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認知症対策

地域の取り組み 認知症対策

「バスの来ないバス停」が認知症の高齢者を守る?地域で見守る取り組み

愛知県豊橋市には、いくら待ってもバスの来ないバス停があります。 これは認知症カフェの一角に作られたバス停で、帰宅願望のある認知症の人が本物のバス停でバスに乗って行ってしまうことを防ぐもの。「家に帰りたい」という認知症の高齢者がこのバス停で落ち着くまで過ごせるようにと作られました。 地域の思いやりが生み出した「バスの来ないバス停」 豊橋市にある「アンキカフェ」は、認知症の人やその家族、子育て世代など幅広い地域の人が集う「3世代交流カフェ」です。 カフェの名前の「アンキ」とは三河弁で「安心」「ほっとする」という意味があるのだそう。その名の通り、仕事体験をする「子ども店長」がいたり、認知症のセミナーを開催したりと地域住民が”ほっとする”集いの場となっています。 このカフェの一角にあるのが「バスの来ないバス停」。「ぽかぽかの森」と書かれたバス停には時刻表も貼ってあり本物のバス停のようですが、バスは来ません。 なぜかというと、これは認知症の人のためのバス停だから。認知症の人がバスに乗ろうとしたときに「一旦このバス停で待ってみましょう」と促して、落ち着くまで過ごせるようにと作られたものなのです。 認知症の人がバスに乗ろうとするときは「家に帰りたい」などの目的があるそう。しかし、1人で本物のバスに乗ってしまうと行方不明になることもあります。 そこでこのバス停でしばらく待つことで、自分が何をしたかったのかを忘れてしまい、またおだやかな気持ちでカフェで過ごせるとのことです。 ちなみにこのバス停の看板は、かつて地元の鉄道会社で使われていた本物のバス停。鉄道会社が譲渡してくれたおかげで、このバス停が実現できたそうです。 やさしい嘘で認知症の人を守る 認知症の症状のひとつに「帰宅願望」があります。「自宅に帰りたい」「故郷に帰りたい」などを訴えることです。 これ自体は悪いことではありませんが、1人で帰宅させるのは危険だったり、その家がすでに取り壊されていて帰れないということもあります。 しかし帰れないことを説明しても、認知症の人がなかなか理解できないことも。それどころか、帰ることで頭がいっぱいになって気持ちが余計に不安定になるケースもあります。 そうしたときに、この「バスの来ないバス停」のような一旦落ち着ける場所があると良いですよね。 こうした対応を「嘘のバス停でごまかすなんて」と思う人もいるかもしれません。しかしこの方法は、認知症の人の気持ちを尊重しつつ身の安全も守れるとても良い解決策ではないでしょうか。

2022/03/07

海外の介護事情 認知症対策

認知症介護の実体験から制作された映画。現実と幻想が入り混じる演出

今月25日に認知症の父とその介護をする娘を描いた「選ばなかったみち」が公開されました。 この映画は、2020年の第70回ベルリン国際映画祭でコンペティション部門に出品された作品。監督自身の介護体験をもとに作られた脚本は、認知症の父親の幻想と介護する娘の葛藤をリアルに描いています。 実際の介護経験から描かれるリアルな描写 今月25日、サリー・ポッター監督作品「選ばなかったみち」が公開。監督が自身の弟の介護をした経験をもとに脚本の執筆もおこなっています。 物語はニューヨークのアパートで一人暮らしをするメキシコ移民のレオと、その娘のモリーを中心としたヒューマンドラマ。元作家のレオは、現在は認知症を発症しており、モリーやヘルパーとの意思疎通も難しい状態です。 物語は、ある日の朝レオを病院につれていくためにモリーがアパートを訪ねるところから始まります。 しかしモリーが隣にいるのにも関わらず、レオの心は故郷のメキシコや、一人旅で行ったギリシャに旅立ち、現実世界にはありません。 この映画のなかでは、ニューヨークの現実とメキシコ・ギリシャの幻想が同時に進行していきます。 幻想の中の出来事が現実のレオにも影響を及ぼし、レオは幻想の出来事に反応します。しかし、周囲の人には突拍子もない行動をしているようにしか見えず、理解ができません。 このようにコミュニケーションもままならない父を介護するモリーは、父の介護をしたい気持ちと自分のキャリアや生活との間で悩む様子がリアルに描かれています。 認知症ケアを疑似体験できる作品 この映画は監督自身の介護の経験をもとに描かれているため、認知症のレオの様子や介護に翻弄されるモリーの描写にリアリティがあります。 そのため、介護を経験したことのある人は共感できる部分があるかもしれませんし、経験したことのない人は、認知症の人がどんな様子なのかを感じるきっかけになる映画かもしれません。 この映画では3つの世界が同時進行しており、レオの言動は幻想世界とつながっています。そのため、幻想世界を体験している観客にはわかりますが、登場人物たちにはわからず、「意味不明な行動をする認知症男性」として扱われているのが印象的です。 この映画は「認知症の人の行動には理由がある」と気付かせてくれる作品になっていると言えるかもしれませんね。

