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介護の基礎知識

施設入居 在宅介護 介護の基礎知識

「要支援2」の母の状態が悪化しています。どんな状態になったら「要介護1」に介護度が上がってしまうのでしょうか?

現在、「要支援2」の母と暮らしています。半年ほど前に認定を受けてから少しずつ状態が悪くなってきており、最近は自分の部屋でぼーっとしていることもあります。もしかしたら、「要介護1」の状態になっているのではないかと心配です。どんな状態になったら「要介護1」なのでしょうか? (中川さん・パート・59歳) 「要介護1」で特徴的なのは、理解力や判断力といった認知機能の低下です。要介護状態になった人の理由として最も多いのが認知症なんです。ただ、”要介護”の中では最も軽い状態ですから、リハビリなどによっては”要支援”に改善することもありますよ。 要介護1とはどんな状態? 半年ほど前に母が「要支援2」の介護認定が下りたのですが、それ以降、だんだん状態が悪くなっているような気がして。デイサービスがない日は自分の部屋でぼーっとしているときもありますし…。もしかしたら、要介護1の状態になってしまったんじゃないかと不安です。どんな状態になると要介護1と判断されるんでしょうか? 介護認定は、その人の身体機能や認知機能などを多角的に判断するものですから一概には言えないところですが…。一般的には、認知機能の低下が見られたら要介護状態になるとされています。実は、厚生労働省の調べによると、要介護1も含めた要介護状態になった理由で最も多いのが認知症なんです。2019年時点では要介護状態になった人の約3割が”要介護1”の認定をうけています。 そうなんですね。認知症か…。 それに、2021年に介護認定を受けた人で一番多かったのが要介護1だったそう。やっぱり、「なんだかちょっと様子がおかしいな」とご家族が感じて、介護認定を受けたケースが多いのかもしれませんね。 要支援2、要介護2との違い 話を聞いていると、母が要介護1の状態に悪化してしまったような気がしてきました…。具体的には、要支援2とはどんな違いがあるんですか? 要支援2は、立ち上がりや両足で立つときなどに手助けが必要なことがある状態です。ただ、やはり”要支援”なので、日常的な動作に積極的な介助は必要としていません。対して、要介護1は家事や入浴などの日常生活でも一部で介助が必要になってきます。この状態からさらに日常的な動作に介護を必要とする割合が増えると、より要介護度が上がってしまうんです。 要介護1の上は要介護2でしたっけ。要介護1と要介護2はどう違うんですか? 要介護2になると、トイレや入浴、歩行に加えて食事にも介助が必要になることがあります。また、着替えなどの身だしなみを整えるときにも見守りが要るとされていますね。認知機能についても、思考力や判断力が低下しているためにひとりでできないことが多くなります。 なるほど。母はまだ着替えや食事は自分でできていますし、たぶん要介護2にはなっていないと思います。 要介護1で利用できるサービス 要介護1になると、利用できるサービスが少し変わります。”要支援”では、身体機能が低下しないように支援をする「介護予防サービス」を受けられます。それが”要介護”になると、「介護サービス」として積極的に生活の介助をすることが目的のサービスを利用することになります。 利用できる在宅介護サービス 具体的には、どんな介護サービスを利用できるんでしょうか? 介護サービスは、おおまかに分けると在宅介護で使えるサービスと、施設に入居するサービスがあります。まず、在宅介護で利用できるサービスには以下のようなものがありますよ。 訪問系サービス訪問介護訪問入浴訪問看護訪問リハビリ夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護通所系サービス通所介護(デイサービス)通所リハビリ地域密着型通所介護療養通所介護認知症対応型通所介護多機能型サービス小規模多機能型居宅介護看護小規模多機能型居宅介護宿泊系サービス短期入所生活介護(ショートステイ)短期入所療養介護福祉用具福祉用具貸与特定福祉用具販売 今もデイサービスには通っています。それ以外にもこんなにいろんなサービスがあるんですね。 はい。介護サービスは多岐にわたるので、ややこしいですよね。訪問介護や訪問リハビリなどの”訪問系”と呼ばれるサービスは、自宅にスタッフさんが来てくれるのでとても便利なサービスです。もし、デイサービスよりもしっかりと身体を動かしてリハビリをしたいと思ったときは、訪問リハビリを利用したり通所リハビリを利用するのも良いかもしれません。訪問リハビリでは、リハビリの専門家が自宅で一対一でじっくりやってくれますし、通所リハビリでは本格的な機械を使って身体を動かせますから。 へー、デイサービスでも体操をしているみたいですけど、本格的なリハビリも受けられるんだ。 また、今後のことを考えて、ご自宅の環境を整備しておくのもおすすめ。福祉用具貸与サービスを利用することで、割安で介護用具をレンタルできるんです。要介護1では、手すりや歩行器、歩行補助杖、スロープの4種類が借りられます。他の介護サービスと同じようにレンタル費用の1~3割の自己負担で借りられますから、経済的にもうれしいですよね。 とても助かります!そうだ、要介護1の場合、介護保険の自己負担額の上限はいくらまでなんですか? 在宅介護サービスの利用限度額は1ヵ月あたり167,650円です。つまり、1割負担の人だと16,765円までであれば、介護保険が適用されます。 利用できる施設介護サービス 要介護1で利用できる在宅介護サービスにはさまざまな種類がありますが、施設介護サービスも実にいろんなものがあります。要介護1で入居できる介護施設は、次の11種類です。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 軽費老人ホーム(ケアハウス) 介護老人保健施設(老健) 養護老人ホーム 介護療養型医療施設 介護医療院 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム) 地域密着型特定施設入居者生活介護 11種類も!こっちもいろんなサービスがあるんですね。 「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」といった民間企業が運営している介護施設は、要介護1より低い介護認定でも受け入れていることが多いですね。しかし、その施設ごとに受け入れ条件を定めていることが多いので事前の確認が大切。もし、民間の介護施設への入居を検討するのなら「いい介護 入居相談室」にご相談ください。各施設の特徴をよく理解している相談員がお母様にぴったりの施設をお探ししますよ。 確かに、施設によって条件が違うなら確認するのが大変かも…。 民間施設が比較的軽度の人を受け入れているのに対して、公的施設は要介護1以上であることが入所条件のことが多いです。例えば、公的施設である介護老人保健施設の入所条件は、65歳以上で要介護1以上の認定を受けていること。さらに「介護療養型医療施設」「介護医療院」といった、介護と医療的ケアの両方を受けられる公的施設も「要介護1以上かつ医療的ケアが必要な人」が条件です。つまり、要介護1を境に公的施設の選択肢が広がるんですね。 そうなんだ。民間施設と公的施設は何か違いがあるんですか? その施設の種類ごとに特徴はありますが、大きく異なるのは費用ですね。主な施設に要介護1の人が入居した場合の費用の目安をまとめてみました。 要介護1の目安介護サービス費用(1割負担の場合)月額費用相場合計(目安)介護付き有料老人ホーム18,120円200,000円218,120円住宅型有料老人ホーム19,705円※1200,000円219,705円サービス付き高齢者向け住宅19,705円※1150,000円169,705円グループホーム24,000円110,000円134,000円老人保健施設※2、※325,080円54,660円79,740円 もちろん、施設によっても料金は違いますし、利用する介護サービスによってはこの金額から上下する場合があります。あくまで参考程度にしておいてくださいね。表にも書いてある通り、施設介護サービスでの利用限度額は1ヵ月あたり161,400円。1割負担の人なら、自己負担額が16,140円までであれば介護保険が適用されます。 うーん、やっぱり結構かかるんですね。もし、要介護1になったら施設も検討しなきゃかなと思っていたのですが…。 どうしても、在宅介護をするより施設に入居する方が費用はかかる傾向はあります。ただ、介護度だけで考えるよりも、お母様やご家庭の状況も含めて総合的に考えた方が後悔のない介護になると思いますよ。まずは、担当のケアマネジャーさんに介護認定の区分変更申請をした方が良いのか相談してみるのが良いんじゃないでしょうか。 要介護1になった要因の1位は認知症。認知機能の低下に要注意! 老健といった公的介護施設などの利用できるサービスの幅が広がる 在宅介護か施設入居かは、介護度だけでなく身体状況や家庭の事情もあわせて考えて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/09/07

