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Q&A

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認知症の母親が物をなくして探し物ばかりしています。自分で隠しているようですが、どう対応すれば良いですか?

同居している母の認知症が進んできたみたいで、毎日のように「物がなくなった」と騒いで探しものの手伝いをさせられています。先日は、母が通帳がなくなったと言うので再発行したら、その2~3日後にタンスの奥から出てきました。しかも、通帳がなくなったことに対して「泥棒に盗られた」と言いだす始末…。 「自分でしまったんでしょ」と言っても耳を貸しません。こんな母に振り回されてうんざりしています。どうしたら良いでしょうか? (松村さん・主婦・54歳) 探しものに毎日付き合うのは大変ですよね…。ただ、お母様の言葉や行動を否定するのはNGなんです。認知症の方は直近の出来事が記憶から抜けてしまいますから、「自分でしまったんでしょ」と言っても全く思い出せません。なので、「物がなくなった」とお母様が言うときにはタンスや押入れの奥など、お母様が物をしまい込む”定番の場所”をお母様が探して自分で見つけるように誘導してみましょう。そして、お母様が物を発見したら、「見つかって良かったね」とポジティブな声掛けをしてくださいね。 認知症の親が物をなくす…対策はある? 母は1年ほど前に認知症であることがわかりました。ただ、このところ症状が進行してきたみたいで、毎日のように物をなくしては探しものをしています。先日なんて、「泥棒に盗られた」と言っていた通帳を再発行したら、その2~3日後にタンスの奥から出てきたんですよ!こんな風にいつも母に振り回されていて、いい加減、疲れました…。「自分でしまい込んでるんでしょ」と言っても聞く耳を持たないし。母の探しものを減らすためにはどうしたら良いでしょうか? 毎日のように探しものの手伝いをするのは大変ですよね…。ただ、認知症の方の言葉や行動を否定するのは、より症状が悪化してしまうことがあるのでNG。「泥棒に盗られた」という言葉に、「自分でしまったんでしょ」「忙しいから一人で探して」などと返答すると、ストレスを感じてしまうこともあります。 えぇ!?「自分でしまったんでしょ」と言ってはダメなんですか?実際に、通帳は泥棒に盗られたわけではなかったですし。もっとちゃんと探していれば、通帳を再発行する必要はなかったんですよ? 事実としてはそうかもしれませんが、お母様は認知症の影響で自分で通帳をタンスにしまった記憶がすっぽり抜けてしまっています。松村さんも、記憶が全くないことを「自分でしたんでしょ」と言われても理解ができずに混乱してしまいますよね。それに、否定されたことで認知症の方がストレスを感じて、それが原因で症状が悪化してしまう可能性も…。なので、まずはお母様の言葉を否定せずに話を聞くことが大切です。 否定をしないって難しいです。どうしたら良いんですか? まずは、「物がなくなったんだね」と否定をせずに受け止めましょう。否定をしないだけでも、お母様はいつもより穏やかな反応をすると思いますよ。それでも落ち着かない様子であれば、一緒に家の中を探してください。通帳がタンスの奥から出てきたように、大切なものほど思いもよらないところから出てくることが多いです。 毎日、一緒に探しものをしていますが、「お母さんが自分でしまったんじゃないの」と言いながらしていました。その度に母は「違う、泥棒に入られたの!」と言い返してくるので、口論になっていました。探しものを一緒にするのは同じでも、声掛けが違うだけで母の態度は違うんですね。 そうなんですよ。ただ、探しものをしているときに注意が必要なのが、できるだけお母様自身の手で見つけられるようにすること。というのも、松村さんが探しものを見つけると松村さんが隠した犯人にされてしまうこともあるんです。 えっ?私、母の物を隠したりしないですよ! はい。でもお母様は自分でその場所に隠したことはすっかり忘れています。なので、「隠し場所を知っている人=隠した犯人」ということになってしまうんです。そのため、お母様自身がなくしものを見つけられるように、「私はあっち探すから、お母さんはそっちを探して」などとそれとなく誘導しましょう。はじめのうちはどこに物を隠しているのかわからないと思いますが、認知症の方は隠す”定番”の場所があることが多いです。慣れてきたら定番の場所をお母様が探すように誘導すると良いでしょう。 なるほど。探しものをするのにもコツがいるんですね…。 加えて、物が見つかったときに「やっぱり自分でしまったんでしょ」といったネガティブな声掛けをするのもNG。「見つかって良かったね」とポジティブな声掛けを心がけてください。 うーん…。忙しいとどうにもイライラしてしまって、ポジティブに声掛けできる気がしません…。 確かにそうですよね…。どうしてもイライラしてしまうときは、一時的に別の部屋に行ったり外出したり、とりあえずその場から離れましょう。忙しかったり疲れているときにいらだってしまうのはしょうがないことですから、長く介護を続けていくためにも溜め込まずに適度にガス抜きしていきましょう。 精神的な負担を減らす方法 介護における精神的負担は、ときとして身体的負担以上に深刻なものとなります。介護者の精神的負担が増えれば、介護どころか介護者自身が普通に生活を送ることすら難しくなることもあります。精神的な負担を減らすために、以下の方法を試してみましょう。 介護について話を聞いてもらう少しでも自分の時間を持つストレス発散に運動を取り入れてみる介護家族の会に参加する介護施設への入居検討をする 認知症の親が物をなくす理由は? 上手くできるかわかりませんが、母が物をなくしたときの対応方法についてはよくわかりました。でも、なんで母はこんなにも物をなくすことが増えたんでしょうか? 認知症の症状のひとつである、「記憶障害」が進行していることが考えられます。先ほどもお話しした通り、記憶障害によってしまったことをすっかり忘れているんですね。認知症の記憶障害は、「どこにしまったか忘れる」ではなくて「しまったこと自体を忘れる」のが特徴なんです。 記憶障害とは 認知症の中でも、最もわかりやすいのが記憶障害です。 記憶障害はもの忘れとよく混同されますが、記憶障害ともの忘れは根本的に異なります。もの忘れは「何かを忘れている」ことは理解できますが、記憶障害になると、忘れているという記憶すらなくなるのです。 例えば、普通のもの忘れであれば会う約束の時間をうっかり忘れてしまっても、指摘されると思い出すことができます。しかし、記憶障害になると約束したこと自体もすっぽりと記憶からなくなってしまうのです。 例)失われやすい短期記憶 数時間前に会った人の名前 何を買うために外出したか 何を話そうとして電話したか 例)保たれやすい長期記憶 子供の時の思い出 昔の楽しかった出来事 思い出の旅行 だから、「自分でしまったんでしょ」と言ってもわからないんですね。 おっしゃる通りです。それに認知症になると、注意力も低下します。そのため、無意識に物を置いてしまい、置いたこと自体も忘れてしまうんです。さらに、認知症の影響で物の整理が苦手になります。部屋が散らかって余計に探しものが増える原因になってしまいます。 そういえば、母はきれい好きだったのに最近は部屋がごちゃついています。どこに何があるかわからない状態なんです。それも認知症のせいだったんだ…。 そうなんです。はじめにお伝えしたように、「物がなくなった」と言われてもお母様の言葉を否定するのはNGです。否定をせずに受け止めることは大変かもしれませんが、認知症の進行を抑えるためにも試してみてください。 なくしものをしたときに、怒ったり否定するのはNG 本人が自分でみつけられるように、一緒に探してみて 認知症によって記憶障害が起こったり注意力が低下することでなくしものが増える pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/02/21

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認知症の母親が同じ話を繰り返してイライラ…。つい「うるさい!」と怒鳴ってしまいます

