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近年、ネットショッピングや動画配信サービスだけでなく、行政サービスでも「デジタル化」が進んできました。 しかし、スマホやパソコンといったデジタル機器を持っていなかったり使いこなせていない高齢者が多く、「デジタル格差(デジタルデバイド)」が問題となっています。 内閣府の2020年の調査では、70歳以上の高齢者の5割近くが「スマホやタブレット端末を利用していない」と回答しており、行政サービスのデジタル化をしても高齢者が取り残される可能性があります。 そうしたことを受けて、各自治体ではスマホを一定期間貸し出しをしたり、スマホ講座を開催することで、こうした格差をなくそうとしています。 ”便利”だけじゃなく”防災”にもなるデジタル化 群馬県長野原町では、NTTドコモと協力して地域情報のデジタル化を推進していくことを発表しました。 これまで長野原町では、地域や災害時の情報は回覧板や防災無線で発信をしていました。しかし、それでは住民すべてに情報が伝わっているのかがわからないという問題があったそうです。 さらに、長野原町は別荘地でもあるため、滞在している観光客に情報が届いていない懸念もあったとのことです。 そこで、ドコモと協力して地域住民や観光客向けのアプリを配信し、情報を提供する体制を整備。さらに、地域の飲食店などで使えるクーポンもアプリで配信することで、観光業の活性化をはかる目的もあります。 また東京都渋谷区では、スマホを持っていない高齢者に2年間貸与する実証実験を開始しました。 同時にスマホ勉強会を開催したり専用コールセンターを設けることで、スマホの操作や機能でわからないことがあればすぐに対応できるようにしています。 さらに、「渋谷区防災アプリ」や「健康アプリ」「キャッシュレスアプリ」などを貸与スマホにあらかじめインストールしておくことで、各アプリを使用しやすくしています。 そしてこの実証実験で、利用者へアンケートやデータ解析を実施。高齢者のスマホ利用の課題を抽出するとのことです。 「必要ない」で済まされなくなっている 内閣府の調査では、高齢者がデジタル機器を利用していない理由について「自分の生活には必要ないと思っているから」が半数以上を占めました。 「これまでスマホがなくても不便を感じなかったから、今後も必要ない」ということでしょう。しかし、これからさらにデジタル化が進むにつれてスマホを持っていないと不便になっていくことが想定されます。 そこで、今までスマホを使っていなかった人にとっては「スマホ貸与」というきっかけがあると、スマホデビューをするハードルが下がるかもしれませんね。 デジタル庁が掲げている「誰一人取り残されない」デジタル社会について、各自治体の取り組みに注目していきたいですね。
2022/03/17
今、シニアの就労が注目されています。 というのも、昨年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」では、70歳までの定年の引き上げや、継続雇用制度などをおこなう努力義務が新設されました。 また、介護や支援を必要としていない65歳以上の高齢者が8割以上という調査結果もあり、元気なシニアの活動が注目されているのです。 そうした元気なシニアの就労を支援するサービスに、「GBER(ジーバー)」というアプリがあります。 これは、働きたいシニアと人手が欲しい企業をつなげるマッチングアプリ。世田谷区が昨年導入し、来月からは福井県で本格的に稼働を始めるそうです。 シニア就労の新しい形 東大が開発した、元気なシニアと働き手を求める企業をつなぐアプリ「GBER」が複数の自治体で採用され、昨年や今年から立て続けに本格導入が進められています。 このアプリは、人手を求める企業が登録した求人をアプリが求職者に合わせて自動でおすすめしてくれるもの。シニアはこれまでのスキルや予定、希望エリアなどを登録することで、より自分に合った仕事を見つけやすくなる仕組みです。 もちろん、これまでもシニアの就労を支援するサービスはありました。 しかし、そのうちのひとつのシルバー人材センターでの業務は、軽作業がメインであるためシニアの就労意欲をかきたてるものにはなっていませんでした。60歳以上の加入率は2%程度にとどまっているそうです。 さらに、ハローワークでもシニア向けの求人を扱っていますが、フルタイムでの雇用を前提としているためシニアには業務が重く、求めるものに合致していないという問題があります。 