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長引く介護業界の人手不足。採用を促進して人材を増やそうとしたり、問題解決のためにさまざまな取り組みがおこなわれています。 そうした取り組みのひとつとして、介護業界にもICT化の波がやってきています。福祉・介護機器の研究開発をしているZIPCARE社が開発したのは、次世代型見守りロボット「まもる~のSHIP」。この見守りロボットが、入居者の脈拍や呼吸、離床などをリアルタイムで捉えて、介護スタッフに通知します。 それによって、介護スタッフの業務負担が減るだけでなく、データを使ってより良いケアを提供できるようになるそうです。 見守りロボットで常時見守りを 福祉・介護機器の研究開発を手掛けるZIPCARE社が、新商品である次世代型見守りロボット「まもる~のSHIP」を無料モニターを募集することを明らかにしました。 このロボットは、センサーをベッドのマットレスの下に設置することで、入居者の睡眠・離床状態を把握可能。さらに、脈拍や呼吸といったバイタルや居室内の温度や気圧なども検知して、介護スタッフはリアルタイムで情報を確認できます。 介護スタッフは、パソコンなどで情報を把握。アプリを使ってスマートフォンでも確認できるので、他の業務の合間でもすぐに状況を把握できます。 さらに今回、オプションで「チャット機能」「インカム機能」「カメラ機能」にも対応。「チャット機能」「インカム機能」はスタッフ同士の情報共有に使え、「カメラ機能」は居室内の異常を検知したときに、離れた場所からも状況が確認できるそうです。 データを活用してケア向上に 忙しい介護スタッフにとって、巡回業務は負担のひとつ。そのうえ、夜間の人手の少ない時間帯は、排泄介助に追われて入居者の異常に気が付きにくいこともあります。 そうしたときに見守りロボットを活用できると、業務負担が大幅に減らせるのではないでしょうか。 さらに、見守りロボットで手に入れたデータを利用することで、ケア内容の改善も可能。睡眠状態を改善したことで日中の活動量が増える、といったこともできるかもしれませんね。
2022/08/01
介護業界で、LIFE(科学的介護情報システム)の運用が始まって1年が経過しました。 LIFEとは、国が管轄する集中管理システムのこと。介護事業者がLIFEに利用者の心身の状態に関する情報(介護データ)を登録すると、国が蓄積されたデータを分析して、ケアに関する提案をしてくれます。このシステムは、介護サービスの品質を向上させることを目的に、2021年4月から運用が始まりました。 さらに、国はLIFEの利用率増加と科学的介護を推進する目的として、LIFEへ情報提供をした事業所に対して「科学的介護推進体制加算(LIFE加算)」をはじめとした各種加算を創設しました。 それによってLIFEを導入する介護事業所は急速に増加していますが、難易度が高く手作業によるデータの入力作業が現場での介護職員の業務を圧迫するなど、運用の負荷が課題となっています。 そこで株式会社ルネサンスは、今年10月より通所介護施設向けに自社で開発した加算取得支援サポート「R-Smart」の提供を開始すると発表しました。 「R-Smart」とは、通所介護施設における個別機能訓練加算と口腔機能向上加算の算定に必要な帳票作成やLIFEとの連携を実現するシステムのこと。加えて、利用者の評価や運動プログラムの導入も支援できるサービスだということです。 加算算定における利用者への説明にも活用できる 株式会社ルネサンスは、通所介護施設でのLIFE運用に伴う加算算定を効率的に行なうサービス「R-Smart」の提供を開始すると発表しました。 このサービスを活用することで帳票作成の業務負担の軽減や、利用者に効果的な運動プログラムの提供ができます。さらに、加算算定における利用者への説明など加算取得に向けた支援も可能となるそうです。 ちなみに「R-Smart」の提供を始めることにした理由は、同社が運営するデイサービスで、このシステムを活用してスムーズな加算取得と業務の効率化が図れたからです。 そのため、他の通所介護事業者にも提供し、業務環境の改善や利用者の満足度向上に役立てて欲しいと考え、提供を始めることにしました。 LIFE未登録施設では「データを入力する職員の負担が大きい」が63.8% 厚労省は、今年3月にLIFEの活用状況等に関する調査の結果案を公表しました。 これによると、LIFEにデータ登録を行っている事業者のうち「LIFEに利用者のデータを入力し管理することで、利用者の状態や課題を把握しやすくなった」という事業所は全体の34.8%という結果でした 一方で、LIFEが未登録で、今後もLIFEを活用したいと思わない事業者では、その1番の理由を「データを入力する職員の負担が大きい」と63.8%の事業者が回答しています。現状、誰もが使いやすいと感じるシステムとは言えない状況が伺えますね。 LIFEの活用は、介護現場の業務を効率化して質の高いサービスの提供につながると言われています。どこの介護事業所でも使いやすくメリットを感じられるシステムとして、導入が進んでいくことを期待したいですね。
