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大阪府大阪狭山市は、徘徊から保護した認知症高齢者の身元を特定する新しい取り組みを10月から始めると発表しました。 この取り組みは、事前に登録した歯のレントゲン写真をもとに、AI(人工知能)を用いて情報を照合するというもので、全国でも初の試みだそうです。 徘徊高齢者の問題が深刻に 警察庁によると、2021年に届け出のあった認知症による行方不明者は1万7636人に上り、年々増加しています。 認知症による徘徊は止めることが難しく、事故や怪我などの危険もあります。また、発見までに時間がかかれば命にもかかわる可能性があるのです。 自治体による徘徊対策がある 徘徊は家族や近所だけで解決できる問題ではありません。 そこで各自治体は、地域の生活関連団体等が捜索に協力して速やかに行方不明者を発見・保護するSOSネットワークや、本人や家族の同意の上で氏名や顔写真などを登録しておく事前登録制度(「茨城県おかえりマーク」シール等)などの対策をとっています。 今回の大阪狭山市の取り組みは、こうした徘徊対策の新たな試みといえるでしょう。 新たな取り組みではAIを活用 大阪狭山市では、2009年度から「高齢者SOSネットワーク事業」を実施しています。 この取り組みでは、個人情報を登録した高齢者が行方不明になった場合、顔写真や年齢といった情報を市内の郵便局や企業、交通機関などに送り、警察、消防とともに地域が一体となって捜索してきました。 しかし、家族からの依頼がなく、身元がわかる物も持っていない人を保護した場合は身元を特定するのが難しかったそうです。 そこで、上下すべての歯の情報を記録できる「歯科パノラマレントゲン画像」が注目されました。 今回の新たな取り組みでは、行方不明になるかもしれない認知症の高齢者の歯を事前にレントゲン撮影して登録。身元がわからない高齢者を保護した際に、その歯の情報と合致する人がいないかを照合します。 この際、手作業の代わりにAIを用いることで、なんと10秒ほどで判定できるとのこと。市の担当者は「どうしても身元がわからない場合の決め手になる」と期待を寄せています。 高齢者の徘徊問題は待ったなし。複数の取り組みを組み合わせたり、新しい技術を使ったりすることが、今後ますます求められるのではないでしょうか。
2022/10/13
家族の介護をしながら仕事を続けていくのは大変なことですよね。そこで、介護離職という最悪の事態を避けるためには、会社の理解が必要になります。 しかし、会社側が社員全員の介護事情を把握するのは難しいことでしょう。 そこで株式会社インターネットインフィニティー(本社:東京都品川区)は、「仕事と介護の両立」を支援する企業向け福利厚生サービス「わかるかいごBiz」のサービス提供を開始しました。 「わかるかいごBiz」とは? わかるかいごBizは、従業員の介護に関する「実態把握」から、「介護セミナー」「介護情報サイト」「介護ハンドブック」「介護e-ラーニング(情報技術を利用した学習システム)」などの支援施策を提供しています。 また、「介護コンシェルジュ(相談窓口)」を設置することにより、具体的な課題解決のサポートまで、一気通貫の支援を特徴としています。 実際の導入事例 実際に、わかるかいごBizを導入した企業の例を紹介します。 悩み 社員の平均年齢が上昇し、介護問題が深刻化してきたと感じる。介護セミナーによって、介護に関する知識を高めつつ、介護の情報提供をおこないながら社員の実態を把握し、具体的な介護施策につなげたい。 解決策 全国の製造拠点(工場)、主な営業拠点で介護セミナーを実施。また、セミナーで実施したアンケート結果をもとに、従業員の実態を分析しました。 分析結果 仕事をしながら介護をおこなっている従業員が多くいることがわかりました。「遠距離介護」に悩みを抱えている社員も多く、また介護をしている人の30%は、「5年以上」介護を続けていることも明らかになりました。