施設入居 在宅介護 認知症介護 介護の基礎知識

認知症の入居者様のケアがうまくいかず、現場が疲弊しています。良いケア方法はあるでしょうか?

老人ホームで働いているのですが、毎日の介護業務に追われてまったく余裕がありません。特に認知症の入居者様の介護拒否が多く、その対応に時間が取られるうえに体力を使うのでとても疲れます。改善したいとは思っていますが、どうしたら良いのかわかりません。 (山下さん・老人ホーム職員・32歳) 認知症の方のケアは、介護のプロであってもとても大変なことですよね。もしかしたら、「ユマニチュード」という認知症ケアを実践すると入居者様の状態が安定して、介護もスムーズになるかもしれませんよ。 ユマニチュードとはどんなケア? 老人ホームで介護職員をしています。日々の介護業務が忙しくて、ケアが流れ作業になっているような気がしています。特に認知症の入居者様にケアをしようとすると興奮されたり拒否されることが多く、その対応をするためにとても時間がかかります。それに、体力を使うので毎日疲れてしまうんです。何か良い解決策はないでしょうか? うーん、難しい問題ですね…。認知症の入居者様が介護拒否されるのであれば、もしかしたら、認知症の方へのケアを変えることで状況が変わるかもしれません。藤原さんは、「ユマニチュード」というケア方法をご存知ですか? 名前は聞いたことがありますが、詳しくはわかりません。 ユマニチュードというのは、認知症ケアのプログラムのことです。人がもともと持っている能力をできるだけ引き出すことを基本姿勢とした認知症ケアで、心身の回復や機能の維持を目的としています。ちなみに、ユマニチュードというのはフランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味だそう。フランス人のイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発したケア方法なので、フランス語なんですね。 へー、そういう意味だったんですね。ユマニチュードを取り入れると、どう変わるんでしょうか? 個人差がありますが、認知症の方の不安を和らげて暴力・暴言といったものが減るとされています。日本ユマニチュード学会によると、認知症の二次症状である行動心理症状(BPSD)の15%が改善したそうです。 症状が改善するんですか!?うちの施設では、暴言や暴力をして介護拒否をする入居者様が多くて困っているんです。 そうなんですね。ユマニチュードは、介護現場で「ケアのうまくいく・いかないは何が違うのか」を丁寧に分析して開発されたプログラムなので、実際の現場に即した内容になっています。ユマニチュードを実践することでケアがスムーズになるかもしれませんよ。 ユマニチュードの4つの柱 ユマニチュードについて、とても興味が出ました。具体的には、どんなケアをするのでしょうか? ユマニチュードケアの実践方法は、「4つの柱」と「5つのステップ」に分けられます。まずは、「4つの柱」についてお話ししていきますね。4つの柱というのは、ケアをするうえで重要な「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの動作のこと。介護をする人が、介護を受ける人のことを大切に思っていることを伝えるための技法です。 大切に思っていることを伝える…。重要なことですが、なかなか実行できてないかも。 4つの柱:見る ケアをしていると体調に異常がないかなどのチェックを優先してしまい、大切に思っていることを伝える余裕がなかなかなくなってしまいますよね。そこで、ユマニチュードでは以下の点を注意することで、相手への気持ちを「見る」ことで伝えます。 同じ高さで見ることで、相手と平等な存在として見ていることを伝える 近くから見ることで、親密さや優しさを伝える 正面から見ることで、信頼感や正直さを伝える 長時間、見ることで、愛情を伝える 見るだけでもいろんなことを伝えられるんですね。 4つの柱:話す 次に「話す」ですね。認知症の方と話すときには、「オートフィードバック法」を試してみると良いかもしれません。オートフィードバック法というのは、今おこなっているケアを実況中継することで、相手に安心感を与える方法です。もし、会話ができなくても「今からお顔を拭きますね」「体を起こしますよ」と声掛けをするだけで安心できるのはなんとなく想像できますよね。逆に、無言でケアをしてしまうと、相手は孤独感を抱きかねません。 介助することに必死で、声掛けを忘れてしまっていました。無言でケアされたら不安になりますよね…。 4つの柱:触れる また「触れる」ときにはちょっとした注意が必要です。ケアをするときには身体のどこかに触れる機会が多いですが、急に顔や手、唇などの敏感な部分に触ると相手は驚いてしまいます。はじめは、背中や肩などの敏感でない部分から触れたり、なるべく広い面積を触ることで驚かせないでケアが進められますよ。 触る部分なんて気にしたことがありませんでした。 4つの柱:立つ さらに、ユマニチュードケアに特徴的なもののひとつに、立つことを重視している点があります。ユマニチュードでは1日20分程度の立つ時間を作ることで、心身の健康を維持することを目指します。立つことは、骨や筋肉にほどよく負荷がかかるので、骨粗しょう症を防いだり筋肉の低下を防ぎ、寝たきりを予防します。また、寝たきりから立てるように意識してケアをすることで、ケアを受ける方が人間としての自信を取り戻すきっかけにもなるのです。 