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新たな研究で、ウォーキングなどの運動を午後におこなうと、より血糖値が低下しやすくなる可能性が示されました。 この研究はアメリカのブリガム・アンド・ウィメンズ病院やジョスリン糖尿病センターなどの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Diabetes Care」という学術誌に掲載されています。 午後に運動するとより血糖値が低下 研究グループは、肥満傾向にある平均年齢59歳の糖尿病患者2416人を対象に調査を実施。対象者に活動量を測る装置を1週間装着してもらい、運動する時間帯と血糖値の関連性を調べました。 その結果、よく運動をしたグループはあまり運動をしなかったグループに比べて、1~2ヵ月間の血糖値を反映したHbA1cの値が低下したことが明らかになりました。 また、それぞれのHbA1cの変化を運動する時間帯で比較したところ、午後に運動したグループが最も大きく低下したことが判明。ほかの時間帯で運動をしたグループに比べて、30~50%大きくHbA1cの値が低下したことがわかりました。 さらに、午後に運動をしていたグループは、ほかの時間帯に運動をしたグループに比べて血糖値を下げる薬など糖尿病の治療薬の服用しなくても、血糖値が安定した人の割合が2倍以上高かったことも明らかになりました。 日々の生活に運動を 今回の調査の結果を受けて、研究グループは「運動する習慣をつけることは、特に運動不足の人にとって重要だ。今回の研究では、肥満傾向で糖尿病を患っている人は、午後に運動をすると最も血糖を良好に管理できる可能性が示された」と述べています。 また、糖尿病に関する情報などをまとめている日本医療・健康情報研究所は、「食後に運動することで血糖値を下げる効果はすぐに表れる。散歩程度の軽い運動でも良いので、食後に身体を動かすことが大切だ」としています。 運動習慣をつけると言っても、必ずしもジムに通う必要はありません。エスカレーターの代わりに階段を利用したり早歩きで移動したりなど、日々の生活を少し工夫してみると良いかもしれませんね。 参考:「Association of Timing of Moderate-to-Vigorous Physical Activity With Changes in Glycemic Control Over 4 Years in Adults With Type 2 Diabetes From the Look AHEAD Trial -Diabetes Care 」(American Diabetes Association)
2023/06/14
新たな研究で、中高年になってから退職した人は働き続けた人に比べて、中強度の運動が週1回未満の状態を指す「身体不活動」や心臓病のリスクが減少する可能性が示されました。 今回の研究は京都大学大学院医学研究科の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「International Journal of Epidemiology」という学術誌に掲載されています。 10万人以上のデータを使って調査を実施 世界的に高齢化社会が進展していることを受けて、日本を含む多くの国で年金が受給できる年齢を引き上げて、高齢になっても働くように求めています。 しかし、これまで定年退職が遅れることによる健康への影響を調査した研究の数は少なく、特に退職と心臓病リスクの関連性を明らかにした研究はほとんどありませんでした。 そこで研究グループは、世界35ヵ国に住む10万人以上の中高年のデータを用いて、退職と心臓病のリスクを調べることにしたのです。 退職した中高年は心臓病のリスクが低い 今回、研究グループは、日本を含む35ヵ国に住む50~70歳の男女10万6927人を対象に調査を実施。およそ7年かけて追跡調査をおこなった結果、退職して働くのをやめた中高年の人は働き続けた人に比べて、心臓病のリスクが2.2%低いことが明らかになりました。 また、退職した人は働き続けた人よりも、中強度の運動が週1回未満の状態を指す「身体不活動」のリスクが3%低いことも判明。特に、教育を受けた期間が長い人は身体不活動のリスクに加えて、脳卒中や肥満のリスクも低いことがわかりました。 今回の結果を受けて、研究グループは「仕事を引退した人のほうが心臓病や身体不活動のリスクが低いことがわかった。この理由として、仕事を引退すると仕事のストレスから解放されたり、運動する時間を設ける余裕をつくれたりすることが考えられる」と指摘しています。 もちろん、早期に退職できるほど経済的な余裕はないという人も少なくありません。そういう人は、1駅分の距離を歩いたりエレベーターの代わりに階段を使ったりすると良いかもしれませんね。 参考:「Retirement and cardiovascular disease: a longitudinal study in 35 countries」(International Journal of Epidemiology)