2022/07/21
介護現場の人手不足は深刻です。2025年には約30万人の介護人材が不足すると言われています。そのため、限られた人材で効率的に業務を進めていくために介護現場の業務改善は必須と言えます。 しかし、現場では依然として記録業務は手書きというところも多く、業務改善につながるデジタル化は進んでいないのが現状です。 そこで、kanata株式会社は、記録を音声で入力できるデジタルツール「kanaVo mobile」を発売しました。これは、携帯端末が音声で認識した介護スタッフと利用者の会話を文章化し、「AI(人工知能)」が自動的に記録するというものです。 これによって、介護スタッフは介助中の出来事やバイタルデータなどを声でメモ取りできるようになるため記録業務の効率化が期待できるそうです。 利用者との会話をAIが記録する kanata株式会社は、デジタルツール「kanaVo mobile」を発売しました。 これは、「音声認識」により介護スタッフと利用者の会話を文章で書き出し、「AI」が自動的に要約して記録するというデジタルツール。利用者のバイタルデータや介助中の出来事をメモ代わりに記録できるそうです。 ちなみに、この「kanaVo mobile」は、巡回中や介助中に両手を使わなくてもハンズフリーで操作可能。携帯端末に記録された文章は一覧表示で確認できるそうです。これまでのように手書きでメモ取りをする手間や、記録をし忘れることもなくなりそうですね。 ケアの質の向上につながる 人材不足が深刻な介護現場。人材不足を解消するためには人材確保をすることに加え、業務の効率化を進めていく必要があります。 そのなかでも、時間のかかる記録業務のデジタル化は急務。記録作業を効率化できれば、介護スタッフの負担を軽減できますよね。 「記録に追われて利用者と関わる時間が取れない!」と、日々もどかしく感じている多くの介護スタッフの想いにも応えられるのではないでしょうか。本来の業務である介護サービスに割ける時間が増えると、ケアの質の向上にもつながりますね。 介護スタッフの負担を減らすデジタル機器が、介護現場に増えていくことを期待したいですね!
2022/07/20
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから2年以上。コロナ禍で外出することが減り、運動する機会も減ってしまった人もいるかもしれません。 しかし、身体を動かすことが減ると「フレイル」になってしまうことも。進行すると要介護状態になってしまう可能性もあります。 そこで、健幸ライフ社は足ふみ運動ができる「あしふみ健幸ライフ」を介護事業所向けにレンタルを開始。利用者のコロナフレイルに頭を悩ませる事業所を対象に20施設限定で無料で貸し出しをするそうです。 座ったままできる「足ふみ運動」 健幸ライフ社は、足ふみ運動ができる「あしふみ健幸ライフ」の無料レンタルをおこなうことを明らかにしました。 この商品は、いすに座ったままで足ふみ運動ができる運動器具。厳選した国産杉を使った台に脚を乗せて上下させることで効率的に脚の運動になります。 いすに座ってできるうえに、強い力を必要としないので足腰が弱った高齢者でも簡単に使用可能。その一方で、股関節や脚の大きな筋肉がほぐれ、第2の心臓とも呼ばれるふくらはぎも動かせるため、血行が良くなるそうです。 その効果は、同社の実験でも明らかになっており、この器具で足ふみをして30秒後には足首の血流が10倍、額の血流は2倍に増加していたとのこと。全身の血の巡りが良くなることでむくみや冷え性を解消したり足のリハビリ効果が期待できます。 また、この器具は一人ひとり個別で運動が可能。そのため、コロナ禍で集団での運動ができなくても1人で身体を動かせます。 コロナフレイルを防ぐために 外出機会が減って、運動不足だとわかってはいても人手が足りないために運動レクをおこなえなかったり、長時間の立位が難しい利用者が多いためにできる運動が限られていたりと頭を悩ませている事業所も多いのではないでしょうか。 そういったときに、この運動器具のような道具を導入してみるのも良いかもしれませんね。 「テレビばかりを見ている」「長時間、座りっぱなし」という状況は、フレイルを招いたり介護度を上げる原因になりかねないので、少しでも身体を動かせるようにしたいですね。