ユマニチュードの5つのステップ ユマニチュードのもうひとつのポイント「5つのステップ」は、ケアの始まりから終わりまでを1つの物語のようにとらえた、より心地よいケアのための枠組みです。5つのステップは、次のように展開していきます。 出会いの準備 ケアの準備 知覚の連結 感情の固定 再会の約束 5つのステップ:出会いの準備 「出会いの準備」というのは、居室への入室時のことです。ノックをして入室の許可をもらうことは当然のこととして、1度目のノックで返事がないことがありますよね。そのときは、またノックをして反応を待ちます。それでも、返事がなければノックをしながら入室しましょう。このときに大切なのは、「自分が入室を許可した」とご本人が認識すること。特に認知症の人は、何度もケアをおこなっている職員さんでも顔を覚えられない場合がありますから、「急に知らない人が入ってきた」と不安になりやすいです。不安を軽減してケアをおこなうために、この「出会いの準備」が大切なんですね。 うーん…、部屋に入るだけでも時間をかけるんですね。 5つのステップ:ケアの準備 次は、入室してケアをする前に入居者様とコミュニケーションをします。ポジティブな言葉で、これからどんなケアをおこなうのかを説明して相手の警戒心を解きましょう。もしかしたら、説明の段階でケアを拒否されることもあるかもしれません。しかし、そこで無理やり介助をするのではなく、いったんケアを止めることも必要です。 え!そんなことしたらいつまでもケアができませんよ!ただでさえ忙しいのに途中で止めてしまったら、全然、仕事が進みません。 もしここで無理やり介助をしてしまったら、入居者様に嫌な記憶が残ってしまいます。認知症の方は、出来事の記憶はなくなってしまっても感情の記憶は残るとされていますから、職員さんの顔がわからなくても「この人は嫌なことをする人だ」という感情だけ残るかもしれません。そうなると、次回の介助でまた介護拒否されたり、暴力や暴言として現れることもあるでしょう。なので、介護拒否されたらいったんケアを止めることで、「この人は嫌なことをしない」というポジティブな記憶を持ってもらえるようにするんですね。 5つのステップ:知覚の連結 「知覚の連結」というのは、4つの柱の「見る」と「話す」と「触れる」のうちの2つ以上の方法を使って、ケアをすることです。ここで重要なのが、複数の感覚から与える情報を一致させること。例えば、「優しい笑顔で声掛けをしながら、優しく触れる」というように、視覚と聴覚と触覚から受ける印象を同じものにするんですね。反対に「優しい笑顔をしながら強く手をにぎる」のはNGです。 確かに、顔は笑っているのに乱暴に触れられたら、ものすごく怖いですもんね。 5つのステップ:感情の固定 次はケアが終わった後の声掛けについてです。ケアが終わったら「気持ち良くなりましたね」といったポジティブな声掛けをしてください。すると、ケア自体の記憶はなくなってしまっても感情の記憶は残りますから、良い記憶としてインプットされやすくなるんです。 ここでも感情の記憶が大切なんですね。 5つのステップ:再会の約束 「再開の約束」というのは、退室の際に「また来ますね」と次の来訪を約束することです。 でも、認知症の方って約束しても忘れてしまいますよね?意味があるんですか? 確かに、ケアをしたことや約束自体は忘れてしまうでしょう。でも、「ケアで気持ちよくなったこと」や「親切にしてくれた人が、また来てくれる楽しみな気持ち」は残るんです。最後にポジティブな気持ちを持ってもらうことで、次回のケアがスムーズになるんですね。 ユマニチュードの効果とは ユマニチュードの実践方法について聞いていて思ったのですが、何か特別なケアをしているというわけではないんですね。もっと特殊な方法をするのかと思ったのですが…。 おっしゃる通りです。そもそも、認知症の方が暴力的になったり、介護拒否する理由は不安感であることが多いんです。なので、ユマニチュードのように優しい声掛けや態度をするだけでも、不安感が和らいで暴力性も収まると考えられています。それに、ユマニチュードで介護する人とのコミュニケーション回数が増えることで、認知症が改善したケースも報告されています。 へぇ!そうなんですね! さらに、認知症の症状が改善されたり介護拒否などが減ることで、介護する側の負担も軽減しますよね。ユマニチュードを取り入れたフランスの施設では、職員の離職率や欠勤率が50%も低下したそう。ケアをする人の精神的な負担感も20%改善したとのことなので、ユマニチュードを実践することで介護する人・される人の両方にメリットがあるんです。 実は、ユマニチュードの方法を聞いて「時間と手間がかかりそう」と思っていたんですが、職員の負担も減るんですね。取り入れられないか、相談してみようかな。 もちろん、ユマニチュードを実践したからといってすぐに状況が改善するものではありません。継続していくことが大切です。時間はかかると思いますが、きっと良い変化があると思うので、長い目で職場を改善していってくださいね。 もともと持っている能力を引き出し心身の回復を目指すケア ユマニチュードを実践することで認知症の症状が改善することも ユマニチュードによって負担が減り、離職防止につながることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2022/09/06

