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社会医療法人河北医療財団は、2022年夏より、地域のボランティアや恵泉女学園大学と協働し、認知症啓発活動の一環としてオレンジガーデニングプロジェクトを多摩エリアにて展開しています。 このプロジェクトは、「認知症になっても暮らしやすいまちをみんなで創っていこう!」という思いのもとに、全国各地で認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジ色の花を咲かせるプロジェクトです。 どんな取り組み? このプロジェクトは、高齢者病院、認知症グループホーム等の庭やプランターに、職員や利用者、地域のボランティア、学生などが協力してマリーゴールドやジニアなどのオレンジ色の花を育てます。 さらに、ポスターやチラシ、SNSを通じて、地域の一般の方へのも参加も呼びかけ。9月の世界アルツハイマー月間にむけて、認知症への理解を広めることを目的としています。 参加者の声 今回は、「オレンジガーデニングプロジェクト多摩2022」に参加された人の声を紹介します。 あい小規模多機能施設こもれび(多摩市永山) 「雑草が生い茂っていた前庭を利用者さんと職員が草取りをし、恵泉女学園大学にいただいた苗などを植え付けました。隣接する団地の方の散歩コースのようで足を止めてみてくださるので、宣伝効果も抜群です。利用者さんが毎日の水やりを日課にしてくれ、元気に育っています。(2022年8月)」 恵泉女学園大学(多摩市南野) 「学生が種から育てた有機・無農薬栽培の花苗をこのプロジェクトに約50ポットご提供いただきました。また、澤田みどり特任准教授と園芸療法を学ぶ大学4年生4名が『あいグループホーム天の川』を訪問し、屋上の花壇にて植栽および種まきの作業を職員と共に行い交流しました。その後も発芽した苗の手入れなどに来ていただき交流が続いています。(2022年8月)」 花を見る人々がオレンジの色で前向きな気持ちになり、活動を通して認知症への理解が深まるような良いきっかけになって欲しいものです。
2022/08/31
世界一の長寿国である日本。高齢者が増えていくにつれて、認知症を発症する人も増えるとされています。厚生労働省の推計によると、認知症の人は2025年には675万人、2040年には802万人にまで増加するそうです。 認知症患者の増加を抑えるためには、早期の発見が大切。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のうちに発見して対策をすることで、健常な認知機能に戻る可能性もあるのです。 そこで、国立長寿医療研究センターは手の指の動きに注目。軽度認知障害の人に特有の指先の運動パターンを発見したことを明らかにしました。この発見によって、指先の動きを調べることで軽度認知障害の早期発見を支援する検査方法の確立につながるそうです。 指先の動きだけで軽度認知障害を発見 国立長寿医療研究センターは、株式会社日立製作所研究開発グループ、マクセル株式会社との共同研究によって軽度認知障害の人の指先の動きのパターンを発見したことを明らかにしました。 この研究は、マクセルが製品化した指の動きを測定する機器を使っておこなわれたもの。指先に磁気センサーをはめるだけで指の動きを正確に測定できる機器です。 この測定器を使って軽度認知障害の人の指の動きを測定して分析したところ、軽度認知障害の人に特有の動きのパターンを発見。さらに、正常の認知機能の人と比較することで、より正確に軽度認知障害の人を検出できることを確認しています。 研究グループによると、今回の結果は軽度認知障害の早期発見につながるそう。というのも、この検査は採血などの必要がなくて安全性が高く、検査時間が短いため、検査を受ける人の負担が少ない測定が可能になったためです。 今後、研究グループはさらに指の運動データを解析して、検査の精度向上を目指すとのことです。 高齢化に備えて簡単な検査方法を 高齢化は日本の大きな社会問題のひとつ。高齢者が増えることで認知症や軽度認知障害の検査件数が膨大になることも想像に難くありません。そこで、指の動きを測定するだけであれば、従来のものよりも簡単に検査できるのでとても有効な検査方法になりそうですね。 より早期に認知症や軽度認知障害を発見するために、このように簡単にできる検査方法が広まっていくと良いですね。
2022/08/25
