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2024年1月9日、能登半島地震の被災地で支援活動をおこなっている災害派遣医療チーム「DMAT」は、被災した介護施設にいる高齢者の搬送を始めました。 1月10日時点でもなお停電や断水が続いている地域も少なくないため、より安全な場所に移ってもらうことで震災関連死を防ぐねらいがあると言います。 災害派遣医療チーム、高齢者の搬送を開始 2024年1月1日、能登半島を中心に、最大震度7の巨大地震が発生しました。今もなお震災の影響が残されており、断水や停電が続く地域も少なくないと言います。 それを受けて、医師や看護師などの医療専門職と事務員で構成されている災害派遣医療チーム「DMAT」は1月9日、介護施設に入居している高齢者の搬送を開始。対象者は数百人に上るとみられています。 今回の活動の指揮を担っている神奈川県理事の阿南英明(藤沢市民病院副院長)氏によると、1月10日時点で高齢者施設から計200~300人程度の入居者の搬送要請があり、今後さらに増える見込みだそうです。 阿南氏は「命の危機が迫る高齢者を、ほかの施設にスムーズに受け入れてもらうためには、国や都道府県の協力が欠かせない」と話しています。 特養の入居者も別の施設に搬送 石川県七尾市のとある特別養護老人ホーム(特養)では、1月9~10日にかけて併設するグループを含むすべての入居者87人が、DMATや自衛隊の車両で別の高齢者施設に搬送されました。 この特養の建物は余震で倒壊する恐れがあったものの、認知症や寝たきりの高齢者が入居していたため、近隣の避難所には避難できなかったと言います。 特養の施設長は「停電のため、施設内で暖房が使える部屋は大広間のみだった。食事も最低限しか提供できなかった。今、全員が避難できてほっとしている」と話しているそうです。 体温や血圧などの調節機能が衰えがちな高齢者が安全に過ごすためには、暖房などの空調設備が欠かせません。被害を最小限に防ぐためにも、一刻も早い支援が必要になりそうです。
2024/01/12
2024年1月1日、能登半島を中心に巨大地震が発生。これを受けて、特に被害が大きいとみられる石川県は、高齢者や障害者など、より手厚い支援を必要とする人々(要配慮者)が安心して避難できる「二次避難所」の設置に向けた準備を始めたことを明らかにしました。 災害の被害を最小限に食い止めるためには、要配慮者が速やかに避難できたり支援を受けられたりする仕組みづくりが欠かせないということが過去の教訓からわかってきています。 2011年に日本列島を襲った東日本大震災では、「震災関連死者」の大半が66歳以上の高齢者であることが判明。これを受けて政府は高齢者や障害者、妊産婦など、避難に手厚い支援が必要な人をまとめた名簿の作成を、全国の各自治体に義務付けたのです。 高齢者など「災害弱者」のための二次避難所を設置 2024年1月1日、能登半島を中心に最大震度7相当の地震が発生。特に被害が大きかった石川県では、「二次避難所(福祉避難所)」の設置に向けた準備を始めたと言います。 「二次避難所」とは、高齢者や障害者、乳幼児など、災害時に特に手厚い支援や配慮が必要となる「要配慮者」が対象となる避難所のこと。手厚い支援を必要とする要配慮者が十分な支援を受けられるようにするため、一般の人は直接二次避難所に避難することはできません。 石川県によると、二次避難所は石川県南部の南加賀を中心とした13市町で設置予定とのこと。建物は旅館やホテル、公共施設などを活用していくそうです。 今後、金沢市のスポーツセンターで希望の聞き取りをおこなったあと、二次避難所の利用を希望する要配慮者から順番に二次避難所に移ることになります。 東日本大震災の死者9割近くが高齢者!? これまでのデータから、高齢者は特に震災における死亡リスクが高いことが明らかになっています。 復興庁のデータによると、2011年3月11日に起きた東日本大震災における震災関連死のほとんどは66歳以上の高齢者であることが明らかになりました。 ちなみに「震災関連死」とは、地震による建物の倒壊や津波など直接的・物理的な理由ではなく、長引く避難生活などで身体的に強い負担がかかることで起こった疾病などにより間接的な理由で亡くなることを指します。 東日本大震災の影響が特に大きかった岩手・宮城・福島の3県における震災関連死者数は以下のとおりです。 