light icon

特集

Q&A

老人ホームに入居する、なんていう経験は人生でもそうあるものではありません。当然、わからないこと、不安なこと、疑問などなど、頭の中が「?」マークでいっぱいになっていることでしょう。そんなアナタに、自称“日本一、老人ホームの入居相談を受けてきた男”こと「いい介護」入居相談室の室長・北野が、みなさんの疑問・質問にお答えします!
#認知症 #施設入居 #在宅介護

母親が認知症かもしれません。帰省したときに様子がおかしくて心配です

遠方にある実家に1年ぶりに帰省したら、母の様子がおかしくて心配です。母は一人暮らしなのですが、これまでは問題なく1人で生活できていました。ですが、先日、帰省したときはお惣菜のパックがキッチンに散乱し、ゴミは分別もされずに溜まっていました。 母は料理が得意だったのに、最近はしていない様子。「年を取ると料理するのもゴミ出しも億劫になっちゃって…」と言っていましたが、家の中の様子は異常でした。それに、数日前に私が伝えていたのにも関わらず、帰省のことすらも忘れているようでした。 母は80歳超えているので「年のせいかな」とも思うのですが、1年前とあまりにも様子が異なるので「認知症かも」とも考えています。 (竹田さん・パート・63歳) 「家の中が散らかっている」というのは、認知症である可能性が高いです。そのほかの前兆としては「家電の操作がわからない」「性格が変わった」などがあります。もし、心当たりがあったら、早めに認知症検査を受けることをおすすめします。検査の結果、認知症だった場合は、介護サービスを使いながら一人暮らしを続けたり、老人ホームに入るなどの介護の体制を早めに整えましょう。 親の認知症を疑うポイント 先日、1年ぶりに実家に帰省したところ、母の様子がおかしくて心配です。母は料理するのが好きな人だったのに、しばらく料理をした様子がなく、キッチンにはお惣菜のパックが散乱。洗っていない食器がシンクに置きっぱなしでゴミも分別せずに部屋の隅にまとめてありました。母に聞くと「年を取ると料理するのもゴミ出しも億劫になっちゃって…」と答えていましたが、明らかに家の中は異常でした。母は80歳を超えていますし「年のせいなのかな」とも思うのですが、あまりの異常さに「認知症になってしまったのかも」と心配なんです。認知症かそうでないかは、どうしたら見分けられるでしょうか? うーん、かなり心配な状況ですね。「久しぶりに帰省したら、親の様子がおかしい」というご相談はよく伺います。例えば、以下のような兆候があったら、認知症の疑いが高いので早急に検査を受けることをおすすめします。 約束や予定を忘れる 家の中が散らかっている 家電の操作がわからない 服装が不潔、季節に合っていない 性格が変わった 約束や予定を忘れる 認知症の代表的な症状のひとつに「記憶障害」があります。これは、直近の出来事を忘れてしまう症状。進行すると数十分前の出来事も忘れてしまいます。そのため、何か約束していたことや病院などの予約を忘れている様子があったら、認知症の可能性があります。 でも、高齢になれば誰でも忘れっぽくなりますよね? おっしゃる通り、高齢になると物忘れをしやすくなります。が、認知症の物忘れは「予定していたことそのものを忘れる」のが特徴です。加齢による物忘れが「あの予定は何時からだったっけ?」という忘れ方なのに対し、認知症による物忘れは「そんな予定入れていたっけ?」と予定を入れたことが完全に頭から抜け落ちてしまいます。 そういえば、実家に帰る数日前に電話で帰る日時を伝えておいたのですが、母は私の帰省だけでなく電話したことも忘れていた様子でした。やっぱり認知症なのかも…。 家の中が散らかっている 家の中が散らかっているのも、認知症の兆候なんですね。 はい。以前は家の中の片付けができていたのに急にできなくなるのは、認知症によって脳の機能が低下したことによるのかもしれません。認知症になると、具体的に以下のように家の中の整理などができなくなります。 ゴミが溜まっている シンクに汚れた食器などが置きっぱなし 冷蔵庫に腐ったり賞味期限切れの食品がある 同じものをいくつも買っている ティッシュペーパーやトイレットペーパーを補充していないト 「ゴミが溜まっている」「シンクに汚れた食器などが置きっぱなし」はうちの母に当てはまります…。 このように家の中が散らかってしまうのは、認知症による脳の機能低下によって、物の管理ができなくなるから。特に記憶障害があると、家に同じものがあるのに買ってきてしまったり、反対にトイレットペーパーなどの買い足さないといけないものを買い忘れてしまうことが起きるんです。さらに、認知症によって段取り良く行動するのが難しくなります。そのため、ゴミの日に該当のゴミを捨てられないなどの問題も起きてしまうんですね。 そういうことだったんだ…。母が急に家事をやらなくなって心配していたんですが、そういう理由があったのかも…。 性格が変わった 人によっては、認知症になって性格が変わる場合があります。具体的には怒りっぽくなったり、無気力でぼーっとしていることが多くなるんです。特に認知症になると、人との交流を避ける傾向があります。外出を嫌がったり地域の集まりに参加しなくなったり…。好きだったものに興味を示さなくなり、趣味のサークル活動などをやめるケースもあるんです。 確かに、母は少しぼーっとしていたような気がします。虚ろな表情というか…。 家電の操作がわからない 認知症によって脳の機能が低下すると、家電などの機械の操作がわからなくなることがあります。それまで使えていた電子レンジが使えなくなったり、テレビのリモコンの操作がわからなくなる、といったケースが多いです。 母はそうした様子はありませんでしたね。でも、認知症になると家電の使い方も忘れてしまうのかぁ…。 服装が季節に合っていない、不潔 認知症の症状のひとつに「見当識障害」というものがあります。これは、日時や季節がわからなくなる症状。そのため、真夏なのに厚手のセーターを着ていたり、寒い冬にコートを着ずに外出してしまうこともあります。 でも、季節がわからないといっても真夏にセーターを着ていたら暑いと思うんですが…。 認知症の方に限らず、ご高齢になると暑さ・寒さを感じにくくなると言われています。そのため、とりあえず手に取りやすい服を着てしまっているのかもしれません。また、洗濯をせずに手近な服を着続けるので、服が不潔であることも。認知症の人はお風呂を嫌がることも珍しくないので、髪や体も不潔な状態になっていることもあります。 「認知症かも」と思ったら認知症検査を 北野室長の話を聞いていたら、やっぱり母は認知症かもしれない、と思いました…。 お話を聞いているだけではなんとも言えないので、まずは認知症検査を受けることをおすすめします。 そうですよね。やっぱりきちんと検査をしないと。でも、母は素直に認知症検査を受けてくれるでしょうか?「認知症なんかじゃない!」と拒否される気がして…。 「認知症かもしれないから検査を受けよう」とストレートに言うと、やはり抵抗感があって素直に受けてくれないと思われます。おすすめとしては、「健康診断」と言って認知症検査に誘う方法。認知症検査は脳の検査だけでなく全身の検査もおこなうので、あながち嘘ではありません。そのときは、検査を受ける病院に認知症検査ではなく健康診断と伝えていることを共有しておきましょう。きっと上手くお母様に説明してくれますよ。 そうなんですね!健康診断と伝えるなら、素直に検査を受けてくれそう。 もしくは、お母様のお友達やご近所の人など、仲の良い人に勧めてもらうのも良いでしょう。お子さんから「認知症検査を受けよう」と言われると嫌がる方が多いのですが、お友達から勧められると意外とすんなり受け入れる方は多いんですよ。それか、かかりつけ医から勧めてもらうのも良い方法です。医師の言うことは素直に聞くご高齢者は多いですから、お母様に話をしてもらうようにかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。 親が認知症だったときの対応 検査の結果、母が認知症だったらどうしたら良いんでしょうか? まずは、介護の体制を整えましょう。介護サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要がありますから、始めに要介護認定を受けるための申請をすることが大切です。 要介護認定の申請はどこでできるんですか? お母様がお住まいの役所か地域包括支援センターで要介護認定の申請ができます。申請をした後の流れは以下の通りです。 要介護認定の手続きをしながら、お母様がご実家で暮らし続けられるようにするのか、老人ホームに入居するのか、介護の方針を決めておきましょう。 そう言われても、介護についてまったくわからないのでどちらを選べば良いのやら…。 でしたら、「自宅で暮らし続ける」「老人ホームに入る」の2パターンについてお話しますね。 在宅介護サービスで自宅で暮らし続ける お母様はまだなんとか一人暮らしをしているので、在宅介護サービスを利用すれば今よりも安心してご実家で暮らし続けられるかもしれません。主な在宅介護サービスは以下の通りです。このような在宅介護サービスを組み合わせながら生活をする方が多いですね。 訪問介護 デイサービス ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 在宅介護サービスっていろいろあるんですね。 訪問介護はヘルパーさんが自宅まで来て家事や身体介護をしてくれるサービス。デイサービスは日中の間に介護施設に通って食事やレクリエーションなどのサービスを受けられるものです。ショートステイは1日から宿泊できるサービスで、宿泊中の食事や介護はすべてお任せできます。最後の小規模多機能型居宅介護というのは、訪問介護・デイサービス・ショートステイの3つのサービスを1つの介護施設で受けられるもの。「デイサービスの利用後、そのままショートステイを利用」といった柔軟な使い方ができるのが魅力です。 へー!それは便利ですね。母の様子を考えると、まともに食事もできていないかもしれないので、デイサービスやショートステイなどの食事の提供があるところも良いかもしれないですね。 老人ホームに入る 老人ホームに入るってまだ早い気がするんですが…。家の片付けができなくなったとはいえ、まだ1人で生活できているわけですし…。 もちろん、そういう考え方もあります。ですが、認知症だった場合、症状が進行して急に一人暮らしが難しくなる可能性もあります。それに、火の消し忘れで火事になったり、ご高齢者を狙う詐欺の被害にあったり…認知症の方が一人暮らしするのはどうしても心配が出てくるでしょう。そのため、早いうちから老人ホームに入って安全な暮らしを確保する、という考え方もあります。 なるほど…。ちなみに、認知症の母が入れる老人ホームってどんなものがあるんですか? 認知症の方が入れる老人ホームには以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 この老人ホームのなかでも認知症の方におすすめなのは、「介護付き有料老人ホーム」と「グループホーム」です。介護付き有料老人ホームは、手厚い介護体制のある施設。介護スタッフが24時間、看護師は少なくとも日中に常駐しているので、認知症の方はもちろん、インスリン注射が必要な糖尿病の方などの受け入れもしています。グループホームは、認知症の方専門の施設。「ユニット」と呼ばれる少人数単位で生活しており、ご入居者同士が協力しながら生活をしているのが特徴です。グループホームなら、介護スタッフのサポートを受けながら掃除や洗濯、料理などもできるので、お母様の自立性を確保しながら生活できると思いますよ。 そういう施設もあるんだ…。老人ホームというと、寝たきりのような状態の人ばかりなんだと思っていました。まだ、母が認知症と決まったわけではないですが、もし認知症だったとしても対応の方法があると知って安心できました。 予定を忘れたり家が散らかっているなどがあったら認知症の可能性アリ 「認知症かも」と思ったら、認知症検査を早めに受けよう 認知症だったら、まずは要介護認定を受けて介護体制を整えよう pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/12/27