2022/06/20
介護の現場で働く人の多くが抱えている悩みのひとつに、腰痛があります。いすから車いすに移乗したりする際に、高齢者の身体を抱えあげることで腰に負担がかかり、腰痛を引き起こしてしまうのです。 しかし、介護現場では「腰痛になってからが一人前」という認識があり、腰痛があることが当たり前になっている実情もあります。 そうした状況を変えようと、大分県の福祉協議会が「ノーリフティングケア」の勉強会を実施。県内の介護施設の施設長など約100人が”抱えあげない介護”について学びました。 抱えあげない介護を学ぶ 今月15日、大分県大分市で「ノーリフティングケア」を学ぶ勉強会が開かれました。 ノーリフティングケアとは「抱えあげない介護」とも呼ばれており、人の力だけではなく福祉用具やロボットなどを活用して介護をおこなう手法です。 この介護手法はオーストラリアが発祥。かつて、看護師の身体疲労による腰痛が増えて看護師不足が深刻化した際に、腰痛予防策としてスタートしました。 ノーリフティングケアを広めている「日本ノーリフト協会」によると、日本での介護職の腰痛率は72%。「腰痛をもって一人前」との認識もあるほど、介護現場にとって腰痛が当たり前になっている現状があるそうです。 そこで、ノーリフティングケアは人の力を使わない介護を実施。今回の勉強会では、リフト式の移乗機械を使ってベッドから車いすへの移乗のデモンストレーションをおこなったり、スライディングボードなどの補助器具の紹介をしました。 このノーリフティングケアが広まることで腰痛を理由とした介護職員の離職を減らして、深刻な人手不足を軽減する効果も期待されています。 費用・設備面で課題 ノーリフティングケアは、介護職員のスキルだけに頼るのではなく、器具や機械を積極的に使って経験の浅い職員でも身体の負担のない介助ができるようにする、という考え方です。 そのため、介助を受ける高齢者にとっても職員の経験に左右されずにいつも安全なケアを受けられるメリットがあります。 ただ、介助器具・機械を導入するには費用がかかります。さらに、機械を使うための場所が足りなかったり、現在使っている車いすなどが補助器具に対応していない場合もあり、なかなか導入が進んでいないのが課題となっています。 ノーリフティングケアを実現するためには、そうした問題を解決する国や自治体の柔軟な支援が必要なのではないでしょうか。
2022/06/17
介護現場で聞かれる悩みのひとつに腰痛があります。 いすから車いすへの移乗や離床の介助など力仕事の多い介護の現場では、多くの介護職員が腰の痛みに悩んでいる現状があります。 この問題を解決するために、身体に装着するアシストスーツが登場しています。 そのなかのひとつに、アシストスーツ「楽衛門(らくえもん)」があります。このスーツは、モーターなどの動力を使わずにゴムの力を利用して力仕事をサポートするので、軽くて長時間使用していても疲れにくいそうです。 現場で使いやすいアシストスーツ ラクエモン社が、介護職員の腰の負担を軽減させるために開発したのは、アシストスーツ「楽衛門」。オーバーオールのような見た目で、男女関わらず使用できるデザインのスーツです。 このスーツの仕組みは、腰から背中にかけての独自の「超ハイパーゴム」の復元力によって力仕事をサポートします。 復元力とは、伸びたゴムが元に戻ろうとする力のこと。腰をかがめた姿勢で伸びたゴムが、身体を起こすのに合わせて縮むので、身体を引っ張り上げてくれるのです。 また、このスーツは「軽量」「低価格」「装着が簡単」なのが特徴です。 まず、軽さについて、このスーツの重さは800グラム。長時間着用するものなので、モーターなどを使わず、ゴムが伸び縮みする力を利用することで軽量化しています。 そして、価格は41,800円(税込)。数十万円することもあるアシストスーツのなかでは比較的安い価格で購入できるのが魅力です。 さらに、装着が簡単にできる点もポイント。つなぎを着るような感覚で10秒で着ることができるほど簡単に装着できるそうです。 「利用する目的」が大切 介助を手助けしてくれるアシストスーツですが、多様な種類が販売されていて何を選べばいいかわからなくなることもありますよね。 そういったときは、「どんな場面で利用したいか」に注目してみると良いかもしれません。 例えば、「楽衛門」は重い物を持ったり移乗介助などのときに力を発揮するもの。しかし、中腰の状態の作業が長時間にわたるときの腰のサポートには不向きです。 一方で、モーターなどの動力を使っているものの中には中腰を支えてくれるタイプも。ただ、動力を使っているスーツは重かったり高額なものが多いのがネックです。 施設にアシストスーツの導入を悩んでいる場合は、利用する目的に注目してみると失敗が少なくなるかもしれません。