認知症の母が何度も同じ話を繰り返すので困っています。しょっちゅう「今、何時?」と聞いてきますし、母の若い頃の話を何度も何度も繰り返すんです。数え切れないくらい聞いている話なので、段々とイライラしてきて「うるさい!前にも聞いたよ」と怒鳴ってしまいました。 「認知症だからしょうがない」とは思っているのですが、忙しいときに話をされるといらだってしまって…。同じ話を繰り返すときにはどう対応したら良いんでしょうか? (荒井さん・パート・64歳) 介護や仕事、家事などで忙しいとついイライラしてしまいますよね…。ただ、認知症の人の言葉を否定してしまうのはNGなんです。同じ話を繰り返すときは言葉をオウム返ししたり、はじめに質問されたときと同じように答えることが効果的です。また、繰り返す話の中にご本人の不安や不満が隠されているときがあります。なので、その不安や不満を解決することで同じ話を繰り返すことが減るかもしれませんよ。 認知症の人が同じ話を繰り返すときはどうしたら良い? 認知症の母が何度も同じ話を繰り返すので困っています。「今、何時?」「今日は何月何日?」と質問されるのはしょっちゅうのことですし、亡くなった父との思い出話も何十回と聞かされました。なので、ついイライラしてしまって「うるさい!」「さっき答えたでしょ」と言い返してしまい、毎日のように口論になります。でも、いい加減、母の話に対応するのに疲れました…。同じ話をされたときの良い対応法ってあるんでしょうか? 介護や仕事が忙しいとイライラしてしまいますよね…。ただ、認知症の人との接し方として、「さっき答えたでしょ」や「同じ話を何度も聞いたよ」と相手の言葉を否定するのはNGなんです。 えっ?なんでですか? 認知症の人の多くは、自分でできることが減っていることで不安を感じています。なのに、そのうえ自分の考えを否定されてしまうと、さらに不安が強くなってしまうんです。認知症の人の中には、不安から自分を守るために大声で怒鳴り返したり、常に怒っている人もいます。また、自分の言葉を否定されるので心を閉ざしてしまい、信頼関係が壊れることもあるでしょう。さらに、強い不安によるストレスから認知症が進行してしまう可能性まであるんです。 そうなんですか!?そういえば、最近、母の認知症が悪化しているような気がします…。 ですので、認知症の人には適切な対応をすることが大切です。例えば、お母様が同じ話をしたときに以下のような対応をしてみるのはどうでしょうか? 初めて尋ねられたときと同じように答える オウム返しをする 意識をそらす やっぱり、「初めて尋ねられたときと同じように答える」のが適切な対応なんですね。イライラしてしまうので、これまでできていなかったです…。 忙しいとなかなか難しいですよね…。認知症の人は数時間前の出来事でも忘れてしまうことがあります。なので、ちょっと前に会話したことも忘れてしまうんですね。お母様のケースだと、「今日は何月何日?」と聞いたことを忘れてしまっているのかもしれません。ですので、「今日は◯月◯日だよ」と、最初に答えたのと同じように答えることを意識してみましょう。 簡単なことなんですけど、心に余裕がないと難しそう。できるだけ、心がけてみます。 もっと気軽にできるのが、”オウム返し”をすることかもしれません。例えば、「昔、お父さんと映画に出かけたんだよ」と何度も話すのであれば、「お父さんと映画に出かけたんだね」とオウム返しをするんです。言葉を繰り返すだけですが、「私の話をちゃんと聞いてくれている」と安心できるので、お母様の不安感も和らぐと思いますよ。 オウム返しですか…。それだけなら、まだやりやすいかも。 最後の「意識をそらす」はちょっと工夫が必要なので、余裕があるときに試してみてください。具体的には、「今日は何月何日?」と聞かれたら、「今日は◯月◯日だよ。もうすぐ冬至だけど、昔はどんなことをしていたの?」などと違う話題を振ってみるんです。すると、「今日の日付がわからない」という不安から意識をそらせるので、楽しく思い出話ができるかもしれません。 なるほど!そういう手があったんですね。全く思いつきませんでした。 イライラを減らすには? どうしても同じ話をされるとイライラしてしまうんですよね。イライラしないための方法はありませんか? そうですね…。先ほどお話しした対応法ができるのが理想的ですが、気持ちや時間に余裕がないと適切な対応をしようとすること自体にもイライラしてしまいますよね。そこでイライラを軽減するために、毎回お母様の話を真剣に受け止めるのではなく、たまには受け流しても良いと私は思います。 えっ?受け流して良いんですか? ええ。毎回しっかりと話を聞いていると荒井さんが疲れてしまいますよね。なので、「そうなんだね」などの軽いリアクションだけのときもあって良いと思います。ただ、そっぽを向いて軽いリアクションをしてしまうと、自分がないがしろにされているようにお母様が感じてしまう可能性があります。なので、顔をお母様の方に向けてリアクションしてくださいね。 認知症の人が同じ話を繰り返す原因は? 母が同じ話をするのは、おそらく認知症が原因なんですよね?なんで認知症になると同じ話を繰り返すようになるんでしょうか? いくつか理由があります。その中でも「記憶障害」「見当識障害」が主な理由だと考えられます。まず、記憶障害とは記憶がなくなることや記憶ができなくなることです。特に、認知症の人は直近の出来事をその出来事があったこと自体も忘れてしまうことが特徴。具体的には、食事の内容だけでなく食事をしたこと自体を忘れてしまうのが認知症の記憶障害なんです。 記憶障害とは 記憶障害はもの忘れとよく混同されますが、記憶障害ともの忘れは根本的に異なります。もの忘れは「何かを忘れている」ことは理解できますが、記憶障害になると、忘れているという記憶すらなくなるのです。 例えば、普通のもの忘れであれば会う約束の時間をうっかり忘れてしまっても、指摘されると思い出すことができます。しかし、記憶障害になると約束したこと自体もすっぽりと記憶からなくなってしまうのです。 例)失われやすい短期記憶 数時間前に会った人の名前 何を買うために外出したか 何を話そうとして電話したか 例)保たれやすい長期記憶 子供の時の思い出 昔の楽しかった出来事 思い出の旅行 手続き記憶 認知症になると大脳が損傷されて記憶障害が起きますが、運動機能の調節を司る小脳に影響はありません。認知症でも身体機能を正常に動かすことができれば、昔からおこなってきた動作を忘れることはありません。 すぐにできなくても、きっかけや少しの練習があればすぐに思い出すことができます。このような記憶を「手続き記憶」と呼びます。自転車の乗り方や泳ぎ方など。身体で覚える記憶は、一度覚えていれば認知症でも忘れることはありません。 手続き記憶を呼び起こすことで、認知症の人の能力を引き出して自信をもたせることができます。 エピソード記憶 エピソード記憶は、個人が体験した今までの経験に基づくもので、時間と場所、そのときに一緒だった人や、そのときの感情の記憶です。 一般的な知識や常識などに関する意味記憶の反対にあるもので、極めて個人的な記憶なので、アルツハイマー型認知症になると比較的初期段階で忘れられやすくなります。 じゃあ、母は父との思い出話をしたこと自体を忘れてしまっているんですね。 おっしゃる通りです。話したことをすっかり忘れているので、「その話は何度も聞いたよ」と言われても理解ができないんですね。 それに、認知症の人は常に「何か大切なことを忘れているかもしれない」という不安を感じている人が多いんです。記憶障害が日常生活に悪影響を与えている場合、「大切なことを忘れて家族に迷惑をかけているかも」と感じていることもありえます。 なので、何度も同じことを質問して不安を解消しようとしていると考えられます。 なるほど…。 もう一つの見当識障害というのは何ですか? 見当識障害は、自分がいる場所や現在の時間がわからなくなることです。自宅が自分の家だとわからなくなったり、朝や夜の感覚もなくなります。 見当識障害とは 見当識障害とは、今、自分がいる時刻や日付、場所、周囲の環境などを総合的に判断する能力が失われる障害です。アルツハイマー型認知症になると、記憶障害に続いて見られる症状です。 見当識障害には「時間の見当識障害」「場所の見当識障害」「対人関係の見当識障害」の3つの種類があります。まず最初に症状としてあらわれるのが時間の見当識障害と場所の見当識障害です。症状が進行すると対人関係の見当識障害も目立つようになります。 時間の見当識障害 昼か夜かわからなくなる 今日が何月何日かわからなくなる 自分の年齢がわからなくなる 時間の見当識障害が起きると時間の感覚が失われていきます。日付や曜日の間違いはもの忘れの範囲ですが、症状が進行すると季節や朝昼夜の区別も難しくなります。 場所の見当識障害 自宅への戻り方がわからなくなる 家の中でトイレやお風呂の場所がわからなくなる 場所の見当識障害が起きると、今まで普通に通っていた場所やその道順があやふやになります。目的地の建物が認識できなかったり、どこで曲がるのかわからなくなって道に迷います。迷ったことで焦りやパニックを起こして、さらに遠くに行ってしまう危険もあります。 対人関係の見当識障害 自分の孫を自分の子供だと思い込む 家族のことを他人と認識する 自分の名前や過去を忘れてしまう 認知症の症状が進行して短期記憶だけではなく過去の記憶も失われ始めると、対人関係の見当識障害もあらわれるようになります。家族や近い友人もわからなくなって、自分と他者との関係性もあいまいになります。 だから、母は日付や時間を1日に何度も聞いてくるんですか? その可能性があります。それに、見当識障害によっても不安を感じることがあります。「今、自分がどこにいるか」「朝なのか夜なのか」がわからないと、誰しも不安に感じますよね。   そういう理由で、お母様は何度も日付や時間を確認しているのかもしれません。 母はたくさん不安を感じていたんですね…。 おそらく、そうだと思います。 何回も質問することや話を繰り返す内容が、お母様の不安や不満を表している可能性もあります。なので、その不安や不満を解消することで、同じ話を繰り返すことが減る可能性もありますよ。 そうなんですか? はい。例えば、お母様の目に付きやすい場所に時計やカレンダーを置いてみるのはどうでしょうか。 そうすれば、時間や日付がわからなくなったときでもすぐに自分で確認できますから、荒井さんに質問する回数が減るかもしれません。 なるほど!それは良いですね。家に帰ったらやってみます。 何度も同じ話を聞くとイライラしてしまいがちですが、それが不安の理由を知るきっかけになることもあります。余裕があるときだけでもお母様の話に耳を傾けてみてください。 認知症の人が同じ話を繰り返すときは、否定せずに耳を傾けよう ときには話を受け流してもOK。イライラを軽減しよう 記憶障害、見当識障害などによる不安が話を繰り返す原因に pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/02/02

認知症対策 在宅介護 認知症介護 レビー小体型認知症

認知症の父親が幻聴が聞こえているようです。どう対応したら良いですか?

