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財務省が推進する要介護1、要介護2の高齢者に対する訪問介護と通所介護を市町村の総合事業にする案ついて、行政と実務を預かる介護現場の間で議論が白熱しています。 介護費の現状を協議 今回の審議会は、「膨らみ続けている介護費を支えるための負担のあり方」を議題として取り上げたものとして注目が集まっています。厚生労働省は、2024年度の制度改正に向けた議論を進めていて、財務省がこの案の実現を後押ししています。 会議では保険料を負担する現役世代や企業などの立場を代表する委員も加わり、活発な議論を展開。介護費の増加を抑制するために、重度者の支援するための給付を手厚くし、軽度者サービスをより効率的にするべきとの声があがりました。 議論は概ね、これまでの財務省の主張が肯定された形となっています。 厚労省が目指す総合事業とは 今回の厚労省案の根幹を担うのは、総合事業の自由度の高さです。 総合事業は全国の画一的ルールによる介護給付と違って、運営する市町村が地域の実情に応じてサービスの運営基準や報酬などを独自に決められるものです。 例えば、地域住民やボランティアを事業の担い手にして人員配置を減らすなど、実情に合わせた低めの報酬を設定することも可能。こうした総合事業の対象として、要介護者の訪問介護、通所介護などが挙げられています。 しかしながらこれらの事業は労働の対価として見返りが少なく、地域ボランティアを活用するサービスは十分に普及しているとは言い難い状況です。 介護現場は猛反発 要介護1、要介護2の訪問介護と通所介護も含める案に対して、当日の会合では介護現場の強い反発が出るなど、現場の現状が改めて浮き彫りになりました。 高齢者を介護している現場と介護の実情を情報としてだけ捉えて判断する行政。今回の議論をぜひ前向きに、現場と行政の両者が納得できる結論を見出して欲しいですね。
2022/10/04
新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の生活にさまざまな影響を及ぼしています。 その影響を受けたもののひとつに、医療費があります。全国の健保組合は新型コロナの影響で2020年度の医療費が大幅に減少したと公表しました。 これは、健保組合の連合組織である「健康保険組合連合会」が今年6月に公表した「令和2年度健保組合医療費の動向に関する調査」から明らかになりました。 それによると、2020年度は新型コロナ感染拡大による患者の受診控えなどの影響を受け、医療費総額が2235億円減少。前年度と比べて4.8%も減っています。 これは、我が国の医療費全体の減少幅3.2%減と比べて「減少度合が大きい」のだそう。つまり、若い世代が多く加入する健保組合の医療費の大幅な減少は、全世代の中でも若い世代が特に医療機関の受診を控えていたということが分かります。 若者はマスク着用と手洗いで医療費が大幅減 若い世代が多く加入する全国の健保組合は、2020年度の医療費が大幅に減少したことを明らかにしました。 そのなかでも「一般の風邪やインフルエンザなどの呼吸器系疾患による医療機関受診」が大きく減少しているそうです。 その原因として、マスク着用や手洗いの徹底などによる一般の呼吸器疾患(いわゆる風邪やインフルエンザなど)の発症が抑えられたことなどが背景にあると考えられています。 コロナ禍でも高齢者の健康維持を 新型コロナウイルスの影響は、家に閉じこもることによる健康への悪影響も懸念されています。 特に高齢者は、外に出る機会が減って運動量が落ちることによる不活発な状態が長期化すると、フレイル(虚弱)状態になる心配があります。 こうした状況を踏まえ、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症に気をつけながら高齢者が健康を維持するための情報を紹介するWEBサイト「地域がいきいき集まろう!通いの場」を公開。自宅で取り組めるご当地体操動画や感染予防、健康維持のための情報などを紹介しています。 また、全国の各自治体ではコロナ禍でも感染対策に配慮して少人数にしたり、オンラインを活用したりしながら、介護予防教室などの活動を続けています。 新型コロナウイルスの新規感染者数は再び増加傾向にあります。コロナ禍であっても感染症対策に配慮した形で、高齢者の健康維持につながるような活動や取り組みが続いていくと良いですね。
2022/07/22
