ニュース
今月14日、政府の閣議で2022年版の「高齢社会白書」が決定。超高齢社会である日本の最新の状況が明らかになりました。 それによると、65歳以上の高齢者がいる世帯が全世帯の半数近くを占めており、中でも高齢者のひとり暮らし世帯が増加しています。 それによって問題となるのが、高齢者の孤立の問題。今回の高齢社会白書では、高齢者の生きがいについても調査されており、社会的なつながりが少ない人ほど生きがいを感じていないということがわかりました。 加えて、スマートフォンなどのデジタル機器を活用していたりSNSを活用しているなど、ネットを活用している高齢者の方が生きがいを感じている傾向があることもわかっています。 ネットが高齢者の生きがいに? 今月14日、政府は閣議で2022年版の「高齢社会白書」を決定しました。 高齢社会白書とは、政府が高齢者対策の実施の状況や高齢化の現状をまとめて毎年提出している報告書です。 2022年度版は、世帯数などの基本的な情報に加えて、「高齢者の生きがい」に関する調査を初めて実施。それによると、生きがいを「十分感じている」「多少感じている」と答えた高齢者は、あわせて約70%という結果になりました。 さらに、高齢社会白書では「生きがいを感じている人が、どのように人とのつながりを持っているのか」についても詳細に調査しています。 特にデジタル機器を活用している高齢者は、生きがいを感じている傾向があることが判明。例えば、生きがいを感じている人で「ネットで情報を集めたり、ショッピングをする」人は約85%、「SNSを利用する」人も約85%という結果でした。 一方で、生きがいを感じている人で「情報機器を使わない」人は約50%にとどまっています。 孤立の解消にもつながる? 今回の高齢社会白書によって、デジタル機器の活用が高齢者の生きがいにつながる可能性があることがわかりました。 SNSなどのネット上のサービスは、手間がなく人との交流ができますし、オンライン会議アプリを使えば外出しなくても人と会えるので、体力的に移動が大変な場合でも顔を合わせて話ができます。 つまり、ネットサービスを活用することが高齢者の孤立の解消につながるかもしれません。 しかし、まだデジタル機器を持っていなかったり、持っていても使いこなせていない高齢者が多いのも事実。こうしたデジタル格差をなくすための根本的な政策が政府に求められていると言えるでしょう。
2022/06/21
2020年の特殊詐欺の被害件数は13550件、そのうち高齢者が被害にあったケースは11587件と全体の約85%を占めています。 アメリカでも高齢者の詐欺被害が問題となっており、詐欺被害に遭いやすい高齢者の特徴についての研究が進められています。 そこで、今回、南カリフォルニア大学は「孤独な高齢者が詐欺被害に遭いやすい」という研究結果を発表。高齢者の社会的つながりを強化するための取り組みの重要性を伝えています。 人間関係が良いと詐欺に遭いにくい? 南カリフォルニア大学が、詐欺被害に遭いやすい高齢者の特徴についての研究結果を発表しました。 この研究は、平均年齢65歳の26人を対象におこなわれたもの。心身の健康状態や認知機能、過去の詐欺被害の経験を調べ、6ヵ月にわたって追跡調査をおこないました。 加えて、調査では対象者の人間関係についても評価。「会話や議論をする頻度」「拒絶されたり孤独を感じる頻度」「人間関係が良くなることを望む頻度」などを質問して、対象者の社会的つながりが機能しているのかについても調べています。 その結果、所属している集まりなどの中で問題が増えたり孤独感が高まっていると、詐欺に遭いやすい心理状態になることがわかりました。 さらに、それと同時に対人関係がうまくいっていない高齢者も詐欺被害に遭いやすいことも明らかになりました。 こうした結果を受けて研究グループは「詐欺被害に遭いやすい状況の高齢者は予測可能で、詐欺にあわないためには対人関係を良好に保つことが重要」としています。 そして、高齢者を支援する団体は高齢者の社会的つながりを強めるための機会を提供することの重要性を主張しています。 親の交流関係に注意する 親が遠方に住んでいると、「怪しい電話が来たりしていないかしら」と心配になることもあるかもしれません。 今回の研究によると、親が地域の人とつながりがあるのかを知っておくことが詐欺対策に重要なようです。 加えて、なにかあったときに親がすぐに相談できる人がいるかどうかも大切。詐欺の電話がかかってきたときに相談できる人がいると、慌ててお金を支払ってしまうなどの被害に遭うことも少なくなるかもしれませんね。