遠距離介護への支援や長期的・継続的な介護支援という観点で、企業の新たな介護施策の見当が必要と考えられました。 介護離職者は年間10万人 総務省の調べによると、介護・看護を理由に離職した人は、2011年10月~2012年9月の1年間で10.1万人にのぼりました。2007年からの5年間では、その数は48.7万人に達します。 近年では男性介護者の数も急増しており、介護者の4人に1人は課長クラス以上とのことです。 介護の問題は決して他人事ではありません。企業を支える従業員が介護に悩んでいたとしたら...。問題解決のために手を貸してくれるサービスがあるということを、頭に置いておくのも良いかもしれませんね。
2022/10/12
1975年にオール阪神・巨人としてデビューし、上方漫才界の第一線で活躍し続けているオール巨人さん。芸歴47年、71歳を迎える現在の心境や自らの老い、介護に関する思いをうかがいました。 ずっと続けてるのはウチくらい。一回も解散していないのは誇り 身体の不調から感じる「老い」のはじまり -1951年生まれ。今年で71歳になるオール巨人さんは、5~6年前から頸椎の不調に悩まされてきた。3度の手術を乗り越えながら、現在も身体のだるさや痺れを抱えての生活が続いている。 老いを感じるきっかけってまずは体の異変だと思います。65歳まではまだまだ若いって感じていましたが、肩が思うように動かない、ゴルフに行きたいけどちょっと待てよ肩が痛いなとか。やりたいことがあってもその後にしんどくなるなど、誰もが内臓面も含めての不調から老いを感じてきます。特に3回目の手術の時は痛みが酷くて地獄でした。でもなんとか回復したいと思って、4回目の手術も検討しましたが、今はいろんな薬を試しながら、その痛みや痺れと付き合っている段階です -体調不良からくるモチベーションの低下。その気持ちの維持が難しいと巨人さんは言う。 舞台に出てる時でも肩痛いなと感じる時はあるんです。でもその時に、相方の阪神君とか昔から一緒に頑張っている仲間と話をしたり、笑ったりしている時は気持ちが紛れますね。だから、介護を受けているような高齢者にとってもそういう機会ってすごく大事やと思うんですよ 一度も解散することなく続けてきた漫才への誇り -1975年にオール阪神・巨人とデビューしてから47年。今なお舞台に立つなど、一線で漫才を続けられている。 デビュー当時の23~24歳の頃は、まさか自分が70歳まで漫才を続けているとは思っていませんでした。当時、大先輩が漫才をしている姿を見て、喋りは上手いからラジオで聞いていたらわからないんですが、テレビの映像で見ると悲壮感が漂っていたんです。どう見ても病気やな、腰が曲がっているなって。今の僕を世間の皆さんがどう見てはるかはわかりません。70歳にしてはまだ若いと思ってもらえている間はいいですが、いやいや巨人さん最近あかんでって思われるようになってきたら辞めたいなと思っていますね。コンビとして46~47年続けていますから。一旦解散してまた戻っているコンビもいますけど、ずっと続けてるのはウチくらいちゃいますか?漫才ではトータルで僕らが一番長いんちゃうかな?一回も解散していないのは誇りに思っています。 「生きがいを探せ」なんて簡単に言うたらいかん いつまでも頼られる存在。それが高齢者の生きがいに -高齢者に老後の不安についてのアンケートを実施してみると、どうやってやりがいや生きがいを見つけていけばいいのかという不安や悩みが多く寄せられている。 70歳を超えてもSNSをはじめ、若手芸人とのコラボなど精力的に活動を続ける巨人さんのやりがいや生きがいの見つけ方とは? 今年で71歳になるんですが、70歳って高齢者の入口ですから、若い人の気持ちと高齢者の気持ちの両方が理解できるんです。60歳とか65歳とかで何言うてんねん、70歳なんてまだ若いやんって言われますけど、急にきますからね。ペットボトルの蓋なんかどんだけ落とすか(笑)。