認知症の父親が、ときおり誰かと話している様子があり、どうしたら良いかわかりません。それに私にも「夜になると知らない人の声が聞こえる」と相談してくることもあります。 これも認知症のせいでしょうか?どう対応したら良いか、教えてください。 (永田さん・パート・63歳) もしかしたら、認知症の症状のひとつである「幻聴」が現れているのかもしれません。幻聴が聞こえている様子があったら、お父様の言葉を否定するのはNG。まずは、安心できる声掛けをしてみましょう。具体的には、「知らない人は追い払っておいたよ」というような幻聴に寄り添う声掛けが良いでしょう。また、お父様のお話をよく聞いてみると、幻聴の原因となっている要因がわかるかもしれません。 認知症による幻聴にはどう対応する? 認知症の父親を自宅で介護しています。最近、誰かと会話しているような独り言を言うようになりました。それに、「夜になると、誰かに悪口を言われているのが聞こえる」と言うことも。もちろん、私にはそんな声は聞こえないですし、どうしたら良いかわかりません。 もしかして、お父様はレビー小体型認知症ですか? そうです。それが関係しているんですか? そうなんです。幻聴を含めた幻覚は、レビー小体型認知症の代表的な症状のひとつです。レビー小体型認知症は、脳内に「レビー小体」という物質が現れて神経細胞が破壊されることで発症する認知症。幻覚や、手足の震えなどを伴う「パーキンソン症状」が出るのが特徴です。 そうしたレビー小体型認知症の症状のひとつである幻覚は、現実にはない感覚を見たり聞いたりすること。「幻視」「幻聴」「幻味」「幻臭」など、視覚や聴覚以外でも幻の感覚を作り出してしまうんです。 幻聴の症状は 父の「誰かに悪口を言われている」というのが、レビー小体型認知症による幻聴かもしれないんですね。 そうです。他にも「知らない人の声が聞こえる」といった症状や、幻視も併発して亡くなったはずのご家族と会話するケースもあります。中でも、「悪口が聞こえる」のは幻聴の症状でも多く見られる症状ですね。 幻聴への対応法 幻聴が聞こえている様子の父に、どうやって対応したら良いでしょうか?「そんな声は聞こえないよ」と何度も言っているのに、父は「誰かが俺の悪口を言ってる!」と頑なになってしまって…。 どうしても、お父様にしか聞こえていない声なので否定したくなるのですが、お父様の言葉を否定するのはNGなんです。 えぇ!なんでですか? 幻聴は、周りの人には聞こえませんが、お父様にとっては確かに聞こえている声なんです。なので、それを否定してしまうと「わかってくれない」と不満に感じてしまいます。自分には確かに聞こえている声が「そんな声は聞こえないよ」と言われてしまうと、ストレスに感じてしまいますよね。ストレスが大きくなると、興奮して暴れてしまうこともあります。精神的ストレスは、認知症を進行させるきっかけのひとつでもありますから、お父様の言葉に寄り添って安心できる声掛けをしていきましょう。 「安心できる声掛け」って、具体的にはどんなものですか? 例えば、「誰かの声が聞こえる」と言われたら、「もういなくなったから大丈夫だよ」と答えてみてください。返答する前に「誰かいないか見てくるね」と、周囲を見回りに行くフリをしてみても良いでしょう。また、ご本人と一緒に確認しに行くのも効果があることがあります。お父様と一緒に部屋の外や家の周りを見回ってみて、誰もいないことを確認すると納得してくれるかもしれませんよ。 父の話に合わせるのが良いんですね。 そうなんです。また、同時にお父様の訴えによく耳を傾けてください。幻聴はストレスや不満が原因となっていることもあります。よく話を聞くことで、具体的な原因をつきとめるきっかけをつかめるかもしれませんよ。 話をよく聞く、ですか…。最近は忙しくて父と話をきちんとしていませんでした。 介護やお仕事があると、どうしても忙しくて時間や気持ちの余裕がなくなってしまいますよね。ちょっとした時間でも良いので、お父様と話をする時間を取ると症状が改善する可能性がありますよ。それと、騒音がない環境を整えるのもひとつの手。テレビやラジオなどの声が幻聴の引き金になっていることもありますので、静かな環境を整えてみてください。 幻聴以外にもこんな症状が出ることも レビー小体型認知症では、幻聴に似た症状が出ることもあります。その代表的なものが「幻視」「錯視」です。幻視は、実際にはない物が見えること。具体的には「庭に知らない人が立っている」「亡くなった家族が遊びに来る」といったケースがあります。 父が壁に向かって話しかけていることがあるのですが、それは幻視を見ているのでしょうか? その可能性はあります。実際にはいない人の姿が見え、声が聞こえているのかもしれません。また、錯視というのは、現実にあるものが別のものに見えているパターン。例えば、壁紙の模様が虫に見えたり、クッションが犬に見えることもあります。 そういうこともあるんですね…。 幻視や錯視についても、幻聴と同じように見えているものを否定しないでください。不安感やストレスを感じ認知症の症状が悪化してしまう可能性があります。なので、まずはお父様の言葉をよく聞くことが大切。お父様がどんなことに不安を感じているのかを知って、安心できる声掛けをしてくださいね。 幻聴はレビー小体型認知症が原因になることが多い 認知症による幻聴に対して否定はNG。安心できる声掛けを 他にも幻視や錯視などの症状が出ることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/01/18

認知症対策 在宅介護 認知症介護

父親が認知症になってからプライドが高くなり、言うことを聞いてくれません。介護拒否があって困っています。

プライドの高い父、認知症になってからさらにプライドが高くなって困っています。認知症になってトイレを失敗することが増えたのに、私に手伝わせようとしません。手伝おうとすれば「1人でできる!」と怒鳴るんです。 1人ではできないのに介助を拒否するので、いつも言い合いになってとても疲れます。どうしたら良いでしょうか? (熊谷さん・パート・65歳) 認知症になると、判断力や抑制力が低下して感情をコントロールできなくなることがあります。そのため、以前は「プライドを傷つけられた」と感じないようなことでも、すぐに怒りを感じて怒鳴ってしまうのです。なので、プライドを傷つけない声掛けが重要。「1人ではできないから手伝うよ」といった言い方をしてしまうと、プライドを傷つけてしまうことがあるので要注意です。お父様ができることはなるべくご自身でやってもらい、できないところだけ手助けするなど、お父様が尊厳を保てるような介助を心がけてみてください。 プライドが高い認知症の人への対応は? 認知症の父が、プライドが高くて介護を拒否するのでとても困っています。特に困っているのがトイレ。最近、トイレを失敗することが増え、汚れた下着をタンスの奥に隠すようになりました。汚れた下着を後で片付けるのが大変なので、父がトイレに行くときに手伝おうとすると「1人でできる!」と怒鳴って拒否…。それが毎日のことなので私もイライラしてしまい、いつも言い合いになってしまうんです。認知症になって1人でできないことが増えているのに、プライドが高くてそれが認められないみたいで…。父が素直に私の介護を受けてくれるにはどうしたら良いでしょうか? それは大変ですよね…。野田さんの負担も大きいと思います。ちょっとした言い方で、認知症の人の介護は、スムーズにできるか・できないかが大きく変わります。中でも認知症の人のプライドを傷つけてしまうような言い方をすると、介護拒否につながることもあるんです。 「プライドを傷つけてしまうような言い方」ってどんな言い方ですか?そんな言い方はしていないと思うのですが…。 例えば、「1人ではできないから手伝うよ」といった声掛けをしてしまうと、プライドを傷つけてしまう可能性があります。ときには大声で怒ったり、介護拒否されてしまうことも…。 それ、言っちゃっているかも…。「お父さん、1人じゃできないでしょ」と言ったら、「手を出すな!」と拒否されたことがあります。あれもプライドを傷つける言い方だったんですね。 良かれと思っていることでも、言葉の選び方でプライドを傷つけてしまうことがあるんですよね…。また、介護に疲れて余裕がないと、「何回言ったらわかるの」「何をやってるの!」ときつい言い方になってしまうこともあるかもしれません。そういう声かけもプライドを傷つけることがあるので、避けた方が良いでしょう。 それもよく言ってしまっています…。では、どうすればプライドを傷つけないんでしょうか? 例えば、家庭の中で役割を持ってもらうのはどうでしょうか?今のお父様ができる範囲で良いので、家事の手伝いをしてもらうとプライドが保たれて関係も良好になるかもしれません。具体的には、「食後にお皿を下げる」「洗濯物をたたむ」といったこと。ちょっとしたことでも、役割があることで尊厳が保たれて生きがいのある暮らしを送れるようになります。 そんな簡単なことで良いんですね。 加えて、お父様が自発的にやろうとしたことを奪わないことも大切です。例えば、お父様が自分から部屋の片付けをしたり、庭の手入れをしようとしたとします。そのときに危険だからと頭ごなしにその仕事を奪うのはNG。プライドが傷つけられて反発し、言い合いの種になりかねません。 え!そうなんですね!このあいだ、父がハサミで庭の植木を手入れしようとするので、「余計なことはしないで!」と叱ってしまいました。父がハサミで怪我をして以来、刃物は持たせないようにしていたんです。やっぱりそのときも「自分の庭をいじるのが何が悪い!」と怒鳴って、勝手にハサミで植木を剪定していましたが…。 1人だと危険なこともあるので言い方が強くなってしまいますよね…。「今度、剪定の仕方を教えて」など、やわらかい言い方で止める方が良かったのかもしれませんね。あと、尊厳を守るためには「できないことだけ手伝う」ことも重要。どうしても介護が忙しいとすべて介助してしまいがちですが、そうするとプライドが傷つけてしまうことがあります。着替えの手伝いであれば「ボタンをかけるだけ」「入浴の介助では背中と頭を洗うのだけ」を手伝うといった最小限の介助を心がけることも大切です。 認知症になってプライドが高くなったのはなぜ? 父は認知症になる前からプライドが高い人だったんですが、認知症になってからさらにプライドが高くなったような気がします。認知症になるとプライドが高くなりますか? はい。認知症の影響でプライドが高くなることはあります。というのも、認知症によって判断力や抑制力が低下し、感情のコントロールが難しくなるから。以前はプライドが傷つけられても怒りを抑えられていたのが、認知症の影響で抑えられなくなっているんです。 そうだったんですね!認知症になったことを認められず、意固地になっているのかと思っていました。 そういう面もあるかもしれません。認知症になると自分でできないことが増えていきます。でも、誰しも「自分は何もできない」と思いたくはないですよね。お父様は、できないことが増えていく不安を感じているはずです。でも、それを認めたくなくて、汚れた下着を隠すなどの行為をしている可能性もあります。誰かに自分の失敗を見せるのは恥ずかしいものですからね。 父は認知症になって不安を感じているんですね。 きっとそうだと思います。でも、認知症になったからと言って、その人が持っているプライドが失われるわけではありません。なので、行動や言動を否定してしまうと、大きなストレスを感じてしまいます。ストレスは認知症の症状の悪化の原因のひとつですから、プライドを傷つけることで認知症が悪化する可能性も。となると、介護する人にとっても介護の負担が大きくなるので、介護する人・される人の双方にとって良くない状態になりかねません。認知症は発症したからといってすべて手伝ってしまうのではなく、お父様の尊厳を守りながら介護していけるのが理想ですよね。 認知症の人の言葉や行動を否定するのはNG 認知症になると判断力や抑制力が低下するのでプライドが高くなることがある プライドを傷つけることで認知症の症状が悪化してしまうことも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/01/11