この「シニアが仕事に求めているもの」というのは、現役世代と異なっていることが多いそう。シニアの多くは、「家の近く」「短時間」「やりがい」に一致する仕事を探している傾向があり、求人が限られるうえに企業側としては受け入れにくいのが実情のようです。 そこでGBERは、チーム単位で仕事を請け負うことで問題を解決。1人分の仕事を複数人で担当することで、企業の人手不足も解消し、シニアとしても都合の良い時間帯で働けるそうです。 求人数はまだまだこれから GBERはまだごく一部の自治体で導入される段階ですが、今後はさらに注目されるかもしれません。 ちなみに、このアプリは仕事を見つけるだけでなく、地域の高齢者同士のつながりを強くする狙いもあるそう。災害時に孤立しやすい高齢者が、平時から高齢者同士や企業とつながっていることで、非常時にスムーズに連携をとれるようになることも目的のひとつとのことです。 とはいえ、始まったばかりのサービスなので求人数はまだまだ少ないのが現状。今後の拡大に期待できるサービスですね。
2022/03/16
「気を付けなくちゃ」と思いつつもなかなか継続できない減塩。ラーメンスープはしっかり飲み干し、揚げ物にはソースをたっぷり…。 しょっぱいものが美味しくて、減塩しようと思ってもついつい塩分を摂り過ぎてしまいますよね。 そこで、コンビニの弁当が実は減塩商品だったらどうでしょうか。いつもの弁当のおいしさは変わらないのに、摂取する塩分の量が減らせるのならうれしいですよね。 実は、「こっそり減塩」を進めているコンビニがあります。それはファミリーマート。うどんやパスタ、カツ丼などの定番商品26種類の食塩相当量が「こっそり」減っていたのです。 いつものお弁当が減塩に コンビニ大手のファミリーマートが、「こっそり減塩」をおこなっていたことを公表しました。 どうして「こっそり」実施したのかというと、「減塩」をアピールすることで塩分控えめの食事が定着しないと考えたからだそう。減塩商品は「塩分〇%オフ」などの言葉をパッケージに記載してアピールしているイメージがありますが、同社ではあえておこなわなかったとのことです。 というのも、同社がおこなったアンケートでは、減塩に対して「味が薄い」「美味しくなさそう」といったネガティブなイメージを消費者が持っていることがわかったから。そのため、減塩アピールをすることの売上効果よりも、ネガティブイメージによる売上減少で減塩商品を継続的に提供できなくなるリスクが大きいと考えました。 また、そういったネガティブイメージを持つ人たちにも減塩商品を手に取ってもらうために、減塩アピールよりも「こっそり減塩」で減塩商品を提供し続けることを優先したそうです。 「こっそり減塩」を実現した商品を挙げると、「きつねうどん」は塩分8.1グラムから5.9グラムに、「ロースかつ丼」は4.1グラムから3.1グラムに、「ミートソーススパゲティ」は4.4グラムから3.6グラムに。実は、さまざまな定番商品の塩分量が減少しています。 普段の食事から健康意識を 3人に1人は高血圧とも言われる日本。日本人は1日10.1グラムも食塩を摂取していると言われており、WHO(世界保健機関)が推奨する食塩摂取量「1日5グラム未満」の約2倍にもなります。 「高血圧大国」と言える日本において、「減塩」の健康効果は大きいでしょう。しかし、自分でおいしい減塩食を作るのは、手間がかかります。 そこで、手軽に買えるコンビニの食品の塩分量が減っていたら、自然と減塩できて助かりますよね。 「毎日どれくらいの塩分を摂っているか知らない」という人もいるかもしれません。これを機に、コンビニで食事を買う際には栄養成分表示で「塩分相当量」をチェックしてみてはどうでしょうか。
2022/03/15
鳥取県が、県内で2020年度に報告された高齢者の虐待が65件に上ったことを発表しました。 そのなかの61件が家族によるものだったことを受けて、県は「家庭内の問題を抱え込まずに関係機関に早めに相談してほしい」と呼びかけています。 また、厚生労働省は2020年度の家族による高齢者への虐待が統計を取り始めてから最も多くなったことを公表しています。 高齢者虐待のほとんどが家族によるもの⁉ 鳥取県は、2020年度の高齢者虐待件数が報告されているもので65件であることを公表しました。 そのうちの9割を占める61件が家族によるもの。残りの4件は老人ホームなどの職員によるものだそうです。 