#認知症 #在宅介護

高齢の母親が冷蔵庫で食品をたくさん腐らせていました。「もったいない」と処分ができません

約半年ぶりに実家に帰ったら、母が冷蔵庫の中に腐っていたり賞味期限が切れた食品を入れたままにしていました。それに食パンが何袋も戸棚にしまってあり、中にはカビているものも…。 腐っていたり賞味期限が切れている食品を捨てようとしたのですが、「腐ってない!まだ食べられる」と言って母は猛反対。何度、説得しようと思っても「もったいない」の一点張りで耳を傾けようともしません。 あんな食品を食べてしまったら、お腹を壊すに決まっています。どうにか処分させたいのですが、どうしたら良いですか? (西さん・会社員・58歳) お話を聞く限り、お母様は認知症になってしまった可能性があります。もし、認知症だった場合、お母様を否定するような言い方はNG。説得できないようでしたら、お母様が出かけている間に捨てるのもひとつの手です。また、介護サービスを利用するなど食品を必要以上に買わない工夫をすることも大切。早めに認知症検査を受けて、認知症かどうかを確かめましょう。早めに認知症ケアをすることにつながりますよ。 冷蔵庫の食材を腐らせるのは認知症のせいかも 実家に約半年ぶりに帰省したら、冷蔵庫から腐ったり賞味期限切れの食品がたくさん出てきました。同じ食品を買っていたり、腐っているものも冷蔵庫にありました…。捨てようとすると、「まだ食べられる!もったいない!」と捨てさせてくれません。明らかに変なにおいがするものもあるのに。前に帰省したときにはこんなことはありませんでした。どうしてこんなことになってしまったんでしょうか?母の様子がおかしくて不安です。 話を聞いた限りですが…もしかしたら、お母様は認知症になってしまったのかもしれません。認知症の初期段階では、食品の管理が上手くできずに腐らせてしまうケースは少なくありません。 認知症ですか?まだまだ1人で暮らせていますし、そんなことはないと思いますよ。会話も普通にできていますし…。どうして認知症だと思ったんですか? 同じ食品を買っている点と、腐っているもののにおいがわからないという点からです。認知症になると、記憶障害によって直近の出来事を忘れやすくなります。そのため、まだ家にあることを忘れて同じものを買ってきてしまうんですね。それに、認知症になると段取りをつけて作業をすることが苦手に。料理ができなくなることも多いです。そのため、食材を買っても料理ができず、結局、使いきれずに腐らせてしまうパターンも考えられます。 心当たりがあります。母は料理好きなので実家に帰ると何かしら作ってくれるのですが、今回はそれがありませんでした。それで私が食事を作ろうと思って冷蔵庫を開けたら、腐った食材がたくさん出てきた…というわけです。もうひとつ、「腐っているもののにおいがわからない」と言っていましたよね。認知症になると、においがわからなくなるんですか? そうなんです。認知症になると、嗅覚がにぶくなることがわかっています。私たちはにおいで食品が腐っているか確認することがありますが、認知症になるとそれもできなくなってしまいます。こうしたことから、認知症になると食材を腐らせてしまいやすくなるんです。 そうだったんだ…。思い当たることがいくつもあります。もしかしたら、母は認知症になってしまったのかもしれません。 冷蔵庫で腐った食材をスムーズに処分するには 腐っているものや賞味期限が切れているものだけでも処分したいのですが、母にそう言うと「腐っていない!まだ食べられる!」とすごい剣幕で怒鳴られて、処分できなかったんです。母の健康のためにも腐っている食材をどうにか処分したいのですが、何か良い方法はないでしょうか? これは腐った食材を捨てるときだけではなく、認知症の方への対応全般に共通することですが、お母様の言葉や行動を否定するような言い方は避けてください。例えば、「腐ったものばかりで冷蔵庫の中がめちゃくちゃだよ」「賞味期限切れのものまで入れておいてどうするの!」「こんなにたくさん買って、無駄遣いしないで」といった言い方です。 でも、はっきり言わないとまた同じものを買い続けますよね。だから、「同じものばかり買い続けて、お金の無駄だよ」と責めてしまいました。どうしていけないんでしょうか? お母様としても同じものを買いたくて買っているわけではないからです。あくまでお母様が同じものを買っているのは、家に在庫がないと思っているから。前日に同じものを買ったとしても忘れてしまっています。家にないものを買ったと認識しているので、責めても意味がないと考えられます。 確かに。買う必要があると思ったから買っただけですもんね。 それに、お母様が認知症だった場合、同じものを買っていることを忘れているかもしれません。冷蔵庫や戸棚の中を見せて「何で同じものばかり買っているの!」と叱ったとしても、効果がないのではないでしょうか。むしろ「理不尽に叱られている」と感じ、お母様もカチンときて口論になってしまうことも考えられます。 なるほど…。母を叱っても意味がないことなんですね。 認知症の方との関わり方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 腐りかけの食品の処分方法 とりあえず、実家の冷蔵庫を整理したいと考えています。腐っているものや賞味期限切れの食品だけでも捨てたくて…。でも、それを伝えたら母は猛反対するに決まっています。良い方法はないでしょうか? 初めに、お母様に相談することは省略しないでください。落ち着いて話せば理解してくれることもあるので…。ただ、やはりお母様が納得しない可能性もあります。そのときには、お母様が出かけているときに処分するのもひとつの手。ほかのご家族に連れ出してもらって、その間に腐っているものや賞味期限切れの食品を処分しましょう。 冷蔵庫で食材を腐らせないようにするには 腐っているものや賞味期限切れの食材を処分して冷蔵庫がすっきりしたとしても、このままではお母様はまた食品を腐らせてしまうでしょう。そのため、食材を腐らせない体制を作ることも大切です。 どうしたら良いんですか? 例えば、以下のような方法ではどうでしょうか? 決まった金額を定期的に渡す 介護サービスを利用する 同居する 決まった金額を定期的に渡す もし、スーパーでたくさん食品を買ってしまうのであれば、毎月決まった額の現金を渡すのも方法のひとつ。生活には困らない額だけを渡しておけば、買い物する量を限定できます。ただ、もし認知症だった場合、決められた額でお金をやりくりするのが難しい可能性も。今までよりも帰省の頻度を増やして、見守り体制を手厚くすることも併行しておこないましょう。 介護サービスを利用する もし、お母様が認知症だった場合、介護サービスを利用することをおすすめします。認知症であれば、今後、状態が進行して一人暮らしが難しくなる可能性が高いからです。一人暮らしが難しくなってから介護サービスを使い始めるのでも良いのですが、状態が進行していくなかでお母様の介護をしつつ、介護の手続きをするのはかなり重労働。まだ、一人暮らしができているうちに介護のプロとつながっておくことで、本格的に介護が必要になったときに慌てずに対応できるでしょう。 つまり、母は介護が必要な状態ということですね…。まだまだ元気だと思っていたのに…。 介護サービスを利用することを重く捉える方は多いのですが、もっと気軽に活用しても問題ないですよ。むしろご本人やご家族の生活を快適にするために、介護サービスを上手く活用するのもアリ。例えば今回の場合であれば、お母様がデイサービスに通うことで買い物に行く回数を減らして同じものを買うことを防いだり、デイサービスの間に腐った食べ物の処分もできます。また、訪問介護を定期的に利用して、冷蔵庫や戸棚の中に腐った食べ物が入っていないかチェックしてもらうこともできるでしょう。 へー!介護サービスって直接的に介護してもらうだけかと思っていたけど、そういう使い方もあるんですね。 同居する 西さんとお母様の生活が大きく変わってしまいますが、同居するのもひとつの方法でしょう。別居していると、どうしても目の届きにくいことがありますし、もし認知症だった場合、お母様が一人暮らしを続けるのは心配ですよね。なので、同居してご家族がお母様のサポートをしながら生活するのも良い方法だと思いますよ。 同居かぁ…。確かに、このまま母を一人暮らしさせておくのは心配です。それに、同居すれば母に買い物させずに済みますし…。 お母様に完全に買い物をさせないのはおすすめできません。というのも、お母様の生活能力を奪ってしまうことになるから。できることまで代わりにやってしまうと、心身の衰えが急激に進む傾向にあるので、できることはなるべくお母様自身でやってもらうようにしましょう。例えば、買い物に同行したり毎回メモを持って買い物してもらう、などの対策がとれます。同居していれば、こうしたきめ細かいサポートもしやすくなるでしょう。 早めに認知症検査を受けよう 北野室長の話を聞いていて、母は認知症なのかもしれないと不安になってきました。 そうした不安を払うためにも、早めに認知症検査を受けましょう。お母様が認知症かどうかをはっきりさせた方が本腰を上げて認知症ケアの体制を作りやすいですし、ご家族も安心しやすいと思いますよ。 確かに…。認知症という診断が出てしまうのは怖いですが、認知症かどうかわからない中途半端な状態の方が不安は大きそうです。 おっしゃる通りです。それに、認知症ではなかった場合、ほかの病気などが原因でお母様に異変が起きている可能性もあります。それを詳しく調べるためにも早めに認知症の検査を受けてくださいね。 冷蔵庫で食材を腐らせるのは認知症のせいかも 責めるのはNG。説得して捨てられないなら外出中にこっそり捨てよう 早めに認知症検査をして、介護サービスを活用するのもアリ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/12/26

#認知症 #在宅介護

認知症の母親が嘘をついて困ります。なぜ嘘をつくのでしょうか?