2022/06/15
介護をする人にとって、排泄ケアは大きな悩みのひとつ。介助に費やす時間やモレてしまったときの更衣など、さまざまな負担がかかっています。 それと同時に、介護される人にとっても排泄ケアは負担になるもの。特に、夜間は不必要なオムツ交換によって睡眠を妨げられると、次の日に眠気があって元気に活動できないこともあります。 そこで、三和社はライトの色で排泄量がわかる尿とりパッドを開発。専用の尿とりパッドにセンサーをつけると排尿量によってライトの色が変化するため、適切なオムツ交換のタイミングがわかるそうです。 パッドがオムツ交換を教えてくれる ものづくりで介護や育児の問題の解決に取り組んでいる三和社が、オムツ交換のタイミングを知らせる機能がついた尿とりパッドの販売を開始しました。 この尿とりパッドは、専用のセンサーとランプを一緒に使用。尿とりパッドにクリップ式のセンサーを装着することでランプが排尿量によって色を変えてオムツ交換のタイミングを知らせます。 ランプは、排尿量に応じて「白」「緑」「黄色」「オレンジ」「赤」と色が変化。パッドの許容量に近づくとランプが赤くなりアラームを鳴らして排尿量を知らせるので、交換が必要になったときだけオムツ交換をすれば良いのが特徴です。 さらに、この尿とりパッドは一般的なパッドと変わらない使用感を実現。やわらかさや処分方法も一般的なパッドと同様です。 介護者を悩ませる排泄ケア 同社は、この尿とりパッドを開発する前に赤ちゃん用の排泄検知センサーを発売していたそう。それがテレビで取り上げられると、視聴者から「大人用も作って欲しい」という声が多く届いたことで、このパッドの開発に至りました。 こうした声がたくさん届くほど、介護をしている人にとって排泄介助は大きな負担になっているということがわかりますね。 また、一般的なパッドに比べて少し割高ですが、特別に高いというわけではないのがうれしいところ。必要なときにだけ交換すると考えれば、結果的には安くなることもあるかもしれません。
2022/06/06
科学的な裏付けに基づいておこなう介護のことを「科学的介護」と言います。 昨年4月から「LIFE(科学的介護情報システム)」の運用が始まったことで注目されていますが、LIFEを導入するだけでは科学的介護をおこなうことは難しいのが実情。利用者の身体状況やケア内容など詳細な情報を蓄積していく必要があるものの、人手が足りない介護現場ではそれも難しい状況です。 そこで、NECプラットフォームズがAIを活用した「NECサニタリー利用記録システム」を開発。利用者のプライバシーに配慮しながら排泄記録を詳細に残せるため、より多くの情報をもとにケアを進めることができるようになるそうです。 排泄記録の自動化でプライバシーを守る ITシステムやネットワークシステムを提供しているNECプラットフォームズが、介護施設向けに「NECサニタリー利用記録システム」を販売開始したことを明らかにしました。 このシステムは、介護施設の入居者の排泄をセンサーが読み取って自動で記録を残すもの。今あるトイレに、センサーなどを後付けするだけで導入できるため、初期コストを抑えられるようになっています。 このシステムの機能は、大まかに「見守り」「自動記録」の2つです。 見守り機能は、利用者が長時間便座に座っている場合や介助が必要な利用者が便座から離れたときなどに、介護職員のスマホやタブレット端末に通知を送信。転倒や体調不良などの予防につながります。 また、排泄結果を自動で記録する機能も搭載。排泄記録を手書きでおこなう必要もなくなるうえに、確実に排泄情報を記録できます。 加えて、排泄記録は排泄時刻、着座時間、便量、便の形状などを必要最低限の形に加工して利用。排泄状況の確認のためだけに職員がトイレに付き添う必要もないので、職員の業務が軽減できることに加えて、利用者の尊厳を守れます。 こうした記録は、職員が使うスマホやパソコンに自動で送信。介護記録システムとの連携も可能だそうです。 尊厳の保持と科学的介護の両立 排泄介助の必要のない高齢者にとって、排泄記録のためだけに職員に見守りをされるのは苦痛を伴うことが多いでしょう。 そのため、排泄状況がわからず、排泄管理が難しいケースもあるかもしれません。 このシステムでは、人を介することなく排泄情報を自動で手に入れられるので、これまでよりもケアの判断に活用できるデータが増え、科学的な介護をしやすくなるのではないでしょうか。
2022/05/23