2023/06/12
これまで、「糖尿病に一度かかったら薬を一生飲み続けなければならない」と言われてきました。 しかし、新たな研究で、糖尿病にかかってしまった人の中には薬が不要な「寛解」状態にまで回復する人も、一定割合で存在することが明らかになったのです。 この研究は新潟大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Diabetes, Obesity and Metabolism」という医学誌に掲載されています。 5万人近くの臨床データを解析 今回、研究グループは、糖尿病患者の医療データを収集している「糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)」の協力のもと、日本全国の糖尿病専門施設に継続して通院している、糖尿病患者およそ4万8000人の臨床データを解析しました。 すると、日本人の糖尿病患者のうちおよそ100人に1人が、正常な値の血糖値が3ヵ月以上続き、服薬も不要になった「寛解」状態にまで回復していることが明らかになったのです。 研究グループが解析を進めていると、以前から肥満があったものの、体重を大きく減らした患者は特に寛解している人が多い傾向にあることが判明。具体的には、体重の1年間の減量幅が5〜9.9%の⼈は寛解率が2.5倍に、10%以上の減量に成功した人では5.0倍にまで増加したことがわかりました。 さらに、1年間に5%以上の減量に成功した人は、薬が不要な「寛解」状態が長く続くことも明らかになりました。 ほかにも、以下のような特徴がある患者は、寛解状態にまで回復した人が多い傾向にあると言います。 糖尿病と診断されてからの期間が短い人 直近1~2ヵ月の血糖値を示すHbA1cの値が低い人 薬物治療を受けていない人 寛解後も継続的な体重管理が重要 これまで、日本人を含む東アジア人は欧米人に比べて、糖の代謝を促すインスリンの分泌能力が低く、欧米人に比べて糖尿病を寛解する人はかなり少ないと考えられてきました。 しかし、今回の研究ではじめて欧米人と同程度、寛解する人がいることが判明しました。 今回の結果を受けて、研究グループは「たとえ糖尿病と診断されても、早期のうちに生活スタイルを改善したり減量に取り組んだりすることで、インスリンを分泌する力が弱いとされる日本人であっても、糖尿病が寛解する可能性が示されました」と述べています。 また、一度寛解した場合でも、体重を適切に管理して定期的に受診することが糖尿病の再発予防に重要だとしています。 もちろん、できることなら糖尿病にかからないのが一番です。階段の使用やウォーキングなど、簡単なところから運動する習慣をつけてみると良いかもしれませんね。
2023/06/07
新たな研究で、食事のタンパク質の比率を25~35%にすると、最も健康維持に有効である可能性が示されました。 この研究は、早稲田大学、東京大学、東京都健康長寿医療センター研究所、ニチレイフーズで構成される研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「GeroScience」という学術誌に掲載されています。 マウスを使った実験でタンパク質の適量を探る 今回、研究グループは、健康の維持に最適な栄養バランスを探るために、マウスを使った実験をおこないました。 ヒトでは20歳前後に当たる若い年齢のマウスと40代後半に当たる中齢マウスに、それぞれタンパク質がカロリー換算で5%、15%、25%、35%、45%あるエサを2ヵ月間投与。与えるエサの脂質の割合は固定し、エサのカロリーをそろえるために炭水化物の割合を変えました。 健康維持に有効なタンパク質比率は25~35% 研究グループは、日本人の平均的な比率に近いタンパク質比率15%のエサを食べたマウスと、ほかの比率のエサを食べたマウスの状況(体重、肝臓中の中性脂肪・コレステロール量、血糖値など)を比較しました。 その結果、タンパク質比率15%のエサを食べたマウスに比べて、25%や35%のエサを食べたマウスの方が血糖値や血液中の総コレステロール濃度が低いことが判明。また、タンパク質比率35%のエサを食べたマウスは肝臓の中性脂肪量も減少したことがわかりました。 