虐待の被害者の8割が女性。家庭内で虐待した人は息子が45%、夫が19%、娘が17%。虐待被害者の4割以上が虐待した家族と2人暮らしだったこともわかっています。 虐待内容で最も多かったのは、暴行を加える「身体的虐待」の47件。暴言や威圧的な態度をとる「心理的虐待」が32件、「介護の放棄(ネグレクト)」が9件、被害者の金銭を勝手に使うなどの「経済的虐待」が7件だったとのことです。 全国的には、家族による高齢者の虐待件数は増加傾向にあります。特に2020年度は統計が始まってから最も多い1万7281件でした。 これについて厚生省は、「新型コロナウイルスの拡大で外出自粛が長引くなかで、家族の介護負担が増大したことによるもの」という見解を示しています。家族の負担が増えたことでストレスが溜まり、虐待につながってしまったようです。 10年続けられる介護を 高齢者の虐待のニュースを聞くと「自分は虐待なんてしない」と思う人もいるかもしれません。 しかし、家族の介護というのは長期戦。親の介護の場合、一般的には10年前後が介護期間の目安と言われています。 はじめのうちは、ある程度自分でできていたので介護者の負担が少なかったものの、介護度が進行していくと在宅介護では限界になることもあります。 そうなると、身体状況の悪化による介護者の身体への負担と、介護の長期化による精神的負担は大きいものに。介護のストレスから手を上げてしまうこともあるかもしれません。 それを避けるために、介護が本格的に始まると思ったら利用できるサービスをリストアップしておきましょう。 訪問介護やデイサービスなど在宅介護で利用できる介護サービスだけではなく、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設系サービスもはじめから検討しておくと、いざというときに慌てなくて済むかもしれません。 介護のすべてを抱え込もうとせず、「使えるサービスはとことん使う」くらいの気持ちが介護する側もされる側も穏やかに暮らせる介護になるのではないでしょうか。
2022/03/15
東京都が「高齢者の特性を踏まえたサービス提供のあり方検討会」で、民間企業が高齢者にサービスを提供するときの留意点などをまとめた報告書を公表しました。 この報告書では、認知能力や判断力が低下して支払いにとまどったり機械の操作ができないといった高齢者への支援を事例で紹介。丁寧にフォローすることで、企業やブランドのイメージの向上にもつながるとしています。 高齢者を”置いてけぼり”にしないために 東京都は有識者でつくる「高齢者の特性を踏まえたサービス提供のあり方検討会」の報告書を公表しました。 この報告書によると、2050年には東京都の65歳以上の高齢者は総人口の3割を超えるとしています。 そのため、業界を問わず高齢者に配慮したサービス設計が重要。これからは、身体障害に配慮したバリアフリー化だけでなく「認知機能に着目したバリアフリー社会」をつくっていくことが求められると述べています。 例えば、近年進められているサービスのデジタル化やオンライン化を高齢者にも配慮すること。高齢者の多くがスマホを利用していますが、ネット上の手続きや決済までできるとは限らないそうです。 さらに、タッチパネルなどの機器を導入する際には、ボタンを大きくしたり操作回数を減らすなどの、操作性やデザインにも注意が必要とのことです。 また、報告書では「近所付き合い」についても触れています。 それによると、高齢者の近所付き合いの程度は徐々に減少。2005年度の調査では「お互いに訪問し合う人がいる」と回答した人が26.1%だったのに対し、2020年度には12.1%まで低下しています。 マンションや借家だったり、1人暮らしや夫婦のみ世帯が増加している影響で地域とのつながりが希薄化しているとのこと。そのため、困ったときに相談に乗ってくれるサービスを求める高齢者が今後増えるとしています。 また、こうした地域のつながりの場をつくっている企業の事例も紹介しています。 例えばドラッグストア大手の「ウエルシア薬局」では、全国366店で「ウエルカフェ」というフリースペースを展開。地域包括支援センターと連携して認知症カフェを開催したり、フレイルチェックなどのセミナーを開催しているそうです。 全世代が使いやすいサービスを 高齢化がさらに進んでいく日本において、高齢者向けのサービスでなくても高齢者が使いやすいように配慮することは避けられません。 「高齢者ばかりを優遇して」と憤りを感じる人もいるかもしれませんが、高齢者が使いやすいということは、他の世代や多様な背景を持つ人の使いやすさにもつながるでしょう。 「寛容さを持ったサービスを提供している」と、プラスの面に目を向けることで全世代が暮らしやすい社会になっていくのではないでしょうか。