世界一の高齢社会である日本。それに伴って、社会保障費が増え続けており、その多くは借金でまかなっています。 さらに、団塊世代が後期高齢者となる2025年には急激に75歳以上の高齢者の人口が増加。対して、労働人口は減少しているため、社会保障費の増加抑制は喫緊の課題です。 そこで、財務省が「歴史の転換点における財政運営」をまとめました。 それによると、要介護1や要介護2の比較的軽度な高齢者は、訪問介護・通所介護ではなく市町村の総合事業に変更するべきと主張。さらに、業務の効率化のために、小規模事業者は大規模化・協働化するべきとも述べています。 財務省の提言とは 今月25日、財務省は社会保障や防衛、環境問題などの財源に関する「歴史の転換点における財政運営」という提言をまとめました。 この提言は、財務大臣に提出された後に政府の予算編成に反映される見通しです。 提言では、介護分野について2024年におこなわれる介護保険制度の改正にも言及。要介護1や要介護2の比較的軽い介護度の高齢者は、介護サービスを利用するのではなく市町村の総合事業に移すべきと主張しています。 総合事業とは、介護保険法で「介護予防・日常生活支援総合事業」として定められているもので、市町村が中心となって提供するサービスのこと。地域住民などが主体となって住民同士で支え合うボランティア活動なども総合事業に含まれます。 財務省は、要介護1や2の高齢者を総合事業に移して地方の予算内で支援をおこなうことで国の負担を軽減させるのがねらいです。 さらに、提言では介護事業者の大規模化・協働化についても言及しています。 コロナ禍で施設内で新型コロナウイルスが拡大した際には、小規模かつ1つの法人で対応をすることで人員が少なくなり、現場が回らなくなったケースが頻発。それを避けるために、事業を拡大させたり他法人との連携をして人員を確保できる体制を整えるべきと述べています。 介護サービスを継続させるために 今回の提言で財務省は、「我が国の債務残高が累増する最大の要因は、社会保障をはじめとする受益(給付)と負担のアンバランス」がある、としています。 しかし、それを解消するためとは言え、必要な支援を活動の不安定なボランティアに任せるのは、現実的に難しいのではないでしょうか。 持続的な介護サービスを提供するためには大きな変革が必要なのかもしれませんが、介護現場からは強い反発が起きています。
2022/05/30
「健康寿命」という言葉を知っていますか。 これは、健康に問題があって生活に制限がかかる前の期間のこと。寝たきりや認知症などの日常的に介助が必要になる前までのことを指します。 この健康寿命は、厚生労働省が調査しており、その結果を3年ごとに公表。最新の2019年の調査で、前回の2016年の調査よりも大きく躍進した県があります。 それは大分県。大分県の2019年の健康寿命は47都道府県で1位。男女別では男性は1位、女性は4位という結果になり、前回調査の男性36位、女性12位から大きく順位を上げています。 順位急上昇の大分県の取り組み 厚生省が、2019年時点の健康寿命の調査結果を発表し、その都道府県別の結果で大分県が1位になったことがわかりました。 大分県は、2016年におこなわれた前回調査では男性の健康寿命が全国36位、女性は12位。ところが、その3年後の2019年調査では男性1位、女性4位と大きく躍進しています。 こうした結果になった理由には、大分県が以前からおこなっていた健康への取り組みがあります。 例えば、2007年からは全国で初めてタクシーを全面禁煙に。さらに2010年からは高齢者の”通いの場”事業に力を入れており、公民館や集会所などでレクリエーションや体操をする「地域ふれあいサロン」を開催し、その参加率は全国1位です。 また、2017年には幅広い世代向けに「歩得(あるとっく)」というスマホアプリを配信。歩いた歩数によってポイントが獲得でき、ポイントを貯めると県内の協力店で特典を受けられます。 こうした健康増進に県として取り組んだことで、県民の健康寿命は2016年の男性71.54歳、女性75.38歳から2019年には男性73.72歳、女性76.6歳に延びたようです。 どうして健康寿命が重要? 健康寿命を延ばして病気や加齢による介助が必要な期間を短縮することに、国をあげて取り組んでいます。 というのも、介助が必要な期間を短くすることで社会保障費の削減につながるから。世界一の長寿国である日本では、社会保障費を減らすことが喫緊の課題となっており、1人でも多くの高齢者が元気で過ごすことがその解決に直結するのです。 今回の大分の取り組みは、他の都道府県にとって良いモデルになるのではないでしょうか。 同様に、地域の”通いの場”の構築に注力したりアプリを配信している地域もあるかもしれないので、試しに参加してみるのも良いかもしれません。
2022/05/20