認知症対策 施設入居 在宅介護 認知症介護

在宅介護でゆっくり眠れない…。母が夜中に起きるので、私も睡眠不足になって困っています。

認知症の母が夜に起きてくるので、ゆっくり眠れなくて困っています。母は家の中をうろうろしていたりして眠りません。 何かあったら困るので私も一緒に起きているため、常に睡眠不足です。でもいつ母が起きてくるかと思うと目が冴えてしまって眠れません。何か良い方法はないでしょうか? (熊谷さん・パート・65歳) それは大変な状況ですね…。日中の活動量が減っていることで寝付きが悪くなっている可能性があります。昼間に散歩や買い物などの外出する機会を増やしたり、趣味活動をするなど、活動をする時間を増やしましょう。それでも熊谷さんの睡眠時間が確保できない場合は、在宅介護を続けるのが厳しい状況と思われますので、在宅介護サービスの量を増やしたり施設に入居することを検討してみてください。 在宅介護で眠れない原因は… 在宅介護のために眠れなくて困っています。最近、認知症の母が夜中に起きて家の中をうろうろするようになり、万一のことがあるといけないので一緒に起きています。何度も「寝よう」と声をかけるのですが、眠れないようです。万が一のことが心配で私も一緒に起きているので、常に睡眠不足です。それに、母が起きてくるかも、と思ったら私も寝付きが悪くなってしまいました。どうして母は夜中に起きるようになってしまったんでしょうか? ご高齢者が眠れなくなる原因は、主に以下のようなものがあります。 夜間のトイレの回数が多い 日中の活動量が少ない 睡眠環境が整っていない ご高齢者の不眠の原因で多いのが”トイレ”です。トイレに行きたくて目が覚めてしまったり「失禁してしまうかも」と不安になることで眠れなくなるケースが増えるんです。歳を重ねると膀胱の働きが低下して尿を溜められる量が減ってしまうので、トイレの回数が増えることは珍しくありません。が、夜にトイレに何度も行くのは睡眠不足につながるので、困りものですよね…。 本当にそうなんです!うちの母も夜に何度もトイレに行くんですよ。でも、認知症の影響で1人ではトイレに行けないので、私がトイレまで連れて行って介助をしないといけません。夜中に何回も付き添わないといけないので、ゆっくり寝ていられなくて…。 それは大変ですね…。また、「日中にしっかり活動できているか」が夜の睡眠状況に影響を与えることがあります。夜の睡眠状況が悪い高齢者は、日中にうとうとしているケースが多くあります。そして、昼寝をしているために夜に眠くなくなってしまって、夜の睡眠状況が悪くなる…といった悪循環が起きているんです。認知症の影響で昼夜が逆転してしまったケースのご質問も過去にお答えしています。そちらもぜひ参考にしてみてください。 言われてみれば、このところテレビを見ながらうとうとしていることが増えたような気がします。それに「眠い」と言って、部屋からほとんど出ない日もありますし…。 そうなんですね。昼間にほとんど活動しないと、夜に眠気が来なくなります。特に部屋にこもりっぱなしだと、日の光を浴びないので体内時計が乱れますし、身体を動かさないので疲れませんよね。体力を使わない日が増えると寝付きも悪くなりますから、昼間の活動量は意外と大切なんです。 なるほど、そうだったんですね。その次の「睡眠環境が整っていない」とはどういうことですか? 睡眠に大きく影響するのが部屋の明るさ。寝るときに部屋が明るいのは、眠りの妨げになります。ちなみに、お母様は寝るときに照明をすべて消していますか? いえ、小さな明かりだけは付けています。部屋を真っ暗にすると、夜にトイレに行くときに足元が見えなくて危ないので。 できれば、寝るときは真っ暗にすることが理想です。小さな明かりでも眠りの妨げになってしまっている可能性があります。それと、温度や湿度も大切。特に認知症の人は、「寝苦しい」と感じていてもそれをうまく表現できないこともあります。なので、部屋の温度や湿度、寝具の厚さなどが眠りやすい状況になっているかどうか、定期的に確認してみてください。 在宅介護で眠れないときの対策は 母が眠れない理由について、なんとなくわかったような気がします。でも、どうしたら夜に寝てくれるんでしょうか?いつ母が起きてくるかわからないので、気が張ってしまって私もよく眠れないんです。ちょっとした物音で起きるようになってしまいましたし…。 よく眠れないのはつらいですね…。では、お母様が少しでも眠れるようにいくつか方法をお伝えしますね。夜間に眠れないときの対策には、次のようなものがあります。 夜のトイレの回数を減らす工夫をする 日中の活動量を増やす 睡眠環境を整える 夜間のトイレの回数を減らすには、「カフェインを避ける」「寝る前の水分を減らす」「寝る前にトイレに行く」などの対策がとれます。まず、カフェインには利尿作用があります。緑茶やコーヒー、紅茶などにはカフェインが含まれていますので、夕方以降は飲まない方が良いでしょう。またカフェインには睡眠を妨げる効果もあるので、睡眠状態を良くするためにも夕方以降は避けてください。 母は緑茶が大好きなんですよね。いつも飲むのは緑茶です。それも夕方以降は減らした方が良いんですね。 次に、寝る前の水分を減らすことも有効でしょう。やはり寝る直前に水分を摂っていると夜中にトイレに行きたくなりますから。ただ、ご高齢者は水分をあまり摂らないことも多いので、昼間は積極的な水分摂取を意識してくださいね。当たり前のことですが、寝る前にトイレに行くことも大切。認知症の人の場合、ご自分ではトイレに行くのを忘れてしまうこともありますので、「寝る前にトイレに行っておこう」と声掛けしてください。 そうだ、さっき「日中にしっかり活動できているか」が夜の睡眠に影響していると言っていましたよね。どうしたら、昼間の活動量を増やせるんでしょうか? 趣味の活動や買い物などの外出の時間を増やしてみるのはどうでしょうか?お母様が好きなことであれば何でも大丈夫ですよ。特に、身体を動かしたり誰かとコミュニケーションを取る時間を増やすのが効果的とされています。なので、デイサービスに参加してレクレーションをしたり、他のご利用者とおしゃべりする機会を作るのも良いかもしれません。 デイサービスは、週3回、利用しています。楽しそうに通っていますし、増やしてみても良いですね。 それは良いですね!また、睡眠環境については先ほどお話しした通り、部屋を暗くするのが大切です。なので、トイレに起きるときに真っ暗だと危険な場合は、足元だけ照らすライトを利用すると安全を確保できるでしょう。また、外の光が差し込んでしまう場合は遮光カーテンにするのが効果的。できるだけ、睡眠中に光を感じないような工夫をしてみてください。 在宅介護の負担を減らして良い睡眠を いくつかお母様が眠れるような方法をお伝えしました。しかし、今後、オムツ交換の介助などの夜間の介助が必要になることもあるかもしれません。そうなると、熊谷さんの負担はさらに大きくなる可能性があります。あまりに負担が大きいと、「介護疲れ」が原因で熊谷さんが体調を崩してしまうかも。そうならないように、今から介護の負担を軽減する工夫をして睡眠時間を確保しましょう。 今もすでに睡眠不足でつらいのに、もっとつらくなるかもしれないんですね…。その「介護の負担を軽減する工夫」とはどんなものなんでしょうか? そうなんですね!介護サービスにはいろんなものがあってややこしいので、次のリストにまとめてみました。在宅介護サービスについては、以下のご質問でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 デイサービス ショートステイ 短期入所療養介護 小規模多機能型居宅介護 福祉用具レンタル へぇ!在宅介護サービスってこんなに種類があるんですね! そうなんです。特に、訪問介護には夜間も対応している事業所もありますし、ショートステイは宿泊サービスなので宿泊期間は施設に介護をすべて任せられます。うまく活用できれば、夜間の介護の負担を減らせると思いますよ。今も熊谷さんの負担が大きい状況のようなので、早めにケアマネジャーさんに相談してみることをおすすめします。 そうですね。もうすぐケアマネジャーさんとの面談があるので、そこで相談してみます。 在宅介護サービスを活用していても介護を続けるのに限界を感じたら、介護施設に入居することも検討した方が良いでしょう。ちなみに、介護施設には以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院 養護老人ホーム ケアハウス 介護施設もたくさん種類があるんですね! 施設によっては人気で入居までに時間がかかる場合があります。費用が安くて人気の特養の中には、入居申し込みしてから入居までに2年以上待つこともあるそう。空室がなくて希望の施設にすぐに入れないこともありますので、余裕のあるうちに施設探しをすることをおすすめします。なので、在宅介護サービスを活用して自宅での介護を継続しつつ施設探しをして、入居の順番が来たら老人ホームに入居するのが理想的な流れですね。もし、施設探しでお困りのことがあったら、お気軽に「いい介護 入居相談室」までご連絡ください。介護施設に詳しい入居相談員がご希望に合った施設をお探ししますよ! 高齢者が夜間に眠れないのは、トイレの回数の増加や昼間の活動量の減少が原因かも 高齢者の不眠には、利尿作用のあるものを避けたり、日中の活動量を増やすのも効果的 介護サービスを利用して介護の負担を減らすことが睡眠時間の確保につながることも pre { ...