2022/03/08
ごはんや肉じゃが、ハンバーグなど和洋中問わず、幅広い料理が食べやすく調理されているレトルト介護食。食材を小さくきざんだりとろみをつけたりと、自宅ではなかなか手間のかかる介護食が温めるだけで準備できるのでとても便利ですよね。 そのなかでも珍しいのが、「吉野家」の牛丼の介護食。お店で食べる”あの味”はそのままに、噛む力が弱まっている人でも食べやすいように工夫されています。 また今回、この介護食の牛丼を移動スーパーで販売することになったそうです。 「買い物難民」を支えるスーパーに牛丼が 全国で1200店舗を展開している吉野家が、高齢者向けレトルト食品「やわらか牛丼の具」を移動スーパーで販売開始することを発表しました。 この牛丼は、吉野家のお店の味をそのままに、噛む力が弱まっている高齢者でも食べやすいように工夫。お店のものよりも牛肉・玉ねぎを細かくきざんだりとろみをつけたりと、介護食ならではの難しさがあったそうです。 特に難しかったのが塩分の調整。店舗の味付けよりも塩分量を少なくしつつ”吉野家の味”を再現する必要がありました。 そのため、吉野家の牛丼のたれを分析して、素材を置き換えたりして低塩とお店の味を両立させたそうです。 また、この牛丼を販売する移動スーパーは、全国で約950台もの軽トラックを稼働させている「とくし丸」。大型スーパーの出店で近くの商店街がなくなってしまったり、高齢になって買い物に遠出ができなくなった高齢者が多く利用するそうです。 「スーパーまで行くのは大変だけど、自分で見て選んで買い物をしたい」という高齢者が多く、ときには利用客のリクエストの商品を乗せることもあるそう。週に2回、同じ地域を回るため、そのような「御用聞き」の役割や「見守り」も兼ねているとのことです。 あえて”ファストフードの介護食化”が良い? 「高齢者が好きな食べ物」というと、天ぷらや寿司などの和食をイメージしがちですが、それだけではなくてハンバーガーなどのファストフードが好きな人も多くいるそうです。 吉野家が牛丼を販売してから約50年なので、当時から食べていた人が高齢になっていると考えれば自然なことなのかもしれませんね。 しかし、飲食店がある駅前まで行くのは高齢者にとっては大変だったり、介護施設に入居しているとファストフードを食べることはまずできません。さらに若者向けに作られているので、量が多すぎたり食べにくい点も問題です。 そのため吉野家のような、”ファストフードの介護食化”が高齢者に喜ばれるのかもしれません。 もうすでに「高齢者は和食が好き」という時代ではないみたいですね。
2022/03/07
豪雨や台風、地震など毎年のように大きな災害が発生する日本。介護を必要とする高齢者は、災害時にさらに身体状況が悪化したり災害に関連して死亡する可能性があります。 それを防ぐために、厚生労働省が2022年度に「災害福祉支援ネットワーク中央センター」を創設します。 このセンターは、災害対策をおこなう福祉の専門家集団「災害派遣福祉チーム」が迅速に対応にあたれるように、取りまとめをおこなう役割を担います。 自治体を超えた災害支援を円滑に 2022年度に、災害福祉支援ネットワーク中央センターを設立することを、厚生労働省が公表しました。 このセンターは、災害派遣福祉チームの取り組みをまとめる役割を担うそうです。 災害派遣福祉チームは、介護福祉士や介護支援専門員、社会福祉士、保育士など福祉の専門家5人程度で構成。災害時に避難所で活動をする民間の福祉専門職によるチームです。 災害時には登録している福祉専門職が派遣されて活動します。 このチームの活動は、支援が必要な人に食事やトイレの介助をおこなったり、日常生活に戻るための相談業務など。加えて、避難所を福祉の視点から整備し、必要な場合はバリアフリー化などもおこないます。 こうして、要介護状態の高齢者のさらなる状態悪化や、ストレスによる急性心筋梗塞で死亡するなどの「災害関連死」を防止するための取り組みをするそうです。 現在、この災害派遣福祉チームは40道府県で設置済み。登録している福祉専門職は、約6000人にもなるそうです。 このように多くの自治体で設置されているなかで、災害派遣福祉チームを取りまとめる組織の必要性が高まっていました。 