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型に次いで日本人に多い3大認知症のひとつです。 レビー小体型認知症は、現実にはないものが見える「幻視」の症状や、手足が震えたり筋肉が硬くなる「パーキンソン症状」が現れ、歩幅が小刻みになり転びやすくなります。 他の認知症と比べると進行スピードが早く、症状が進行していくと介護負担も大きくなっていくため、対応に悩む人や介護に疲れる家族も多くいます。 そうしたなか、徳島県鳴門市撫養町小桑島にある半日型リハビリデイサービス「いきいきライフ」では、レビー小体型認知症の当事者と家族を支援する「徳島レビー小体型認知症家族会」の交流会が開催されました。 特有の症状や介護の悩みを共有 今月3日、徳島県鳴門市撫養町小桑島の半日型リハビリデイサービス「いきいきライフ」では「徳島レビー小体型認知症家族会」の交流会を開催しました。新型コロナウイルスの影響で活動を自粛していたため約8ヵ月ぶりの開催となったそうです。 今回の交流会には21人が参加し、特有の症状や介護の悩みを話し合いました。当日は、岩手県滝沢市でクリニックを開く認知症専門医の紺野敏昭医師がウェブ会議に参加。当事者や家族の質問に「幻視は否定しない方がいい。本人には実際に見えており、ばかにされたと感じてしまう」「薬で症状が抑えられることもある。主治医に相談して一番少ない量から試してみてはどうか」などと助言したそうです。 初めて交流会に参加した鳴門市内の女性(74)は「夫の介護に追われ、何のために生きているのだろうと考えることもある。皆さんの話を聞いて元気が出た」と話していました。 相談できる人や場所があると安心 レビー小体型認知症の人やその家族が地域の人や専門家と繋がりが持てる場として「レビー小体型認知症サポートネットワーク」という専門の会も開設されています。 「レビー小体型認知症サポートネットワーク」は、2008年に発足した家族会「レビー小体型認知症家族を支える会」の後継組織として全国19か所のエリアで活動しています。各エリアでは病気やケアについての勉強会や、本人とその家族の交流会を行っているそうです。 認知症の家族のケアや介護の孤独感などの悩みを抱えている人は、一人で抱え込まず相談できる人や場所があると安心ですよね。さらに、同じ病気を抱える人や家族であれば、悩みごとの相談もしやすいのではないでしょうか。
2022/07/27
認知症を発症する高齢者の数は年々増加し、認知症は誰もがなりうる病気として身近なものとなってきています。しかし、世間では認知症を「何も分からなくなる」「迷惑をかける病気」などと間違って理解されていることも事実です。 そのため、地域の中で認知症を正しく理解し、認知症になっても安心して暮らせる地域をつくることが大切です。 そんななかで、岩手県釜石市鵜住居町では、今月6日、認知症の人やその家族を地域で支援するためのボランティア団体「チームオレンジ・はまぼうふう」が結成されました。 ボランティアの登録をした31名の認知症サポーターが「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」を目指して、高齢者サロンや声掛け、見守り活動などを展開していきます。 地域住民でボランティア団体を結成 今月6日、岩手県釜石市鵜住居町で認知症の人やその家族を地域で支援するためのボランティア団体「チームオレンジ・はまぼうふう」が結成されました。 このボランティア団体が結成されたきっかけは、2013年度から鵜住居町で開催されていた認知症サポーターの養成講座。住民に寄り添った地域づくりを推進しようと、地域を挙げて認知症の理解促進に取り組んできたそうです。 そこから主体的に活動するチーム立ち上げの機運が高まり、ステップアップ講座など追加の研修を重ねて今回の結成に至りました。 今年度はメンバーが中心となって町内会単位での啓発活動や介護予防の取り組み、定期的に集まって課題を共有したりするそうです。 地域住民も認知症を理解し支援していく 認知症になっても安心して暮らせる地域づくりが今、全国の市区町村で求められています。 例えば、認知症高齢者の徘徊への対策には地域の協力が必要です。地域住民が徘徊の症状を止めることはできませんが、近所の認知症高齢者の外出を見守ったり、「少し様子がおかしい」と感じる高齢者に声をかけたりすることはできます。 そうしたちょっとした協力や理解が、認知症高齢者が事故に遭うことや行方不明になる状況を防ぐことができます。 認知症になっても安心して暮らすことができるように、地域住民が認知症についてよく理解しておくことはとても大切なことですよね。