日本だけではなく世界的に少子高齢化が進んでいます。 なかでもお隣の国、韓国では日本以上に高齢化の速度が早いことが韓国の統計庁の予測によってわかりました。 それによると、韓国の65歳以上の高齢者は2020年から2040年の間で倍増する見込みで、2040年には高齢者の割合が日本と同程度まで増加するそうです。 こうした急激な高齢化が進む背景には、ベビーブーム世代が高齢者になることがあります。それに伴って、生産年齢人口も急激に減少するとのことです。 20年で倍増する高齢者 韓国の統計庁が、今月14日に「2020~40年の内・外国人人口展望」を発表しました。 これは、昨年12月に統計庁が発表していた将来人口推計をより詳細に分析したもの。前回の推計では外国人と分けていなかったため、移民などの推移も含めて人口の変化を割り出しました。 それによると、韓国人の高齢者は2020年から2040年にかけて倍増。2020年は807万人(約16%)だった高齢者は、2040年には1698万人(約35%)に急激に増加する見込みです。 この増え方は、世界トップの高齢国である日本をしのぐもので、日本は2020年で3589万人(約28%)で2040年は3920万人(約35%)になる予測。2040年には韓国と日本の高齢者の割合は同程度になることがわかります。 加えて、15~65歳未満の生産年齢人口は2020年の約72%から2040年には約56%と大幅に減少。1955~1963年生まれのベビーブーム世代が高齢者になる2020年代は生産年齢人口が毎年平均36万人減り、2030年代には年平均55万人ずつ減少するそうです。 誰が高齢者を支えるのか? 少子高齢化が急激に進むとされている韓国。その理由はベビーブーム世代が高齢化するだけではなく、若者の就業率の低さや出生率の低さもあるそうです。 というのも、学歴社会であることで有名な韓国ですが、大卒者の就業率は他国と比べても低いのが実情。そのため、生活するのに精一杯なので結婚や出産する若者が減っているのです。 つまり、高齢者が増えているのにも関わらず、それを支えなければいけない若者の暮らしが苦しいのが実情です。 このような状況に、韓国政府がどのように対応していくのか。高齢者と若者という対立した立場のように見えて、問題の根本は同じなのかもしれません。
2022/04/15
国内の患者数は1100万人とも言われている糖尿病。現在のところ糖尿病を完治させる方法は確立されておらず、日常的な血糖値などのコントロールが重要です。 しかし、そのためには血糖値の自己測定の必要がありますが、1日に何度も指先に針を刺して血液を検査するのは痛みもありますし、手間もかかるため血糖コントロールをする人の負担となっていました。 そうしたことを解決したのが、血糖値を24時間チェックできるシステム「FreeStyleリブレ」。来月1日からは、インスリンの自己注射をしている人すべてに保険適用となり、さらに利用しやすくなるそうです。 体調管理をいつでもできるように 厚生労働省が、2022年度の診療報酬改定について公表しました。 来月1日から、アボットジャパン社の持続グルコース測定器「FreeStyleリブレ」の保険適用が「1日1回以上インスリン製剤の自己注射をおこなっている人」に拡大されることがわかりました。 この測定器は、24時間センサーでグルコース値を測定し、専用の読み取り機やスマホでその結果を確認できます。 グルコース値とは、細胞と細胞の間の間質液に含まれるグルコース(ブドウ糖)の値のこと。摂取した糖は血管から間質液へ、そして間質液から細胞へ吸収されるため、グルコース値と血糖値には相関関係があることがわかっているそうです。 そのため、血糖値の代わりにグルコース値を測ることで糖尿病の人の体調管理ができるわけです。 この測定器の特徴は、針を刺さずに測定ができること。薄型のセンサーを上腕の後ろ側に貼り付けることで、常に測定がおこなわれます。そして、センサーに専用の読み取り機を充てるだけでそのときのグルコース値や、直近数時間のデータも確認できます。 採血の痛み・測定の手間が減少 「採血が痛い」「測定に手間がかかる」といった自己血糖測定の問題は、この測定器で解決できるかもしれません。 また、自己血糖測定では測定時点の血糖値しかわかりませんが、この測定器では睡眠中なども含めて常にグルコース値を測定できるので、1日のグルコース値の波をチェックできるのも魅力的です。 ただ、グルコース値の急激な上昇・低下がある場合やグルコース値と一致しない症状が出ているときには、自己血糖測定が必要。そのときは通常通りの採血による血糖測定をすることになります。 とはいえ、日常の体調管理をするのにはとても便利。来年度からは保険適用されるので、経済的にも負担が減って助かりますね。
2022/03/16
