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認知症の予防や進行を遅らせるために、介護施設ではさまざまなケアを実施しています。 しかし、人手不足が慢性化していることもあり、ケアを充実させるには限界があるのが現状です。 そこで、家族型ロボット「LOVOT(ラボット)」の開発をしているGROOVE X社が、介護施設での「LOVOT」の影響について実証実験を実施。その結果、施設にLOVOTがいることで、認知機能の低下の抑制を期待できることがわかったそうです。 命の温かみを感じるロボット GROOVE X社は自社の家族型ロボット「LOVOT」を介護施設に配置し、高齢者の認知機能と介護職員のストレスに与える影響を調査しました。 このロボットの特徴は、鳴き声、瞳などに”生命感”があること。慣れた人になついたり抱っこをせがんだりと動物のような動きをします。また、抱き上げると温かみを感じるため、まるで生きているようにも感じられます。 さらに、頭部にあるセンサーにはマイクやカメラ、温度カメラなどを内蔵。自分の名前に反応したり、室内の様子を把握することで障害物を避けて移動ができるそうです。 今回の実証実験は、介護施設の入居者20名と介護職員を対象におこなわれたもの。施設の共用部と職員の事務所にこのロボットを設置し、入居者の認知機能やQOL(生活の質)、職員のストレスレベルなどを面接やアンケートで測定しています。 その結果、このロボットを利用した入居者は、認知機能の低下が抑制された可能性があることがわかったそうです。 一方で、職員のストレスレベルなどを測るテストでは、効果があるという結果は出なかったそう。しかし、職員からは「職員同士の会話が増えた」などのポジティブな意見が得られたとのことです。 ロボットでストレス緩和? コミュニケーションロボットやペット型ロボットを設置する介護施設が増えてきています。 というのも、これらのロボットとふれあうことでストレス軽減の効果があるとされているため。ストレスの軽減が認知症の症状緩和などに効果があるとされているので、入居者のストレス軽減を目的に設置している施設が多いようです。 同じように、このロボットもふれあうことでストレス軽減の効果がある可能性もあります。 ”生命感”にこだわったロボットなので、まるでペットを飼っているかのように感じられてアニマルセラピーのような効果があるのかもしれませんね。
2022/04/28
認知症などの理由から自分で財産管理をすることが難しくなった人を支援する成年後見制度。2020年時点で認知症の人が約602万人いるのに対し、任意後見制度を利用している人は約23万人にとどまっているのが現状です。 そのため、任意後見制度の活用を促進する取り組みが自治体で広まっています。 例えば、鹿児島県では「おおすみ地域成年後見センター」が開設。さらに福井県では「成年後見ステーション」が新設されました。 自治体が成年後見制度の利用を促進 鹿児島県では「おおすみ地域成年後見センター」が開設されました。 これは、大隅地域の5つの町(大崎・東串良・錦江・肝付・南大隅)が共同で設置し、認知症の人や知的障がい者の支援を目的としています。 この地域では高齢化が進んでおり、住民の40%近くが高齢者。しかし、そうした支援が必要な高齢者に成年後見制度が知られていないことが課題だったそうです。 そこで、このセンターの設立で制度利用の促進を目指しています。 また、福井県小浜市では「市成年後見ステーション」を地域包括支援センター内に新設しました。 このステーションが調整役となり、弁護士会などの関係機関と連携。相談窓口として成年後見制度を詳しく説明したり手続きを進めていきます。 小浜市では、成年後見制度も含めた権利擁護に関わる相談件数が、2018年度は56件、2019年度は159件、2020年度には451件と増加しているそう。そこで、このステーションの開設によって成年後見制度の周知・啓発に取り組むとのことです。 親の介護費用が引き出せなくなることも 親が認知症になった場合に困ることのひとつに、銀行口座の凍結があります。銀行に預けているお金は本人でなければ引き出せないため、認知症の人の口座は銀行が凍結してしまうのです。 そのため、親の口座から介護費用を引き出そうとしても、成年後見人を立てていない場合は引き出せません。 そうしたときに困らないように、各自治体などでは成年後見制度の利用を促進しています。 ただ、手続きに時間がかかったり、弁護士などの士業に成年後見人を依頼する場合は費用もかかるのがネック。しかし、何も準備しないといざという時に困るので、デメリットも理解したうえで利用するかどうか検討しておいたほうがいいかもしれません。
2022/04/28