在宅介護 認知症介護 食事 介護の基礎知識

ひとり暮らしの父の薬の飲み忘れが心配です。そのうえ食事も乱れているようなので、なんとかしたいと考えています

ひとり暮らしをしている父の状態が心配です。父は認知症で、たまに持病の薬の飲み忘れがあるようです。週3回、訪問ヘルパーさんに食事を作ってもらっているものの。それ以外はヘルパーさんに買ってきてもらったパンやおにぎりで済ませているようです。 (山下さん・会社員・57歳) このままだと、持病が悪化してしまったり栄養不足になってしまうかもしれませんね…。専門家が訪問して薬の管理や栄養についての指導をしてくれる「居宅療養管理指導」を利用してみるのはどうでしょうか。定期的に専門家がお父様の健康を管理してくれるので、安心できると思いますよ。 居宅療養管理指導とは? 遠方でひとり暮らしをしている父の状況が心配です。ケアマネジャーさんによると、たまに薬を飲み忘れているみたいですし、食事も訪問ヘルパーさんが作ってくれたもの以外はパンやおにぎりで済ませているみたいで…。通院やスーパーに行くのに外に出るみたいですが、ほとんど家にこもっています。このままだと、認知症が進んでしまうんじゃないかと思っています。何か良い方法はないですか? それは心配な状態ですね。「居宅療養管理指導」というサービスを利用してみるのはどうでしょうか?医師や栄養士がご自宅に訪問して、薬や栄養などについてアドバイスしてくれるサービスです。 そんなサービスがあるんですか!詳しく知りたいです。 居宅療養管理指導というのは、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士が訪問して、それぞれの専門分野から助言をしてくれるものです。例えば、医師であれば心身の状態に問題がないかを確認し、薬の服用方法・副作用に関する指導をおこないます。ちなみに、服薬の指導については薬剤師がおこなっていますよ。 では、うちの場合は薬剤師さんに訪問してもらえばいいんですね。 はい。それと、栄養面に関しては管理栄養士が担当しています。管理栄養士は医師の指示のもと、栄養バランスを整えるための「栄養ケア計画」を作成して、身体状況にあわせた栄養指導をしてくれます。また、居宅療養管理指導はお一人おひとりの状況に応じて専門家に依頼できるのも特徴。なので、お父様の状態に応じて複数の専門家に依頼することもできますよ。 それはとても助かります!…ちなみに、居宅療養管理指導の費用っていくらかかるんでしょうか? 居宅療養管理指導は、依頼する専門家によって費用が異なります。また、単一建物居住者、つまり1つの建物にサービスを受ける人が何人いるかも料金に影響します。例えば、マンションなどの集合マンションで、サービスを受ける人が複数いる場合は少し費用が安くなるんですね。詳しくは、次の表でまとめています。 職種単一建物居住者の人数1人2~9人10人以上医師509円485円444円歯科医師509円485円444円薬剤師(病院・診療所勤務)560円415円379円薬剤師(薬局勤務)509円377円345円管理栄養士(該当事業所)539円485円444円管理栄養士(該当事業所以外)524円466円423円歯科衛生士356円324円296円 うちは戸建てですし、父しかサービスを受ける人がいないので”1人”のところを見れば良いわけですね。 はい、そうです。1回の訪問につき、約300円から600円弱かかると考えておけば良いですね。ちなみに、居宅療養管理指導を利用するには要介護1以上であることが条件です。お父様の介護度はいくつですか? 要介護1です。 それなら大丈夫ですね。もし、要支援1~2の方が同様のサービスを利用したい場合は、「介護予防居宅療養管理指導」という別のサービスを使うことになります。 往診や訪問診療との違い 居宅療養管理指導では、お医者さんも訪問してくれるんですよね?親の介護をしている知人が「訪問診療」というサービスを利用していると聞いたんですが、訪問診療とは何か違うんですか? そうですね、大きく違うのは”医療行為があるかどうか”です。訪問診療は、「◯曜日の◯時から」といったように定期的に医師が訪問して診察してくれるものです。それに対して居宅療養管理指導は、健康上の指導をおこなうものなので治療や投薬といったことはできません。 そういった違いがあったんですね。 また、同じように医師が訪問して治療をする「往診」サービスもあります。これは、急に体調を崩したときなどに医師が訪問して診察するものなので、居宅療養管理指導とは少し異なりますね。 居宅療養管理指導のメリット・デメリットは 居宅療養管理指導はとても便利なサービスですが、メリットとデメリットの両面があります。どちらも把握したうえで、サービスを利用するか検討してくださいね。 居宅療養管理指導のメリット まず、メリットのひとつはピンポイントで必要なサービスを受けられることです。居宅療養管理指導は、先ほどもお伝えしたように、いろんな分野の専門家から指導を受けられます。「歯科衛生士と管理栄養士から嚥下状態を良くするための指導がほしい」「医師と薬剤師に健康管理をしてもらいたい」など、その人の状態にあわせてピンポイントで指導を受けられるわけです。 そんな風にも組み合わせて利用できるんですね。 また、居宅療養管理指導ではケアマネジャーも同席して専門家の指導を受けます。なので専門家の助言をふまえた、よりよいケアプランの作成をしてくれるでしょう。 へぇ!私がなかなか父の様子を見に行けないので、ありがたいです。 そして、やっぱり”訪問してもらえる”ということが最大のメリットでしょうか。通院などをしなくても専門家が来てくれるわけですから、介護の負担が減りますよね。 居宅療養管理指導のデメリット 居宅療養管理指導のデメリットというと、どんなことでしょう? まず、利用回数に制限があることです。専門家の月間の訪問回数には制限があり、無制限に何度でも利用できるものではありません。それぞれの専門家の利用回数は、次のように決められています。 医師:月2回 歯科医師:月2回 薬剤師:病院・診療所勤務→月2回、薬局勤務→月4回 管理栄養士:月2回 歯科衛生士:月4回 また、居宅療養管理指導を利用するには、ケアマネジャーさんから主治医に相談しなければいけません。ご本人やご家族が希望しただけではなく、主治医が必要と判断した場合のみサービスを利用できます。 居宅療養管理指導を利用するには 居宅療養管理指導を利用してみたいと思うのですが、どうしたら良いんでしょうか? まずは、ケアマネジャーさんに相談ですね。お伝えした通り、主治医の判断が必要ですから、ケアマネジャーさんから主治医に相談してもらうことがスタートです。それ以降の利用の流れは以下の通りです。 担当のケアマネジャーや主治医に相談ケアマネジャーが状況に応じて、訪問してくれる医師や事業所を探す事業所側が対応できるか確認契約・利用日の決定主治医の指示に基づくサービス開始 なるほど!ケアマネジャーさんにお任せして大丈夫なんですね。 遠距離介護だと、様子がわかりにくくて何かと不安なことがあると思います。そういったときに、専門家が定期的に様子を見てくれるととても安心です。もし、お父様の健康状態が心配なら、まずはケアマネジャーさんに相談してみてくださいね。 居宅療養管理指導とは、専門家が訪問して健康管理についての助言をしてもらえるサービス 自宅に訪問してもらえるので、通院などの負担が減る サービスを利用したいときは、まずはケアマネジャーに相談して pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/09/05