2022/07/25
高齢者が何か役割を持って社会参加することは、人との交流や生活の充実感などさまざまなメリットがあります。 もちろん認知症の方も社会参加が大切であることは変わりなく、どこかの団体に所属して役割を果たすことが認知症の進行を緩やかにしたり、BTSD(認知症に伴う行動心理学的症候)の軽減をもたらします。 そこで、福井県にある県民生協の介護拠点施設「丹南きらめき」では、認知症対応型デイサービス「BLG丹南」が県民生協のスーパー「ハーツたけふ」と連携。施設を利用する認知症高齢者が買い物代行サービスの配達業務を委託するという取り組みを始めました。 60~80代の利用者11人が運転する車に乗って市内を巡回し、注文があった総菜や食材、日用品などを各戸に届けているそうです。 事業所同士が連携して業務委託を実現 県民生協の介護拠点施設「丹南きらめき」に集う認知症の高齢者たちが、市内のスーパーで、買い物代行サービスの配達業務に当たっています。 これは県民生協のスーパー「ハーツたけふ」が昨年11月の買い物代行サービス開始に合わせ、丹南きらめきの認知症対応型デイサービス「BLG丹南」に配達業務を委託したことで始まった取り組みです。 認知症高齢者が「働くことを通じて地域での役割を感じ、生き生きとした日々を過ごしてほしい」と事業所同士が連携し、業務委託が実現しました。 さらに、「せっかく働けるなら対価があった方が励みになる」と、同スーパーが配達1件ごとに支払う委託料を設定。店長が毎月、施設を訪れ、一人ずつに謝礼として手渡しているそうです。 配達する越前市の80代男性は「いろんな人の役に立てて気分がいい。お給料をもらえて働いた実感がある」と話しています。 認知症の人が居場所を見つけられる社会に 世間の認知症の人に対するイメージは「介護が難しい」や「迷惑をかける病気」などネガティブなイメージがあるのではないでしょうか?そんな世間のイメージが認知症の人のストレスとなり、人と関わりを避けることに繋がることもあります。 認知症になっても自分らしく暮らせる社会に。認知症の人が役割を担うことを通して居場所を見つけられる社会になるよう理解を深めていくことが大切ですね。
2022/07/13
健康に関する意識が高まっているなか、アメリカではVRを使ったゲームエクササイズ(仮想現実とゲームを組み合わせたフィットネス)が医療やリハビリの現場で利用されるケースが増えているようです。 また、VRを使ったゲームエクササイズを認知症改善に役立てようという研究も進んでいます。 運動とゲームの間には相乗効果が存在 アメリカでは、VRを使ったゲームエクササイズを認知機能の改善に役立てようという研究が進んでいるそうです。 アメリカの老人専門の精神科医によると「運動とゲームの間には相乗効果が存在する」とのこと。それは、「運動には血液循環の改善、神経発生(新しい脳細胞が形成されること)の活性化、海馬における記憶中枢の強化という効果があるため、ゲーム要素を介して認知活動と身体活動を組み合わせることで認知症を予防する効果がさらに上がる可能性がある」そうなのです。 例えば、頭にVRゴーグルを付けて映像を楽しみながらエアロバイク(足漕ぎペダル)を漕ぐという内容のゲームエクササイズ。目的地を設定して、そこに行くにはどうすればいいのか考えながら、ペダルを漕いでゴールを目指します。坂道や下り坂などを体感しつつ漕げば漕ぐほどゲームが進むというわけです。 つまり、頭を使ってゲームを攻略していくことと身体を動かすフィットネスを合わせることが、認知機能に効果をもたらすようです。座ってできるというのも高齢者には良いですよね。 今後の研究に期待 アメリカの研究ではVRを使ったゲームエクササイズが記憶障害の予防に有望だという結果が現れつつあり、今も研究が進められているそうです。ほかにはどんな効果が現れるのか、今後の研究に期待したいですね。 ちなみにVRを使ったゲームエクササイズには、ジムや運動教室に通うことのできない人や、コロナ禍で感染症を避けるために外出することなく自宅で運動できるというメリットもあります。 これから日本でも、認知症を予防する効果のあるVRを使ったゲームエクササイズの活用が広まっていくと良いですね。
2022/07/12