身体的な理由から日常生活に介助が必要になった高齢者の入浴介助サービスや訪問理美容サービスのニーズが高まっています。 しかし、自宅でサービスを提供するのが厳しい環境だったりデイサービスで入浴設備を持っていない場合だと、それがなかなかできないのが実情です。 そこで、京都の理美容機器メーカーのティ・アイ・プロス社は、スチームで洗髪する「ラプレ・シャンプースチーマー」を開発。そのスチーマーを神戸市にあるデイサービスが入浴設備の代わりに導入し、洗髪サービスを提供することがわかりました。 蒸気を使うため、ドライシャンプーよりも入浴したときと近い感覚を味わえるそうです。 蒸気を使った画期的な洗髪方法 神戸市灘区の「ウェルケア・デイサービス」が、全国のデイサービスで初めて「ラプレ・シャンプースチーマー」を使った洗髪サービスを提供を開始します。 このスチーマーは京都の理美容機器メーカーのティ・アイ・プロス社が開発したもの。お湯の代わりに水蒸気を使って汚れを浮かせてふき取ります。 また、1人の洗髪に使用する水は300~400ミリリットル程度。お湯を使った一般的な洗髪では20リットルほど使うので、大幅な節水ができます。 加えて、一般的な洗髪方法では複数名の介助が必要になりますが、このスチーマーを使うと1人で洗髪が可能。職員の負担を減らせるそうです。 こうした利点から、大学病院や医療機関のICUなど医療現場に加えて、熊本地震の被災地でもこのスチーマーが活躍。6府県11施設で活用実績があります。 さらに、このスチーマーは利用者の身体的負担がほとんどないため、利用者の体調に左右されないそう。加えて、洗髪するのも難しくないので、理美容師などのプロでなくても簡単に洗髪できるとのことです。 準備の手間も削減できる お湯を使わない洗髪方法にはドライシャンプーもありますが、「ラプレ・シャンプースチーマー」では蒸気を使うため、ドライシャンプーよりも身体が温まって入浴した後のような感覚を味わえるそうです。 また、訪問理美容などで洗髪をする際には、多くの水を用意したり防水用のビニールシートを敷く必要があり、準備に時間がかかるという問題もありました。 対してこのスチーマーは周囲の水ぬれの心配もないので、ビニールシートを敷く必要がなく準備時間を短縮できるそうです。 このように、気軽に利用できる洗髪機器があれば洗髪の頻度も上げられますし、入浴に介助が必要な人の清潔さを維持するのにも役立つかもしれませんね。
2022/05/09
飲み込む(嚥下)機能や噛む機能が落ちた高齢者が食べやすいように、多くの介護食が開発されており、食べる人の嚥下機能・噛む機能に合わせて、きざみ食やソフト食、ミキサー食などの形態があります。 しかし、ミキサー食のように食材の形がわからないほどに細かくした介護食の場合、見た目があまり良くないために食欲が落ちて、低栄養状態になってしまうおそれもあります。 そこで、山形大学では3Dプリンターを使って食材の形を再現した介護食を研究。3Dプリンターで食材を形作ることで、リアルな見た目になるそうです。 介護食を3Dプリンタで成形 山形大学が、これまでとはまったく異なる介護食の開発に取り組んでいます。 それは、3Dプリンタで作った介護食。3次元データをもとに材料を1層ずつ重ねることで、実際の食事の見た目にそっくりに再現できるそうです。 3Dプリンタ技術は、一般的には建築模型や金属部品、プラスチック製品の試作品などの製造に利用。細かな部分も再現できたり、プリンタ本体と材料があれば製造に取り掛かれたりと成形の自由度と手軽さが特徴です。 山形大学が取り組んでいるのは、ペースト状の材料で食材にできるだけ見た目を近づけた介護食の製作です。 例えばかぼちゃの煮物を作るときには、かぼちゃの実の部分のオレンジ色のペーストと皮の部分の緑色のペーストの2種類を使ってプリント。実と皮の部分を分けてプリントすることで、より「かぼちゃらしい」見た目を再現できるそうです。 ただ、3Dプリンタでの製作はある程度の粘り気がないと成形できないのが課題。粘り気を出すために米粉を混ぜているため、餅のような風味が残ってしまうそうです。 介護食から”食”を変革? これまでのミキサー食やペースト食は、やわらかく調理した食材をミキサーにかけており、スープのような見た目をしていました。そのため、美味しそうには見えず、食べる人の食欲が落ちてしまって栄養状態が悪くなるという問題がありました。 そこで、本来の食材に近い見た目の介護食に変えれば、美味しそうに感じられて食欲が湧くかもしれません。 また、この技術を応用して介護食だけでなくフードロス問題を解決する可能性もあるそう。必要な分だけ3Dプリンタで作成できるうえに、材料を粉末にすることで保存期間を延ばすことも検討しているそうです。 介護食の製作がきっかけになって、食そのものの概念を大きく変える未来もあるのかもしれません。
2022/05/02
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。