一方、5%しかタンパク質が含まれていないエサを食べたマウスは、肝臓の中性脂肪量や総コレステロール量が増加。肝臓の一部を調べると、軽度の脂肪肝になったことが明らかになりました。 今回の結果を受けて、研究グループは「マウスの実験結果をそのままヒトに当てはめるのは早計だと思うが、日本人の平均摂取量である13.8%よりは多くタンパク質を摂ったほうが健康的に年を重ねられる可能性がある」と指摘しました。 タンパク質は健康な身体をつくるのに欠かせない栄養素ですが、過剰に摂取すると腎臓に大きな負担がかかると言われています。なるべくプロテインなどのサプリメントには頼らず、鶏肉など普段の食事から摂取するようにすると良いかもしれませんね。
2023/05/31
新たな研究で、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を多く摂取している人は、そうでない人に比べて心筋梗塞や脳卒中などによる死亡リスクが低い可能性が示されました。 この研究は国立がん研究センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「European Journal of Nutrition」という学術誌に掲載されています。 9万人以上を対象に調査を実施 研究グループは1995年と1998年に東京、沖縄、大阪など11都府県に在住していた45~74歳の男女を対象に調査を実施。対象者の人数は9万3310人に上りました。 今回の調査では、対象者の食事調査票の回答をもとに、牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品の摂取量を推定。乳製品の摂取量の多寡によって4つに分類し、それぞれ比較しました。 乳製品の適度な摂取が死亡リスクを下げる 研究グループが約20年にわたって追跡調査をおこなった結果、乳製品を多く摂取している男性はそうでない人より、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患による死亡リスクが減少することが明らかになりました。 一方、女性では乳製品の摂取量と死亡リスクとの間に関連性は見られませんでした。 今回の結果を受けて、研究グループは「乳製品に含まれる活性ペプチドやカルシウム、カリウムなどの成分には血圧を下げる働きがある。これによって血圧が下がり、循環器疾患のリスクが下がった可能性がある」と分析しました。 ただ、乳製品にはコレステロールなども含まれており、これらを摂り過ぎると逆に循環器疾患のリスクが増える可能性があります。実際に、西洋人など乳製品を多く摂取する文化圏でおこなわれた別の研究では、乳製品の摂取量が多すぎる人は死亡リスクが高くなる傾向が示されました。 もちろん、毎日1~2杯の牛乳程度であれば問題ありません。朝食時などに乳製品を取り入れてみてはいかがでしょうか。
2023/05/30
新たな研究で、難聴を患っている高齢者のうち、約7割の人は診察を希望していないことが明らかになりました。 この研究は、東京都健康長寿医療センター研究所の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「JAMDA (The Journal of Post-Acute and Long-term Care Medicine)」という学術誌に掲載されています。 対象者に聴力検査をおこない調査を実施 今回、研究グループは2022年に群馬県草津町でおこなった健康調査に参加した、75歳以上の高齢者385人を対象に調査を実施しました。 まず、対象者の聴力を測定し、対象者の中でどれくらい難聴者がいるかを把握。それから、「難聴の自覚はあるか」と「耳の聞こえに関して、病院に行こうと思ったことがあるか」と質問し、難聴の自覚があるかどうかと診察を希望しているかどうかを調べました。 約7割の人は難聴があっても診察を希望せず 調査の結果、対象者全体のうち、37.4%となる144人に中等度以上の難聴が認められました。 この中等度以上の難聴を患っている人のうち、耳の聞こえに関して診察を希望している、もしくはすでに受診したことがある人はわずか29.9%だったことが判明。難聴を患っている人のうち7割は、診察を特に希望していないことが明らかになったのです。 また、難聴の自覚があるかどうかで「診察希望者・受診済みの人」を見てみると、難聴を患っている人のうち、難聴の自覚がない人では「診察希望者・受診済みの人」の割合がわずか15%程度でしたが、難聴の自覚がある人ではその割合がおよそ40%と大きくなっていたことがわかりました。 以上の結果を受けて、研究グループは「今回の研究で、難聴の自覚がない人ほど受診の意向が低いことがわかった。これは、難聴の自覚を持ってもらうことの必要性を示す結果でもある。定期的に耳の聞こえを耳鼻科でチェックすることを勧めるようなシステムが必要だ」としています。 加齢が原因で起こる難聴は自然に治ることはありません。取り返しのつかなくなる前に、一度聴力を検査しておきたいですね。 参考:「加齢性難聴を有する高齢者の約 7 割は病院受診を希望していない」(東京都健康長寿医療センター)