遺産相続で揉めないために、遺言状を作成しておくことは大切です。しかし、遺言書を残した時期が認知症を疑う時期と重なる場合には、その遺言状の有効性について「判断能力があったのか」という点でトラブルとなってしまう可能性があります。 そんなトラブルを防ぐために、遺言状を作成する人の判断能力の程度を専門医が評価鑑定するサービスができたそうです。 認知症検査や専門医との面談で鑑定 メディカルリサーチ株式会社では、遺言執行時の争いを未然に防ぐために「遺言能力鑑定」のサービスを行っているそうです。 遺言能力鑑定は、依頼者に遺言能力があるか鑑定するサービスのことで依頼者の遺言能力の程度を認知機能評価や認知症のスタンダードな検査、専門の医師との面談などで鑑定をします。 そして、評価鑑定の結果は「医学鑑定書」という資料で依頼者に提供されるとのこと。この医学鑑定書があることで、遺言作成時の判断能力について疑義が出た際の有用な証拠資料となるほか、遺言に鑑定書を付帯することで、自分の意思をより確実に残せる効果があるそうです。 加えて、鑑定によって自分の判断能力がどのくらいなのか確認できることもメリットです。 実際にこのサービスを利用した会社経営者は、「会社の将来を考え、事業承継を見据えて遺言能力鑑定を受けました。認知症専門医による総合的な診断の結果、認知機能に問題はないと鑑定していただくことができてほっとしました」と話しています。 家族のために準備を 自分が亡くなったあとに家族同士でトラブルにならないようにと遺言書を残しても、それだけでは、遺言作成時の判断能力がどの程度あったのか誰も証明できませんよね。わざわざ作った遺言書で家族が争うことになってしまっては元も子もありません。 そんなことにならないためにも、これから遺言書を書こうと考えている人や子供たちに相続争いをしてほしくない人、認知症になるかもしれないと不安のある人は、相続で揉めないための終活準備として「遺言能力鑑定」サービスを利用してみるのも良いかもしれませんね。
2022/07/11
家族や自分が認知症と診断されたら、あなたはどうしますか?どこにも誰にも相談できずに、自分1人で悩みを抱え込んでしまう人もいるかもしれません。 そうした状況を受けて、石川県小松市では市内の老人保健施設に隣接する喫茶室に「認知症相談カフェ」をオープン。認知症の人やその家族らが訪れ、悩みを話し合ったり、常駐する看護師が相談に応じたりしています。 このカフェは、市が本年度から「認知症総合相談窓口」に指定した「南部第二高齢者総合相談センター(同町)」の取り組みの一環として開店したそうです。 同センター長は「認知症と診断された人は不安でいっぱいだと思う。気軽に足を運んでほしい」と呼びかけています。 当事者同士が気軽に交流し話し合える 石川県小松市では、認知症の人やその家族らが訪れて悩みを話し合ったり、常駐の看護師に相談できたりする「認知症相談カフェ」を6月2日にオープンしました。 このカフェは市内の老人介護施設「セラピィ粟津」に隣接する喫茶室に開設されており、毎月第1・3木曜の午前10時から午後3時まで無料で利用できるそうです。 開設したのは、若年性認知症と診断された市内の男性の家族らから「どこが相談窓口か分からない」「仕事をやめたが、働ける場所はないか」と市へ相談があったことがきっかけです。 ちなみに、市は、このカフェが介護認定を受けていない認知症の人でも気軽に相談でき、当事者同士が話し合える場となることを目指しているそう。気軽に交流や相談できる場所があることは安心感につながりますね。 いつでも相談できる場所として 以前と比べると認知症に対する理解は広まってきましたが、いざ自分や家族が診断を受けると、「これから自分や家族はどうなっていくのだろうか」「どこに相談していいものか」と悩んでしまうことでしょう。 認知症の人が増えている中で、自分の暮らす地域にも認知症の人とその家族、医療の専門家そして地域の人が気軽に交流し相談もできる認知症相談カフェのような場所が増えると良いですね。
2022/07/06