同居している認知症の母が嘘をつくことがあって困っています。私が仕事から帰って、用意しておいた昼食を食べたか聞くと「食べたよ。おいしかった」と言うのに、冷蔵庫の中にそのまま残っていることが何度かありました。お昼は食べたくないならそう言えば良いのに…。 「どうして食べたと嘘をつくの?」と問いただしても、「嘘なんかついてない!」と怒るばかりで…。そのやりとりにも正直疲れてしまいました。 (飯塚さん・自営業・61歳) お母様は認知症の影響で嘘をついているのかもしれません。認知症になると記憶障害を起こすことが多く、なくなった記憶を埋めるために嘘をついている可能性があります。認知症の初期段階では、記憶がなかったり理解力が落ちていることに何らかの形で気づいていることが多いです。そのせいで不安を感じているので、嘘を追求したり責めたりせず、耳を傾けて共感してみましょう。お母様が安心して過ごせるようになると思いますよ。 嘘をつくのは認知症のせいかも 認知症の母が嘘をつくので困っています。仕事の日は母の分の昼食を用意して冷蔵庫に入れておくのですが、先日「お昼食べた?おいしかった?」と母に聞いたら、「食べたよ。おいしかった」と返答。でも、冷蔵庫を見たら手を付けずにそのまま残っていたんです。「どうして食べたと嘘をつくの?」と問いただすと、「嘘なんかついてない!」と怒鳴りだす始末。こんなやり取りがしょっちゅうで…疲れてしまいます。食事を用意するのも手間なので、いらないならそう言ってもらえれば作らないのですが…。どうして母は嘘をつくんでしょうか。 もしかしたら、認知症の影響かもしれません。 認知症のせいで嘘をつくんですか? はい。…いえ、もしかしたら、お母様は嘘をついている気はないかもしれません。 えぇ?どういうことですか? 認知症になると多くの人が物忘れが始まることはご存知だと思います。嘘をついて話を合わせたり忘れてしまった記憶を埋めたりしている可能性があるんです。お母様の場合、「昼食を食べたかどうかはわからないけど、おいしかったと言っておこう」という気持ちで「おいしかったよ」と言っているのかもしれません。 そんなことを言わなくても、「食べたか忘れた」と素直に言ってくれれば良いのに…。 ご家族からすれば、そう思うかもしれません。でも、その日の昼食を食べたかどうかがわからない、という状況は普通ではありませんよね。それもご本人が気がついていて「自分がおかしくなったことに気づかれたくない」と思って話を合わせているとも考えられます。それに、「せっかく食事を作ってくれたのに『食べたかわからない』なんて言えない」というお母様の気遣いも含まれていると思いますよ。 そんなことを考えていたんだ…。じゃあ、母は私を騙そうと思って嘘をついているのではなく、話を合わせているだけなんですね。 おっしゃる通りです。お母様のように、記憶がないことを補うために結果的に嘘をついてしまうケースは珍しくありません。例えば、しまった場所を忘れて「財布がない!盗まれた!」と誰かを犯人にしてしまうケース。「朝ごはんは何を食べた?」と聞かれて、食べたのを忘れてしまって「食欲がなくて食べられなくて…」と答えるケースなどです。会話のキャッチボール自体には問題がなかったり、上手い言い回しで答えることも多いので、認知症の影響だと気が付かないことも多いんですよ。 なるほど…。母はまだ会話には問題がないと思っていたので、まさか認知症の影響だと思っていませんでした。 認知症の親の嘘を追求するのはNG 認知症の影響で嘘をついてしまっているのだとしたら、「なんで嘘をつくの?」と聞いても意味がないことなんですね。 おっしゃる通りです。それに、お母様の言葉を強く否定したり追求したりすると、認知症の症状が進行する可能性があるので避けた方が良いでしょう。 認知症が進行するんですか!? 認知症が進行する要因としてはストレスが大きいです。お母様は嘘をついている認識はないわけですから、「なんでそんな嘘をつくの?」と言われると自分の言葉をすべて否定されているような気持ちになります。自分の言葉を否定する人に対して敵意を持つこともありますし、自分の言葉に自信がなくなってどんどん不安な気持ちが大きくなってしまうことも考えられます。 そうなんですね…。では、どうしたら良いんでしょうか? 以下のような対応を心がけてみてください。 耳を傾ける 共感する 話を変える 耳を傾ける まずは、話に耳を傾けること。当たり前のことのように思うかもしれませんが、介護や仕事に忙しいと「ちょっと待って」「後で聞くから」と言って話を聞かないこともあるんじゃないでしょうか。もちろん、すべての話にじっくり耳を傾ける時間はないと思います。なので、一日に何度かだけでも話を聞く時間を作ってみてください。 確かに。母の話を後回しにして、結局聞かないことはよくあります。 それに、話のなかに今の不安などが隠れていることもあります。不安が減ることで認知症の症状が穏やかになることもありますから、忙しいとは思いますができるだけ耳を傾けてみてください。 共感する 話に共感するのも、認知症の方が安心する対応です。もしかしたら、事実とは異なる嘘を話すこともあるかもしれません。そういうときに、否定せずに「そうなんだね」「大変だったね」と共感するだけでも、お母様は穏やかになると思いますよ。 それだけで良いんですか? はい。共感の言葉を言うだけでも、「私のことを受け止めてくれる」と不安が減るんです。飯塚さんに話をすれば安心できる、とお母様が感じられるようになれば、信頼関係が深まって認知症の症状が落ち着くこともあるでしょう。 話を変える お母様がとても興奮している場合、話に耳を傾けても落ち着かない場合もあります。そういうときは、思い切って話題を変えてみましょう。「そういえば、近所の〇〇さんが旅行に行ってきたみたいだよ」「お母さんが好きなドラマの再放送が始まるって」など、お母様が興味を持ちそうな話題だと良いでしょう。 いきなり話を変えたら、それこそ母が怒り出しそうですが…。 例えば、こんなテクニックもあります。何かなくしものをして「盗まれた」と興奮しているときは「私が探してくるから、お茶を飲んで休んでいて」とお茶を用意して時間を空けます。しばらくしてお母様のところに戻り、「おもしろいテレビ番組がやってるよ」など、何事もなかったかのように過ごすんです。認知症が進んでいると、少し前のことも忘れてしまうことがあります。それを想定して、時間を空けたり気をそらせるようなことをすると、すぐに穏やかになると思いますよ。 そんな簡単なことで良いんですね。認知症の対応ってもっと難しいのかと思っていました。まずは「話に耳を傾ける」「共感する」ですね。どこまでできるか自信はないですが…心がけてみます。 認知症の人は記憶がないことを知られないために嘘をつくことがある 嘘を正したり追求するのはNG。症状が進行する可能性も 嘘でも耳を傾けて共感したり、話をかえて気をそらしてみよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/12/25

#認知症 #在宅介護 #認知症検査

高齢の父親が話をごまかすことが増えました。会話が噛み合わず、話をかえるんです

先日、半年ぶりに実家に帰ったところ、父の様子がおかしくて気になっています。話が噛み合わないことが何度かあり、私の質問をはぐらかすことも。私の話を理解していない様子もありました。 例えば、「病院の予約はいつ?」と聞いたら「そういえば、近所の〇〇さんが体調が悪いらしい」といったように話をかえたり、「ハサミはどこに置いてあったっけ?」と質問したら「今、手が離せないから待って」と言ってどこかに行ってしまったり…。 年を重ねると、このように話が噛み合わなくなったりすることはあるんでしょうか? (白井さん・会社員・57歳) 話が噛み合わなかったり質問をはぐらかすことは、加齢による認知機能の低下の可能性もありますが、認知症の初期症状の可能性もあります。認知症の初期段階では自分の記憶がなくなっていたり、物事を理解できない異変に気がついています。でも、そうしたことが周囲に知られるのが怖かったりその場の雰囲気を壊さないために、話をごまかしたり合わせることがあるんです。検査を受けて認知症と診断された場合、まずは介護の体制を整えましょう。お父様がお住まいの地域の役所や地域包括支援センターに介護の相談窓口があるので、そこで要介護認定の申請をしましょう。早い段階から介護サービスを利用しておくことをおすすめします。 高齢の親が話をごまかすのは認知症かも! 先日、半年ぶりに帰省したら、父の様子がおかしくて気になっています。例えば、「病院の予約はいつ?」と聞いたら「そういえば、近所の〇〇さんが体調が悪いらしい」といったように話をかえたり、「ハサミはどこに置いてあったっけ?」と質問したら「今、手が離せないから待って」とどこかに行ってしまうこともありました。父は80歳を超えていますし、年齢を考えると理解力や記憶力が衰えるのはしょうがないのかな、とは思っているのですが…。高齢になると話が噛み合わなくなったりごまかすことが増えたりするのでしょうか? おっしゃる通り、年齢を重ねることで理解力や記憶力が低下することはあります。ただ、白井さんの話を聞くと認知症になってしまった可能性も捨てきれません。 認知症ですか!?話が噛み合わないことが増えたとはいえ、会話が成り立つときがほとんどですし、言葉もしっかりしていますよ。認知症になったようには思えません。 認知症になったからと言って、すぐに言葉が話せなくなるわけではないんです。認知症の初期段階では会話が成り立つことが多く、発症を見逃されてしまうことも少なくありません。記憶力や理解力が低下している部分もある反面、まだそこまで脳の機能が低下しているわけではないので、自分に異変が起きていることに気がついているケースも多いです。 そうなんですね…。認知症を発症すると、父のように話をごまかしたり話をかえたりすることが増えるんでしょうか? はい。認知症になると、質問をはぐらかしたり周囲の反応に合わせてやり過ごす「取り繕い反応」が起こることがあります。これは、記憶力や理解力の低下によって、会話の内容がわからなかったり咄嗟に質問の答えが出てこないことをごまかす反応。代表的なものとしては、「質問をはぐらかす」「言い訳をする」「話をかえる」「笑ってやり過ごす」などがあります。 父に当てはまっています…。 取り繕い反応は、一見、「話を聞いていない」「嘘を言っている」「言い訳ばかりする」など、マイナスなイメージを持ってしまいがちです。しかし、取り繕い反応をする背景には「間違いを言って恥ずかしい思いをしたくない」と自尊心を保とうとする気持ちがあります。誰しも自分の能力が衰えたことは認めたくないですし、認知機能が衰えていくことへの不安や恐怖を感じるものですよね。それに、取り繕い反応によってわからないことを自分でカバーしているとも言えます。 確かにそうですね。 それに、取り繕い反応には「とんちんかんなことを言ってその場の空気を壊したくない」といった周りへの気遣いも隠れています。そのため、お父様が取り繕っていると感じたら、責めたり否定したりせずに話を合わせて聞くと、お父様が安心して過ごせるかもしれません。 認知症検査を早めに受けよう 取り繕い反応に似ている状況とはいえ、まだお父様が認知症になったと決まったわけではありません。なので、早めに認知症検査を受けることをおすすめします。 確かに。まだ、認知症と確定したわけではありませんもんね。ただ、認知症の検査ってどうすれば受けられるものですか?何科を受診すれば良いのでしょうか? 認知症検査を受けられるのは、精神科、脳神経内科、脳神経外科、心療内科、老年科などです。認知症はいろんな診療科で対応しているので、どの病院で検査を受ければ良いのか迷った場合は、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。かかりつけ医であれば、普段のお父様の様子を把握しているでしょうから、異変も感じているかもしれません。かかりつけの医院で認知症検査ができない場合でも、対応している病院を紹介してくれるでしょう。 認知症だったときの対応は? 検査の結果、父が認知症だったらどうしたら良いのでしょうか?介護も必要になるでしょうし…。 まずは、認知症のお父様が一人暮らしでも安心して暮らしていける環境を整えることが重要です。大まかに、以下の2点について対応していきましょう。 介護の体制を整えよう 生活習慣を見直そう 介護の体制を整えよう 今は一人暮らしができていても、認知症が進行したら今までのように1人で生活ができなくなる可能性が高いです。そのため、介護サービスでプロの手を借りましょう。 介護サービスって全然わかりません。どうしたら利用できるんですか? まず、お父様が住む地域の役所か地域包括支援センターで相談しましょう。役所には「介護保険課」「福祉課」などの名前で介護を担当している窓口があります。そこで、介護サービスの利用の仕方などを聞いてみましょう。また、地域包括支援センターは、高齢者の生活の総合相談窓口。もちろん、介護のこともイチから相談できますよ。 介護の相談窓口が役所にあるんですね!高齢者の生活相談窓口があるのも知りませんでした。 役所や地域包括支援センターで相談すると、おそらく「要介護認定の申請をして」と言われると思います。要介護認定とは、介護の必要な度合いを調べるもの。「要支援1・2」「要介護1~5」の7段階の「要介護度」が心身の状態に合わせて判定されます。要介護度が決まったら、お父様の状態に合わせてケアマネジャーさんが介護サービスの利用計画「ケアプラン」を立てます。その計画に基づいて介護サービスを利用していくんですね。 介護サービスを利用するまでには、いろいろと段階を踏まないといけないんですね。ちなみに、介護サービスってどんなものがあるんでしょうか? 在宅介護で使える在宅介護サービスは、たくさんの種類があります。その中でも次のものは、主に利用されているサービスです。 訪問介護 デイサービス ショートステイ こうした介護サービスを組み合わせながら、お父様が1人で生活できるような基盤を作っていきましょう。 生活習慣を見直そう 意外に思われるかもしれませんが、認知症は規則正しい生活に改善することで症状の緩和や進行が抑制されることがわかっています。 知らなかった!具体的にはどんなことを改善したら良いんですか? 健康的な生活をするために、以下の点に気をつけましょう。 規則正しい睡眠 栄養バランスの取れた食事 適度な運動 人との交流 特別なことではないんですね。 そうなんです!「決まった時間に寝起きする」「偏りのない食事をする」など、当たり前のことが認知症の症状を緩和したり、進行を抑えると言われています。ただ、ご高齢者の一人暮らしだと難しい部分もあると思いますから、介護サービスなどを活用して健康的な生活ができるようにサポートしてくださいね。 親が話をごまかすのは認知症のサインかも もし認知症だったら介護の体制を整え、規則正しい生活をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/12/21