今朝もポッと蓋を落としてしまったら、嫁はんに何落としてんのって指摘されましたけど、お前もあと1~2年でわかるわって返してます(笑)。 -歳を重ねることで、自身の行動のなかで物を落とす、本が捲れない、すぐ物を忘れる、覚えられないなど、今までなら普通にできていたことができなくなる事象が増えてくる。 自らの身に起こるそれらを通して老いを感じている人の気持ちは、実際になってみないと理解できないと巨人さんは言う。 今まで普通にできていたことがどんどんできなくなっていくんですから、本人に生きがいを探せって簡単に言うたらいかんと思うんです。自分では探せません、それはやっぱり周りが見つけてあげることが大事。折り紙で珍しいのを折るでもいいし、歌が好きならそれでもいい。昔好きだったこととか、個人個人が違って当たり前なんですよ。 -さらに、高齢者にとって他人に求められることの効果についても続ける。 僕も定期的にやっているSNSやブログですが、本当は辞めた方が楽なんです。でもやっていなかったら家で何してるんかな?って考えた時に、この言葉はいいな、人を傷つけない言い方はなどを考えながらね。僕の発信を楽しみにしてくれている人もいますし、自分の勝手な思いですが、多少のボケ防止にもなってるんかなって。高齢者って人に物をあげるの好きでしょ?この歳になっても頼られるって嬉しいんですよ。だから、「おばあちゃんこれお願い」など頼ることで、高齢者に目標を持たせてあげるって大切なことですよね。 坂田師匠を見ると「俺はもうええかな」って思う(笑) その日その日の楽しいことを積み重ねていくのが秘訣 70歳の声を聞いてから引退を意識するようになりました。息子に、そろそろ辞めて沖縄に住んだらええんちゃう?って言われるんですけど、暑いの嫌やし、虫嫌いやし、嫁はんはついてこないなとか考える時はあります。吉本の110周年の後はどうするか、自分たちの50周年もありますが、今はそこまでは考えなくてもいいんちゃうかな。歳を重ねてくるとなかなか先のことをポジティブに考えることが難しくなるじゃないですか。だから、何年後のことではなくて、その日その日の楽しいことを積み重ねていくことが大切。いつまでも燃えてるのって西川きよしさんくらいちゃうの?きよし師匠を見るともうちょっと頑張った方がええんかなって思うし、坂田師匠を見るともうええかなって思うね(笑)。 生きるっていうことは周りの支えが大切になる -70歳を超えてから少しずつ引退を意識してきたという巨人さん。その先にある〝死〟について考えることはあるのだろうか。 友達や先輩方の葬式に行くと、そのうち行くからねと手を合わせています。自分が亡くなったら天国で会えるのかなと漠然と考えることはありますが、まだ間近に死を意識することはあまりないですね。自宅の庭に雀が来るんですが、その中に体が弱いのか怪我をしているのか動きが不自由な雀がいて、いつもその周りに別の雀が寄ってきて餌を口移しであげているんです。やはり生きていくには、周りの支えってすごく大切なんだなと実感しました。そういう意味でも、高齢者にとって〝笑い〟は大きな支えになると思うんです。笑うことが病気の予防にもつながるみたいですしね。 笑いの力で高齢者の皆さんが笑顔になってくれたら 一通の手紙から始まったオンラインコンサート -〝笑い〟のある介護レクリエーションをオンラインで提供する「よしもとお笑い介護レク~オンライン~」が2021年からスタート。そのキックオフイベントとなる巨人さんのコンサートには、日本全国1730施設2万人の高齢者が参加した。 ある高齢者の介護を担当されている方から一通の手紙をいただいたんです。そこには、おばあちゃんが巨人さんを大好きで、毎日巨人さんの歌を歌っている。うちの介護施設では全員がその歌を歌えるようになりましたって。そのおばあちゃんに会いに行きたいなと思ったんですがコロナ禍では実現が難しくて、僕の歌で元気になってくれるならオンラインでやってみようというのがきっかけになりました。 〝笑い〟がもたらす力で生活にいつもと違った刺激を -3ヵ所で始まったオンラインでのコンサートは10~15ヵ所と次第に増えていき、前述したキックオフイベントでは1700ヵ所以上となった。 