2023/05/29
新たな研究で、塩分を摂取し過ぎると神経細胞の機能が妨げられ、認知機能の低下をもたらす可能性が示されました。 この研究は藤田医科大学や京都大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「British Journal of Pharmacology」という学術誌に掲載されています。 塩分と認知症の関連性を調べる背景 筑波大学がおこなった研究によると、全国に住む65歳以上の高齢者のうち、約15%は認知症を患っているそうです。今後も認知症の高齢者は増加すると予測されており、その対策が大きな課題となっています。 認知症対策を確立するために、これまで数々の研究者が認知症に関する研究をおこなってきました。 例えば、今回に関連する研究の中では、食塩の過剰摂取が認知障害をもたらす可能性を示したものもありました。しかし、その具体的なメカニズムまではわかっていませんでした。 そこで、研究グループは今回、マウスを用いて塩分の過剰摂取と認知症の具体的な関連性を明らかにすることにしたのです。 体内物質の相互作用が神経細胞に影響 研究グループがマウスを用いた実験をおこなったところ、塩分を摂り過ぎると体内物質が相互に作用して特定のタンパク質の調整機能が乱れることが明らかになりました。 より具体的に言うと、血管や臓器に存在し、体内からの刺激を受け取る受容体の一部に血圧上昇を引き起こす特定のホルモンが結合することで、「タウ」と呼ばれるタンパク質の構造が変化して、脳内の神経細胞の機能が妨げられる可能性が示されたのです。 つまり、神経細胞の機能が妨げられると物事の正しい認知が難しくなるため、結果的に認知機能障害や認知症につながると考えられます。 WHOが推奨する1日あたりの塩分摂取量は5gですが、日本人の平均はその倍である10g程度だと言われています。最近では、おいしさを損なわない形で減塩できる食品もたくさん販売されているため、健康な毎日を過ごすためにも、そういった商品を手に取ってみても良いかもしれませんね。 参考:「認知症有病率等調査について」(厚生労働省)
2023/05/25
新たな研究で、糖尿病を患っている人でも血糖値を適切に管理できていれば、認知症の発症リスクを大幅に下げられる可能性が示されました。 この研究はオーストラリアのモナシュ大学と国立健康老化センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「JAMA Neurology」という学術誌にオンライン掲載されています。 25万人以上の医療データを解析 今回の研究にあたって、グループはアメリカの統合医療システムに登録された25万3211人の医療データを解析することにしました。 今回の研究では、以下の条件にすべて当てはまる人を対象としています。 1996 年1月1日~2015 年9月30日の期間に、統合医療システムに登録した 50歳以上の男女 糖尿病の治療を受けている 対象者の平均年齢は61歳で、約6年にわたって追跡調査がおこなわれました。 血糖値が下がると認知症リスクも大幅に低下 研究グループがおよそ3年にわたって対象者の医療データを解析した結果、1~2ヵ月の血糖値を反映するHbA1cの数値が6~8%と適正に管理されていた人は、認知症の発症リスクが低下したことが明らかになりました。 特に、HbA1cが6~7%未満と、良好な血糖管理ができていた人では、認知症の発症リスクが約2割低下していたこともわかりました。 以上の結果を受けて、モナシュ大学保健予防医学部に所属するクリス・モラン氏は「良好な血糖管理ができている人は、糖尿病を患っている人であっても認知症のリスクが大幅に低下したことがわかった。良好な血糖管理を継続することの大切さが改めて示された」と述べています。 血糖値を良好に保つためには、毎日の生活習慣を見直すことが大切です。隙間時間にウォーキングなどの運動を取り入れたり、食物繊維が豊富な野菜を意識的に摂取したりすると良いかもしれませんね。
2023/05/25