都道府県合計震災関連死者数(人)66歳以上(人)66歳以上の割合福島2313207989.8%宮城92980987.1%岩手46940486.1% 参考:「東日本大震災における震災関連死の死者数」(復興庁) 以上の図を見るとわかるように、岩手・宮城・福島のいずれにおいても、震災関連死と認められた人の85%以上が66歳以上の高齢者でした。 では、なぜ高齢者の震災関連死が多いのでしょうか? 災害の現場で高齢者などの要配慮者の対応をおこなう「防災介助士」の育成を手がけている日本ケアフィット共育機構によると、「災害時において特別な支援を必要とする要配慮者を想定した防災がなされていない」と言います。 例えば、津波の状況などを知らせる緊急情報は、放送などの音声でのみ伝えられることも少なくありません。しかし、それだと耳が不自由な人は重要な情報を入手できない可能性もあるのです。 高齢者などの要配慮者も安全に避難できる環境を整えるためには、包括的な対策を考えていくことが重要だと考えられるでしょう。 東日本大震災を経て”災害弱者”名簿作成へ 多くの死傷者を出した東日本大震災の教訓から、高齢者や障害者などの要配慮者に関する情報提供や避難生活中の対応が不十分な場面が多数みられたことがわかりました。 それを受け、政府は2013年に災害対策基本法を改正。災害が起きたときに自力で避難することが困難な高齢者や障害者、妊産婦等をまとめた「避難行動要支援者名簿」を作成することが全国の市町村に義務付けられました。 「避難行動要支援者名簿」に掲載された情報は、当事者の同意の上で平常時から民生・児童委員をはじめとした各地域の防災組織や地域包括支援センター、消防機関、警察機関等に共有され、状況確認や避難訓練など、災害に備えた活動に活用されます。 個別避難計画の策定が終わっているのはほんの一部 日本は地震だけでなく、台風の被害にもしばしば見舞われます。特に2019年に発生した台風19号は、全国的に大きな被害をもたらしました。 これを受けて、政府は2021年にも再度災害対策基本法を改正。高齢者や障害者、妊産婦等の避難行動要支援者について、個別避難計画を策定することを市町村の努力義務としました。 その後、個別避難計画の進捗状況を把握するため、内閣府と消防庁は各自治体の団体に対して調査をおこないました。その結果、個別避難計画の策定がすべて終了している団体は、わずか8.7%に留まることが明らかになったのです。 参考:「個別避難計画の策定等に係る進捗状況の把握について(フォローアップの結果)」(内閣府、消防庁) 避難計画の策定が遅れている要因について、内閣府の防災担当者は「福祉関係者を含む多様な関係者を巻き込み、支援者を確保するための具体的な方策が確立していないからではないか」と分析しています。 地域とのつながりが希薄になりがちな現代社会において、要配慮者が安全かつ適切な避難を実行するためには福祉専門職の協力が欠かせません。地域に住む高齢者が安心して日々を過ごせる社会をつくるためにも、福祉と自治体がうまく連携できるような枠組みをつくっていってほしいですね。
2024/01/12
2023年3月1日、オーラルケア製品の開発・製造をおこなっているヤマトエスロン株式会社は、災害時に水が無くても使えるハミガキセット「おくちといのちを守りたい、無水ハミガキ」を、防災などのアート事業を手がけるNPO法人プラス・アーツと共同開発したことを発表しました。 この無水ハミガキセットは、楽天市場で2023年3月11日に発売予定だそうです。 「無水ハミガキ」の開発に至った背景 ヤマトエスロンが開発したハミガキセットの商品タイトルには、「おくちといのちを守りたい」とあります。なぜヤマトエスロンはハミガキセットの商品タイトルに「いのちを守りたい」とつけたのでしょうか? その理由は、1995年の阪神大震災で生じた災害関連死の4分の1が肺炎で、そのほとんどが誤嚥(ごえん)性肺炎だったことが挙げられます。 誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物が気管を通って肺に入ってしまうことで生じる肺炎のこと。唾液には菌が存在し、ハミガキなどのオーラルケアを怠るとその菌は口内でどんどん増殖します。その菌が肺に入り込んでしまうと、肺に炎症が起こってしまうのです。 誤嚥性肺炎にかかると、命に危険が及ぶこともあるため、口の中を清潔にして誤嚥性肺炎を予防することが大切。