コロナ禍ではみんなが集まるような機会も少なく、久々に集まって楽しめたなど多くの喜びの声をいただきました。僕の歌でよかったら、介護施設の自分の部屋でじっとしているよりも、広いところに集まって楽しんでもらえたらいいですね。今後の計画として吉本110周年で全国をまわるので、コロナの状況次第にはなりますが、その時に近くの介護施設を訪れてリアルなコミュニケーションを取れる機会を持てたらと考えています。高齢者の生活にいつもと違った刺激があればいいなと考えていて、それには〝笑い〟が一番いいと思うんです。高齢者が少しでも笑顔で毎日を過ごせる。僕たちも〝笑い〟の力で少しでも貢献できたらと思います。 「よしもとお笑い介護レク~オンライン~」って!? 芸人を派遣する吉本興業、通信回線やシステムを提供するNTT東日本神奈川事業部など5社が連携。実証実験を重ね、全国の介護施設とオンラインでつなぐ仕組みを整備した。 レクリエーション介護士資格を取得した吉本興業所属のタレントを中心に提供する「お笑い」と「介護レク」を合わせたレクリエーションプログラム。ゲームや音楽、体操、ワークショップなど、認知症予防や健康維持、QOLの向上を目的に、介護施設などで実施中。コロナ禍でレクリエーションの機会が減ってしまった介護施設に向けて、2021年にオンライン版もスタート。 「よしもとお笑い介護レク~オンライン~」の詳細はこちらをご覧ください
2022/10/06
認知症は、今や誰にとっても身近なことです。一方で認知症への理解や関心は個人差が大きく、誤解や思い込みが認知症に対するネガティブなイメージを生み出しています。 今回は、認知症を理解するきっかけになればと、世界アルツハイマーデーに合わせて公開された認知症疾患の啓発動画を紹介します。 「知ることから、やさしくなれる」2本の動画 認知症の症状は、原因となる疾患や個人により異なります。 周囲の人がそれぞれの症状の意味や本人の想いを知り、誤解や思い込みを解くことが認知症の人の不安を取り除く第一歩になります。 そこで認知症相談サイト「相談e-65.net(そうだんイーロゴ・ネット)」では、9月21日の世界アルツハイマーデーに合わせ「知ることから、やさしくなれる」をコンセプトとした2本の動画を公開しました。 この動画は、世の中の認知症への理解を深め、認知症の人やその家族が幸福で肉体的、精神的、社会的に満たされた状態になることを目指すという意図があります。 2つの症状を題材にした家族の物語 動画のタイトルは「日々はつづいていく」です。「ないわけない篇」と「タイムスリップ篇」の2本あり、私物を盗られたという妄想と、記憶が過去に戻ってしまうという比較的広く知られている症状が題材となっています。 「ないわけない篇」の物語は、かつて高校教師だった母が認知症と診断されて半年、娘は母の病気のことを理解しているつもりでも、どこか受け入れることが出来ない自分に歯がゆさを感じていました。一方の母も、これまでの自分ではなくなっていくような感覚に戸惑いを感じている...という、母と娘の物語です。 この物語は、自分の財布がどこにあるかわからなくなった母が娘を問い詰めるところから始まります。毎度のことにうんざりしていた娘でしたが、あるとき母のイライラの裏側にある不安に気付く、というストーリーです。 「タイムスリップ篇」では、ヘルパーの青年が登場します。教師だった母はヘルパーさんのことを自分の教え子だと勘違いしてしまいます。ヘルパーさんは母に合わせて会話をしてくれる...2人のやり取りを見ながら、母の本当の気持ちを知る娘というストーリーです。 この記事を読んでいるあなたの周りにも、このような症状の人は居ませんか?まずは「知ること」から、認知症について理解を深めてはいかがでしょうか。
2022/10/05