#認知症 #在宅介護 #認知症検査

母親が認知症を認めない!病院に連れていく方法を教えてください

母親が認知症になってしまったのかもしれません。買い物に行くと時間がかかるうえに買い忘れがあるし、病院の予約を忘れることが増えました。 なので、認知症かどうか確かめるために病院で検査を受けさせたいのですが、母は「私は認知症なんかじゃない!」と断固拒否。認知症を認めずに検査を受けようとしない母をどうやって説得すれば良いでしょうか? (天野さん・パート・63歳) 「認知症かもしれないから検査に行こう」と言うと、拒否されてしまうと思います。やはり、ご自分が認知症と認めたくない気持ちは多くの人が持っていると思いますから。なので、「健康診断」として全身の検査と一緒に認知症の検査もおこなうのはどうでしょうか?また、かかりつけ医などの第三者に認知症検査を勧めてもらうのも方法のひとつですよ。ちなみに、お母様が認知症と認めなくても治療自体は可能です。認知症の告知をすることでパニックになる可能性があるのであれば、告知せずに治療することも検討してみてくださいね。 認知症を認めない親を病院に連れて行く方法 最近、母の様子がおかしいので認知症になってしまったんじゃないかと心配です。認知症かどうかはっきりさせるためにも検査を受けさせたいのですが、母は耳を貸しません。「認知症になってしまったかもしれないから、一度、検査してみよう」と何度言っても「私は認知症なんかじゃない!」と頑なに拒否するんです。 「認知症検査を受けさせたいけど、拒否される」という悩みは、ご高齢の親御さんを持つ人の悩みとして珍しくないんです。ただ、「認知症かもしれないから」という言い方をしてしまうと、お母様の自尊心を傷つけてしまいかねません。そのため、認知症検査を勧めるときには工夫が必要です。 どんな工夫ですか? 例えば、以下のような勧め方であれば、お母様が認知症検査を受けてくれるかもしれません。 「健康診断」と伝える 知り合いの話を持ち出す 第三者に勧めてもらう 「健康診断」と伝える 「認知症検査」と言わずに「健康診断」と伝えると、検査への抵抗感が薄らぐかもしれません。騙しているように感じるかもしれませんが、認知症検査では脳や認知機能の検査以外に全身の検査もおこないます。脳や認知機能の検査は「せっかく来たから、ついでに受けてみよう」と勧めると意外とすんなり検査を受けてくれるかもしれませんよ。 健康診断ですね。それなら行ってくれるかな…。 知り合いの話を持ち出す 知り合いの例を話すのもひとつの手です。例えば、根本さんの友人の家族が認知症検査を受けた話や、認知症になった人の経験談から検査を勧めてみると自然な流れで勧められるでしょう。知り合いの体験を聞くことで、お母様が自分に置き換えて考えやすくなると思いますよ。 第三者に勧めてもらう 「第三者」というと、誰に勧めてもらうのが良いんでしょう? 例えば、ご親戚です。普段一緒に暮らしているご家族から検査を勧められても首を縦に振らなかった方が、たまに顔を合わせるだけのご家族やご親族から勧められたらすんなり承諾する、というケースは案外多いんです。 えっ、そうなんですか?私が何度言っても検査を受けてくれないのに…。姉が帰省してきたときに頼んでみようかな。 他には、かかりつけ医やケアマネジャーといった専門家に説得してもらうのも良い方法です。特にかかりつけ医は、医療の視点から認知症について詳しく説明してもらえるでしょう。それに、ご高齢者は医師などの専門家の助言はすんなり受け入れる傾向があります。ぜひかかりつけ医に依頼してみてください。 認知症と認めなくてもケアはできる 極端な話、実はお母様が認知症を認めなくてもケアは可能です。 そうなんですか!? 多くの人にとって自分が認知症になったことはショックなことですから、もし認知症であると知ることでお母様がパニックになってしまうようなら、むしろ知らせない方が良いかもしれません。 もし母が認知症だったら、本人に知らせておかないといけないものだと思っていました…。でも、母自身が認知症と認識していなかったら、治療は難しいんじゃないですか?認知症の薬を飲んだりしますよね? はい。場合によっては、薬で認知症の症状を抑えることはするでしょう。そういうときは、「気持ちを穏やかにする薬」「頭をすっきりさせる薬」など、言い方を変えれば受け入れてくれると思います。それに、あくまで認知症の薬は症状を緩和するための補助。治療のメインは、生活習慣や人との交流などの普段の生活を改善することなんです。そのため、意外に思われるかもしれませんが、認知症であることをご本人が認めていなくてもあまり治療に支障がないことが多いです。ただ、病院や介護サービス事業者などの医療・介護の関係者には、ご本人に認知症であることを知らせていないことを共有しておく必要はあります。 なるほど。認知症であると母自身が認めていなくても、治療はできるんですね。それなら、無理に認知症であることを知らせなくても良いかな…。 早めに認知症検査するメリット もし、母自身に認知症であることを知らせないのなら、認知症検査を受けさせる必要はあるんでしょうか? 生活習慣を改善するだけなら認知症の診断を受けていなくても、問題はないでしょう。ただ、以下の3点から早めに認知症検査を受けることをおすすめします。 家族の負担が少なくて済む 認知症の専門サービスを利用できる 認知症以外の病気が見つかる可能性も 家族の負担が少なくて済む 認知症の診断が遅れるほど、ご家族の負担が大きくなる傾向があります。というのも、どの病気もそうですが、診断を受けていないと本腰を上げて対処できないのが実情ではないでしょうか。「様子がおかしいから認知症かもしれないけど…」と認知症かどうか迷っている状態で認知症ケアをじっくりできる方は少ないと思います。 言われてみれば、確かにそうですね。今の状況で適切な認知症の対応ができるかというと難しいです。 そのため、対応が後手後手に回ってしまい、認知症の進行に振り回されてしまうんです。「一人暮らしが難しくなったから介護サービスを利用し始めたら、急に症状が進行して介護施設に入居せざるを得ない状況になった」といったことも珍しくありません。早い段階から認知症の診断を受けて介護サービスを活用しておくと、異変があったときにすぐに医師やケアマネジャーなどの専門家に相談しやすいので、結果的にご家族が振り回されることが少なくなるんです。 認知症とわかっていれば、すぐに「専門家に相談しよう」と思えますもんね。 認知症の専門サービスを利用できる 認知症の診断を受けておくと認知症専門のサービスを利用できるので、介護サービスの選択肢が広がります。認知症専門のサービスとは次の2つです。 認知症デイサービス グループホーム この2つの介護サービスを利用するには、認知症の診断を受けている必要があります。認知症デイサービスとグループホームは認知症ケアに特化しているので、介護サービスを利用するときに検討してみても良いかもしれませんよ。 認知症限定の介護サービスがあるんですね。認知症ケアが充実しているのは魅力的ですね。 認知症以外の病気が見つかる可能性も 先ほどお話ししたように、認知症検査では脳や認知機能以外にも全身の健康診断もおこないます。そのため、認知症以外の病気が見つかったり、認知症とよく似た症状が出る別の病気が原因とわかることがあります。別の病気が見つかった場合、検査を受けずに放置していると取り返しの付かないことになる可能性も。別の病気の治療を早期に始めるためにも早めの検査をおすすめします。 母は認知症とばかり考えていましたが、認知症以外の病気である可能性もあるんですね!やはり心配になるので、早めに認知症の検査を受けさせたいと思います。 健康診断と伝えたり第三者に勧めてもらうと、認知症検査を受けてくれるかも 認知症と認めていなくても。ケアはできる 早めに受診すれば、家族の負担が少なくて済むことが多い pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/12/19