施設入居 医療体制 介護の基礎知識

医療的なケアが必要な母の入居先を探しています。特養では受け入れが難しいと断られてしまいました

胃ろうの母が入居する介護施設を探しています。特別養護老人ホームや有料老人ホームも検討したのですが、胃ろうの対応ができなかったり料金が高すぎたりして入れる施設がありません。胃ろうのケアができる施設はあるでしょうか? (谷口さん・会社員・61歳) 公的な介護施設の中でも医療体制が充実している「介護医療院」はどうでしょうか?医師や看護師が常駐しているので医療ケアができますし、公的施設なので有料老人ホームよりも比較的安く入居できますよ。 介護医療院の特徴と対応できる医療ケア 胃ろうの母の介護施設を探しています。先日、体調を崩したために入院しており、退院後は施設に入れようと思っているんです。なので、特別養護老人ホームや有料老人ホームを検討してみたのですが…どこも胃ろうの受け入れが難しかったり、料金が高かったりで入れるところがなくて…。 そうなんですね…。うーん、でしたら、介護医療院はどうでしょうか? 介護医療院ですか?聞いたことないです。 介護医療院というのは、介護サービスと充実した医療ケアを両立した公的施設です。病院よりも「生活」という点に注目しており、イベントやレクリエーションなどもおこなっているのも特徴です。 へぇ、今、母は病院ではほとんどベッドの上で過ごしていて退屈そうなので、そうしたイベントをしてくれると助かりますね。 ただ、介護度が「要介護1」以上で、医療的なケアが必要なことが入居の条件です。介護と医療が必要な人向けの施設なので、身体状況が重度の人が多い傾向にあります。 対応できる医療ケアは 医療的なケアというと、どんなことを対応してもらえるんでしょうか?母は、胃ろうの処置の他に、たんの吸引も必要なのですが…。 看護師が常勤しているので、胃ろうもたん吸引も対応できますよ。他にもインスリン注射や点滴、在宅酸素などの人も入居ができますし、看取りやターミナルケアもおこなっています。特に介護医療院には、医師が必ずいますから診察や健康管理、薬の処方もできるんです。 そうなんですね!お医者さんがいてくれるなら、何かあったときでもすぐみてもらえそうですね。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設とは何が違う? 入居にはならなかったんですが、先日、特養の見学に行きました。介護医療院とは何が違うんでしょうか? 特養と大きく違うのは、医療ケアの充実度ですね。特養には医師の配置が業務付けられていないので、医師がいないところも多いです。なので、特養では提携医療機関の医師が月に数回、訪問診療をする形にしているのが一般的ですね。また、特養はより介護サービスに重点を置いている施設なので、入居時に要介護3以上の介護度であることが入居条件です。介護医療院よりも入居条件の介護度が高いんですね。 なるほど…。特養にはお医者さんがいないんですね。そういえば、老健っていうのもありますよね?ケアマネジャーさんから聞いたことがあるような気がするのですが…。 老健、つまり介護老人保健施設は基本的にリハビリ目的の施設です。リハビリをして在宅復帰するのを目指す施設なので、だいたい3~6ヵ月で退去するケースが多いですね。対して、介護医療院は長期療養が目的の施設。老健は、リハビリによって改善したときに退去する必要があるので、長期的な入居を前提としている場合は介護医療院の方が向いていますね。 介護医療院の費用はどれくらいかかる? 介護医療院の特徴がよくわかったので具体的に検討したいのですが、入居にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか? 介護医療院にはいくつかの種類に分けられており、その種類や介護度によって費用が異なります。まずは、おおまかに介護医療院の種類についてお話ししますね。はじめに、介護医療院は「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の2種類があります。Ⅰ型は、要介護度が比較的重度の人を対象としている施設です。さらに、Ⅰ型の中でも医療体制などによって「強化型A」「強化型B」に分けられています。 なんだかややこしいんですね。 そうなんですよ。強化型Aの方が医療的処置が必要だったりターミナルケアの人が多いのが大きな違いですかね。つまり、強化型Aがもっとも医療依存度が高い人も受け入れられる施設、と言えます。対して、Ⅱ型はリハビリなどをおこなって自宅復帰をサポートする施設。そういった意味では、老健と似たような扱いです。このように、介護医療院には複数の種類があり、それぞれに料金の設定がされています。次の表は、それぞれのタイプの介護サービス費です。 <Ⅰ型 サービス費(Ⅰ)療養機能強化型A相当/看護6:1 介護4:1> 1日あたりの施設サービス費1ヵ月の施設サービス費要介護1803円24,090円要介護2911円27,330円要介護31,144円34,320円要介護41,243円37,290円要介護51,332円39,960円 出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省) <Ⅰ型 サービス費(Ⅱ)療養機能強化型B相当/看護6:1 介護4:1> 1日あたりの施設サービス費1ヵ月の施設サービス費要介護1791円23,730円要介護2898円26,940円要介護31,127円33,810円要介護41,224円36,720円要介護51,312円39,360円 出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省) <Ⅰ型 サービス費(Ⅲ)療養機能強化型B相当/看護6:1 介護5:1> 1日あたりの施設サービス費1ヵ月の施設サービス費要介護1775円23,250円要介護2882円26,460円要介護31,111円33,330円要介護41,208円36,240円要介護51,296円36,880円 出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省) <Ⅱ型 サービス費(Ⅰ)転換老健相当/看護6:1 介護4:1> 1日あたりの施設サービス費1ヵ月の施設サービス費要介護1758円22,740円要介護2852円25,560円要介護31,056円31,680円要介護41,143円34,290円要介護51,221円36,630円 出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省) <Ⅱ型 サービス費(Ⅱ)転換老健相当/看護6:1 介護5:1> 1日あたりの施設サービス費1ヵ月の施設サービス費要介護1742円22,260円要介護2836円25,080円要介護31,040円31,200円要介護41,127円33,810円要介護51,205円36,150円 出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省) <Ⅱ型 サービス費(Ⅲ)転換老健相当/看護6:1 介護6:1> 1日あたりの施設サービス費1ヵ月の施設サービス費要介護1731円21,930円要介護2825円24,750円要介護31,029円30,870円要介護41,116円33,480円要介護51,194円35,820円 出典:「介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯」(厚生労働省) ただ、介護サービス費は入居する人の所得や施設の形態、居室の種類、職員の人数などによって変わります。この金額よりも高くなる可能性があるので事前に確認してくださいね。 また、月にかかるお金は、これだけでなく「居住費」「食費」「日常生活費」といったものも追加されます。これも所得によって変動があったり、その人その人で金額が変わってきますが、約10~20万円程度が目安です。 やっぱりこれもわかりにくいなあ…。 そうなんですよね…。なので、介護医療院を探す場合は、入院先のソーシャルワーカーさんや担当のケアマネジャーさんに相談してみてください。費用面はもちろん、医療体制についても確認できますよ。 介護医療院は介護・医療サービスの両方を提供している公的施設 医師・看護師が常駐しているので医療体制が充実 「Ⅰ型」は重度の要介護者向け、「Ⅱ型」は在宅復帰を目指してリハビリができる 1ヵ月の利用料は約10~20万円程が目安 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...