生活協同組合パルシステム神奈川が、相模原市内で高齢者専用の配達コースを試験的に開始しました。 この取り組みでは、商品受け渡しの際に、体調や日々の困りごとの聞き取りをおこない、福祉事業とも連携。利用者とコミュニケーションを積極的に取り、暮らしに寄り添っていくそうです。 地域見守りサービスも兼ねて 高齢者の配達コースは、相模原市南区の一部地域でパルシステムを利用する約90世帯が対象。週1回、決まった曜日・時間にほぼ同じ職員が訪問し、商品を届けると共にコミュニケーションを取り、利用者に体調不良など異変があった場合は、自治体や警察、消防に通報します。 これは神奈川県と締結する「地域見守り活動に関する協定」に基づいており、配達担当者は下記の専門講座を受講して、利用者の相談にも対応できるよう教育を受けています。 介護サービスの基礎知識認知症サポーター養成講座シニア世代の食事バランス講座 なお対象地域は、相模原市の相武台団地・上鶴間・東林間・南台。対象年齢は70歳以上です。 需要が拡大する宅配サービス 現在、パルシステム神奈川の利用者は約1万6000人。5年前と比べると170%も増加しています。コロナ禍の影響もありますが、それだけ需要があると言えるでしょう。 配達と共に生活面のサポートサービスは、一人暮らしの高齢者、親族も安心できます。この取り組みが全国に広まっていくと良いですね!
2022/10/04
財務省が推進する要介護1、要介護2の高齢者に対する訪問介護と通所介護を市町村の総合事業にする案ついて、行政と実務を預かる介護現場の間で議論が白熱しています。 介護費の現状を協議 今回の審議会は、「膨らみ続けている介護費を支えるための負担のあり方」を議題として取り上げたものとして注目が集まっています。厚生労働省は、2024年度の制度改正に向けた議論を進めていて、財務省がこの案の実現を後押ししています。 会議では保険料を負担する現役世代や企業などの立場を代表する委員も加わり、活発な議論を展開。介護費の増加を抑制するために、重度者の支援するための給付を手厚くし、軽度者サービスをより効率的にするべきとの声があがりました。 議論は概ね、これまでの財務省の主張が肯定された形となっています。 厚労省が目指す総合事業とは 今回の厚労省案の根幹を担うのは、総合事業の自由度の高さです。 総合事業は全国の画一的ルールによる介護給付と違って、運営する市町村が地域の実情に応じてサービスの運営基準や報酬などを独自に決められるものです。 例えば、地域住民やボランティアを事業の担い手にして人員配置を減らすなど、実情に合わせた低めの報酬を設定することも可能。こうした総合事業の対象として、要介護者の訪問介護、通所介護などが挙げられています。 しかしながらこれらの事業は労働の対価として見返りが少なく、地域ボランティアを活用するサービスは十分に普及しているとは言い難い状況です。 介護現場は猛反発 要介護1、要介護2の訪問介護と通所介護も含める案に対して、当日の会合では介護現場の強い反発が出るなど、現場の現状が改めて浮き彫りになりました。 高齢者を介護している現場と介護の実情を情報としてだけ捉えて判断する行政。今回の議論をぜひ前向きに、現場と行政の両者が納得できる結論を見出して欲しいですね。
2022/10/04
少子化に歯止めがかからない日本において、子供の割合が減ることによって予想される事態は、社会全体に影響を及ぼす可能性があります。そのため、少子化は決して他人事ではありません。そうした状況を定期的に調査している「人口動態統計」を厚生労働省が2021年の公表しました 出生数より死亡数のほうが多い 昨年(2021年)の出生数は81万1622人で前年から2万9213人減少。新型コロナウイルス感染症が流行する中では「妊娠→出産」を控えるカップルが少なくないと指摘されますが、「80万」を切る勢いで減少しています。 また出生率は6.6で前年(6.8)から0.2ポイント低下、さらに1人の女性が一生の間に産む子供の数は1.30で前年(1.33)から0.03低下しました。 