#認知症 #介護疲れ

認知症の母親が文句ばかり。ちょっとしたことも文句をつけるので、ストレスでどうにかなりそうです

私は一生懸命に介護をしているのに、認知症の母に文句ばかり言われて参っています。 「料理の味が薄い」「棚の隅にほこりが残っている」と家事について少しでもミスがあれば大げさに文句を言ったり、長々と説教することも。それに「近所の𓏸𓏸さんが私のことを見張っている」とありもしないことを言うようになりました。 以前はこんなに文句を言ったり、誰かを貶めるようなことを言う人ではなかったのですが…。このままではどうにかなってしまいそうです。どうしたら良いでしょうか? (天野さん・パート・63歳) お母様が文句を言うようになったのは、もしかしたら認知症の影響かもしれません。認知症の症状の被害妄想や、記憶がないことによって不安が大きくなることでそれが文句という形で出ている可能性もあります。文句ばかり言うときには、その言葉を否定することは避けてください。お母様は孤独を感じていることも考えられますので、ご家族がお母様の言葉に耳を傾けて不安の原因を取り除くことで文句が減っていくかもしれませんよ。 文句ばかりなのは認知症のせいかも 最近、何をするにも母が文句ばかりでイライラしてしまいます。母は2年ほど前に認知症と診断されて以来、私が介護しています。「料理の味が薄い。私に食べさせる気がないのか」「棚にほこりが溜まっている。掃除もまともにできないのか」といちいち文句を言われます。それに最近は、「近所の𓏸𓏸さんが私のことを見張っている」と意味のわからないことを言うようになって。以前はこんな人じゃなかったのに…。 なるほど…。もしかしたら、認知症の影響かもしれません。 えっ、認知症のせいで文句を言うようになるんですか? 認知症の症状のなかに、「怒りっぽくなる」「被害妄想」というものがあります。これは、認知症によって脳の感情を抑制する機能が低下することで起こるもの。ちょっとした怒りや不安を抑えられず、文句という形で出ているのかもしれません。 そんなことがあるんですね…。 それに、認知症による物忘れなどの影響で不安を感じ、それが「近所の𓏸𓏸さんが私のことを見張っている」という被害妄想につながっていることも考えられます。認知症になると断片的に記憶がなくなったり、理解力が低下して物事が把握できなくなっていきます。もし、そんな状態になったら誰でも不安に思いますし、理解できない出来事を想像で補っても不思議ではありませんよね。つまり、認知症の症状の影響による不安感がお母様の文句や被害妄想の原因になっていると思われます。 文句ばかり言うときの対応方法 母が文句ばかり言うのは、認知症のせいで不安に思っているからだということはわかりました。認知症のせいということは、母の文句を止めさせる方法はないということでしょうか? 完全にゼロにすることはできなくても、ある程度減らすことはできると思います。例えば、以下のような方法です。 否定や責めたりしない 不安を減らす 専門家に相談する 否定や責めたりしない まずは、お母様の言葉を否定したり責めたりせずに耳を傾けてみましょう。言っていることを否定したり被害妄想を責めたりすることで、「私のことをわかってくれない」と余計に不安に感じさせてしまう可能性があるんです。言っている内容に矛盾があったり、嘘のように感じられることもあるかもしれませんが、できるだけ話を聞いてみましょう。忙しいと思いますが、話を聞くだけでも不安が和らいで、文句や被害妄想の回数が減るかもしれませんよ。 話を聞くだけでも良いんですね。母の文句や妄想にはうんざりしていたので、適当に聞き流したり、「忙しいから後で」と聞くこともしていませんでした。もう少し母の話を聞く時間を作ろうかな…。 認知症の方の作り話については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 不安を減らす 文句や被害妄想には、お母様の不安や焦りが隠れている可能性があります。その原因を解決することで、文句が減るかもしれません。 母の不安の原因ですか。うーん、具体的にはどんなことでしょうか。 例えば、「料理の味が薄い」「棚の隅にほこりが残っている」ということには、以前はご自分で家事をしていたのにできなくなってしまった焦りがあるかもしれません。また、「今は家事もできなくなってしまった」と情けなく思っており、天野さんに当たっていることも考えられます。 私に当たっているというのは、心当たりがあります。最近の母は常に何かにイライラしているようで、私にそのイライラをぶつけている感じがしていたので…。 対策としては、普段から話を聞く時間を作ることに加えて、お母様にも役割を持ってもらうのが良いかもしれません。簡単な掃除や洗濯、料理自体は難しくても味見をお母様にお願いするのも良いでしょう。介護を受けるようになって、「何もできなくなってしまった」という情けなさや「役に立っていないから家族に見捨てられるかも」という不安を感じるご高齢者は多いんです。そのため、毎日の生活でお母様に役割を持ってもらうと、情けなさや不安が軽くなって文句や被害妄想が落ち着くことがありますよ。 認知症の方との関わり方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 専門家に相談する 文句や被害妄想があまりにも多かったり、天野さんが話を聞くのがしんどくなることもあると思います。そういうときは、専門家の力を借りましょう。 専門家というと? 例えば、ケアマネジャーさん。相談すれば介護サービスの組み合わせ方を変えたり、新しい介護サービスを使うことで天野さんの負担を減らすように取り計らってくれるでしょう。また、かかりつけ医に相談する方法もあります。認知症の症状によって文句や被害妄想が多くなっている場合は、薬で落ち着くことがあるからです。文句や被害妄想によって天野さんが「しんどい」と感じたら、積極的に専門家を頼りましょう。 急に母の性格が変わってしまったのかと思いましたが、認知症の影響で文句を言うようになったと知って安心しました。まずは母が何に不安を感じているのかを見つけようと思います。 文句ばかり言うのは認知症の初期症状のせいかも 文句を言われても否定や責めたりせずに、原因に対処しよう 文句を言われてしんどいときは無理せずに専門家に頼ろう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/12/18

#認知症 #在宅介護 #介護疲れ

高齢の母親が失敗を認めないで言い訳ばかり。人のせいにすることもあってうんざりします

母が高齢になってきたせいか、物忘れなどの失敗が増えました。それはしょうがないと思うのですが、失敗を指摘すると言い訳したり人のせいにすることもあるんです。 先日は、母が家の鍵をなくして探していたので手伝ったら、食器棚の中にあるのを私が見つけました。なぜこんな変なところに入れたのか聞いたところ、「私は入れてない!」と怒り出す始末。しまいには私が隠したと言い出し、大喧嘩になりました。 年を取って頑固になってきたこともありますが、このところ人のせいにすることが急に増えて…。事実無根のことで責められるのにうんざりします。こんな母にどう対応したら良いですか? (村山さん・パート・59歳) ショッキングなことかもしれませんが…お母様が認知症になってしまった可能性があります。というのも、自分の失敗や物忘れなどを認めなかったり、事実と異なることを言うのが認知症の典型的な初期症状のひとつだからです。こうした発言は、周囲の人から「自分の失敗を認めない」「嘘をつく」と責められてしまいがちです。しかし、認知症の影響で上手く物事ができなくなったり、忘れてしまうことに気づかれないようにしている行動なので、失敗や嘘を責めずに受け流す気持ちが大切です。親御さんの「様子が変だな」と感じた場合は、歳のせいにせずに認知症検査を受けてみてください。親御さんが認知症と考えたくない気持ちもあると思いますが、きちんと対策をとるためには、認知症かどうかをはっきりさせることをおすすめします。 高齢の親が失敗を認めないのは認知症かも? 最近、母が自分の失敗を認めなかったり人のせいにすることが増えてうんざりしています。この間は、母が家の鍵をなくしたので一緒に探したら、なぜか食器棚の奥に入っていました。私は母の鍵は触らないので、母が自分で置いたとしか思えません。が、母は私が隠したと思い込んで責めるので大喧嘩になりました。それに、私が代わりに予約した美容院も忘れる始末。母に頼まれたことなのに「私はそんな予約を頼んでない」「予約したなんて聞いてない」と、自分が忘れてしまったことも認めません。年を取ると頑固になるとは言いますが、自分の失敗を私のせいにするのは本当に腹が立ちます。こんな母にどうやって対応したら良いんでしょうか。 お話を聞いている限りなので確実なことではありませんが…もしかしたら、お母様は認知症になっているのかもしれません。 えぇ!?認知症ですか?確かに物忘れは増えましたが、母も80歳を超えて年も年ですし…。高齢になれば、物忘れは増えるものなんじゃないですか? おっしゃる通り、ご高齢になると物忘れは増える傾向があります。ただ、できなかったことやわからないことをごまかしたり、失敗を認めないで他人のせいにするというのは、典型的な認知症の初期症状のひとつなんです。 そうなんですね。認知症の初期症状なんだ…。 認知症による物忘れの特徴として、「出来事そのものを忘れる」というものがあります。例えば、加齢による物忘れの場合は「夕食の献立を忘れてしまう」のに対して、認知症による物忘れは「夕食を食べたことを忘れてしまう」んです。お母様の場合は、鍵を食器棚に入れたこと自体を忘れてしまっている可能性があります。なので、「自分は鍵を食器棚に入れた記憶がないから誰かがやったんだろう」と考えて、身近にいる村山さんのせいにしてしまったのかもしれません。 でも、母の話し方はしっかりしていますし、とても認知症とは思えないんですが…。 認知症の初期段階では、話し方がしっかりしていたり、上手い切り返しができていたりと認知症とは思えないこともあります。ただ、村山さんが鍵を隠した、とお母様が言うように認知症の場合は話に矛盾や嘘が含まれていることが多いのが特徴です。 でも、嘘までついて自分の失敗を認めないのはなぜですか?忘れてしまったならそう言えば良いのに…。 認知症の初期段階では、自身の異変について自覚してることも多いです。今まで普通にできていたことができなくなったり、「何か変だな」と自分でも感じているんですね。しかし、誰しも今までできたことができなくなることはなかなか認められないものです。そのため、嘘をついてごまかすことで、取り繕おうとするんですね。このように、認知症の人が失敗をごまかしたりすることは「取り繕い反応」と呼ばれています。 失敗を責めるのはNG。良い対応は? 母の失敗が増えて、指摘するとその度に嘘をつかれたり、私のせいにされることにうんざりです。どうしたら良いのやら…。 実は…お母様が失敗したときに、その失敗を指摘したり責めたりするのはおすすめできません。 えっ?なぜですか? お母様のプライドが傷ついて、関係が悪くなってしまうことがあるからです。もし、お母様が認知症だった場合、認知症の影響で思考力や抑制力が弱まったせいで頑固になったりプライドが高くなっている可能性があります。また、思い通りにならないことにすぐに腹を立てるようになることもあります。こうした状態は、周りの人から見れば自己中心的なので責めたくもなります。が、認知症だった場合、責めることで関係性が悪くなり、介助が必要になったときに介助を拒否されてしまうおそれもあるんです。 そうか、もし認知症だった場合、母も介護が必要になるかもしれないんですね…。そのときのために、責めない方が良いんだ…。 失敗を一旦受け流してみよう お母様が今までできていたことができなくなると、指摘してできるようになってもらいたいと思うのは自然なことです。ただ、認知症になると、できないことが次第に増えて、失敗を指摘するのもそれに反論されるのも大きなストレスになるでしょう。 そうなんですよね…。いちいち母に「これできてないよ」「忘れてるよ」と言うのもストレスですし、指摘したせいで口論になるのも疲れますし…。 なので、指摘せずに失敗を受け流しましょう! 「失敗を受け流す」?どういうことですか? 年齢を重ねたり、認知症になったことの影響で、できないことは増えていくものです。だったら、「物忘れはするもの」「できないことは増えていくもの」と考え方を変えて、お母様の物忘れや失敗を受け流すんです。考え方を変えれば気持ちが楽になりますし、ストレスが減ると思いませんか? それはそうでしょうけど…。 もちろん、判断能力が低下して詐欺に遭ったり、ガスコンロの火を消し忘れて火事を起こしたり…認知症の影響で大きなトラブルに巻き込まれる可能性はあります。なので、お金の大変な損失や命の危険がある問題については予防が必要です。ただ、大きな損失や命の危険がない失敗や物忘れに関しては、割り切って受け流すと村山さんのストレスがかなり減ると思いますよ。 失敗への対策をしよう 「物忘れや失敗を受けながす」とお話ししましたが、それでも失敗や物忘れで生活がままならなくなることも考えられます。そういう場合は、失敗を減らす工夫をしてみましょう。 「失敗を減らす工夫」ですか…。具体的には? 例えば、こんな対策はどうでしょうか? 予定を忘れることへの対策 目立つところに予定を書いておく 予定の直前に再度伝える ガスコンロの火の消し忘れへの対策 IHコンロに変える 電子レンジ・電気ケトルを使う このくらいなら、すぐにでもできそうですね。 はい、簡単なことから始めていくのがおすすめです。失敗や物忘れへの対策を考えるときに重要なのは、「本人が自分でできる環境を作る」こと。ご家族が代わりに予定を管理したり、料理をすべてしてしまうとお母様の能力をうばってしまうことになりかねません。お母様ができることはなるべくやってもらい、「やりやすくする環境作り」をご家族がするのが理想の形です。 「やりやすくする環境作り」ですか…。私が代わりに予定を管理したり料理をする方が確実な気がしますが、それではダメなんですね。 おっしゃる通りです。加齢や認知症によって、今後もお母様ができないことは増えていくでしょう。そのときに、責めずにできるだけお母様自身でできるようにする考え方でサポートしてくださいね。 失敗を認めないのは認知症の「取り繕い」の可能性あり 大きな損失や命の危険がない失敗や物忘れは受け流すのも大切 家族が代わりにやるのではなく、本人が失敗しにくくなる工夫をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