2022/06/13
近年、地域住民の高齢化や過疎化、核家族化によって近所付き合いが希薄になりつつあります。 さらに、高齢化のみの世帯や単身高齢者世帯が増加。そのため、困ったときに頼れる相手がおらず、孤独感を感じている高齢者が増えているのです。 そこで、佐賀県佐賀市の町分地区では、有償ボランティアによる助け合い組織「町分おたがいさん」が発足しました。 この取り組みでは、電球交換や話し相手、草刈りなどといったことをボランティアに30分250円で依頼できるそうです。 地域の有償ボランティア団体 今月16日、佐賀県佐賀市の町分地区の公民館で助け合い組織「町分おたがいさん」の発会式がおこなわれました。 この組織は、町分地区の自治体が主体となって作られたもの。ボランティアが低額で住民の困りごとを引き受ける地域住民による団体です。 この組織のサポーターには、地域住民37人が登録。初めの1年間は、話し相手、草刈り、電球交換、ゴミ出しの4項目を中心に依頼を受けるそうです。 「町分おたがいさん」はボランティア団体ですが、依頼するのに料金が発生します。 依頼者は、1枚250円の4枚つづりのチケットを事前に購入し、サポーター1人30分の依頼ごとに250円を渡す仕組み。250円のうち50円は運営事務局の運営費となり、残りの200円がサポーターへの謝礼になります。 この取り組みで謝礼を取り入れたのは、「無料だと頼みづらい」という声があったから。依頼が減ってしまうと取り組み自体が継続できないので、少額でも費用が発生する有償ボランティアという形にしたそうです。 継続しやすい助け合いの形 ボランティアというと「無料で手伝ってくれる」というイメージがありますが、有料で依頼する有償ボランティアという形も増えてきています。 というのも、「無料だと依頼しにくい」という依頼者からの声に加えて、「交通費や備品費がかかるから参加したくない」と参加者が集まりにくいという問題があるからです。 そのため、経費として謝礼を渡すことで依頼者も頼みやすくなりますし、交通費や経費の負担が減るので、参加者のハードルが低くなって人手が集まりやすくなります。 つまり、有償ボランティアの方が将来的に継続しやすい形と言えますね。 今回の「町分おたがいさん」のように、自治会で有償ボランティア団体を作るのは珍しく、どの地域でもできることではないかもしれません。 まずは、自治体が主導して取り組むと、有償ボランティアという助け合いの形が広まりやすいのではないでしょうか。
2022/05/18
4月に入り、気温が25度以上になる日も増えるようになりました。 そこで、気になるのが熱中症。特に高齢者は熱中症リスクが高いとされており、毎年熱中症で救急搬送される人の半数近くが65歳以上の高齢者です。 そうしたことを受けて、ヘルスケア事業を展開しているベストリハ社はスマートバンド「ベストリハバンドPro」に「熱中症警戒アラート機能」を追加。スマートバンドを通して水分補給を促すそうです。 スマートに熱中症予防を テクノロジーを使った健康管理システムなどを提供しているベストリハ社が、自社のスマートバンド「ベストリハバンドPro」に「熱中症警戒アラート機能」を追加したことを発表しました。 この腕時計型のスマートバンドは、常に身につけていることで活動量や食事、血液データなどの管理が可能。酸素飽和度を測るパルスオキシメータや血圧計との連携も可能です。 さらに、遠方に住む家族がこれらのデータを確認をすることもできるので、高齢者の見守りや疾病予防も期待できます。 今回追加された「熱中症警戒アラート機能」は、心拍数や体表面温度の測定をすることで、深部体温が37.5℃以上になった際に水分摂取を促して熱中症を予防します また、総務省によると昨年6~9月の熱中症の救急搬送者数は4万6251人。そのうち高齢者は6割近くに上ります。 特に多いのが、住居の中で熱中症になるケース。