そこで、災害時でも誤嚥性肺炎を予防できるオーラルケアセットが必要だとして開発されたのが、今回の無水ハミガキセットなのです。 「無水ハミガキ」の特徴 無水ハミガキセットは、以下のもので構成されています。 ハミガキの大切さがわかる冊子 水がなくても使える歯ブラシ6本 水がないときに口の中をぬぐえるハミガキシート フロス6本 内容量は、救援物資が届くまでの3日間を想定したものになっているそうです。 特に冊子は、神戸常盤大学や大手前短期大学に所属する研究者やプラス・アーツが監修に入り、誰もがハミガキについて楽しく学べるものになったとしています。 避難生活は長期に及ぶこともあるため、食料や水だけでなくハミガキセットなども災害用バッグに入れておくと良いでしょう。万が一のために、改めて災害用バッグの中身を確認してみると良いかもしれませんね。
2023/03/08
東日本大震災から10年以上が経過し、当時の状況が調査によって解明されつつあります。 最も震災の被害が大きい地域のひとつだった福島県南相馬市では、避難生活中の体調不良などで亡くなる「震災関連死」が全国最多であることが調査で判明しました。 また、このうち何かしらの介助が必要だとされる要介護認定を受けていた人が半数以上を占めていたことも明らかになったのです。 震災時の死亡者の半数以上が要介護者 復興庁によると、東日本大震災や福島原発事故後の避難生活中の体調悪化などで亡くなった「震災関連死」が、全国で3789人だったことがわかったそうです。また、そのうち福島県の南相馬市が最も多く、震災関連で死亡した人数は520人でした。 南相馬市の震災関連で死亡した人々について、福島県立医科大学の研究チームが分析しました。その結果、520人のうち51%にあたる267人が要介護認定を受けていることが判明。特に、生活全般で介護が必要だとされる「要介護4」や「要介護5」の人が185人とおよそ35%を占めていることが明らかになったのです。 たんの吸引を受けられずに亡くなる高齢者も さらに今回の調査で、高齢者施設や病院で被災したのち、避難中などに亡くなった人が全体の半数以上を占めていたことも判明。たんの吸引が受けられずに亡くなる高齢者もいたそうです。 被災して亡くなった高齢者らの死因を調べてみたところ、最も多かったのが肺炎で78人でした。続いて心不全が46人、老衰が41人、急性心筋梗塞が30人、唾液や食べ物を誤って吸い込むことで起きる誤嚥(ごえん)性肺炎が25人、自殺が16人でした。 以上の結果を受けて、福島県立医科大学の研究チームに所属する坪倉正治教授は「介護や医療の継続的な提供が必要であることがわかった。今後、福島で起こったことを教訓にして、避難のあり方などを考えるべきだ」と述べています。 災害を完全に防ぐことが不可能な以上、万が一災害が起きたことを想定して前々から準備しておく必要があります。身近に高齢者がいる人は、迅速に避難できるように避難場所などを確認しておくと良さそうですね。
2023/03/07
今回の調査は8月2~の2日間、介護・医療施設の経営者、施設長、ホーム長、管理者104名に対し実施された調査結果をお伝えします。 福祉の現場とBCP対策 福祉の現場において、BCP対策が話題となっているようです。 BCPとは事業継続計画(Business Continuity Plan)の略で、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した際の対応策です。 その一環として自家発電機、蓄電池の設置を行う施設が増えており、調査にてBCP対策を行っていると答えた企業が64.4%。そのうち61.2%が自家発電機を、44.8%が蓄電池の設置を行っていると回答しました。 他の回答としては、防火シャッターの設置が46.3%、排煙設備の設置が43.3%と挙げられています。 蓄電池が設置されている施設では、ポータブルタイプが40%、据置型が30%、両方が30%でややポータブルが優勢なようです。手頃なサイズがポイントでしょうか。 なぜBCP対策が重要なのか? こうした電力対策を行う背景には、災害による停電時における医療器具の停止、通信手段の断絶、電子機器の停止が主に不安視されているようです。他にも、入浴や食事の問題、停電解決後正常に機器類が作動するかどうかなども問題とされています。 BCP対策を行っていて蓄電池を設置していない施設も、BCP対策として蓄電池を導入したいと考える施設が73%と高い数値でした。