2023/01/10

認知症 在宅介護 介護疲れ

怒りっぽくなったのは認知症の初期症状のせい?母親がすぐ怒るのはなぜですか

最近、介護をしている母が怒りっぽくなったような気がします。母は認知症になってから物忘れが多くなり、半日前に話したことも忘れてしまいます。それを指摘すると「そんなことは話してない!」と怒鳴り出すんです。 母が認知症とわかってから段々、怒りっぽくなってきたように思うのですが、認知症になると怒りっぽくなることがあるのでしょうか? (内藤さん・会社員・60歳) はい。認知症の初期症状で怒りっぽくなることがあります。認知症になると、これまで何気なくできていたことができなくなったり、周囲の状況が理解できなくてストレスに感じることが増えていきます。そのいらだちをご家族にぶつけてしまうのかもしれません。なので、そういうときはお母様の言葉や行動を否定せず、まずはよく話を聞いて怒りに共感してみましょう。話を聞いているうちに、いらだっている原因がわかるかもしれません。ただ、あまりにも興奮して暴言を吐いたり、暴力を振るうような状態であれば、一度、距離をおいて落ち着くのを待ちましょう。 なぜ認知症で怒りっぽくなる? 同居している母がちょっとしたことで怒るので、毎日それに振り回されて疲れました。昔は快活で笑顔の絶えない人だったのに、今は少し注意しただけでものすごい勢いで怒鳴り出します。認知症の診断を受けた先月くらいから怒りっぽくなったような気がするのですが、もしかして認知症の症状だったりするんでしょうか? うーん、その可能性はありますね。というのも、認知症の初期症状のせいで性格が変わってしまったかのうように、怒りっぽくなる人は珍しくないんです。 やっぱり!でも、なんで認知症になると怒りっぽくなるんですか? まず、脳の感情をコントロールする機能が低下していくことが原因として挙げられます。通常、怒りを感じることがあっても脳の感情を制御する機能のおかげで、怒りを爆発させずに済みます。ですが、認知症になるとその他の脳の機能と同じように感情を制御する機能が低下してしまうので、ちょっとしたことでも感情を爆発させてしまうんですね。 そうなんですね。認知症になって低下するのは、記憶する力だけじゃないんだ…。 認知症の初期症状とは 認知症の初期症状は、認知症の種類によっても異なりますが、「もの忘れ」がきっかけとなり気づくことが多いようです。 また、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力・判断力の低下も、比較的初期からはじまります。これにより、これまでできていたことができなくなくなったり、精神的に混乱するなどのさまざまな兆候が現れます。 ここからは、認知症のサインとなる症状を紹介します。 もの忘れ 少し前の出来事をすぐに忘れてしまう同じことを何度も聞いたり話したりする置き忘れやしまい忘れが増え、いつも何かを探している約束をすっぽかしたり、約束をしたこと自体を忘れてしまう人やものの名前が出てこなくなり、「あれ」や「それ」で指すことが増える同じものを何度も買ってきてしまう 時間や場所がわからない 今日の日付が言えなくなったり、今の季節がわからなくなる普段から通っている道でも迷ってしまう過去の出来事がどれくらい前のことなのかわからなくなる 理解力・判断力の低下 役所の手続きやATMでのお金の出し入れができなくなるテレビドラマの筋が途中でわからなくなる運転ミスが増えたり、事故を起こす 仕事や趣味、身の回りのことができない 仕事や趣味の段取りが悪くなったり、時間がかかるようになる料理の手順がわからなくなったり、味付けを間違える季節に合わせた服装を選べなくなる家電の使い方がわからなくなる入浴の仕方や服を着る順番がわからなくなるトイレが間に合わないことが多くなる 精神的混乱や落ち込み 一人になるのを不安がったり、怖がったりする趣味などの好きなことにも興味が持てなくなり、ふさぎこんだり、何をするにもおっくうがるイライラしたり怒りっぽくなる存在しない人やものを見えると言う自分のものを盗まれたと疑う目的があって出かけても、途中で目的がわからなくなり混乱する 認知症になると、記憶障害に加えて、自分が今いる場所や時間がわからなくなる「見当識障害」などさまざまな症状が現れます。すると、これまで普通にできていたことが急にできなくなったり、できないことを誰かに指摘されることが増えていきますよね。それによって自尊心が傷つけられたり、できないことが増えていく苛立ちを感じるようになるんです。 「できないことが増えていく苛立ち」ですか…。 周囲の人も親切心から「これはできないから手伝おうか」と声をかけますよね。すると、それが引き金となってそれまで溜まっていた苛立ちが爆発してしまう…ということもあり得るんです。 あぁ!それは思い当たります。身体を洗い忘れたり髪の毛のシャンプーを流し忘れたりすることがあったのでお風呂を手伝おうと声をかけたら、「1人でできるから手を出すな!」と怒鳴られてしまいました。手伝おうとすることで母の自尊心を傷つけていたんですね…。 そうですね。もしかしたら「1人でできないと思われている」と感じてしまったのかもしれません。また、自分の体調不良をうまく表現できなくて怒っていることもあり得ます。 体調不良で怒っているんですか? 認知症が進行すると、身体の痛みや発熱、便秘などで身体に不調があってもそれを自分で理解できなくなることがあるんです。通常だと「腰が痛むから湿布を貼っておこう」「熱っぽいから早めに寝よう」と、自分の体調不良を正確に感じて、それに対応できますよね。でも、認知症の人は「腰が痛い」「熱っぽい」といった感覚を的確に把握できず、でも不快なので怒りに転換してしまうことがあるんです。 そんなこともあるんですね!知らなかった…。 つまり、認知症になると怒りっぽくなるのは、精神的・肉体的ストレスをうまくコントロールできなくて、怒りとして発散している、と言えますね。 認知症で怒りっぽくなったらどうすれば良い? 母が怒りっぽくなった理由がなんとなくわかって少し安心しました。だからって母の対応をするのが疲れるのは変わりません。何か良い方法はありませんか? まずは、お母様の話をよく聞いてあげることが大事です。 聞いてますよ!でも、何度も同じ質問をしてきたり、とんちんかんなことばかりしゃべるので聞いているこちらがイライラしてきてしまって…。 内藤さんのお気持ちはわかります。ただ、おそらくお母様は認知症の症状が進行して、とても不安な状態です。不安やストレスを軽くするには、話をよく聞いて怒りの感情に共感してあげることが大切です。介護やお仕事で疲れているとその余裕がなくなりがちですが、共感して話を聞いていく中でお母様が不安に感じている原因がわかるかもしれませんよ。ただ、お母様ご自身も怒っている原因がわかっていない可能性があるので、怒っている理由は問い詰めないようにするのも重要です。 なるほど…。先日、怒る母に「なんでそんなにすぐ怒るの」と怒鳴り返してしまったことがありましたが、良くないことだったんですね。 介護で疲れていると、冷静に対応する余裕がなくなることもありますよね…。もし、内藤さんの余裕が全くなくなってしまったり、お母様が興奮しすぎて暴言や暴力が見られるときは、一時的に距離を置くこともひとつの手です。別の部屋に移動したりして、物理的に離れるとお互いに気持ちが落ち着くと思いますよ。 確かに…。今度、イライラしたら別の部屋に離れてみようと思います。 もしかしたら、それでも疲れやストレスが溜まっていることもあるかもしれません。そういうときは、短期間の宿泊ができる介護サービスの「ショートステイ」を利用して”介護休み”を作っても良いかもしれません。どうしても、介護を受ける側の体調や生活が優先されてしまうことが多いのですが、それで介護する人が倒れてしまってはいけません。なので、たまには休みを作りながら介護を続けていってくださいね。 脳の機能が低下することで怒りっぽくなることがある 認知症になって自分を否定されることが増えて怒りにつながることも 怒りだしても否定するのはNG。まずは話をよく聞いて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/01/06