高齢者は暑さに対する感覚が鈍くなるので、部屋の中が暑くても気が付かずエアコンを使わないために熱中症になることも多いそうです。 日常の健康管理にも 重症になれば命の危険もある熱中症。高齢者は暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなるうえに体温の調節機能が低下するため、若い世代よりも熱中症のリスクが高くなります。 そのため、熱中症を予防するために今回のスマートバンドのようなツールを活用してみるのも良いかもしれません。 このスマートバンドは、身につけるだけで体温や心拍数、睡眠状態などを自動で記録するので、普段の健康管理にも活用できそうです。 もちろん、それだけでなく普段から熱中症を予防することも大切。温度計や湿度計を使ったり、エアコンを活用するなどの対策を心掛けていきましょう。
2022/04/26
世界一の人口を誇る中国。それだけに高齢者の数も多く、65歳以上の人だけでも日本の全人口を上回ります。 しかし、高齢者の生活を支援する体制が整っておらず、中国でも少子高齢化が社会問題になっています。 そんななか、在日中国人向け情報紙『東方新報』は、政府がネットサービスなどを高齢者に配慮した形で提供するように各企業に求めていることを報じています。 中国の「適老化」「9073」に注目 在日中国人向けの中国語新聞『東方新報』が、中国で注目されている「適老化」「9073」というキーワードについて報じました。 「適老化」とは、高齢者への生活支援や高齢者が使いやすいサービス作りといった、高齢者に配慮して環境を変えること。まだ高齢化率はさほど高くないものの、全人口が多い中国では高齢者の人口も多いため、高齢者に優しい社会の実現が早急に求められているのです。 こうした動きの背景には、日本よりも「親の介護は子どもがするもの」という意識が強いことがあります。 日本の厚生労働省にあたる国家衛生健康委員会は、中国の伝統的な家族観に基づいた「9073モデル」を推進することを表明。これは、自宅で過ごす高齢者が90%、地域のコミュニティで過ごす人が7%、施設に入る人が3%という意味で、基本的には在宅介護を前提としている施策です。 しかし、「一人っ子政策」の時代に生まれた子どもが介護をする世代になると、介護の担い手が足りなくなり今のままでは親を支え切れないのが実情です。 そこで中国政府は、SNSやショッピングサイトといったネットサービスを高齢者が使いやすいように変更することを各企業に指示。ネット経由で配食サービスやタクシーの呼び出しといったサービスを高齢者が活用することで、老後も自宅で暮らしやすい環境づくりを推進しています。 ネットサービスが高齢者を助ける? 2020年時点では高齢化率が13.5%の中国。高齢化率はそれほど高くはありませんが、それでもその数は1億9000万人と非常に多いのです。 ただ、日本と比べると介護サービスなどの高齢者を支えるサービスが浸透していないのが事実。そのうえ介護分野の人材不足が日本よりも深刻なため、それをネットサービスやテクノロジーで解決しようとする動きが高まっているようです。 しかし、最新の技術やサービスに高齢者はすぐにはなじめない様子。近年、急速に進むデジタル化に高齢者が取り残されないように取り組んでいるのは、日本も中国も同じようです。 日本での取り組みについては、以下の記事で紹介しています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-6883/ これからは、高齢者に配慮したネットサービスの提供が世界共通で求められているのかもしれませんね。
2022/04/25