認知症を発症すると、言葉が出てこなくなったりいつもの道で迷ってしまったり、生活に影響が出ることがあります。 そうなると、どうしても「認知症だから何もできない」と思ってしまいがち。しかし福岡県福岡市では、「オレンジ人材バンク」という取り組みを開始して認知症の人が自分の力を生かして活躍できるような環境を整えています。 認知症の人と企業をつなげる 福岡市では、働く意欲のある認知症の人が登録する「オレンジ人材バンク」という取り組みを開始しました。 これは、認知症の人と賛同企業を結びつけて認知症であっても働ける環境を提供することが目的。コーディネーターが間に立ち、認知症の人にあった職場を調整しているそうです。 また、これは企業にとってもメリットがあります。 それは、製品開発の際に認知症の人の意見を参考にできること。一般的には、認知症の人が使いやすい製品を作ろうと思っても認知症の当事者の意見を聞くことは難しいのが実情です。しかし、この取り組みを使うことで認知症の人とつながることができるので、実際の当事者から製品の使用感や改善点などの意見をもらえるのです。 こうした取り組みをおこなうことで、認知症の人の活躍の場を創出するだけではなく、認知症フレンドリーな製品やサービスが増えることを目指しているそうです。 認知症の人が活躍する場所を 高齢化に伴って認知症の人は増加していますが、まだまだ認知症フレンドリーな社会になっていないのが現状です。 認知症の症状は少しずつ進行するため、症状が軽いうちは周囲のサポートがあれば自分で日常生活を送れることが多いのです。 そこで福岡市の取り組みのように、認知症の人を「認知症だから」という理由で社会から締め出すのではなく、その人の得意なことを生かして活躍する場を提供できる仕組みがあると良いのかもしれませんね。 これからは、認知症になったからといってすべてをあきらめなくてもいいような社会になっていくのかもしれません。
2022/04/27
高齢化に伴って認知症の人は増加しています。今後、さらに増加することが見込まれており、2030年には「65歳以上の高齢者の2割以上が認知症になる」という予測も出ています。 ということは、認知症を持ちつつも自宅で暮らす高齢者も増えていくことでしょう。そのため、さまざまな自治体や企業で認知症の人の暮らしを支えるサービスや取り組みを実施しています。 例えば日本郵便の信越支社では、長野県北信地域の全107局に認知症についての研修を受けた局員を配置。新潟県燕市では、認知症の人やその家族を「認知症初期集中支援チーム」が支援をおこなうそうです。 地域で認知症の人の暮らしを支援 日本郵便の信越支社は、北信地域にある107局すべてに認知症に関する研修を受けた郵便局員を配置したことを明らかにしました。 この局員は、自治体の職員がおこなう研修を受けており、認知症の症状についてや接客などの応対方法を学んだそう。この10年ほどで約300人が研修を受けたため、今月1日からは北信地域の全郵便局に研修を受けた局員を配置できるようになりました。 局員たちは研修で得た知識を生かして、認知症の人の資産管理について相談を受けたり高齢者に異変があったときに行政に情報を提供できるようにするそうです。 こうした認知症の人を支える取り組みは、自治体でもおこなわれています。 その取り組みをしているのは、新潟県燕市。医師や看護師、介護士などの専門家による「認知症初期集中支援チーム」が、認知症の人やその家族を支援しています。 この取り組みでは、おおむね6ヵ月の「初期集中支援」を実施しています。 初期集中支援では、まず支援チームが家庭訪問して「施設に行くことを拒否する」「認知症の薬を飲まない」といった現状や「犬の散歩をするのが楽しみ」といった毎日の習慣についてを聞きながら、本人や家族から今後の生活の意向を確認します。 そして、必要であれば介護サービスの利用を勧めたり、本人や家族の負担が減るような暮らしに変わるような支援をしています。 認知症の人を支える取り組みが拡大中 郵便局や自治体など、身近なところで認知症の人へのサポートをしてくれると、本人も家族も助かりますよね。 このような取り組みは、「認知症バリアフリー宣言」をした一般企業でもおこなわれています。 「認知症バリアフリー宣言」の詳しい取り組みについては、以下の記事で紹介していますよ。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-7564/ 認知症を抱えながら自宅で生活する場合、認知症の人もその家族もどうしたら良いかわからずすれ違ってしまうことが多くあります。そこで、認知症の知識を持った人が支援してくれるとお互い落ち着いて暮らせるようになるかもしれませんね。
2022/04/18