多くの施設が災害時の電力対策に注目しています。 また、蓄電池を導入する場合に求めることとして、長期保証が59.3%、安全性が51.9%、蓄電量が44.4%とこれらが上位三項目でした。これ以外にも「安価で大容量である」、「ある程度の電力を供給できる」といった回答もありました。性能もそうですが主に安全に対する観念が重要視されているようですね。 企業におけるBCPの対策が注目される中、福祉施設でもまた対策が急務とされています。まずはハードルが低い対策から実施することが重要と考えられ、その手軽に導入できる対策の一環として蓄電池が注目を浴びているようです。 介護・医療の現場では、医療機器が停電で動かなくなってしまっては命に関わります。電力対策を充実させることが利用者の命を助けることに直結することは間違いないでしょう。
2022/09/30
地震や台風、大雨など毎年のように大きな災害に見舞われる災害大国である日本。しかし、高齢者に対する災害時の対応が十分ではないのが実情です。 そうした対策につなげるために、福島県立医科大学が東日本大震災や福島第一原発の事故によって比年を余儀なくされた高齢者を対象に健康状態の調査を実施。その結果、震災による低栄養状態を予防するためには、運動習慣を維持することが重要である可能性があるそうです。 震災後に低栄養の人が増加 福島県立医科大学は、震災に遭った高齢者が震災後に低栄養状態になったり「やせ」状態になった原因について調査をしました。 この調査がおこなわれた背景には、2011年の東日本大震災と福島第一原発の事故の避難住民のなかで、生活の変化による健康への影響が問題になったためです。 具体的には、ストレスの増加や身体活動量の減少によって、肥満やメタボリックシンドロームの増加も報告されていたそう。一方で、体重が減少したり栄養状態の悪くなった人も一定数おり、要介護状態の前段階であるフレイルのリスクが高まっていると考えられました。 そのため、今回は震災前から福島第一原子力発電所の近くに住んでいた60歳以上の約1万3000人を対象に、低栄養について調査をおこないました。 その結果、低栄養傾向にある人は震災後に一時的に減少しているものの、女性は震災後に少しずつ増加。直近の3年間では震災前よりも高い割合になったそうです。 また、震災後に新たに低栄養傾向になる要因として挙げられたのは「運動習慣が不十分」「生活習慣病がある」「手術歴があること」など。こうしたことから、研究グループは平時から運動習慣を持つことで震災後の低栄養傾向を予防できる可能性がある、としています。 高齢者に配慮した支援を 震災時は多くの人が生活環境が変わり、健康面でも影響を受けます。なかでも高齢者は、心身ともにより注意が必要です。 というのも、避難所での生活ではおにぎりやパン、カップ麺などの配給が多く、そのなかには高齢者には食べにくいものもあるため。例えば、ぱさぱさしたパンや冷えたおにぎりは、飲み込む力の衰えた人にとっては食べにくく、それが原因で低栄養状態になることもあり得るのです。 いったん体調を崩してしまうと、若い世代よりも回復に時間がかかるのも高齢者の特徴。災害時は誰もが大変な状況ですが、影響を受けやすい人に適切な支援が受けられるような体制を平時から整備することが求められています。
2022/06/29
災害大国であると同時に、長寿大国でもある日本。そこで、介護施設などでは災害時に高齢者を守るための対策がおこなわれています。 今月7日におこなわれたのは、大分県にある養護老人ホームでの避難訓練。大分県では昨年度から土砂災害警戒区域などにある介護施設へ防災の専門家を派遣して、防災訓練を実施しています。 今年度は、この施設以外にも県内の9ヵ所の介護施設でも避難訓練がおこなわれるそうです。 専門家による避難訓練 今月7日、大分県日田市の養護老人ホーム「日田延寿寮」で、入居者や職員など約80人が避難訓練をおこないました。 この訓練は、大雨警戒レベル3「高齢者等避難」が出されたという想定で実施。職員は無線で連絡を取り合いながら、車いすを利用している入居者を1階から2階に垂直避難させました。 垂直避難とは、浸水や土砂災害などの際に建物の高い階に移動する避難方法のこと。台風などの場合、避難所に移動するために外に出たことで被災して亡くなるケースもあるため、同じ建物内で避難することが良い状況もあるのです。 