世界一の高齢化が進んでいる日本では、同時に認知症の患者数も増加しています。厚生労働省が発表している試算では、2030年には約740万~830万人になるとしています。 だからといって、認知症への理解が進んでいるとは言えないのが現状。社会環境の整備も進んでいません。 そこで「認知症官民協議会」は「認知症バリアフリー宣言」という制度を開始。従業員の認知症の理解を進めたり認知症の人が利用しやすいサービスづくりをしている企業の支援をしています。 認知症への理解を広める取り組み 認知症官民協議会は、先月23日に総会を開いて「認知症バリアフリー宣言」をした18の企業や団体を発表しました。 「認知症バリアフリー宣言」とは、認知症の人が暮らしやすいサービスを提供したり環境を整備している団体がおこなうもの。同協議会は「認知症バリアフリー社会実現のための手引き」を公開して、環境づくりをする団体を支援しています。 例えば、総会で取り組みを紹介した大手スーパーのイトーヨーカ堂では、従業員の「認知症サポーター」の講座受講を推進。地域包括支援センターと連携して、社内講座や地域住民向けの講座を開催しているそうです。 さらに、従業員の介護休業を取りやすくするために制度を整備。加えて役職別のセミナーを開催したり、「介護ハンドブック」を作成して従業員の介護休業への理解を進めています。 また社内向けの取り組みだけでなく、認知症の人が買い物しやすい店舗づくりも実施。認知症サポーターの育成によって従業員の接客応対の質を上げるだけでなく、「おもいやり優先レジ」を設置して認知症の人や妊婦、障がいのある人がゆっくり会計できる環境を整えているそうです。 家族や自分が認知症になることも…。 今後、高齢化によってさらに認知症の人は増えると予測されています。そのため、認知症への理解を深めることが重要になってきますが、そうは言っても身近にいなければどうすればいいのかわからないのが本音ですよね。 そこで、認知症サポーターの講座を自分の職場や身近な場所で開催してくれると、参加しやすくなるかもしれません。 また、スーパーなどの生活に密着したお店が認知症の人が買い物しやすいような環境になっていれば、認知症を抱えながら暮らしている人も安心して生活できますよね。 それに認知症への理解が広まっていけば、もしかしたら認知症の人の助けになるような商品がもっと増えていくかもしれません。 将来的に、家族や自分が認知症になることは十分ありえること。認知症の人が暮らしやすい環境を多くの企業が作ってくれると助かりますね。
2022/04/08
自動車運転免許を自主返納する高齢ドライバーは増加傾向にあります。 2016年の自主返納者数は34万5313人でしたが、2020年には約55万2400人に。新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年には、過去最大の約60万1000人になっています。 このように自主返納するドライバーが増える一方で、買い物するのが不便になるため返納ができない人も。そこで、「パルシステム茨城 栃木」では運転免許を自主返納した高齢者を対象に手数料を無料にすることを発表しました。 免許返納で手数料ゼロに パルシステム茨城 栃木は、運転免許を自主返納した高齢者を対象に手数料204円を無料にすることを発表しました。 これまでも単身高齢者世帯もしくは高齢夫婦のみ世帯には、手数料を半額にする制度を設けていました。今回は、それに自主返納者も対象に追加。そのうえ自主返納者は手数料を無料にして、自主返納をする支援をおこなっています。 こうした支援を開始した背景には、配達エリアである茨城県と栃木県の高齢化率の上昇があります。両県の高齢化率は茨城県29.7%、栃木県29.1と年々上昇しているそうです。 加えて、65歳以上の高齢者がいる家族形態の全国平均は、夫婦のみ世帯が40.4%、単身世帯19.6%という厚生労働省の調査結果もあります。 また両県内では、食品や日用品を買える店舗が減少。公共交通機関が撤退するなど移動手段が自動車に限られることによって、高齢者の自動車での交通事故も問題となっていました。 そこで、今回の取り組みによって免許返納後の買い物の支援をおこなうことにしたそうです。 買い物の荷物運びがネックに 運転免許を返納する人は増えていますが、返納後に買い物などの生活が難しいことから返納ができない人がいることも確かです。 ちなみに、神奈川県横浜市の泉警察署が免許を返納した人を対象におこなったアンケートによると、免許返納後に不便に感じることは、買い物の荷物運びを挙げる人が多かったそうです。 このアンケートは地域こそ異なりますが、車がないと買い物をするのが大変になるのは多くの地区で起きている問題と言えるでしょう。 そこで、今回のパルシステムの取り組みのように宅配サービスが利用できると、免許を返納する後押しになるかもしれませんね。 多くの地域で免許を自主返納した人への特典や支援がおこなわれているので、住んでいる地域の警察署などで特典内容を確認してみるのも良いですね。