「デイサービス」というと、どんな介護サービスを受けられるイメージがあるでしょうか。 食事や入浴といった身の回りの介助を受けたり、歌や体操、簡単な脳トレクイズをするイメージを持っている人もいるかもしれません。 そんなイメージを覆すデイサービスが群馬県前橋市にあります。 その名も「こぐれ学園」。黒板を学習机で囲む様子は学校そのもので、『古事記』『源氏物語』の原文を読むという大学レベルの講義をおこないます。 こうした授業を受ける利用者の約7割は認知症の人で、この学園に通うことで認知症の症状が軽くなったという人もいるそうです。 大学レベルの授業をデイサービスで⁉ 前橋市にある「こぐれ学園」は、学校形式のデイサービスです。 このデイサービスの特徴は、本格的な授業を受けられること。源氏物語や古事記といった古典を原文で学んだり、音楽や美術といった実技科目を学ぶこともあります。 このデイサービスで授業をしているのは、地域に暮らしている専門家。大学の名誉教授など各分野の深い知識を持った人材が講師を務めているそうです。 この授業は1コマ60分。認知症の人は集中力が続かないと一般的には言われていますが、この学園では、多くの利用者が60分間集中して授業を受けているとのことです。 というのも、建物を学校の教室のようにすることで、かつて学校に通っていたことを思い出し、脳が活性化するため。認知症の人はついさっきのことは忘れてしまうことが多いですが昔のことはしっかり覚えているため、「学校」という空間がかつての記憶を刺激して脳が活性化して集中できるようになると考えられています。 このように授業を受けることで脳が刺激を与えることで、認知症の症状が緩和されたケースもあるそうです。 例えば、認知症になってから10年間笑顔を見せたことのなかった男性が、デイサービスから帰ったときに笑顔で「ただいま」と家族に言えるようになったり、重度の認知症で歯ブラシの使い方がわからなかったのに、このデイサービスに通って自分で歯磨きをできるようになった人もいるそうです。 昔の記憶を呼び起こしていきいきと活躍 デイサービスで脳トレというと、小学生レベルの簡単な計算問題や漢字クイズといったイメージがありますが、このデイサービスでは大学レベルの本格的な授業をおこないます。 その授業をする講師のなかには、自身も認知症を抱えている人もいるとのこと。40年にわたって高校の数学教師をやっていたことからデイサービスでの数学講師を依頼したところ、認知症であることがまったくわからないほど堂々と授業をしているそうです。 このように、認知症になると何もできなくなると思ってしまいがちですが、かつて得意だったことや好きだったことの記憶を活用することで、認知症の人もいきいきと暮らせるということがこのデイサービスの取り組みからわかりますね。
2022/04/12
「私のおばあちゃん、認知症なんだよね」という大学生の一言から生まれたゲームがあります。 それは、「懐話ふだ」というカードゲーム。めくったカードに書かれているお題に沿った思い出話をすることで、脳の活性化につながるそうです。 このゲームは、大学生の企画を企業が商品化して販売したもの。この商品企画の大会では総合優勝をした商品です。 「回想法」を取り入れたゲーム 大学生の企画を商品化する「Sカレ 2019」というイベントで法政大学の学生チームが提案したのが、カードゲーム「懐話ふだ」です。 このゲームは、認知症の進行予防として介護施設でも活用されている「回想法」を取り入れています。 回想法とは、認知症の心療療法のひとつ。自分の過去の話をすることで、楽しい気持ちになって精神状態が安定したり認知症の症状が緩和する効果があるとされています。 ゲームのルールはシンプル。裏面が青と赤の2色で、表面はピンク・黄色・緑の3色に分かれているカードを使います。 そして、青と赤のカードを1枚づつめくっていき、表面の3つの色で同じ色がそろうとそのカードをゲット。それぞれのカードの表面に書かれているお題について「思い出話」をすることで、脳の活性化につながるそうです。 このゲームの特徴は、カードをそろえるだけではないところ。そろえたカードに書いてあるお題に合わせた思い出話をすることがポイントです。 例えば、青カードには「幼少期」「大人になってから」などの”時期”を表す言葉が書かれており、赤カードには「住んでいた所」「好きだった曲」などの”モノ”や”コト”についてのテーマが書かれています。 そして2枚のカードの言葉を組み合わせ、その内容に合った話をしていくという訳です。 具体的には、青カードが「幼少期」、赤カードが「好きだった曲」であれば、「幼少期に好きだった曲の思い出話」をすることになります。 このゲームはこれまでオンラインのみでの販売でしたが、今年は4月におこなわれるアナログゲームイベント「ゲームマーケット」で初めて対面販売をするとのことです。 認知症の人が主体的に参加できる このゲームはルールがシンプルなので、認知症の人も参加しやすいのが特徴です。 もし周囲の人のサポートを受けながら遊ぶ場合でも、ゲームのメインである「思い出話をする」という部分は認知症の人もできるので、認知症の人が主体的に参加できるようになっています。 世代や認知症の有無を超えて楽しめるので、幅広い人が遊びやすいゲームと言えるのではないでしょうか。