2022/03/01

認知症予防 認知症対策

認知症の高齢者がアートの旅へ。うつの改善や記憶力の向上効果も

今月14日、横須賀市の横須賀美術館で、認知症の高齢者とその家族が絵画を鑑賞するプログラムが開催されました。 講師の問いかけに高齢者が思ったまま自由に発言しながら、3つの作品を丁寧に鑑賞。絵画を鑑賞することで、認知症の人のコミュニケーション能力などが高まる効果があるそうです。 芸術の旅に飛び立つ 今月14日、横須賀美術館でおこなわれたのは「アートリップ」という対話型の絵画鑑賞プログラム。感じたことを自由に話しながら、認知症の高齢者やその家族が一緒に絵画を楽しむものです。 このアートリップという言葉は「アート(芸術)」と「トリップ(旅)」を組み合わせた造語。進行役のアートコンダクターの質問に答えながら鑑賞することで、アートを通して時空の旅に出てほしいという思いが込められています。 この日は3作品を鑑賞。国吉康雄の「毛皮の女」の絵に対して、アートコンダクターの「この女性は何していると思いますか」という質問をすると「誰かを待っているみたい」「悩んでいるのかな」など、参加者から次々と言葉が出てきます。 アートリップに参加すると、普段は無口な人が活発に発言するようになったり昔の記憶がよみがえったりすることがあるそう。「昔の母の顔になった」と認知症の親と一緒に参加した家族が言ったこともあるとのことです。 また、アートリップの効果は臨床的にも証明されています。軽度認知症で鬱症状のあった人が、このプログラムを受けることで積極的になったり、単語記憶力が改善したりとさまざまな効果があったそうです。 認知症だからこそ感じられることがある? 絵画と認知症の人との組み合わせは、意外に感じられますよね。 しかし、このアートリップを開催している「一般社団法人アーツアライブ」代表の林さんによると、「感情に働きかけるアートは認知症と親和性が高い」そうです。 認知症でない人は周りの様子を伺って発言してしまいがちですが、認知症の人はそういったこともなく自由に発言する人が多いんだそう。認知症になることによって、固定概念がなくなってむしろ感覚が研ぎ澄まされるのかもしれませんね。 感染対策をしながら全国の美術館でアートリップが開催されているようです。試しに体験してみると新しい発見があるかもしれませんよ。

2022/02/25

介護予防 要介護者の避難計画 認知症対策

災害が認知症を引き起こす⁉高齢者の認知症薬・漢方薬の処方数が増加

台風や地震、大雨など毎年のように大きな自然災害が起こる日本。災害時にはさまざまなことが問題となりますが、その中でも「被災した高齢者の健康状態」についての研究結果が発表されました。 この研究は広島大学がおこなったもので、これによって「被災した高齢者は、認知症薬と漢方薬の処方数が増加している」ことがわかりました。 この結果を受けて、研究グループは「科学的根拠に基づく災害時を含めた認知症対策が求められる」と述べています。 災害後に認知症薬・漢方薬の処方が増える 広島大学がおこなったのは、2018年7月に起きた西日本豪雨災害で被災した高齢者の健康状態の変化についての研究です。 この研究は、この災害で被害が大きかった広島県・岡山県・愛媛県の診療情報を分析。災害前後の2年間で、65歳以上の人の認知症薬・漢方薬の処方数の変化を調査しています。 まず認知症薬については、災害前に認知症でなかった高齢者のうち、被災した人は被災しなかった人よりも「災害後に認知症薬を処方された割合が高い」ことがわかりました。 加えて、災害前から認知症薬を処方されていた人のうち、被災した人はそうでない人よりも薬の処方量が増加。自然災害が高齢者の認知機能を低下させることが判明しています。 また同時に広島大学は、漢方薬の処方についても調査しています。 漢方薬は副作用が西洋薬に比べて少ない点から、高齢者に好まれる傾向があります。そのため、自然災害で健康を損ねた高齢者が漢方薬を利用するのではないかという推測のもとづいて調査されました。 その結果、調査地域の3県に暮らす高齢者は被災の有無に関わらず、漢方薬の処方をされている人が増えていました。その中でも、被災者に処方された漢方薬で増加率が高かったのが「抑肝散」です。 抑肝散は、神経症や不眠などに効果があるとされ、興奮状態を落ち着かせる際に処方されるもの。特に認知症の周辺症状に処方されることが多いとのことです。 これらの研究結果を受けて「日本固有の災害対策や災害時の診療ガイドラインが策定されることが期待される」と研究チームは述べています。 世界のモデルケースに 世界中で高齢化が進んでおり、さらに地球の環境変化に伴って、自然災害も増加傾向にあります。そのため災害時の高齢者の健康被害についても、世界でさらに問題になっていくかもしれません。 日本はもともと自然災害が多く、加えて高齢化が最も進んでいる国。そのため、災害時の診療ガイドラインを作ることで、世界のモデルケースになることでしょう。 災害時、私たちは生活を維持するのが精一杯。ちょっとした気持ちやメンタルの変化に気が付かないこともあります。 だからこそ、災害対策のひとつとして国や自治体には早く手を打ってほしいですね。