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の母親が夕方になると「家に帰ります」と自宅から出ていこうとします。どうしたらやめさせられますか?

同居している認知症の母を在宅介護しています。母は日中はテレビを見たりしておとなしいのですが、夕方になると決まって「夕飯を作らないといけないので、家に帰ります」と言って、自宅から出ていこうとします。 一人で外出して迷子になったことがあるので、母を止めると「助けて!」と大声で叫ぶこともあって…。どうしたら外出しようとするのをやめさせられますか? (吉岡さん・会社員・59歳) お母様の状態は、おそらく「夕暮れ症候群」と呼ばれるものでしょう。夕暮れ症候群は、夕方になるとそわそわして一人で外出したり、ちょっとしたことで気持ちが不安定になる状態のことです。認知症の影響で起きていることなので、無理に行動を制限したり説得しようとすると逆効果になることも。むしろ、お母様とおしゃべりしたり一緒に外出して気持ちを紛らわせる方が気持ちが落ち着くと思いますよ。 「夕暮れ症候群」の原因は? 同居している認知症の母の在宅介護をしています。昼間はテレビを見ておとなしいのですが、夕方の16時過ぎになるとそわそわして「家に帰ります」と、一人で出かけようとするんです。何度か勝手に出ていってしまったことがあって、近所の人にみつけてもらって自宅まで送ってもらったこともあります。これまでは何事もなかったから良いですが、もし事故か何かに巻き込まれたら、と思ったら…。どうして母は自宅にいるのに「家に帰る」なんて言うのでしょうか? おそらく「夕暮れ症候群」と呼ばれる状態ですね。認知症の影響によってさまざまな混乱が夕方に現れる状態なんです。夕暮れ症候群にはいくつか特徴がありますから、1つずつお話ししていきますね。 夕暮れ症候群とは 夕暮れ症候群は、その名の通り夕方になると現れる症状のことを指します。代表的なのが、お母様のように「家に帰りたい」と訴えること。「帰宅願望」とも呼ばれる認知症の周辺症状(BPSD)の1つです。帰宅願望については、以前のご質問でもお答えしています。参考にしてみてください。 他にも、辺りが暗くなる時間になるとそわそわして室内を歩きまわったり、感情が不安定になってちょっとしたことで泣き出したり怒り出したりするケースもあります。 母も似たような状況です。明るいうちは黙ってテレビを見ているのに、夕方になると不安そうな顔でそわそわと歩きまわっていますね。うちの母だけではなく、認知症の人には珍しくない状態なんですね。 夕暮れ症候群の原因は さっき、夕暮れ症候群は認知症の影響、と言っていましたが、どうして認知症と夕方になると落ち着きがなくなることが関係しているんですか? 空が暗くなってくることで不安がつのり、認知症の症状が一時的に強くなることで夕暮れ症候群が起こるとされているからです。私たちも辺りが暗くなってくると、気持ちが焦ったり不安な気持ちになることがありますよね。そうした気持ちが認知症の症状にも影響すると考えられています。 なるほど…。そうした夕方の不安な気持ちが認知症の症状に影響してしまうんですね。 そうなんです。例えば、認知症の症状に「記憶障害」というものがあります。記憶障害とは、新しいことを覚えられなくなったり最近の記憶がなくなってしまう症状です。記憶障害によって、直近の記憶がすっかりなくなって数十年前に感覚が遡っていることもあります。そうすると、今の家が自分の家とわからなくなったり、年齢を重ねた家族の顔がわからなくなったりすることもあるんです。 へぇ!そんな症状があるんですね。今の家には20年ほど前に引っ越したので、母の記憶がそれ以前まで巻き戻っていたら、今の家が自分の家であることがわからなくなってるかもしれないわけですね。 おっしゃる通りです!「今の家の記憶がないので自分の家とわからず、前の自宅に帰ろうとしている」と考えると、お母様の言葉は自然ですよね。また、認知症の症状には「見当識障害」というものもあります。これは、今の時間や自分がいる場所がわからなくなること。今の状況を理解する認知機能が低下してしまっているため、知らない場所にいる不安から家に帰ろうとしている可能性もありますね。 そういうこともあるんですね…。 それに、夕方は夕飯どき。数十年前の感覚で過ごしているお母様は、「家族のために夕食を作らないといけない」と考えているのかも。家族に食事を作るために自宅に帰ろうとしているのかもしれませんね。 あぁ!そういえば「夕飯を作らないといけないので帰ります」と言っていたこともありました。いつも私の妻が食事を作っているので、そのときは「何を言っているんだろう?」と思っていたのですが…。そういうことだったんですね。 加えて、夕方はご家族が夕食の支度などで忙しくしている時間ですよね。そういう姿を見て、「忙しいときに邪魔してしまうのでは」と感じることもあるでしょう。そうした遠慮から「家に帰ります」と言っている可能性もありますよ。 自宅にいるのに「家に帰ります」なんて、「なんてめちゃくちゃなことを言っているんだろう」と思っていましたが、ちゃんと理由があっての言葉だったんですね。 「夕暮れ症候群」の対策は? 母が夕方に落ち着きがなくなる理由がわかって、少し安心しました。ただ、外に出ていくのは危ないので手を引いて引き止めると「助けて!」と叫んだり、大声で騒いだりするんです。ご近所に迷惑になるのでどうにかしたいんですが…。何か良い方法はないでしょうか? お母様の好きなことを勧めたり一緒におしゃべりをして、気を紛らわせるのはどうでしょうか? えぇ?そんなことで良いんですか? はい。むしろ、無理やり外に行くのを制止したり玄関の鍵をかけてしまうと、「知らない家に閉じ込められた」とお母様が考えてパニックになってしまう可能性があります。なので、一時的にでも気をそらせて「家に帰りたい」という気持ちを紛らわせるんです。 そうか、母にとって今の家は”自分の家”ではなく”他人の家”なんですもんね…。具体的には、どうやって気を紛らわせるんですか? お母様が興味を持つものであれば何でも良いんです。あやとりやぬりえでも良いですし、好きな音楽を流すのも効果があるかもしれません。もし好きなテレビ番組があるのであれば、「もうすぐ好きな番組が始まるよ」と言ってテレビを見てもらうのも良いでしょう。あとは、他のご家族も交えておしゃべりするのも効果的。特に認知症の人は認知機能が衰えることで、不安感や孤独感を感じやすいんです。なので、忙しいかもしれませんがお母様に積極的に声をかけながらご家族の団らんをするのはどうでしょうか? 家族の団らんか…。そういえば、認知症になってから母が会話に入らずに1人でいることが増えたような気がします。母と会話が噛み合わないことが増えて、他の家族が話しかけることが減ったんですよね。 やはり、認知症が進んでくると話が噛み合わないことが増えてきますよね。そういうときは、お母様の世界観に合わせて話すことも夕暮れ症候群への対策のひとつです。例えば、家に帰りたがっている様子であれば「もう遅いから、今夜は泊まっていって」「夕食を作ったから、食べていって」といった声掛けをすると、お母様も安心して過ごせると思いますよ。 そうやって言えば良かったんですね! また、夕方になってお腹が減っていることも不安の原因になっていることがあります。なので、軽食やおやつを食べてもらうと気持ちが落ち着くかもしれません。認知症の人の症状やそれが現れるきっかけになっていることは、一人ひとり違います。なので、お母様の視点に立った対応をしていくことが大切。時間はかかるかもしれませんが、徐々に症状が落ち着いていくと思いますよ。 夕暮れ症候群は夕方になると「家に帰る」と落ち着かなくなる状態のこと 認知症によって今いる場所や状況がわからず、不安になることが原因 趣味や話をして気を紛らわせたり、「夕飯を作ったので食べていってください」などの声掛けを pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2023/01/04

