由な高齢者を対象に、買い物支援とリハビリを組み合わせた「ショッピングリハビリ」を導入。歩行器とショッピングカートを合わせた「楽々カート」を使って、作業療法士が付き添って買い物をおこなうそうです。 「歩行器+買い物カート」でリハビリ 石川県小松市にある小松ソフィア病院では、リハビリと買い物を兼ねた「ショッピングリハビリ」を今年の夏から導入する予定。それに先立って、今月9日まで無料モニターを募集していました。 このリハビリは、ショッピングリハビリカンパニー社が開発した「楽々カート」を使って買い物をするというもの。前腕をカートに乗せた状態で買い物ができるので、スーパーの中などの長距離の移動の負担を軽減しながら買い物ができます。 今月2日の試験運用は、イオンモール新小松内でおこなわれ、同病院の訪問リハビリを受けている女性が参加。自力で歩けるものの長時間の歩行が難しい状態でしたが、同行した作業療法士などとともに約40分ほどの買い物を楽しみました。 こうした買い物は歩行リハビリだけでなく、認知機能の改善にもつながるとのこと。お金の計算や店員と会話をすることが脳の刺激になるのだそうです。 介護予防を楽しんで 目前に迫る「2025年問題」。団塊の世代が75歳の後期高齢者となり、国民の4人に1人が後期高齢者となります。 それと同時に、介護サービスを利用する人が増えて介護保険の支出も増加していくことが予測されており、日本の大きな課題となっているのです。 そこで、注目されているのが介護予防。介護が不要だったり比較的軽度な要介護度の高齢者の身体状況を悪化させないための取り組みが各地でおこなわれているのです。 ただ、介護予防をするためだからといって、つまらないと感じながらも運動や脳トレをするだけでは継続ができず、効果が減少してしまいます。 そのため、高齢者向けのサービスを提供する事業者の中には、今回の病院のように楽しみながらできるリハビリや介護予防サービスを提供しているところもあります。 「介護状態にはなりたくないけど、介護予防教室はつまらないな」と感じている場合は、こうした「楽しい介護予防」に取り組んでいる事業者を探してみると良いかもしれませんよ。
2022/06/15
高齢化に伴って課題となっているのが、認知症の高齢者が増加することです。 厚生労働省の推計によると、認知症を発症する人は2025年には675万~730万人、2030年には744万~830万人にまで増えるとされています。 そのため、地域の高齢者が長く健康に過ごせるように、認知症予防教室などが全国的に開催されています。 例えば、広島県では生協ひろしまと広島大学が共同で「ひろしまGENKI体操」開発。骨に注目したユニークな体操で、高齢者の健康維持を目指しています。 さらに、島根県では山陰中央新報を活用した「大人の新聞教室」を実施。新聞の効率的な読み方や普通に読むだけではない新聞を使った認知症予防法を解説しました。 気軽に参加できる介護予防教室 広島県広島市では、「ひろしまGENKI体操」の教室が開催されました。 この体操は、生協ひろしまと広島大学が共同で開発したもの。高齢者の認知症を予防して、健康寿命を伸ばすことを目的に作られています。 この体操で注目しているのが骨。骨は叩いたり揺らすなどの刺激を与えることによって骨密度が上がるだけでなく、免疫力や記憶力を高める効果があるとされているためです。 この体操を監修した広島大学の教授によると、1週間に1回の体操を3ヵ月続けた人は、認知症検査の成績が15.2%も上昇したそうです。 また、島根県大田市では山陰中央新報を活用した「大人の新聞教室」を実施。新聞記事の特徴や効率的な読み方がレクチャーされました。 例えば、新聞記事は1段落目のリードに記事の要点をまとめており2段落目以降でリードの内容を補うこと、スポーツ記事などの写真は記者が次に何が起こるのかを想像しながら撮影することなどが紹介されました。 さらに、新聞紙をきれいに素早く巻き上げたり「木」偏の漢字が記事の中に何文字あるのかを探すなど、参加者は記事を読むだけではない認知症予防法についても体験しました。 「とりあえず参加」でOK 地域にさまざまな介護予防教室がありすぎて、「どれに参加すれば良いの」と迷ってしまう人もいるかもしれませんね。 ただ、このような集まりは内容も大切ですが、何より参加することが重要。というのも、日本老年学的評価研究などの研究によって、参加する集まりの場が多い人ほど要介護リスクが低いということがわかっているためです。 そのため、どの介護予防教室に参加しようか迷ったときはとりあえず参加してみること。1つ参加してみると他の教室にも参加しやすくなることが多いので、興味を持ったものから気軽にチャレンジしてみるのが良いのではないでしょうか。
2022/06/07