2022/02/09

地域の取り組み 社会問題 認知症対策

免許を返納する高齢者が12万人増加!返納後の割引サービスも多数

高齢者の運転免許証の自主返納制度が始まってから、20年以上が経ちました。返納する人はこの5年ほどで12万人以上も増えています。 こうした背景には、各自治体の支援があります。神奈川県厚木市では、市と神奈川県警が連携した協力体制を構築し、認知症などを理由に自主返納する人のサポートをおこなっています。 ”認知症疑い”の人も支援できる 厚木市と神奈川県警が、運転免許を返納した高齢者に対する支援についての協定を結びました。 その内容は、認知症を発症もしくは疑いのある人が運転免許を返納した際に、市と県警が連携して支援をおこなっていくというものです。 この支援の対象になるのは、75歳以上で免許更新の認知機能検査で診断書の提出を求められて返納をした人や、認知症のために返納した人。警察が同意を得たうえで情報を市に提供し、市が支援をおこないます。 免許返納者の情報が市に届くことで、地域包括支援センターやかかりつけ医、認知症サポート医との連携も取りやすくなります。また、免許更新・免許返納をきっかけに、認知症やその疑いのある人を発見。認知症の早期発見・治療につながるそうです。 また認知機能検査をきっかけに、認知機能が低下していることを初めて知った人は、どうしたら良いかわからないことが多いとのこと。今回の協定で、そうした人の支援もしやすくなるそうです。 割引サービスをきっかけに? 厚木市だけではなく、各自治体でも高齢者の運転免許の自主返納の推進をしています。その取り組みのひとつが、「運転経歴証明書」などを提示することで受けられる割引サービスです。 協賛している店舗などに、免許を返納した際に受け取れる運転経歴証明書を提示すれば、割引を受けられるようになっています。 例えば、ホテル内のレストランの飲食代が10%引きになったり、美術館やテーマパークの入場料が割引になることも。また、車がないと大変な買い物も、一部のスーパーでは自宅までの荷物の配送料が割引されて便利です。 この割引は各都道府県で異なるので、確認してみると良いかもしれませんね。 運転免許の自主返納は、車がなくて不便にならないか不安になりますよね。加えて「そろそろ返納を勧めた方が良いかも」と、話をすることを迷っている家族もいるかもしれません。 高齢者の自動車事故は増加傾向にあるので、こういった割引サービスなどをきっかけにして自主返納を考えてみるのもありかもしれませんね。