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の母親の作り話にどう対応したら良いですか?ひどい被害妄想に振り回されています。

同居する認知症の母の介護をしています。この数ヵ月、「家の庭に知らない人が立っている」「無言電話がかかってくる」など作り話をするようになりました。ときには、隣の家の人の名前を出して「泥棒に入ろうとしている」といった話もするようになり、困っています。 そうした話が母の嘘ということはわかっていますが、嘘を否定しても何度も繰り返すのでいいかげん、うんざりしています。どうしたら良いでしょうか? (吉岡さん・会社員・59歳) 嘘だとわかっていてもご家族の負担が大きいですよね。ただ、周囲の人には作り話だとわかっていても認知症の人、ご本人にとっては本当のことなんです。なので、お母様の話を否定するのはNG。余計に不安や孤独感が強くなって作り話がエスカレートしてしまう可能性があります。なので、嘘だと思っていても否定せずに「そうなんだね」と流すことも大切。また、その作り話をする裏側にはお母様の孤独感や不安感が隠れている可能性もあります。よく話を聞いて、その不安感を取り除けると作り話が減るかもしれませんよ。 認知症の人の作り話にどう対応する? 最近、母が作り話をするようになって困っています急に「家の庭に知らない人が立っている」「無言電話がかかってくる」と言ったり、お隣の奥さんの名前を出して「うちに泥棒に入ろうとしている」なんてことも言うんです。そういう嘘を言う度に「そんなわけないでしょ」と言っているのですが、嘘をつくのを止めません。母は認知症なので、私がそう言ったことを忘れてしまっているのかもしれませんが…。母の被害妄想に付き合うのに、いい加減、疲れました。何か良い対応方法はありませんか? うーん。それは疲れてしまいますよね…。ただ、お母様が作り話をするのは認知症の症状の影響でしょう。そのため、お母様の話を否定すると認知症の症状が悪化して、作り話がエスカレートしてしまう可能性があります。 えぇ!?そうなんですか?それはなぜですか? というのも、周囲の人にとっては嘘でも認知症の人にとっては本当のことだからです。認知症の人は、病気の影響で認知機能や記憶力が低下していることにとても不安を感じています。その不安を解消するために、作り話を現実だと思いこんでいることが多いんです。なので、その作り話を否定してしまうとさらに不安感が強くなって、症状が悪化して作り話もエスカレートすることがあります。 そうだったんですね…。では、どうするのか良いのでしょうか? まずは、お母様の話を否定せずに耳を傾けてみましょう。作り話をする裏側には、孤独を感じていたり不安を感じていることがあります。それをじっくり聞くことで「大切にされてる」と安心感を得たり、不安の原因を解消するきっかけを見つけることもあるでしょう。 毎回、作り話を聞くなんてできないと思います。仕事や家事もありますし…。 もちろん、毎回、じっくり聞く必要はありませんよ。ちょっと時間や気持ちに余裕があるときだけでも十分です。忙しいときは、否定はせずに「そうなんだね」と肯定しつつもさらりと流すような対応だったら、吉岡さんの負担も少ないんじゃないでしょうか? なるほど。それでも良いんですね。それならできるかも。 それと、一人で介護を抱え込まないことも大切です。特に作り話の場合、周囲の人に影響が出ることもありますから、他のご家族やご近所さんに事情を伝えておいたり、ケアマネジャーさんやかかりつけ医に相談しておくことをおすすめします。 認知症の人の作り話の原因は? 母の作り話への対応がわかって、ちょっと安心しました。でも、そもそもなんで認知症で作り話をするんですか? 認知症になると、記憶障害や見当識障害などの認知機能が低下します。その影響で「大切なものがどこにあるかわからない」など、認知症の人は常に不安を感じているんです。それを「泥棒に盗まれた」と思い込んで誰かのせいにすることで、自分の自尊心を保とうとします。つまり、自分を守るために作り話をしているんですね。 そういえば、先日、「財布を盗んだでしょ!」と母に責められたことを思い出しました。実際は自分でタンスの奥にしまいこんでいたのを忘れていただけなのですが…。それも自分を守るために妄想を思いこんでいたんですね。 そうなんです。「財布を盗まれた」という作り話は、「物盗られ妄想」とも呼ばれており、認知症の人によく見られる症状です。物盗られ妄想については、以前のご質問でも詳しくお答えしているので参考にしてみてください。 また、一緒に住んでいるご家族などの何気ない一言が作り話の引き金になることもあるんです。 私の一言が?どういうことですか? 例えば、お母様のわからない話題で他のご家族が盛り上がっていたりすると、孤独を感じて気を引こうと作り話をすることがあります。また、家の中の物の位置が変わって、物が見つからなくなったりすることが「泥棒に入られた」という作り話につながることもあるんです。 いろいろと心当たりがあります。気をつけないとですね…。 介護に疲れたら距離を取ろう ここまで、認知症の人の作り話への対応方法や作り話をする原因についてお伝えしました。参考になりそうですかね? そうですね。とても参考になりました。…でも、「否定せずに話を聞く」とか「何気ない一言が作り話の引き金になる」と言われると常に気を張っていないといけなくて、とても大変そうです。仕事と家事もやらなきゃいけなくて、そんな余裕はないかもしれません。 そうですよね…。介護はいろんなことに気をつけないといけないので、本当に負担が大きいと思います。なので、限界になる前に介護から離れましょう! え?介護から離れるってどういうことですか? 介護サービスにはデイサービスやショートステイなど、介護施設にご高齢者を預けるサービスがあります。これまでに利用したことはありますか? デイサービスは、週に1回、利用しています。 では、デイサービスの回数を増やせないかケアマネジャーさんに相談してみるのもアリかもしれません。デイサービスは、日中だけですが、ご高齢者を介護施設に預けられます。その空いた時間は、お母様の介護をせずに過ごせますから一時的なリフレッシュに良いですよね。 そうですね…。でも、昼間だけだと溜まった家事を片付けるだけで終わってしまって。 でしたら、ショートステイを活用するのはどうでしょうか?ショートステイは、1~30日まで利用できる宿泊サービス。食事やレクリエーションなども提供しています。少なくとも丸1日は介護から離れられますし、リフレッシュができると思いますよ。ご利用者の中には、数日まとめて利用して家族旅行を楽しむご家庭もあるみたいです。 介護サービスを家族旅行をするために利用して良いんですね! もちろんです!在宅介護は大変ですから、介護をする人のリフレッシュする時間は必要です。介護をする人の心身の健康をないがしろにしていたら、共倒れしてしまう可能性もありますからね。なので、介護のことを忘れて自分の趣味などに没頭する時間を”あえて”作ってください。その方が、リフレッシュした気持ちでお母様に接することができるようになると思いますよ。 認知症の人の作り話を否定するのはNG!症状が悪化するかも 記憶障害による不安感や孤独感が作り話の原因に 疲れたらショートステイなどで介護を休もう! pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/12/28