大分県では、土砂災害警戒区域の介護施設に防災の専門家を派遣し、一緒に避難訓練をおこなう取り組みを実施。今年度は、この施設以外にも、津波浸水想定区域などにある9つの介護施設でも同様の避難訓練が実施される予定です。 避難行動要支援者名簿の登録を 災害大国の日本ですが、高齢者の避難に関してはまだまだ多くの課題があります。 例えば、2020年の熊本豪雨では、熊本県内の死亡者65人のうち約7割が70歳以上の高齢者。「避難行動要支援者名簿」にも名前がなく、一人ひとりの個別避難計画がない例が多数でした。 「避難行動要支援者名簿」とは、災害対策基本法で地方自治体が作成することを義務付けられているもの。災害時に自力での避難が難しい高齢者や障がい者などを登録することで、地域の消防や警察、民生委員などと共有することを目的としています。 この名簿に登録された情報をもとに、それぞれの身体状況などを考慮した避難行動計画が個別避難計画。しかし、避難行動要支援者名簿への登録が進まないために関係機関が災害弱者の把握ができないという問題が起こっています。 また、高齢者が自宅で生活をしている場合、避難所までの経路を自分で把握することが重要。「長距離を自力で歩けるのか」「坂や階段は通れるのか」まで考えていないと、いざという時に避難所に移動できない可能性もあるのです。 さらに、高齢者の事前の災害対策としては、避難行動要支援者名簿への登録に加えて、持病の薬の確認も必要。普段から数日分の薬を持っておくことと、お薬手帳の写しも防災セットの中に入れておくと良いかもしれませんね。
2022/06/08
日本は世界的にも災害が多い国。それに加えて世界一の長寿国であるのにも関わらず、まだまだ災害時の高齢者への支援が整っていない部分が多くあります。 さらに、災害時には地域住民同士のつながりが大切ですが、近年は地域の交流が減っているため、万が一の際の連携が難しいという現状があります。 そこで、千葉県浦安市のITベンチャーのアップリーチ社と市内の老人クラブは、スマホアプリ「MetellLIFE-ミテルライフ-」を開発。地域の町内会や老人クラブ、自治会などが活用することで、住民の安否が確認できる他、メッセージ機能で通常時のやりとりにも利用できます。 老人クラブで使うアプリとは アプリの開発などをおこなっている浦安市発のITベンチャーのアップリーチ社が「MetellLIFE」の配信を開始しました。 このアプリは、浦安市の老人クラブと共同で開発したもの。地域の町内会や老人クラブ、自治会などの団体が会員の安否確認に利用する目的で作製されました。 このアプリには、安否確認機能などの災害時に利用できる機能と、トーク機能、アンケート機能といった通常時のコミュニケーションに利用できる機能が搭載されています。 例えば、災害時には老人クラブの会長などから会員へ安否確認のアンケートを送信。「自宅にいますか?」「今すぐ助けが必要ですか?」といった質問に「はい」か「いいえ」を選ぶだけで安否確認ができるようになっています。 このアプリは老人クラブと共同で開発したこともあり、操作がシンプルで簡単なのが特徴。文字の大きさや色なども見やすさにこだわっているそうです。 今後は、災害時に助けが必要な人と助けに行ける人をマッチングする機能なども追加予定。緊急時の迅速な対応を支援できるようなアプリにしていくとのことです。 平時からのつながりが大切 災害時、高齢者には特に配慮が必要な場面が数多くあります。 例えば避難時には、高齢者は若い世代ほど素早く動けないこともありますし、歩きやすい避難経路を確保することが必要。さらに、持病を抱えている場合が多いので、薬を切らさないように気を付けることも大切です。 このように、高齢者は災害時に注意することが多いので、日頃からの地域とのつながりも重要。今回のアプリのように地域住民が平時から交流しやすくしておくことで、いざという時もお互いに助け合いやすくなるかもしれませんね。
2022/05/11