2022/02/04

最新研究 認知症の薬 認知症対策

勃起不全薬で認知症率が7割減⁉既存薬1600種以上から発見

日本の高齢者の20%近くが認知症を発症しており、世界的に見ても患者数は増加することが予想されています。そのため、世界中で認知症の薬の研究がおこなわれていますが、根本的な治療薬がまだないのが現状です。 そんな状況の中、認知症の薬を一から開発するのではなく、既存の薬を認知症薬に転用しようとする試みがおこなわれています。 今回、認知症薬となる可能性が示唆されたのは、勃起不全薬として利用されている「バイアグラ」です。この薬を服薬している人は、そうでない人に比べてアルツハイマー型認知症の発症率が低いことがわかりました。 1600種類以上の薬からしぼりこむ 勃起不全薬のバイアグラがアルツハイマー型認知症に有効である可能性が、アメリカの科学雑誌で発表されました。 ちなみにアルツハイマー型認知症は、脳内で特殊なタンパク質が蓄積して塊になってしまい、神経細胞を損傷させることで起こるとされています。 今回の研究では、まずアルツハイマー型認知症の発症に関連しそうな既存薬1600種類以上を選定。その中から実際に効果があると思われるものを絞り込んでいきました。その結果、勃起不全薬として利用されているバイアグラが最有力候補に残ったそうです。 続いて研究チームは、700万人以上のアメリカ人の保険請求データを分析。バイアグラを服用している人はそうでない人に比べて、6年間のアルツハイマー型認知症の発症リスクが約70%低かったそうです。 特に、すでに認知症のリスクを高める要因になることがわかっている糖尿病・高血圧・心臓病の人は、他の人よりもさらにアルツハイマー型認知症のリスクが低かったそうです。 そしてこれらデータをもとに、アルツハイマー型認知症の人の脳細胞を用いた実験をおこないました。その結果、神経細胞の成長が促進されてタンパク質が塊になるのを阻害し、認知症リスクを下げることがわかりました。 新薬開発だけでない別のアプローチ 今回発表された研究は、既存薬からアルツハイマー型認知症に効果があるものを発見する取り組みでした。 ただ今回の研究によって、バイアグラがアルツハイマー型認知症に効くと確定したわけではないとのことです。 研究チームは「バイアグラの使用とアルツハイマー型認知症リスクの低下の関係を示したにすぎない」とコメント。今後、さらに詳細な試験をおこなっていくそうです。 薬の承認のための厳しい臨床試験が必要なのは、新薬でも既存薬を別の病気の治療薬に転用する場合でも変わりません。 しかし、一から開発するよりはコストや時間がかからないので、一刻も早く認知症薬としての実用化が待たれますね。

2022/02/03

最新テクノロジー 認知症対策

高齢者の徘徊を救え!山岳救助の技術を転用したキーホルダー

認知症高齢者の徘徊が増えています。警察庁によると、2019年度の認知症の人の行方不明者人数は1万7000人以上。この数は毎年増加しているようです。 認知症の人の行方不明が増えると、事故や怪我が増えるだけでなく、自宅に帰れず衰弱して亡くなる危険性も高まります。 今回、こうした問題の解決の糸口になるかもしれないグッズが発売されました。大阪市にあるNPO法人光探索協会が開発した「可変QRコード再帰性反射キーホルダー」です。 山岳救助でも使われる技術を活用 「可変QRコード再帰性反射キーホルダー」は、光を反射しやすい素材にQRコードを印字して、キーホルダーにしたもの。山岳救助の現場などで活用されている技術を使用しています。 このキーホルダーに使用されている「再帰性反射材」は、高速道路の標識や反射材テープにも使われています。光を反射しやすいので、暗い場所でも目立つという特徴があります。車のライトなどを反射するため、交通事故のリスクを下げられます。さらに、認知症の人が夜間に外出してしまった際に姿を見つけやすいのもポイントです。 また、印字されているQRコードは、登録内容を自由に変更できます。例えば、認知症の人の顔写真や住所、家族の連絡先なども登録可能。QRコードを読み取れば、スムーズに家族に連絡が取れるようになります。 手軽に取り付けられるキーホルダー型 もともとNPO法人光探索協会は、山岳遭難者を救助するシステムの普及活動をしている団体だそう。そこで、その技術をさまざまな場面で活用できないかと製作したのが、今回のキーホルダーです。 このキーホルダーは、認知症高齢者の徘徊時リスクを減らすだけでなく、ビジネスの場面で名刺代わりに使ったり、ペットの迷子札としても活用できるそうです。キーホルダー型なので、バックなどに取り付けるのが簡単なのもうれしいですね。