世界一の長寿国である日本。全国の65歳以上の高齢者の割合は28%ですが、地域によってはさらに高齢化率が高い場合もあります。 特に地方の高齢化は深刻。そのため、多くの自治体では高齢者の健康維持に関する取り組みによって医療負担の負担軽減や医療費の増加を抑えようとする事業がおこなわれています。 そうしたなかで福井県若狭町では、「わかさ健活プロジェクト」がスタート。住民にスマートミラー「アフラックミラー」を貸し出し、ミラーを通して専門家による栄養指導や運動指導を受けられる取り組みです。 高齢者宅に最新スマート機器 福井県若狭町で「わかさ健活プロジェクト」が開始されることがわかりました。 このプロジェクトは、地域住民の自宅にアフラック社提供の「アフラックミラー」という鏡形のデジタル機器を導入。このミラーを使って健康増進、健康寿命の延伸を目指すそうです。 このミラーを見ると、顔の表面温度や脈拍、肌の保湿状態などが記録可能。さらに、食事内容や運動風景を撮影して管理栄養士などの専門家に送ることで、自宅で専門家による健康指導が受けられます。 今回のプロジェクトが開始される以前、若狭町では「若狭町生き抜くプロジェクト」が行われていました。加齢によって筋力の低下などを引き起こす「サルコペニア」対策を重点的に実施するなかで、高齢者へ指導する医療従事者不足が課題になったそうです。 そこで、今回、デジタル機器を活用して離れていても専門家が指導をできるようにすることで、医療従事者の不足の解消。加えて、ミラーを使って健康知識が増えることで、家族や近隣の住民同士がお互いの健康を気遣う「共助型指導」の確立を目指すとしています。 医師不足問題の解決にも 日本の医療従事者不足が、深刻なものとなっています。 特に、医師数は先進国でも最低水準。主要先進国などで構成する経済協力開発機構(OECD)加盟国30ヵ国のうち日本は26位という数字も発表されているのです。 そのため、地域住民が健康維持をしたくても医師などの専門家の指導を受けにくい状況に。自治体としても取り組みに協力してくれる医療従事者がいないと事業を進められないでしょう。 そこで、今回のプロジェクトのようにデジタル機器を活用できると良いのかもしれませんね。 ただ、こうしたデジタル機器に慣れていない高齢者も多いので、高齢者がデジタル機器に慣れるサポートも同時に検討する必要がありそうですね。
2022/06/07
高齢者がいつまでも元気でいるために注意したいのが「サルコペニア」と「フレイル」です。 サルコペニアとは、筋肉量が少なくなり、身体機能が低下している状態のこと。フレイルは加齢によって体力が落ち、病気などを起こしやすい状態のことです。 どちらも進行すると介護が必要になることがあり、「要介護状態の前段階」と言われることもあります。 そうなることを防ぐために、イタリアの総合病院でサルコペニアやフレイルの高齢者の身体機能の低下を抑制するプログラムを実施。その結果、健康維持のための運動や食事の指導をすることで、身体機能の低下を抑えることができました。 フレイルの進行を抑えるために イタリアのアゴスティーノ・ジェメッリ総合病院で、身体機能の低下した高齢者を対象に身体活動や食事の指導をするプログラムが実施されました。 このプログラムは、身体的フレイルとサルコペニア状態にある約1500人の高齢者を対象に実施。対象者を指導を受けるグループと指導を受けないグループの2つに分けて、その後の身体機能の変化を比べました。 このプログラムの指導内容は、週2回、中程度の運動を施設で受けて自宅では最大週4回おこなう運動と栄養に関するカウンセリングを受けるというもの。毎日の対象者の身体活動は、対象者の太ももにつけた活動量計で測定されました。 その結果、プログラム開始から36ヵ月後までに歩行機能に障害が起きたのは指導を受けたグループの46.8%、受けていないグループの52.7%という結果に。指導を受けたグループの方が歩行機能の維持ができた人が多いことがわかりました。 さらに、指導を受けたグループの女性は指導を受けていない女性と比べて、24ヵ月後の筋力と筋肉量の低下が抑えられていたそう。ちなみに、男性ではこの傾向はありませんでした。 研究グループによると、フレイルの高齢者に対して運動の指導が効果があることが示されているものの、医療現場ではあまり重視されていないそう。しかし、運動であれば過剰治療につながるおそれが少ないので、高齢者にとって有効とのことです。 運動するきっかけを作って サルコペニアやフレイルは、身体を動かさないとどんどん進行してしまいます。 そのため、高齢者の活動を推進する取り組みがあると、自発的に出かけるきっかけになって身体を動かす機会が増えるのではないでしょうか。 最近では、歩くのを楽しくさせる運動アプリなども登場しています。そうしたものを活用して活動量を増やすと、継続がしやすいかもしれないですね。
2022/06/02
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。