2022/09/02

在宅介護 介護の基礎知識

在宅介護を続けたいのですが、介護の負担が大きくて大変です。何か良い方法はあるでしょうか

最近、母の認知症の症状が悪化していて介護が大変です。昼間はデイサービスと訪問介護を使っているものの、それ以外の母がひとりになる時間帯に何か起きてしまったら…と不安を感じています。また、私が仕事で急に家を空けることがあるのですが、ショートステイの予約が取れないことがあり、母をひとりにさせてしまうのも心配です。 (青木さん・会社員・58歳) それはとても不安な状況ですね。青木さんのような状況であれば、もしかしたら「小規模多機能型居宅介護」サービスを利用するのも良いかもしれません。これは、訪問介護・デイサービス・ショートステイがひとつになったもの。同じ事業所ですべてのサービスを提供しているので、「デイサービスの後にそのままショートステイ」という柔軟な使い方もできますよ。 小規模多機能型居宅介護はどんなサービス? 最近、母の認知症が進行していまして。ひとりで出かけて帰り道がわからなくなって警察に保護されたこともあります。母が外出していたら近所の人が自宅まで送り届けてくれたりするので、今のところ何事もないんですが、もし事故にあったらと心配です。私は仕事で日中は家にいないですし…。老人ホームに入れることも考えたのですが、「入りたくない」と母に拒否されてしまって。私もできれば自宅で介護をしたいとは思っているのですが…。 そうなんですね…。在宅介護を続けるのであれば、「小規模多機能型居宅介護(小規模多機能)」という介護サービスを利用してみるのはどうでしょうか? なんですかそれは?初めて聞きました。 小規模多機能型居宅介護は、「通い・訪問・宿泊」の3つの介護サービスが1つになったものです。つまり、デイサービス・訪問介護・ショートステイのサービスが1ヵ所の介護事業所で受けられるということですね。また、名前の通り小規模なうえ、事業所のある市区町村に住んでいる人限定のサービスなので、アットホームな雰囲気であることも特徴です。 小規模多機能型居宅介護のメリット 3つのサービスが1ヵ所の介護事業所で受けられる、と先ほど言っていましたが、それって何か良いことがあるんですか?別々の事業所で受けても変わらないと思いますが…。 いえいえ、いくつもメリットがあるんですよ。一番大きなメリットとしては、「柔軟に対応してもらえる」ということでしょうか。例えば、「デイサービスからそのままショートステイを利用してお泊り」ということも可能です。さらに、「訪問介護で朝の準備をして、そのままデイサービスに行く」という対応もできたりするんですよ。 なるほど!そんな対応もしてもらえるんですね! 加えて、その人の生活や体調、ご家庭の事情に合わせた柔軟な対応もしてもらえます。例えば、認知症の影響で気持ちが不安定になっているときには、訪問介護でご自宅での見守りをしたり。それがご家族では対応しきれないほどの状態であれば、ショートステイに泊まって気持ちを落ち着ける、なんてこともできるんです。 急にショートステイでお泊りができるんですね!今、利用しているショートステイが、なかなか予約が取れないので、急な出張のときに利用できないんですよね。 そうなんですね。小規模多機能では、ショートステイの利用人数に空きがあれば急な利用でも対応しているところが多いですよ。24時間365日対応しているので、急に「仕事で帰りが遅くなる」というときも相談ができるのがうれしいところです。 それは助かるなぁ。 あと、すべてのサービスを同じ介護職員さんが提供するので、顔なじみの人に対応してもらえるのも良いですね。環境の変化に敏感な人の場合、安心しやすいんじゃないでしょうか。 それは、私にとっても良いかもしれないです。どの介護職員さんがどのサービスの人だったか、わからなくなってしまうことがあるので(笑)。 いろんなサービスを使っているとそうなりますよね!それに、3つの介護サービスの契約が1度で済むのもメリットかもしれません。それぞれのサービスでその都度、面談や見学、申し込み、契約といったことをしなければいけませんが、小規模多機能にすれば、それが1回になりますから。 確かに、いくつものサービスを契約するのは手間でした…。 あと、これは費用面でのメリットですが、小規模多機能は月額定額制なんです。それに、サービスの利用回数に制限はありません。なのでサービスを何回使っても良いし、金額が変わらないんです。 そうなんですか!?ちょうど、介護サービスの量を増やそうかと思っていたので、とてもうれしいですね。 小規模多機能型居宅介護のデメリット 小規模多機能にはメリットがたくさんありますが、もちろんデメリットもあります。まずは、定員数に上限があること。小規模多機能は1つの事業所につき、登録定員数は29人以下、デイサービスは15人以下、ショートステイは9人以下、と決められています。これを超えるとどのサービスも利用ができないんです。 サービスを何回でも利用できるといっても、やっぱり制限はありますよね。 あとは、小規模多機能と併用できない介護サービスがある点は要注意ですね。以下に、併用できるサービスとできないサービスをまとめました。 併用可能なサービス 併用可能なサービス 訪問看護 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 福祉用具貸与 住宅改修 併用不可能なサービス 居宅介護支援 訪問介護 訪問入浴 デイケア ショートステイ デイサービス 併用ができないサービスは、小規模多機能に含まれているので同時に利用できないんですね。対して、訪問看護や福祉用具貸与などのサービスは、小規模多機能で提供していないので併用ができるんです。 なるほど。では、今、利用しているデイサービスなどは解約しなくちゃいけないんですね? そうなりますね。と、同時に、ケアマネジャーさんの変更も必要です。小規模多機能には専属のケアマネジャーさんがいますので、そちらに変えなければいけないんです。またイチから信頼関係を作らないといけないとなると、少し大変ですよね。 ケアマネジャーさんも変えるのか…。 また、3つのサービスが1つにまとまっていることのデメリットも。というのは、サービスを一部だけ変えることができないんです。例えば、「デイサービスの内容に不満があるから、別の事業所に変える」といったことはできないので注意してくださいね。 小規模多機能型居宅介護の費用 最後に、小規模多機能の月額の費用をお伝えしますね。先ほど言った通り、小規模多機能の費用は月額定額制ですので、サービスの利用回数ではなく介護度によって金額が決まるんです。各介護度の料金は次の通りです。 要支援13,418円要支援26,908円要介護110,364円要介護215,232円要介護322,157円要介護424,454円要介護526,964円 出典:「小規模多機能型居宅介護」(厚生労働省) 月額定額制といっても、サービスが充実している小規模多機能では、その内容によって費用が追加されます。介護職員や看護職員の数が多かったり、訪問サービスに力を入れている場合など、その事業所によって追加金額が異なるので事前に確認しておいてくださいね。 通い・訪問・宿泊を1つの事業所で利用できる 複数のサービスを同じスタッフから受けられる 月額定額制で回数制限がないので、たくさん使っても費用は増えない 併用できないサービスがある点に要注意 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/08/31