一方、死亡数は143万9856人で、前年(137万2755人)から6万7101人の増加となり、「戦後最多」となっております。 少子化が引き起こす諸問題 以下に具体的な問題点を紹介します。 1.経済規模の縮小 子供の数が減少すると、日本全体の人口は減少してしまいます。国内総生産(GDP)全体にも影響を及ぼし、国の経済規模が縮小することで、結果として個人の豊かさに影響を及ばす可能性があります。 2.労働者不足 子供の数が増えないと、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)も減少します。 近年ではロボットやAIも労働者不足を補う役割が期待されていますが、その可能性は未知数であり、根本的な労働力不足解消にためには、少子化を食い止めることが必要です。 3.社会保障の持続性 現役を退き、年金暮らしを送る高齢者にとっても、他人事ではありません。 2050年には高齢者1人に対し、現役世代(15歳から64歳)は1.3人まで減少すると推計されています。高齢者の年金受給を支えるため、現役世帯から徴収する全体の保険料も減少し、受給額や保険料の見直しを余儀なくされ、世代と世代の支え合いとされる年金制度の持続性が危ぶまれます。 4.ライフスタイルの変化 日本の人口規模の水準を維持するには、出生率が2.07必要とされています。 しかし、非正規社員などで雇用が安定しないことから、結婚に踏み切れず、晩婚化・非婚化も進んでいますむ。また、ライフスタイルの1つとして、結婚や出産をしないという選択肢を取る人たちも増加傾向にあり、少子化のリスクは避けられない情勢です。 今後の日本 この少子化傾向が続くと、人口減少は加速度的に進行し、21世紀半ばには総人口は 1億人を割り込み、2100年の総人口は現在の半分以下になると見込まれます。 経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわる問題になるので早急な少子化対策が必要になります。
2022/09/29
近年、終活(しゅうかつ)という言葉をよく耳にするようになりました。終活とは、人生の総括をして自身の終わりに向けて準備をしておく活動のことで、関連本が多く出ていたり、必要なことをまとめておくエンディングノートの売れ行きも好調で話題になっています。 しかし情報が多くなった分、何から手を付ければ良いかわかりにくい面もあるでしょう。こうした終活の正しい知識の普及や認知の取り組みが全国の自治体で進められています。今回はその一例を紹介します。 京都府、老いじたくについて学ぶ講座 京都府福知山市では最期まで自分らしい人生を送るため元気なうちから老後や死後についての準備をする、老いじたくをコンセプトに無料講座がおこなわれています。講座は10月、11月に開催され、計4回あります。 内容について テーマは、毎年少しずつ変えているそうですが、大きく分けて介護保険、相続、健康な体”作り、薬の正しい使い方について専門家を招いて話を聞きます。今年は、昨年の受講者から要望の多かった、薬の正しい飲み方や使い方について、薬剤師から教わる項目が加わるそうです。 人気から伺える関心の高さ この取り組みは、市の社会福祉協議会主催で2015年からおこなわれています。毎回、募集開始からすぐに定員に達してしまう人気だそうで、終活に関する関心の高さが分かりますね。講座が終わると社協オリジナルのエンディングノート、未来ノートがもらえます。ノートには、自分の人生の記録、資産情報や遺言などの意向を書き留めることができ、生前知られたくない情報を密封できるシートもついています。 気軽に始められることが大事 今回紹介した講座のように必要な事柄ごとに専門家に話が聞ける機会がある事は、終活をしてみたいと思っても、どうしたらいいか分らなかったり難しく考えて踏み出せない人の手助けになると感じました。こうした取り組みで終活を気軽に始められる人が増えていくと良いですね。
2022/09/29