韓国の統計庁が、2020年の韓国の高齢者貧困率が38.9%だったことを発表しました。30%台に下がったのは初めてのことで、前年の2019年よりも2.5ポイント低下したそうです。 しかし、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均の約3倍にあたることから、韓国の高齢者の経済状況が悪いことに変わりはないようです。 貧困率が前年よりも減少するも… 韓国の日刊紙「中央日報」が「統計庁が2020年の韓国の高齢者貧困率を公表した」と報じました。 それによると、韓国の65歳以上の高齢者の相対的貧困率(その国の生活や文化を基準にした貧困率)は、38.9%。2019年よりも2.4%減少しており、30%台になったのは調査開始した2011年以降初めてのことです。 韓国の高齢者貧困率は、2011年の46.5%からは低下傾向にある様子。2016年には43.6%となり、2018年は42%まで減少しています。 とはいえ、先進国から見るとかなり高いと言わざるを得ません。 2019年のOECD加盟国の高齢者貧困率は平均13.5%なので、3倍近い数字であることがわかります。 ちなみに、日本の高齢者貧困率は20%。韓国ほどではないにしても、日本も平均よりも高いですね。 このように韓国や日本の高齢者貧困率が高い理由は、高齢化が進んでいることにあります。 2020年時点の高齢化率は、日本で28.4%、韓国で15.79%。当然、韓国の方が高齢者の割合は低いのですが、韓国はこの10年で毎年平均4.2%高齢者の人口が増えているそうです。日本は2.1%の増加率なので、日本の2倍の早さで高齢化が進んでいます。 さらに、韓国が年金制度を導入したのが他の先進国に比べて遅かったこともあり、制度の拡充が高齢化のペースに追いついていないのが現状のようです。 韓国と日本の年金については、こちらの記事でも紹介しています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-3989/ 経済成長と社会保障の板挟み 韓国の高齢者貧困率の高さは「経済成長を急いだ反動」とも言われています。 というのも、韓国で年金制度の施行が遅れた理由は、経済成長を優先させたから。社会保障を充実させると企業の負担が増えるため、経済成長の足かせになると考えたようです。 しかし経済成長を優先した結果、セーフティネットの整備が遅れて高齢者の貧困率が高くなってしまいました。 そうした現状を見て、国の将来を支える若者が希望を持てなくなってしまっています。 ”今”の経済も重要ですが、”将来”の自分である高齢者が安心して暮らせる政策を実行してもらいたいですよね。
2022/03/10
今年4月から年金制度が改正され、65歳以上で働いている人の年金が増額されます。 それを受けて、日本マーケティングリサーチ機構がアンケートを実施。「年金制度が改正されて、65歳以上の労働者の年金が増えることを知らなかった」という回答が7割近くにのぼることがわかりました。 約7割は年金制度の改正を知らない! 今年4月から年金制度が改正されます。 それについて、多数の調査を手掛けてきた「日本マーケティングリサーチ機構」がアンケートを実施しました。 この調査は、全国の10~70代の男女にインターネット上でおこなわれたもの。1257人の回答を得ています。 まず、「年金制度が改正されて、65歳以上の労働者の年金が増えることを知っていたか」という質問には、知らなかった人が約66%、知っていた人は約34%という結果でした。 つぎに「年金制度の改正が決まる前から65歳以降も働こうと思っていたか」には、働こうと思っていた人は約30%、思っていなかった人が約30%、どちらでもない人が約40%でした。 最後に「年金制度が改正される事で65歳以降も働こうと思うか」に対しては、「元々働こうと思っていた」という回答が約30%、「改正するから働こうと思った」が約10%、「働こうと思わない」が約20%、「どちらでもない」が約40%でした。 少しでも労働力を確保するために 4月の年金制度の改正では、「在職定時改定」という制度が開始されます。 これは、「65歳以上の年金を受給しながら働く人の年金額を年1回再計算する」という制度。年金は加入している年数が長いほど受給額が増えますが、これまでは「年金の保険料の支払いをやめたとき」か「70歳になったとき」でないと受給額は増えませんでした。 これが在職定時改定によって受給額が年1回見直されることで、毎年受給額が増えるようになります。 つまり、働き続ける高齢者の経済的な支えが増えるということですね。 今回の調査では、年金制度の改正があまり知られていないことがわかりましたが、この結果については調査対象に偏りがあるかもしれません。 というのも、インターネット上でアンケートを取っているので、回答者が若い世代に集中して年金の関心の高い中高年の回答が少ない可能性があるからです。 そのため、「年金制度の改正の認知度が低い」という結果になったことも考えられます。 ただ、認知度の低さには年金制度の複雑さも関係しているでしょう。「年金を受給しながら働いたら、受給額が多くなる」ことの認知度を上げて、少しでも労働力の確保につなげることも必要なのかもしれませんね。