2022/03/30
またひとつ、高齢のドライバーに関する、捉え方の難しい数字が発表されました。 昨年、交通死亡事故を起こした75歳以上の高齢ドライバーで事前に認知機能検査を受けていた人のうち、検査結果として「認知症のおそれがある」「認知機能の低下のおそれがある」とされていた人の割合が4割を超えていたというのです。 その判定が出ていた時点で免許の更新をおこなわなければ、悲惨な事故につながらなかったかもしれない…と考えると、複雑な気持ちを禁じえません。 「認知症のおそれがある」高齢者の4割が免許を更新… 2021年、免許更新時に認知機能検査を受けた高齢者のうち、「認知症のおそれがある」と判定を受けた人の数は3万3998人いたそうです。 このうち、自主的に返納するなどして免許の更新をおこなわなかった人は、6割の2万1269人。これはつまり、「認知症のおそれがある」と言われているのに4割もの人が免許を更新したということになります。 そうした人が起こした交通死亡事故に対して、被害者や被害者家族はもちろん、無関係という人でも疑問を抱いて不思議ではないでしょう。 問われているのは、高齢者が生きやすい街づくり 特に都心ではなく地方に住む高齢者にとっては、車は日常の“足”ともなっていることから、運転免許は必要不可欠となっている場合もあるでしょう。 また一方で、都心では、高齢化に伴う75歳以上ドライバーの急激な増加によって、認知機能検査の予約が取りづらいという状況も発生しています。通常で1ヵ月半程度、長いと3ヵ月待ち…ということも珍しくはないようです。 高齢ドライバーの免許更新が個人のリテラシーの問題とすると、一方にある社会的なインフラ整備の課題も、いまもって改善されていないようにも感じてしまいます。 確かに個人のリテラシーは問題であることに違いはありませんが、後期高齢者が急増する今後を見据えて、高齢者が生きやすい社会の整備も急いで欲しいものですね。
2022/03/25
認知症を発症する高齢者は2020年時点で約631万人と言われており、2025年には730万人、2040年には950万人まで増加すると言われています。 そこで問題のひとつに挙げられているのが、認知症高齢者の財産管理について。認知症の人の銀行口座は、本人の意思能力に疑いがあると金融機関が凍結してしまいます。 そのため、成年後見人を立てないと認知症の人の財産は引き出せなくなってしまうのです。 そこで、家族信託サービスなどを提供しているトリニティ・テクノロジー社が、成年後見人制度の普及率の調査を実施。その結果、成年後見人制度の利用者数は増えているものの、認知症高齢者の増加率に対して伸び悩んでいるのが現状だそうです。 普及が進まない成年後見人制度 家族信託サービスなどを提供しているトリニティ・テクノロジー社が、成年後見人制度の普及状況やその問題について調査を実施しました。 成年後見人制度とは、認知症などで判断が難しい人の代わりに後見人が財産の管理や介護サービスの契約などをおこなえるようにする制度。後見人は信頼できる親族が選任される場合と、司法書士や弁護士などの士業が選任される場合があります。 今回の調査によると、2020年の認知症患者数631万人に対して、2021年の成年後見人制度の利用者数は約24万人。認知症の人に対する制度利用者の割合は3.8%にとどまり、普及が進んでいないことがわかりました。 このことについて、同社は成年後見人制度のデメリットが理由になっているとしています。 まず「後見人への報酬」です。士業へ依頼した場合、家庭裁判所が決定した報酬を支払う必要。1ヵ月あたり数万円の支払いが発生するそうです。 そして「制度の利用停止ができない」という問題も。成年後見人制度を利用した場合、本人が亡くなるまで制度を利用することが前提。利用停止する希望があってもできないようになっています。 最後に「財産の使い道が限定的」であること。後見人だからといって、自由に財産を利用できるわけではありません。被後見人に必要のない不動産の売却や相続税対策のための生前贈与なども後見人はおこなえないのです。 認知症家族がいるときに利用したい制度 成年後見人制度は、認知症の家族がいる場合にはぜひ利用しておきたい制度ですが、デメリットがあることも確かです。 しかし、 通院したり介護サービスを利用する際にはどうしてもお金が必要になるもの。本人の預金が引き出せないと困りますよね。 そのため、財産管理に制限がかけられていたりと内容が複雑ではありますが、そうしたデメリットを理解したうえで上手く活用できれば、便利な制度と言えそうです。
2022/03/24