世界一の長寿国である日本。高齢化にあわせて認知症患者の人数は増加していくと見られており、2030年にはその数が800万人を超えるという内閣府の推計もあるほどです。 しかし、そうした状況にあっても認知症についての理解が進んでいないのが実情。そのため、認知症を抱えながら生活する認知症当事者やその家族が孤立してしまったり、安心して生活ができていないケースも少なくありません。 そこで、各自治体では認知症当事者やその家族を支援する取り組みや、地域住民が認知症への理解を深めてもらうための情報提供をおこなっています。 例えば、大分県臼杵市では認知症の啓発動画を制作。専門家による解説や認知症当事者の家族の介護の経験などを公開しています。 動画で認知症の理解を深める 大分県臼杵市は認知症に関しての正しい知識を広めるための啓発動画を制作し、公開を開始しました。 この動画は、市のホームページで配信されると同時にDVDの貸し出しもおこなうそう。多くの人が手軽に閲覧できる環境を作って市民の関心や意識の向上を目指します。 この動画が制作された背景には、「臼杵市みんなで取り組む認知症条例」が昨年9月に制定されたことがあります。 この条例では、「認知症に関する正しい知識及び理解をもち、認知症の人やその家族の視点に立つ」など4つの基本理念を掲げており、認知症になっても自宅で暮らし続けられる地域を目指すことを目的としています。 その取り組みのひとつとして作成されたこの動画は、1本15~25分で3部構成になっています。 動画の中で、大分大学の准教授による認知症についての解説や認知症当事者の家族の体験談などを公開。認知症の基本的な知識はもちろん、市民がそれぞれの立場から自分たちができることなどを発信しています。 認知症が当たり前の地域に 2025年には、高齢者の5人に1人が発症すると言われている認知症。しかし、認知症の人が身近にいない場合だと、どのように接したら良いのかがわからず、とまどってしまうこともあるかもしれません。 そこで、今回、臼杵市が公開した動画のように、専門家による認知症の説明や実際の認知症介護についてを知る機会があると嬉しいですよね。 そして、周囲の人が認知症について理解が深まることで、認知症当事者やその家族が暮らしやすい地域になっていくこともあるかもしれません。 また、認知症の理解が深まることで、地域の人が認知症の人がいることが特別なことではなくなり、認知症当事者やその家族が安心して暮らせるようになるのが理想ではないでしょうか。
2022/06/09
2020年時点で、認知症を発症している人は約600万人とされており、その数は毎年増えていくと推定されています。 そこで、近年、問題となっているのが認知症高齢者を介護する家族のサポート。認知症の知識がないままに介護をすることになったために正しく対応ができず、精神的につらくなってしまう人も少なくないのです。 そこで、名古屋大学が認知症を介護する人同士が悩みなどを共有できるアプリ「私の介護」を開発。ユーザーはチャット機能を使って匿名でやり取りができるそうです。 介護の悩みを吐き出せるアプリ 名古屋大学などの研究グループが、認知症の人を介護する家族などが利用できるアプリ「私の介護」の開発。現在はアプリの効果を調査するための研究に参加できる人を募集しています。 このアプリは、チャット機能でユーザー同士やケアマネージャーなどの支援者とやり取りができます。 例えば、現在おこなわれている研究では「認知症の夫が怒りっぽくなって困っている」という投稿に「気を紛らわせられるように、本人が好きなものを用意すると良い」というアドバイスや共感の声が返されているそうです。 また、支援者としてケアマネジャーも参加しており、介護の専門家に質問することも可能。さらに認知症の知識を学べるコラムも掲載されています。 このアプリの目的は、介護する人の負担を軽減して認知症の人の状態を良くすること。というのも、認知症の人の症状は、介護する人の対応や働きかけによって変化するものですが、介護者の中には認知症や介護の知識がないままに家族の介護をしなければいけなくなった人も多いのです。 そこで、このアプリを通じて必要な情報を手に入れたり悩みを共有することで、介護者の負担が少なくなったり認知症の症状が良くなることを目指しています。 アプリ版「認知症カフェ」に? 全国的に「認知症カフェ」が広まりつつありますが、介護に悩んでいる人がそれを知らなかったり近くで開催されていなかったりとまだまだ活用しきれていない面があります。 加えて、介護と仕事を両立している場合だと認知症カフェに参加する余裕がないこともあるでしょう。 そういったときに、アプリで気軽に悩みを吐き出せるととても助かりますよね。アプリなら仕事や介護の合間にちょっとした息抜きでも見られますし、今回のアプリは匿名制なので個人が特定されずに投稿ができます。 もしかしたら「認知症カフェで、顔をあわせていると本音を話しにくい」という人でも、気楽に利用できるアプリになるかもしれませんね。
2022/06/09
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。