このセンターが平時から都道府県のネットワークと連携して、自治体を超えた専門職の派遣体制を構築。災害時に備えた実施訓練などもおこなうようです。 そして災害時には、それぞれのチームの状況を集約して都道府県間の派遣調整を実施します。 高齢者は災害弱者になりやすい 大規模な災害時には、物資の補給やライフラインの回復など多くの問題が発生します。 生活環境が整わない状況では、特に高齢者は災害弱者になりやすいのです。 日常的に介助が必要な高齢者にとって、避難所での生活はかなり負担になるもの。周囲に助けを求められないために、身体状況が悪化してしまうことも考えられます。 そのため、災害時の福祉体制を整えることはとても重要。「災害福祉支援ネットワーク中央センター」ができれば、さらに円滑な支援が実現できるかもしれませんね。
2022/03/04
先月28日、東京大学社会科学の研究チームが「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」という15年にわたる調査の結果を公表しました。 そのなかで、介護現場のコロナ禍における労働時間や収入について、製造業などでは労働時間や収入が減少しているのに対して、介護職は減少傾向ではなかったことなどが触れられています。 業種によって労働時間の増減に差が 先月28日に東京大学が発表したのは「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」の2021年の調査結果です。 この調査の内容は、家族介護の影響やコロナ禍での健康状態など多岐に渡ります。 家族介護については、以下の2つの記事で取り上げています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-6538/ https://e-nursingcare.com/guide/news/news-6502/ そのなかで注目したいのは「コロナ禍でどのように雇用状況が変化しているのか」。調査では介護業界だけでなく、生産やサービス、運送業など幅広い職種に就く人にアンケートを取っています。 介護現場では以前からの人手不足に加えて、感染対策による業務負担の増加、濃厚接触者となった職員が出勤停止になったりと、現場が回らなくなるほど人員が不足しています。 こういった状況の介護現場に対して、他の職種では新型コロナウイルスの拡大でどういった変化が起きているのでしょうか。 はじめに勤務日数については、医療や介護業界の職員は勤務日数が増加。対して、製造業・飲食業では、勤務日数が減少しやすい傾向がありました。 続いての労働時間についても同じような結果になっており、医療・介護の従事者は労働時間が増加。製造・飲食業では、労働時間が減少する傾向があります。 これらの結果から医療・介護現場がひっ迫しており、職員の出勤日数や時間を増やして現場を維持していることが伺えます。 また、飲食業界では緊急事態宣言中の営業自粛などによって、出勤日が減少。製造業も経済活動が停滞していることの影響を受けているようです。 さらに、収入については医療従事者が増加傾向に。介護や保育・教育職でも収入が減少しにくい傾向がありますが、増えているとまでは言えないようです。 対して、収入が減少していたのは運送、サービス、販売業。やはり営業自粛や外出自粛が収入に影響を及ぼしていることが伺えます。 コロナ禍が介護職員に及ぼす影響は? 今回の調査結果からも「医療・介護現場の人員不足」「飲食・製造業などの収入減少」などの、広く報道されている問題が起きていることがわかります。 また、介護職の収入が減少傾向ではないことは良い点ですが、業務の負担が増えている可能性があるようです。 現在の介護現場は、人員が増えないために出勤時間や日数を増やすことでサービスを維持しているのかもしれません。 コロナ禍で介護職員にどれくらい負担が増えているのか、さらに詳しい情報が欲しいところですね。
2022/03/04