近年、認知症と腸内細菌についての研究が注目されています。 そのなかに、国立長寿医療研究センターがおこなった「日本食」「腸内細菌」「認知症」の関連を調べた研究があります。 その結果、認知症でない人は日本食を食べている割合が高く、身体に悪影響のある代謝産物が少ないことがわかりました。 認知症・腸内細菌・日本食の関係とは? 国立長寿医療研究センターが日本食と認知症、腸内細菌の関係についての研究結果を発表しました。 これは、同センターに通院している認知症の人を対象に、認知症検査や食事アンケート、検便などを実施して調査されたものです。 同センターは、以前の研究で認知症と腸内細菌の関係を発見。認知症の発症に腸内細菌が発生させた物質(代謝産物)が影響していることがわかっています。 また、認知症でない人の腸内には「バクテロイデス」という種類の細菌が多く存在しているのに対して、認知症の人は種類のわからないその他の腸内細菌が多いことがわかりました。 それらの結果を受けて、今回は認知症と腸内細菌と日本食の関連を調査。その結果、認知症でない人は日本食やコーヒーを多く摂取していたそうです。 ここで言う日本食とは、米、みそ、魚介類、緑黄色野菜、海藻類、漬物、緑茶、大豆、キノコ類などのこと。認知症でない人は、これらの食材に加えてコーヒーの摂取量が多かったそうです。 さらに、日本食を多く摂取している人は、腸内細菌の代謝産物の濃度が低い傾向がありました。 これらのことから、国立長寿医療研究センターは「日本食を多く摂ることが腸内細菌に良い作用を与え、認知症を防ぐ可能性がある」と示唆しています。 やっぱり日本食が良い? 研究技術の発達によって腸内細菌の研究が進んでいるようですが、まだまだわからないことが多い分野です。 そのため、認知症と腸内細菌が関係していることは明らかになっていますが、そのメカニズムは明確にはなっていないそうです。 ただ、認知症に食事が影響することはわかっており、魚介類や豆類、野菜、オリーブオイルなどを含む「地中海食」が認知症予防に効果があるという研究結果も出ています。 しかし、「地中海食」というと日本人にとってはなじみが薄いので、日本食に食生活を改めてみる方が手軽なのではないでしょうか。 普段の日本食にコーヒーをプラスすると、脳にも腸にも良い食事に改善できそうですね。
2022/03/17
全国で「認知症カフェ」が拡大しています。2019年時点で全国に約8000ものカフェが開設されており、ほとんどの市町村で開催されているようです。 そのなかでも大分県中津市では、ちょっと珍しい「移動型の屋外認知症カフェ」が開催されています。多くの認知症カフェが公民館などの公共施設を活用していますが、この屋外型のカフェはスペースがあれば出張もしているそうです。 認知症カフェの方からやって来る 中津市社会福祉協議会が運営している「ストリートオレンジカフェみなと」は、屋外型認知症カフェです。 認知症カフェとは、認知症の当事者やその家族、地域の住民などが集まって交流する場。アクティビティをしたり、介護相談をしたり、認知症についての知識を深めたりとそのカフェによって内容は異なります。 ちなみに、オレンジカフェみなとの開催場所は固定ではなく毎回変わるそう。というのも、テントと駐車場スペースが確保できれば開催できるので、いろんな場所で出張開催もしているからです。 このカフェが移動型になったのは、遠くまでの移動が難しい人も気軽に来てほしいという思いからだそうです。 2021年12月時点で、中津市内には同社協が開設しているものもあわせて12の認知症カフェがあります。それでも「足を運ぶには遠い」という声や近くに集いの場がない地域があると、カフェの方から出向いていきます。 ちなみに、カフェの参加費は100円。オレンジカフェに参加するともらえるスタンプがたまる「オレンジスタンプカード」を作成しており、楽しみや目的を持って参加できるように工夫しています。 高齢化の進行で需要が拡大? 認知症カフェは、「認知症の当事者やその家族が地域の人たちや専門家と情報を共有できる場所」として厚生労働省が推進している活動です。 家族や自分に介護が必要になったとき、初めてのことで本人も家族も不安になるもの。特に認知症の初期段階では、本人も「何かおかしい」と感じて不安になることが多いそうです。 しかし、軽い症状では介護サービスを受けられないことも。そこで、認知症カフェに立ち寄ってみて、専門家に相談したり同じ認知症の人と交流してみることで、解決策が見つかることもあるかもしれません。 こういった「介護サービスを利用できるかわからない」というグレーゾーンの人は、高齢化が進むにつれて増えていくでしょう。 認知症カフェは、そういった人やその家族が気軽に悩みを相談できる場所のひとつとして活用されていくと、もっと認知症の人が暮らしやすい環境になっていくかもしれませんね。
2022/03/15
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。