毎年9月21日は、国際アルツハイマー病協会と世界保健機関(WHO)が共同で「世界アルツハイマーデー」と制定しています。9月を「世界アルツハイマー月間」と定め、世界中で様々な取り組みがおこなわれます。 今回は、世界アルツハイマー月間に合わせて日本各地でおこなわれているライトアップのイベントを紹介します。 奈良県奈良市から 奈良市役所本庁舎では、18日からオレンジ色のライトアップが実施。この取り組みは、公益社団法人「認知症の人と家族の会」県支部によるものです。 点灯は、22日までの午後6時〜9時。21日午後7時からは、動画投稿サイト「ユーチューブ」で全国各地のライトアップの様子がライブ配信されました。 長野県伊那市から 伊那市高遠町では、高遠ダムがオレンジ色にライトアップされ、温かみのある光が周囲を照らし出しました。 高遠ダムのライトアップは昨年から実施され、3つのゲートそれぞれにオレンジ色のライトを当てて演出。点灯は午後6時半〜同10時にかけておこなわれました。 高遠ダム管理所の担当者は、「認知症を正しく知って理解を深めてもらうことで、偏見なく誰もが仲良く暮らせることにつながってほしい」と思いを寄せています。 栃木県足利市から 足利市では、福居町のトチセン(旧足利織物)赤レンガ捺染(なっせん)工場、サラン工場、史跡足利学校、足利織姫(おりひめ)神社の3ヵ所でオレンジ色のライトアップがおこなわれました。 活動に取り組む「RUN伴(とも)+足利・佐野実行委員会」が中心となり、2020年からライトアップをおこなっています。 同会の代表、柳義則(やなぎよしのり)さん(45)は「ライトアップを見て、誰にでも起こり得る認知症について少しでも考えてほしい」と話しています。 ライトアップは日没から。足利学校は午後9時まで、トチセンと織姫神社は午前0時までおこなわれました。 各地のライトアップイベントを通して、認知症への理解が一段と深まることが期待されますね。
2022/09/28
今年の厚生労働白が16日に発表されました。今回は白書の中で示された介護職員の離職率について紹介します。 白書とは 各省庁が担当する行政の現状や解決すべき課題や、目標などをまとめて発表するもので、通常毎年発表されます。国の考え方が反映されているので、今後の政策の方向性を読み取れます。厚生労働白書は厚生労働省から発行されている白書ということです。 介護職員の離職率の全体の数字は良くなっている? 白書によると、介護職員の離職率は低下傾向にあります。 2020年度は14.9%で前年度より0.5ポイント、10年前から比べると2.9ポイント低下。他の職業の離職率は全体で14.2%のため、大きな差はありませんでした。 事業所ごとで違う二極化 一方で、事業所ごとに見た離職率にはばらつきがあるとしています。 同じ2020年度の統計を事業所別に見ると離職率が10%未満が46.6%ですが、30%以上の事業所も18.2%もあることがわかりました。 白書によると、こうした二極化の動きは小規模の事業所で顕著だそう。職員が9人以下の事業所の例では、離職率が10%未満の事業所が49.7%と高い水準ですが、離職率30%以上の事業所も28.9%と、一定数存在している状況です。 離職理由で多いのは 介護職員が離職を検討する理由としては、「職場の人間関係」「事業所の理念・運営のあり方」「結婚・出産」「収入が少ない」といったことがあり、仕事を選んだ理由と実際の仕事との間にギャップがあると、離職につながる可能性がある、と指摘されています。 今後の改善に期待 介護人材の人手不足は以前から言われていた課題ですが、人が増えれば良いという事ではないようです。職員の定着率を上げるには、さまざまな対応が必要になることが分かりました。 簡単な事ではないかもしれませんが、こうした問題が改善されれば介護の質が上がり利用者のメリットにもつながります。今回の白書がより良い改善のきっかけになることが期待されます。
2022/09/27
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。