今月25日、厚生労働省が2021年の人口動態統計の速報値を発表しました。 それによると、出生数は過去最少の84万2897人。死亡数は14万52289人で、戦後最多の数字となったそうです。 厚生省は出生率が低下した理由のひとつに、新型コロナウイルス拡大による妊娠控えがあるとしています。 出生数は最少、死亡数は最多 今月25日、厚生省は2021年1~12月の出生や死亡、婚姻、離婚などの数値をまとめた人口動態統計を公表しました。 それによると、出生数は過去最少の人数で前年より3.4%減少。死亡数は戦後最多で4.9%増加しています。 そして、出生数から死亡数を引いた自然増減は60万9392人となり、初めて60万人を超えました。 出生数に関しては1~2月の減少が顕著。この時期は2020年の3~4月に妊娠した人が出産するタイミングであり、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった時期でもあります。そのため、妊娠控えが起きて出生数が低下したものと考えられています。 また、2020年の前半は2019年より出生数が下回っていますが、後半になってようやくコロナ拡大前の水準まで回復。しかし、1年通しては過去最少の人数になっています。 コロナは一時的な原因にすぎない 2021年の人口の動きには、やはり新型コロナの影響が出ているようです。その前年となる2020年は新型コロナが国内でも拡大し、4~5月には緊急事態宣言によって外出自粛を余儀なくされました。 そうなると自然と結婚の数が減りますし、翌年の出生数にも影響が出るようです。 しかし、出生数や婚姻数の減少はコロナ以前からの問題。感染拡大は一時的な原因でしかありません。 国として子育てしやすい環境を整えていかないと、今後20~30年を担っていく世代が少なくなり、その世代の子どもの負担が増加。さらに子育てしにくくなるという、負の循環が起きてしまいます。 また、子どもたちや子育て世代が暮らしやすい環境というのは、高齢者も含めた全世代にも暮らしやすい環境とも言えるでしょう。 今回の統計を分析して、国や自治体が出産の障害を取り除く政策を打っていくことが重要ということですね。
2022/03/01
自動車運転免許を返納する高齢者が増加傾向にあります。2020年は新型コロナウイルスの拡大の影響で減少していますが、それ以前は自主返納者数が年々増えていたことから、返納しようと考えている人は増えていると言って良いでしょう。 運転免許を返納した人が車の代わりに利用する交通手段のひとつに、自転車があります。最近では電動アシスト自転車などもあり、坂道も楽に移動できると人気です。 その一方で、自転車がからむ事故の高齢者の割合は増加。それを受けて、全国の自治体ではさまざまな対策をしています。 高齢者に各自治体が注意喚起 兵庫県警高砂署では、「市内で起きた自転車がからむ死亡事故のうち6割が65歳以上」という状況を受けて、事故防止の啓発グッズを街頭で配布しました。 新型コロナ拡大の前は、シルバー人材センターや高齢者大学などで安全教室を開催していました。しかし、感染拡大前の2019年は参加者が2608人だったのに対し、2021年は905人まで減少。大勢を1ヵ所に集める安全教室は難しいと判断して、昨年夏以降は開催できていません。 そのため、現在は定期的に街頭で啓発グッズを配るだけにとどめているそうです。 このように交通安全教室の開催を自粛する自治体がある一方で、交通事故の死亡者数が全国最多の神奈川県では、スタントマンによる交通安全教室が開催されました。 昨年末に安全教室が開催されたのは、神奈川県横浜市旭区にある公園。スタントマンが自転車に乗って事故をリアルに再現しました。 それによると、高齢になると身体機能の低下によって障害物を避けきれずに転倒事故が起きることもあるそう。そういった高齢者ならではの事故を再現することで、住民が安全意識を高める教室となりました。 神奈川県は交通事故の死者数が全国ワーストなうえ、旭区は自転車やバイクなどの事故が多いとのこと。そうした状況を受けて、交通安全教室を開催したようです。 若い世代よりも注意が必要 高齢者が自転車に乗っている際に起きる事故には、高齢者ならではの特徴があるようです。 それは、若い世代に比べて身体機能や判断力が落ちていること。障害物に気付くのが遅れてよけきれない可能性が高くなります。 また、段差でバランスをくずしたり側溝などに落ちて転倒するケースも。転倒して頭を打って亡くなるという事故も起こっています。 運転に不安を覚えて自動車免許を返納する高齢者が増えていますが、高齢者ならではのリスクがあるのは自転車も変わりません。 ヘルメットの着用や反射材の利用などの安全対策と並行して、公共交通機関の利用も検討していくと良いのかもしれませんね。
2022/02/28
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。