認知症 認知症対策 在宅介護 介護の基礎知識

認知症の検査を嫌がる母親の説得方法を教えてください

最近、母の様子がおかしくて、認知症かもしれないと感じています。午前中にした話を午後には忘れていたり、何度も同じ質問をしてくることもあります。 なので、認知症の検査を受けてもらおうと「認知症の検査に行こう」と言ったのですが、「認知症じゃない!」と拒否されてしまいました。どうやったら、母を説得できるでしょうか。 (浜田さん・61歳・会社員) 「健康診断に行こう」と別の理由で誘ってみるのもひとつの手です。また「お母さんが認知症になったら、私が困るから病院で診察してもらおう」と浜田さんが心配に感じていることを素直に伝えると、検査を受ける気になってくれるかもしれません。認知症を発症した多くの人が、自分の様子がおかしいことに気がついて不安を感じています。なので、そこを刺激するような「最近、変だから検査しよう」「認知症なんじゃない?」といった伝え方をしてしまうと、拒絶されてしまうことがあるので要注意です。 認知症の検査を嫌がるときの誘い方は? 母の様子が最近おかしくて。午前中にした話をその話をしたことすら忘れてしまったり、同じ質問を1日に何度もしてくることもあります。もしかしたら認知症なのかもしれないと思って「最近、様子が変だから認知症の検査に行こう」と言ったら「認知症なんかじゃない!」と怒って拒否されてしまいました。母が認知症検査を受けてくれる上手い誘い方はないでしょうか? うーん、実は、ご高齢者を認知症検査に誘う言い方として、「おかしい」とか「ボケている」といった言い方はNGなんです。 えぇ!そうなんですか? はい…。認知症の人の多くは、初期の段階では自分の変化に気がついています。なので、「認知症かも」と指摘されるとその不安感が大きくなってしまうんです。それに、認知症だと自分で認めなくない気持ちもあるので、反発されてしまうこともあります。 そうだったんだ…。もしかしたら、母も自分の異変を感じて不安になっているかもしれないんですね…。 そうなんです。なので、さらに不安になってしまうような言い方はNGです。加えて、「ご飯を食べに出かけよう」「私が調子が悪いから病院に付き添って」というような嘘もしない方が良いですね。病院に着いてお母様が嘘に気がついたとき、信頼関係が崩れてしまう可能性もありますから。 うーん、認知症の検査を受けてもらうのは難しいですね…。良い言い方があると良いのですが…。 そうですね…。例えば、「健康診断を受けてみない?」と誘ってみるのはどうでしょうか?また、「高齢になると検査する人が多いみたいだよ」「近所の○○さんも検査したみたいだよ」と、第三者を引き合いに出すのも良いかもしれません。 それだけで納得してくれますかね?母が納得しなくて、結局、無理やり連れていくしかないように思います。 いえ、無理やり受診するのはおすすめできません。というのも、認知症は「検査して診断が出れば終わり」というものではなく、長期的に治療を続けていくものだからです。そのため、無理やり病院に連れて行って認知症だと判明しても、その後の治療のための通院がとても大変になる可能性があります。なので、無理やり検査を受けるのではなく、じっくり説得してお母様が納得したうえで検査を受けていただくのが今後のためにも良いんです。 なるほど…。 もし、なかなか検査を受けてくれないようだったら、ストレートに「お母さんが認知症だったら、私がとても困る。私のために検査を受けて」とお願いしてみるのも良いでしょう。また、かかりつけ医にお願いして、検査を勧めてもらうのも手。「先生が言うなら…」と意外とスムーズに受診してくれる人も多いですよ。 あぁ、確かに。かかりつけの先生の言うことなら素直に聞くので、先生にお願いするのが良いかもしれません。ちなみに、認知症の検査を受けられるのは何科の病院ですか? 精神科、脳神経内科、脳神経外科、心療内科、老年科…などいろんな診療科で検査が受けられます。どの病院で検査を受けるか迷ったら、それもかかりつけ医に相談してみるのが良いでしょう。検査を受けられる病院を紹介してくれると思いますよ。 認知症診断の流れ 認知症診断の流れは以下の通りです。 面談(問診) 身体検査 認知症検査 認知症診断では、問診を含む面談、他の病気の可能性も確認するための身体検査、神経心理学検査と脳画像検査となります。 認知症と診断されたら… 検査の結果、母が認知症と診断されたらどうしたら良いんでしょうか? まずは、認知症や介護の専門機関に相談してみましょう。そうすることで、適切な介護サービスや支援を受けられますよ。 そうか、認知症になると介護が必要になるんですよね。 そうです。今は元気でも認知症が進行していくと、さまざまな面で介護が必要になります。なので、適切な介護サービスが受けられるように、介護認定を受けましょう。介護認定を受けるには、介護やご高齢者の暮らし全般をサポートしている「地域包括支援センター」の窓口で申請する必要があります。そのため認知症の診断が下りたら、まずは地域包括支援センターに行くことをおすすめします。 地域包括支援センターとは 地域包括支援センターを要約すると、介護だけでなく医療や保険、福祉などの面から高齢者やその家族の生活を支える総合窓口、ということになります。 地域包括支援センターにはそれぞれの専門家が常駐しており、高齢者が住み慣れた場所での生活を続けられるようにさまざまなサービスを提供してくれたり、相談に乗ってくれたりします。 地域包括支援センターの運営主体は各市町村。それら自治体から委託を受けた社会福祉法人や社会福祉協議会が運営しているケースがほとんどで(稀に民間企業が運営しているセンターも)、全国には約5000以上もあります。 ...

2022/12/21

認知症対策 在宅介護 認知症介護

「知らない人がいる」と言う認知症の父親。どう対応したら良いかわかりません。

このところ、認知症の父親が「庭に知らない人が立っている」「亡くなった弟が遊びに来る」などと言うようになり困っています。父が指差すところを見ても誰もいないですし…。 これも認知症の影響ですか?どのように対応したら良いのかわからず、父がおかしな発言をしたときはとまどってしまいます。 (永井さん・主婦・67歳) おそらく認知症の影響だと考えられます。特に認知症の中でも「レビー小体型認知症」の場合、幻視や幻聴といった症状が出ることが多いんです。お父様が幻覚を訴えたらそれを否定するのではなく、話をしっかり聞いてみましょう。話を聞くことでお父様の不安感が和らぎ、幻覚を見る頻度も減っていくと思いますよ。 認知症によって幻覚が見える? 認知症の父が、最近になって「庭に知らない人が立っている」「亡くなった弟が遊びに来る」などとおかしなことを言うようになってしまいました。もちろん、父が指すところを見ても誰もいません。つい1ヵ月前まではこんなことはなかったのに…。これも認知症の影響なんでしょうか? うーん。その可能性は高いですね…。ちなみに、認知症にはいくつかタイプがありますが、お父様はどのタイプの認知症でしょうか? えーっと、レビー小体型認知症と診断されました。 やはり…。おそらく、お父様はレビー小体型認知症による幻覚を見ていらっしゃると考えられます。 えっ、やっぱりそうなんですか! レビー小体型認知症は、脳内の「レビー小体」という物質が神経細胞にたまることで発症します。この物質がたまることで脳の情報を処理する機能が低下し、幻覚が発生するとされているんです。幻覚はレビー小体型認知症の典型的な症状のひとつなんですよ。 認知症による幻覚の症状は? 父のおかしな発言が認知症の症状だというのはよくわかりました。でも、どう対応すれば良いのかはわかりません…。 そうですよね。では、対策を考える前に、レビー小体型認知症による幻覚にはどんな症状があるのかを把握しましょう。具体的な症状を知っておくことで、対策をとりやすくなりますから。 そうですね…。どんな症状があるんでしょうか? レビー小体型認知症による幻覚には、以下のような症状があります。 幻視 幻聴 錯視 妄想 まずはじめに、「幻覚」とはその実体がないのにも関わらずはっきりと感覚が存在することの総称です。なので、視覚以外の聴覚や触覚などで実体のない感覚があることも幻覚と言うんです。その中でもレビー小体型認知症の症状としてよく報告されているものが幻視です。実際にはそこにない物があるように感じたり、人がいるように見えるのが特徴です。 父の「庭に知らない人が立っている」「亡くなった弟が遊びに来る」というのも、幻視なんですね。 おっしゃる通りです。他にも「子どもがたくさん立っている」のような、複数のものを幻視で見ることもあります。次の「幻聴」は、実際にはないはずの音や声が聞こえることです。「誰かが自分の悪口を言っている」というケースが多いですね。 父は幻聴はないのかな。「自分の悪口を言っている」なんてことは聞いたことがないので…。 また、幻視に似た症状に「錯視」があります。錯視は現実に存在するものが別のものに見えること。壁紙の柄が虫に見えたり、洗濯物が人に見えたりするんです。 あ!この間、父が「壁に虫がたくさんいる」と言っていたんですが、それは錯視だったのかもしれないです。最後の「妄想」は幻覚ではないような気がするんですが…。どういうことですか? はい。厳密には幻覚とは異なりますが、幻覚が原因で妄想が起こることがあります。例えば、「知らない人が庭に立っている」という幻視が、「泥棒が家に入ってきた」という妄想に発展することもあります。さらに、認知症になると自分で物をしまった場所を忘れてしまうことが増えますから、物がなくなったことが「泥棒に盗まれた」と思い込んでしまうんですね。幻覚がそういった被害妄想や物取られ妄想につながることがあるんです。 認知症による幻覚への対応はどうする? 認知症が原因の幻覚っていろんなケースがあるんですね…。それじゃあ、具体的に私はどう対応したら良いんでしょうか?顔をあわせる度に「庭に知らない人が立っている」と父に言われてうんざりしているんです。何度も「誰もいないよ」と言っても信じないし…。 あぁ…。実は、幻覚を否定するのはNG対応なんです。 えっ!?そうなんですか?だって、実際は誰もいないんですよ? それでも、お父様にとっては現実なんです。なので、お父様の言葉を否定し続けると「わかってくれない」というストレスから、不安感が強くなって症状が進行してしまうかもしれません。 そんな…。では、どうしたら良いんでしょう? お父様が安心するような声掛けをしてください。例えば、「知らない人が立っている」と言うときには、「どんな人がいるの?」と聞いてみたり、「泥棒に盗まれる」と怖がっている様子だったら「泥棒は追い返しておいたよ」と声をかけるんです。はじめのうちはそれでも幻覚を訴えるかもしれませんが、続けていくうちに症状が落ち着いて来ると思いますよ。 そう返せばよかったんですね!それくらいならできそうです。 認知症の人は、不安感から幻覚を見るようになると言われています。なので、お父様の言葉に耳を傾けてみると「自分のことをわかってくれる」と安心し、永井さんとの信頼関係もさらに強くなって症状が減ってくるでしょう。 「知らない人がいる」などの発言は認知症の症状の可能性あり! 幻覚が原因になって、被害妄想・物取られ妄想に発展することも 幻覚の否定はNG!話をよく聞いて、安心できる声掛けを心がけて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

2022/12/02

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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