2022/03/03
今月25日、厚生労働省が2021年の人口動態統計の速報値を発表しました。 それによると、出生数は過去最少の84万2897人。死亡数は14万52289人で、戦後最多の数字となったそうです。 厚生省は出生率が低下した理由のひとつに、新型コロナウイルス拡大による妊娠控えがあるとしています。 出生数は最少、死亡数は最多 今月25日、厚生省は2021年1~12月の出生や死亡、婚姻、離婚などの数値をまとめた人口動態統計を公表しました。 それによると、出生数は過去最少の人数で前年より3.4%減少。死亡数は戦後最多で4.9%増加しています。 そして、出生数から死亡数を引いた自然増減は60万9392人となり、初めて60万人を超えました。 出生数に関しては1~2月の減少が顕著。この時期は2020年の3~4月に妊娠した人が出産するタイミングであり、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった時期でもあります。そのため、妊娠控えが起きて出生数が低下したものと考えられています。 また、2020年の前半は2019年より出生数が下回っていますが、後半になってようやくコロナ拡大前の水準まで回復。しかし、1年通しては過去最少の人数になっています。 コロナは一時的な原因にすぎない 2021年の人口の動きには、やはり新型コロナの影響が出ているようです。その前年となる2020年は新型コロナが国内でも拡大し、4~5月には緊急事態宣言によって外出自粛を余儀なくされました。 そうなると自然と結婚の数が減りますし、翌年の出生数にも影響が出るようです。 しかし、出生数や婚姻数の減少はコロナ以前からの問題。感染拡大は一時的な原因でしかありません。 国として子育てしやすい環境を整えていかないと、今後20~30年を担っていく世代が少なくなり、その世代の子どもの負担が増加。さらに子育てしにくくなるという、負の循環が起きてしまいます。 また、子どもたちや子育て世代が暮らしやすい環境というのは、高齢者も含めた全世代にも暮らしやすい環境とも言えるでしょう。 今回の統計を分析して、国や自治体が出産の障害を取り除く政策を打っていくことが重要ということですね。
2022/03/01
今月2日、厚生労働省が生活保護についての調査結果を公表しました。これは、毎月発表しているもので、今回は2021年11月の生活保護の受給世帯数や申請人数を公開しています。 それによると、昨年11月の生活保護の受給世帯数・申請数はどちらも2020年の11月よりも増加していることがわかりました。 特に高齢者世帯の増加が目立つ 厚生省が2020年11月の「生活保護の被保護者調査」の結果を公表しました。 その結果、生活保護の申請数は2万193件で前年の11月に比べると2021件(10.6%)増加。生活保護の受給を開始した世帯数は18447世帯で、前年11月よりも1542件(9.1%)増加していることがわかりました。 ちなみに、前年の同じ月よりも増加しているのは、7ヵ月連続です。 また、生活保護を受けている世帯の半分以上を占めているのが、単身高齢者世帯です。昨年11月は83万6937世帯が生活保護を受給しており、2020年11月よりも7890世帯も増加しています。 前年同月と比べた増加数で最も多いのが、この単身高齢者世帯。高齢者以外の世帯の増加数は1263世帯のため、高齢者の貧困が進んでいることがわかります。 やっぱり年金だけでは生活できない! 今回の調査で、生活保護の申請数と受給世帯数が増加傾向であることがわかりました。これについて厚生省は、「2020年11月は新型コロナの感染者数が落ち着いた時期だったが、雇用情勢悪化の影響が長引いていたとみられる」と見解を述べています。 生活保護を受けている世帯でも高齢者の貧困が依然として課題となっており、生活保護を受給している世帯の半分以上が単身高齢者世帯です。 なぜ、一人暮らしの高齢者が貧困になりやすいのかというと、年金だけでは暮らしていけないためです。 例えば2019年の厚生年金の受給額の平均は、男性が月17万1305円、女性は月10万8813円。総務省の調査では、単身高齢者の生活費は月15万1,800円とのことなので、男性の平均年金額であればなんとか生活できる金額ですが、女性の一人暮らしでは、貯金や収入がなければ生活すらできないのが現状のようです。 しかし、高齢になるほど身体的にも働くのは難しくなります。それに病気や怪我も多くなり、通院や入院で想定外の出費が増えることもあるでしょう。 こうした状況は、誰にでも起こり得ることです。そのため早いうちから貯金はもちろん、健康管理も必要と言えそうです。
2022/02/04
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。