災害時は平時と異なり、誰もが動揺するもの。そのなかでも高齢者は、歩行が不安定だったり正確な情報を手に入れられないなどの理由で迅速な避難がさらに難しくなります。 そういった高齢者を把握する研究を京都橘大学の研究グループが開始しました。 この研究は、高齢者にアンケートを取ることでスムーズに避難ができるかをチェック。そのデータを防災計画に組み込むことで、迅速な避難ができるルートを設定する取り組みです。 災害弱者に配慮した避難計画を 京都橘大学の研究グループが、災害時に自力避難が難しい人がいる世帯を抽出する研究を始めました。 この研究によって、自力避難が難しい「災害弱者」が地域ごとにどの程度いるのかを把握。その結果を緊急時に迅速に指定避難場所までたどり着けるルートの作成に生かすそうです。 まず研究グループは、京都市山科区の隣接する3学区に住む高齢者100人に調査を実施。「時間に遅れそうになり急いで何かをする」「手の支えなく急いで椅子から立つ」といった15種の行動を転ばずにできる自信があるかを自己評価してもらいました。 この結果を、総合点で行動能力を低〜高の3段階で判定。能力が低い人ほど、災害時に素早く行動できなかったり、地震などでひび割れた道を歩きにくい可能性が高くなるそうです。 調査の結果、行動能力が「低」の災害弱者と判定された人が各学区に14~16人いることがわかったそうです。 この結果をもとに、研究グループは改めて避難経路を検討。災害弱者とされた人が住んでいる世帯に印をつけて、地域の防災担当者と話し合いをしました。 すると「この世帯からなら、隣の学区に行った方が近い」「避難経路に水没の危険がある」など、もともとの避難計画では難しいことが判明。避難所までの距離を短くするなら、学区を越えた移動が必要になることもわかったそうです。 平時から「共助」のしやすい体制を 災害時、高齢の徒歩移動が難しい人は「災害弱者」になりやすいのが現状です。しかし、地域でそうしたことが把握できていないと、支援が難しいでしょう。 今回の調査内容は、「こういう人が逃げ遅れやすい」というひとつの目安になるもの。本人がそれを自覚するのはもちろん、災害時は地域住民がサポートし合う「共助」が特に重要になります。 お互いが助け合えるような体制が整うと、いざという時に安心ですよね。
2022/03/07
豪雨や台風、地震など毎年のように大きな災害が発生する日本。介護を必要とする高齢者は、災害時にさらに身体状況が悪化したり災害に関連して死亡する可能性があります。 それを防ぐために、厚生労働省が2022年度に「災害福祉支援ネットワーク中央センター」を創設します。 このセンターは、災害対策をおこなう福祉の専門家集団「災害派遣福祉チーム」が迅速に対応にあたれるように、取りまとめをおこなう役割を担います。 自治体を超えた災害支援を円滑に 2022年度に、災害福祉支援ネットワーク中央センターを設立することを、厚生労働省が公表しました。 このセンターは、災害派遣福祉チームの取り組みをまとめる役割を担うそうです。 災害派遣福祉チームは、介護福祉士や介護支援専門員、社会福祉士、保育士など福祉の専門家5人程度で構成。災害時に避難所で活動をする民間の福祉専門職によるチームです。 災害時には登録している福祉専門職が派遣されて活動します。 このチームの活動は、支援が必要な人に食事やトイレの介助をおこなったり、日常生活に戻るための相談業務など。加えて、避難所を福祉の視点から整備し、必要な場合はバリアフリー化などもおこないます。 こうして、要介護状態の高齢者のさらなる状態悪化や、ストレスによる急性心筋梗塞で死亡するなどの「災害関連死」を防止するための取り組みをするそうです。 現在、この災害派遣福祉チームは40道府県で設置済み。登録している福祉専門職は、約6000人にもなるそうです。 このように多くの自治体で設置されているなかで、災害派遣福祉チームを取りまとめる組織の必要性が高まっていました。 このセンターが平時から都道府県のネットワークと連携して、自治体を超えた専門職の派遣体制を構築。災害時に備えた実施訓練などもおこなうようです。 そして災害時には、それぞれのチームの状況を集約して都道府県間の派遣調整を実施します。 高齢者は災害弱者になりやすい 大規模な災害時には、物資の補給やライフラインの回復など多くの問題が発生します。 生活環境が整わない状況では、特に高齢者は災害弱者になりやすいのです。 日常的に介助が必要な高齢者にとって、避難所での生活はかなり負担になるもの。周囲に助けを求められないために、身体状況が悪化してしまうことも考えられます。 そのため、災害時の福祉体制を整えることはとても重要。「災害福祉支援ネットワーク中央センター」ができれば、さらに円滑な支援が実現できるかもしれませんね。
2022/03/04
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。