2023/12/15

#施設入居 #在宅介護 #介護疲れ

母親の介護に追われて自分の生活もままならない…。終わりが見えない介護に限界を感じています

半年ほど前に母が脱水症状を起こして倒れました。しばらく食事が摂れなくて点滴をしていたのですが、少しは食べられるようになったので退院に。しかし、入院中に筋力が衰えたようで長い時間、立ったり歩いたりができなくなり、家事ができなくなってしまいました。 そのため、私が実家に戻って家事と母の介護を始めたのですが…。仕事から帰ってきたら家事や介護、寝て起きたらすぐに仕事…と常にやらないといけないことに追われています。 こんな生活はいつまで続くのでしょうか?母の介護に追われて自分の生活もままならず、母と自分の将来が不安です。 (佐久間さん・会社員・57歳) 介護に仕事に…本当にお疲れ様です。在宅介護だと忙しくて日々のやるべきことに忙殺され、介護や将来が不安になってしまいますよね。もしかしたら、「時間」「精神面」「お金」の3つの点で不安を感じているのかもしれません。時間の不安は介護休業制度や介護サービスを利用することで解決できるかもしれません。精神面の不安は愚痴を聞いてくれる相談先を見つけたり、介護保険外サービスを活用することで気持ちに余裕ができるかもしれません。お金の不安は介護費用の助成制度や安価な介護施設に入居することで出費を減らせるかもしれません。自分の生活を後回しにしてしまうと、追い詰められて「介護うつ」や「虐待」、「介護離職」の可能性もあります。ご自分の生活を第一に考えてくださいね。 親の介護に追われて自分の生活がままならないときは? 半年ほど前に母が脱水で倒れて入院して以来、自宅で母の介護をしています。しかし、入院が長引いたせいで筋力が低下したらしく、長時間歩いたり立ったりするのが難しくなってしまいました。そのため、家事全般の手伝いはもちろん、トイレや入浴の介助も必要な状態に。私はフルタイムで働いており、仕事から帰ってきたら家事や介護、寝て起きたらすぐに仕事…常にやらないといけないことに追われています。自分のために時間は使えないし、余裕がなくて母にあたってしまって毎日のように後悔しています。こんな生活、いつまで続くのでしょうか。母と私の将来が心配で、どうにかしたいけどどうすれば良いかわかりません。 急に始まった介護と仕事が重なって、本当に大変ですよね…。介護と家事と仕事に追われて、余裕がなくなってしまってしまうのがよくわかります。やらなければいけないことがたくさんあって、不安と焦りで混乱している部分もあると思います。そういうときは、状況を整理してみましょう。介護の不安は、主に次の3点であることが多いです。 時間 精神面 お金 考えたくはないことですが、余裕がなくて追い詰められてしまうと、「介護うつ」や「虐待」、「介護離職」につながる可能性も。早めに手を打ちましょう! 親の介護の不安①時間 介護の不安のひとつに時間の面があると思います。私がたくさんのご相談を受けるなかで、「介護に時間を取られて自分の時間が取れない」「いつ介護が終わるのかがわからない」といった不安の声をよく聞きます。内閣府の調査によって、要介護3になると介護に費やす時間が「半日程度」「ほとんど終日」という回答が半数以上であることがわかっています。この割合は要介護度が上がるにつれて増えていき、要介護5の場合は約70%の介護者が「半日程度」「ほとんど終日」を介護に時間を使っているそうです。 要介護度が上がれば上がるほど、介護にかかる時間が増えるというわけですね。まだ母は要介護2ですが、今後、もっと増えていくんですね…。 また、介護期間については生命保険文化センターが調査をおこなっています。それによると、平均介護期間は5年1ヵ月。ただ、次のグラフを見てわかるとおり、「4~10年未満」「10年以上」と回答した人が約半数います。この期間は直接介護をした期間だけではなく、病院や介護施設に入っている期間も含んでいますが、それなりの期間は介護が続くと想定した方が良いでしょう。 5年以上もこんな大変な思いをしないといけないんですか!私、やっていけるかな…。 不安にさせることばかりお伝えしてしまってすいません。介護は長期戦になることを想定して、長く介護を続けられるような対策もお話ししますね! 「親の介護の不安①時間」への対策 長期的に介護を続けるためには、上手く時間のやりくりをして自分の時間を確保することが大切です。そのために、以下のような対策をとっていきましょう! 介護休業制度を利用する 会社特有の制度を利用する 介護サービスを利用する 介護休業制度を利用する 介護休業制度とは、家族の介護をするために仕事を休める制度です。介護が必要な家族1人につき合計93日の休業を最大3回に分けて取得できます。この期間は給与の67%が介護休業給付金として支給されます。 全額でなくてもお金がもらえるのは助かりますが…休めるのが93日間だけでは介護をするには全然足りないですよね。介護は何年もしないといけないわけですし…。 実は、介護休業は直接介護をするための期間というよりは、介護体制を整えるための期間なんです。 「介護体制を整えるための期間」?どういうことですか? 例えば、役所の手続きやケアマネジャーとの調整などは平日におこなうことが多いので仕事を休まないといけないですよね。それに、もしお母様に認知症の予兆があって病院に行く場合、1日がかりで検査をしないといけなくなるかもしれません。介護が始まったばかりのころや状態が変化して介護の体制を見直さないといけないタイミングでは、役所やケアマネジャー、介護施設などの関係各所との連携に時間がかかります。介護休業は、そういった関係各所との調整が必要な時期に利用する目的で作られました。 そうか、自分が直接介護することばかり考えていましたが、病院や役所とのやり取りにも時間がかかりますもんね。 会社の介護支援制度を利用する 介護休業以外にも、企業には以下のいずれか1つ以上の制度を設けることが義務付けられています。 短時間勤務制度 フレックスタイム制度 時差出勤制度 介護費用の助成措置 それ以外にも、会社によってはテレワークを認めるなどの独自の支援制度を設けている場合もあります。介護に関する支援制度がないか、会社に確認してみましょう。 会社で介護の支援制度を設けているなんて知りませんでした!すぐ確認してみます。 介護サービスを利用する 自分の時間を確保するためには、介護サービスを利用することがかなり有効です。特に、以下の介護サービスは自分の時間を確保する際におすすめです。 デイサービス ショートステイ 介護施設 デイサービスは、日中に介護施設に通ってサービスを受けるもの。食事や入浴、レクリエーションなどを提供しています。もちろん、デイサービス利用中のトイレなどの介助もプロにお任せできるから安心ですよ。また、ショートステイは介護施設に1日から宿泊できるサービス。連続で最大30日の宿泊ができますから、ご家族の都合で介護ができない場合やご家族のリフレッシュなどに利用されることが多いです。デイサービスやショートステイを利用している間は、介護から離れられますから自分の時間の確保がしやすくなるでしょう。 自分の時間を確保するために介護サービスを利用する、という考え方は今までありませんでした。私が介護できるうちは誰かのお世話になるのはいけないと思っていたので…。そんなに気軽に利用してよかったんですね。 もちろんです!それに、物理的に介護ができない場合だけでなく、自分の時間を作るためにご家族を介護施設に入居してもらうケースもあります。介護サービスや介護施設を利用することは、もっと気軽に考えても大丈夫ですよ。 親の介護の不安②精神面 介護をしていると、次のような問題が起こって精神的に不安になることがあるでしょう。 介護のことばかり考えてリフレッシュできない 上手く介護ができない罪悪感がある 家族・親族と気まずくなった 認知症の症状に振り回されて疲れた そうなんです。仕事中も母の介護のことばかり考えて集中できないし、でも家に帰ればイライラして母にあたって後悔するし…。 気持ちを少しでも軽くする方法についてもお話ししますね。 「親の介護の不安②精神面」への対策 精神的な不安を解決するためには、次のような方法がおすすめです。 相談できる人をみつける 介護保険外サービスを利用する 相談できる人をみつける どんな悩みでも、誰かに相談することで気持ちが楽になることは多いでしょう。介護についても同様です。介護の場合、主治医やケアマネジャーなどの専門家や、友人や「介護者の会」の参加者などの介護経験者などが良い相談先と言えます。専門家なら具体的な解決策を教えてくれるでしょうし、介護経験者の話を聞いて参考になることがあるかもしれません。また、介護を経験していなくても友人や親族などに愚痴を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることもあるでしょう。 確かに、仕事の悩みや愚痴も聞いてもらうだけで気が楽になります。それと同じように、介護のことも誰かに聞いてもらって良いんですね。 在宅介護に限界を感じたときについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 介護保険外サービスを利用する 介護保険は適用されませんが、介護の助けとなるサービスに「介護保険外サービス」があります。これは、介護保険の制約を受けないためにかなり多様なサービスがあります。例えば、以下のような介護保険外サービスを利用すると、精神面で助けになると思いますよ。 家事・生活支援サービス 配食サービス リハビリサービス 見守りサービス 母がやわらかいものしか食べられなくなってしまったので、食事の支度に手間がかかるんです。配食サービスでは、やわらかい食事も提供してくれるんでしょうか? はい。ご高齢者向けの配食サービスなら、「やわらか食」や「ソフト食」などの噛む力・飲み込む力が低下した方が食べやすい食事も提供しています。介護食をご自宅で作るのはかなり大変ですから、ぜひ活用してみてください。 親の介護の不安③お金 お金の不安もかなりあります。母の介護が始まって半年、いろんなものにお金がかかってしまって…。介護にはお金がかかると聞きます。今後、どれくらいのお金がかかるんでしょうか? 要介護度や、在宅介護か介護施設に入居しているかで大きく異なります。次の表は生命保険文化センターの調査をまとめたものです。 要介護度金額要支援14.1万円要支援27.2万円要介護15.3万円要介護26.6万円要介護39.2万円要介護49.7万円要介護510.6万円 参考:「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター) 母は今、要介護2だから…月額6万6000円が平均なんだ。もし、要介護5になったら月に10万円以上もかかることになるんですね…。 また、在宅介護か介護施設に入居するかでも費用は大きく異なります。生命保険文化センターの同じ調査によると、在宅介護の場合は月額4万8000円、施設介護の場合は月額12万2000円が平均でかかることがわかっています。 介護施設に入ると12万円以上もかかるんですか!お金も不安だな…。 お金の不安を解決する方法についても、お伝えしますね。 「親の介護の不安③お金」への対策 介護のお金についての不安には、以下のような対策があります。 介護費用の助成制度を使う 安い介護施設に入る 介護費用の助成制度を使う 介護費用に関する助成制度がいくつかありますから、これを活用して少しでも負担を減らしましょう。助成制度には次のようなものがあります。 高額介護サービス費 高額介護合算療養費制度 医療費控除 介護休業給付 家族介護慰労金 福祉用具購入費 居宅介護住宅改修費 なかでも、「高額介護サービス費」は介護サービス費が高額になったときにとても助かる制度です。 どんな制度なんですか? 高額介護サービス費は、1ヵ月間に支払った介護サービス費が限度額を超えた場合に払い戻しされる制度です。限度額は世帯や介護サービスを利用する本人の所得に応じて定められています。例えば、世帯の自己負担上限額が4万4000円の世帯で、1ヵ月の介護サービス費が6万円だった場合は1万6000円が払い戻されます。限度額や世帯所得は以下のように決められています。 区分負担の上限(月額)課税所得690万円(年収約1160万円以上)140,100円(世帯)課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満93,000円(世帯)市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満44,000円(世帯)世帯の全員が市町村民税非課税26,400円(世帯)前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等24,600円(世帯)15,000円(個人)生活保護を受給している方等15,000円(世帯) 出典:厚生労働省 安い介護施設に入る ご本人の身体状態やご家庭の事情で介護ができない場合、介護施設に入居することも選択肢のひとつです。しかし先ほどもお話しした通り、介護施設に入居すると在宅介護よりもお金がかかります。そうしたときには、安価な介護施設を検討してみましょう。安価な介護施設には以下のような特徴があります。 公的な介護施設 地方や駅から遠い ...