2022/04/04
「減塩」という言葉について、どんなイメージを持っているでしょうか。 「健康的」というプラスのイメージを持っている人もいれば、「味が薄そう」「値段が高い」などのマイナスイメージを持っている人もいるかもしれません。 また、高齢者に多い高血圧の改善には、塩分を控えることは重要。しかし、コンビニやスーパーの惣菜で済ませていると、どうしても塩分の摂取量が増えてしまいがちですよね。 そこで、厚生労働省は食品メーカーなどと協力して減塩食品を広める「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」を設立しました。 このイニシアチブでは、栄養に関する健康問題を解決するために広く消費者に情報発信などをしていくそうです。 国・研究機関・企業が減塩に取り組む 厚生省は今月9日、産官学で栄養による健康問題の解決に取り組む「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」を設立しました。 このイニシアチブは、「食塩の過剰摂取」「若年女性のやせ」「栄養格差」などの栄養問題を解決するために、各社の商品開発を後押ししたり、消費者への情報発信などを進めていくそうです。 特に「食塩の過剰摂取」は全世代が生涯にわたって取り組む課題と位置づけて、優先的に対応していくべき問題としています。 ちなみに、日本人の食塩摂取量は1日10.1グラム。WHO(世界保健機関)が推奨する1日5グラム未満の約2倍の量です。 そういった原因もあり、成人男性の30%、女性の25%が高血圧という調査結果も。高血圧は脳卒中や心臓病の原因ともなるため、一刻も早く塩分摂取量を減らすことが求められています。 しかし、生活習慣を変えるには個人の努力では限界があります。そこで、設立されたのがこのイニシアチブです。 このイニシアチブで国や研究機関、メーカーやメディアなどの企業が手を組むことによって、「誰もが自然に健康になれる食環境づくり」を目指すそうです。 例えば、消費者が無理なく塩分の摂取量を減らせるように企業が美味しい商品を開発したり、消費者が適切な栄養知識を手に入れられるようにメディアが情報発信をするなど、「無理なく減塩」ができる環境を目指します。 美味しく自然と減塩できる社会に 塩分量を気にした方が良いと思いつつも、しょっぱいものの方が美味しく感じられて味付けが濃いものを選んでしまうことってありますよね。 でも減塩商品が美味しければ、自然とそちらを選ぶのではないでしょうか。 自分で意識して塩分を控えるのはもちろん大切ですが、減塩商品が当たり前になって健康になれるような商品が増えていくことに期待ですね。
2022/03/14
東京都が「高齢者の特性を踏まえたサービス提供のあり方検討会」で、民間企業が高齢者にサービスを提供するときの留意点などをまとめた報告書を公表しました。 この報告書では、認知能力や判断力が低下して支払いにとまどったり機械の操作ができないといった高齢者への支援を事例で紹介。丁寧にフォローすることで、企業やブランドのイメージの向上にもつながるとしています。 高齢者を”置いてけぼり”にしないために 東京都は有識者でつくる「高齢者の特性を踏まえたサービス提供のあり方検討会」の報告書を公表しました。 この報告書によると、2050年には東京都の65歳以上の高齢者は総人口の3割を超えるとしています。 そのため、業界を問わず高齢者に配慮したサービス設計が重要。これからは、身体障害に配慮したバリアフリー化だけでなく「認知機能に着目したバリアフリー社会」をつくっていくことが求められると述べています。 例えば、近年進められているサービスのデジタル化やオンライン化を高齢者にも配慮すること。高齢者の多くがスマホを利用していますが、ネット上の手続きや決済までできるとは限らないそうです。 