2022/01/20

地域の取り組み 認知症対策

認知症でもスーパーで買い物を!”スローショッピング”を地域が応援

「認知症になったからといって、何もできなくなるわけではない」。そんな思いを感じられる取り組みが、岩手県滝沢市のスーパーでおこなわれている「スローショッピング」です。 スローショッピングとは、認知症の人がボランティアに付き添われながら自分自身で買い物をできるようにする取り組み。毎週木曜の午後に認知症の人の優先レジを設けて、認知症の人が焦らず会計ができるようにしています。 この取り組みによって、認知症の本人や家族が助かるだけでなく、地域の人が認知症の理解を深める場所にもなっているそうです。 地域が一丸となって、みんなが暮らしやすい町に スローショッピングは、滝沢市の「認知症になっても住みよいまちづくりプロジェクト」の一環として2019年からスタートしました。 協力しているのは、スーパーマーケット「マイヤ 滝沢店」「マイヤ 高田店」 の2店舗。特に、高田店があるショッピングモール「アバッセたかた」では、スーパーだけでなく和菓子屋や文具店など他の専門店もスローショッピングに対応しています。 家族が認知症になると、心配で目が離せなくなることも多いでしょう。特に買い物は、本人を連れて行くのが一苦労で外出させたくないと思う人もいるかもしれません。 そうなってしまうと認知症の人が外に出る機会が減り、刺激がなくなって症状が進行してしまう恐れがあります。また、常に気を張っている家族も介護疲れしてしまいますよね。 そこでこのスローショッピングでは、家族の代わりにボランティアが認知症の人の買い物に付き添います。家族はその間、自由に過ごせるのです。 イートインコーナーに設けられた「くつろぎサロン」では、専門の医師や地域包括支援センターの担当者に介護の相談もできます。同じようにスローショッピングを利用している、認知症の親を持つ人と話をする機会もあるかもしれませんね。 認知症予防にも効果があるかも? スローショッピングは、認知症の人が安心して買い物ができる取り組みです。一人での買い物に不安を感じてきた人、認知症のために買い物する機会がなくなってしまった人は、ぜひ利用したいと感じるのではないでしょうか。 さらに、認知症の症状緩和にも効果があるかもしれません。認知症の進行を抑えるには脳への刺激が大切。家やデイサービスなど決まった場所で過ごしているとどうしても、刺激が少なくなってしまいます。 対して、スーパーにはたくさんの品物や、色鮮やかな店内の飾りつけがあります。旬の商品や季節行事に合わせたディスプレイで季節を感じられますし、ボランティアとの会話も刺激になるかもしれませんね。 そしてこれは、認知症の親を介護している人にも助かるサービスと言えます。気を張っていることの多い家族にとって、スローショッピングの時間が息抜きになったり、介護の相談をするきっかけになったりするのではないでしょうか。

2022/01/18

社会問題 認知症対策 調査結果

2045年、4人に1人が認知症に。”認知症になる”つもりで対策を

敦賀市立看護大学の中堀伸枝氏らが、「2045年には認知症高齢者が25%を超える」という推計を発表しました。中堀氏らは「2045年はまだ先と考えるかもしれないが、認知症抑制政策は効果が出るのに時間がかかるため、早急な対策が必要」と述べています。 この研究は、富山県の65歳以上の高齢者を調査したデータをもとにおこなわれました。認知機能テストの「長谷川式簡易知能評価スケール」を使って検査をしたデータです。その結果に基づいて、認知症になる人数の予測をしました。 高齢化が進む地域では、認知症患者の割合が高くなる可能性あり 研究の結果、2025年には富山・長野・島根・山口・高知の5県で認知症の割合が20%以上になるという予測となりました。 さらに2030年には47都道府県で20%以上、2035年には埼玉・東京・神奈川・愛知・沖縄以外の42道府県で25%を超え、2045年には東京以外の道府県で30%を超えるという研究結果を発表しました。 都道府県で認知症高齢者の割合に差が出ているのは、地域によっては高齢者人口の急増が予想されるためだそう。特に80歳以上の高齢者の割合が高くなると考えられる地域では、認知症高齢者の割合も増加するとのことです。 自分が認知症になる前提で対策を 高齢者が増えるとともに、認知症の人数も増えていくのは明らかです。 今、私たちにできるのは、自分や家族が認知症になるという想定でさまざまな手を打っておくこと。「子供に面倒を見てもらうのか」「介護が必要になったら、施設に入るのか、在宅介護にするのか」「お金や不動産はどうするか」などを今から考えておくことが大切です。 認知症は少しずつ進行し、初期段階で本人が自分の違和感を覚えることがあるそうです。しかし「変だな」と思ったときには、介護や財産管理の手配ができなくなってしまうことも。特に財産の管理は、意思判断能力が下がると銀行口座が凍結される場合もあるため、成年後見制度を利用するなどの具体的な対策を立てておきましょう。 もし自分が認知症になったら、後のことを誰に任せるのかを詳細に考えておかないといけないですね。

2022/01/12

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

介護の基礎知識

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