在宅介護 介護の基礎知識

ケアマネジャーの仕事内容を教えてください。また、試験内容や受験資格も知りたいです

現在、訪問ヘルパーをしており、ゆくゆくはケアマネジャーを目指そうかと思っています。ケアマネジャーとはどんな役割の仕事なのでしょうか。試験内容や受験資格についても教えてください。 (田村さん・訪問ヘルパー・36歳) ケアマネジャーの中心的な仕事は、ケアプランを作成することです。未経験の人がケアマネジャーになるには、介護スタッフや介護福祉士としての実務経験が合計8年必要で、試験に合格後に研修を受けなければいけません。試験内容は、介護についてだけではなく、高齢者に多い疾病などの医療に関することも出題されていますよ。 ケアマネジャーの役割 訪問ヘルパーをして1年ほどなのですが、今後のスキルアップを考えてケアマネジャーを目指そうかと思っています。ケアマネジャーの仕事について教えてください。私が働いている訪問介護事業所にもケアマネジャーがいるので、なんとなくは把握しているつもりなのですが、具体的にはよくわからなくて…。 わかりました!田村さんもご存知の通り、ケアマネジャーの仕事の中でも中心的なものはケアプランの作成です。利用者さんの心身の状況に応じた介護サービスを提案し、より暮らしやすい生活にするようにサービスの計画を作成します。ケアプランがないと利用者さんは介護サービスを利用できませんから、介護サービスの要の仕事とも言えますね。 そうですよね。訪問介護サービスも、ケアプランにもとづいて提供されていますから。 あとは、利用者さんとサービス事業者との調整です。田村さんが働いている訪問介護も含めて介護サービスはたくさんの種類があるので、多くの利用者さんはどこの事業所を選べば良いのかわかりません。そこで、介護のプロであるケアマネジャーがサービス内容や事業所ごとの特徴を説明したり、その人にあったサービスを提案することで、利用者さんがサービスを選びやすくしているんですね。いろんな介護サービスに精通しているケアマネジャーだからできることですよね。 そうですよね。私が担当している利用者さんにも、デイサービスや訪問看護を利用している方がいらっしゃいます。利用者さんは、いろんな介護サービスを組み合わせているので、ケアマネジャーもサービスに詳しくないといけないんですね。 おっしゃる通りです。それと、利用者さんからの要望やクレームをサービス事業所へ伝えることもケアマネジャーの仕事です。どうしても利用者さんから事業所に直接言いにくいことがありますから、ケアマネジャーを通して伝えるわけです。 そういうこともしているんだ。利用者さんの介護に関する相談を一手に引き受けているんですね。 あとは、自治体から依頼を受けて要介護認定の調査をおこなうこともあります。申請したご高齢者の自宅を訪問して、身体状況や認知機能、家庭環境などをチェックするんですね。その調査結果をもとに介護度の判断がされます。 要介護認定もケアマネジャーがおこなっていたんですね。知らなかった! ケアマネジャーの試験は? ケアマネジャーの仕事内容について、おおまかにわかりました。…確か、ケアマネジャーは試験に合格しないとなれないんですよね?どんな試験内容なんでしょう? ケアマネジャーの試験は正式には「介護支援専門員実務研修受講試験」と言います。試験科目は「介護支援分野」「保健医療福祉サービス分野」の2つに分かれており、全部で60問あります。介護支援分野では、介護保険制度や介護認定などに関する基礎知識などが問われます。保健医療福祉サービス分野では、高齢者に多い病気についてや病気の予防などについて出題されています。 病気についての問題もあるんですね。なんだか難しそうだなぁ。 介護分野の出身者が受験する場合は、医療分野の問題につまづくことが多いみたいですね。対して、看護師などの医療分野の出身者は介護分野を苦手としている人が多いようです。 え?ケアマネジャーの試験って、介護業界で働く人が受けるものではないんですか? そうなんですよ。介護業界だけでなく医療業界出身者が受験することもあります。では、ケアマネジャー試験の受験資格についても確認しておきましょうか。まず、試験を受ける資格を持っているのは大きく分けて2パターンの人がいます。ひとつは、介護福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士などの特定の資格を取得して、その業務に900日以上、勤務している人です。田村さんの場合、こちらのパターンになると思います。 そうなんですか? はい。田村さんの場合だと、まず介護現場の実務経験を3年以上積んでかつ「介護福祉士実務者研修」を修了したうえで、「介護福祉士」資格を取得する必要があります。そして、介護福祉士として5年以上かつ900日以上、従事することでケアマネジャー試験を受けられるようになります。 えーっと、つまり、ケアマネジャーになるには8年以上かかるわけですね。長いなぁ…。 もうひとつのパターンは、有料老人ホームや介護老人保健施設(老健)などの所定の施設で、生活相談員と支援相談員といった相談員業務を5年以上かつ900日以上すること。ただ、生活相談員と支援相談員は社会福祉士の資格を持っていないとできない業務なので、少しハードルが高いですよね。 なるほどー。確かに私の場合は、ひとつめの方法で受験資格を手に入れた方が良さそうです。それで、ケアマネジャー試験に合格したら、晴れてケアマネジャーになれるわけですね。 いえ、実はそういうわけでもないんです。試験に合格しても「介護支援専門員実務研修」を修了しないと、ケアマネジャーとしては活躍できません。 試験に合格した後に研修ですか!大変だなぁ。 そうなんですよ。研修は、座学でケアマネジメントに関して必要な視点や専門知識を学んだり、実際にケアマネジャーが働いている居宅介護支援事業所で実習をおこなったりします。この研修が終わって、やっとケアマネジャーとして働けるようになるんです。 ケアマネジャーになるのってこんなに大変なんですね。ケアマネジャー、尊敬します…。 ケアマネジャーは、介護分野の一番上位の資格とも言われていますし難易度はかなり高いです。ただ、重要なのは”ケアマネジャーになること”ではなく、”利用者さんと信頼関係を築けるケアマネジャーになること”です。「この人なら信頼できる」と思ってもらえるようなケアマネジャーになってくださいね。 ケアプラン作成、利用者とサービス事業者との調整が主な仕事 自治体から依頼されて認定調査をすることも 未経験からケアマネジャーになるには、最低8年はかかる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/08/29