さらに、タッチパネルなどの機器を導入する際には、ボタンを大きくしたり操作回数を減らすなどの、操作性やデザインにも注意が必要とのことです。 また、報告書では「近所付き合い」についても触れています。 それによると、高齢者の近所付き合いの程度は徐々に減少。2005年度の調査では「お互いに訪問し合う人がいる」と回答した人が26.1%だったのに対し、2020年度には12.1%まで低下しています。 マンションや借家だったり、1人暮らしや夫婦のみ世帯が増加している影響で地域とのつながりが希薄化しているとのこと。そのため、困ったときに相談に乗ってくれるサービスを求める高齢者が今後増えるとしています。 また、こうした地域のつながりの場をつくっている企業の事例も紹介しています。 例えばドラッグストア大手の「ウエルシア薬局」では、全国366店で「ウエルカフェ」というフリースペースを展開。地域包括支援センターと連携して認知症カフェを開催したり、フレイルチェックなどのセミナーを開催しているそうです。 全世代が使いやすいサービスを 高齢化がさらに進んでいく日本において、高齢者向けのサービスでなくても高齢者が使いやすいように配慮することは避けられません。 「高齢者ばかりを優遇して」と憤りを感じる人もいるかもしれませんが、高齢者が使いやすいということは、他の世代や多様な背景を持つ人の使いやすさにもつながるでしょう。 「寛容さを持ったサービスを提供している」と、プラスの面に目を向けることで全世代が暮らしやすい社会になっていくのではないでしょうか。
2022/03/08
ごはんや肉じゃが、ハンバーグなど和洋中問わず、幅広い料理が食べやすく調理されているレトルト介護食。食材を小さくきざんだりとろみをつけたりと、自宅ではなかなか手間のかかる介護食が温めるだけで準備できるのでとても便利ですよね。 そのなかでも珍しいのが、「吉野家」の牛丼の介護食。お店で食べる”あの味”はそのままに、噛む力が弱まっている人でも食べやすいように工夫されています。 また今回、この介護食の牛丼を移動スーパーで販売することになったそうです。 「買い物難民」を支えるスーパーに牛丼が 全国で1200店舗を展開している吉野家が、高齢者向けレトルト食品「やわらか牛丼の具」を移動スーパーで販売開始することを発表しました。 この牛丼は、吉野家のお店の味をそのままに、噛む力が弱まっている高齢者でも食べやすいように工夫。お店のものよりも牛肉・玉ねぎを細かくきざんだりとろみをつけたりと、介護食ならではの難しさがあったそうです。 特に難しかったのが塩分の調整。店舗の味付けよりも塩分量を少なくしつつ”吉野家の味”を再現する必要がありました。 そのため、吉野家の牛丼のたれを分析して、素材を置き換えたりして低塩とお店の味を両立させたそうです。 また、この牛丼を販売する移動スーパーは、全国で約950台もの軽トラックを稼働させている「とくし丸」。大型スーパーの出店で近くの商店街がなくなってしまったり、高齢になって買い物に遠出ができなくなった高齢者が多く利用するそうです。 「スーパーまで行くのは大変だけど、自分で見て選んで買い物をしたい」という高齢者が多く、ときには利用客のリクエストの商品を乗せることもあるそう。週に2回、同じ地域を回るため、そのような「御用聞き」の役割や「見守り」も兼ねているとのことです。 あえて”ファストフードの介護食化”が良い? 「高齢者が好きな食べ物」というと、天ぷらや寿司などの和食をイメージしがちですが、それだけではなくてハンバーガーなどのファストフードが好きな人も多くいるそうです。 吉野家が牛丼を販売してから約50年なので、当時から食べていた人が高齢になっていると考えれば自然なことなのかもしれませんね。 しかし、飲食店がある駅前まで行くのは高齢者にとっては大変だったり、介護施設に入居しているとファストフードを食べることはまずできません。さらに若者向けに作られているので、量が多すぎたり食べにくい点も問題です。 そのため吉野家のような、”ファストフードの介護食化”が高齢者に喜ばれるのかもしれません。 もうすでに「高齢者は和食が好き」という時代ではないみたいですね。
2022/03/07
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。