WHO(世界保健機関)は、新たに人工甘味料に関するガイドラインを発表。血糖値を上げにくいとされる人工甘味料であっても、長期的に摂取すれば糖尿病などのリスクが高まる可能性を示しました。 人工甘味料でも糖尿病のリスクが上昇 2023年5月15日、WHOは人工甘味料の使用に関するガイドラインを発表。「人工甘味料の使用は体脂肪を減らすことにはつながらない」という見方を示したのです。 そもそも、人工甘味料とは化学的に合成された甘味成分のこと。「カロリーオフ」を標榜するジュースやお菓子などによく使われています。 このように、さまざまな食品に用いられてきた人工甘味料ですが、WHOがおこなった研究によると人工甘味料を用いても体脂肪の減少にはつながらなかったと言います。 それだけでなく、人工甘味料を長期的に摂取し続ければ、糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣病を引き起こすリスクが高まることも示しました。 WHOの栄養・食品安全局長のフランチェスコ・ブランカ氏は「砂糖を人工甘味料に置き換えるよりも、甘味のない食品や飲料を摂取するなど、糖類の摂取量を減らす方法を検討することが大切だ」としています。 糖類摂取量を総エネルギー摂取量の10%以下に もちろん、健康のためには人工甘味料だけでなく砂糖などその他の糖分の摂取量も抑える必要があります。 WHOは2015年に、1人当たりの「遊離糖類(ブドウ糖や砂糖、シロップ、ハチミツなど)」の摂取量を、総エネルギー摂取量の10%(1日50g)未満に抑えることを勧告。遊離糖類の摂取量を10%未満に抑えられれば、肥満や虫歯などのリスクを減らせると言います。 なお、大量摂取による有害な影響を示すデータが不十分のため、果物や野菜、牛乳などに含まれる糖はガイドラインの対象に含めていないとしています。 さらに、遊離糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の5%(1日25g)未満に抑えられれば、より大きな健康効果が見込まれるそうです。 甘いものが好きな人にとっては、お菓子をまったく食べない生活など考えられないかもしれません。極端に制限する必要はありませんが、健康に過ごすためにも適度な量を食べるようにしていきたいですね。 参考:「Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline」(WHO) 参考:「Guideline: sugars intake for adults and children」(WHO)
2023/05/24
新たな研究で、アルツハイマー型認知症の兆候が眼に現れる可能性が示されました。 この研究は、アメリカのシダーズ・サイナイ・医療センターの研究グループによっておこなわれ、研究結果は「Acta Neuropathologica」という医学誌に掲載されています。 認知症の兆候が眼に現れる可能性を示唆 今回、研究グループは、認知機能の程度が異なる86人の検体から網膜と脳組織を採取し、それを認知機能が正常なドナーの組織と比較しました。 その結果、アルツハイマー型認知症や軽度認知障害のある人の組織では、アルツハイマー型認知症の特徴である、アミロイドベータ(脳内でつくられるタンパク質の一種)の増加が確認されたのです。 また、ほかの細胞を修復したり、異常なタンパク質であるアミロイドベータを排除したりする役割を持つ「ミクログリア」と呼ばれる細胞が、認知機能に障害がある人では約80%減少していることも明らかになりました。 以上の結果について、研究グループは「アルツハイマー病の状態を示す、信頼性の高い指標につながる可能性がある」と述べています。 眼に兆候が現れる理由 では、脳の病気であるアルツハイマー型認知症の兆候が、どうして眼を観察することでわかったのでしょうか? ミシガン州立大学の神経科に所属するアミット・サチデヴ氏によると、「脳と眼の間には神経が通っていて、眼には脳の奥まで続く神経の先端がある。だから、眼を観察することで脳の状態を把握できる」としています。 また、シダーズ・サイナイ・医療センターで脳神経外科と生物医学を担当しているマヤ・コロニョ=ハマウイ氏は「網膜は脳の延長にあると考えられている。網膜は唯一骨に包まれていない中枢神経器官のため、身体に大きな負担をかけることなく、脳内の神経の状態を可視化できる」と指摘しました。 今後、この研究がさらに進めば、眼科検査を受けるだけでアルツハイマー型認知症の兆候が確認できるようになる可能性があります。そうなれば、より迅速に適切な福祉につなげられるようになるかもしれませんね。
2023/05/24
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。