2023/12/14

#在宅介護 #食事

しっかり食べているのに高齢の親の体重が大きく減少しています。なぜでしょうか?

母の体重が大きく減っていることが気になっています。先日、母がやつれたように感じたので体重を測ったところ、半年前の健康診断のときよりも5kg近く減っていました。 ダイエットしているわけでもないし、3食しっかり摂っていると母は言っています。しかし、明らかにやつれて顔色が悪いような気がして心配です。 どうして母の体重が減ってしまったんでしょうか? (坂口さん・会社員・62歳) 高齢になると、筋肉量が減ったり消化機能の低下によって体重が落ちやすくなる傾向があります。もし体調不良もある場合は、病気の可能性もあるので受診するのがおすすめです。対策としては、栄養バランスの良い食事を摂ったり、食事の回数を増やしてみるのも良いでしょう。食欲が低下して知らず知らずのうちに食事量が減っていることがあるので、すぐに食べられるものを用意しておくのも有効な方法です。体重減少が続いてしまうと、体力や免疫力、認知機能が低下するおそれがあります。痩せすぎが寝たきりにつながることもありますので、無理なく体重を増やせるようにしていきましょう。 なぜ食べているのに親の体重が減少する? 最近、母が急に痩せてきたことが気になって体重を測ったところ、半年前の健康診断のときよりも5kg近く減っていたんです。母はダイエットしているわけでもありませんし、食事はきちんと3食摂っていると言います。ちゃんと食べているのに体重が減少することはあるんでしょうか。どうして母の体重は減ってしまったんでしょうか? 急な体重減少は心配になりますよね。一概には言えませんが、食事を摂っているのに体重が減ってしまっている原因は、以下のようなものが考えられます。 筋肉量の低下 病気の影響 消化吸収力の低下 こんな状態は痩せすぎかも BMI値とは肥満度を表す体格指数です。日本肥満学会ではBMI値が18.4以下は痩せすぎと定めています。例えば、身長150cmの人がBMI値18.4だったときの体重は41.4kg。これ以下の体重は痩せすぎです。 BMI値=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m) また、半年で5%以上の体重減少がある場合も要注意。体重50kgの人の場合、半年で2.5kg以上は危険な体重減少です。 筋肉量の低下 高齢になると筋肉量が低下して体重減少を引き起こしていることがあります。筋肉が減って直接的に体重が減ることに加えて、筋肉が減ると体が省エネになるため必要なエネルギーが減るんです。 「省エネになる」と聞くと良いことのように聞こえますが…。 ご高齢者の場合、必ずしも良いことばかりではないんです。省エネになるということは、少ないエネルギーで生活できるということ。つまり、お腹が減らないんです。お腹が減らなければ食事も食べなくなりますよね。加齢によって筋肉量が減ってお腹が減りにくくなることで、知らず知らずのうちに食事の量が減っていることがあるんです。 本人は「しっかり食べている」とは言っていますが、もしかしたら以前より食べる量が減っているかもしれない、ということですね…。 消化吸収力の低下 歳を重ねることによって消化機能が低下して、若い世代よりも消化吸収力が低下する傾向があります。つまり、食べたものを上手く消化して体に吸収できないんですね。消化機能が低下すると、便秘によってお腹が減りにくくなったり、下痢によって栄養素が吸収されずに排泄されてしまうこともありえます。 となると、食べる量が減ったり、しっかり食べていても体に吸収されていない可能性があるわけですね。母のお腹の調子も確認しておかないと…。 病気の影響 病気の影響で体重減少が起こることもあります。例えば、以下のような病気です。 消化器系の病気 糖尿病 悪性腫瘍(がん) 病気の影響で食欲が低下したり、栄養が上手く吸収できなくなることもあります。また、がんの場合はがん細胞が増殖するときにエネルギーをたくさん使うため、食事を摂っていても体重減少が起こりやすいです。 体調不良もあるときは受診を 急激な体重減少に加えて、腹痛や吐き気などの体調不良もあるときは受診をおすすめします。病気が原因で体重が減少しているおそれがあるためです。 「食欲がなくて食べられない」「食べているのに体重が減っている」という場合も、まずは消化器内科で相談してみましょう。 親の体重減少の対策 母の体重が減ってしまった原因について、なんとなくわかったような気がします。母の体重減少を食い止めるには、どうしたら良いんでしょうか? 体重減少の対策には、以下のようなものがあります。 栄養バランスの良い食事を摂る 食事の回数を増やす 食べたいときに食べられるようにする 適度な運動をする 栄養バランスの良い食事を摂る まずは、栄養バランスの良い食事が大切です。わかりやすいのが「一汁三菜」の食事。ご飯と汁物に、主菜1品と副菜2品を組み合わせたものです。主菜を肉や魚などのタンパク質が豊富なおかずにし、副菜の野菜やきのこなどでビタミンや食物繊維が摂れると良いでしょう。特に筋肉量を維持するためにはタンパク質を摂ることが大切。摂取量は体重1kgに対して1gのタンパク質が目安です。体重50kgの人だったら1日50gのタンパク質を摂る必要があるということですね。 母の年齢も年齢なので、食事の支度をするのが大変になって出来合いのものや簡単に食べられるパンなどで済ませることもあったようです。やっぱり、きちんとした献立で食べないといけないんですね。 おっしゃる通り、ご高齢になると食事の支度も負担が大きく感じると思います。もちろん「一汁三菜」が理想ですが、そこまでしなくても筋肉を作るタンパク質とエネルギーの源である炭水化物をしっかり摂るように意識しましょう。毎食、必ず主食と主菜をしっかり食べるようにするだけでも、栄養状態は良くなると思いますよ。もし、食事の支度が大変な場合は、介護保険外サービスである「配食サービス」を活用してみるのもおすすめです。 食事の回数を増やす 「1日3食」にこだわらず、間食をするのもおすすめです。高齢になると、1度に食べられる量が減ることも多いですから、おやつとして軽食を取り入れてみましょう。そのとき、お菓子や菓子パンではなくバナナやヨーグルト、ゆで卵といった栄養豊富なものを食べると良いでしょう。 すぐに食べられるものを用意しておく 食欲が落ちている場合、朝・昼・夕食のタイミングでは食べる気が起きない場合も考えられます。なので、少しでも食べたい気持ちがあるときに食べられるようにすぐに食べられるものを常に用意しておきましょう。例えば、以下の食品はすぐに食べられて手軽にエネルギーを摂取できるのでおすすめですよ。 バナナ おにぎり レトルト食品 高栄養ゼリー・ドリンク ギリシャヨーグルト そのほかにも、おかずを作り置きして、食欲があるときに温めて食べられるようにしておくのも良いですね。 なるほど!栄養があって手軽に食べられるものを用意しておくんですね。それなら母も食べてくれそうです。 適度な運動をする 運動したら、もっと痩せてしまうんじゃないですか? いえいえ、筋肉や体力を維持するためには、食事だけでなく体を動かすことも大切です。運動量の目安としては、ウォーキングや軽いジョギングなどの無理のない運動を30分以上、週2回以上できるのが理想です。 母が運動する機会は少ないと思います。自分から外出する人でもありませんし…。でも、筋肉をつけるために、散歩から始めた方が良いのかも…。 高齢者が体重減少することの危険性 ここまで、ご高齢者が体重減少してしまう原因やその対策についてお伝えしてきました。ここからは、体重減少や痩せすぎの状態が続くことによる危険性についてお話しします。 「危険性」ですか? 体重減少が続いたり、痩せすぎの状態が続くことで以下のような危険があります。 体力が低下する 免疫力が低下する 認知機能が低下する 嚥下障害を起こしやすくなる むくみを起こしやすくなる 体力が低下する 体重が減ることで筋力や体力が低下し、疲れやすくなる危険性があります。疲れやすいと活動量が減って、さらに筋肉や体力が低下。その結果、転倒するリスクが高まってしまいます。加齢とともに骨がもろくなりやすいですから、転倒をきっかけに骨折してしまうことも。骨折により入院して、ベッド上で体を動かすことが極端に減ることで、退院するときにはほとんど寝たきりの状態になるケースも少なくありません。 えっ、骨折から寝たきりですか!? はい。高齢になると、筋力の低下が早くなるのに対して、回復はかなり難しいです。入院すると体を動かさない時間が大幅に増えますから、筋力がすぐに低下してしまうんですね。つまり、体重減少がきっかけで寝たきりになってしまう危険性があるんです。 免疫力が低下する 体重が減ることで、免疫機能が低下することもあります。つまり、感染症のリスクが高まるということです。免疫力が低下している状態で感染症にかかると、重症化しやすく、命の危険に関わる危険性もあります。 認知機能が低下する 体重が減ることが、認知機能の低下と関係があるんですか? そうなんです。体重が減ってしまうような低栄養状態が続くと認知機能の低下リスクが高まることがわかっています。東京都健康長寿医療センターの研究によると、栄養状態が悪い人は良い人に比べて認知機能低下のリスクが2~3倍も高くなるとのこと。つまり、体重減少するような低栄養状態の人は認知症のリスクも高いと言えるそうです。 ただ、急に体重が減って心配だっただけなのですが…。この状態が続くと認知症のリスクがあるんですね。なんとかしないと…。 参考:「食生活に要注意 ...