施設入居 在宅介護 介護の基礎知識

「要支援2」はどのような状態のことですか?どのような介護サービスを利用できるのでしょうか

先日、母が要支援1の介護認定を受けました。どんな状態になると、もうひとつ上の段階の「要支援2」になってしまうのでしょうか?また、利用できる介護サービスは要支援1と違いがあるのでしょうか。 (藤田さん・61歳・会社員) 要支援2は歩行に杖が必要なときがあったり、料理や掃除などの日常の家事に支障が出ている状態です。介護は必要としていませんが、見守りやちょっとした手助けが必要なこともあります。介護サービスは要支援1と同様に介護予防サービスが利用でき、要支援1より介護保険の利用限度額が増えます。 要支援2はどんな状態? 最近、母が介護認定を受けて、要支援1と判定されました。これから介護サービスを使いながら、状態が進行していかないように予防していこうと思っているのですが、どんな状態になると要支援2に上がってしまうんでしょうか? そうですね…。介護認定は、その人の身体状況や認知機能などを総合的に判断して判定されるので、一概には言えないのですが…。例えば、食事やトイレをひとりでするのは可能ですが、立ち上がりの際に手助けが必要だったり、立っているときや歩くときに支えが必要なことがあります。 要支援1・要介護1との違い 要支援1と要支援2の違いは、「足腰が弱っているかどうか」ということでしょうか? はい。積極的な介護が必要ない点は、要支援1と要支援2に共通しています。ただ、要支援1では片足で立つなどの複雑な動きをするときに支えが必要だったり、掃除や買い物などをするときに見守りや手助けが要る程度、とされています。が、要支援2では筋力が衰えて歩行や立ち上がりが不安定なため、要介護状態になる可能性が高い状態です。 そうか、要支援2より上がると「要介護1」になるんですよね。要介護1と要支援2は、どうちがうんですか? 要介護1になると、要支援2よりもさらに介護が必要な状態。具体的には、トイレや入浴の際に一部介助が必要だったり、歩行が不安定で介助が必要です。さらに、理解力の低下がみられることもあります。ただ、要介護の中では一番軽い状態ですから、リハビリなどによっては要支援に改善できることもありますよ。 要支援2で利用できる介護サービス 要支援2に上がると、要支援1と比べて利用できる介護サービスって変わったりするんですか? 介護サービスの内容が変わるというより、介護保険の自己負担上限額が増えます。サービス内容からお伝えしていきますね。 利用できる在宅介護サービス 要支援2では、要介護1と同じように「介護予防サービス」を利用できます。要支援2で利用できる介護予防サービスは以下の通りです。 訪問系サービス訪問介護訪問入浴訪問看護訪問リハビリ夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護通所系サービス通所介護(デイサービス)通所リハビリ地域密着型通所介護療養通所介護認知症対応型通所介護多機能型サービス小規模多機能型居宅介護看護小規模多機能型居宅介護宿泊系サービス短期入所生活介護(ショートステイ)短期入所療養介護福祉用具福祉用具貸与特定福祉用具販売 いろんなものがあるんですね。…あ、通所リハビリはこれから母が利用する予定です。足腰の筋力が落ちているので、これ以上、衰えるのを防ぐために。 良いですね!要支援2でも同じように、介護予防のために介護サービスを利用できます。例えば、「介護予防訪問リハビリ」では、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門スタッフが自宅に訪問して、個別にリハビリをおこないます。自宅の環境の改善提案やご家族へのアドバイスもおこなってもらえるのも魅力です。 自宅の環境改善なんてこともしてくれるんですね! また、毎日の健康管理もしてもらいたいという場合には「介護予防訪問看護」が活用できます。看護師が自宅に訪問して、リハビリや薬の相談にも乗ってくれるんです。「薬の飲み忘れをすることがある」「自宅にいながら医療ケアを受けたい」という方が利用しています。 母は、今のところ薬の飲み忘れはないですね。…でも、頭に入れておきます。 他にも、宿泊型のサービスもあります。「介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)」は、短期間、介護施設に泊まれます。もし、藤田さんがお仕事は冠婚葬祭などで自宅を空ける場合や、病気になって介護ができなくなった場合などに活用するととても便利だと思います。それに、旅行などの介護の息抜きをするときにも利用できます。介護疲れをリフレッシュするために毎月利用している人もおり、介護する人の負担を軽くするサービスですね。 そんなサービスもあるんですね。確かに家に母をひとりにしておくのは心配なので、泊まりで使えるサービスはありがたいですね。 また、要支援2になると、要支援1のときよりも介護保険の自己負担額の上限が上がります。要支援2の場合、利用できるサービスの上限額は1ヶ月あたり105,310円、1割負担だと自己負担上限額は10,531円です。要支援1だと1割負担のときの自己負担上限額は5,032円ですから、要支援2になると使うサービスの幅が広がるかもしれませんね。 利用できる施設介護サービス ちなみに、要支援2でも介護施設に入れることをご存知ですか? そうなんですか?施設ってもっと介護度が重い人が入っているイメージでしたが…。 元気なうちから入れる施設もたくさんあるんですよ。要支援2で入れる介護施設は、次の通りです。 有料老人ホーム ケアハウス(軽費老人ホーム) サービス付き高齢者向け住宅 養護老人ホーム グループホーム なんだか似たような施設があって、よくわからないです…。 確かにそうですね。「有料老人ホーム」というのは、民間企業が運営している老人ホームのこと。「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」の2つのタイプがあります。これらは基本的な身の回りの介助やレクリエーションをおこなって、日常生活の支援をしている施設ですね。介護付き有料老人ホームは、介護サービス費用が定額なのが特徴で、住宅型有料老人ホームは在宅介護サービスを組み合わせてその人に合ったケアを受けられるのが魅力です。 へぇ!有料老人ホームでもサービスに違いがあるんですね! また、費用が安いことが魅力の「ケアハウス」もあります。要支援2の人は、ケアハウスの「一般型」と呼ばれるタイプの施設に入居できます。「介護型」のケアハウスでは介護サービスを受けられますが、一般型では基本的に生活支援サービスのみで介護サービスを提供していません。介護サービスを利用したい場合は、外部の在宅介護サービスを別途、契約して利用することになります。介護は必要ない人が入ることを想定した施設なんですね。 介護が必要ないことを想定しているから、要支援2の人も入れるんですね。 ケアハウスは、長期にわたって生活することを前提としている一方で、「養護老人ホーム」は自立支援を目的としているため、機能訓練などをして社会復帰を目指します。養護老人ホームも介護サービスの提供はなく、食事の提供や健康管理を通して困窮するご高齢者を”養護”しているというわけです。ただ、入居するには自治体の審査が必要。自立して生活ができないほどの経済状態の人などが対象になっているようですね。 経済的に困っている人が入る施設なんですね…。ちなみに、もし施設に入るとしたらどれくらいの費用がかかりますか?介護施設に入居したときの料金がイマイチわからなくて。 施設によってかなり金額は変わってきますが…。主要な施設の目安の費用を次のように表にまとめてみました。 介護サービス費用(1割負担の場合)月額費用相場合計(目安)介護付き有料老人ホーム9,330円200,000円209,330円住宅型有料老人ホーム10,531円200,000円210,531円サービス付き高齢者向け住宅10,531円150,000円160,531円グループホーム22,800円110,000円132,800円 施設のタイプによっても、かなり料金が違うんですね。 そうなんです。それに、介護付き老人ホームの場合は介護サービス費が定額ですが、住宅型有料老人ホームだと使った分だけ介護サービスがかかる料金体系なので、サービス内容によっては金額が前後することもあります。 うーん。まだまだ施設に入居することは考えていなかったけど、介護施設もややこしいんですね…。 施設探しをされる人は、みなさんそうおっしゃいます。ですので、もし介護施設に入居を検討されるようでしたら、「いい介護 入居相談室」にぜひご相談ください。介護施設に詳しい相談員がそれぞれの施設の特徴もふまえてわかりやすくご案内しますよ。要支援2は介護認定のなかでは軽い方ですが、要介護状態の一歩手前です。手助けが必要な場面もあるでしょう。介護サービスを利用しながら身体状況が進行しないように、介護予防をしていく段階と言えますね。 要支援2は、介護は必要ないが立ち上がりなどに手伝いが必要な状態 要支援2では、介護予防サービスを利用できる 要支援2でも入居できる介護施設はたくさんある! pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/08/29

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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