2023/12/11

#認知症 #排泄 #在宅介護

認知症の父親に夜中にトイレで何度も起こされてつらいです。もう私の体がもちません

認知症の父が夜中に何度もトイレに行くので、その度に起こされて寝不足です。 父は一晩で5~6回はトイレに行きます。認知症のせいで1人でトイレに行かせるとそこらじゅうを尿で汚してしまうので私が介助をしないといけないんです。 こんな生活がいつまで続くんでしょうか。もう体力的にきついです。良い解決方法はありませんか? (田島さん・パート・66歳) 夜間のトイレ介助は本当にしんどいですよね…。介護の負担を減らすために、まずはお父様が夜に起きる回数を減らす工夫をしてみたり、介護サービスを使って田島さんが介護しなくても良い環境を作りましょう。加齢に伴って頻尿になりやすいことに加えて、認知症の影響でトイレに行ったことを忘れているために何度もトイレに起きてしまっている可能性があります。また、介護する側が疲労することで介助時の転倒や怪我が起こりやすくなったり、お父様が睡眠不足でせん妄症状が出る可能性もあります。なので、お父様も田島さんもしっかり眠れるように対処していきましょう。 認知症の親に夜中に何度もトイレに起こされる 認知症の父が夜中にトイレに何度も起きるんです。認知症のせいか、手伝わないとそこらじゅうを尿で汚してしまうので、私もトイレ介助のために起きないといけません。そのせいで私は常に寝不足。昼間の仕事に支障が出ています。こんな生活していたら体がもちません!どうにかならないでしょうか? それは大変!夜間のトイレ介助はとても負担が大きいので、すぐにでも対策を打ちましょう。いくつか方法があるので、ひとつずつお話ししていきますね。 対策①起きる回数を減らす まずは、お父様が夜中に起きてしまう回数を減らす工夫をしていきましょう。次のような方法があります。 夕方以降の水分摂取を抑える 就寝前のコーヒーやお茶などを控える 寝る前にトイレに行く 生活リズムを整える 夕方以降の水分摂取を抑える 夜のトイレの回数を減らすために、夕方以降の水分摂取量を減らしてみましょう。ただ、ご高齢者は水分不足になりやすいです。1日の水分摂取量を1500mlは確保し、できるだけ日中に多く水分を摂るように調整してみてください。 コーヒーやお茶などを控える コーヒーや緑茶、紅茶などには利尿作用があります。そのため、トイレが近くなってしまうので、特に就寝前は避けるようにしましょう。 父は夕食後によく緑茶を飲んでいます。もしかしたら、それがトイレに起きる原因のひとつだったのかも…。 寝る前にトイレに行く すでに実践しているかもしれませんが、寝る前にトイレに行くことも大切です。お父様が「トイレに行きたい」と言わなくても、「寝る前にトイレ行っておこうよ」と声掛けをしましょう。 トイレに行くタイミングはあまり気にしていなかったです。寝る前に行かないときもあるので、これからは必ずトイレに行かせるようにします。 生活リズムを整える 生活リズムを整えることで夜にトイレで起きなくなるんですか? トイレに行きたいわけでなくても、「目が覚めたからとりあえずトイレに行く」というケースもありえます。そのため、昼間に活動したりして生活リズムを整え、夜はしっかり眠ってもらうことがトイレに起きる回数を減らすことにつながるんです。具体的には、次のようなことを続けると生活リズムが整うと思いますよ。 太陽の光を浴びる 毎日決まった時間に起きる 3食摂る 昼寝は1時間以内にする デイサービス・散歩などで活動する 父は、あまり外に出ない人なんですよね…。起きてくる時間もまちまちだし。生活リズムが崩れていたのかも。 対策②介護サービス・福祉用具を活用する 介護サービスや福祉用具を活用して、介護の負担を減らす方法もあります。 どうすれば良いんですか? 例えば、以下のように介護サービスや福祉用具を利用してみると、田島さんの負担が減ると思いますよ。 ポータブルトイレを設置する 夜間対応の訪問介護を利用する 定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用する ポータブルトイレを設置する 福祉用具のひとつに移動可能な簡易トイレ「ポータブルトイレ」があります。これは、主にベッドの横に置いて利用し、夜間でもすぐにトイレに座れるのが特徴です。便座の下にバケツを入れ、排泄が終わったら中身はトイレに流します。長距離の歩行は難しいという場合は、夜に足元が暗くて歩行が不安な場合などはかなり有効な対策だと思います。 認知症の父がうまく使えると良いんですけど…。新しい物に慣れるのにすごく時間がかかるので、結局、私が起きて介助するようになるかもしれません。もっと早くに利用しておけばよかったな。 なるほど…。でしたら、別の方法もご紹介します! 夜間対応の訪問介護を利用する 数は少ないですが、訪問介護の中には夜間帯の対応もしてくれるところがあります。そうした訪問介護事業所であれば、夜間のトイレ介助も依頼できますよ。 そうなんですね!一時期、利用していた訪問介護は昼間だけの対応でした。利用可能時間は事業所ごとに異なるんですね。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用する 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」って何ですか?初めて聞きました。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、昼夜問わず訪問介護や訪問看護を提供するサービスです。ちなみに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は「定期巡回サービス」と「随時対応サービス」の2つのサービスに分かれています。定期巡回サービスは、1日のうち複数回決められた時間に訪問サービスを提供。随時対応サービスは、「ケアコール」で呼び出すことで決められた時間以外のタイミングで訪問サービスを提供します。つまり、夜中に何度もトイレの介助が必要な場合でも、何回でも訪問介護サービスを利用できるというわけです。 そんなありがたいサービスがあるんですね!でも、先ほどの夜間対応の訪問介護を利用する場合とは何が違うんでしょうか? 夜間対応型も含めた一般的な訪問介護サービスは、利用した回数だけ利用料が追加されます。対して、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、利用料は要介護度に応じた定額制。何度利用しても料金は据え置きです。 それ、とても助かります!つまり、父のトイレ介助のために夜中に何度も利用しても、金額は増えないということですよね? おっしゃる通りです。訪問介護の利用回数が少ない場合は、一般的な訪問介護の方が費用が抑えられますが、何度も利用する場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の方がお得です。それに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間対応しているので、昼間、お父様が1人になる時間帯の見守りなどにも利用できますよ。 認知症の親が夜に何度も起きてトイレに行く理由 北野室長に聞いた対策をすぐに試してみたいと思います。ただ、そもそも何で父は何度も夜に起きてトイレに行くんでしょうか? 夜に何度もトイレに行く理由は、「加齢のため」「認知症のため」の2つの理由があります。 加齢のため 「年を取るとトイレが近くなる」とよく言いますよね。 はい、おっしゃる通りです。年齢を重ねていくにつれて、膀胱の機能が低下してトイレが近くなる傾向があります。膀胱に溜めておける尿の量が減ってしまうんですね。 だから我慢できなくて何回もトイレに行くんですね。 認知症のため 認知症が夜間に何度もトイレに行く原因になっていることも考えられます。 それって、どういうことですか? 認知症の影響で、トイレに行ったことを忘れてしまい、何度もトイレに行ってしまうんです。「トイレに行かなくて漏らしてしまうかも…」と不安を感じていることもありえます。先ほどお話しした通り、ご高齢になるとトイレが近くなる傾向があります。そのため、多くの方が「漏らしてしまうかも」と心配しているため、トイレに行ったか覚えていない状況はとても不安になってしまうんですね。 そうなんですね。そう言えば、父もトイレに行ったことを覚えていない様子でした。「漏らしてはいけない」と思って何度もトイレに行っていたんですね。 認知症の親が夜中に何度も起きることのリスク お父様がトイレに何度も起きることで以下のようなリスクが考えられます。なので、まずはなるべくトイレで起きないような対策をとることをおすすめします。 介護者の疲労がたまる 本人が昼夜逆転する 介護者の疲労がたまる 田島さんが悩んでいらっしゃるように、介護が必要なお父様が夜中にトイレに起きることで介護をする人が睡眠不足になってしまいます。当然、睡眠不足が続くと疲労が溜まって、集中力が落ちてしまうでしょう。そうしたときに危険なのが介護中の事故。抱きかかえて介助をしているときに、手を離してしまって転倒する、などの事故が起こる危険性が高まります。 父はまだ抱きかかえて介護するということはないのですが…。このままだと、私もそんな事故を起こしてしまうかもしれないです。 それに、寝不足が続いて身体的にも精神的にもしんどい状況が続くと、介護を続けるのがつらくなってしまいます。追い込まれて「介護うつ」や「虐待」につながってしまうことも少なくありません。できるだけ田島さんの負担を減らした介護をしていきましょう。介護疲れについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 昼夜逆転する 夜中に何度も起きることで、お父様が昼夜逆転してしまう可能性があります。生活リズムが崩れてしまうんですね。 生活リズムは今も崩れていると思いますが…。昼夜逆転になると、どんなリスクがあるんでしょうか? 夜に眠れないので、昼間は眠気で日常生活に支障が出てしまう可能性があります。特に、食事中に覚醒していないと、食べ物を上手く飲み込めずに誤嚥性肺炎を引き起こす危険があります。それに、認知症の方は睡眠不足で脳の機能が低下することで、「せん妄」が起こる可能性が高まります。 「せん妄」って何ですか? 急に興奮して暴れ回ったり反対に不安で気持ちが落ち込んだり。それに、「虫が這っている」という幻覚や妄想の症状が出ることもあります。せん妄は一時的であることが多いので、規則正しい生活リズムに戻してきちんと睡眠を取れれば症状は収まるでしょう。昼夜逆転については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 父の生活リズムが乱れていても特に気にしていなかったのですが、寝不足というだけでそんな症状が出る危険性があるんですね…。 そうなんです。それに認知症の症状を緩和するためにも、規則正しい生活をするのがおすすめ。まずは、昼夜逆転の生活を整えることから始めてみると良いかもしれません。それに、田島さんの睡眠時間を確保することが何より大切です。介護サービスを積極的に活用したりして、田島さんがしっかり眠れるような体制を作ってくださいね。 夜に起きる回数を減らす工夫、介護サービスを活用して負担を減らそう 加齢や認知症によって夜にトイレで起きてしまいやすくなる 夜に起きることで介助のミスで怪我をしたり、睡眠不足でせん妄が出る危険性がある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/12/07

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

article-image

グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト